近年、中国のオンラインショッピングの巨人が処方薬マーケットに食い込んで来ている。Alibaba(アリババ)の最大のライバルであるJD.com(京東商城)は、ヘルスマーケットが小売マーケットをはるかに上回っていることに気付き、先々のIPOを目指して2020年5月にヘルスケア部門を子会社化した。そのスタートアップであるJD Health(JDヘルス)は、2019年11月に10億ドル(約1060億円)のシリーズAラウンドを経た後、今回70億ドル(約7400億円)という驚異的な評価額を得ている。
1年足らずで、プライベートエクイティ企業のHillhouse Capitalとの間で、シリーズBとして8億3000万ドル(約876億円)を超える調達計画の最終合意に達したことを、JD Healthが発表(JDリリース)したことで、再び多額の資金調達が行われることが明らかになった。
JD.comの初期からの支援者であり、ヘルスケアへの機会を積極的に推す(The Information記事)Hillhouseとの取引は、今年の第3四半期に行われる予定だ。JD.comは、この取引後も過半数の株主の地位に留まる。
いまやJD Healthは多機能ヘルスプラットフォームになった。30分以内の薬局への配達(JDリリース)、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック中に急増した遠隔医療サービス(JDリリース)、遺伝子検査などの消費者関連のヘルスサービスなどから、病院システムのデジタル化ソリューションに至るまで、すべてを提供している。その事業は2019年に「黒字化を達成しました」と同社の最高経営責任者Xin Lijun(シン・リジャン)氏は主張(QQ記事)している。
このヘルスユニットは、サプライチェーンを支配するという意味では中国ではAmazon(アマゾン)に最も近い存在であるJD.comが、オンライン小売からは分岐して行うまた別の取り組みである。JD.comはまた、独立したフィンテック子会社(未訳記事)と、また別のロジスティクス事業(未訳記事)も統括しており、どちらも上場を予定している。
ライバルのアリババもヘルスケアセクターで似たような動きを見せている。現在株式時価総額が約340億ドル(約3兆5900億円)の香港上場企業であるAlibaba Healthの一部を所有しているのだ。
同社の収益報告書は、その手広さの一部を明らかにしている。オンラインドラッグストアの年間アクティブユーザーは、5月の時点で1億9000万人(Alibaba Healthサイト)を超えているが、最近の成長はパンデミックによって押し上げられたものだ。
一方、JD Healthが、CEOの発言によればその「中心ビジネス」であるオンラインドラッグストアに、何人のユーザーを集めているのかは不明だが、他のセグメントに関する統計情報は公開している。新型コロナウィルス感染症の発生以来、170万人を超える患者がその診断サービスを利用しており、現在では毎日10万件を超える問い合わせが寄せられている。今週発表(JDリリース)されたJD Healthによる最新の目標は、最大5000万家族を目指す、オンラインのホームドクターサービスを構築することだ。
[原文へ]
(翻訳:sako)