RCSメッセージが米国のAndroidユーザー向けに提供開始

今週末、米国のAndroidユーザーにちょっとしたサプライズがある。メッセージサービスであるRich Communication Services(RCS)が、Google(グーグル)により予定より少々早く開始されるようだ。同社は11月、この機能を年末までに米国内のAndroidユーザーに提供すると発表していた。

Android Messagesのプロダクトマネージャーを務めるSanaz Ahari(サナズ・アハリ)氏のツイートによると、このSMSの後継サービスは米国で今週から利用できるようになったという。また、この新しいプロトコルはメッセージングの中心的存在であるSMSに重要な進歩をもたらすとしている。

今回のアップデートでは、グリーンの吹き出しで知られるiOSで多くのユーザーを獲得してきたApple(アップル)の標準プロトコルであるiMessageと比べて多くの機能が追加された。主な機能としては、既読の確認、他のユーザーの入力をリアルタイムで見る機能、ファイルの転送サイズの拡大、グループメッセージングの改善などがある(ただし、端末間での暗号化などの一部の機能はまだ不足している)。

特筆すべきは、10月に米国の4つの主要通信事業者がRCSの導入を促進するために、まれな共同作業を行ったことである。一方、英国とフランスのユーザーは今夏からこの機能を利用でき、さらに多くの国にも展開する予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

GoogleがAndroid MessagesアプリでのRCSサポートを米国にて追加

Google(グーグル)は米国時間11月14日、米国の全ユーザーを対象に、Android MessagesアプリでRich Communication Services(次世代のSMSともいえる)メッセージをサポートすることを発表し、またここ数カ月で少数のユーザーを対象にテストを実施していたことを明かした。

Googleにとって、このRCSの推進はApple(アップル)のiMessages(エンド・ツー・エンドの暗号化はサポートされていない)とより効果的に対抗する方法であり、またGoogleがこのロールアウトをキャリアからほぼ奪ったことで、ユーザーがこのサービスにアクセスする際に電話会社ではなく同社が決定権を持つことになった。英国とフランスでは今年からすでにサービスが開始されており、GoogleはRCSにおいて経験がある。

またGoogleのメッセージング分野における戦略は、少なくとも消費者にとっては混乱したままであり、Hangoutsも未だ広く使われている。少なくともモバイルデバイスでは、これまでSMSクライアントだったMessagesがその役割を引き継ぐことを同社は期待している。他のメッセージングサービスと同様、MessagesでのRCSのサポートでは、Wi-Fiやモバイル通信を介して友人と会話したり、写真や動画を送信したりできる。また既読通知やタイプの通知、通常のメッセージ機能なども提供される。

Googleがサービス展開の主導権を握ったことで、同社はこのネットワークを運営し続ける責任を負うことになり、キャリアではなく同社がこれを独占することへの懸念もある。しかし一方で、通信事業者は自社のRCS展開において混乱を生み出しており、Googleは自ら行う以外の選択肢がなかった。Androidユーザーにとっては、iPhoneに送ったメッセージが緑色(iMessageではない)のバブルが表示されるとしても、これは良いニュースだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

GoogleはSamsungからRCSメッセージングへのより強い協力をとりつけた

Googleは、長らく推進している次世代メッセージング標準に対して、Samsungからのさらなる協力をとりつけた。

Android OSメーカーであるGoogleが、リッチコミュニケーションサービス(RCS:SMSが提供できるものをよりリッチなコミュニケーションとコンテンツ交換へと強化することができる技術)へ抱いている期待は、分断されてしまっているAndroidのエコシステムに対して、よりリッチなネイティブメッセージングを提供する方法を与えてくれることだ −− そう、AppleのiOS上のiMessageのように。

しかし、世の中に一体どれだけの数のAndroid端末があるかを考えると、それはとてつもない大仕事である。そしてGoogleにとっては、もし周辺で細々とやること以上のことを成し遂げようとするなら、(デバイスメーカーだけではなくキャリアも含んだ)業界全体がRCSのサポートで足並みを揃えることが必要だ。

