エウレカがパパママ社員に優しい新人事制度、英会話全額負担や「pairs婚」手当ても

恋愛マッチングアプリ「pairs」を運営するエウレカが15日、福利厚生プログラム「baniera(バニエラ)」を導入した。これまでも一般的な福利厚生制度はあったが、結婚や出産、育児に関する支援を中心に充実させた。主な内容は以下の通りだ。

バニエラとは、古代ギリシャ語で「お風呂」の意味。アルキメデスが浮力の原理を見つけた場所で、そのとき「エウレカ!(わかったぞ!)」と叫んだと言われている。「エウレカでのひらめき・成長を支える場所」という意を込めて、バニエラと名付けたのだという

バニエラとは、古代ギリシャ語で「お風呂」の意味。アルキメデスが浮力の原理を見つけた場所で、そのとき「エウレカ!(わかったぞ!)」と叫んだと言われている。「エウレカでのひらめき・成長を支える場所」という意を込めて、バニエラと名付けたのだという

・オンライン英会話学習の全額負担
米国とのやり取りがある社員、月間受講日数が15日以上の社員にはレッスン受講料を全額負担する。

・海外カンファレンス参加費用負担
WWDC/Google IO/F8の参加者に飛行機代、ホテル代、カンファレンスチケット代を全額負担する。

・結婚祝い
5万円+上限20万円までの家電をプレゼント。乾燥機付き洗濯機やお掃除ロボットなどで、家事の負担を減らしたいという思いがあるという。

・Happy pairs婚
自社アプリ「pairs」を通じて結婚したメンバーには、結婚祝いに加えて5万円分のギフト券をプレゼントする。

・出産お祝い金
10万円を支給。男性社員には、出産時に家族に寄り添えるように3日間の「出産応援休暇」を付与する。

・育休中1on1/育休中でも会議出席
産休・育休中も月例の上長面談を継続。育休中でも全社会や重要会議に参加できる。どちらも復職を支援することが狙いで、Skypeでの参加も可能。

・banier for ペット
ペットを病院に連れて行く際、年3回の半休を取得可能。ペットが死亡した場合には2日間の休暇を付与する。

エウレカのオフィスでは創業当初から、副社長の西川順さんの愛犬が会社の成長を見守っているそうだ。

エウレカにはCDO(Chief Dog Officer)の「ジョブ」がいる。共同創業者・西川順さんの愛犬で、創業当初から会社の成長を見守っているそうだ。

メガベンチャーの福利厚生のいいとこ取り

エウレカは2008年11月に設立。日本と台湾で400万人が利用するpairs、350万ダウンロード超のカップル向けコミュニケーションアプリ「Couples」を運営する。2015年11月には、MatchやTinderなどのマッチングサービスを世界展開する米IACグループの傘下となった。

新人事制度は従業員が100人に達したことをきっかけに、安心して働ける仕組みを整えた。家族向け制度の内容を考案したのは、まもなく社内で育休取得第1号となる人事総務部の進真穂さん。「メガベンチャーの福利厚生のいいとこ取りをして、私が欲しいものを作りました」と語る。

「エウレカは平均年齢が28歳。出産や育児中の社員は少ないですが、30代で子供を持つ社員も増えましたし、これから必要な人も出てきます。充実した福利厚生があれば、社員が安心して働けるだけでなく、会社としてもアクセルを踏んで事業拡大しやすくなると思います」

バニエラではこのほか、有料セミナー参加費負担や自己負担200円の育児シッター制度、待機児童対策の引越し金援助などがあり、今後も社員の要望に応じて随時充実させる。現在は従業員の健康のために、営業時間中に社内でヨガを実施することを検討している。

スタートアップの福利厚生としては、フリマアプリのメルカリが産休・育休の8カ月間も給与100%を保障する「merci box」が話題になった。大企業に引けをとらないスタートアップの福利厚生は、これからも増えていきそうだ。

