アップルのWWDCで華々しくデビューしたロボットのAnkiもついに倒産へ

消費者向けロボットなんて簡単だと言った人はいない。それでもAnkiは、いろいろな意味でかなりうまくやっていた。アップルの2013年のWWDC基調講演で、ロボットカーDRIVEをデモして世界をアッと言わせた後、AnkiはまずCozmo、そしてVectorといったロボットを次々と世に送り出してきた。

米国時間4月29日朝に、CEOのBoris Sofman氏によって開かれたミーティングは、悲痛な雰囲気だったことが容易に想像できる。それに関するニュースが流れた後、同社は今週中に従業員を解雇する予定であることをTechCrunchに明かした。以下がその全文だ。

Ankiが従業員を解雇することにしたことを発表するのは、とても重苦しい気持ちです。実効はこの水曜日です。私たちはこれまでに何百万台もの製品を出荷し、世界中のお客様に幸福な体験をお届けしてきました。また、多様なAIとロボット工学を駆使したアプリケーションの未来を見据え、非常に優れた技術を開発してきました。しかし、ハードウェアとソフトウェア両方のビジネスをサポートし、当社の長期的な製品ロードマップにつなげるような多額の資金がなければ、現時点では計画を実現できないのです。

これまでの成功にもかかわらず、当社は常に、将来の製品開発とプラットフォーム拡張のための資金を獲得する手段を模索してきました。ある戦略的な投資家との大きな融資の契約が最終段階で不成立となり、結局合意に達することができませんでした。当社としては、すべての従業員とその家族のために最大限の努力を払うつもりです。経営陣は、今後もすべての可能性を検討していきます。

Ankiは、同社製品の将来について、これ以上のことはコメントしていない。このスタートアップは、いくつもの魅力的な製品を開発してきた。もっとも印象深いのはCozmoだろう。これは大ヒット商品となった。同社はベイエリアに拠点を置き、昨年8月の時点では、創業以来150万台のロボットを販売したと語っていた。そのうちCozmoが数十万台を占める。

Crunchbaseによると、同社は全活動期間の間に、総額1億8200万ドル(約203億円)を調達した。ただし、それなりに出費も多い。Cozmoや、その大人向けの後継機Vectorの個性を際立たせるために、作曲家や、PixarやDreamworksでの経験もあるアニメーターを雇っていた。

断末魔の話の展開は、最近閉鎖した工業用ロボットのRethinkや、やはり家庭用ロボットのKuriの状況とウリふたつのように見える。いずれの会社も、ついに投資家も買い手も見つけることができず、夢を実現できなかったのだ。残念なことに、ロボットのスタートアップの世界では、こうしたことはまったく珍しくなくなっている。

ロボット工学のスタートアップを運営することの難しさは、おもちゃ市場が絶え間なく変化し続けていることから来るのは間違いない。Spheroも、ディズニーの著作権に依存している間は、同様の経過をたどった。ただし、Boulderに拠点を置くこのスタートアップは、最終的に教育市場にターゲットを移し、利益の出やすいモデルに方向転換することに成功した。Cozmoは成功だったとはいえ、結局はその価格設定がさらなる普及を妨げたのだろう。

結局のところ、これはAnkiが経費を使い過ぎたことに対する罰なのか、ロボットのスタートアップに資金を注ぎ込もうとしているベンチャーキャピタルに対する一般的な警告なのか、ロボットを家庭に持ち込もうとしてきた企業の数が多いことを考えると、判断が難しい。おそらくその答えは、両者を組み合わせたところにあるのだろう。

それはどうであれ、可愛らしいロボットを作った将来有望と思えた会社にとっての悲しい結末には違いない。そしてさらに深刻なのは、多くの有能な従業員が失業したということだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

AnkiのCozmoロボットが12月初旬で売り切れ、子どもが欲しがるロボット玩具の好例だ

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Ankiの今年のホリデー商戦は、完勝かもしれない。同社はハードウェアのスタートアップだが、初めて世に知られたのは数年前のAppleのキーノートのステージで、そのDriveカーがデモされたときだ。その同社は今、今年の秋に発売した最新製品Cozmoに全精力を注いでいる。

この元気で小さなロボットは、同社がPixarやDreamworksなどのスタジオから人材を集めた成果で、ウォーリー(Wall-E)のそっくりさんを目指し、そして音楽は完全なオリジナルを制作した。

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そしてどうやら、このギャンブルは同社にとって吉と出たようだ。Cozmoは今年のホリデイシーズンでついに、全米の子どもたちの、‘あれ買ってよ’の“あれ”になってしまい、最初のロットは月初に売り切れた。売上台数などは公表していないが、Amazonでは今月初め、一時的に“在庫なし”になってしまった。

でも同社によると、クリスマスまでには需要に対応できるよう、増産に励む。このロボットが店頭に登場したのは10月だが、これまでは約束通り同社は、定期的なアップデートにより、Cozmoの知識と技能の増強拡張に努めている。〔その例

Cozmo関連記事集(未訳)〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

賢いちびロボットCozmoがアップグレード、犬や猫、それに暗い部屋も認識する

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この前ぼくがAnkiのCozmoを試したときは、彼をぼくのうさぎLucyに紹介した。でも終始両者は、相手に無関心だった。この元気者のロボットのソフトウェアアップグレードのリストに、うさぎはまだ登場しなくて残念だけど、でも一部のペットの飼い主たちは、小さな愛をもらえるようだ。

Ankiの新しい機能はいくつかあるが、その中には“Part of the Pack”(動物仲間の一員)と言って、猫と犬を認識する技(わざ)がある。それがどんな‘対話’になるのか、その説明はないが、Cozmoのような小さなロボットが、犬や猫とファイトをすることは考えにくい。とくに、犬のお友だちとの喧嘩はないだろう。でもCozmoの身長と小型犬の背丈は似ているから、犬の耳に直接話しかけたりはできるだろう。犬は、耳をピンと立てて聴くかな。

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もうひとつの新しい機能は、ロボットの“調べるモード”(explorer mode)に夜間の視界が加わったこと。これはユーザーが手作業で、ロボットの視点カメラをコントロールする。さらに、新しいゲームが増え、Cozmoの、新しい言葉を覚える能力も改良された。まるで、小さな電子オウムだ。ただし同社によると、Cozmoはユーザーの言うとおりを繰り返してはならない言葉を知っているそうだ。「クソッ!」とか「バカ!」などなど、暴言の言葉は覚えないんだ。あらくれ男の水夫のようには、ならないんだね。でも、一度YouTubeで、Cozmoが悪口ばかり言うところを、見てみたいな。

今度の機能拡張の詳細はここにある。これらは12月に行われるCozmoのアップグレードだ。Anki社は、今後も約束どおり、ロボットのスキルを増やしていくらしい。

参考記事。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AIロボットCozmoのメーカーAnkiがSDKを公開、最終的には子どもやノンプログラマーも対象とする

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最初のCozmoたちの、Pixarからヒントを得たような目に、世界が見えるようになるまで、あと数か月待たなければならないが、メーカーのAnkiはすでに、この小さなロボットのための大きなプランを公表している。その最初は、ハッカーやメイカーや研究者たちをターゲットとするSDKの大々的なローンチで、それは10月のローンチと同時期になる。

ソフトウェア開発キットの展開は三段階から成り、SDKはその最初の段階だ。その次の段階は、K-12の教育者(教師)と児童生徒が対象、そして三つめの段階は商用アプリのデベロッパー向けだ。これらのスケジュールは明確ではないが、同社のHanns Tappeinerによると、第二第三の段階は2016年後期から2017年初期にかけてだ。

Tappeinerはこう説明する: “Cozmoの開発にはすでに4年半あまりを費やしている。消費者向けロボットとしてはもっとも高度なものの一つになるだろう。SDKを作ることは、かなり容易な作業だった”。SDKはPythonで書かれていて、それらがこの元気なかわいいロボットの100万行にもおよぶコードにアクセスする。それによりデベロッパーは、顔認識や歩行経路の計画、3Dモデリングなどの複雑なアクションを、ほんの数行の簡単なコードで書ける。

Ankiの構想は、さらにもっと大きい。Tappeinerによると、CozmoのSDKはロボットプログラミングを大々的に大衆化し、同社が数年かけて開発してきたシステムを小中学生でも自分のプログラムで利用できる。ユーザーにはできるかぎり多くを提供し、ほとんど制約なく、Cozmoのコードにアクセスできるようにしたい、とTappeinerは言っている。プログラマーにとっての利用価値とともに、初めてプログラムを書く人たちにも使えるようにしたい、というのだ。

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Tappeinerは語る、“ロボットという分野を、もっと一般的なものにしたい。どんな産業でもそうだと思うが、それが実験室から一般社会に大きく拡散して、非専門家でもアイデアやフィードバック等で貢献できるようになれば、それでやっと、一人前の産業と言える。2007年に、スマートフォンが大変身したように、ロボットも、そろそろそうなるべきだ。今やスマートフォンでは、専門のデベロッパーだけでなく、アーチストや化学の専門家など、いろんな人がアプリを作っている。そうなって初めてその産業は、爆発的に成長していくのだ”。

SDKは最初ベータでリリースし、いろんなフィードバックを得てから、消費者デベロッパーも対象とする最終リリースへ向かう。同じ期間にAnkiは、アプリの配布の形式も検討する。新たにアプリストアを作るべきか、それともiOSやAndroidなどの既存のアプリストアを利用すべきか、など。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))