Appleのデベロッパに広告識別子の規則遵守が義務化, 違反者はApp Storeから拒絶される

Appleが今日(米国時間4/11)、iTunes Connectの一部をアップデートした。これはモバイルのデベロッパが自分のアプリケーションをiTunes App Storeで配布や更新するために使うサービスだが、今回のアップデートでAdvertising Identifier(IDFA)(広告識別子)の使い方に関する規則が変わった。そしてデベロッパは、この規則へのコンプライアンスを、チェックボックスにチェックを入れて示さなければならない。

2月にAppleは、ユニークな識別子を使っているが広告を表示しないアプリケーションを拒絶するようになったが、今回の規則変更はその措置を正規化して、今後は規則に準拠していないアプリが一律に拒絶されることになった。

そもそも、iOSのアプリケーション内で広告を追跡する正規の方法をIDFAにするぞ、とAppleがデベロッパにお布令したのは2013年からだ。

デバイスのユニークな識別子UDIDの段階的廃止が発表されたのが2011年だから、それに続く遅まきながらのルール変更だ。UDIDは、プライバシーや規制などへの配慮から、Appleの製品やアプリのエンドユーザをデベロッパが正確に同定する方法としては今後使うな、ということになっている。

UDIDなどの追跡方法は、Web上のクッキーのような機能がねらいだが、しかしクッキーのようにユーザが自由にコントロール(消去、オプトアウトなど)できない。クッキーの消去のような簡単な方法がユーザに提供されていない。

UDIDの段階的な廃止に伴って、サードパーティ製の追跡方法があれこれもと、たくさん現れたが、iTunes Connectの新しい条文が明記しているように、これからはIDFA, Advertising Identifier, 広告識別子が唯一のオフィシャルな方法だ。

iTunes Connectのその部分は、デベロッパに、“IDFAがターゲット広告を提供する唯一の方法だ”、とアドバイスし、以下の三つのユースケースを挙げている:

  • アプリ内で広告を出す

  • このアプリのインストールを前に出した広告に帰せしめる

  • アプリ内で行われたアクションを前に出した広告に帰せしめる

またデベロッパは、チェックボックスにチェックを入れることによって、自分のアプリケーションと、そのアプリケーションと関わるサードパーティが広告識別子を使うこと、および、エンドユーザによるiOSの”Limit Ad Tracking”(広告追跡を制限する)の設定を尊重することを、確認しなければならない。

自分の関心に対応したいわゆるターゲット広告が出るのがいやなユーザは、この設定を有効にする。これのセット/リセットは、iOSのSettingsアプリの”Settings–>Privacy–>Advertising–>Reset Advertising Identifier“でいつでもできる。おおまかに言えばこれは、ブラウザの設定でクッキーを消去することに、ほぼ相当する。

この変更によって、モバイル上のプライバシーに関するユーザの選択が究極的に尊重されることになるが、また同時に、iOSのデベロッパが消費者のデータを集めて保存して利用しているという政府の懸念を沈静することもねらいだ。IDFAはiOS 6からあるが、しかしその使い方のルールは不明確だった。もともと広告主ではなくアプリのパブリッシャーが使うことがねらいだが、IDFAを広告ネットワークに渡してターゲティングに利用する広告主が多くなり、またデベロッパなどほかの人たちも、広告追跡データを集めていろんな目的…キャンペーンのターゲティング調整やユーザプロフィールの構築など…に利用するようになった。

今度の規則変更でAppleが言いたいのは、アプリにアクセスするサードパーティですら、IDFAを正規にリクエストしてから広告を出す、インストールを数えるなどのことをしろ、ということだ(エンドユーザがIDFAをリセットしていたら、そのことに従わなければならない)。

しかしまだはっきりしないのは、デベロッパは最近ローンチしたOpen IDFAのような別の識別子を、IDFAの代わりに使ってよいのか、という点だ。OpenIDFAはIDFAが対応していない広告関連のユースケースにも一部対応しているし、ユーザのプライバシーにも配慮している(たとえば使用有効期限の設定)。

もうひとつの疑問は、このルールをAppleが果たして網羅的に強制できるのか、ということだ。ともあれ、この条文がデベロッパに対する警告になり、意図的意識的なルール違反は徐々に抑制されるだろう。そしてAppleは、あなたのアプリケーションをApp Storeから拒絶したり取り去る権利を、これからは持つのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Facebook、モバイル広告ネットワークに意欲―サードパーティー・アプリへの広告配信実験を開始

今日(米国時間1/22)、Facebookは公式ブログでサードパーティーのモバイル・アプリにFacebook広告を配信する実験を開始したことを発表した。

広告ターゲティングのために用いられるデータや配信される広告の表示フォーマットなどの詳細は載っていないが(Facebookの広報に問い合わせたところ回答を得た。記事末のアップデート参照)、記事は「この実験はFacebookの強力なターゲティング能力を生かして広告の関連性を高めFacebookへの広告出稿者を助けると同時に、アプリのデベロッパーのマネタイズに寄与する」と述べている。

Facebookはまた「われわれは以前にも同様のテストを実施したが、今回は外部の広告配信プラットフォームを使っていない。Facebookが広告主、パブリッシャーと直接交渉するモバイル広告ネットワーク構築の実験だ」としている。

2012年にFacebookがZynga.comに広告の配信を始めたときにFacebookは広告ネットワークづくりを始めるのではないかという観測が流れたことがある。当時TechCrunchのJosh Constineが「ユーザーのプライバシーに関する懸念があるものの、Facebookは同社の青いロゴ入りの広告を全インターネットに広げたいと考えている」という記事を書いた。

Facebookは限定的な実験であることを強調しており、Zynga.comの場合もそうだったが、これがすぐに大規模に実施されるようになるとは思えない。しかし現在のモバイル広告のターゲティングが一般に限定的であることを考えれば、Facebookがサードパーティーに広告を配信するようになるのは自然の成り行きだろう。Facebookは外部からのユーザーデータをFacebook内の広告ターゲティングに役立てる FBXプログラムも成功させている。

TwitterがMoPubを買収した動機も特定の限定されたアプリ以外からモバイルでの広告収入を得る手段を獲得することだった。

アップデート: 私の問い合わせに対してFacebookの広報担当がメールで次のように回答してきた。「この実験では読者に興味ある広告を表示するために、Facebook内でいいね!したページやプロフィールの関心事項など標準的なターゲティングデータが用いられます。また表示される広告にはFacebook広告のスタイルは用いられず、Facebookが配信していることも表示されません。この実験はFacebookのターゲティング能力がサードパーティのモバイル・アプリの広告の関連性を高めるために役立つことを実証しようとするものです。」

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


iTunesもGoogle Playもかったるい, 「自分の」アプリストアを開きたいならAppGalleriesを利用しよう

InMobiがMMTG Labsを買収してから1年あまりとなる今日(米国時間10/22)、このモバイル広告企業は買収の成果となる初めての大型製品をお披露目した。それはAppGalleriesの新バージョンで、パブリッシャーが自分のアプリストアを作って開店でき、そこに広告も入るというものだ。新バージョンではUIが一新され、パブリッシャーがアプリを選択~校閲する自由度が大きくなった。また、巧妙なアルゴリズムにより、ストアの自動的な在庫充実が可能になった。

これはInMobiのより広範な刷新の一環で、ほかにも、テンプレートを使ったカスタムな広告フォーマットにより、ゲーム、天気予報アプリ、ユーティリティなど各種のアプリの広告を作れるようになり、広告上のクリックを前よりも増やせることが期待できる。

MMTGの協同ファウンダRyan MerketがInMobiのプロダクト担当ディレクターになり、彼によると、ホワイトレーベルのアプリストアをパブリッシャーに提供できるのは良い方向性だ、と言う。それはこれまでAppStoresと呼ばれていたサービスで、そのドメインを今ではInMobiが保有し、AppGalleriesへリダイレクトされる。自分に合ったアプリを見つけるのは難しいから、消費者はどうしても、これまで自分が良いと思ったアプリやブランドの関連製品を一望したいと思う。そういう一望の場所を作れるのが、AppGalleriesの便利なところだ。ただしこれまでMMTGには、強力な収益化モデルがなかった。

“自力でスクラッチ〔ゼロから〕で広告ネットワークを作るのはたいへんだから、買収される道を選んだ。うちのビジョンはVCたちになかなか理解してもらえないだろう、とも思った”、とMerketは語る。“InMobiには、そのビジョンを実現するだけの技術力がある”。

InMobiは、今では独立系広告ネットワークの大手だ。このネットワークのユーザ総数は6億9100万に達する。これは、Merketによると、Facebookに次いで二位である。JumptapとMillennial Mediaを合わせたよりも大きい。InMobiのネットワーク上には30000あまりのアプリとサイトがあり、InMobiが扱う広告はモバイルインターネットの全ユーザの60%、全世界のスマートフォンユーザの40%に達していることになる。InMobiのモバイル広告からダウンロードされたアプリは、5000万ダウンロードに達する。

AppGalleriesをパブリッシャーは無料で利用できるが、そこには自分が選んだアプリだけを‘陳列’できる。またその個人化されたアプリストアの在庫は、InMobiが選んだアプリでやユーザ自身のサイトからのセレクションで自動充填されることもある。Merketの説明によると、たとえばあるブログ記事にあるアプリのリビューが載っていたら、そのブログでリビューされているすべてのアプリをAppGalleriesのストアに集めることもできる。Javaで書かれたアルゴリズムが、そういう自動充填処理を行う。その処理には期間や次元を設定できるので、たとえば本誌TechCrunchがAppGalleriesによるアプリストアを持ったら、“これまでの10分以内に公開されたすべての記事中で言及されているアプリを集める”、といった処理も可能だ。しかもInMobiは記事中のリンクを書き換えて、そのパブリッシャーのAppGalleriesストアへ行くようにもできる。もはや、iTunesやGoogle Playへは行かないのだ!

また、そういうアプリのリンクを有料広告に変えられれば、広告収入が得られる。パブリッシャーが自分の広告を売ってもよいし、InMobiのネットワークからの広告を使ってもよい。ただし最小限一つの、InMobi広告がストアのリスト上に”sponsored”のタグ付きでなければならない。それが、AppGalleriesの利用条件だ。InMobiによると、初期のAppGalleriesのテスト結果では、最大でアプリのダウンロード数が600%も増加し、eCPMも、モバイル広告の平均が1~3ドルのところ、最大で12ドルに達した。

アプリインストール広告はFacebookなどでも成功しているから、そのコンセプトを完全なアプリストアへと拡張し、そこに、そういう広告と選ばれたアプリのリストを混ぜ込むことは、理にかなっている。だからInMobiとしてはAppGalleriesをあらゆるパブリッシャーに、アプリストアの自己店として利用してもらいたい。それはHTML5で書かれているので、モバイルのWebサイトでも、あるいはiOSやAndroidのネイティブOS内でも使える(Windows Phoneなどそのほかのプラットホームについては不明)。そしてそれらは、Webサイト上の広告やスタンドアロンのアプリ、あるいはパブリッシャーのアプリそのもののリンクからでもアクセスできる。

MerketによるとInMobiは今、AppGalleriesの展開をFacebookなど大手ソーシャルネットワークのプラットホーム上でも行いたい、と考えている。まだ具体的には決まっていないが、たしかにFacebookやTwitterやLinkedInなどがAppGalleriesを実装したらおもしろいことになるだろう。今はどこでも、今後の成長源としてモバイルを意識しているから、今後の課題は短時間で飽きられがちなプラットホームにどうやってユーザのエンゲージメントをつなぎとめるか、になってくる。Facebookなど大手SNSにおいても、ユーザの滞留時間の増と、それに伴う広告の効果の増大が、今および今後の重要な関心になるはずだ。AppGalleriesは、上手に作り込めば、まさにその関心に応えるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


NativeXのモバイルターゲティング広告は数百数千の属性を利用して精度をアップ

モバイル広告のNativeXが今日(米国時間8/7)発表した新しいターゲット機能は、同社に言わせると“これまででもっとも正確な層別ターゲット広告技法だ”そうだ。

こんな言い方はマーケティングの世界では昔からありふれているが、でもNativeX(元w3i)によれば、モバイル広告における他社のターゲット手法は、せいぜい一つか二つの属性しか使わない(性別、と、年齢、など)。しかし同社の技術では、数百数千の属性を利用できる。デバイスのタイプと位置だけでなく、年齢、収入、性別、人種/民族、学歴、などなど。だから広告主は、自分が求める正確な層に到達できる。たとえば、“20歳の学生でギャンブルが好き”な層や、“子どもが二人いる働きママ”など。そして、そういう人たちの特性や関心に合った広告を、投ずることができるのだ。

以下に引用する同社の説明は、あまり技術面の詳細はなくて、Justin Bieberの名前が出てくる:

あなたがポスター屋さんで、ポスターを買いたいと思っている100名の女子高校生に訴求するとしましょう。人気者のJustin Bieberのポスター集のカタログを配ったら、20名ぐらいが複数枚買ってくれるかもしれません。でも残りの80名は、好みが分からないので、逃(のが)してしまいます。

NativeXのスマートエンジンは、100名の女の子全員のいろんな要素を調べて、各人の好きなものを見つけます。全員にJustin Bieberのカタログを配るのではなく、一人一人の関心に即したカタログを進呈できます。特定のポスターをたくさん買ってくれるお客さんだけでなく、自分の関心にぴったり合ったカタログを受け取った、たくさんの女の子が、将来のお客になってくれるのです。

同社は匿名のユーザ調査によって、アプリの層別データを集めている。でもこのターゲット技法は、調査をしなくても有効なこともある。初期のテストでは、同社の技術によるターゲット化によってeCPM(広告効果)が500~600%増加した。

〔訳注: 最後のパラグラフの意味が、よく分からない。初期テストでは既知の属性データだけを使ってターゲティングをやった、という意味か?〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))