Metaの社内研究開発グループNPE TeamがグループのためのToDoアプリ「Move」を発表

Metaの社内的な研究開発グループ「NPE Team」が、「Move」という新しいソーシャルアプリをローンチした。これは個人とグループ両用のToDoリストで、ユーザーはこのアプリで、個人でもグループでも何かしらのプロジェクトのために集まり、ToDoリストを作成し、まだ終わってない作業に関する注意や催促などすることができる。従来のToDoアプリと異なるのは、全体がゲーム化されている点で、終わった作業に対してユーザーがポイントを得たり、またアルパカで表現されるアバターに帽子や服、サングラスなどを着せてカスタマイズすることもできる。

その狙いはどうやら、グループへの参加を促すことにありそうだ。たとえばアバターのカスタム化では、グループのどのメンバーが生産性が高かったかを表現できる。たとえばアバターが何もアクセサリーを付けていなかったら、その人はグループのプロジェクトにまだ参加していないといった感じで。それを軽いプレッシャーにして、参加を促すこともできそうだ。

Metaによると、Moveは同社のNew Product Experimentation(NPE)の、まだ小規模の初期テスト段階であり、完成したらコミュニティの事業やクラスのプロジェクトで使われるだろうと考えている。彼らによると、これは一種の「ソーシャルタスキング」ツールであり、グループのToDoがアクセスしやすく、より透明になる。アプリはローンチの前に、コミュニティのリーダーたちにテストしてもらい、フィードバックを得ている。

Moveは、学生のグループプロジェクトや婦人会 / 女子会、同好会、ルームメートたちのToDoリスト、地区会、コミュニティのプロジェクト、あるいは個人のToDoリストや家族の雑用にも使えると同社は提案している。

MetaのNPE Teamは最近フォーカスを変えて、次世代の新しいソーシャル体験を作るよりも、もっとグローバルな視野を持っている。Metaがこれまで投資してきたのは、AIでバーチャルキャラクターを作るデベロッパープラットフォームInworld AIや、元服役者の社会復帰やこれから親になるLGBTQの家族を助ける、特にソーシャルではないアプリだ。同社によると、このようなNPEの方針変更には、小規模な起業家チームへの投資も含まれるという。

Moveの立ち上げは、このグループがソーシャルのプロジェクトを完全に放棄したのではないことを示しているようだ。しかしこのアプリは、12月からのNPEの方針転換よりも前に開発されていた。

アプリは現在、米国のApple App Storeで無料でダウンロードできる。アプリ内支払いやサブスクリプションはない。Metaによると、このファーストリリースからより多くを学びたいという。

画像クレジット:Meta

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(文:Sarah Perez、加筆:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Metaが実験的出会い系動画サービス「Sparked」を閉鎖

Meta(メタ)は、2021年以降、テストを続けてきたビデオを使ったスピードデーティングアプリを終了することを、同サービスのユーザーにメールで伝えた。2021年4月、当時Facebook(フェイスブック)と呼ばれていた同社は、新しいデーティング(出会い)サービス「Sparked」をテストしていることを正式に認めた。同サービスは社内の新製品開発チームであるNPEチームが開発した。ユーザーが相手のプロフィールをスワイプして相手を見つける近年のデーティングアプリと異なり、Sparkedの狙いは、1対1のスピードデーティングによる意外な発見をオンラインサービスにもたらすことだった。

Sparkedでは、デート希望者はあらかじめ決められたイベント中に自身の地域内の人たちと、短時間の「ビデオデート」を繰り返していく。開発チームはシカゴをはじめとする選ばれた地域でサービスをテストした他、1年を通じて何回かの「グローバル」デートナイトや、LGBTQユーザーや特定の年齢グループなどの層に特化したイベントを開催した。

画像クレジット:Meta

Sparkedのユーザーは、まず4分間の短いビデオデートでおしゃべりをして、うまくいけばその後10分間のデートができる。デート希望者は自分の電話番号、メールアドレス、Instagramアカウントなどの連絡先情報を相手に伝えることもできる。

Metaは当時Sparkedについて、ビデオデーティングがどのようなものになるかを評価するための「小規模な社外ベータ」テストだと説明していた。

しかし、2021年夏Sparkedは、ビデオチャットをともなわない別の種類のオンラインデーティングを実験し始めた。オーディオデーティングだ。何回かの「オーディオオンリー」のデートナイトを開催し、そこではユーザーは互いにおしゃべりできるが、ビデオには現れない。偶然ではなく、そのすぐあとFacebookの主要なデーティングサービスである、Facebook Dating(フェイスブックデーティング)も、Audio Dates(オーディオデート)という新機能を公開し、同じように出会った相手とオーディオチャットする仕組みを提供した。

そして今、Sparkedは店じまいしようとしている。同社はテスト参加者宛のメールで、サービスは2022年1月20日に終了することを告げた。

「私たちは2020年の終わりに、みんなが善意に基づく体験を通じて好きな相手を見つける方法の1つとしてSparkedの開発を始めました。以来、みなさんからの絶え間ない助言とフィードバックのおかげで、多くのことを学び、改善し、人と人との繋がりを作ってきました」とメールに書かれている。「多くの優れたアイデアがそうであるように、成功するものもあれば、Sparkedのように、終わらなくてはならないものもあります。

このメールは、Sparkedが「成功」した「多くの優れたアイデア」に入らなかったことを示唆しているようにみえる。

Metaの広報担当者にコメントを求めたところ、Sparkedユーザーにメールで伝えた以上に追加することはないという返事だった。

同社はユーザーに対して、閉鎖される前にSparkedのウェブサイトから各自の情報をダウンロードする方法を提供している。1月20日以降は、全ユーザーのアカウントが削除される。

Metaがこの実験を中止することに驚きはない。NPEチームのプロジェクトの中で、スタンドアロンアプリとしてMetaで永住の地を得たものはほとんどない。これまでに実施してきた中途半端なテストの数々には、通話アプリミームメーカーの他、TikTok(ティックトック)や Twitter(ツイッター)、Clubhouse(クラブハウス)といった人気ソーシャルアプリの類似品もあった。現在、米国App Storeで今も生きているNPEプロジェクトは3つだけ、ラップミュージックに特化したTikTokライクなアプリ、BARS(バーズ)、協力して音楽を作るアプリ、Collab(コラボ)、およびカップル向けアプリのTuned(テューンド)だ。

ちなみに、Facebookによるさまざまなデーティングの取り組みは、先行サービスと比べて成功しているとはいえない。The Verge(ザ・バージ)が2021年春に行ったMetaのFacebook Datingアプリ広告の分析を見ると、Facebookは数百万人のユーザーをさまざまな都市でFacebook Datingユーザーへと転換させることに苦闘している、Facebookアプリ内で直接利用できる機能であるにもかかわらず。

そしてこれに関してMetaはパンデミックのせいにすることはできない。トップクラスのデーティング・アプリは、パンデミック中に人々がバーチャル・デーティングを活用したことで利用が急増し、2021年にもそれが続いた

Facebookは自社のFacebook Datingサービスについて数値を公表しておらず、Facebookアプリの組み込み機能であることから、他の方法で利用状況を知ることはできない。

継続的投資のハードルを越えられなかったに違いないことに加えて、会社が消費者向けの新たなソーシャル体験だけでなく、新興市場にもっと力を入れていく方針を進める中、SparkedはNPEチームの新たなビジョンと必ずしも一致していない。

NPEグループはナイジェリアのラゴスにオフィスを作り、アジアにも人員を配置している。さらに同グループは、小規模な起業家たちにシード・ステージ投資を行うなど新しいアイデアを外部に求めようとしていることを最近発表した

画像クレジット:Sparked

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Metaの実験的アプリ部門NPEの新仮説「次の大きなアイデアは米国市場で生まれるのではないか?」

Meta(旧Facebook)の実験的アプリ部門であるNPE(New Product Experimentation)チームがシフトチェンジしている。2019年半ばに初めて発足した当グループは、新しいソーシャル機能をテストし、人々の反応を測るための消費者向けアプリの構築に注力してきた。

