エンジニア採用支援「Qiita Jobs」が登録求職者数1万人を突破

Qiita Jobs

エンジニア採用支援サービス「Qiita Jobs」が登録求職者数1万人を突破したことを、Incrementsが8月4日に発表した。

Qiita Jobsは、日本最大級のエンジニア向けコミュニティ「Qiita」から誕生したもの。Qiitaで活動するエンジニアと採用を検討している企業をマッチングするもので、エンジニアはQiitaで公開した記事や読んでいる記事の傾向などからアピールでき、企業側はそれらの情報からチャットで声をかけるという流れ。

Qiitaでの活動がエンジニアのキャリアアップにつながる世界」をコンセプトとして、サービスリニューアルから順調に求職者数が伸び、1年で累計求職者数1万人突破となった。同社はコミュニティの強みを活かした「エンジニア白書2021」を公開したり、採用担当者向けの無料セミナーを多数開催するなどして、このジャンルでの存在感を高めている。

 

関連記事

エンジニアコミュニティ「Qiita」の会員数が50万人を突破、質問機能を正式公開
会社ではなくチームを選ぶ、Qiita発のエンジニア転職支援サービス「Qiita Jobs」が正式ローンチ
Qiitaがエンジニアのためのメモ書きMacアプリをリリース
エイチーム、プログラマ向け情報共有サービス「Qiita」提供元のIncrementsを約14億円で買収

カテゴリー:HRテック
タグ:Qiita, Increments, HR

エンジニアコミュニティ「Qiita」の会員数が50万人を突破、質問機能を正式公開

Qiita 会員数 50万人

エイチーム傘下のIncrementsは7月16日、エンジニア情報共有サイト「Qiita」(キータ)の会員数が50万人を突破したと発表した。また、ベータ版としてリリースしていた質問機能を、2020年7月16日に正式リリースすると明らかにした。

質問機能はベータ版として2020年7月3日に公開。ユーザーのフィードバックを基に改善を行い、今回の正式リリースで全ユーザーに機能を公開する。より多くのフィードバックを基に改善を続ける。

2011年9月16日にローンチしたQiitaは、知見を共有しスキルを高められる、プログラミングに特化した情報共有コミュニティ。Qiita上で発信や評価などの活動を行うほど、自分に合った記事が届き、ほかのエンジニアとのつながりを広げられるとしている。Qiitaは、ユーザーがエンジニアとしてアイデンティティを確立し、表現できる場所を目指すという。

関連記事
会社ではなくチームを選ぶ、Qiita発のエンジニア転職支援サービス「Qiita Jobs」が正式ローンチ
TechCrunch Tokyo 2011のスタートアップバトルに登場するのはこの11チームだ

会社ではなくチームを選ぶ、Qiita発のエンジニア転職支援サービス「Qiita Jobs」が正式ローンチ

企業ではなく、実際に一緒に働くことになる“開発チーム”を軸に探す——。

エンジニア向けの技術情報サイト「Qiita」を展開するIncrementsが、新たなエンジニア就職支援サービス「Qiita Jobs」の構想を発表したのは今年3月のこと。4月に100社限定のベータ版をローンチしてから約半年、本日10月28より同サービスの正式版がスタートした。

Qiita Jobsの大きな特徴はQiitaアカウントに紐づけることでユーザーと企業双方がお互いの技術や興味分野などについて理解を深められること。そして冒頭でも触れたように開発チームに焦点をあてた上で、現場のエンジニアが主導で採用活動を行っていくことにある。

そのコンセプトは実際にプロダクトを見るとよくわかるだろう。Qiita Jobsでは通常の転職サービスと違い、「企業」ではなく様々な「チーム」の名前が並ぶ。

Qiita Jobs掲載開発チーム(一部抜粋)

たとえばIncrementsを例にあげると、「Qiita」「Qiita:Team」「Qiita Jobs」という各プロダクトごとに個別のページが作られていて、各チームのメンバーやプロダクト紹介、利用技術・開発環境、使っているツール、開発の進め方、技術面での特徴などが記載されている。