ちょっと大きな観点から眺めてみよう。さらに大きな問題はメッセージング船が既に航海しているということだ。WhatsAppやTelegramのような、大規模で人気の高いプラットフォームが既に数十億人のユーザーをそれぞれの庭に囲い込んでいて、重心をSMSから引き離してしまっているのだ。

だが、戦略的に混乱しているにも関わらずGoogleが努力を止めてしまった訳ではない。そのメッセージングを普及させようとする相当な努力は続けているのだ(失敗したAlloのように)。

4月にGoogleはRCSへの倍賭けを行った。Alloメッセージングアプリからリソースを引き上げて、その代わりに次世代SMSへの進軍に集中する決断を行ったのだ。

また、RCSの背後のささやかな応援の動きも作り上げることに成功した。今年のMobile World Congressで、同社は40以上のキャリアがRCSをサポートすることを発表したのだ。これは1年前の27から増加している。最新のサポート数では、そのキャリア数は55になった。

しかしRCSの専門会社Jibe Mobileを買収してから3年目を迎え、そして「未来のメッセージング」の構築を語る野心的な発言にも関わらず、その発展の兆候はほとんど見えない。

さらなる問題は、キャリアたちもまた、単にサポートする意思を表明するだけでなく、積極的にRCSの普及を行わなければならなかったのだが、どれだけのキャリアが実際にそうしたのかは明らかではない。

またRCSのユーザーが現時点でどれくらいいるのかもはっきりとはしていない(2016年の時点では、キャリアたちはただ10億人のユーザーへの「道筋」をつけると語っていただけだ。その時点ではSMSには数十億人のユーザーがいたため、彼らは標準化を通して何らかの次世代メッセージングシステムの普及を行うことができるとはほとんど考えていなかったと思われる)。

Googleが支援する最新のRCS開発は、プレスリリースの発表によれば、マウンテンビュー(Google)とSamsungの間の「拡大コラボレーション」である。それぞれが提供するメッセージクライアントが「クラウド並びにメッセージングプラットホームも含み、シームレスにそれぞれの企業のRCS技術の上で動く」と言われている。

両者は以前はRCSのサポートを「選り抜きのSamsungデバイス」に追加していたが、現在はRCS機能は既存のSamsung製のいくつかのスマートフォンたちに搭載されると述べている。例えばGalaxy S8とS8+はもちろん、S8 Active、S9、S9+、Note8、Note9、そしてAndroid 9.0もしくはそれ以降が搭載された選ばれたA並びにJシリーズなどだ。

それを聞くとかなりの数のデバイスのように思える。しかしそれも、さらに不明瞭なのだ。なぜなら、やはりサポートが、キャリアと市場での可用性にかかっているからだ。よって、たとえSamsungのAndroid携帯電話のサブセットであったとしても、普遍的なものではないのだ。

彼らはまた、(選ばれた)新しいSamsung Galaxyスマートフォンが、RCSメッセージングをネイティブにサポートすると言っている。しかし、これもやはり、キャリアがその標準をサポートしている場合に限られるのだ。

以上のような一連の注意を述べた後に、彼らは「これは、消費者たちとブランドたちが、Android MessagesとSamsung Messagesユーザーの両者とよりリッチなチャットを楽しむことができるようになることを意味しています」と付け加えている。

両社の声明文が「Androidエコシステム全体に強化されたメッセージング体験」を持ち込むという、景気の良い調子で締めくくられているにも関わらず、明らかにその可能性は見えていない。Android生態系の豊富な「生物多様性」から導かれる明白な結果は、デバイス間標準に対する普遍性の低下である。

それでも、もしGoogleが十分なフラッグシップデバイスとRCSをサポートすることに協力する市場を確保することができるなら、AppleのiMessageに十分対抗できるだけの臨界メッセージ量を確保したと考えることだろう。なので、そのハイエンド端末が、iPhoneとの間でしばしば消費者たちの現金の奪い合いを繰り広げるSamsungからの協力のとりつけは、もちろんその戦略のための大いなる助けとなるのだ。

