Amazonが初のレジなし食品スーパーをシアトルに出店

米国時間2月25日、Amazonは同社初の食品スーパーを開店し、レジのない 「Just Walk Out(そのまま店を出る)」テクノロジーのパイロットテストを行う。この方式は全米の主要都市のコンビニエンスストアAmazon Go、25店舗ですでに利用されている。Amazonのお膝元シアトルに新しく開店したAmazon Go食料品ストアでは生鮮野菜、肉、魚、パン類、家庭用品、乳製品、簡単ディナー製品、ビール、ワイン、蒸留酒などが販売される。

売り場面積は約715平方メートル、店舗全体では966平方メートルで、AmazonのJust Walk Outテクノロジー導入店舗としては最も広い。

コニビニエンスストアのAmazon Goと同じく、利用者は入店時にAmazon Goアプリを使ってスキャンしたあと、普通に買い物をする。カメラとセンサーが棚から離れた商品を追跡し、利用者のバーチャルカートに追加していく。利用者が店を出ると、カートは登録済みの支払いカードを使って自動的にチェックアウトされる。

それは行列もレジもない食品スーパーだ。店員は、棚の補充やカスタマーサービスなどほかの仕事に専念できる。

このモデルは、客が商品を取ってすぐに出ていくコンビニのAmazon Goではうまく機能している。しかし食料品の販売はAmazonのレジなしテクノロジーにとって新しい挑戦だ。食料品の買い物客は概して商品を慎重に選ぶ。生鮮食品を手に取り、指で押してから棚に戻すこともある。商品を2つ手にとってラベルを見比べてから1つをカートに入れ、もう1つを棚に戻すこともある。ときには間違えた場所に戻すことも。気が変わったとき、正しい位置に戻さず別の通路に戻す客もいる。

従来の食品スーパーではこれは問題にならない。別の客が場所を間違えた商品を取ったとしても、レジで正しく計算される。しかしAmazonのテクノロジーは、商品の識別に苦労するかもしれない。

シアトル店はAVA Capital Hill(610 E. Pike Street)にある。営業時間は月曜日から木曜日は午前7時から午後11時、金、土、日曜日は午前7時から深夜0時までになっている。

通常の食料品に加えて、同店舗ではオーガニック製品や特選品も取り扱う。地元ブランドのLa Parisienne、Donut Facttory、Tony’s Coffee、Seattle Bagel Bakery、Lopez Island Creamery、Ellenos Yogurt、Uli’s Fmous Sausage、Beecher’s、Eat Local、Sri Bella、Carso’s Pasta Company、Theo Chocolateの商品も販売される。

Amazonが傘下のWhole Foodsとは別に食品スーパーを開業するという情報は2019年から出回っていた。しかし、Amazonの食品スーパー計画がレジなしAI技術を使うのかどうか、新店舗は通常の食料品店に加えてAmazonの食料品配達ビジネスのハブとしても機能するのかどうかなどはわかっていなかった。

Amazonは自社のレジなし技術をどこまでスケーリングできるかを試したいのだろう。しかし数カ月、数年のうちにあと何店舗つくりたいかはまだわかっていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AmazonがWhole Foods以外のグロサリーストアを2020年にオープン

Amazon(アマゾン)は、買収したWhole Foods以外のグロサリーストア(食料品店)を米国ロサンゼルスのウッドランドヒルズ地区に初めて開く。このニュースを最初に報じたCNETは、その場所を指している求人票をいくつか発見した。職種は、ゾーンリーダー、グロサリーアソシエイト、フードサービスアソシエイトなどだ。

Amazonによると、増加しているレジなしコンビニエンスストアのAmazon Goと違って、この新しいストアは従来型のチェックアウト技術を用いる。CNBCによると、ストアの場所はショッピングセンターの中の以前トイザラスがあったところらしい。

Amazonは計画の詳細をまだ明かさないが、ウッドランドヒルズのストアは2020年に開店する、と明言した。Whole Foods以外の食料品店の計画がAmazonにあることは、10月にThe Wall Street Journal(ウォールストリート・ジャーナル)が報じた。そのときの記事では、同社はロサンゼルスとシカゴとフィラデルフィアを皮切りに全米で数十店の食料品のチェーン店を開く計画となっていた。最初の場所としてウッドランドヒルズが、アービンのスタジオシティと共に挙げられていた。ほかに、ニューヨークの都心部やニュージャージー、コネチカットなども、候補地になっていた。