エンジニアに特化した転職支援サービスということもあり「自動化していること」「コードレビューについて」「技術的負債について」「テストについて」など具体的な開発スタイルや思想についても各チームが回答しているのは面白い。また各メンバーのQiitaアカウントを通じて、どんな技術に興味がある人が所属しているのかなど、メンバーの人となりをある程度事前に把握することもできる。

チームの詳細ページに書かれている内容の一部。実際に開発を担当しているメンバーがわかるほか、チームごとの開発スタイルや扱っている技術・ツールについても記載がある。なお添付しているのは「Qiita Jobs開発チーム」のもの

ユーザーはチームごとに掲載している求人に直接「応募」するほか、「話を聞きたい」機能を通じてもう少しカジュアルにチャットベースでコンタクトをとることも可能。気になるチームをブックマークしておける機能も9月に搭載された。

実際にコミュニケーションを取るのも開発チームのエンジニアであり、最終的に採用に至った場合にはチーム配属の確約もされる。この辺りはQiita Jobsが当初から重要視してきたポイントだ。

一方の企業視点では、各ユーザーのQiita上での活動データから得意な技術や興味領域を踏まえた上で自社に合いそうな人材を検索できるのが特徴。転職意向や居住地、経験職種に加え、Qiitaの利用動向やよく使っているタグなどを軸にエンジニアを探すことも可能だ。

転職サービスにおける「スカウト」をよりカジュアルにした「チャットリクエスト」機能も10月から一部の企業限定でテストを進めてきた。この機能は現時点で転職意欲が高いユーザーにアプローチするだけでなく、“転職潜在層”と言われるようなユーザーを社内勉強会に誘ったり、ラフに面談をしたりなど関係性を中長期的に深めていくのにも使えるという。

現在登録しているユーザー数は約6000名。直近では月に2000名〜3000名程度の会員登録がある状態とのことで、本日より企業側の上限も取っ払い本格的なサービス運用を進めていく。

なお利用料金については採用が決まった際に一律で100万円の成果報酬が発生する仕組み(業務委託の場合は30万円)。この辺りは今後アップデートの可能性もあるようだ。

企業側の画面。Qiitaの投稿内容などから自社に合ったエンジニアを探してチャット上でコミュニケーションができる

求職者起点から企業起点へ、方向性を変え正式ローンチ

今回、ベータ版を半年間運用した上で正式ローンチを迎えたQiita Jobs。大枠のコンセプト自体は変わらないものの、ユーザーの使い方やヒアリング結果を基にいくつかの変更点が加えられたという。

特に「求職者起点から、企業起点のサービスへとシフトした」のが大きなアップデート。当初はユーザー側が主体となって活発にコミュニケーションを取ることを想定していたものの、思っていたほどのアクションがなかったそう。そこでユーザーインタビューを通して、再度課題を探っていった。

「当初考えていたのは、エンジニアが入りたいと思ったチームに必ずしも入れる訳ではなく、そこに対して不満や課題を感じているのではないかということ。チーム配属を確約するとともに、一緒に働くことになるエンジニア達と気軽にコミュニケーションを取れる仕組みや、一般的な求人票以上には十分に記載されていない技術や仕事内容について知れる仕組みを設けることで、エンジニアが主体的に動くきっかけになるのではと思っていた」

「実際にユーザーの話を聞いても、気軽にコミュニケーションが取れないこと、仕事内容や一緒に働く人の実態が見えづらいという仮説はある程度正しいと感じた。一方で多くの企業がエンジニアに対して丁寧にフォローしていることもあり、配属のミスマッチで不満を抱え、転職を考えている人がそこまで多くはなかった。結果的に『チームで転職』というコンセプトは面白いと思ってもらえても、エンジニア側から積極的に行動するまでには至らなかったのではないか」(Qiita Jobs事業責任者の中島常雄氏)

転職活動を行なっているユーザーに課題を重たい順番に並べてもらっても、配属に対する不満が必ずしも上位ではないことが判明。そこからはコンセプトを維持しつつも、企業側が起点で始まるサービスへの転換を検討していったという。

1つの転機になったのは上述したチャットリクエストのリリース。企業側からリクエストを送るとだいたい30%ほどが承諾されて会話が進み、実際に内定に至るようなケースも複数件出てきた。

「自分が起点になることはあまりなくても、企業側からアプローチがあれば積極的に情報を開示していくユーザーが一定数いて、この形であれば事業としても伸ばせる手応えが掴めてきた。ユーザーの登録も加速している中で、より多くの企業にも使っていただける基盤がようやく整ってきた段階だ」(Qiita Jobs事業開発担当の田中翔也氏)

今後はQiita本体に蓄積されたデータをさらに活用することで、企業側へのレコメンドの仕組みなど双方のマッチングをサポートする取り組みを進めていく計画。Qiita Jobsで得られたフィードバックをQiitaのアップデートにも活かすなど、サービス間の連携も進めながらさらに便利なサービスを目指していくという。

エイチーム、プログラマ向け情報共有サービス「Qiita」提供元のIncrementsを約14億円で買収

ソーシャルゲームを始め複数のWebサービスを展開するエイチーム1222日、プログラマ向けの情報共有サービス「Qiita」などを提供するIncrementsの発行済株式の100%を取得し、連結子会社化することを明らかにした。

取得価格は総額で14億5300万円。内訳は株式が14億4600万円、アドバイザリー費用などが600万円。株式譲渡は2017年の12月25日を予定している。

Incrementsは2012年2月の創業。Qiitaに加えてチーム内情報共有ツール「Qiita:Team」の開発・運営を行っている。直近の財務状況については、以下の通りだ。

  • 平成27年2月期 : 売上3373万円、営業損失1763万円
  • 平成28年2月期 : 売上7363万円、営業損失3341万円
  • 平成28年12月期 : 売上8995万円、営業損失7871万円(平成28年3月~12月)

エイチームによると同社では資本を活用した中長期的成長の実現、企業価値の向上を加速させるために「既存事業の競争力強化につながると想定される企業や事業」や「自社で容易に参入できない、或いは参入に時間のかかる事業を持つ企業」の買収を検討してきたという。

Incrementsは「自社で容易に参入できない、或いは参入に時間のかかる事業を持つ企業」に該当するため、買収を通じて新たな事業展開を加速させることができると判断した。今後はQiitaとQiita:Teamの成長を目指すとともに、エンジニア情報を活用した新規事業も検討する。

グーグルでChrome開発に関わった及川卓也氏が「Qiita」開発元Incrementsの14人目の社員に

元グーグルの及川卓也氏といえば、日本のソフトウェアエンジニアの中でも抜群の知名度を持つ人物だ。各種の開発者カンファレンスへの登壇も多く、ブログは書籍化されており(『挑まなければ、得られない』2012年)、2012年1月には地上波テレビ(NHK)のドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』で取り上げられている。

その及川氏が10月21日、グーグルを辞職したことを告げる文章をFacebookにポストし、IT業界の話題になった。次の職場はどこなのか? その答えが本日11月17日に明らかとなった。及川氏はソフトウェアに関する知識を共有するサービスとして伸びつつあるサービス「Qiita(キータ)」の開発元であるIncrementsの14人目の社員となる。今後は、プロダクトマネジメントを中心に手腕を振るう。

photo01

元グーグルの及川卓也氏(右)と、Qiita運営のIncrements共同創業者で代表取締役の海野弘成氏

及川氏は、日本DECからキャリアをスタートし、マイクロソフト、グーグルと、ITの名門企業をそれぞれ9年ずつ勤め上げてきた。その及川氏の転職先が社員数13人のスタートアップだと聞けば、「なぜ?」と聞きたくなるのが人情というものだろう。

「驚く人もいるかもしれないが、グーグルからスタートアップに行くのはよくある話だ」と及川氏は話す。実際、クラウド会計「freee」創業者の佐々木大輔氏やモバイルビデオ広告「FIVE」共同創業者の菅野圭介氏、予約システム「クービック」創業者の倉岡寛氏などグーグル卒業生が起業した事例は日本でも増えている。それにしても、知名度抜群の及川氏がまだまだ小さな会社であるQiita開発元のIncrementsを選んだのはなぜなのか。

やりたいことが一致、Qiitaはエンジニアから愛されている

及川氏の話を聞いてみよう。

「自分は何をやりたいのかをよく考えた。自分自身で起業することも含めて考えたし、グーグル卒業生にも相談した。その中で出てきたのは、自分がやりたいことはバーティカルなものではなくホリゾンタルなものだということ。Google Developer Day(GDD、グーグルが運営する開発者カンファレンス)、デブサミ(Developer Summit、翔泳社が主催する開発者カンファレンス)、HTML5 Conference(html5jが主催する開発者カンファレンス)などエンジニアを元気付ける、支える活動に関わることは面白く感じていた。そういう方向性の『あること』をやりたい、と(Increments代表取締役の)海野(弘成)さんと話をしたら、考えていることがほとんど同じだった」。

残念ながら「あること」の中身はまだ秘密とのことだが、及川氏が考えていた次の一手とQiitaのIncrementsが考えていたことが近かったことが、今回の決断の背景にはあるらしい。「それならば、今から新しいものを作り上げるより、すでに土台があって優秀なエンジニアが集まっている会社に参加した方が夢の実現が早いだろうと」。

取材に同行したTechCrunch Japan編集長の西村賢がこう聞いた。「給料は上がりました、下がりました?」。及川氏はこう返す。「下がりました。でも、それは前職が良すぎたというべき。スタートアップとしては非常にがんばってもらいました」。そして、こう付け加えた。「お金じゃないと思っているんです。小さい組織じゃないとできないこと、ビビッドに製品の運命を左右するようなことをやりたい」。

及川氏はこうも言う。「Incrementsから声がかかった時には嬉しかった。Qiitaはすでにエンジニアから愛されるプロダクトとなっている。自分が参加して、何ができるだろうとワクワクもした」。

qiita

及川氏が入る直前の時点で、Qiitaは社員数13名、平均年齢28歳の若くて小さな会社だ。約20歳も年齢が離れたエンジニアと一緒にやっていくことについては「楽しみだ」と語る。若い才能を集めたスタートアップに“いい感じ”にベテランが参加できそうな予感はある。

グーグルで経験を積んだ及川氏の目から見てもIncrementsは興味深い会社だという。「Incrementsでは、開発や組織管理に実験的な手法を取り入れて、成果を上げている。これはQiitaのブログにもけっこう書いてあるが、例えば海野さんは書籍『Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』のコアのエッセンスを実践したいと言っている。そこに加えて自分の経験も共有していきたい」。

photo02

及川氏は、同社が「目標を持っているが採用で妥協しない」点も気に入っている。Incrementsの海野氏は「エンジニアは増やしたいが、入社のハードルが結構高くて、なかなか増えません」と話す。

そしてIncrementsの大きな魅力は、開発者向けのサービスとしてQiitaの存在感が増している点だ。今や200万UUで、「国内のほとんどのエンジニアが毎月1回は見ている計算になる」(海野氏)。

及川氏は次のように話す。「Qiitaは、ドキュメントにおけるGitHub的なものになりうるポテンシャルがある。今はブログに技術記事を書く例が多いが、内容が陳腐化した記事をメンテナンスし続けることを求めるのは責任が大きすぎる。Qiitaなら次に興味を持った人が引き継いでいけばいい。Forkしてもいいし、コメントを足してもいい」。技術ドキュメントを集積する場として、Qiitaはデファクトスタンダードになりうる可能性があると及川氏は見ているのだ。

3社の名門IT企業を9年ずつ勤め、スタートアップへ

ここで及川氏の経歴を簡単に振り返っておこう。1988年に早稲田大学を卒業する。学生時代から新しいソフトウェア技術が好きだった。卒業研究では、地下資源の探査に関する構造シミュレーションのプログラムをPrologで書いて「指導教官を困らせた」(及川氏)という。

