Android Automotive初搭載EVのPolestar 2は駆動性と楽しさでTesla Model 3を上回る

私はTesla Model 3(テスラ・モデル3)よりもPolestar 2(ポールスター2)の運転を楽しんでいる。Polestar 2は、より快適で、より良い作りになっているように見えるし、車内エンターテインメントシステムもより優れている。ただし、従来の自動車の評価基準からすると、Polestar 2はいい車だが、Tesla Model 3よりもお勧めするのは難しい。

Polestar 2は、Tesla Model 3の弱点を突いている点では優れている。Polestar 2は、スウェーデンのラグジュアリーブランドとパートナー関係にあるため、フィット感と仕上げはBMW、Mercedes(メルセデス)、Volvo(ボルボ)に匹敵する。

しかし、この車にはテスラの魅力的なエコシステムに匹敵するものがない。Polestarは自社のEV充電ステーションのネットワークを持っておらず、同社が無線アップデートで斬新なソフトウェア機能をロールアウトするかどうかは不明だ。テスラには、刺激的かつ魅力的なブランド文化があり、この点は車を購入する際に十分考慮する価値がある。

ファーストインプレッション

私はPolestar 2で、郊外やミシガン州の未舗装路を走り回った。高速道路でも運転し、買い物にも使うなど長い朝を過ごした。数時間運転したあと、バッテリーにはまだ120マイル(約193km)走行できる残量が残っていた。

EPA(米環境保護庁)はPolestar 2の航続距離の評価をまだ発表していないが、Polestar自身はフル充電で275マイル(約442km)まで走行できると発表している。実際に私が試乗した限りではもう少し短い250マイル程度(約402km)だった。とはいえ、この車に乗っていた短い時間に未舗装路を走ったり、スピードを出して運転したことが原因かもしれない。ちなみに曲がりくねった未舗装道路は、AWDシステムと49/51の前後重量配分のおかげで乗り心地はよかった。

Polestar 2は素敵な車で品質も最高だ。ドアはバタンと音を立てて閉まり、シートは支えがあって快適で、ダッシュボードはリサイクル素材で作られている。高級であると同時に環境問題に対して責任をもつなど、まるで成熟した自動車会社が作った車のようだ。

私はPolestar 2がいかによくできているかを詳しく説明することができないが、この完成度はPolestarとボルボとの密接な関係によるものだろう。

3年前にボルボとGeely(ジーリー)の2社の合弁でスタートしたPolestarは、すぐに独立して独自の自動車メーカーとなった。とはいえ、独立後も両社との関係は深い。同社は、ボルボ、ゼネラルモーターズ、BMWと同様に、自動車のOEM(相手先ブランドでの生産メーカー)とみなされており、車体番号、製造施設、経営陣などは独立している。

Polestar 2は、同社の第2世代モデルだ。同社は15万5000ドル(約1650万円)のハイブリッドスポーツカーのPolestar 1からスタートしたが、限定1500台の生産でこの3年で北米に輸出されたのはわずか450台だ。数週間前に市販のPolestar 1に乗ってみたが、パワートレイン(駆動システム)が素晴らしいことがわかった。ハイブリッドシステムは、最高のスポーツカーと同じレベルの優れた車になるようにチューニングされていた。

Polestarによると、同社の車は運転が楽しくなるようにデザインされており、2つタイプに分かれているという。ハイブリッドのPolestar 1は、パワフルで力強い運転ができる。全電気式のPolestar 2はPolestar 1とは当然異なり、運転者の楽しみに合わせて調整されている。前述のようにPolestar 2はTesla Model 3よりも運転しやすい車だと感じた。

Polestar 2の電気モーターは、制御された状態で動力を供給する。電気式のPolestar 2は、ギクシャクした感じはなく滑らかで洗練されている。アクセルを踏み込むと徐々にパワーを蓄え、ゆっくりと始動して素早く加速する。5秒以内に時速60マイル(約96km)を叩き出すことができるので、ファミリーカーとしては十分な速さだ。私の経験では、Model 3の電力供給は加速の瞬間に多くの電力を供給するようにチューニングされている。Model 3は非常に速いのだが、標準モードでも一部の人には速すぎるかもしれない。

