Dropbox Businessが企業ユーザーのためのセキュリティを多面的に強化、ソフトウェア管理のオンプレミス並を目指してSymantecとパートナー

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最近のDropboxは、同社のDropbox Businessプロダクトに力を入れていて、今日は同社の企業向け製品を大企業によりアッピールするための広範なアップデートの一環として、セキュリティベンダSymantecとのパートナーシップを発表した。

Dropboxの企業プロダクト担当部長Rob Baesmanによると、今回アドミンツールをアップデートする理由は、ユーザーに一定のコントロール能力を提供するとともに、企業が今すでに使っているセキュリティツールを併用できるようにするためだ。しかも全体の使い勝手は、Dropboxの消費者製品並に使いやすいものでなければならない。

Dropboxがその企業用バージョンをローンチした2014年には、すでに消費者ユーザーが2億7500万いた。今では全ユーザー5億のうち、20万が企業顧客だ。もちろん企業プロダクトをローンチするときも、消費者間における人気をうまく利用するつもりだったのだが、しかし実際にはいろんな問題にぶつかった。

企業のIT部門の多くが、Dropboxの消費者製品はセキュリティに問題がある、と見ていた。彼らは、社員たちが自分個人のアカウントで会社の仕事をシェアすることを嫌った。一方社員たちは、会社にいないときにはもっと簡単に素早くファイルにアクセスしたい、と願っていた。モバイル化がどんどん進んでいる中で、楽に仕事をしたいという彼らの願望を非難するのは無理だ。

企業世界に商機あり、と見たDropboxは、Dropbox Businessを立ち上げた。今日(米国時間11/16)の発表はそのプロダクトのさらなる成熟を表すもので、とくに、パートナーシップとより高度な管理機能によって、Dropbox BusinessをITにとってより魅力的な製品にしようとしている。彼らIT部門が、会社におけるDropboxの利用を強力に制御し、管理するためのツールを、提供するのだ。

今のDropboxは30以上のセキュリティ関連パートナーシップを結んでおり、それらは、データ喪失防止(data loss prevention,DLP)や、エンタープライズモバイル管理(enterprise mobility management, EMM), アイデンティティとアクセスの管理、データの移行(マイグレーション)、eDiscoveryとアナリティクスなど、多岐にわたる。それらの中で今日とくにスポットライトを当てたのがSymantecで、Symantecの企業顧客担当VP Peter Doggartを講演者として招いたほどだ。

Symantecとのパートナーシップは、エンタプライズ顧客がDropbox Businessを安全に使えるようにするとともに、クラウド上のソフトウェアに対するコントロールを、これまでの自社のオンプレミスソフトウェアに対するのと同じぐらいに厳しくするためだ。“長年オンプレミスのDLPを使ってきた顧客は、それとまったく同じポリシーをDropboxに対して適用して、クラウド/オンプレミスの統合を真に強力かつ堅牢にしたいのだ”、とDoggartは説明する。

また、Dropbox自身のネットワークアドミンツールも強化され、企業のネットワークの上でDropboxの企業トラフィックと個人トラフィックを厳密に区別し、管理できるようになった。また、社員による公私混用を認めない企業では、そういう設定もできる。

このようにDropboxは、企業のIT部門の心をつかもうと努力している。20万社の企業顧客は、数として多いように見えるが、しかし5億の消費者ユーザーに比べると大海の一滴だ。今日のようなセキュリティ強化策の発表は、同社が企業分野でのプレゼンスを、もっともっと大きくしていきたいという、願いと努力の表れだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Dropboxがクラウド上のファイルを(クラウドにあるままで)ローカルファイルと同列に扱えるサービスProject Infiniteを発表

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Dropboxの、というかすべてのクラウドストレージの問題点は、ローカルドライブ上におけるクラウドストレージのビューの実装だ。ローカルのファイル管理ツールでクラウドのファイルシステムにアクセスしたければ、それが自分のドライブ上に文字通り保存されていなければならない。これではそもそも、ストレージがクラウドにあるという考えそのものが裏切られる。ハードディスクの容量が小さい人は、物理的にも困る。

