オーダースーツなどD2Cブランド展開のFABRIC TOKYOが13.5億円調達、商品開発とテクノロジー投資強化

オーダースーツなどD2Cブランド展開のFABRIC TOKYOが13.5億円調達、商品開発とテクノロジー投資強化

オーダースーツなどのD2Cブランドを展開するFABRIC TOKYO(ファブリック トウキョウ)は12月14日、新たな資金調達ラウンドにおいて、約13.5億円のファーストクローズを完了したと発表した。今回の資金調達はコンバーティブル・エクイティ(CE、J-KISS型新株予約権)発行やデットファイナンスなどを活用し実行。2021年に同ラウンドのセカンドクローズを実施する予定。

引受先は、新規株主としてD2C&Co.、ポーラ・オルビスホールディングス、千葉道場ファンド、Takram、複数の事業会社。またエンジェル投資家として、小泉文明氏(メルカリ会長)、児玉昇司氏(ラクサス創業者)、富島寛氏(メルカリ創業者)およびその他個人投資家。

調達した資金は、商品企画・開発およびテクノロジーへの投資に主に充てる予定。事業の提供価値をより一層強化し、顧客及び取引先工場へ還元していく。

FABRIC TOKYO」は、「Fit Your Life」をブランドコンセプトに、体型だけでなく、顧客それぞれの価値観やライフスタイルにフィットする、オーダーメイドのビジネスウェアを提供するD2Cブランド。

一度来店し、店舗で採寸した体型データがクラウドに保存することで、以降はオンラインからオーダーメイドの1着を気軽に注文できる。リアル店舗も自社で展開し、関東・関西・名古屋・福岡の合計14店舗を運営中。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達(用語)D2C(用語)ファッション(用語)FABRIC TOKYO日本(国・地域)

FABRIC TOKYOがオーダーメイド洋服のサポートをサブスクサービスとして提供開始

オーダースーツなどのD2Cブランドを展開するFABRIC TOKYO(ファブリック トウキョウ)は9月26日、月額制サポートのサブスクリプションサービス「FABRIC TOKYO 100(ハンドレッド)」の提供を開始した。

同日、東京・渋谷で行われた新事業戦略発表会で、FABRIC TOKYO代表取締役CEOの森雄一郎氏は「D2Cは世界の潮流」とした上で、「D2Cの先には小売のサービス化、モノを売るだけでなく、サービスを付加価値として提供するRetail as a Service(RaaS)がある」と述べ、FABRIC TOKYOとして3つの領域でRaaSに取り組んでいく考えを示した。

RaaS取り組みの1つ目が冒頭で紹介したサブスクリプションサービス、FABRIC TOKYO 100のリリースだ。同社が展開する「FABRIC TOKYO」は、店舗で採寸してもらってデータを登録しておくと、必要なときにマイページから欲しいスーツやシャツが注文できるというD2Cのオーダーメイドスーツブランドなのだが、そのオーダー商品に関するユーザーの悩みに応えるサポートサービスを、月額398円(税込)で提供する。

従来も、FABRIC TOKYOで注文した商品を受け取ってから、50日間は無料で1回まで作り直すサイズフィット保証が用意されていたが、FABRIC TOKYO 100を利用することで作り直し期間が100日間に延長される。また、体型の変化によるサイズ直しについては、作り直しにならない範囲で何度でも対応。スーツ購入後にありがちな「先にスラックスだけが擦れたり破れたりして、上下で着られなくなる」という悩みにも対応し、補修用スラックスの生地を最大2年間保管し、生地代は無料、仕立代のみでスラックスを購入することができる。

さらに10月以降、順次サービスを拡充し、日々の着こなしのサポートやクリーニング・保管サポートなどもサブスクリプションサービスとして提供していくということだ。

RaaS取り組みの2つ目は、「スマートファクトリー」のプロデュースだ。アパレル事業所数が減少し続け、IT化したくてもノウハウがなく、設備投資ができない縫製工場の現況に触れ、森氏は「日本の繊維業にはスマート化が必要」と述べる。FABRIC TOKYOでは、デジタルトランスフォーメーションを進め、IoTをフル活用したスマートファクトリーを実現すべく実証実験を行っているとのこと。第1弾として10月にIT化、データ可視化をした工場を西日本のとある場所で実際に稼働させるという。

また、11月には製造プロセスを顧客に見える化し、オーダー中の商品が今どの工程にあるか、メールやアプリのプッシュ通知で知らせるといった実証実験を開始。2020年には、これらの仕組みをパッケージ化してノウハウを他工場に展開するB2Bビジネスもスタートさせるもくろみだ。

IoT活用では、12月に「FABRIC TOKYO TOUCH」(仮称)の実証実験開始も予定しているという。これは「洋服が情報を持ち、インターネットにつながる」という“コネクテッドアパレル”構想のもと、サイズや着こなし、手入れなどの情報を洋服にタグなどの形で持たせようという試みだ。

RaaS取り組みの3つ目は、サーキュラーエコノミーに関するもの。世界では毎年9200万トンの服が廃棄されており、日本でも年間100万トン、33億着に及ぶ服がアパレル業界から廃棄されているという現状がある。FABRIC TOKYOは不要な洋服を顧客から回収し、日本環境設計との提携により、再生生地を生成。「服から服を作る」ことで従来廃棄されていた洋服を循環させる事業を行っていくという。

洋服の回収は、9月26日からFABRIC TOKYOの全店舗で開始、ユーザーにはオーダーの際に使えるポイントをプレゼントする。他社製の洋服でも引き取るということだ。同社では、2020年には再生ポリエステルで作られた商品のリリースを開始。2021年にはすべての梱包資材を循環型素材に切り替えるなどして、2023年以降、すべての洋服をサステナブル素材にする計画だ。

発表会には、今年5月にFABRIC TOKYOと資本業務提携を行った丸井グループ代表取締役社長CEOの青井浩氏も登場した。「デジタル・ネイティブ・ストア」戦略を掲げる丸井グループの青井氏は「オンライン化が大手企業中心で進む小売業で、一極集中は便利な面もあるが面白くない」と述べ、「個性ある、ユニークなサービスが提供される多様で豊かな世界の方が望ましい。それを実現できるとしたら、それはD2Cではないか。D2Cのエコシステムを作るべく、店舗という場に加えて、データや決済、人材交流、工場や生産管理のノウハウ、取引先を引き合わせることも含め、資本だけでなくFABRIC TOKYOのような企業をサポートしていく」と語った。

「EC対小売、という構図の戦いはもう終わっている。一般消費者にとって、いまやオンラインとオフラインを分けることはできない。買い物にあたっては誰もがオンラインもオフラインも駆使しているし、最終的な購入に関しては、オンラインの方が便利だったりもする。双方が融合しているのにビジネスとして2つを分けるのは不可能だ。どう融合させたビジネスモデルを作れるかが、これから鍵となる」(青井氏)

また森氏は「D2Cは小売業のスタンダードな手法になっていく」として、D2CカンパニーとしてのFABRIC TOKYOが「トップランナーとして主体的に小売業界を盛り上げ、楽しい業界になるよう、これからもエコシステムに貢献していきたい」と語っていた。

FABRIC TOKYO代表取締役CEO 森雄一郎氏

オーダースーツD2C「FABRIC TOKYO」が3Dスキャン採寸の新ブランド「STAMP」を公開

オーダーメイドスーツなどのD2Cブランドを展開するFABRIC TOKYOは9月11日、招待制の新ブランド「STAMP」のティザーサイトを公開した。

STAMPは同社が運営するビジネススーツやシャツのD2Cブランド「FABRIC TOKYO」よりカジュアルなアイテムを扱う、カスタムオーダーのD2Cブランドだ。クリエイティブ・ワーカーが対象というSTAMPでは、当初、デニム製品から取り扱いを始める。ユニセックス展開でメンズ、レディースともに扱うということだ。

従来ブランドのFABRIC TOKYOでは、店舗で採寸してもらってデータを登録しておくと、必要なときにマイページから欲しいスーツやシャツが注文できるのだが、STAMPは、より“テクノロジーをフル活用した”発注スタイルを採用。無人店舗で、3Dスキャンによる採寸を行い、服を注文できるという。

FABRIC TOKYOは新ブランド立ち上げに合わせて、9月13日から29日までの期間限定で、招待制のポップアップストアを新宿マルイ本館内に開設する。ティザーサイトでメールアドレスと名前を登録して申し込むと、ポップアップストアへの招待状が順次届くので、店舗に赴き、サイズを計測。後日、計測サイズに基づき、カスタムオーダーデニムが届く、というのが注文の一連の流れになる。

FABRIC TOKYO代表取締役の森雄一郎氏によれば、今後、招待枠を徐々に広げていき、反響を見ながらリアル常設店の出店も拡大していくという。

計測データはFABRIC TOKYOとは別のデータベースに保存され、現時点では互いのブランドでの転用は考慮されていないが、森氏は「将来的にはデータ連携を見据えている」と話している。

3Dスキャンの技術について森氏は「たった数秒で全身のサイズの数万点をスキャンし、高い精度を実現している」と述べる。テクノロジーは、海外のスタートアップと共同開発したもので、「採寸の精度に関しては2年近くの試行錯誤を経て、受注生産型オーダーメイドのフィット感・満足度を担保できるレベルまで高めることができた」とのことだ。

またユーザー体験としては、FABRIC TOKYOと同様、STAMPでも店舗型にこだわるという森氏。「立ち寄れる手軽さとリアルを介すことの安心感を用意した。テクノロジーを利用していて新しいけれど、手軽さと安心感を感じるUXの実験だ」と述べている。

計測データを使ったカスタムオーダーのD2Cブランドといえば、今日ヤフーによる株式公開買い付け実施が明らかになった、ZOZOが思い浮かぶところ。ZOZOスーツと自分のスマホアプリを使ったスキャンでは、私も立ち位置の調整やエラーで何度かやり直しさせられた経験があるので、店でサクッと計測できるのであれば、買い物のついでに出向くのも悪くないな、と感じる。

同社は今年5月に丸井グループからの資金調達を発表している。8月にFABRIC TOKYOブランドで実施した「女性のためのメンズオーダースーツ採寸イベント」では1週間の予約枠がスタート前に埋まり、キャンセル待ちが出るほど反響があったそうだ。

オーダースーツをオンラインで作れる「FABRIC TOKYO」が丸井グループから資金調達

採寸データを一度保存すれば、オーダースーツやシャツをオンラインで簡単につくることができる、D2Cブランド「FABRIC TOKYO」。サービスを運営するFABRIC TOKYO(旧社名ライフスタイルデザイン)は5月23日、丸井グループから資金調達を実施したことを明らかにした。調達金額は非公開だが、10億円規模と見られる。今回の資金調達により、FABRIC TOKYOの設立以来の累計資金調達金額は20億円超となる。

FABRIC TOKYOでは、2014年に現在のサービスの前身となる「LaFabric」をローンチした。当初はオンライン上でいくつかの質問に答えると、適切なサイズが提案され、そのまま購入できるサービスとしてスタート。その後、首都圏と大阪に展開する全10店舗でいったん採寸してデータを登録し、必要になったときにマイページから欲しいスーツやシャツを注文するスタイルに変わっている。ユーザーが改めてサイズに迷うことなく、オンラインでも簡単に体に合う洋服が手に入るというのが、FABRIC TOKYOのウリだ。

FABRIC TOKYOでは、自社企画商品を自社のみで販売するD2C(Direct to Consumer)モデルを採用。オーダー情報は提携する国内の縫製工場へ即時に送信される。中間流通を通さず、受注生産型で工場と直接取引することで、高品質かつ適正価格を実現しているという。

5月21日には新機能「自動サイズマッチングテクノロジー」をリリースした。この機能を使った商品の第1弾として、採寸データをもとに自動的に“いい感じ”のサイズのポロシャツが提案される「POLO SHIRT 2019」を販売開始している。

製品は、クールビズの浸透によりポロシャツ着用ができるオフィスが増えていることから、「ビジネスシーンでもきちんと感があること」「洗濯に強くタフに着回せること」を条件にポロシャツを選びたいというユーザーの声に応えてできたものだ。

XS〜3XLと全7種類のサイズの中から、ユーザーのデータにぴったり合うサイズが自動で提案され、2種類の着丈、2種類のフィット感が選択可能。合計28のサイズラインアップ、4色から自分に合ったポロシャツをオンラインで買うことができる。

今回株主となった丸井グループは「デジタル・ネイティブ・ストア」戦略を掲げており、FABRIC TOKYOが運営するD2Cブランドの成長戦略の方向性が一致したことで出資につながった、とFABRIC TOKYO代表取締役の森雄一郎氏は述べている。

これまでにもFABRIC TOKYOの全10店舗のうち3店舗(新宿、渋谷、池袋)が、丸井グループが運営するビルに出店しており、「いずれも業績は好調で全店舗黒字化し、初期出店コストも回収済みとなっている」(森氏)とのこと。「業績は成長基調にあり、昨期(2018年12月期)の売上は前年対比約300%で着地し、今期の目標も同等としている」(森氏)

森氏は「デジタル前提社会において小売を再定義する必要があるとの思いで活動している中で、先進的な取り組みを多数行ってきた丸井グループとは相性の良さを感じている。今後はリアル店舗の出店を強化していくとともに、マーケティングや生産面・組織面での連携を行いながらD2Cブランドの運営ノウハウを双方で蓄積し、FABRIC TOKYOを国内でも有数のアパレルブランドへと成長させていく」と資本業務提携にのぞみ、コメントしている。

FABRIC TOKYOでは、首都圏中心に展開してきた店舗について、2019年4月の大阪進出を皮切りに、今年は全国網羅的に展開していく計画だという。

FABRIC TOKYOは2012年4月の設立。2018年3月に社名をライフスタイルデザインからFABRIC TOKYOへ変更している。同社はこれまでに、2015年5月にニッセイ・キャピタルから1億円を調達、2017年1月にニッセイ・キャピタルほか複数のVCと個人投資家らから4億円を調達2017年10月にはグロービス・キャピタル・パートナーズ、ニッセイ・キャピタル、Spiral Ventures Japanから7.4億円を資金調達している。