Polestar 2とModel 3の加速の違いは、微妙だが本質的なものだ。Model 3は、ドラッグレースではPolestar 2を抜き去ることができるが、それはほとんどのドライバーには関係ないだろう。私にとっては、少し遅くても十分に速いPolestar 2のほうが運転していて楽しい。

Polestar 2では、安定して曲がれるし、アンダーステアもまったくない。最高の4ドアセダンのような制御性能を備えている。これにはいくつかの理由がある。1つは、車重のバランスがほぼ完璧で、フロントが49%、リアが51%になっている点。そして、その重量のほとんどがバッテリーが配置されている車の底部に集中しており、車体の揺れを軽減している。もう1つは、各車軸に搭載された電気モーターがAWDシステムを介して素晴らしいトラクション(牽引力)を生み出している。

私は数時間しか乗っていないので「Polestar 2を毎日運転するのはどうなのか?」と聞かれたら「まだ何とも言えない」としか答えられない。しかし、後部座席は中型車にしては十分な広さで、床面積はTesla Model 3よりも充実しているように感じた。ハッチエリアは広く、フロントには小さな収納スペースがある。

Polestar 2では航続距離が欠点になるかもしれない。Tesla Model 3と比較すると、Polestar 2の航続距離は短いのだ。Model 3はフル充電で322マイル(約518km)を走行できるが、Polestar 2の航続距離は約275マイル(442km)だ。興味深いことに、Polestar 2はModel 3よりも大きなバッテリーパックを搭載している。しかし、Polestar 2はガソリン車にも使用されているボルボ/Geelyのプラットフォーム上に構築されており、車体が重いことも航続距離に影響しているのだろう。

Polestar 2には、ボルボのデザイン言語のヒントが随所に見られる。私にとっては、未来的でシックなデザインでとても気に入っている。存在感と落ち着きがあるほか、ボディーは滑らかでありながら角張っている。内装も同じで実線とシャープな曲線で構成されている。

PolestarのCEOであるThomas Ingenlath(トーマス・インゲンラート)氏は、長年のカーデザイナーであり、Polestar 2が彼の影響を受けていることは明らかだ。デザインは、Polestarを体験するうえで最も重要なポイントだろう。インゲンラート氏は、Volkswagen(フォルクスワーゲン)グループのAudi(アウディ)やSkoda(シュコダ)で同様の役職を歴任した後、Polestar入社前はボルボのデザイン担当上級副社長を務めた人物だ。

Polestar 2のインテリアは、ほかの車よりも必要最低限のシンプルなものだがModel 3よりは少し複雑だ。ハザードライト、ラジオのスイッチ、後部エアコン、前部エアコン、音量調節ノブなど、物理的なボタンはほとんどない。ステアリングホイール(ハンドル)の左右にある2本の軸がこれらの機能を制御する。ステアリングホイールはボルボの最新の車から供給されたもので、メディアコントロールとクルーズコントロールが利用できる。

センタースクリーンは大型で見やすく見やすい位置に配置されている。Polestar 2で数時間走行した際に不快な眩しさは経験しなかった。なお、写真ではセンタースクリーンが薄暗いが、これは運転席から離れるとバッテリーを節約するために画面を暗くする仕様のためだ。

結局のところ、製造品質が最も重要であることに変わりはない。Polestar 2はModel 3のようにリスクを感じない。Model 3にはこれまで、数多くの設計上および製造上の問題があった。Polestar 2はスタートアップ企業の第2世代の車ではないと感じる。

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Android AutoではないAndroid Automotiveを搭載

Polestarは、Android Automotiveを提供する最初の企業だ。従来のAndroid Autoとは異なり、Polestar 2の主要なインターフェースになっている。ラジオから気候情報、車両の設定や地図、アプリ、コネクテッドサービスまで、すべてを制御するシステムだ。

Android Automotiveは素晴らしい。インターフェイスはすっきりとしていて、最高のスマートフォンのように反応がいい。すべての機能を利用するには、ユーザーはGoogleアカウントにサインインする必要がある。普段使っているメインアカウントにログインしてもしい、Polestar 2のためだけに別のアカウントを作成していいだろう。いずれにしても、一度サインインするとGoogle Homeアカウントに接続されているデバイスを含め、地図、アプリ、その他のサービスに接続することができる。もちろんAndroid Automotiveは、Googleアカウントにサインインしなくても使用できる。このステップをスキップしてもユーザーはほとんどの機能にアクセスできるが、一部のパーソナライズオプションは利用できない。

Android AutomotiveはGoogleアシスタントを内蔵している。そして、私がこれまで使った車内音声サービスの中で初めてうまく機能した。「OK、Google、Spotifyをオンにして」と言うだけでSpotifyを使える。場所を伝えれば、その場所を表示してくれる。温度を変更するように頼むと、Android Automotiveが車載のエアコンを制御してくれる。いくつかの機能はネット接続が必要になるが、ほとんどの車内設定はネット接続なしで使える。

私がPolestar 2に乗っている間、Android Automotiveには本当に感銘を受けた。使い勝手を考えてUI/UXが論理的に設計されている。なお、このシステムは近々ほかの車にも導入される予定で、前述のようにPolestarはシステムを導入した最初の自動車メーカーにすぎない。

Android AutomotiveはiOSデバイスでも動作するようだ。Polestar 2は近日中に無線アップデートでCarPlayにも対応する。iPhoneユーザーはBluetooth接続でAndroid Automotiveとペアリングできるようになる。

Polestarとテスラ、どちらを選ぶべきか

私はPolestar 2に感銘を受けたものの、全力でお勧めするのは難しい。私にとっては、航続距離が短くてもModel 3よりも優れた車だと感じる。しかし、Polestar 2には欠けているものがあるのだ。

テスラ車にはさまざまな欠点があるものの、テスラは革新的ないくつかの事業を展開してきた。全国に充電ステーションのネットワークを構築し、ソフトウェアアップデートで常に新しい機能を提供し、オーナーに喜びと感動、そして驚きを与えている。例えば、犬だけを車に残しても適切に温度管理してくれるペットモードなどがある。同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏のTwitterアカウント宛てにペットモードが提案されたあと、テスラはすぐにセンタースクリーンに情報を表示しながらオーナーがペットを安全に車内に待機させておけるモードをロールアウトした。これはほんの1つの事例に過ぎないが、テスラ車の乗車体験について理解しやすい内容だろう。Polestarが同じような乗車体験をPolestar 2で提供するかどうかは不明だ。実際のところ、その可能性は低いと考えられる。

PolestarはModel 3ではなく、むしろテスラに対抗して販売している。テスラ車を購入するということは、その車を補完する各種サービスのエコシステムを購入することだ。テスラは車がライフスタイルの選択肢の1つであることをよく知っており、素晴らしい文化を築いた。

Polestarの幹部は、自分たちが苦しい戦いをしていることを理解しているようだ。一方では、同社はテスラのエコシステムや文化と戦っており、同社はテスラの足跡をたどっているようにも見える。同社は、ディーラーでの車の販売を止め、テスラの直営店のように高級ブランド店が並ぶ有名なショッピングエリアのような注目度の高い場所に店舗をオープンさせている。まさにテスラのショールームと同じだ。テスラと異なるのは、購入者がより早く車を入手できるようにするため、これらの店舗はボルボのディーラーが所有しており、販売とサービスを手掛ける。

Polestarは、テスラではなく欧州ブランドの高級中型車に対抗して販売している側面もある。少なくとも同社は公式にそう説明している。これには一理あるだろう。Polestar車の製造品質はテスラよりも優れており、ヨーロッパの最高品質と同レベルだからだ。

結局のところ、Polestar 2はTesla Model 3よりも優れているのか?答えは「イエス」だ。しかし、どちらを買うかを決めるのは複雑な問題も絡み合う。

Tesla Model 3は、充電でより遠くまで走ることができ、テスラのスーパーチャージャーネットワークとシームレスに統合されている。これは購入時に考慮すべき重要な要素だろう。新しい機能を展開し続けるというテスラの方針は車を常に最新で刺激的な状態に保てる。こちらも購入者にとってもは見逃せないポイントだ。

Polestar 2はModel 3よりも価格が高いが、同じ価格帯の車だと言える。各種装備を整えたPolestar 2の価格は6万ドル(約640万円)前後から、同様のスペックを備えるModel 3の価格は5万ドル(約530万円)前後からとなっている。ただし米国では、Polestar 2は7500ドル(約80万円)の税額控除の対象となる。

テスラはさておき、PolestarはPolestar 2という素晴らしい車を作っており、これは賞賛されるべきことだ。この自動車会社は3年前に設立され、世界中に800人の従業員がいるだけで、まだ世界レベルの自動車を作る段階には至っていない。にもかかわらず、このような展開ができる自動車会社はほかにほとんどないだろう。そしてPolestarには将来の大きな計画がある。SUVのPolestar 3を2022年に発売する予定で、まったく新しいプラットフォームで航続距離もずっと長くなるそうだ。

いまは、Polestarが車を作ったという情報を周知させることが最も重要だ。

画像クレジット:Matt Burns

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(翻訳:TechCrunch Japan)

テスラのライバルPolestarが2020夏発売する初EVの米国価格は約640万円

Volvo(ボルボ)のスピンアウト電気自動車ブランドPolestar(ポールスター)は、同社初の電気自動車(EV)の米国でのベース価格が当初考えていたよりも低い5万9900ドル(約640万円)になると明らかにした。

高パフォーマンスの電動ファーストバック車Polestar 2は、3年前に再スタートを切った同ブランドから最初に発表されたEVだ。かつてVolvo Carsの高パフォーマンスブランドだったPolestarは2017年にパフォーマンスEVブランドとして立ち位置を変えた。目的は、エキサイティングで楽しい運転となる電気自動車を作ることだ。このニッチな分野はTeslaが最初に切り開いて以来、同社が独占している。

Polestarの車は低めの価格や税制上の優遇措置、顧客がオンラインで購入できることなどから、米国マーケットへの参入を成功させる上で有利な立場にある、とPolestar USAの責任者Gregor Hembrough(グレゴール・ヘンブロー)氏は述べている。カリフォルニアやニューヨークなどを含むいくつかの重要なマーケットでも、米国での販売価格はインセンティグが適用される額を下回っている。

PolestarはPolestar 2についてここ数カ月間、情報を小出しにしてきた。そのうちの1つが欧州での価格で5万8800ユーロ(約680万円)〜となる。同社は4月23日に、顧客に提供するさまざまなオプションの価格も明らかにしており、パフォーマンスパックが5000ドル(約54万円)、ナパ革インテリアへのアップグレードが4000ドル(約43万円)、20インチのアロイホイールが1200ドル(約13万円)だ。

Polestar 2はTesla(テスラ)のModel 3の競合相手になると見込まれる。この2つの車両の価格は7500ドル(約80万円)の税額控除を受けられる米国のインセンティブが考慮されなければ同様ではない。Polestar 2はインセンティブの対象だ。一方、Teslaは既に20万台販売済みのためこれ以上連邦税のインセンティブを受けることはできない。

インセンティブなしでみるとPolestar 2のベース価格は、Model 3パフォーマンスバージョンの5万6990ドル(約610万円)〜を上回る。

Polestarは2020年夏にも発売を開始する見込みだが、それまではどのようにModel 3に対抗するのかわからない。

Polestarは、ファーストバック車のテックと高パフォーマンスのスペックで消費者を引きつける狙いだ。最大出力408馬力、最大トルク487ポンドフィートそして欧州WLTP基準で航続距離292マイル(約470km)を生み出す78kWhのバッテリーを搭載する。EPA基準での航続距離はまだ発表していない。

Polestar 2のインテリア。 Google(グーグル)のAndroid  Automotiveオペレーティングシステムを搭載する。

Polestar 2のインフォテイメントシステムはAndroid OSで作動し、その結果、GoogleアシスタントやGoogleマップ、GoogleプレイストアなどのGoogleサービスが搭載されている。Android Autoと勘違いしないで欲しい。こちらはOS上で提供されるインターフェースで、Android OSはLinuxで動くオープンソースのモバイルオペレーティングシステムを模倣したものとなる。しかしスマホやタブレットを動かす代わりに、Googleは車で使用できるように手を加えている。

Volvo Car Groupと中国のZhejiang Geely Holding(浙江吉利控股集団)が共同所有するPolestarは、新型コロナウイルス(COVID-19)による外出禁止命令が解除されたら、Polestar Spaceというショールームをオープンさせる計画だ。最初のショールームは米国西海岸とニューヨークで2020年夏にお目見えする、と同社は話している。Polestar 2は50州で購入またはリースできるようになる見込みだ。

画像クレジット:Screenshot/Polestar

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(翻訳:Mizoguchi

ボルボは完全電気自動車Polestar 2を中国で生産開始

Polestar(ポールスター)は、COVID-19のパンデミックで自動車産業が大打撃を受け、世界中に自動車工場の閉鎖の波が広がる中、完全電気自動車Polestar 2の生産を中国の工場で開始した。

Polestar 2の生産開始は、Volvo Group(ボルボ・グループ)傘下の独立した高性能電気自動車ブランドであるPolestarにとって重要な一歩となる。それは、世界が新型コロナウイルスが引き起こす感染症COVID-19による大騒動の真っ只中に開始したというだけの理由ではない。ちょうど3年前、新たな使命を帯びて再出発したボルボの名前で売り出される初の完全電気自動車だからだ。

かつてPolestarは、Volvo Cars(ボルボ・カーズ)の高性能車のブランドだった。2017年に同社は、エキサイティングで運転が楽しい電気自動車の製造を目指すブランドとして再編成された。そこはTesla(テスラ)が最初に製品を投入して以来、独占状態が続いているニッチな市場だ。Polestarは、Volvo Carsと中国の浙江吉利控股集団が共同で保有する企業だ。2010年に、Volvoはこの吉利に買収されている。

COVID-19は、Polestarとその親会社の事業に影響を及ぼした。世界で最初にこの感染症が猛威を振るった中国で工場閉鎖が始まった。現在、COVID-19の流行の中心が欧州と北米に移り、中国の工場は再開されている。だが欧州と北米の自動車メーカーは、ほとんどが生産を見合わせている。

PolestarのCEO、Thomas Ingenlath(トーマス・インゲンラス)氏は、従業員の健康と安全にしっかりと配慮した上で、この厳しい状況の中で生産を開始したと話している。また、中国の路橋区の工場は、同社がいかにしてその親会社の専門性を活用しているかを表す好例だと言う。

集団感染に対処すべく、頻繁な職場の消毒や従業員のマスク着用と定期的な体温測定の義務付けといった特別な感染予防対策が施されているという。こうした取り組みの結果、中国人従業員にはCOVID-19の検査で陽性になった者はいないとPolestarは話している。

COVID-19は、Polestarのスケジュールにも影響を及ぼした。同社はオンラインでのみ車の販売を行い、車両のサブスクリプションも提供することに決めた。以前は客が車に触れ、予約すれば試乗もできる「ポールスター・スペース」というショールームの開設予定を公表していた。これは、既存のVolvo販売店の中に併設されるのではなく、独立したショールームだ。Polestarでは2020年までにオスロ、ロサンゼルス、上海など60カ所にオープンすることにしていた。

そのショールームのオープン予定が、COVID-19によって延期させられてしまった。しかし状況が改善すれば、直ちに仮設の販売店を開設し、現在まだ建設中の恒久的なショールームができるまでの間、人々に実車を見て知ってもらおうと同社は計画しているとのことだ。

Polestar 2が何台生産されるかは、明らかになっていない。PolestarがTechCrunchに話したところによると、年間「数万台」が計画されているという。その数はPolestar 2の需要と、同じ工場で生産される他のモデルとの兼ね合いでも変わってくる。

画像クレジット:Screenshot/Polestar

またPolestarは、出荷を開始するまで正確な予約台数は公表しない。出荷はヨーロッパでは今夏、中国と北米がそれに続くことになっている。予約台数は5桁だと、同社はTechCrunchに明言した。

Polestar 2が初お目見えしたのは2019年2月。テスラのModel 3に対抗する車という位置づけだった(初代のPolestar 1はプラグインハイブリッドで、モーターを2基、34kWhのバッテリーパックを3基、ターボとスーパーチャージャーを備えた直列4気筒のガソリンエンジンを搭載していた)。

だが、2020年から2021年にかけてVolkswagen(フォルクスワーゲン)、GM、Ford(フォード)それにLucid Motorsなどのスタートアップ、さらにオフロードに特化したRivianといった他メーカーから販売される新型電気自動車とも競合することになりそうだ。

出力408馬力、トルク487ft·lb(約660Nm)、78kWhのバッテリーパック1基を搭載し、航続距離は欧州のWLTPモードで292mi(約470km)というこのファストバックスタイルの車の技術と性能が人々を魅了するものと、ポールスターは期待している。

Polestar 2の情報システムは、Android OSで管理されるため、結果としてGoogleアシスタント、Googleマップ、Google Play StoreといったGoogleのサービスが車内で利用できるようになる。Android Autoと混乱することはない。Android AutoはOSの上層に位置する二次的なインターフェイスだからだ。Android OSは、Linux上で走るオープンソースのモバイル用オペレーティングシステムを元に作られているが、スマートフォンやタブレットではなく、自動車の中で使うように作り変えられている

画像クレジット:Screenshot/Polestar

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:金井哲夫)

Android Autoの新バージョンは使いやすさと安全性を強化

Googleは車載用プラットフォーム、Android Autoのアップデートの配信を開始している。今回のバージョンはドライバーにとっての使いやすさと安全の向上を目指している。

このバージョンは2019年のGoogle I/Oで紹介されていた。ダークテーマ、新しいフォントと強調色、Googleのバーチャルアシスタントのさらなる活用といった新機能があり、車載用として増えつつある横長のディスプレイに対応している。

2015年にリリースされたAndroid Autoはオペレーティングシステムではない。オペレーティングシステムの上に重なっている二次的なインターフェイス、あるいはHMIレイヤーと言えるもので、スマートフォンのルック&フィールを車内の画面に対応させたものだ。

自動車メーカーは、かつてはAndroid AutoやアップルのCarPlayを車に取り入れることには慎重だった。しかしAndroid AutoのプロダクトマネージャーのRod Lopez(ロッド・ロペス)氏によれば、現在、Android Autoは50ブランド、500種類以上のモデルで利用できるという。

Android Auto対応の車のオーナーは、今後数週間以内に新しいデザインを目にすることになる。ただし、Android Autoと互換性のある車を所有していなくてもこのプラットフォームを利用できるスマートフォンアプリのAndroid Autoは、アップデートされない。Googleは、将来的にはスマートフォンアプリをAndroid AutoからGoogle Assistantの新しい運転モードへと「進化」させる計画であるとしている。

車載用バージョンには重要な変更がある。特に重要なのは、これまで以上に指先ではなく声でAndroid Autoを操作できるようになったことだ。また、Android AutoにはGoogle Assistantのバッジが表示され、これをタップするとカレンダーの情報を確認したり、天気予報やニュースを聞くことができる。

ほかには、何度もタップしなくてもよく使うアプリにアクセスできるアプリランチャーが登場する。画面左下のボタンからこの機能を利用できる。アプリランチャーの画面にはアプリのアイコンが表示され、よく使うものが上の行に並ぶ。

Android Autoでおそらく最もよく使われているカーナビ機能も改良されている。ナビゲーションバーが画面の下部に表示され、ほかのアプリを同時に使える。このため、Spotifyを聞いていても道を間違えることはなくなるだろう。

ナビゲーション機能は、ドライバーがAndroid Autoを接続するとすぐに表示される。スマートフォンでルートを調べてあれば、Android Autoは自動でルートを設定する。

この最新バージョンでは、右下に新しい通知ボタンもあり、電話の着信、メッセージ、アラートが記録される。ドライバーはマイクのボタンをタップするか「Hey Google」と話しかけてGoogle Assistantを呼び出し、電話の発信、メッセージの送信、通知の読み上げをさせることができる。

Googleは、Android Automotive OSというオペレーティングシステムも開発している。これはLinux上で動作する同社のオープンソースのモバイルオペレーティングシステムをモデルにしている。スマートフォンやタブレットではなく、車で使えるようにGoogleが手を加えた。ボルボ傘下のパフォーマンスブランドであるポールスターは新たに電気自動車のPolestar 2を生産するが、これにはAndroid Automotive OSを利用したインフォテインメントシステムが搭載される。

画像:Google

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(翻訳:Kaori Koyama)

GoogleがAndroid Automotive OSをSpotifyなどメディアデベロッパーに一般公開

Googleは、自動車のインフォテインメントシステムのために音楽などのエンターテインメントアプリを開発するデベロッパーに、同社のAndroid Automotiveオペレーティングシステムを一般公開する。その手始めの車種は、VolvoのEV子会社PolestarのPolestar 2だ。

Googleの水曜日(米国時間5/1)の発表によると、5月7日に始まる同社のデベロッパーカンファレンスGoogle I/O 2019以降、メディアアプリのデベロッパーはAndroid Automotive OSとPolestar 2向けのエンターテインメント体験を制作できる。

GoogleはSpotifyやそのほかのエンターテインメントサイトなど、メディアアプリのデベロッパーたちと作業を開始しているが、同社はそんな関係をナビゲーションなどそのほかのカテゴリーのアプリにも広げていく計画だ。Android Automotiveのプロダクト担当Haris Ramicが、本誌のインタビューでそう語った。

Android Automotive OSとAndroid Autoは同じものではない。後者はAndroidオペレーティングシステムの上で動く、ナビなどのインタフェイスアプリだ。Android Automotive OSもLinuxの上で動くオープンソースのモバイルオペレーティングシステムAndroidをモデルにしているが、スマートフォンやタブレットの上で動くのではなく、Googleの改造により車の中で使用する。

Polestarは2月に、同社の初めての全電動車、5ドアのファストバックPolestar 2を、ジュネーブのモーターショーに先駆けて発表した。この車のインフォテインメントシステムはAndroid Automotive OSを使っているから、GoogleアシスタントやGoogleマップ、Google Play StoreなどGoogleのサービスを車上で使える。

Ramicによると、ジュネーブで見せたシステムは改良されていてGoogle Mapsがアップデートされているほか、メディアセンターではSpotify、NPR、YouTube Musicなどのサードパーティーアプリケーションが車上でよりシームレスに機能する。これらのアプリケーションは、2020年に中国の成都工場で量産が始まったときにはすでに含まれている。最初の対象市場は、中国と米国とカナダのほか、ベルギー、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、英国などヨーロッパの一部の国も含まれる。

Polestarの親会社Volvo(ボルボ)は2017年に車のインフォテインメントシステムにおけるAndroid OSの使用を発表し、その1年後に音声制御のGoogleアシスタントやGoogle Play Store、GoogleマップなどGoogleのサービスを次世代のSensusインフォテインメントシステムlvoに組み込む、と言った。

Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)は米国時間4月30日に、HarmanとGoogleの技術を利用してそのコネクティッドカーサービスを構築すると発表した。GoogleのAndroid Automotive OSが、FCAのUconnectインフォテインメントシステムの次のバージョンで使われる。またサムスン傘下HarmaのIgniteクラウドプラットホームが、車外のサービスを扱う。

Renault-Nissan-Mitsubishi Alliance(ルノー・日産・三菱アライアンス)もAndroid Automotive OSを採用する計画を公表しており、Ramicによると、ほかにもGoogleがまだ公表できない自動車メーカーに同様の計画がある。

Ramicは、「関心はきわめて高い」と言う。Googleの技術を利用する価値を検討したい、と同社を来訪する企業は日増しに増えているそうだ。

従来、自動車メーカーは車からGoogleを排除する守勢を維持してきたが、それが変わってきた。その排除的守勢ではスマートフォンと車載インフォテインメントシステムの能力的格差が広がるばかりなので、自動車メーカーも最近はGoogleに積極対応するようになっている。

画像クレジット: Google/Polestar

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Polestar、打倒Teslaの初EV公開

【編集部注】Jake Brightはニューヨーク拠点のライター・作家。著書に「The Next Africa」(共著)がある。

Polestarは同社初の電気自動車(EV)を発表した。正面切ってTeslaに狙いをつけていて、ニューヨークでCEOが披露した。

ボルボ傘下のPolestarが発表したPolestar 1はプラグインハイブリッドEVだが、EVの購入を迷っている人を引きつけようと、ハイブリッドの要素は抑えめで完全EV(ガソリンはオプショナル)という位置付けだ。

15万5000ドルするこの車はー2019年に出荷が始まるー搭載する3つの電動モーターを2つの34kWhバッテリーパックとターボで動かし、スーパーチャージャー付きV4エンジンがフロント部分にくる(詳細はこちら)。

電気自動車としてのPolestar 1の航続距離は100マイル。同社によると、この数字ははハイブリッドとしては最長となる。

Polestar 1は600馬力と738ft-lbsトルクを備える。同社にとって初の製品で、2019年に完全EVのPolestar 2の公開を予定し、SUVのPolestar 3がその後に続く。

「Polestar 2はTesla社のModel 3と直接競合するだろう…」とCEOのThomas Ingenlathはお披露目ステージで語った。

IngenlathはTechCrunchに対し、今後はTeslaのマーケットシェアを奪うというより、EVへの転換を促すのに注力したいと述べた。

Ingenlathに言わせると、Polestar 1のアドバンテージは完全電気自動車に向けた入り口的な存在であることだ。「車には燃焼エンジンがなければ、と考えている人は多い」と彼は語る。「その一線を超えさせるのに、Polestar 1はかなりいい車だ。一度乗ってしまえば、電気自動車の素晴らしさに気づく」。

しかし、Polestarはガソリンと電気のコンボにこだわっているわけではない。

Ingenlathによると、Polestar 1は同社にとって最初で最後の電気とガソリンを組み合わせたハイブリッド車となる。「今後は電気自動車だ。ハイブリッド車を再びつくる気はない」とTechCrunchに語った。

ニューヨークでのPolestar 1公開では、同社は実際に販売する時のセールスとサービスについてかなりの時間を割いた。それによると、セールスとサービスにはアプリから実在店舗まで複数のチャネルがあり、いくつかの点ではボルボのディーラーネットワークの一部をレバレッジするが、他の点では完全に区別する。Ingenlathによると、Polestarは車を展示するのにディーラーを抱えたり、ボルボのディーラーを使ったりすることはないという。

車の購入体験はまず同社のアプリで始まる。その次に、米国、欧州、そして中国に展開されるる“Polestar Spaces”ネットワークが紹介され、購入者はそこで実物を見たり、テストしたりできる。車は購入者の自宅まで届けられ、修理サービスなどはアプリで予約でき、その際は自宅までピックアップに来てもらえるーただし、Polestarはサービスを行うのにボルボのディーラー(物理的スペースではない)を活用する。

「我々は年間10万台を生産するメーカーになる。この数字は必ずスケールアップするだろう」とIngenlathは語る。「我々はボルボのようになることを目指しているわけではない。ただし、収益をあげるためには必ずある程度のスケールが必要だ」。

Polestar 1は、北米のバイヤーから枠を超える200台のオーダーが入っている。

Polestarの本社はスウェーデンのヨーテボリにあるが、製造は中国・成都市で行う予定だ。

Polestarの初EVは、NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)の安全性レーティングで最高評価を獲得したTeslaの4万9000ドル〜6万4000ドルするModel 3や、Audiが発表した7万4800ドルの電気自動車e-tron SUV(こちらのTechCrunch記事で紹介)と並ぶものとなる。

EV Volumesによると、米国の電気自動車マーケットにおいてはTeslaがメーカー別、モデル別ともに圧倒的なシェアを占めていて、Model 3で今後さらにリードを広げることが予想されている。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)