Holorideが「車内VR」アトラクションを初公開

Audi(アウディ)をスピンアウトしたHoloride(ホロライド)は、Ford(フォード)およびUnversal Pictures(ユニバーサル・ピクチャーズ)との提携によって初めて製品を一般公開する。同社はバーチャルリアリティーに独自の工夫を加えた製品開発に特化している。自動車が走っている間に乗客が体験する車内VRだ。

車の中でVRというと矛盾や危険を感じるかもしれないが、Holorideのアプローチを知れば、十分理にかなっていることがわかる。TechCrunchは今年のCESで体験し、車の移動とバーチャル没入環境をマッチングさせた同社の技術が驚くほど魅力的な体験を実現していると感じた。

この会社はこれまでに水中アドベンチャーやマーベルのアベンジャーシリーズなどを手掛けてきたが、今回公開するのは「フランケンシュタインの花嫁」というアトラクションで、10月14日から11月9日までハリウッドのユニバーサルシティウォークで無料公開される。ニュースリリースによると、登場するバーチャルモンスターや障害物は、すべて2020年モデルのFord Explorer SUVの中で体験するアトラクションにマッピングされている。

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エンターテイメント技術のスタートアップ、Holorideは、フォードおよびユニバーサル・ピクチャーズと提携して 「Unviersal Monsters Presents Bride of Frankenstein Holoride」を開発した。この没入感の高いVR体験は、ハリウッドのユニバーサルシティウォークで無料公開される。

ストーリーはユニバーサルの悪霊映像専門のサブブランドであるUniversal Monsters(ユニバーサル・モンスターズ)が担当し、Holorideは車のスピードやステアリング情報などのドライビングデータを使って、プレイヤーの実際の移動とVRを同期させる。

フォードとの提携は、アウディがこのベンチャーをスピンアウトさせた理由のひとつでもある。当時フォードは、Holorideがどのメーカーの車の後部座席でも使わえることを願っていると語った。

今回の同社初の一般公開は、Holorideチームにとって将来の商品化やテクノロジーの展開計画を占う重要な試みだ。車内VRはニッチなユースケースに思えるが、そのニッチが、自宅用にヘッドセットを買いそうにない多くの潜在ユーザーにVRを使ってもらうきっかけになるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2019年CES最優秀賞を車載VRのHolorideにあげたい…楽しいデモだったから

大量のデモと発表と超長距離のウォーキングの日々が終わった今、自信を持って申し上げたいのは、今年のCESのベストはHolorideである!ということだ。もちろん、あくまでも個人的な評価だが、今年のCESで見たものの中ではHolorideが最高だ。

今年のCESは、全体的に良かったんじゃないかな。メインテーマはスマートフォンまわりのネットサービスだ。今やものすごく多様なデバイスがAmazonやGoogle、Appleなどのサービスをサポートしている。CES 2019でその次に目立ったのが、新しいチップセットと自動運転プラットホームだ。でもいちばん印象的だったのは、Audiが産んだスタートアップHolorideだ。このドイツの自動車メーカーは、VRを全車に載せてエンターテインメントを提供し、乗り物酔いを防ごうとしている。

Iron Manが助けを求めている、とRocketが言った。そこで、その宇宙の戦闘に加わってThanosの悪者たちをやっつける。そのとき、頭にはOculusを着けていて、体は宇宙空間の中で銃を構え、H難度のアップ&ダウンを体験している。まるでディズニーワールドの遊具の世界だし、たしかにそのコンテンツにはディズニーも協力している。でも、実際にいた場所はラスベガスで、AudiのSUVの後部座席に乗って時速145キロでトラックを走っていたのだ。


トラックを2周したが、H難度のVR体験にもかかわらず、全然酔わなかった。車の外に出ても、ふらつかない。ただし、車の中でスマホを使ったりしないタイプだけど。

Holorideの真価は、VRコンテンツと自動車の動きとの同期にある。車が動くと、同じ方向へコンテンツも動く。そのために、車酔いがなくなるのだ。…と、思う。

AudiはVRを全車に載せるつもりで、この小さなスタートアップを創った。そのファウンダーたちはすでに過去数年間、車載VRの研究開発をやっている。社名はAudi Electronics Ventureで、Audiの子会社だ。その技術のライセンスをAudiがHolorideに提供し、スタートアップはオープンなプラットホームから多くの自動車メーカーやコンテンツデベロッパーにライセンスを提供していく。

VRのデモは、これまでにたくさん体験したけど、今回はとっても良かった。車載、という形にも無理がない。エンターテインメントを提供するだけでなく、酔いを防ぐ。Uberの車や長距離バスが広告入りで採用するのは、時間の問題だろう。飛行機の中でもよいし、小さい子を乗せた長時間ドライブも、これで楽になるだろう。

Holorideは一種の賭だから、コンテンツやそのデリバリー、他との互換性など、問題はまだ山積みだ。離陸するためには、デベロッパーと自動車メーカーと消費者を巻き込んだエコシステムを作る必要がある。すばらしいユーザー体験は、頑張れば作れる。しかしそれを売るのは、また別のスキルだ。

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CES 2019 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

時速145キロの車の中でVRを使っても気持ち悪くならなかった!

