この月曜(米国時間5/7)からシアトルでBuild 2018デベロッパー・カンファレンスがスタートした。Microsoftはここで人工知能とエッジ・コンピューティングに多大な力を入れている。特に目立ったのは、倉庫管理用の大型産業機器や油井をリモートコントロールするツールなどを含むエッジ・デバイスで作動する多くの既存のAzureサービスへの機械学習の適用だ。
こうしたサービスはひっくるめてAzure IoT Edgeと呼ばれているが、Build 2018で大幅なアップデートが発表された。IoT EdgeはAI、Azure、IoTデバイス向けカスタムアプリ各種からなる。
Microsoftが今日発表したAzure IoT EdgeはMicrosoftのIoT Hubサービスをベースとしているが、Event Grid やKubernetesコンテナのサポートと同時に同社のCognitive Services APIのサポートが発表された。 加えてMicrosoftはAzure IoT Edgeのランタイムをオープンソース化した。つまりデベロッパーは必要に応じてランタイムをカスタマイズすることができるようになる。
今回のハイライトは、エッジ・コンピューティングに対するCognitive Servicesのサポート開始だろう。現在このサービスは限定版となっており、Custom Visionの視覚サービスのみが利用できる。しかし将来は他のCognitive Servicesに範囲を広げる計画だ。このサービスの魅力は明らかだ。大型の産業用機器からドローンまで各種のデバイスがインターネット接続なしに機械学習を応用したサービスを利用できる。視覚サービスの場合であれば、オフライン状態でも機械学習モデルを使った対象の認識が可能になる。
AIに関しては、エッジ・コンピューティングをリアルタイムAI化する新しいBrainwave深層ニューラルネットワーク・アクセラレータ・プラットフォームが発表された。
MicrosoftはQualcommと提携し、IoTデバイス上で機械学習に基づく推論を実行できるAIデベロッパー・キットを発表した。 最初のバージョンはカメラの利用を中心としたものとなる。
Qualcommが最近独自の ビジョン・インテリジェンス・プラットフォームをスタートさせたことを考えれば驚くには当たらない。
IoT Edgeは機械学習関連以外の分野でも多数のアップデートを受ける。Kubernetesのサポートが開始されるのは大きい。またスマートな決断でもある。デベロッパーはKubernetesクラスターをビルドすることによってエッジ・デバイスとクラウドサーバーの双方にまたがるソフトウェアを容易に開発できるようになる。
Microsoftのイベント・ルーティング・サービスであるEvent Gridがエッジでサポートされるのも順当だろう。サービスを協調動作させるためにいちいちリデータセンターのサーバーを経由するのでなしに、エッジで直接ルーティングができればレイテンシーははるかに少なくなるはずだ。
この他、 IoT Edgeではマーケットプレイスの開設も計画されている。このマーケットプレイスではMicrosoftパートナー、デベロッパーがエッジ・モジュールを共有し、収入を得ることができるようになる。また新しいハードウェア認証プログラムでは、デバイスがMicrosoftのプラットフォームと互換性があることをメーカーが保証できる。IoT Edge、 Windows 10 IoT、Azure Machine Learningでは近くDirextX 12 GPUによるハードウェア・アクセラレーション・モデルの評価をサポートするようになる。DirextX 12 GPUはほぼすべての最新のWindowsパソコンで利用可能だ。
〔日本版〕Build 2018のセッションのライブ配信はこちら。Kevin ScottはMicrosoftのCTO。上のアニメでは1982年、高校時代のKevinが登場してマイクロコンピューターこそ未来だと主張する。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)