あるいは、Dropbox.comを開いて別のインタフェイスでファイルにアクセスする方法もあるが、これはほとんどの人が嫌いだ。

Dropboxは、この状況を変えようとしている。

今日(米国時間4/26)ロンドンで行われたDropbox Openカンファレンスで同社は、ファイルがどこにあっても(クラウド、ネットワークドライブ、ローカルドライブ、等)、それらにローカルアクセスできるProject Infiniteと名付けたシステムを、企業顧客向けに発表した。つまり、WindowsのExplorerやOSXのFinderを開くと、Dropboxのすべてのファイルにまるでローカルファイルのようにアクセスできるが、ファイルはユーザーのドライブに保存する必要がない。

Project InfiniteのドライブInfinite Driveは、従来のローカルファイルシステムと同じくシステム全体を視野とするが、ファイルがクラウドにあればクラウドのアイコンが付き、ユーザーのハードディスク上にあってクラウド上にバックアップがあれば、グリーンのチェックマークが付く(下図)。こうして、クラウド上のファイルをローカルファイルのように管理できるが、ユーザーのドライブ上のスペースは専有しない。これまでとは、大きな違いだ。

Dropbox Project Infinite in Mac Finder.

写真提供: Dropbox.

 

Project Infiniteは実際にはinfinite(無限)ではないが、でもユーザーの物理ドライブとDropboxのクラウドストレージの両方をシームレスにカバーする層を提供する。自分のハードディスクに収まりきれないほど大量のコンテンツがあれば、それらをクラウド上のフォルダに入れておいて、必要なものだけをダウンロードすればよい。それでも、そのフォルダの構造は無傷で維持される。ファイルそのものは、ローカルでもDropboxでも、どこにあってもよいのだから。

Dropboxによる今日のProject Infiniteのプレビューの発表では、一般公開の日程が明言されなかった。ぼくと同様、いいなぁと思った読者も、しばし待たなければならない。したがって料金についてもまだ不明だし、最終的には消費者にも可利用になるのか、その点も不明だ。

プレビューではなく、一般公開バージョンが出るころには、これらの疑問への答も提供されるだろう。Dropboxがクラウドストレージの大きな問題のひとつを解決したことは確かだし、それは、そろそろ出てもよいタイミングだった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Dropbox for Businessにエンタープライズ向けの新機能―2段階認証、Active Directory連携など

2015-06-05-dropboxforbusiness

今日(米国時間6/4)、Dropboxはエンタープライズ向けの新機能をいくつか追加したことを発表した。主として大企業ユーザーのDropbox for Businessに対する信頼感を高めるのが狙いだ。

Dropboxはエンタープライズ・ユーザーの獲得に苦闘してきた。たしかにDropbox for Businessのユーザー数はかなり増えており、同社によれば10万社以上で、MITやHard Rock Cafeなどの著名な組織が含まれるという。しかしライバルのBoxやEgnyteは早くからエンタープライズ分野に進出していた。Dropboxがエンタープライズ市場に参入するのは遅かったが、たゆまずビジネス向けツールの整備を進めている。

2週間ほど前にビジネス・ツール開発の責任者、Ilya Fushmanを失ったのはDropboxにとっては痛手だっただろう。FushmanはIndex Venturesに加わった。この1年Fushmanの右腕を務めてきたRob Baesmanが新しい責任者となる。

さて、今日Dropboxが発表した新機能は次のようなものだ。

特に目を引くのは2段階認証のサポートだ。セキュリティーの確保に神経を尖らせる大企業は、ユーザーのファイル・アクセスに2段階認証を強制することができるようになった。認証に失敗した場合、再認証の手順は自動的に案内される。システム管理のレイヤーは3段階になった。Baesmanによれば、多くの大企業が採用している管理方式にならったものだという。

また既存のフォルダーの共有管理が改良された。これまでこの点がやりにくいとしてユーザーから改善の要望が出ていた。Dropbox for Businessにデータ漏洩防止(DLP)やデジタル著作権管理(DRM)ツールをプラグインとして提供しているベンダーにとってはことに朗報だ。

