視力の悪い人はきっと同意してくれるだろうと思う。自分の視力にぴったりのコンタクトレンズや眼鏡を手に入れると、「はっきり見える」世界の素晴らしさに感動してしまう。ただし、「はっきり見える」視力を手に入れるための視力検査は、時間もかかるし面倒なものだ。さらに、検眼医は眼に異常がないかを確認するために、1時間ほどもかけて決まりきった検査をひと通り行うことになってもいる。こうした検査は、実際のところかなり面倒なものだ。
そうした状況をなんとかしようと、MIT Media Labから登場してきたのがBlinkだ。
最初の頃は、適した眼鏡を選ぶための、3Dプリントで製作したスマートフォン用アドオンを扱っていた。しかしそこから発展を続け、本格的な視力検査のフルセットをオンデマンドで提供できるようになった。
スマートフォン用アプリケーションとさまざまな器具(小さなスーツケースにおさまってしまうコンパクトさだ)を使って、Blinkは家庭でも本格的視力検査を行えるようにしている。ファウンダーによれば、Blinkは検眼医の部屋にある2万ドルほどもする器具を持ち運び可能にしたものであるとのこと。
Blinkでの検査を申し込むと、検査担当者(Blinkでは「visioneer」と呼んでいる)が希望者の元を訪問する。そして視力検査表などを準備し、通院状況やメガネやコンタクトレンズの利用状況、さらには眼病の経験があるかどうかなどの問診を行う。そしていよいよ実際の視力検査を始め、データは検査担当者のもつタブレットに入力される。
視力測定用のデバイスはNetraと名付けられており、動作はすべて機械式となっている。ここにスマートフォンをはめ込んで、スマートフォンのレンズとコンピューティング能力を利用して検査を行うわけだ。測定装置の外観はあるでSamsung Gear VRのようだ。しかしバーチャルな世界でのゲーム環境を提供するのではなく、視力検査マシンとして機能する。Netraを使ったテストと、視力検査表の可読状況などを総合してカルテが作成される。
視力の確認ができると、その視力に応じたレンズを体感できるNetropterという装置を試すことになる。これはフォロプター(ターレット式検眼器)を小型化したものだ。眼科医でフォロプターやさまざまな検眼器を使うよりも簡単に矯正成果を確認することができる。
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尚、Blinkは検眼医を代替するものではない。眼鏡購入のための処方箋に必要な情報を得るという目的のために考案されたものだ。
「行うのは視力検査であり、眼科検診を行うものではありません」と、Blink側も強調している。
テストで得た情報は、提携している検眼医に送られる。ここで10分程度の時間でデータをチェックして、そして処方箋が用意されるという仕組みだ。処方箋はメールで送られ、この情報に基づいて眼鏡を購入することができる。コンタクトレンズへの対応も準備中であるとのこと。
テストには75ドルかかるが、家族や職場仲間と一緒に受ける場合には割引料金も用意されている。
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(翻訳:Maeda, H)