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(翻訳:sako)

40以上のキャリアとデバイスメーカーがGoogleのプラットホームを使ってRCSサービスを提供している

Rich Communication Services(RCS)はテキストメッセージングの次世代スタンダードで、今ではWhatsApp, Facebook Messenger, LINEなども、携帯〜スマホを買ったら必ずあるふつうのSMSよりも、多様で高度な機能を提供している。AppleとiMessageだけは別だけど。

Googleの今日の発表によると、今では40以上のキャリアとデバイスメーカーが同社のRCSプラットホームを使っている(RCSをサポートしているのは合計で約60社)。これは昨年Googleが言った27より、かなり増えている。

RCSはGSM(2G)の規格だが、最大の実装者はGoogleだ。同社はAndroidプラットホームでAppleのiMessageに負けない機能を提供するために、このサービスに目をつけた。

来週はMobile World Congressがあるので、当然ながらGoogleは、このイベントが始まる前にRCSについて何か言っておきたい。今日の発表で同社は、新しいサービスではBusiness Messaging(企業用メッセージング)が重要な機能のひとつだ、と言っている。これを使って企業はたとえば、証明されたリッチメッセージで搭乗券や、クレジットカードの悪用アラート、荷物の配達などの通知を送れる。メッセージに、リプライの提案やアクション(席替え、エアラインに電話、など)を含めることもできる。

標準のAndroid Messagesアプリがこれをサポートしたのは1年前からで、GoogleはRCSサービスを立ち上げて管理するためのプラットホームJibeも提供している。

昨年はヨーロッパとラテンアメリカのキャリア数社が、GoogleのJibe RCSクラウドのユーザーになった。それらは、America Movil, AT&T, Celcom Axiata, Freedom Mobile, Oi, Telia, Telefonicaなどのキャリアだ。

パートナーの中には通信APIの人気企業Twilioもいて、同社は今日、そのサービスにRCSを加えたことを発表した。Twilioのメッセージングプロダクト担当VP Patrick Malatackはこう語る: “消費者が自分のデフォルトのメッセージングアプリで、リッチな対話的メッセージング機能を利用できるようになると、それは今のSMSみたいに遍在的(ubiquitous, どこでも誰でも)になるだろう。今日の弊社の発表により、うちのAPIを使うデベロッパーも、このメッセージングサービスを実装できる。RCSのためにだけ、別のAPIを使ったりする必要がないから、開発工程はシンプルで簡単だ。顧客が作るものを、早く見たいね”。

そのほかGoogleは、3C, CM.com, Mobivity, OpenMarket, Smoochなどともパートナーしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Sprintが販売するAndroid端末に「次世代のSMS」、RCSを導入するとGoogleが発表

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今年初めに発表されたように、GoogleがAndroidデバイスにRCS(Rich Communication Service)を導入する。RCSはアップグレード版のSMSとも言えるだろう。Googleにとって初のパートナーとなるのは通信キャリアのSprintで、Androidデバイスを使用するSprintのユーザーは今日からRCSメッセージング・サービスを利用できるようになる。

RCSを利用することで、従来のSMSよりも優れたメッセージ体験ができる。改良されたグループ・チャット、高解像度の写真のシェア機能、レシートの読み込み、タイピング・インディケーターなどがその例だ。

Googleがこの計画を最初に発表したのは、2015年9月にRCSのプロバイダーであるJibe Mobileを買収した時だ。Googleによれば、今回Sprintが提供する新しいサービスはJibeのクラウド・プラットフォームによって実現されているという。

Sprintと契約しているユーザーは、Googleの「Messenger」を使ってRCSを利用することができる。デバイスにAndroid KitKat以上のバージョンが搭載されていること、デフォルトのSMSアプリケーションとしてMessengerを利用していることが条件だ。

Sprintから提供されているLGとNexusの端末を利用している場合、RCSへのアップグレードは自動的に行われる。それ以外のデバイスを利用するユーザーであっても、Play StoreでMessengerをダウンロードすればRCSを利用することが可能だ。

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Google純正のスマートフォンであるPixelにはMessengerがプリインストールされているため、SIMフリーのPixelにSprintのSIMカードを入れていればRCSを利用することができる。

Googleによれば、来年以降にSprintから販売されるすべてのAndroid端末には、デフォルトのSMS/RCSアプリとしてMessengerがプリインストールされる予定だ。

SprintのAndroid端末のユーザーは、ライバルであるAppleのiMessageや他のサードアプリで利用されているような機能を楽しむことができる。例えば、最近のMMSはグループ・メッセージ機能に対応しているが、グループに名前をつけたり、グループのメンバーを追加したり、自身がグループを抜けたりということはできない。しかし、RCSにはそのような機能も備わっている。

それに加えて、従来の100倍もの容量の写真やビデオを送信できる機能や、既読機能、そして相手がタイピング中であることを知らせてくれるタイピング・インディケーターなども備わっている。

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RCSのテクノロジー自体は新しいものではなく、それが最初に利用できるようになったのは2007年頃だ。しかし、GSMAによれば、現時点でRCSを導入している通信キャリアは全世界で49社しかない。だが、これまでのRCSスタンダードには古いイテレーションが含まれており、Universal Profileと呼ばれるRCSの新基準をサポートするのはSprintが初めてだという。

また、GoogleがRCSをサポートするのもこれが初めてのことだ。(もちろん、今はGoogleの傘下となったJibeは古いバージョンのRCSをサポートしていた)。

RCSをサポートすることでGoogleはAppleのiMessageへの対抗策を手にした一方、RCSは世間一般に浸透している技術ではないという問題がある。すべてのAppleデバイスで利用できるiMessageとは違い、RCSの場合はユーザーが契約する通信キャリアによっては利用できないこともある。しかも、古いAndroidスマートフォンではRCSを利用することは出来ない。言い換えれば、少なくとも現時点では、この発表が与えるインパクトは限定的だということだ。

Googleは「今後数カ月のうちに」他のキャリアとのパートナーシップも発表する予定だとしているが、そのキャリア名と発表時期は明かさなかった。

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また、今回の発表によってGoogleの「メッセージング戦略」がさらに分かりづらくなった。結局、Googleがもっとも力を入れているのはどのアプリなのだろうか?

RCSを利用するためには、ユーザーはGoogleのMessengerアプリをデフォルトのクライアントに設定しなければならない。しかし同時に、Googleはチャット・通話アプリであるHangoutも提供している。さらには、先日発表したAlloのことを、AIアシスタントを搭載した未来のメッセージング・アプリだとも呼んでいる。AlloもPixelスマートフォン、Pixel、Pixel XLにプリインストールされるアプリの1つだ(HangoutをデフォルトのSMSアプリとして設定することはできるが、Alloはできない)。

Alloと、そのビデオ版であるDuoはクロスプラットフォームのアプリではあるものの、WhatsApp、Facebook Messengerなどが市場を独占している今となっては遅れをとった感が否めない。

また、GoogleはiMessageに対抗するために必要なインフラを持ち合わせていない。

Appleのエコシステムにはハードウェアだけでなくソフトウェアも含まれており、そのエコシステムを利用するユーザーはiMessageを使わざるを得ない。しかも、そのプラットフォームには新しいApp Storeも加えられる。

Googleの説得によって、今後より多くのキャリアがRCSをサポートする可能性はあるが、それには時間がかかる。しかも、RCSを利用するためにはアプリをアップグレードし、デフォルト設定を変更する必要があること、さらにはデバイス自体を買い換える必要があるかもしれないことを考えると、iMessageがAppleのエコシステムの中心である一方で、RCSがエコシステムの中心的な存在になることはないだろう。また、RCSが利用可能なデバイスと、そうでないデバイスの間で分断化が続いていく。Googleが作り続ける、その他のメッセージング・アプリとの分断化は言うまでもない。

[原文]

(翻訳:木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter