画像スタートアップのLightがスマートフォン事業から撤退する

Light(ライト)がスマートフォン事業に手を出すことになったのは必然だった。だが確かに、スタートアップはその高価なL16カメラ(未訳記事)で大いに注目を集めたものの、現在モバイル写真はほぼ携帯電話の独壇場となっている。その状況に対応するための答が、集合体恐怖症(トライポフォビア)を誘発するNokia 9 PureView(未訳記事)として登場した。

メーカー同士がより多くのカメラを追加することで競い合うカテゴリーの中で、PureViewは6角形に配置された5つのカメラという最大数を誇っていた。それは新しく、革新的だったが、多くの人にとっては、やり過ぎだった。とはいえ、少なくともNokia/HMDには自慢できる権利を与えたし、スマートフォンハードウェアレースで最も激しく争われたコーナーの1つで、その機種を際立たせることはできた。

だが、Lightはスマートフォン市場から撤退する。結局のところ、特に多くのメーカーが独自のネイティブハードウェアおよびソフトウェアソリューションに取り組んでいるこの世界では、小規模なスタートアップにとってこの競争はおそらく厳しすぎたのだろう。

Lightは今週、Android Authorityへのメールの中でこの動きを認め(Android Authority記事)、簡潔に「スマートフォン業界ではもう仕事を行わない」とだけ書いている。2018年にソフトバンク主導のラウンドで1億2100万ドル(約130億円)を調達した同社にとって、モバイルパートナーシップは最も論理的なこの先の道筋のように見えていたことを考えると、これはちょっとした驚きのニュースだ。そのシリーズDラウンドは、パロアルトに本拠を置く同社の総資金を1億8100万ドル(約194億円)以上に引き上げたのだ。

最近では、ソニーならびにXiaomi(シャオミ)とも契約を結んでいた。今回の動きが、そうしたパートナーシップにとって今後何を意味するのかについては、特に発表されていない。そしてスマートフォン離脱後のLightがどのようにものになるのかも明らかではない。私たちは、その計画についての詳細な洞察を得るために、同社に問い合わせを行っている。
画像クレジットBrian Heater

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(翻訳:sako)

フォックスコンからの出資も受けたLightのミニマリスト向け携帯の新機種が350ドルで登場

Light Phoneとその後継機について議論するとき、なんとか割り切らなければならない、やっかいなジレンマがある。私たちがテクノロジーから足を洗えるようにするという明確な目的で開発されたテクノロジーは、本質的に皮肉を含んでいるということ。しかし今は2019年なのだから、そのような内在する皮肉があるのは当然のことだろう。

Lightには、間違いなくそれなりのサポーターがいる。同社の発表によれば、新製品Light Phone IIを、Indiegogoの出資者に向けて出荷し始め、サイト直販でも350ドル(約3万7400円)で予約注文の受け付けを開始した。さらに、今回初めて、これまでに受けた出資についても明らかにした。この記事の執筆時点で、同社は1230万ドル(約13億1487万円)を調達しているという。

もちろん、クラウドファンディングによる資金調達は周知の事実だった。最初の製品は、Kickstarterで堅実に40万ドル(約4280万円)の資金を調達した。2番目の製品は、Indiegogoによるキャンペーンで先行予約を重視し、それをはるかに上回る350万ドル(約3億7415万円)の売り上げを確保した。その際、いくつかのVCも行動を起こしていたことが判明した。シード段階で840万ドル(約8億9796億円)を調達していたのだ。Hinge Capital、Bullish、White Bay Group、Able Partners、Product Co-Op、HAXなどが、資金を寄せ合っていた。しかし、リーダーとなっていたのは、さらに興味深い会社だった。

最大の投資をしたのは、Foxconn(フォックスコン)だったのだ。この製造大手は、当然のこととして、Lightの携帯電話の開発を手助けし、現状のオンライン販売だけでなく、Lightが小売チャンネルにも販路を拡大できるよう、補佐している。