共有フォルダーAPIは共有管理を直接かつ自動的に実行できるので管理者の手間を大いに減らす。たとえばDLPツールの場合、ユーザーが内規に違反して、たとえば社会保障番号などを共有しようとした場合、ツールが自動的にそのファイルアクセスをブロックできる。

さらにMicrosoftのActive Directoryへのコネクターが追加され、ユーザーはAPIを利用してActive Directoryにアクセスことができるようになった。これはActive Directoryを利用してユーザー認証を行っている大企業がDropbox for Businessを利用する際の導入作業を大幅に効率化する。

これらはいずれも単独では驚天動地の新機能というわけではないが、Dropbox for Businessが全体として着実に進化を続けていることの証左となるだろう。Dropboxはアップデートのたびに新たなAPIなどのツールを通じて、多くの大企業が利用しているさまざまな社内システムへの適合性を高めている。Dropobx for Businessは企業にとって魅力的な選択肢になりつつある。

Featured Image: Ian Lamont/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Dropbox For Businessから強力なエンタープライズ向けAPIリリースへ―Boxとの競争激化

Dropboxにはコンシューマー向けサービスのイメージが強く、またh本格的なエンタープライズ向けセキュリティー機能を欠くために企業向けのDropbox For Businessの普及が遅れていた。しかしTechCrunchが入手した情報によれば、Dropboxはエンタープライズ向けの強力なツールとなるDropbox For Business APIをリリースするという。これによってこの市場の状況は一変する可能性がある。

明日(米国時間12/3)、正式発表予定(ただしこのリークの影響で時間が前後する可能性あり)のDropbox For Business APIを用いると、エンタープライズ・ユーザーはDropboxにサードパーティーのセキュリティーやコンプライアンス・ツールを接続することができる。また独自のDropbox For Business (DfB)向けアプリを開発することも可能となる。Dropboxは Microsoft、Dell、IBMを始め多くのエンタープライズ向けツールのベンダーと提携し、ローンチの時点でDfB APIはそれらのベンダーの主要なプロダクトをサポートするという。

われわれの問い合わせに対してDropboxからの回答はまだない。

Dropboxはエンタープライズ向けに必要とされる機能をすべて自製するのは時間がかかりすぎると判断したようだ。特に、Boxは何年も前から広汎なエンプライズ向け機能を備えたプラットフォームを構築している。Dropboxは1年前にエンプライズ向けサービスとしてDropbox For Businessをリリースしたが、これまえはサードパーティーとの連携がなかった。今回のAPIでDropbox For Businessのユーザーはセキュリティーを始め、これまで欠けていた機能をすばやく補えることになった。フル機能のエンタープライズ向けクラウドサービスに乗り換えずにすむわけだ。大企業ユーザーのDropbox利用形態を一変させる賢明な動きといえるだろう。

なぜDropbox For BusinessにAPIが必要だったのか?

コンシューマー向けDropboxには、写真の同期から高度なファイル検索まで連携アプリがすでに10万種類もある。これらTDropboxの3億人のユーザーを大いに助けている。

しかしエンタープライズ向けサービスで必要とされる機能はコンシューマー向けとは大きく異る。そこでDropboxは企業向けに別個のサービスとしてDropbox For Business(DfB)を4月に一般公開した。 これにはIT部門が監査ログを共有し、誰が何を閲覧したかを正確にチェックし、一部のファイルにアクセス制限をかけたり、社員が辞めたりデバイスが盗難に遭ったりした場合、リモートでファイルを削除するなどの機能が含まれている。

DfBはSalesforce、Slack、Asana、Trello、Yahooそして最近ではMicrosoft Officeとも提携して、これらのエンタープライズ・サービスからDropboxのファイルに容易にアクセスできるようにしている。

しかし本格的なエンタープライズ・ツールとなるためには、こうした提携はまだまだ序の口に過ぎない。必要な機能は数多く、Dropboxがすべてを内製しようとすれば何年もかかる。そこでAPIを公開し、サードパーティーの力を借りることで大幅な時間短縮を図ったわけだ。

