F1は延期レースを仮想グランプリとして開催

F1(フォーミュラ1)は、COVID-19のパンデミックを受けて計画されていたいくつかのレースを延期、またはキャンセルする必要に迫られた。オーストラリア、バーレーン、モナコ、ベトナム、中国でのレースの中止がすでに決定され、オランダとスペインのグランプリも延期された。そこでF1のオーガナイザーは、米国時間3月20日にeスポーツのシリーズとして「F1 Esports Virtual Grand Prix」を開催することを発表した。何人の現役のF1ドライバーに並んで、他分野の多くのスターも参加する。

画像クレジット:William WEST/AFP/Getty Images

この仮想F1レースには、Codemasterの「Formula 1 2019」というPC用のF1公式ゲームソフトが使われる。ファンはF1.comに加えてYouTube、Twitch、Facebookでもレースを観戦できる。レースは本物のレースのほぼ半分の長さである28周に設定される。最初のレースは米国時間3月22日に開催される。

「F1 Esports Virtual GPを開催することで、少しでも明るいニュースをお届けできることを非常にうれしく思います。先行きの見えない時期ですが、通常のスポーツイベントがなくなって残念に思っているファンを楽しませたいと願っています」と、F1のデジタルビジネスとスポーツ部門の責任者、Julian Tan(ジュリアン・タン)氏は述べた。「世界中のメジャーなスポーツリーグがことごとく競技を中止している今は、eスポーツの利点と、そこで発揮されるすばらしいスキルを世に示す大きなチャンスです」

F1ドライバーの中には熱心なゲーマーもいるが、多くはそうではない。そのスキルレベルの違いを補うために「ゲームの設定は、競技性の高い、見ていて楽しいレースとなるように調整されています」と、オーガナイザーは説明する。つまり、すべての車が同じ性能となるように設定、車体へのダメージは軽減され、オプションとしてアンチロックブレーキとトラクションコントロールも使えるようになる。

オーガナイザーによれば「このシリーズは厳密にエンターテインメントのみを目的としており、全世界が影響を受けている前例のないシナリオの中で、ファンにレーシングアクションをお届けするためのものです。ドライバーが公式の世界選手権ポイントを獲得できるものではありません」という。

このように、実際のレースが延期されてもファンがイベントへの興味を失わないようにしてもらおうとアクションを起こしているモータースポーツはF1だけではない。例えばNASCARは「eNASCAR iRacing Pro Invitational Series」を今週末に開催する。これにも現役ドライバーが参加する。

「我々の車がレース場に戻ってくるまで、NASCARコミュニティ全体が協力して、ユニークで楽しく競技性の高い体験を元のレース当日に、情熱的なファンに提供します」と、NASCARのレース開発担当副社長のBen Kennedy(ベン・ケネディ)氏は述べている。「我々の長年のパートナーであるiRacingは、信じられないような製品を提供しています。最高のドライバーの多くが、この仮想レースにこぞって参加し、競い合うのを楽しみにしています」

また大西洋の反対側では、ニュルブルクリンク耐久シリーズも、同シリーズ初の試みとなる仮想ラウンドを3月21日に開始する。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

スマートフォンの近未来巨大市場はアフリカと中東、そしてほぼ中国の独壇場

アフリカの携帯電話産業はこのところ、深圳のTranssion(トランシッション)が支配している。アフリカ以外ではほとんど知名度のない企業だが、近く中国の市場でIPOを目指している。そして今度は中国の同業者Vivoがこの、成長著しい新興市場に低価格機を持ち込み、二匹目のどじょうを狙っている。

世界で5番目に大きなスマートフォンメーカーであるVivoの今週の発表によると、同社は懐に優しい機種であるYシリーズのスマートフォンをナイジェリアとケニアとエジプトの市場に近く投入し、モロッコでは一部がすでに市販されているという。

中国ではスマートフォンの売上が鈍化しているから、Vivoが自国以外に市場を拡大しようとするのは当然だ。世界的な市場落ち込みの中でアフリカだけは昨年、2015年以来初めてスマートフォンの出荷台数が増加した。調査会社のIDCによるとそれは、エントリーレベルの製品が市場に氾濫しているせいでもある。

アフリカ市場というパイのひと切れを狙うスマートフォンメーカーにとっては、価格が安いことが何よりも重要だ。Transsionがこの大陸でトップになったのも、フィーチャーフォンを20ドル未満で売っているからだ。VivoのYシリーズスマートフォンは170ドルという安値で、TranssionとSamsung(サムスン)とHuawei(ファーウェイ)に次ぐ座を狙っている。ちなみにこれら上位3社の昨年のアフリカにおけるシェアはそれぞれ、34.3%、22.6%、9.9%だった。

Vivoは並行して中東市場への進出も狙っているが、こちらは最近スマートフォンが伸び悩んでいる。Yシリーズには、画面本体比89%とか、AI駆動の3カメラ機などさまざまな機種があり、現在はアラブ首長国連邦で売っているが、近々にサウジアラビアとバーレーンでも発売する予定だ。

Vivoの国際進出の数か月前には、同じくBBK傘下の姉妹企業のOppoが、同様に中東とアフリカへ手を伸ばし、ドバイに支社のようなものまで作った。

Vivoの上級副社長Spark Ni氏は声明で「国際市場への参入を始めた2014年以来弊社は一貫して、詳細な調査により消費者のニーズの理解に努め、革新的な製品とサービスをライフスタイルのニーズの変化に合わせて提供してきた」とコメントしている。

そしてさらに「中東とアフリカは弊社の重要な市場であり、消費者のニーズをつねに心に置きながらこの市場へのアプローチを調整してきた。Yシリーズのローンチは、その始まりにすぎない。今後はYシリーズをさらに超えた人気製品を早期に中東とアフリカに投入したい」という。

関連記事:The intensifying battle for Africa’s burgeoning tech landscape(次にテクノロジー産業が栄えるのはアフリカだ、未訳)

画像クレジット:Vivo

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa