DataStaxがCassandraデータベースのためのKubernetesオペレーターをローンチ

米国時間3月31日、オープンソースのApache Cassandraプロジェクトを支える商用企業DataStaxが、データベースのクラウドネイティブバージョンを動かすために同社が開発したKubernetesオペレーターをオープンソースで発表した。

DataStaxの最高戦略責任者である Sam Ramji(サム・ラムジ)氏が2019年にGoogleから来て最初に取り組んだのが、KubernetesとCassandraに関して顧客、パートナー、コミュニティメンバーの動向をつかむことだったが、そこでわかったのはサポートが驚くほど限定的だったことだった。

一部の企業はKubernetesのサポートを自分たちで構築していたが、DataStaxには自社サポートと呼べるものがなかった。KubernetesはGoogleで生まれ、そして現在、DataStaxはコンテナ化を熱心に推進している。そこでラムジ氏は、顧客がKubernetesの利用を始めやすくするためのオペレーターがDataStaxにあるべきだと考えた。

「オプションとしてコミュニティに提供しているKubeオペレーターの特別な点は、オペレーターをCassandra向けに一般化して、どこでそれを実装しても使えるようにしたことだ」とラムジ氏はいう。

ラムジ氏によると、多くの企業が独自にKubernetesを運用している企業の多くは、それらは各社の固有の要求に向けて独自化されている。それはそれで結構だが、同社がCassandra上に構築しているため、幅広いユースケースにアピールできる一般的なバージョンを開発したいと考えていたという。

Kubernetesでは、オペレーターはDevOpsチームによるパッケージングの仕方、アプリケーションの管理とデプロイの仕方、それを正しく動かすために必要なインストラクションなどの指示を与える。DataStaxが今回作ったオペレーターは、Cassandraを幅広い前提条件で実行するために特別に作成ししたものだ。

Cassandraは強力なデータベースで、他のデータベースがダウンしても動き続ける。そこでAppleやeBay、Netflixなども主要なサービスを実行するために使っている。この新しいKubernetesの実装により、コンテナ化したアプリケーションとしてCassandraを動かしたいという人は誰でも利用できるようになり、Cassandraをモダンな開発領域へと押し上げられるようになる。

同社はまた、新型コロナウイルス(COVID-19)のためデータベースの利用が増えて苦労している技術者を助ける無料のヘルプサービスを発表した。彼らはそのプログラムを「Keep calm and Cassandra on(落ち着いて、Cassandraを動かそう)」と呼んでいる。Cassandraのようなシステムの稼働の維持を任されている技術者をサイトリライアビリティエンジニア(SREs、サイトの信頼性を維持するエンジニア)と呼ぶ。

ラムジ氏の説明によると「この新しいサービスは完全無料のSRE間のサポート通話だ。我々のSREたちは世界中どこからのApache Cassandraユーザーからの電話に対応する。需要増に対応しようとしているCassandraのバージョンは何でもよい」という。

DataStaxは2010に創業され、PitchBookのデータによるとこれまで1億9000万ドル(約206億円)を調達している。

関連記事:DataStax Lands $106M In Series E Funding(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Apache Cassandraデータベースを商用提供してきたDataStaxが昨年のAurelius買収の成果によりグラフデータベースをメニューに加える

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DataStaxが昨年、グラフデータベースのAureliusを買収したときは、それは同社のDataStax Enterpriseプロダクトにグラフデータベースの機能を加えたいからだと思われたが、今日(米国時間4/12)同社はその目標を実現し、DataStax Enterprise Graphのリリースを発表した。

このエンタープライズグラフプロダクトはDataStax Enterpriseプロダクトセットに完全に統合され、これまでのキー・バリュー(key-value)、表形式、およびJSONドキュメントモデルに加え、初めてグラフオプションが顧客に提供される。

Kaiser PermanenteやCambridge Intelligence、Linkuriousなど10社による2か月の綿密なベータを経て同社は、このプロダクトをついに一般公開できることになった。この新しいグラフデータベースは、Aureliusが開発したオープンソースのグラフデータベースTitanがそのベースだ。

DataStax Enterprise Graphは複数のプロダクトで構成され、それらにはグラフデータベースを動かすDataStax Enterprise Server、管理部位DataStax OpsCenter、グラフを視覚化するDataStax Studio、多様な言語をサポートするDataStax Driver(s)などがある。

Graph visualization in DataStax studio.

