モバイル動画のCandee、VTuber特化型のライブ配信サービス「Colon:」リリース

モバイル動画を軸に、メディア事業や動画マーケティング支援事業などを展開するCandeeは10月5日、VTuberに特化したライブ配信サービス「Colon:(コロン)」をリリースした。

YouTuberや配信者の代わりに2D/3Dキャラクターを動画に登場させるVTuber。現状、彼らの主戦場はYouTubeでのライブ配信だ。一方、Colon:はそのVTuberだけに特化したライブ配信サービスとなる。スタート時点では総勢120人以上のVTuberが参加予定だ。

視聴者はライブ配信を楽しみながらコメントやハートで配信者を応援したり、有料のアイテムを購入して配信者に贈ることができる(ギフティング)。これが配信者とCandeeにとっての収入源だ。

Colon:の他にも、VTuberに特化したライブ配信サービスとしてグリーの「REALITY」などがある。Colon:事業のマーケティング担当者によれば、「VTuberには“ハイエンド”と“ローエンド”のキャラクターが存在します。ハイエンドは高価な機材をつかい、口の動きも完全に配信者とリンクするなど作り込まれているのに対し、ローエンドは基本的にスマホやPCのカメラがあれば配信できます。REALITYはそのハイエンドのキャラクターに注力している印象ですが、Colon:はVTuberの大多数を占めるローエンドに注力していきます」と、Colon:ならでは違いを話した。

また、アンケートやクイズ機能など、配信者が簡単にユーザーとコミュニケーションを行うための各種機能を用意し、誰もが手軽にライブ配信のコンテンツを作れるようなプラットフォームを目指すという。Colon:はiOSAndroidのアプリを本日よりリリース。また、Webブラウザでも配信を視聴可能だ。

「Live Shop!」提供のCandeeが総額24.5億円を調達、ライブコマース事業の横展開を視野に

若い女性向けのライブコマースアプリ「Live Shop!」を手がけているCandeeは本日、総額24.5億円の第三者割当増資を実施した。リードインベスターはEight Roads Ventures Japanが務め、既存株主であるYJキャピタル、NTT ドコモ・ベンチャーズ、オプトベンチャーズ、グリー、大一商会、みずほキャピタルも調達ラウンドに参加。また、同時にEight Roads Ventures Japanの深澤優壽氏がCandeeの社外取締役に就任したことを発表した。

Live Shop!」は、モデルやインスタグラマーなどのインフルエンサーが出演する1時間程度の番組をライブ配信するアプリだ。ユーザーは番組を見ながらインタラクティブにハートのスタンプを送ったり、コメントを残したりできることに加え、番組で紹介される商品を購入することができる。

Candee20176月に「Live Shop!」をリリースし、現在週に10本ほどのライブ配信を行なっている。Candeeではこれまでに9800本以上のライブ配信、1300以上のモバイル動画を制作したという。

サービスリリース以降、「検証をしっかりやってきた」と取締役副社長CCOを務める新井拓郎氏は話す。ライブコマースは一足先に中国で盛り上がっているものの、本当に日本のユーザーもライブ配信を見て物を買うのか。検証を進めた結果、ユーザーのライブ配信におけるエンゲージメントを高めることで、商品の購入率も高まることが分かり、ライブコマース事業に手応えを感じていると新井氏は言う。

「ライブ配信中にハートのボタンを押したり、コメントしたりするユーザーの参加率を見ています。このユーザーの参加率を高めていくと、購入率も高まることが分かりました」。

Candeeの掲げるソーシャルビデオプラットフォーム構想

Candeeは、現在提供している「Live Shop!」を他にも音楽、ニュース、スポーツといった分野に横展開する「ソーシャルビデオプラットフォーム構想」を描いている。「視聴者のエンゲージメントを作って、ユーザーにアクションしてもらうことは、どの領域でも活用できる部分であると考えています」と新井氏は説明する。具体的な時期はまだ決めていないものの、次はスポーツ分野でのサービス展開を検討しているという。トライアル段階ではあるが、CandeeはすでにNTT ドコモと「Live Shop!」の番組内でスポーツ関連の配信企画を進めている。