DfB APIの機能

Dropbox For Business APIはDfBと多数のサードパーティーのエンタープライズ・ツールを接続する。

  • データ漏えい防止 – 個人が特定可能な情報、給与情報のエクスポートを禁じる
  • データ・マイグレーション – ビッグデータのバックアップ、統合を助ける
  • 知的所有権管理 – 業界標準や当局の規則に基づいてデータを暗号化して管理する
  • 個人認証 – DfBへの社員のアクセスについてログインと認証管理を行う
  • 法務管理 – 後日の法的紛争の際に必要となるデータを証拠能力のある形で安全に保存する
  • セキュリティー情報及びイベント管理(Security Information And Event Management =SIEM)– 社員のアクティビティ監査ログ

DfBユーザーはまたAPIを利用してスクラッチで独自のアプリを開発することもできる。

われわれが入手した情報によると、Dropbox For Business APIはローンチ時点でMicrosoft Azure AD、Dell Data Protection、IBM WebSphere Cast Iron、Okta, Domo、Splunk、Meldium、nCrypted Cloud、Mover.io、SkySync、Ping Identity、CloudLock、Centrify、Sookasa、CirroSecureの各サービスをサポートするという。Dropboxは今後APIを拡充し、パートナーも拡大していくことになるだろう。

Dropbox For Businessの料金は、現行の一人あたり月15ドルから変更はない見込みだ。これはBoxのビジネス・ユーザー向け料金同額だ。

孤立した SAASは存在し得ない

今回のAPIのローンチで、DropboxはBoxの手強いライバルとなりそうだ。しかしBoxのCEO、Aaron Levieは私の取材に対して、「われわれがプラットフォームと言うときは単にエンタープライズ向けセキュリティーだけでなく、きわめて広汎な機能を意味している」と語り、エンタープライズの業務フローのサポートも重要な要素だと例を挙げた。Dropboxはこの面でもBoxに追いつく努力をしなければならないだろう。

しかしエンタープライズ向けクラウド・プラットフォームはまだスタートしたばかりの市場だ。ITのコンシューマー化、私用デバイスの業務利用、ボトムアップの分散モデルなどはエンタープライズITの形態を根本的に変えつつある。Levieは「社内でセキュリティーを完結させるというモデルは過去のものだ」と述べた。どんな大企業でもゼロからすべての機能を自製することは不可能だ。成功したければ企業はサードパーティーのツールの適切な利用法を学ばねばならない。

Levieは「この数年のうちにエンタープライズ・プラットフォームのエコシステムが劇的に発達するだろう。大企業もサービスのベンダーも、このテクノロジーの進歩に対応してマインドセット自体を変えていかねばならない」と語った。

Dropboxが1年ほど前からやっきになってビジネス・ユーザーへの対応を図ってきたのも当然といえる。エンタープライズITの環境の激変はその波にうまく乗れたものに対して巨額の売上を約束するものだからだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


Dropboxのユーザーが2億人―新しいビジネス・クライアントを発表してエンタープライズ市場に本格参入へ

今日(米国時間11/13)、DropboxのCEO、Drew Houstonはユーザー数が7月の1億7500万から2億にまで増加したことを明らかにした。またユーザー個人のプライベートなファイルと業務で使用するファイルを単一のインタフェースか利用できるDropbox For Businessという新サービスを発表した。

新プロダクトはDropboxが個人ユーザー向けの便利なツールであるだけでなく、共有範囲の制限やモニタ機能など強固なセキュリティーを提供することによって本格的なエンタープライズ・サービスであることをアピールするものだ。Dropboxにはすでに400万のビジネス・ユーザーがおり、Fortune500の大企業の97%がユーザーであるという。

今回のプレス発表はビジネス・ユーザー志向だったが、前回のイベントはデベロッパー向けのプロダクトのリリースが中心だった。この際、2012年の11月に1億人だったユーザーが1億7500万に増加したことを発表した。このイベントでローンチされたDatastore APIはアプリのデベロッパーがメタデータ(ゲームのユーザーがクリアしたステージの数など)をクラウドに保存することを可能にした。またサードパーティーのアプリがユーザーのDropboxファイルにアクセスできるようにするDrop-Ins APIも発表された。

