SpaceX、再利用したFalcon 9の2度目の回収に成功

SpaceXは今日の歴史的宇宙飛行でもう一つの重大任務を完了した。Falcon 9ロケットを浮遊ドローン船で回収することに成功した。これが大きな偉業である理由は、以前にも同じロケット同じドローン船で同じことをしているからだ。Falcon 9は昨年4月の国際宇宙ステーションの補給ミッションで打ち上げおよび回収に成功している。

今回のFalcon 9回収は,SpaceXが打ち上げにロケットの再利用に成功しただけでなく、ストレス試験と評価をした後にもう一度再利用できる可能性があることを意味している。

「今日は宇宙業界にとっても、宇宙全体にとっても驚くべき日だ」と回収直後のインタビューでElon Muskが語った。「軌道に乗るロケット繰り返し飛ばすことができる。打ち上げロケットは宇宙飛行でもっとも高価な部品だ」。

「ここまで来るのに15年かかった。いくつもの困難を乗り越えてきた」とMuskは付け加えた。「この驚くべき偉業を成し遂げたSpaceXチームをただただ誇りに思う」。

Muckは彼自身が従来行ってきたロケット飛行との違いを繰り返し強調した。打ち上げるたびにブースターロケットを捨ててしまうのは、フライトのたびに飛行機を捨てるようなものだという。もちろん、それはあり得ないことでありそこが彼の要点だ。ロケットを再利用することで宇宙旅行のコストを劇的に下げることができる。SpaceXの究極の目標はビジネスに成功するだけでなく、人間を「多惑星種」にすることだ。

この偉業の大きさはいくら強調してもたりないが、やるべき仕事はまだ山ほどある。SpaceXのゴールはロケットを〈同じ日〉に再打ち上げすることだ。これは明らかにスケールの違う挑戦だ。それでも今日証明されたことが一つある。確実にそこに近づいている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceX、軌道ロケットFalcon 9の再打ち上げに初めて成功

SpaceXは、同社のロケットFalcon 9の再打ち上げに初めて成功した。地球周回軌道に乗るロケットを再利用した世界初の快挙だ。この実績は、ロケット打ち上げを低価格にして企業や政府機関が利用しやすくする、というSpaceXの長期事業計画にとって極めて重要な意味を持つ。宇宙飛行の経済を根本から変えることで野心的プロジェクトを推進し、最終的には火星旅行を目指す。

このロケットが最初に使用されたのは昨年のことで、Falcon 9ロケットを海上に浮かぶSpaceXの無人ドローン船に軟着陸させることに成功した。国際宇宙ステーションに物資を補給するCRS-8ミッションの一環として昨年4月に実行された。それ以来SpaceXは再飛行の実現に向けてテストを重ねてきた。

「我々は火星への片道旅行をめざしているのではない。必ず帰ってこられることを約束したいと思っている」とSpaceXの社長、Gwen Shotwellが発射前のインタビューで語った。「それはロケットシステムの再利用が必要であることを意味している」。究極的には着陸した同じ日に再打ち上げできることが目標だと彼女は言い、今回使用したFalcon 9ロケットは再利用するための改修に4か月を要したことを付け加えた。

再利用可能なロケットを作ることも、それをすぐに再利用できるようにすることも、商用宇宙飛行市場への道を大きく広げる鍵だとSpaceXは言う。

この歴史的快挙を成し遂げたSES-10ミッションは、顧客である人工衛星運営企業のSESのために通信衛星を打ち上げることが目的だった。SpaceXにとってSESのための任務はこれが3度目で、SESにとっては軌道に乗せた11個目の人工衛星だ。この衛星は静止衛星と呼ばれ、ロケットによって最終配置地点に置かれたあとは、地球軌道上の固定位置に静止し続ける。