今回の資金調達は「ソーシャルビデオプラットフォームの構想に向けてアクセルを踏むため」であり、事業拡大と人材採用に充てる予定とCandeeは説明している。

ライブコマース×D2Cで新たな商品展開へ、「Live Shop!」運営のCandeeがブライベートブランド立ち上げ

ライブコマースアプリ「Live Shop!」を提供するCandeeは11月16日、ライブコマースとD2C(Direct to Consumer)を掛け合わせた新たな商品展開として、同社初のプライベートブランド「TRUNK 88(トランクエイティーエイト)」を立ち上げることを明らかにした。

同ブランドでは約23万人のフォロワーを抱える、インスタグラマーの佐野真依子氏をクリエイティブディレクターに起用。アクセサリーやバッグ、シューズ、ライフスタイル雑貨などのアイテムを中心に扱う予定だ。

Candeeは2015年の設立以降、これまでにライブ配信9800本以上、モバイル動画1300本以上の企画から制作、配信までを手がけてきた。同社はソーシャルビデオプラットフォーム上でさまざまなカテゴリの動画コンテンツを提供することを目指し、その第一弾として6月にLive Shop!をリリースしている(立ち上げの背景や構想についてはLive Shop!リリース時に詳しく紹介している)。

Live Shop!の開始から約5ヶ月が経ち、今回新たにブライベートブランドを立ち上げる背景には、ライブコマースとD2Cに高い親和性があるからだという。

Live Shop!はインフルエンサーが着用しているファッションやおすすめのアイテムを、ライブ配信形式で紹介するアプリ。ユーザーはコメントやアンケートなどを通して出演者とインタラクティブなコミュニケーションを楽しみながら、リアルタイムで商品を購入できる。

この「ユーザー属性や傾向、ニーズを直接リアルタイムに収集できる」というライブコマースの特徴は、「自社で企画した商品を小ロットかつ適正価格で製造し、直接ユーザーへ販売できる」D2Cのモデルと相性が良いというのがCandeeの考えだ。

ライブコマースとD2Cの強みを掛け合わせることで、データを元にした商品製造を短期間で行い、商品投入のサイクルやロット数をコントロールできる。Candeeではマーケットインの商品展開により、さらなる販売力の強化、利益拡大を目指す。

なおTRUNK 88は12月19〜21日にLive Shop!および受注会で先行発売を実施し、2018年1月中旬からLive Shop!や公式ECサイトにて正式に販売開始する計画だ。

クルーズとCandeeが協業でライブコマースチャンネル「SHOPLIST Live」を配信開始

モバイル向け動画の制作などを手がけるCandeeが、ライブコマース(動画コマース)に参入し、アプリ「Live Shop!」の正式提供を開始したのは6月7日のこと。そのCandeeが、今度はファストファッションの通販サイト「SHOPLIST.com by CROOZ(以下SHOPLIST)」を運営するクルーズと協業で、ライブコマースチャンネル「SHOPLIST Live」を配信することになった。配信開始日時は6月30日の20時を予定している。

Live Shop!ローンチ時の記事の中でも紹介しているが、ライブコマースは配信者と視聴者がリアルタイムにやり取りしながらアイテムを購入できる、いわば、TVショッピングの動画版×インタラクティブ版といったサービスで、新たな通販のプラットフォームとして注目を集めている。中国では既に、1回の生放送で視聴者数が数千人、年間売上二桁億円、といったライブコマースの事例もあるそうだ。

Live Shop!では、インフルエンサーやモデルがそれぞれ配信チャンネルを開設し、ライブ配信でファッションアイテムなどを紹介。視聴者はライブ中にコメントやスタンプを送って、配信者とリアルタイムにコミュニケーションを行ったり、紹介アイテムを購入したりできる。

一方のクルーズが運営するSHOPLISTは、レディースからメンズ、キッズまで、国内外のさまざまなジャンルのファストファッションアイテムをまとめて購入できる通販サイトだ。2012年7月のサービス開始から5年目となる2017年3月期には、売上高を約190億円規模まで広げている。

Candeeとクルーズでは今回の協業により、ライブコマースの特徴を生かしたECチャンネルとしてSHOPLIST Liveを提供し、EC市場の新しいビジネスモデルを作っていく、としている。

Candeeがライブコマースに参入、インフルエンサーが商品を紹介する「Live Shop!」

 