「彼らには、2、30年にわたって、スマートフォンを開発してきた経験があります」と、Lightの共同創立者であるKaiwei Tang(カイウェイ・タン)氏はTechCrunchに語った。「彼らに見せた最初のLight Phoneは、シンプルな音声通話のみのデバイスでした。それについて説明した後、セールス担当の副社長にこう言われました。『やあKai、そのLight Phone、今すぐ欲しいよ。僕の人生はスマホのせいでめちゃくちゃになっている。もう子供にも話しかけてもらえないんだ』とね」。

他のいくつかの有名なエンジェル投資家も、同じように、そのシンプルなデバイスという考え方に惹きつけられた。本当に必要な機能だけを提供して、ユーザーのスマホ依存を解消することができるかもしれないと。LyftのJohn Zimmer(ジョン・ジマー)氏、Michael Mignano(マイケル・ミニャーノ)氏、AnchorのNir Zicherman(ニール・ジッチャーマン)氏(Anchor)、MomentのTim Kendall(ティム・ケンドール)、AdobeのScott Belsky(スコット・ベルスキー)氏などが、こぞって出資したのだ。

オリジナルのLight Phoneと同様、この新しいバージョンも、その開発者に、ある種の内包されたパラドックスを突きつける。基本のアイデアが、携帯電話としてのコアな機能以外を取り除くというものである以上、いくつかの新機能を追加した第2段を導入するというのは、ある意味逆行なのではないかということ。

新しいモデルには、ライドシェア(パートナーについては未発表)、音楽再生(おそらく最初は内蔵ストレージの音楽ファイル再生のみ)、道案内、紛失したデバイスの発見、といった機能が追加されている。とはいえ、こうした機能も、E Inkを採用したディスプレイによる制限を受ける。電話機能そのものは、2GからLTEに飛び級で移行した。ユーザーは、AT&T、Verizon、あるいはT-MobileのSIMを利用できる。

「たとえ話で表現すれば、1つのことだけがうまくできる、美しいデザインのネジ回しを提供するのです」とタン氏は言う。「E Inkの画面を採用し、サイズも小さいLight Phoneには、ユーザーにとって明らかに制約があります。もちろん、ユーザーにビデオを再生したり、映画を観たりすることは勧めません。しかし、電話をかけたり、タクシーを拾ったり、音楽を聴いたり(ちなみに、ヘッドフォンジャッン内蔵だ!)、音声メモを録音したりするのにはぴったりです。また将来的には、リマインダー付きのカレンダー機能も加わるでしょう。みんなシンプルなツールです。それが明確な目標なのです」。

Light Phone IIは、私がTechCrunchでレビューした製品の中で、おそらく最も見栄えのしないものだろう。小さいくせに厚みはあって、電子書籍リーダーを、実際には本が読めないくらいまで縮めたような感じだ。毎回何時間もスマホを使うような人にとっては、そこから開放してくれるのではないかと期待させるだけの、十分な機能を備えている。

Lightによれば、これまでに「数万台」のユニットを販売したという。第1世代については、すでに1万5000台を出荷し、まだ出荷していない予約分を含めて、なんとか4万台近くまでは届いている。同社は、こうしたユーザーをLight Phone IIに移行させたいと考えている。ちなみに、この第2世代のデバイスには、現在およそ1万件の予約注文がある。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

LightがSoftBankのリードで$121Mを調達、ユニークなカメラ技術をまずスマートフォンで実証へ

レンズが16あるカメラで独自の撮像技術に固執するLightが、SoftBankの大型ファンドVision FundからシリーズDで1億2100万ドルの巨額を調達することになった。

このラウンドをリードしたのがVision Fundで、およそ1億ドルをSoftBankが確保した。ほかに、カメラの名門Leica Camera AGが参加した。今日(米国時間7/18)の発表によると、Lightのこれまでの調達総額はほぼ1億8600万ドルになる。

Lightはその初めての製品L16を予価1950ドルで発表し、それを2017年に発売した。そのカメラは16個のレンズを使って52メガピクセルの画像を撮り、感動的な結果を作り出した。しかも、たぶんいちばんの注目は、L16がとても小さくてスマホなどの携帯端末やそのほかの携帯型の機器装置にぴったり便利であることだ。

サイズが小さいことと、スマートフォンの写真ブーム、両者が合わさるとこうなっても不思議ではない。製品の詳細は不明だが、Lightによると、同社のモバイル技術はOEMからのライセンスで、そこはLightのカメラを搭載したスマートフォンを9月に出す予定だ。

同社の声明は、こう言っている: “今の時代には、ポケットタイプの、インターネットに接続されたカメラが、世界を三次元の超人的な詳細さで再構築し、車はまわりの物をセンサー不要で感知でき、そしてロボットは針の小さな穴に自力で糸を通せる”。

今の、裏面に最大7つのカメラを載せられる同社のスマートフォンは、それが発売されたら“モバイル写真の概念を根底から揺るがす”そうだ。

そしてLeicaとのパートナーシップは、Lightの技術を利用した消費者向けカメラを共同開発するためだ。ただしこれについては、スマートフォンのカメラ以上に現状は漠然としている。

今度の新しい資金は、モバイルへ向かうものだろう。同社によると、最初は消費者製品に向けられた同社の技術は、今後セキュリティやロボット、自動車、航空機、工業画像技術などの分野に利用されていくだろう。

このような拡張意欲は、SoftBankのVision Fundのビジョンによく符合する。それは、世界のトップクラスのテクノロジー企業を糾合して、それらのシナジーを促進する、というビジョンだ。すでにチップメーカーのARMNvidiaもこのファンドに支援されているから、Lightもそういう集合体の仲間として多くの機会を望めるだろう。

下のビデオは、LightnのCEO Dave Grannanのインタビューだ。彼はCES 2016でL16を披露した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

LightのL16は16基のカメラモジュールを載せた1台のカメラ、DSLRキラーとなるか?

LightのL16が、2015年の10月に登場したときはラジカルなデザインだったが、その後そのコンセプトが現実になり、今では最初の生産ロットを予約のお客に発送している。最終デザインは当時のコンセプトとほとんど同じで、小さな変更はいくつかあるが、これまでの歩みが順調ではなかったにも関わらず、みんなこの革新的な“撮影機”の実物をを手にしてコーフンしていることだろう。

Light L16という名前は、カメラモジュールが16あることに由来している。そして複数のモジュールからの画像を一度に組み合わせて、深度も明るさも細部や色の再現も、このちょっと厚めのスマートフォンぐらいの大きさのカメラで撮ったとは思えないほど、超ハイクォリティの画像が得られる。L16のサンプル画像は被写界深度もピントのシャープさも、そんじょそこらのDSLRに大差をつけている。だいたいそもそも、これを得るために、1台のカメラをマルチモジュールの配列にしたのだからな。

そのためにLightは、独自のASICを作らざるを得なかった。70mmと150mmのカメラモジュールも、需要の圧倒的に多いスマホ用の広角レンズを作っているサプライヤーからは得られないので、自作だ。

  1. juan_cruz_7_11_2017-edit-2.jpg

  2. l16_00186-edit-edit.jpg

  3. superbloom_d-0790_l16_00070-edit-2.jpg

複数の画像を融合させるアルゴリズムも自家製だ。これにより、一見ばらばらな16の画像が一つにまとまる。しかも瞬間的に素早いオートフォーカスで。カメラを操作するためのAndroidアプリも、やはり自家製だ(同社のOSのベースがAndroidだ)。撮影後に被写界深度をコントロールするWindowsとMac用アプリケーションも、同社自身が作った。

同社は、新しい顧客のための品質保証がたいへん、と言っていたから、出荷は遅れると思っていた。でも一部の初期ユーザーはやっと自分の手でL16を握り、この新しい写真デバイスの印象を共有できるのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Lightのレンズが16あるカメラL16は口径を拡大、しかしまたまた発売を延期