Holorideのシステムは楽しくて、乗り物酔いも防いでくれる

VRヘッドセットを使うと私は気持ち悪くなる。そう感じるのは私だけではない。これは仮想現実コンテンツに対して良く聞かれる苦情だが、今回紹介するスタートアップは、この問題をとても意外なやり方で解決したかもしれない。Holorideは人びとに、乗用車の後部座席でVRを使わせようとしている。

私の胃袋にかけて、その狙いは成功だと報告したい。

昨日私は、Oculus Goを装着して、ラスベガス郊外のレーストラックで、90マイル(145キロ)に達するスピードに振り回されたが、気持ち悪くならなかったのだ。実際、その乗車体験が終了したあと、時速35マイル(56.3キロ)以上の速度が出ていたことに驚いた程だ。Holorideのシステムは、面白くて気を紛らわせてくれるものだった。それはわたしを車のシートから引き離し、アイアンマンやロケット(どちらもマーベルコミックのキャラクター)と共に戦う宇宙へと導いた。

このデモを体験したあと、将来の車内エンターテイメントは仮想現実になるのではないかという思いを抱いたのだ。

それはこのようなものだった。

Audiの新しい電動SUV、e-tronの後部座席に座った私に、会社の代表者が車に接続されたOculus Goヘッドセットを装着してくれた。そして私はリモコンを手渡され、指示に従うようにと言われた。

マーベルのロケットが説明のために登場した。彼は、自分とアイアンマンを助けて、悪のタノスたちを、宇宙を飛行しながら撃ち落として欲しいと言う。

そして私たちは出発した…ゲームの中に、そして路上に。まるでディズニーワールドの乗り物のような心持ちがした。

画面上のコンテンツは、車両の動きと同期していた。Audi のSUVがトラックを走り回るのに合わせて、コンテンツが変化した。

e-tronが走り始めると、ゲームの中の私のロケット船も飛行を開始したし、e-tronがストレート部分を駆け抜けたときには、私のロケットも直進飛行した。その間私は、後部座席で子供のように笑いながら、リモコンを振り回して、タノスの魔の手から宇宙を全力で救おうとしていた。

どういうわけか、私は気分が悪くならなかった。

Holorideの秘密の一部は、VRコンテンツを車両のわずかな動きと一致させることにある。コンテンツは、バンプ(道路の隆起)から急カーブ、そして急な停止に至るまで、全てを補完する。同社が見据えている未来は、乗客が長時間の乗車に耐え、車酔いも起こさないような世界だ。

この技術の可能性には説得力がある。乗客を楽しませることは脇に置いたとしても、今でも車酔いは多くの人びとに影響を与えており、この仕掛はそれを解決してくれるように見えるのだ。もし飛行機または電車または長距離バスに向けてプログラムされたならば、Holorideのシステムは、より快適な乗車を可能にするだろう。

Holoride(MicrosoftのHoloLensとは無関係)は、過去2年間Audi社内でこのテクノロジーを開発していた。Audiはその技術を子会社として分離し、そのシステムを他のメーカーの他の車両に自由に組み込めるようにした。

乗り物酔いを誘発する傾向があるVRの性質は、普及のための最大のハードルの1つである。そしてただそこに立っているだけでも、多くの人たちがそれを経験しているのだ。車両の動きを、宇宙旅行のVRにミックスすることで、内耳があらゆるミックスされた信号を受け取ることになる。Holorideは、その課題を特長へと転化することを目指している。

この初期段階のデモは、Holorideが正しい方向に進んでいることを示しているが、コンテンツとユーザーを獲得するのは簡単ではないと思う。Holorideは、Disney GamesおよびInteractive Experiencesと協力してコンテンツを開発した。

私が体験したデモは感動的なものだった。それは私が欲しいもの全てを備えていた:インタラクティブコンテンツ、人気キャラクター、そして楽しいストーリーライン。しかし、私は程なく退屈し、数回しか遊ぶことはできなかった。多分私の子どもたちならもう少し長く楽しむことはできたと思うが、それでもそれほど長くはないだろう。

Holorideの創業者たちは、TechCrunchに、開発者にプラットフォームを開放するSDKを、年末までにリリースするつもりであると語った。現在のVRコンテンツをそのSDKに簡単に移植できるかどうかは不明だ。

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Holorideは自身を独立系企業だと言っているが、このスタートアップのルーツは完全にAudiである。Audi自身は、この技術を開発した子会社のAudi Electronics Ventureを通して、強くない影響力を持っているだけだ。Audiはこの技術をHolorideにライセンスし、そしてスタートアップ自身はオープンプラットフォームを使って、コンテンツデベロッパーだけでなく、FordからTeslaその他の全ての自動車メーカーが、希望の「○○現実フォーマット」を作り出すことができるようにしたいと思っている。

Audiのデジタルビジネスの責任者であったNils Wollnyは、AudiのVRエクスペリエンスのプロジェクトリーダーであるMarcus Kuhneならびに、同社のソフトウェアエンジニアであるDaniel Profendinerと共同で、Holorideを設立した。WollnyはHolorideの新しいCEOである。

彼ら共同創業者たちは、2014年にVRに取り組み始めた。しかしプロジェクトが真の意味で開始したのは、Disney GamesならびにInteractive Experiencesと提携をした2年前からである。

システムは車種毎に異なる設定をする必要がある。それは開発プロセスの一部なのだ。現段階では、Holorideの開発サイクルの中で、HolorideエクスペリエンスはAudiのe-tronのためにプログラムされていて、例えばChevy Tahoeでは機能しない。ある車種から別の車種へと気軽にヘッドセットを移すことはできないのだ。

Holorideに関しては、多くの疑問が残っている。プロジェクトにAudiの名前は冠されているものの、Holorideは独立した会社である。創業者たちはTechCrunchに対して、次の投資ラウンドを探す必要が出てくるまでには、まだ十分な余裕があると語った。

個人的には、過去このシステムほど感動したテクノロジーデモはわずかである。しかし、魅力的なデモを開発することと、成功するコンテンツ会社を生み出すことは異なる仕事だ。個人的な期待としては、私は大陸間飛行の最中に、乗り物酔いや他者からの干渉を排除できるようなヘッドセットを、装着することができるようになれば良いなと思っている。

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(翻訳:sako)