2015年にUberが自動運転車を開発しているという記事が出た。今年に入ってUberはピッツバーグで自動運転車をテスト中だと公表した。しかしここ1年半でわれわれがUberの自動運転車について得た情報は他にはほとんどなかった。
この分野のリーダー、 Googleは遅い歩みながらも着実に進歩を続けている。これに対して自動運転車という敵味方が混沌としたフレネミーの世界でUberの出遅れはひどいものだと人が思ったとしても責められない状況だった。
しかし事実はそうではなかった。
自動運転でUberは驚くべき進歩を遂げていた。Uberは100万人以上のドライバーをかかえているが、将来これをコンピューターに置き換えようと真剣に考えている。Uberのドライバーには悪いニュースだ。
Bloombergの取材に対して、UBerのファウンダー、CEO、Travis Kalanickは「今月、ピッツバーグで自動運転車を実際の営業車両に加える」と述べた。
Uberが使用するのは自動運転用にカスタマイズされた100台前後のVolvo XC90で、 それぞれの車両には必要があれば即座に運転を代わることができるドライバー・エンジニアと詳細な記録を取るナビゲーター役の2名が乗車する。また車のトランクには運行の記録とマップデータの取得を行う液冷コンピューターが鎮座するという。
ピッツバーグでたびたびUberを利用する乗客は自動運転車を体験するチャンスが十分にあるわけだ。自動運転車に乗った場合、料金は無料だという。
Uberの自動運転車計画の詳細についてはまったくといっていいほど情報がないが、Bloombergの取材で明らかになったのはGoogleのように自動運転車をゼロから開発するのではなく、既存の車に自動運転キットを後付けする道を選んだことだ。
この目的のためにUberは密かにOttoを買収していた。同社はトラックの自動運転化を目標として今年設立された有望なスタートアップだ。Ottoのテクノロジーは既存のトラックに適用されるもので、Bloombergによれば、lidar(レーザーによる目標検知)システムを用いるという。Uberの自動運転車にはOttoのlidarが使われる。
Ottoの買収は単に期待の高いスタートアップの買収というに留まらず、人材獲得の面で影響がきわめて大きい。
Ottoの共同ファウンダーは元Google社員のAnthony LevandowsとLior Ron、それにDon Burnette、Claire Delaunayだ。 LevandowskiはGoogleの自動運転車のリーダーだった。RonはGoogleマップとMotorola事業の幹部で、他の共同ファウンダーもApple、Teslaなど自動運転車の開発で有名な企業に勤務していた。
買収は早ければ今月中にも完了する。その後、LevandowskiはUberの自動運転車チームの責任者となる。自動運転のテクノロジー開発を加速するためにUberでは新たなR&Dセンターを2箇所オープンするという。
Bloombergのインタビューに対してLevandowskiは「プロダクトをいち早くローンチできるチャンス〔を得たからだ〕」とGoogleを去った理由を説明している。
LevandowskiはKalanickを「異母兄弟のようだ」と評しているが、これはGoogleの自動運転車開発が慎重に過ぎてスピードが遅いことに不満があったことを示すものかもしれない。Uberの自動運転への動きははるかに速く、大胆なようだ。
Uberの自動運転プロジェクトの成否については今後に待つしかないが、少なくとも結果の一部はすぐに分かりそうだ。
画像: Uber/Bloomberg
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)