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Lightの、レンズが16あるクレージーなカメラは、みんなが、最終的に本物なのか固唾を呑んで見守っている。でも、この、すでに遅れているガジェットは、さらにまた少し待たされるようだ。あえて明るいニュースと言えば、このカメラはその後の大幅な改良により、その多数のレンズの口径が大きくなった。

作者のブログ記事によると、最初の計画では、モジュールが16(28mmと70mmが各5、150mm相当が6)で、口径はF/2.4固定だった。今ではそれがF/2.0と大きく改良されたが、どれほど“大きく”なのかはまだ分からない。これまでのカメラとあれこれ比較しても、たぶん意味ないからだ。

しかしもちろん、F2.4が2.0になれば、画質と可用性は良くなるだろう。とくに、あまり明るくない場所などでは。この仕様変更の動機はよく分からないが、ブログ記事の最後の方の、やや苦(にが)い部分を包む、糖衣にはなるかもしれない。

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このL16は、ご存知のように最初はこの夏発売の予定だったが、それが秋に延期され、そして夏の終わり頃には“2017年の初め”へと再び延期された。上述の最新のブログ記事ではまた少々延びて、“L16の量産は2017年第二四半期の初め頃に開始する”、となった。

もはやこちらの考えすぎかもしれないが、第二四半期といえばそれはすでに、“2017年の初め”ではない。しかもそれは量産の開始とされているから、発売が始まるのは2017年の半ばぐらいだろう。Lightは詳しいことを何も言わないが、いちばん初めのロットを3月の終わり頃入手できる可能性もある。期待しない方がよいけど。

ブログ記事は、“詳しい生産スケジュール”は1月に分かる、と言っているから、待つしかない。しかし同社はベータテストを始めている(ここで参加申し込み)し、テスト機の高精細画像をこちらで公開している。ただしRAWではなくJPEGだ、残念(しかもちょっとノイズが多い気がする)。

そしてこの可愛らしいビデオは、なぜレンズの多いカメラが良いのかを2分で説明している。ぼくには、できないことだね。フルスクリーンで1080pで見ることを、おすすめする。作者は誰かわからないが、見事なビデオ作品だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Linux電球は、光の点滅で相互に通信する

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Disneyの研究者らが開発中の新しいプロトコル ― 仮の名はLinux Light Bulb[Linux電球] ― は目に見える光の点滅によってデータを通信する。電球はガジェットやおもちゃとも一緒に動作するよう設計されていて、Wi-Fiや本格的無線機能がなくても周囲からデータを読み取ることができる。このテクノロジーは、Visible Light Communication[可視光通信]と呼ばれている。

「可視光通信(VLC)を使えば、部屋に設置されたLED電球は、電球同士あるいは他のVLC機器(おもちゃ、ウェアラブル、衣類等)と通信できる。モノのインターネットの構想には、電球とVLC機器がインターネットプロトコル(IP)経由で通信することが必要だ」と研究者らは書いている。論文はここで読める。

この技術を開発したStefan Mangold研究員は、VLCは単純なシステム・オン・チップと電球があれば使えると言っている。

「光による通信を使えば、無線装置ではなくLEDを装備した消費者電化製品を対話型通信ノードに転換することで、本当の〈モノのインターネット〉が可能になる」とMangoldは言った。「われわれはセンサーやスマートフォンや家電だけの話をしているのではない。LEDを使ったおもちゃをシステムに加えて〈おもちゃのインターネット〉を作るのも簡単で、遠くから監視したり操作したりできるようになる」

LED電球は2進コードを発光するようプログラムすることが可能なので、システムを古い照明システム上に設置して、住宅や様々な物の可視光通信メッシュネットワークを使うことができる。これでイタズラ坊主たちが欲しがるおもちゃは点滅する理由を得るだろうし、音声ベースのチェックサムシステムが出現すれば、妖精バンシーのようにわめきたてることだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook