Google、健康医療関連情報もナレッジグラフで提供開始

Googleはセマンティック検索を進化させ、検索用語により深く関連する内容を通常の検索結果よりも前に表示するといったサービスを強化しつつある。そしてこの度、健康関連の検索についてもセマンティック検索の機能を取り入れることを決断したようだ。

Googleによると、Googleプロダクトからの検索のうち、20件に1件は健康関連のものであるらしい。

具体的には健康関連の検索について「ナレッジグラフ」を表示していくという話で、こちらのブログでアナウンスされている。GoogleのプロダクトマネジャーであるPrem Ramaswami曰く、病気の症状を入力する際には医療的な情報を求めている人が多く、そのニーズに対応しようとしているのだとのこと。

一般的な症状や治療法などに加え、緊急を要する症状なのか、伝染の可能性はあるのか、とくに気をつけなければならない年齢はどのくらいなのかなどといった情報も提供していきます。いくつかの症例については協力機関から入手した詳細なイラストで症状を解説します。まずナレッジグラフ経由で基本的な情報を入手すれば、その後に検索すべき内容や、医者に問い合わせるべき内容をわかりやすく把握できると思うのです。

Ramaswamiによれば、Googleは「複数の医師」と協力し「役立ちそうな情報を丁寧に集めている」とのこと。「協力してくれる医師たちや、ウェブ上にあるさまざまな医療系サイトからの情報を集めたもので、集約して情報を提示するナレッジベースの内容についてもGoogle社内の医師やメイヨークリニックによって精査しています」ということらしい。

健康関連の情報については、Googleで検索してみても、間違った情報ばかりが表示されるという悪評もあった。Googleとしては、そうした評判に対抗して、正確な情報を提供できるような仕組みを整えようとしているのだろう。

そしてもちろん、健康関連というのは今後のデジタルサービス(とくにモバイル分野)において主要な戦場になるという見込みもあるのだろう。この分野に早い段階から注力することにより、スタンダードとしての地位を獲得したい狙いもある。医者にいって「ネットでも調べてみたのですが」などと言っても、現在はほとんど相手にされないという状況だ。そういう状況が近く変わるのかもしれない。

(もちろんGoogleのこのサービスは医療行為の代替を目指すものではないと強調している。利用者の知識を「深める」ためのものであるとのこと。ただしそうは言ってもGoogleは最近、ライフサイエンス分野に深い関心を示してはいる。そうした中、提供される情報も「医療行為」に近いものとなっていくことは考えられる)

当初は一般的な症例を案内する程度のものとなるが、それはほんのはじまりに過ぎないと言えるだろう。医療界の百科事典的な存在として機能していきたいという狙いがあるはずだ。今後もさらに医療健康系に力を入れてWebMDなどが存在感を示している領域にも進出していくことになるだろう。

現在のところは英語のみの対応だ。しかしRamaswamiは次のようにも言っている。

取り扱う病状の範囲を広げるだけでなく、多言語対応も進めていきたいと考えています。凍傷やテニス肘、あるいは麻疹の症状について、世界中の人々にGoogleアプリケーションを通じた情報提供を行なっていく予定です。

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(翻訳:Maeda, H


Google、歌詞検索の結果ページトップにて歌詞の直接表示を開始

Googleが検索結果ページに歌詞の表示を開始したようだ。曲名に「lyrics」(歌詞)を加えて検索すると直ちに歌詞を確認できるようになったわけだ。azlyrics.comやsonglyrics.comなど、歌詞を登録していて高ランクを獲得しているサイトも多くあるわけだが、そうしたサイトへの誘導件数を減らすことにもなるだろう。マイクロソフトのBingでもこの機能を先行して実現している。これはGoogleのナレッジグラフに対抗する機能を実装した際に実現したものだった。

Googleはナレッジグラフの導入にあわせて、検索結果ページのさらなる進化を試みている。Wikipedia、World CIA Factbook、Freebase、オンラインのイベント情報、さまざまなコマーシャルデータ、そして膨大なウェブ情報などからデータを収集して、効率的に情報を提供しようと試みているのだ。

検索結果に歌詞を直接表示する際、歌詞を表示するスニペットの下には「full lyrics」(歌詞の続きを見る)としてGoogle Playへのリンクが貼られている。Googleは検索でヒットするサードパーティーサイトを表示する前に、自社コンテンツのプロモーションをしていることになるわけだ。

Search Engine Roundtableというブログから、今回の新機能についての情報を得たのだが、そのブログはGoogle+の記事を情報源としている。Googleには本機能の公開についての詳細を尋ねているが、ホリデーシーズンでもあり、なかなか迅速なレスポンスは望みがたいところだ。

但し、数ヶ月前から本機能についてベータテストは行われていた。しかし公になったのはここ数日のことであると思う(Update:アメリカの利用者向けに先週から公開され始めたようだ)。

ちなみに、今のところは歌詞が表示されるのは一部の楽曲にとどまっている様子だ。有名曲や古典ともいえる曲についても歌詞が表示されないケースも多い。現在のところは限定的な歌詞データベースに基づいた運用がなされているのだろう。また、表示されない曲が多いことから考えるに、他サイトからの情報スクレーピングによる運用でないことも想像できる。

歌詞登録サイトはたいてい多くの広告が掲載されている。Googleの機能追加により簡単に歌詞検索ができるようになれば、業界にも大きなインパクトを与えることとなるだろう。これまではさまざまなSEOテクニックを駆使して検索画面での上位表示を成し遂げ、そして多くのトラフィックを取得して広告収入を得ていた。

Pandora、SoundHound、Shazamなどに歌詞をライセンス提供しているLyricFindのCEOであるDarryl Ballantyneは、「SEOテクニックに依存して稼いでいたトラフィックが大幅に減少することとなり、歌詞登録サイトは非常に大きな影響を受けるでしょう」と話している。「但し、単なる歌詞提供のみでなくコミュニティ機能などを提供しているところも多いのです。SongMeaningsやMetrolyricsなどはSEOテクニックのみでトラフィックを得ているわけではなく、これからも成長を続けていくのではないかと考えています」とのこと。

Goolgeが歌詞検索関連で動きを見せるのはこれが初めてのことではない。歌詞の紹介や注釈を行うRap Geniusがダークな「グロースハッキング」を行った際には、同サービスのランクを低下させたこともある。これは結局Rap Genius側の謝罪で幕を引くこととなった。こうした「ランクの低下措置」は、スパム的行為を行う他のサイトにも適用された様子だ。

Update:歌詞検索サービスについてGoogleのスポークスパーソンから返事があった(「天国への階段」の歌詞を使った洒落た回答だ)。

訳注:難解な歌詞ですので、原文のまま紹介いたします。

There’s a feeling you get when you turn to a song and you know that the words have two meanings. Well it’s whispered that now if you go search the tune, maybe Google will lead you to reason. Ooh, it makes you wonder…

訳注:訳者の環境では、歌詞検索の実装を確認できていません。

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(翻訳:Maeda, H


GoogleのAndroidとiOSの音声検索が日本語、ドイツ語、フランス語に対応

Googleの音声検索の歴史は長い。しかし現在まで音声検索をフルにサポートしている言語は英語だけだった(部分的には数十の言語がサポートされている)。つまりGoogleが質問に答える音声は英語だけだった。今日(米国時間12/5)からそれが変わる。Googleは「iOSAndroidの検索アプリで日本語、ドイツ語、フランス語で質問に答えることができるようになった」と発表した

当然だが、これらはGoogleの知識グラフ(Knowledge Graph)がサポートしている言語だ。 それらの言語で質問に答えるためには Googleは質問者の意図を正しく理解しなくてはならない(少なくとも高い確率で正しく推測できる必要がある)。今回の拡張につづいて現在Knowledge Graphがサポートしている他の言語、スペイン語、ポルトガル語、ロシア語、イタリア語が近く追加されることになるだろう。

日本語、ドイツ語、フランス語が話せるユーザーはモバイル・デバイスですぐに試すことができる。たとえば、“Wo bekomme ich Kaffee in München?”と尋ねれば、Googleはミュンヘンの有名なコーヒーショップを教えてくれる。

音声回答は現在モバイル版でのみ提供されているが、すべての機能をすべてプラットフォームで同じように提供するというGoogleの方針を考えると、近くウェブ版にも登場する可能性が高い。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google Trendsがアップデート―知識グラフの利用で意味として関連する検索全体を対象に

Google Trendsはあるテーマについて人々がどれくらい関心を抱いているかを推測するのにたいへん便利なツールとなっている。しかし現在までGoogle Trendsの機能はかなり限定されていた。キーワードに対する相対的検索回数を時系列でグラフに表示する〔rice とharvardを単語として比較〕だけだった。

今回Googleは知識グラフ(Knowledge Graph)テクノロジーを利用してもっと正確な比較〔Rice大学とHarvard大学を比較〕 ができるようにした(Googleブログの記事)。

Google Trendsは入力された単語に対して意味的に関連する候補を自動的に提示する。これによってriceと入力しただけでRice Universityという検索キーワードが提示される。これで食物のライスなどのノイズを検索対象から排除できるわけだ。Googleによれば、TrendsはBarack Obamafootball (soccer)Hayao Miyazakiなど70万のトピックの意味的関連を認識できるという。

このシステムではミススペルがあっても正しい検索ができるし、映画『キル・ビル』の主演女優、Uma Thurmanの人気度を調べることもできる。また地域別人気度も表示される。

〔日本版〕 Googleによれば、Tokyoと入力した場合は単純に"Tokyo"という文字列が検索された回数が対象となる。しかしこのときドロップダウン・リストに"Tokyo-Captialof Japan"という候補が表示され、これを選択した場合、Googleは知識グラフを利用して「東京―日本の首都」に相当する表現(Tokyo、東京、captial of Japan、日本の首都)を広く集計対象とする。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+