卒業後、日本DECに入社した。若い世代には説明が必要かもしれないが、DECは当時世界2位のコンピュータメーカーであり、特に大学、研究機関では絶大な信頼と人気を誇っていた。AT&Tベル研究所で作られた最初のバージョンのUNIXも、カリフォルニア大学バークレイ校で作られたBSD(TCP/IPとsocketを実装し、インターネットの発展に重要な役割を果たした)も、ターゲットはDEC製マシンだったのだ。DEC出身のエンジニアは今もIT業界の要所要所で活躍している。

日本DEC時代の後半は、同社が開発したRISCチップ「Alpha」向けのWindows NTの開発を手掛けていた。

1997年にマイクロソフトに転職する。DEC時代からWindows NTの開発に関わっていた及川氏は、Windows NTのエキスパートとしてマイクロソフトでのキャリアを築く。やはり念のために説明すると、Windows NTのことを単なるWindowsのバージョン名だと思ってはいけない。DEC出身のDavid Cutlerがカーネルから新規設計したOSであり、中核技術はWindows XP以降のWindowsシリーズのコアテクノロジーとして今も引き継がれている。もしWindows NTが成功していなければ、Windowsが今日まで存続していたかどうかは分からない──それぐらいに重要なテクノロジーである。

2006年にグーグルに転職する。当時のグーグル日本法人は社員数100人に満たない小さな所帯だった。グーグルでの主な仕事はChromeの中核部分の開発だ。Blinkレンダリングエンジンはもちろん、Web技術そのもの──例えばHTML5の実装と普及活動にも関わった。また「Google日本語入力」にも、“20%プロジェクト”で作られた時代からAndroid版を作る頃まで関わっている。

前述したように開発者コミュニティでの活動も目立つ。Google Developer Day(GDD)での及川氏はいわばグーグル日本法人の“顔”だった。HTML5 Conferenceでの及川氏は、「グーグルの人というより、HTML5の人」だった。2011年の東日本大震災を機に立ち上がった開発者コミュニティ「Hack for Japan」では中心的な役割を果たした(例えばこの講演)。「被災地をITで支援できないか」という大きな課題に取り組んだ。Hack for Japanのハッカソンがきっかけで登場したサービス、スマートフォンアプリも数多くある。

及川氏のキャリアを振り返ると、米資本の一流企業での開発マネジメントの経験を持つだけでなく、開発者コミュニティでの活発な活動が目立つ。開発者向けサービスQiitaを軸にビジネスを展開するIncrementsで及川氏がどんな仕事ぶりを見せてくれるのか。多くの開発者の視線が集まっている。

QiitaがMarkdownメモツール「Kobito」のWindows版をElectronベースでリリース

プログラマのための技術情報共有サービス「Qiita」(キータ)を提供するIncrementsが今日、Markdown形式のメモツール「Kobito for Windows」をリリースした。Microsoftが4月29日にリリースしたばかりのコードエディタ「Visual Studio Code」と同じく、これは「Electron」(旧Atom Shell)と呼ばれるオープンソースのデスクトップアプリ開発プラットフォームを使って実装されたものだ。

main_desktop

Kobitoを使うと、簡単に技術メモを開発チーム内でシェアできるが、「ここ1、2年でQiitaへのアクセスの半分くらいがWindowsになっている」と増えていることから、今回Windows版の提供に至ったという。これまでにもIncrementsはKobito for MacとしてネイティブアプリでMarkdownツールを提供してきたが、今後はこのMac版もElectronベースへ移行する。ElectronはChromiumとNode.jsを使ったクロスプラットフォームのデスクトップアプリ開発プラットフォームとしてにわかに注目を集めている。

Kobitoで書いたメモは自分用のメモとしてローカルに保存できるほか、Qiitaと同期することでコンテンツの公開やQiita:Teamを使ったチーム内での情報共有に利用できる。

