赤外線カメラのFLIRが、廃業したAria Insightsのドローン技術を買収

去る3月、ドローンのスタートアップ、Aria Insightsが突然廃業した。社名を変更し、技術中心へと方向転換する発表をしたばかりだったため、ニュースはちょっとした驚きで迎えられた。米国時間10月2日、サーマルカメラのFlirは閉鎖した同社から知的財産権と営業資産の一部を買収したことを発表した。

Flirは、赤外線カメラで最もよく知られているが、最近ドローン分野への投資にも力を入れており、業界最大手のDJIやParrotらと提携している。

「繋留無人ドローンシステムは、部隊防護、国境警備、重要インフラ保護などに不可欠になりつつある」とFlirのDavid Ray(デビッド・ライ)氏がリリース文で語った。「Ariaの革新的技術と知的財産によって、当社の能力を拡大し、この成長する市場で消費者に提供するソリューションの幅を広げることができる」。

同社は3月にも、iRobotをスピンオフした軍事スタートアップであるEndeavor Roboticsを買収している。Aria InsightsはiRobotとも強い結びつきがある。同社は2008年にiRobotの共同創業者のHelen Greiner(ヘレン・グレイナー)氏らによってCyPhy Worksとして設立された。しかしグレイナー氏が去った後、同社はドローンのハードウェアから データ収集へと方向転換した。廃業するわずか数カ月前のことだった。

「Flir Systemsへの資産売却を完了したことを喜んでいる」と元Aria InsightsのCEOを務めるLance VandenBrook「ランス・バンデンブロック)氏がリリースで語った。「CyPhy WorksとAriaで開発した技術には誇りを持っており、Flirはこの技術をいかして、将来の重大なミッションに役立てる最適な立場にある会社だと信じている」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FLIRとMovidiusが使ったスマート感熱カメラはより高度なIoTの姿を予見させる

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今年で38歳にもなるFLIR Systemは、高度な、そして小型の感熱画像センサーとカメラを作って、モバイルのスタートアップたちがひしめくコンピュータビジョンの世界に独自の足場を固めている。その同社が今朝(米国時間4/18)、Boson Thermal Cameraという新製品を発表した。Bosonは小型の感熱カメラで、さまざまな用途がありえる:

  • 熱画像の撮影—80年代のシュワルツェネッガー主演映画「プレデター」でおなじみのやつ。
  • セキュリティやマーケティングのための顔認識
  • 歩行者認識(人数を数えたり、彼らの動きや活動を検出する)

MovidiusのJack Dashwoodによると、もっともっといろんなことができる、こういうカメラをソフトウェアで操作すれば、インターネットで悪評を浴びたCSIのズーム技術みたいなことでも、という*。〔*: CSI、テレビの人気連続刑事ドラマCrime Scene Investigation(現場科学捜査)。〕

製品の機能はともかくとして、ぼくはBosonに二つの点で関心を持った(誰もが愛するプレデターの視界を除いて)。ひとつは、小型化がさらに進んでいるので、対話的なアイウェア(eyewear, 眼鏡)への応用がありそうなこと。第二に、Bosonはプロセッサーを内蔵していることだ。それは、SoC, system-on-chipと相並ぶSoS, System-on-Sensorという新しいトレンドだ。

小型化

Bosonは、FLIRの前の機種TAU 2に比べて、サイズは半分、体積は1/10、重さは1/7、電力効率は2倍だ。今回の小型化は、Movidiusとのパートナーシップで可能になり、同社製のMyriad 2チップを使っている。Movidiusの小さな12コアの低電力消費プロセッサー(本誌記事)により、Bosonは前よりもずっと小さくなった。

そのために対話的なアイウェアやスマートグラス、ヘルメットなどへの装着が可能になり、それらのウェア自身も小型化と効率化が可能だ。これまでのヘッドアップディスプレイは、不格好でばかでかいだけでなく、そのために機能にも性能にも制限があった。

Tau 2 vs Boson

System-on-Sensor

もうひとつ重要なのは、System-on-Sensor(システム内蔵型センサー)という、新しいトレンドが予見されることだ。つまりプロセッサーを内蔵できるだけではなくて、センサーにいろんな新しい能力を実装できる。たとえば12コアのMyriad 2チップなら、Boson自身が画像を処理して結果(熱画像情報)をユーザーに提供できるだろう。顔認識アルゴリズムを、Boson自身がリアルタイムで実行することもできる。クラウド上などの別のサブシステムに処理をオフロードしなくてもよい。

低電力だからやれることに限界はあるが、でも一般にこういうSoSチップは今後のIoT(Internet of Things、物のインターネット)の能力を一段と高めるだろう。センサーがシステムをあらかじめ持っていれば、ほかの機器等とのネットワーキングもわりと簡単にできるようになる。

Peter Diamandisが唱える、10年後の一兆個のセンサーが支える経済が実際に訪れるなら、それはまさに、こんな現場&リアルタイムなカメラの上でニューラルネットワークが動き、情報を“記録する”のではなくて、“情報に対応して何かをする”世界だろう。小型の熱カメラ自体は小さな進歩でも、BosonとそのSoSは大きな未来を予見させてくれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

iPhoneを本格的赤外線カメラに変えるFLIR ONEがApple Storeに―明日から予約受付

映画プレデターで謎の生物が見ていたように世界を見ることができるようになる。iPhoneとFLIR ONEケースさえあればよい。FLIR ONEはiPhone 5またはiPhone 5sに取り付けて使用するケースで、本格的な赤外線カメラ(サーマル・イメージャー)機能を持ち、赤外線領域で物体の表面温度を測定して専用アプリでリアルタイムに映像化する。

このガジェットを利用すると相対的温度差で映像化された外界を観察することができる。Apple Store店頭とオンライン・サイトに8月に並ぶ予定だ。また明日からFLIR ONEのウェブサイトで予約を受付を開始する。

今年1月にCESでデモが行われたときに、われわれもFLIR ONEをテストしてみた。ベータ版だったが大いに感心した。FLIR ONEにはさまざまな実用的な用途がある。壁を剥がさずに建物の配管の水漏れやインシュレーターの不具合などを調べることができる。暗闇で迷子になったペットを探したり、夜の森で野生動物を観察するのにもよい。自動車の故障箇所をすばやく見つけるのにも、防犯にも役立つ。暗闇での人々の行動を覗いておもしろがるのにも使える。ビルのメンテナンス、自動車修理などのプロにも一般ユーザーにも使い道の広いガジェットだ。FLIR ONEの付属アプリにはタイムラプス、パノラマ合成などの機能も含まれ、応用範囲が広い。

FLIR ONEケースにはバッテリーが内蔵されており、連続して2時間使用できる。重量は110gほどだ。色は手持ちのiPhoneに合わせてスペースグレイ(これが最初に出荷される)、シルバー、ゴールドが選べる。明日、東部時間午前9時にFLIR ONEのサイトで予約受付が開始される。価格は349.99ドルだ。

〔日本版〕FLIRはForward Looking Infra Redの頭文字。当初は軍用航空機に搭載される赤外線前方監視装置を指したが、現在は赤外線イメージャー一般の名称となっている。発音は「フリア」。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+