業務とプライベートの使い分けが面倒だった

Houstonは今日のイベントでDropboxをスタートさせるきっかけとなった出来事を語った。ある日、Houstonバスの中で仕事をしようとしてUSBドライブを忘れてきたことに気づいた。そこでUSBドライブを持ち歩くのを忘れないようにしたり、バックアップのためにファイルのコピーを取ったりする作業がいかに多いかに気づいたという

続いてHoustonはファッション企業のBCBGのCIO、Nader Karimiを壇上に呼び出し、Dropboxなしにデータを管理するのがいかに難しいかを説明させた。Karimiは法的文書を確実に共有するためにDropboxを利用する方法について詳しく語った。

Houstonは続いて、個人的な文書と業務上の文書を同一のユーザーが管理する場合のわずわらしさについて述べた。当初Dropboxではそういう場合には簡単にアカウントを切り替える機能を提供すればよいと考えていた。しかしアカウントの切り替えに15秒かかるとすれば、2億人のユーザーが1回アカウントを切り替えるだけで1000年分の時間がサーバー上で消費されてしまう。

「これまではユーザーは個人ユースのDropboxと業務ユースのDropboxを使い分けていた。これは馬鹿げている。一つのクライアントでどちらも処理できるようにするべきだ。しかしそうするにはDropboxを事実上、一から作り直す必要があった。しかし考えてみれば、われわれのところには世界的にトップクラスの人材がいる。それならやらせてみようじゃないか。そして今日、まったく新しいDropboxfor Businessを発表することできて大いに興奮している。われわれはすべてを作り直した」とHoustonは述べた。

Dropbox For Business

この新しいDropbox For Businessのユーザー・クライアントは来年早々に公開予定だ。現在すでに企業の早期予約を受け付けている。料金については5ユーザーあたり年間795ドル、追加1ユーザーごとに年間125ドルという現行体系を変更するという発表はなかった。

Dropbox For Businessを利用すると、ユーザーはプライベートなファイルのタブと業務用のファイルのタブを同じウィンドウで見ることができる。ユーザーがビジネス・アカウントとプライベートで使う個人アカウントを持っている場合、この新しいクライアントを使ってそれらを統合することができる。HoustonとCTOのArashFerdowsiはブログ記事で「いってみれば職場の鍵と家の鍵を同じキーリングにつけて持ち歩けるようになったわけだ」と説明している。

新しい通知バーはプライベートと業務の両方のアラート受け取るようにも、一方だけを選んで受け取るようにも設定できる。モバイル版のビジネス版Dropboxもウェブ版と一貫性を保つようアップデートされた。デベロッパー向けにはChooserとSaver APIが新設され、サードパーティー・アプリ内から両方のカテゴリーのファイルにアクセスができるようになっている。

また今回のアップデートではCIOとIT部門がDropboxの利用を厳密に管理できる能力が追加された。新しい共有監査ログを利用すると管理者はどのファイルを誰がいつ誰と共有したかを詳細にモニタできる。セキュリティ上の必要に応じて、特定のファイルの共有範囲を制限したり禁止したりできる。また従業員が個人のプライベートなファイルに会社のコンピュータからアクセスするのを禁止することもできる。

さらにもうひとつ管理機能にアカウント移動ツールが加わった。このAccount Transferを利用すると、社員が退職したり別組織に異動した場合に簡単にアクセスを取り消すことができる。また管理者は後任の社員を選んで、前任者のすべてのファイルを託すこともできる。 Remote Wipeはデバイスが盗難にあったり社員が退職したりした場合にデバイス上のデータを確実に消去する。

現在のDropboxに欠けているのは他のサービスで提供されているような共同作業のためのツールだが、モバイルおよびビジネス・プロダクトの責任者のIlyaFushmanは「われわれはまさにその点をロードマップに載せている」として現在対応中であると述べた。

Dropboxのエンタープライズ版のライバルはMicrosoft、Google、Boxなどだが、今日はAmazonが新しいWorkSpacesというバーチャル・デスクトップで新たに参入してきた。これまでDropboxには消費者向けプロダクトというイメージが強かった。しかし今日のDropbox For Businessの発表で、セキュリティーや共有範囲の厳密なコントロールなどエンタープライズ利用に必須の機能が整備された。

エンタープライズ・クラウド市場における主導権争いはますます興味深くなったといえるだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+