Markdownというのは色や文字サイズといった装飾を施さない、いわゆるプレーンテキストを用いて、HTMLで表現するような箇条書きや見出し、リンクを手軽に入力できる文書フォーマットだ。HTMLほどの表現力はないが、例えば箇条書きなら行頭に「-」、見出しならレベルに応じて「#」を複数付けるだけで実現できたりする。人間が見て直接編集する気になるシンプルさから主にプログラマに広く利用されている。Kobitoを使うと、Markdownで書くそばからリアルタイムでHTMLに変換された結果をプレビューしながらメモを取ることができる。Markdownがエンジニアに受けていて、多くのエンジニア向けサイトで採用される背景には、ソースコードのハイライト表示ができるということもある。

edit

Qiitaは2011年9月にStack Overflowのようなエンジニア向けの質問・回答コミュニティとしてスタートしたが、回答が思うように付かないことから、エンジニアが学んだこと記録したり作業したメモ、ハックのアイデアを残す情報共有のサイトにピボット。現在登録ユーザー数は7万5000、170万UU、月間5000コンテンツがアップロードされるコミュニティに成長している。Qiita自体がMarkdown形式でコンテンツ投稿を受け付けているため、デスクトップアプリのKobitoを提供することには、「Markdownで人々にコンテンツを書いてほしい」(Increments共同創業者で代表取締役の海野弘成氏)ということがある。毎月アップされる約5000のコンテンツのうち20%にあたる1000コンテンツあまりがKobitoからの投稿だそう。ちなみに、これまでKobito for Macのダウンロード数は約3万。

Qiitaは一種のブログコミュニティのようになっている。海野氏は、「Qiitaは、(情報をアウトプットして)ちゃんとフィードバックが来る場所。見ている人がいて、コメントが付く。コメントのやり取りも含めてプログラマとしてのアウトプットとして見られるので、突拍子もないこととか、技術的に明らかに間違ったは書く人が少ない。感情的になると、そういう人と見れるから、論理的なディスカッションになっている。ブログでは提供できない価値がある」と話す。

一方で、Qiitaでは社内の情報共有を支援する目的で有料サービスとして「Qiita:Team」を提供している。Qiita:TeamはKaizen Platformやスマートニュースなどのスタートアップ企業で導入されていて、日報の共有などでも利用されることがあるそうだ。

MarkdownもQiitaもプログラマのものという印象があるが、海野氏は、もうすこし広い層に広めていくことも考えているようだ。Qiita:Teamの導入企業によっては入社時にMarkdownの使い方の研修をしてデザイナーや営業職が使うということもあるという。「Qiitaのビジョンはソフトウェア開発を良くすることだが、プログラマのコミュニケーションだけでなく、その周囲の人も含めたコミュニケーションを良くしたい。さらに、自動化という発想を手に入れるとどれぐらい仕事が効率化されるかということを非プログラマにも知って広げていきたい」。

Qiitaのマネタイズに関して海野氏は、「Qiita:Teamも良いキャッシュポイントになっているものの、まだQiitaの資産を生かせていない。マネタイズの方法ははいろいろありそう、という感覚はある」と話している。Qiita:Teamの導入数は「数百チーム、利用者だと数千ユーザー」というレベルだそうだ。

ところで、エンジニア向けサービスとして日本国内にとどまっているとパイが小さいままだ。海野氏も「多めに見積もっても国内のプログラマ数は100万とか200万のオーダー。これが世界で見ると、プログラマが2000万人、今後5年とかで2500万人になると言われている。国内だけだと10分の1しかない」と、今後の海外展開は必要と感じているという。Qiitaを導入しているKaizenやSmartNewsでは海外チームも含めて使っているそうで、「切り口によってはスムーズに海外に持って行けるのかなと思っている。日本人にしか使えないツールということはない」ともいう。こういうとき、よく日本で流行してから出て行くのだと遅いと言われるが、今のところQiitaに似たサービスは海外になく、ConfluenceやGoogle Driveを情報共有に使われることが多いと見ているという。