SES-10人工衛星は6:59 pm EDTに無事配置された。これは費用を負担する顧客を含めてミッション全体が成功を収めたことを意味する。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceX、Falcon 9ロケット第一段の垂直着陸に成功

spacex-crs-10-4

今日のSpaceXミッションはあらゆる点で成功だった。打ち上げに成功したDragonロケットは国際宇宙ステーションに向かっている。SpaceXは、Falcon 9ロケット第1段をケープカナベラルに着陸させることにも成功した。

天候は曇りだったが、SpaceXの打ち上げを妨げるほどではなかったようだ。東海岸時刻午前9時39分、Falcon 9はケネディー宇宙センター39A複合発射施設を飛び立った。

耳慣れない名前かもしれないが、アポロ11号ミッションはこの発射施設を使って1969年に初めて人間を月に送り込んだ。今回この発射施設を使うのは2011年にスペースシャトルを打ち上げて以来だ。

spacex-crs-10-2

発射から2分半経過後、Falcon 9ロケット第2段は第1段を切り離した。第1段は地球への帰路につき、一方第2段はDragon宇宙船を乗せて飛行を続けている。

spacex-crs-10-3

そして最初の打ち上げから8分後、第1段ロケットはケープカナベラルに無事着陸した。

一方その頃宇宙では、宇宙船Dragonがソーラーパネルを展開し、国際宇宙ステーションに近づくまで数日間地球軌道を飛び続けている。宇宙船は現在宇宙にいる飛行士たちのための補給品2500キログラムを載せている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceX、回収したFalcon 9の再利用も「間もなく」

c3irnyvxuaagdve-jpg-large

SpaceXといえば、打ち上げたロケットを安定的に回収している。しかし目的は回収ではなく再利用だ。その再利用がいつになるのかと期待して待っている人に朗報がもたらされた。回収したロケットの再利用に向けてのステップとして、Falcon 9ロケットの静止状態におけるエンジン点火実験に成功したそうなのだ。

点火実験に成功したのは、昨年4月に行った国際宇宙ステーション補給ミッションで使用したもので、海上のドローン船によってはじめて回収に成功したロケットだ。共同ファウンダー兼CEOのElon Muskは、当時からこのロケットを再利用に用いる可能性について言及していた。はやければ2016年の6月にも再利用を行えるのではないかというような楽観的な見通しも語っていた。予定日については大幅に遅れているわけだが、これは無理めの予定を発表するElon Muskにとって、とくに珍しいことではない。

もちろんMuskたちも、予定の遅れを当然であると開き直っているわけではない。SpaceXは「人生はままならぬものだ」というようなことを言っている。Muskの徹底的楽天主義以外にも、9月にはロケットの爆発事故があり、これによって5ヵ月の間はロケットを飛ばすこともできなくなった。

それはとかく、ロケットの再利用はヨーロッパで衛星事業を手がけるSESのミッションで行われる予定だとのこと。詳細は現在詰めているところだが、はやければ3月にも発射を行いたい(今年1月に行われたIridium-1のミッション中にも、初めてとなる再利用を間もなく行う予定である旨をアナウンスしていた)としているようだ。

現在のロケットについて、再利用回数は2、3回の予定となっている。回数が少ないようではあるが、SpaceXはそれにより打ち上げコストは30%程度に抑えられるようになるとしている。すなわち打ち上げを繰り返すほどに、SpaceXのコストメリットが出てくると期待されているわけだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

SpaceX、1月14日の打ち上げに備えFalcon 9ロケットにイリジウム衛星を積み込む

c1_grsfukaanzhu-jpg-large

SpaceXのロケット発射復活第一弾を数日後に控え、イリジウム計画の通信機器がFalcon 9ロケットに積み込まれた。予定通りに運べば1月14日に宇宙へ向けて飛び立つ。当初は1月9日に発射予定だったが、ヴァンデンバーグ空軍基地発射台の気象条件のために延期された。

この新たな機会は、2016年9月1日にFalcon 9が打ち上前の燃料充填時に発射台で爆発して以来、SpaceXに与えられた初めてのチャンスだ。爆発の理由は液体酸素貯蔵タンクの圧力容器の不具合に関連していることがわかったと、調査終了後にSpaceXが公表した。同じことが二度と起きないよう、短期的には既存機器の修理、長期的には将来のロケット製造過程の変更という両面で対応して万全を期すとSpaceXは言っている。

[ヴァンデンバーグの強風雨のために発射は延期された。他のスケジュールと調整の結果、次の予定日は1月14日になった。]

イリジウム衛星は音声およびデータのネットワーク構築に用いられ、SpaceXの事故以来初となるこのミッションには10台が積載される。昨年9月に発射台で爆発したロケットには、Facebookがアフリカ未開地域へのインターネット提供活動に用いる衛星が載せられていた。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SpaceXのFalcon 9、爆発の原因はヘリウムタンクの亀裂か

spacex

SpaceX社は、9月1日のFalcon 9ロケットの爆発を引き起こした原因の可能性についていくつかの答を得たようだ。ロケットは、発射台上で発射前準備を行っている最中に爆発した。負傷者はいなかったが、SpaceX社は原因の特定に苦労していて、これまでにほんの僅かの情報しか公表されていなかった。

本日、SpaceX社の更新されたブログ記事では、SpaceX、FAA、NASAそして空軍によろ合同調査の結果、第二段ロケットの液体酸素タンクの一部であり液体燃料ロケットの設計の重要な部分である、極低温ヘリウムシステムに起きた亀裂が、おそらく原因であろうと指摘している。これが意味することは、1つには、このエラーは、2015年のCRS-7 Falcon 9が上昇中に爆発した例とは関係していないということである(SpaceX社の発表による)。

これは良いニュースである。発射システム自身を除けば、LC-40(問題の発射台)は爆発全体からは相対的に影響を受けていないように見えるからである。SpaceX社によれば、発射台自身の制御システムと同様に、近くの支援施設や建物は「そのまま」で「良い動作状態」に保たれているということである。

一方、SpaceX社はまた、そのホーソン工場本社における製造および生産チームや施設が調査の結果「無罪放免となった」と語っている。これは、新しいロケットとコンポーネントの生産に向けて、ビジネスが通常通り継続されることを意味している。

調査チームは、上述したヘリウムシステムを原因として特定したが、亀裂が始まった原因を調査する必要はまだ残されている。SpaceX社は、打ち上げ業務に戻る時期を11月と予想していると述べているが、調査の結論はまだ保留中である。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

アマチュアでも正確な切削ができるコンピュータービジョンによるCNCマシンShaper Origin

誰もが副業(副収入源)を持つ時代になりつつあるようだが、ここでご紹介するShaper Originがあれば、誰もが余暇時間にクールなガジェットを作り、売っていくことができる。このハンドヘルドなCNCマシンでFalcon 9ロケットをホームメイドすることは無理でも、Etsyで飛ぶように売れる小物類なら、何でも作れるだろう。

CNCマシンというものは昔からあるが、従来のそれは工場などでプロが使う高価な大型機械だった。しかしShaperのOriginは、複雑なコンピュータービジョン〔視覚のコンピューター化〕の能力があるので、プロでない人でも容易に使える。Originでは、細部に苦労する必要がない。プロの目や手が持つ精度を、機械自身が持っているからだ。

screen-shot-2016-09-15-at-4-47-24-pm

作業台には、特殊なテープが様々な間隔で貼ってある(上図)。カメラがそれを座標系として捉え、ソフトウェアが、求めるカットのAR表現を作ってスクリーンに映し出す。Originによるカット作業は、ドットをつないでいくゲーム並に易しい。マシンを両手で持ち、描かれたルートに沿って移動させる。動きの不正確さは刃自身が補正し、コーナー(角)もきれい切る。