急成長カップルアプリ「Couples」がテレビCMを開始–今春めどにメディア化進める

エウレカが手がけるカップル向けアプリの「Couples」が好調だ。2014年5月にリリースし、8カ月後となる2015年1月末には150万ダウンロードを達成した。

Couplesはカップルに限定してメッセージを送信したり、写真や予定を共有できるいわば「2人専用SNS」といったアプリ。サービスで先行する韓国VCNCの「Between」は2014年5月時点で100万ダウンロード(国内のみ。世界では韓国を中心に900万ダウンロード超)、TIMERSの「Pairy」は2014年5月時点で数十万ダウンロードを達成している。エウレカが公開したグラフでは社名こそ出ていないものの、両者を超えるスピードで成長しているという。150万ダウンロードを達成するのと合わせる形で、2月9日よりテレビCMも開始した。(追記2月9日9時15分:VCNCによると、Betweenの国内ダウンロード数は1月末時点で170万件となっているとのこと)

Couplesは急増するダウンロード数もさることながら、WAU(週間アクティブユーザー)40万人、MAU(月間アクティブユーザー)50万人と高いアクティブ率が特徴だという。これまで8カ月で、約7億件のメッセージがやりとりされ、約3500万枚の写真がアップロードされている。月間のページビュー(PV)は4億PVに上る。ユーザーの年齢層は18歳未満が30%、19〜22歳が29%、23〜29歳が26%、30歳以上が15%となっている。Couplesのサイト上には、実際にサービスで出会ったというカップルが顔と実名を出して登場している。

TwitterでのプロモーションとASOでユーザー拡大

これまでのプロモーションはTwitterが中心。属性を見ても分かるとおりターゲットとなっているのは高校生や大学生が中心。彼らの世代にリーチする読者モデルやタレントなどとタイアップを行ってアプリを使ってもらい、その様子をプロモツイートなどを使って積極的に露出させてきた。

「正直うざいくらい広告が出ていたかも知れないが、その結果ポジティブな反応もネガティブな反応も来る。両方が集まれば集まるほどに、その世代のバズワードとして成長していく」(エウレカ 共同創業者 代表取締役CEOの赤坂優氏)——とらえようによっては少し強引に聞こえるかも知れない発言だが、その背景にはカップルアプリの認知度の低さがある。

エウレカ 共同創業者 代表取締役CEOの赤坂優氏

実はエウレカではサービス開始前に大規模なリサーチを実施したのだが、若者の情報発信の中心地である東京・渋谷でもその認知度は10%ほど。まずはカップル向けアプリというカテゴリ自体の認知、それと同時に「カップル向けアプリと言えばCouples」となるよう考えたという。そういえば昨年紹介した動画共有サービス「MixChannel」でも同じような話があった。

また同時に、ASO(アプリストア最適化)にも力を入れた。「グロースハックなんて当たり前のこと。ランキングが上がれば1日1000件単位でダウンロード数は変わってくる。登録ページの1タップごとの突破率をはじめ、細かい数字を1つずつ見ていった結果」(赤坂氏)。また、メッセージに使用できるスタンプについては学生に積極的なヒアリングを実施。さらにはLINEの自作スタンプマーケット「LINE Creators Market」の上位に入るクリエイターなどにもアプローチして、その種類を拡大しているという。僕はASOの話などからスマホゲームの運営を思い浮かべたのだが、事実ゲーム出身の開発陣も多いそうだ。

今春からはメディア化を進める

マネタイズは現在、スタンプによる課金のみだが、今後はユーザー課金を実施するほか、Couplesをメディア化し、そこでの広告収入を狙っていくという。

前述の通り写真のアップロード数は3500万枚以上。この写真のストレージや、メッセージのバックアップなどを含むプレミアムユーザーに対しての課金機能を検討するほか、3月末にもCouples内でデートやカップルに特化したメディアを展開するという。すでにライター陣を集めているそうで、今後はネイティブ広告やタイアップ、チャンネル販売(SmartNewsで言うところの「タブ」を売っていく)なども検討。年内に億単位の売上を目指す。

原動力はマッチングサービス「Pairs」

テレビCMやCouplesのメディア化など、様々な展開を予定するエウレカ。その原動力ともなっているのが、同社のマッチングサービス「Pairs」だ。Facebook認証による安全な出会いをうたうこのマッチングサービスは会員数180万人を突破。金額は非公開ということだったが、複数関係者にも聞いたところ、すでに月間で数億円の売上はあるようだ。

そう考えると、先行する2つのカップル向けアプリとまた違った資金力での勝負を展開できることになる(CrunchBaseによるとVCNCの調達額はこれまで770万ドル(DeNAからの調達分を除く)。TIMERSの調達額は1億円)。赤坂氏も「今の状況でテレビCMまでできることを考えれば、結論として資本が武器になっていると言える」と語る。