動画ストリーミングの新しいかたちとして注目を集めるライブコマース(動画コマース)。中国の動画配信プラットフォームでは、すでに個人が自撮りの動画を配信し、視聴者からデジタルギフトを受け取ったり、商品を販売したりなんてことが進んでいるようだ。例えば淘宝(タオバオ)上では、1回の生放送で視聴者数が数千人、年間売上二桁億円、なんていうライブコマースの事例もあるようだ。そんな動画コマースの波が日本にもやってきた。モバイル向け動画の制作などをてがけるCandeeは6月7日、ライブコマースアプリ「Live Shop!」の正式提供を開始した。

Live Shop!は、「ライブ配信× コマース× インタラクティブ」をうたうライブコマースアプリ。「ゆうこす」こと菅本裕子さんをはじめとしたインフルエンサーやモデルが、それぞれ自身のチャンネルを開設。定期的にライブ配信を行う。ユーザーはライブ配信中にコメントやスタンプを送ってリアルタイムのコミュニケーションを行ったり、配信者が紹介するファッションアイテムなどをリアルタイムに購入したりできる。

Candeeは2015年の設立。LINEの動画配信アプリ「LINE LIVE」内の番組をはじめとして、これまで1300本以上(ライブ配信は500本以上)の動画の制作、配信を手がけてきた。2016年12月にはYJキャピタルやTBSイノベーションパートナーズ、gumiを引受先とした総額12億円の資金調達を実施。さらに2017年5月には、ライブ配信に特化した映像制作会社のアポロ・プロダクションを完全子会社化するなどしている。

「これまでのクライアントワークでは、圧倒的なスピードで動画制作のトライアンドエラーを繰り返すことで、コンテンツ制作のノウハウを内部で持つようになった。ネット全盛の時代でも、プロのコンテンツが勝つ。マーケットについてはソーシャルゲームも参考にした。1人でなく、誰かと楽しむという流れは、動画にもやってくる。ソーシャルなビデオプラットフォームを作っていく」——Candee代表取締役副社長COOの新井拓郎氏は新サービスについてこう語る。

前述の通り、同社はLINE LIVEの人気番組「さしめし」をはじめとして、数多くのライブ配信動画を制作してきた。キャスティングやコンテンツの制作力に加えて、ソーシャルな動画プラットフォーム運営、自社での商品在庫の管理まで、ワンストップで実現することが、同社の強みになると語る(ディー・エヌ・エーがノンプロモーションで展開する「ラッフィー」などもあるが、こちらはあくまで動画プラットフォームのみの提供となっている)。Live Shop!は2月頃に企画を立ち上げ、4月にはテストローンチ(App Storeでのアプリ公開)。そして今回の正式公開に至った。

Candee執行役員の椙原誠氏(左)とCandee代表取締役副社長COOの新井拓郎氏

Candee執行役員の椙原誠氏(左)とCandee代表取締役副社長COOの新井拓郎氏

ライブコマースはコミュニティに近い

番組を担当するのはCandeeがキャスティングしたインフルエンサーが中心。商品はいわゆる“プチプラ”、つまり低価格帯のファッションアイテムやメイクグッズが中心となる。プラットフォームの一般開放は予定しないが、今後はモデルやインフルエンサーのほか、アパレルブランドなどの参加を呼びかけていく。「映像活用したコンテンツはあるが、マネタイズできるプラットフォームは少ない。それができれば、プラットフォームに入ってくる人も増えてくる」(新井氏)

動画自体はアーカイブされるのでいつでも視聴できるが、商品購入に関してはライブ配信中に限定する。これは出演者とのインタラクティブなコミュニケーション、ライブの価値にこだわるためだという。出演者はインフルエンサーなどが中心。すでにそれなりの規模のファンがいることもあり、コミュニケーションの延長線上での購買が多いという。配信は長くて1時間程度。メイクのハウツーやファッションの紹介、料理に挑戦するなど、さまざまな企画を準備している。

「ユーザーからの質問にも出演者が回答するので、視聴者に納得感を持ってもらえる。番組の尺が30分から1時間ていどなので、衝動買いできるような単価の安い商品が売れている。通常のECであれば能動的に動かないと商品を購入できないが、ライブコマースだと、『憧れの○○さん(モデルやインフルエンサー)が紹介している』という、これまでとは違う切り口での販売ができる」(Candee執行役員の椙原誠氏)