使える素材は、木、カーボン繊維、ビニルなどだ。デザインをクラウドへドラッグ&ドロップすると、数分後にデバイスは使える状態になる。今なら誰もがこの未来的なデバイスを1500ドル弱で買える。今後の平常時小売価格は、2099ドルになる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SpaceX、年内にも再利用ロケットを使ってSES衛星を打ち上げへ

spacex-three-recovered-rockets

ルクセンブルクに拠点をおく、衛星関連事業を展開しているSESが、初めてSpaceXのFalcon 9を再利用することで合意にいたったとアナウンスしている。

再利用ロケットを利用した打ち上げは年内を目処に行われる予定であるとのこと。実現すればSpaceXは新たな一歩を踏み出すこととなる。これまでにイーロン・マスク率いるSpaceXは、9機の第一段ロケット回収に成功している。しかしまだ再利用して、再度宇宙に向かわせるところまではいっていなかったのだ。

SpaceXの話によると、今回再利用するのは4月にISS関連のCRS-8のミッションに利用し、無人船により回収したものであるとのこと。無人船での回収に初めて成功したときのものだ。

静止衛星ビジネスで世界最大のSESは年初より、SpaceX初となる再利用ロケットにより宇宙に資材を打ち上げることに強い興味をもっていると表明してきていた。

ちなみに、SpaceXとSESのつながりは以前からのものだ。2013年にSpaceXを利用してSES初となる商用静止衛星を打ち上げたのだった。

3月にもSESは、SpaceXのロケットを使ってSES-9衛星を静止軌道に打ち上げている。これは第一段ロケットを無人船で回収しようとして打ち上げたものであったが、このときには回収に失敗している

数ヶ月のうちにも打ち上げられるSES-10は、ラテンアメリカの通信用途で用いる衛星を打ち上げることになっている。

ロケットを実際に再利用することで、新しい時代を切り開くことになると考えています。低コストで資材を打ち上げられるようになり、積荷の制限などももう少し柔軟に考えられるようになるでしょう。技術面および運用面で高い信頼性を誇るSpaceXと、今回の合意に至ったことを嬉しく思っています。
SESチーフ・テクノロジーオフィサーMartin Halliwell

再利用が可能となれば、打ち上げコストは大幅に下がることとなる。コストが下がれば宇宙ビジネスが大幅に拡大することになり、それを目指してSpaceXやBlue Originは数々の困難に立ち向かっているのだ。

SpaceXのプレジデントであるGwynne Shotwellは3月、Falcon 9の第一段ロケットを再利用することで、30%のコスト削減ができると見込んでいると述べている

宇宙船などを宇宙に送り出したあとのロケットを再利用することは、全体を迅速に再利用するための第一段階となるものです。SESは何年にもわたって、SpaceXの取り組みに積極的に協力してくれています。最初の再利用ロケットで、SES-10を打ち上げることになることを嬉しく思っています。
プレジデント兼チーフ・オペレーティングオフィサー Gwynne Shotwell

今回の打ち上げのコストについてはSESから情報を得ることはできなかった。「正確な金額については非公開としています。しかしSpaceXのFalcon 9を再利用することにより、信頼性のあるロケットを手軽に使えるようになり、発射コストを引き下げると同時に発射回数を増やすことになっていくでしょう。安価にかつ自由に宇宙にアクセスできることは私たちのビジネスにとって非常に重要なことであり、発射ロケとの再利用はまさに大きな可能性をひらくっことになるのです。

なおSpaceXは今年、2015年比で3倍のロケット打ち上げを行いたいと発表している。またファルコンヘビー(Falcon Heavy)の初打ち上げも計画されている。今年も残り4ヵ月。目標をすべて達成することとなれば、SpaceXにとってもとても重要な1年として記録されることになるのだろう。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

SpaceX、スカパーJSAT放送衛星打上とブースターロケットの洋上回収に再び成功

2016-08-15-spacex-jcsat-landing

今日(米国時間8/14)、東部時間1:26am、SpaceXはケープカナベラルからFalcon 9ロケットを打ち上げ、第一段ロケットを海上を航行するドローン艀に着陸させることに成功した。さらに重要なことだが、SpaceXは今回の打ち上げの本来の任務であるJCSAT-16衛星を静止トランスファ軌道(Geostationary Transfer Orbit=GTO)に乗せることにも成功している。