Amazonの実店舗拡大の動きは、Walmart(ウォルマート)のグロサリー事業の好調と時期が一致している。一部の報道では、後者は今やライバルのAmazonやInstacartなどを圧倒している。Walmart(ウォルマート)の本年Q2の決算報告では、eコマースの売上が37%伸び、それは主にオンラインのグロサリー(食料品)に支えられている。好調の原因は顧客の近くにお店があることとされている。食品の価格には他社のように上乗せ額がなく、顧客はオンラインでオーダーしたらお店へ受け取りに行けばよい。配達してもらうと小額の配達料を払う。

一方AmazonのWhole Foodsは、以前から高価格というイメージがある。このグロサリーチェーンを買収したAmazonは、Walmartのやり方に対抗して、毎週の特売やプライム会員への値引きなどをやってきたが、Whole Foodsの高級店イメージは拭いきれず価格も依然として高い。

Amazonが今回手掛けるグロサリーストアは、従来型、そして安値指向のショップで買い物をするメインストリームの消費者がターゲットだ。

AmazonのスポークスパーソンはCNETに「食糧雑貨の買い物では、お店をいろいろ選べることが好まれるので、今度の新しいストアは、高品質な自然食品や有機食品のリーダーとして成長しているWhole Foods Marketとはまったく異なるオプションをご提供する」と語る。

上記のように、同社によると新しいAmazonのグロサリーストアを立ち上げてもWhole Foodsの拡張は続ける。今年Whole Foodsは新たに17店をオープンしたが、今後の開店計画もあると同社は述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

シアトルで実験中の生鮮食品オンライン宅配、Amazon Fresh、本格的事業化迫る?

Amazonはここ5年ほどAmazonFreshという生鮮食品宅配の実験をシアトル地区で続けている。今日(米国時間6/4)のReutersの記事によれば、このAmazon Freshが本格的な事業化に向けて拡大されるらしい。AmazonFresh方式のサービスが今年中にロサンゼルス、サンフランシスコでもオープンし、2014年までにアメリカ内外の20都市にサービスが拡大されるという。

Reutersは事情に詳しい2人の情報源が「事業が順調に拡大できるかどうか、その成否はなんといっても最初の2都市の運営結果にかかっている」述べたと報じている。生鮮食品の小売は昨年だけで5680億ドルという巨大市場だ。Amazonにとってその潜在的価値は図り知れない。

デジタルコンテンツやエレクトロニクス製品の分野でのAmazonの優位性が確固たるものになるにつれて、新たな分野への進出に興味を抱くようになったのかもしれない。Amazonが重視するのは常に成長だ。前四半期の成長は普通の会社なら十分満足すべきレベルだったが、過去の急成長と比べると一部のアナリストにはもの足りないと映ったようだ。その結果、株価は控え目な推移をみせている。

生鮮食品の場合、既存大手のWal-MartやWhole Foodsなどは完全に現実店舗のチェーン店なので、Amazonの前には未開拓の巨大市場が広がっている。Reutersも指摘するとおり、生鮮食品というのはオンライン通販にはあまり向かない市場だと考えられてきた。大きな理由は在庫を維持するために莫大なコストがかかることにある。本や家電製品と違って一定時間で売れ残った商品は廃棄物となるし、保管には冷蔵、冷凍設備も必要になる。

Amazonは失敗したこの分野のパイオニアWebvanも含めてスタートアップとは桁違いのリソースを投じることができる。しかもシアトルで5年も実験を重ねている。ジェフ・ベゾスは2011年にAmazon Freshについて楽観的な評価を述べた。しかし同時にAmazonが事業化するまでにはさらに改良を要する点があると認めた。

どうやらベゾスとそのチームはこの2年間で行った改良でAmazon Freshは事業化に踏み切るのに足りるレベルに達したと判断したようだ。この報道が事実であっても、生鮮食品は地域ごとに特性が大きく異るので展開にはかなりの時間がかかるだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+