僕もプレローンチ時の動画を見たのだが、出演者がファンの質問に回答しつつ商品を紹介し、「購入した」というコメントにお礼をする、というのがリアルタイムに行われるというのは、ファンにとっては嬉しいものになると感じた。新井氏は「コミュニティサービスに近い。ある種ファンになって、結果商品を買う、というもの。ライブの物販に近いかも知れない。ライブTシャツを買うのに素材はこだわらない。出てくる人の距離感で商品を購入している」と語る。

Candeeでは、今夏をめどに、月間60〜80点程度の商品の販売を目指す。すでにアンケート機能や抽選販売機能を導入しているが、今後はオークションやクイズといった機能も追加していく。また現在支払い手段はクレジットカードに限定されているが、Apple Payや後払いなど手段も拡大していく。さらにイベント企画、タレントマネジメントなどをてがけるアソビシステムとも提携。今後同社所属のタレントらも動画に出演する予定だ。

國光氏が語るソーシャルビデオプラットフォーム構想

6月7日、イベント「Infinity Ventures Summit 2017 Spring Kobe」内で、gumi代表取締役であり、Candee取締役会長の國光宏尚氏がこのLive Shop!についてプレゼンテーションを行っている。國光氏は新井氏、椙原氏同様に、「ソーシャルゲームが流行した理由はみんなでやって楽しいから。動画も一緒にみんなで見る方が楽しいはず」と説明した上で、(1)スマートフォンファースト、(2)ソーシャル、(3)インタラクティブ——という要素を持った動画による「ソーシャルビデオ革命」が起こると語った。Candeeではソーシャルビデオのプラットフォームを作り、今後さまざまなカテゴリの動画コンテンツを提供する計画だが、Live Shop!でチャレンジするEC領域はその第1弾という扱いだ。

また國光氏は2020年以降のメディアについて語った。2020年にはモバイル通信はより高速な5Gとなり、動画はより精細な4K・8Kとなっていく。だがテレビに関してはチューナーを変えない限り現状の4K・8Kの品質を得ることができない。スマホの方が明らかにテレビより画像が良くなる。いったん上(の品質)を見ると、ユーザーはもう戻れない——そんな背景もあって、2020年以降、「いよいよ通信が放送を飲み込む」(國光氏)とした。

gumi代表取締役であり、Candee取締役会長の國光宏尚氏

gumi、LINE LIVEなどの動画制作スタートアップCandeeに出資か? 国光氏が回答

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東京証券取引所一部市場への直接上場、そしてその2カ月半後の下方修正、30億円の銀行借入の“後出し”、韓国子会社での横領事件——昨年1年の動きを「gumiショック」と揶揄されたゲーム開発会社gumiだが、その周囲がまた騒がしいようだ。

1月16日号の週刊ダイヤモンドが報じたところによると、2015年2月設立のスタートアップCandeeとその子会社であるMacaron、Biscotti、コンペイトウ(いずれもお菓子から名前を取った動画制作関連のスタートアップだ)がgumiとが深く関わっているというのだ。同誌によると、gumi代表取締役社長の国光宏尚氏は、自身の父親を代表に据えてCandeeを設立。1億円超の資金調達を実施した後に父親は不可解な理由で辞任しているという。

インタビューやイベント登壇時など、ことあるごとに「時価総額8兆円企業を目指す」と語っていた国光氏だが、gumiの現状はそこから遠い状況(現在の時価総額は約210億円)。そんな中で新事業にリソースを割いているとなれば、市場の投資家は「本業がままならないままに新会社を設立して出資、新事業に挑戦するのはどういうことだ」とでも言いたくなる話だ。記事はgumiの例をもとに、ここ最近のIPO企業は玉石混交だと論じている。

gumiに限らず、株価が上場時の公開価格や初値を大きく下回る、いわゆる「上場ゴール」と批判を受けるIPO、数度に渡る下方修正の発表、果ては個人資金を用いて売上を作るようなケースもあり、玉石混交という表現はまさにその通りだ。だがここで気になったのは、やり玉に挙げられたgumiとCandeeの関係だ。その詳細についてgumi代表の国光氏に聞いた。

CandeeはLINE LIVEの番組制作などを担当

実はこのCandeeという会社、スタートアップ起業家などの間で昨年秋頃に「gumiと関係性があるのではないか」と話題になったことがある。ダイヤモンドが報じたとおりだが、当時同社について調べたところ、会社は東京・青山にあるが、代表者の名字は「国光」、住所も国光氏の出身である「兵庫県」となっていた。そこから同氏の親類であろう人物が代表を務めている可能性が高いと考えられたが、当時は事業の実態がなかったこともあり、それ以上の話題にならなかったのだ。

同社の名前を再び聞いたのは2015年12月、LINEがライブ配信サービス「LINE LIVE」をローンチしたタイミングだった。LINE LIVEでは、スタート当初から芸能人や著名人によるオリジナル番組を配信しているが、その制作パートナーとしてLINE主催の発表会で同社の名前が挙がったのだ。Candeeは現在、芸能人を起用したLINE LIVEの番組を複数制作している。

gumi国光氏「あくまで個人としての投資」

ではこのCandeeとgumi、実際にはどういった関係なのか? 国光氏は「gumiとは関係のない会社だ」と説明する。

gumi設立前は映像制作にも携わっていた国光氏、個人として動画事業には興味があるものの、まずは本業に集中しなければならない状況。そのため、もともと現在のCandee経営陣らとビジネスアイデアなどを話し合ってはいたが、自身が関わる予定はないと語る。

ではなぜ父親名義でCandeeを設立したのか? これについては「(自身の名前を出さないためではなく)とりあえず『ハコ』を作る、という目的だった」と語る。この説明には正直少し苦しいものも感じたのだが、経営チームがまとまった時点で代表を交代したのだという。なお現経営陣はエイベックス・エンタテインメントやよしもと、電通出身のエンタメに強いメンバーだという。

ちなみにCandeeの資本金は現在1億5100万円(設立時は100万円)。国光氏が個人で出資している金額については「非公開」としている。またCandeeに対してgumiや同社グループのVCであるgumi venturesは出資していないという。

「あくまでCandeeには投資家として関わっており、個人として起業家を応援している。また投資についてはgumiの役員にも合意を得た上で行っている。何よりgumiについては株価の(現状について)責任は感じているので、1日でも早く業績を回復させたいと考えている」(国光氏)

イグジット後にこそ本業に注力を

国光氏に限らず、上場やM&Aでキャッシュを得た起業家が、自分たちより若いスタートアップにエンジェルとして投資することはよくある話だ。僕たちのイベント「TechCrunch Tokyo 2015」でもコーチ・ユナイテッド代表取締役社長の有安伸宏氏、スマートフォン向けゲームなどを手がけるコロプラ取締役 Co-Founderの千葉功太郎氏がそれぞれのエンジェル投資の姿勢について語ってくれた

その他にも2015年にマザーズに上場したピクスタ代表取締役社長の古俣大介氏が縫製特化のクラウドソーシングサービス「nutte」を運営するステート・オブ・マインドに出資していたり、KDDIに買収されたnanapi代表取締役の古川健介氏(nanapiは同じくKDDI傘下のスケールアウト、ビットセラーと合併してSupershipとなり、古川氏は同社の取締役となっている)もAndroidアプリ解析などを手がけるFULLERに出資していたりする。これはあくまでプレスリリースやイベントなどを通じて正式に発表されている話の一部に過ぎず、実際は非常に多くの起業家がスタートアップへの出資を行っている。本業が赤字であっても上場益をもとに個人投資を行っている起業家だっている。

もちろん若い起業家からすれば、イグジット経験があり、(イグジットして間もないため)現場の空気を知る起業家から支援を受けられることが、資金以上の価値になることは多いだろう。スタートアップのエコシステムという観点で考えても、成功者のお金と知識が次の挑戦者に流れるという意味は非常に大きい。

だからこそ、本業に注力し、同時に市場の投資家からどう見られているかも忘れないで欲しい。冒頭の記事にあるように、スタートアップへの風当たりはまだまだ厳しい。業績のもそうだし、施策に対する不備、脇の甘さなど、外部から指摘される可能性のあることは少なくないはずだ。一度イグジットした起業家ならば、若い挑戦者への支援だけでなく、市場に、世の中に認められるような成長を続けてもらいたい。その成長の軌跡は、必ずや後に続く人たちの道になると思うからだ。