SpaceX JCSAT mission patch

ブースター・ロケットを洋上のドローンに着陸させるたのは、衛星を静止軌道という非常に高い高度に投入する必要があったためだ。静止トランスファ軌道に乗せるためには多量の燃料を必要とするので、ブースターを地上基地に帰還させることはできなかった。これまでのところ、SpaceXが地上基地にブースターを帰還させたのはペイロードとなる衛星が低高度の場合だけだった。

今回打ち上げられたJCSAT-16は大型の商用放送衛星で、日本のスカパーJSAT株式会社のためにSpace Systems Loralが製造したものだ。この衛星はスカパーJSATが運用する16基の衛星ネットワークに追加され、アジア太平洋地区における衛星放送と衛星データ通信の役割を担う。

SpaceXでは今回を含めてブースターの回収を合計11回試みており、うち6回が成功している。2回は地上回収、ドローン艀への回収に成功したのは今回を含めて4回となった。
航行する艀への洋上回収は地上回収に比べて困難度が高いと考えられているが、SpaceXの打ち上げミッションによってはドローン艀への回収が最良ないし唯一のオプションとなる。

この1年に繰り返されてきた回収の試みでSpaceXは非常に多くの経験を積んだ。ある場合には温度が高すぎ、操縦をコントロールする液圧装置の作動流体が十分残っていない、安定脚がロックされずに転倒したことなどもあった。

しかしこの4月以降、イーロン・マスクの宇宙企業はブースター回収を6回試みて5回生功させている。

ただしこれまでのところ、回収されたブースターの再利用は行われていない。しかし先月、回収されたブースターの1基を用いて燃焼試験が実施された。この実験のは有意義だったはずだが、宇宙に飛び立ったわけではなかった。衛星打ち上げへの再利用に最初に使われるのは この5月に国際宇宙ステーションへの物資補給に用いられたブースターとなるはずだ。打ち上げスケジュールなどはまだ決まっていない。

今日のミッションはSpaceXにとって今年8回めの打ち上げとなった。打ち上げ回数を18回と昨年の3倍にアップするう野心的な目標を実現するなら、今年後半にかけてさらにペースを上げる必要がある。次回の打ち上げはわずか3週間後に予定されており、SpaceXはその準備に全力を挙げている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SpaceX、ドローン船への宇宙船再着陸にふたたび成功

spacex-landing-pic

SpaceXは、フロリダ州ケープ・カナベラルから東部標準時の5月5日1:22amに、Falcon 9ロケットを打ち上げた。そしてこのロケットは地上(海上)への再着陸に無事成功したのだそうだ。打ち上げ後、ロケットの一段目を洋上のドローン船(Of Course I Still Love Youという名前)に着陸させたのだが、これは同ドローン船における2度目の成功となる。

SpaceXが同ドローン船へのロケットの再着陸に成功させたのは、4月8日のことだった。しかし本日の着陸の方がより大きなインパクトを持つと言ってよさそうだ。今回のミッションについてはさまざまに複雑な条件も重なっており、成功の確立は低いだろうとみられていたのだ。

JCSAT-14は高度2万2000マイル(約3万5700kmほど)の対地同期軌道(geosynchronous orbit)に打ち上げ、15年間にわたって地球を周回させる予定となっている。前回、再着陸に成功したのは、地上250マイル(400kmほど)の低軌道(Low Earth Orbit:LEO)に宇宙ステーションを送り出して後のことだった。

JCSAT-14 / Image courtesy of Space Systems Loral

JCSAT-14 / Image courtesy of Space Systems Loral

最近のロケットではそのような高起動に打ち上げることも多くなっており、1段目ロケットを帰還させようとする場合には、これまで以上の高温に対処することが必要となる。また速度も秒速2kmほどにおよぶことになる。LEOレベルへの打ち上げであれば、帰還するロケットも秒速約1kmほどなので、大幅に高速になることになる。