グラフを視覚化するDataStax Studio(写真クレジット: DataStax

 

グラフデータベースはいくつかの点で、関係データベース(リレーショナルデータベース)と異なる。関係データベースでは複数の表のあいだの関係を定義し操作できるが、あまりにも複雑なデータや大量のデータになると、それらを十分な実用レベルで扱うことはできない。データ集合が大きくなり、さまざまなデータ間の関係が複雑になると、企業はそれらを無理なく表現し操作できる方法を求めるようになり、そこにグラフデータベースの出番がある。

いちばんよく知られているグラフデータベースは、FacebookのSocial Graphだろう。それは、あなた自身とあなたの友だちとの結びつきを表現する。このほか、たとえばAmazonのようなeコマースのサイトでは、ある製品とその関連製品の結びつきを表すために、この技術を利用している。Amazonで買い物をした人は、誰もがその機能を気に入るだろう。また医学の分野では、たとえば患者の症状とさまざまな疾病との結びつきを調べたり、クレジットカード会社は異常事と多様な犯罪的行為との関連を調べたりする。グラフ構造で表現するのがふさわしいデータ間の複雑な関係は、まだまだ、いろいろありえる。

DataStaxは社員が400名あまりいて、その実態はオープンソースのApache Cassandraデータベースのいわば商用部門だ。Cassandraへのコントリビューションも強力に行っており、また多様なサポートとより高度な機能を求める企業顧客向けには、そのエンタープライズバージョンをサポートしている。〔Cassandraのドキュメンテーションの多くがDataStax上にある。〕

同社は2010年にローンチし、これまでにおよそ1億9000万ドルを調達している。最近の資金調達は、2014年の1億600万ドルのラウンドだった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

企業がNoSQLデータベースを導入するためのプラットホームDataStaxが$45Mを調達, 狙いはApache Cassandraの育成

ハイパフォーマンスでスケーラブルなNoSQLデータベースのプラットホームを提供しているDataStax が、Scale Venture Partnersが率いるシリーズDのラウンドにより4500万ドルを調達した。Draper Fisher JurvetsonとNext World Capitalのほか、以前からの投資家たちもこのラウンドに参加した。

DataStaxはこの資金を、同社のデータベースディストリビューション(配布系)の基盤でもあるオープンソースのNoSQLデータベース実装Apache Cassandraの、さらなるグローバルな構築と、それへの投資に充てていく。今回の投資は同社のIPOを示唆するものでもあるが、CEOのBilly Bosworthによれば、どうなるかは市場の方向性次第だ、という。“IPOは弊社の既定路線だが、それは外部要因に依存するところも大きい。しかし内部的には、すでにその準備を開始している”。

今回の資金調達を機にDataStaxは、同社のデータベースソフトウェアのエンタプライズ向けとコミュニティエディションをバージョン3.1へアップデートし、データロード能力の強化と検索の高速化、およびユーザザビリティの改善を約束する。

2010年に創業されたDataStaxは、今ではApache Cassandraの主席コミッターで、その製品はパフォーマンスの高さとスケーラビリティで定評がある。しかしCassandraは比較的新しいため、それを独力で使えるところは少ない。しかし需要は増えているので、DataStaxはCassandraに大きな投資をしてコミュニティをより大きくし、プラットホームの用途も拡大したいと考えている。今回の投資ラウンドでもDataStaxはCassandraへの投資を続けて、ミートアップの開催数を増やすなどの取り組みを行う。とくに重視するのが、今後の拡張先と考えているアジアとラテンアメリカだ。

この投資のタイミングは、多くの企業が、関係データベースから今のデベロッパたちに人気のあるデータ集約的なNoSQL環境への移行を始めている時期と合致する。NoSQLデータベースは、関係データベースが一台の専用サーバの上で動いたのに対し、コンピューティングの多くがマルチテナントのクラウド上で行われる新しい時代に向いている。その市場はオープン性が高くて、IBMも、もっとも人気の高いNoSQLデータベース技術と思われる10GenMongoDBへと標準化している。〔関連記事。〕

一方、データベース市場の新しいアイデンティティの模索は続いている。NoSQLはスタートアップたちの寵児だが、まだ多くの企業は長年使い慣れた関係データベース上のトランザクションシステムを簡単には捨てきれない。でも、そういう従来的な企業も近頃はデータの生成量が多くなっているため、今後はDataStaxのお客さんが増える一方だ。またこの市場変動は、ハイブリッド型のデータベースにも機会を与えつつある。たとえばNoSQLのプロバイダであるFoundationDBは先週、NewSQL系のAkibanを買収して、NoSQLのスケーラブルなパフォーマンスに関係データベースのトランザクション指向の強みを妻合(めあ)わせようとしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))