カリフォルニアのメンローパークを拠点としたチームは、長年にわたりデートアプリ通話アプリミームメーカーからTikTokTwitterClubhouseのライバルカップル向けアプリなど、数多くの実験的アプリを始め、引退させてきた。そして今、NPEは、新たな仮説の検証を開始する。それも、大きなアイデアは米国以外の市場から生まれるのではないかというものだ。

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このような潜在性への投資として、NPEは最近ナイジェリアのラゴスにオフィスを開設し、近々アジアにもオフィスを開設する予定だ。また、小規模な起業家チームへのシードステージの投資を行うなど、戦略の調整を行っている。

そのような投資のうち1つはすでに行われている。Metaが最近行った投資で、バーチャルキャラクターを作るAI搭載の開発者向けプラットフォームであるInworld AIへの投資はNPEが主導した。しかし今後は、モバイルインターネットを新しい方法で活用しているスタートアップ企業など、より短期的な可能性を秘めたメタバース関連ではない企業にも投資を行う可能性がある。

Metaはもちろん、今日の普遍的な体験の多くが、最初はニッチなコミュニティから生まれたことを理解している。例えばWhatsAppは、世界中で導入される前に、SMSテキストメッセージが無料ではなかった地域で人気を博した。また、モバイルマネーのイノベーションの中には、東アフリカにおける従来の決済システムの欠如から生まれたものもある。

MetaのNPEチームは、このような未来のチャンスを逃さないために、シリコンバレー以外にも目を向けている。

NPEの責任者イメ・アーチボン氏(画像クレジット:Meta)

MetaのNPE(New Product Experimentation)の責任者であるIme Archibong(イメ・アーチボン)は、Metaに11年間勤務しており、NPEの前にはFacebookの開発者向けプラットフォームでの勤務経験がある。NPEに参加する前は、Facebookの開発者向けプラットフォームを担当し、世界中を飛び回って小規模なスタートアップから大企業の起業家に至るまでとつながりを作っていた。アーチボンは2年前にNPEに参加し、グループを同じような方向性に導いている。

「これは私が10年前にやっていたことと似ています。つまり、起業家や小さなチームを集めて、彼らのアイデアを実現するためのリソース、つまり人材、時間、技術にアクセスしてもらうのです。そしてもちろん、目標は私たちが構築できるアイデアの種のいくつかが、いつの日か非常に大きく育ってくれることです」と彼は説明する。

この新しい方向性を追求するために、チームはアジア、アフリカ、ラテンアメリカの市場に焦点を当てているが、米国ベースのプロジェクトを完全に放棄しているわけではない。だが、その中にはこれまでとは違って見えるものがあるかもしれない。NPEの現在の試みは、立ち上げても人気が出ずにすぐに終了してしまう新しいソーシャルアプリではなく、米国で投獄された人の社会復帰を支援するプロジェクトや、LGBTQの家族が親になるまでの支援を目的としたプロジェクトなどがある。これらは、単なるTikTokのクローンよりも明らかに内容が充実している。

グローバルな舞台に焦点を移すことで、NPEは最初は小さく、もしかすると十分なサービスを受けていない市場を対象にしているかもしれないが、規模を拡大できる可能性のあるアイデアを対象にしていくだろう。

アーチボン氏はこう述べる。「未来は、歴史的に見過ごされ、過小評価されてきた世界のいくつかの地域で築かれると思います。私は、問題、解決策、機会、そして新しい体験は、サービスを提供しようとしているコミュニティに最も近いところにいる人々によって構築されると確信しています」。そしてこのようなソリューションは、長期的には「より耐久力があり、より持続可能で、より実行可能な」ものになるだろうと彼はいう。

この論自体は堅実なものに聞こえる。何しろ、すでに歴史がそれを証明しているのだから。しかしMetaが中小企業からアイデアを「借用」してきたことを考えると、世界の起業家コミュニティがMetaによる投資を歓迎するかどうかには疑問が残る。

MetaがSnapchatのStoriesをコピーして、より大きな製品に成長させたことは広く知られている。同社はSnapchatのBitmojiの自社バージョンを公開した他、現在はClubhouseTikTokNextdoorSubstackのクローンを展開中だ。Phhhotoというスタートアップ企業は、最初にパートナーシップの機会を約束しておきながら、最終的にはPhhhotoの技術(InstagramのBoomerangになった)を独自に構築したとして、Metaを訴えているほどだ。Metaは、コピーしないものは買収した。例えばInstagramWhatsAppGIPHYのような将来のライバルから、tbhMovesのような新進気鋭の企業に至るまでだ。

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Inworld AIは、両者のVRにおけるミッションが緊密に一致していたことから、Metaとの連携に違和感を感じなかったかもしれないが、他のシードステージにあるスタートアップ企業は同じようには感じない可能性がある。しかしアーチボンは、このチャンスをものにする企業は十分に存在すると信じている。

「私は、(Inworld AIの)機会はもっと増えると思います。私たちのような、自分たちがやろうとしていることとミッションが一致した組織、つまり、類似したテクノロジーのトレンドや、新興のプラットフォーム、ユーザーの行動などにかなり力をいれている組織と一緒に仕事をする人々です」と彼はいう。

同社は、どのくらいの期間にどのくらいの資本を投入するかは明らかにしていないが、チーム自体と同様に、その規模は「本当に小さなもの」になるとアーチボンはいう。

画像クレジット:Meta

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

フェイスブックが動画を使った恋人探しアプリ「Sparked」をテスト中

Facebook(フェイスブック)は、ビデオを使った恋人探しアプリ「Sparked」をテストしていることを、このアプリのウェブサイトがThe Vergeによって発見された後、認めた。Sparkedでは「Tinder(ティンダー)」のような大手のマッチングアプリとは異なり、ユーザーは気に入った相手をスワイプして見つけたり、ダイレクトメッセージを送ったりするわけではない。その代わりに、短いビデオデートを繰り返して、相手とのつながりを作っていく。この製品はFacebookの社内研究開発グループであるNew Product Experimentation(新製品実験)チームによって開発されているが、これまで公式に発表されたことはなかった。

「Sparkedは、New Product Experimentationによる初期の実験です」と、FacebookのNPEチームの広報担当者はTechCrunchに認め「私たちは、ビデオファーストの恋人探しが、人々がオンラインで愛を見つけるために、どのように役立つことができるかを探っています」と説明した。

同社はまた、Facebookの製品で得られる体験を向上させるために、このアプリでビデオデートがどのように機能するかについての洞察を得ることを目的とした「小規模な外部ベータテスト」を行っているという。現在、このアプリはアプリストアなどでは配布されておらず、ウェブのみで公開されている。

The Vergeの報道によると、米国時間4月1日にシカゴで開催されるDate Night(デート・ナイト)イベントで、このアプリ体験をテストする準備がすでに行われているようだ。

画像クレジット:Facebook

アプリに登録する際、Sparkedはユーザーに「思いやりを持って」「節度を守って」「姿を見せるように」と指示する。アプリの説明によると、参加者はまず、さまざまな相手と顔を合わせる4分間のビデオデートを繰り返し、お互いに気に入ったら10分間のビデオデートをすることができるようになるという。さらに、電話番号やメールアドレス、Instagram(インスタグラム)のハンドルネームなどの連絡先を交換することも選択できる。

知っている人も多いと思うが、Facebookはいくつかの国や地域で、すでに「Facebook Dating(フェイスブック・デーティング)」と呼ばれるデートアプリを提供している。

Facebook自体の中に組み込まれているこの機能は、2018年にコロンビアで初めて導入され、翌2019年には米国でも提供が始まった。新型コロナウイルス感染流行初期の頃、FacebookはMessenger(メッセンジャー)のビデオチャット機能を利用した仮想デート体験を展開すると発表したが、同時期に市場では、他の多くのデートアプリも、自宅にこもったユーザーにサービスを提供するため、動画に目を向け始めていた。Sparkedの目的が、Facebook Datingの中に用意されるオプションの1つとして導入されることでないのなら、これらのビデオデートアプリと直接競合する可能性もある。

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画像クレジット:Facebook

潜在的なリーチがあるにもかかわらず、Facebookがデートアプリの市場で成功する保証はないと、一部のアナリストは警告している。人々は、Facebookをパートナーとの出会いの場とは考えておらず、今のところSparkedはプライバシー保護の観点からFacebookのメインアプリとは分離されている。つまり、Facebookのネットワーク効果を十分に活用することができず、ユーザーは友人や家族に自分のデートプランを知られたくないと思っている可能性も高い。

Facebookにとってデートアプリ市場における競争は熾烈だ。新型コロナウイルスの感染流行があっても、Match Group(マッチ・グループ)や、IPOしたばかりのBumble(バンブル)のような、大手デートアプリの勢いは衰えなかった。例えばMatch Groupの報告によると、同グループのTinderからの直接収入は、2020年に前年比18%増の14億ドル(約1526億円)に達したという。同社のTinder以外のブランドからの直接収入は、合わせて16%の増加だった。また、Bumbleは公開企業として最初に迎えた四半期で収益予想を上回り、2020年の第4四半期に1億6560万ドル(約180億5000万円)を計上した。

一方、Facebookはデート機能の取り組みに関して、それほど多くを語ろうとしない。同社はサービスを提供している20カ国で15億件以上のマッチングを行ったとしているが「マッチング」はペアリングの成功を意味するものではなく、そもそも実際には、そのような結果は測定されていないのかもしれない。とはいえ、2020年秋になってからようやく欧州市場に導入されたFacebook Datingは、まだ展開が始まったばかりとも言える。

最終的に、NPEチームのSparkedによる実験は、デートアプリのユーザーが、どのような新しい体験をどのように利用したいと思っているか、Facebookが知るための役に立つだろう。

なお、Sparkedが今後、より広範囲に展開されるかどうか、あるいはいつ展開されるのかということについては、Facebookは言及していない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookSNSデートアプリNew Product Experimentation

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックがClubhouseとInstagram Liveを合わせたようなQ&A製品Hotlineのテストを開始

Facebookの国際的研究開発グループであるNPEチームは、米国時間4月7日、Hotline(ホットライン)の最新テスト版をローンチし、公開ベータテストを開始した。これは、Instagram Live(インスタグラム・ライブ)とClubhouse(クラブハウス)を足して二で割ったようなウェブアプリだ。クリエイターがオーディエンスに話しかけることができ、オーディエンスはテキストか音声でクリエイターに質問できる。しかし、Clubhouseと違い音声のみに限定されることはなく、クリエイターが望めばカメラをオンにできる。

不動産投資家Nick Huber(ニック・フューバー)氏が、4月7日、米国東部標準時間午前10時から初めて公にこれを使ったライブ配信を行った。Facebookは、プロのスキルを広めたいクリエイターを後押してくれる人をHotlineの協力者として求めており、ヒューバー氏はその代表だ。同氏は、そのプロのスキル、副収入源としての工業不動産投資の話をした。

Facebookでは、HotlineはEric Hazzard(エリック・ハザード)氏が率いている。ハザード氏は、自ら開発したアプリtbhがFacebookに買収されると同時に同社に加わった。tbhは、わかりやすさを重視したQ&Aアプリで、エグジット前の9週間でアクティブユーザー数を250万人に伸ばし、質問への回答の投稿は10億件を上回った。Hotlineで、ハザード氏は再びQ&Aスペースで製品開発を行うこととなった。

だが今回の新開発アプリは、新進気鋭のソーシャルネットワークClubhouseの影響を受ている。実際、Hotlineのユーザーインターフェイスは、ClubhouseやTwitterのSpaces(スペース)といった音声のみのソーシャルネットワークを使ったことのある人なら、モバイル機器で開いたときに、どこかで見た感じがするはずだ。モバイルの画面のトップ(デスクトップ版は左側)には、イベントのホストが丸いプロフィールのアイコンやライブ配信映像が表示されるスピーカーセクションがある。画面下部(デスクトップ版は脇)には、イベントのリスナーが現れる。

しかしHotlineには、Clubhouseなどの既存アプリとの相違点がいくつもある。

画像クレジット:Facebook

たとえばリスナーのセクションでは、見ているだけの人(プロフィールアイコンで表示される)と、質問をする人とが分けられている。このセクションの上部には、ユーザーからの質問の一覧が示され、見ている人はそれぞれに支持票、不支持票を投じることができる。クリエイターはそれを見て、次に対応すべき質問を選べる。また、質問者をステージに引っ張り上げて会話することもできる。

現段階では、ユーザーは質問を打ち込んで、自分の番になったら「ステージ」でホストと合流できるようになっている。今のところ、ゲストはプロフィールアイコンで表示され、ステージでは音声のみ。設定にはリスナーが映像を有効にできるオプションがあるが、今回のテストでは機能していない。

質問が入ると、ユーザーは拍手、炎、ハート、笑い、驚き、親指サインの絵文字でリアクションできる。

画像クレジット:Hotline

ホストは、イベントの全管理権を握る。質問の順番待ちリストから不適切なものを削除したり、イベントから人を追放したりが許される。初回のテストにあたっては、Facebookの従業員がモデレーターを務め、Facebookのコミュニティ規定利用規約データに関するポリシーNPEチームの補足条項に違反する人間を排除することになっている。

もう1つ、HotlineとClubhouseの注目すべき違いに、Hotlineではイベントが記録されるという点がある。

現在、Clubhouseでは、ユーザーは会話の記録や録音はされないとた知っているため、気楽なおしゃべりが楽しめている(ホストがルームのタイトルに記録の旨を示していない場合に限る)。こうすることで、参加者は安心して自由な会話ができるというのが、Clubhouseの方針だ。しかしHotlineでは、自動的に録音録画が行われる。イベント修了時、ホストにはMP3とMP4の2つの形式で記録ファイルが送られる。クリエイターは、これをYouTubeやFacebookなど他のネットワークで公開したり、編集で短く詰めてTikTokなどのアプリに使ったりできる。音声はポッドキャストなどに利用することも可能だ。

ローンチ時点では、Hotlineには誰でも無料で参加できる。オーディエンスの人数に制限はないが、実験が進むにつれて変更される可能性もある。

Clubhouseとの類似性はあるものの、Hotlineには、映像、テキストベースの質問、投票方式を導入したことで、また記録がされることで、雰囲気は異なる。気楽な溜まり場というよりは、専門家が進行し、オーディエンスの質問を受けるというプロフェッショナルなイベントの雰囲気だ。

Hotlineは、NPEチームがクリエイターの世界に向けて、音声と映像を使ったさまざまなアイデアの実験としてローンチしたアプリの1つに過ぎない。同チームでは、Cameo(カメオ)に似たSuper(スーパー)のテストを続行する。これはクリエイター向けの完全な映像ウェブアプリだ。音声のみのアプリCatchUp(キャッチアップ)のテストも以前に行っていたが、2020年中止した。Venue(ベニュー)とい名で知られていた別のQ&A製品もあった。これは、ライブイベント用のTwitterによく似たコンパニオンアプリだ。最近では、TikTok風の動画アプリCollab(コラブ)とBARS(バーズ)もローンチしている。前者は音楽、後者はラップのコラボを行うものだ。

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NPEチームのプロジェクトは、時間とともに、必ずしも独自の独立したアプリを作り出すことではなくなってきたが、十分な人気を獲得できたなら、その可能性は残る。だが、これらのテストと実験から学んだことには、Facebookの今後の製品開発に活かされ、Messenger RoomsやFacebook Liveといった既存の製品の新機能の構築に役立てられるという、もっと大きな意味がある。

Facebookは、Hotlineのローンチに関して公式な発表は行っていないが、今回のテストに関する声明を出している。

「Hotlineでは、専門家が自分で事業を構築してきたときと同様に、人々が専門家からプロのスキルなどの知識を学べるよう、インタラクティブなライブのマルチメディアQ&Aをどう役立てたらよいかを見極めたいと思っています」と広報担当者はいう。「New Product Experimentation(NPE、新製品実験)では、CatchUp、Venue、Collab、BARSといったマルチメディア製品をテストしてきましたが、これらのフォーマットが今後も人と人をつなぎ、コミュニティを構築する一助になれることを知り、勇気づけられました」。

Hotlineは、Clubhouseに対抗するFacebookの唯一の策ではない。Messenger Room内で使えるClubhouseのライバルも開発中だと、Facebookは認めている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FacebookClubhouse音声ソーシャルネットワークNPE

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(文:Sarah Perez、翻訳:金井哲夫)