Successful JCSAT-14 deployment from Falcon 9 / Screenshot from SpaceX livefeed

Successful JCSAT-14 deployment from Falcon 9 / Screenshot from SpaceX live feed

JCSAT-14はアジアで最も大きな衛星通信事業者であるスカパーJSATグループにより打ち上げられたものだ。今回打ち上げた衛星は放送および通信事業に使われることとなっている。

Illustration of JCSAT-14 / Image courtesy Space Systems Loral

Illustration of JCSAT-14 / Image courtesy Space Systems Loral

本日の打ち上げ成功により、SpaceXとしても今年になって4度目の打ち上げ成功ということになる。ロケットをドローン船に回収することについては、2度成功している。ちなみにより安定した地上への再着陸にも1度成功している。

次のステップとしては、再着陸したロケットを再利用するということになる。Muskは3ヶ月ないし4ヶ月のうちに実現したいと語っている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

SpaceX、スペースシャトルに代わる有人宇宙飛行カプセルをテスト

dragon2-test

1月21日(米国時間)SpaceXは、有人宇宙飛行船、Crew Dragonのテスト飛行に成功したビデオを公開した。計画によると、Crew Dragonは2017年中にはFalcon 9の先に取り付けられ、国際宇宙ステーション(ISS)に宇宙飛行士を送り込む。

このテストはテキサス州マクレガーで昨年11月に行われ、同宇宙船の推進エンジン、SuperDracoの起動能力を分析した。NASAは声明で、現在Crew Dragonは分析の早期段階にあるが、最終目標はこの宇宙船を使い、人間をヘリコプター並みの精度で着陸させることだと語った。

Crew Dragonが、SpaceXの最初の有人飛行ではSuperDraco推進エンジンを使用しないというは興味深い。このエンジンは宇宙飛行士らを誘導着陸されるために用いられる。この戦略に代えて、SpaceXは当初パラシュートを使って、Crew Dragonの降下速度を落とし、海上に着水させる計画だ。

SpaceX's Crew Dragon

SpaceX’s Crew Dragon / Image courtesy of SpaceX

SpaceXは、軟着陸に向けて取り組んでいる理由について、将来海のない惑星、例えば火星に人類を送るためには必要となる能力だからだと説明した。

SpaceXの初期バージョンのDragonは、NASAのISS貸物輸送ミッションに使用されているが、第2バージョンとなる有人ミッション用のCrew Dragonは、まだ使用さていない。今回行われた飛行テストは、SpaceXが人間を宇宙に送り出す認定を受けるために必要となる、数多くのテストの一つだ。

Crew Dragonは、いずれも7名の人間を運ぶ能力のある2種類の宇宙船プロジェクトの1つで、米国クルーをISSと往復輸送するために2017年から斬定運用される予定だ。これらのカプセルはNASAの商用クルー能力(CCtCap)契約に基づいて開発されている。

Inside the SpaceX Crew Dragon

SpaceX Crew Dragonの内部/画像提供:SpaceX

CCtCapは、NASAの商用クルー開発(CCDev)プログラムの最終フェーズだ。2010年に開始したCCDevは、スペースシャトルの代替品を開発できる企業を見つけるために行われた。プログラム開始当初、NASAは彼らの有人宇宙飛行コンセプト実現に向けて、有望視企業5社を選んで助成した。

2014年、対象はBoeingとSpaceXの2社に絞られた。

Boeingの有人カプセルCST-100も、現在最終エンジンテストを実施中だ。SpaceXと同じく、CST-100も地表に着地するよう設計されている。Boeingのカプセルは推進方式ではなく、パラシュートを使いエアバッグによって緩衝された着陸を行う。

ロケット回収テストと並行して、NASAカルゴ契約、空軍向けエンジン開発研究、そしてCrew Dragon開発と、今年のSpaceXには実に多くの仕事が待っている。

Illustration of Boeing's CST-100 landing

BoeingのCST-100着陸の図解/画像提供:Boeing

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook