米連邦航空局はヴァージン・ギャラクティックの何年にもわたる宇宙船降下時の異常事態について調査中

米連邦航空局(FAA)は、Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏を宇宙へと運んだVirgin Galactic(ヴァージンギャラクティック)のフライト中の異常について調査している。特定のフライトだけでなく、同社の何年にもわたる安全に関するさまざまな問題を論じている記事の中で、The New YorkerはVirginの宇宙船が降下中にコースを逸れ「エントリーグライドコーン警告」が出た、と説明している。宇宙船はグライドコーン法を使っていて、これは水が円を描きながら排水溝を流れるように着陸する。明らかにこのミッションのパイロットは本来の角度で飛行せず、システムが警告を出す事態となった。

FAAの広報担当はロイターに対して「Spaceport Americaに戻る際、宇宙船が航空交通管制の許可から逸脱」し、この事案を調査中であることを認めた。FAAは、商業航空機との衝突を回避し、事故が起こった場合に民間人の死傷者数を最小限にするためにVirginの宇宙船に指定空域を通る許可を与えている。VirginのUnity 22ミッションは、パイロットがコースを修正する前の1分41秒間、指定空域から外れて飛行した。

The New Yorkerの記事の筆者、Nicholas Schmidle(ニコラス・シュミドル)氏は、数年前にミーティングに出席した際、Unity 22フライトと同じパイロットが、エントリーグライドコーン警告の赤いライトは「縮みあがらせる」と語った、と書いた。明らかにそれは手遅れを意味し、最も安全な策は試みを中断することだ。しかし記事掲載後に出した声明文の中で、Virgin Galacticは記事中の「誤解を招く描写と結論に異議を唱えます」と主張し、フライト搭乗者が飛行偏差で危険にさらされることはありませんでした、と述べた。声明は次の通りだ。

宇宙船が高高度で軌道を変えた風に遭遇したとき、パイロットとシステムはミッションのパラメータ内にとどまっていられるようモニターしました。当社のパイロットはこうした飛行状況の変化に、まさに訓練した通りに、そして確立された手順に厳密に従って適切に対応しました。フライトの最終的な軌道は当初の計画からそれましたが、管理された意図的な飛行経路であり、Unity 22は無事に宇宙に到達してニューメキシコにある当社のSpaceportに安全に着陸することができました。この軌道変更で搭乗者とクルーが危険にさらされることはありませんでした。

同社はまた、宇宙船は想定していた高度を下回って飛行したが、宇宙空間の横方向の制限外には飛行しなかった、とも述べた。そして「今後のフライトの空域に対処するためにFAAと提携して取り組んでいるとも付け加えた。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者Mariella Moon(マリエラ・ムーン)氏はEngadgetの共同編集者。

画像クレジット:Virgin Galactic

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(文:Mariella Moon、翻訳:Nariko Mizoguchi

Virgin Galacticの初の宇宙旅行フライト、イタリアからの打ち上げに?

米国の宇宙開発ベンチャーVirgin Galacticは、イタリアから宇宙への商業打ち上げを実現するために現地の宇宙航空企業2社と提携したと発表した。

イタリア最大の民間宇宙航空企業SITAEL、そしてイタリア宇宙機関とThales Alenia Spaceが出資する半官半民企業ALTECだ。この提携に至るまでに2年の歳月を要した。

この提携は、Virgin Galactic社の宇宙輸送システムを、今後イタリアに建設される宇宙船基地Grottaglieに導入することが目的だ。Grottaglieは宇宙旅行をしたい個人、また研究を行いたいイタリア宇宙機関のような顧客のために使用されることになる。

今年初め、イタリア航空機関ENACは、将来的に水平姿勢のまま打ち上げる宇宙飛行の拠点となるTaranto-Grottaglie空港を設計した。

この宇宙空港は今後、Virgin Galactic社が将来展開する準軌道フライトのためのインフラを徐々に整備していくが、 Virgin Galacticの運用本部はニューメキシコのSpaceport Americaに引き続き置く。

「この提携により、もしかするとVirgin Galactic社による史上初の宇宙旅行がイタリアから打ち上げられることになるかもしれない」とVirgin Group創業者のRichard Bransonは発表文で述べている。

Virgin GalacticにはVirgin GroupとAabar Investments PJSが出資していて、2つの姉妹企業を持つ。1つは、LauncherOne軌道打ち上げを使った小型衛星の打ち上げを行うVirgin Orbit、もう1つはアーム製造を行うSpaceship Companyだ。

Virgin Galacticは現在、水平な姿勢を保ったまま打ち上げでき、かつ再利用可能なSpaceShipTwo VSS Unityのテスト中だ。SpaceShipTwoと、輸送機WhiteKnightTwoは、Spaceship Companyがカリフォルニアのモハーヴェで製造し、テストを行なっている。仕組みはこうだ。 WhiteKnightTwoがVSS Unityを高い高度まで持って行き、切り離す。その後VSS Unity はエンジンを発射し、宇宙と地球大気圏の境まで行く。そこで乗客は数分の無重力を体験し、再び地球大気圏に戻る。

過去数カ月、Virgin GalacticはSpaceShipTwoのテストフライトを2回行い、成功している。このSpaceShipTwoはロケットで飛ぶ旅客機で、いつの日か旅行者を宇宙の入り口まで連れて行ってくれるはずのものだ。2014年にSpaceShipTwo Enterpriseが重大な事故を起こして以来、Virgin Galacticは初めて今年4月にロケット機体のテストを実施した。

イメージクレジット: Virgin Galactic

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(翻訳:Mizoguchi)

Hyperloop One、Virginグループ入り――高速ポッド輸送システムはVirgin Hyperloop Oneに改名

Virginグループはイーロン・マスクのHyperloop Oneに大規模な投資を行った。投資額は明らかにされていないが、真空トンネル内を高速で移動するポッドのネットワークを世界各地に張り巡らそうとしているスタートアップの名称を変更させる額であったことは間違いない。Virgin Hyperloop Oneが新しい名称jだ。

Virgin Hyperloop Oneが誕生した原動力はVirginグループのファウンダー、リチャード・ブランソンのハイテク高速輸送システム愛好だろう。ブランソンはこれまでもVirgin Galacticを始め宇宙飛行のための会社を創立してきた。 Virginグループに加わったことでHyperloop Oneが目指す次世代輸送システムは実現に向けて一歩前進した。Hyperloopは最新のテクノロジーを用いて準真空チューブ内に高速でポッドを走らせ、これまで数時間かかっていた距離を数十分で走破させようという野心的なプロジェクトだ。

Hyperloop OneとVirginとの関係は単に金だけではない。Hyperloopのエンジニアリング担当プレジデント、Josh Giegelは、以前はVirginグループのエンジニアだった。ブランソンはブログで「私はこの夏、Hyperloop Oneを訪問し、 ネバダ州ラスベガス近郊のDevLoopテストコースでこのテクノロジーを直接見てきた」と書いている〔トップ写真中央がブランソン〕。

Hyperloop One(正しくはVirgin Hyperloop Oneだった。長い名前なので慣れるのに苦労しそうだ)は最適な建設ルートを決定するためのコンペのファイナリストを決定し、またプロジェクトの実現可能性を研究する提携先として企業や政府を選定したことを発表している。

当面、Hyperloop Oneのビジネスは改名も含めて順調に進んでいるようだ。スピード好きのビリオネアが親しい友人であるというのは次世代の高速地上輸送システムの実現を目指しているイーロン・マスクにとって大いに役立つことになったようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Virgin Galactic、動力飛行テストを再開――2018年には商用宇宙旅行開始を目指す

Virgin Galacticが宇宙往還機の動力飛行のテストを再開する。2014年に副操縦士のMichael Alsburyが死亡した悲劇的事故以来SpaceShipTwoのの動力飛行は中断されていた。テストの再開はVirgin Galacticのファウンダー、リチャード・ブランソンがBloombergのインタビューの内容を共有したことで確認された。

現在実施中の滑空飛行の結果が集約された後は、3週間に1回のペースで動力飛行が行われる予定だ。テストは徐々に高度を上げ、今年11月か12月には宇宙との境界となる高度まで飛行するという。すべて順調に運べば、2018年半ばにブランソン自身が最初の乗客となって最初の宇宙飛行を行う。ブランソンは最終的にはこの機体で有料商用宇宙旅行を実現させようとしている。

2014年の事故以来、沈黙していたVirgin Galacticだが、今回初めて具体的な商用宇宙旅行計画が明らかにされた。ブランソンはBloombergに対し、計画の遅延とジェフ・ベゾスのBlue Originやイーロン・マスクのSpaceXなど民間宇宙企業の躍進にもかかわらず、「(ライバルがいくらあろうと)十分な数の宇宙旅行機を製作することはできない」と需要が旺盛であることを強調した。

Virgin Groupは現在Virgin Orbitとよばれる衛星打ち上げとロジスティクスを行う会社を所有している。同社は最近VSS Unityと呼ばれる機体の滑空実験を行い、成功させている。今後動力飛行の実験に移り、最終的にはこの機体から小型衛星の打ち上げを成功させたい考えた。

〔日本版〕Virgin Orbitの機体は専用のボーイング747、Gosmic Girlに背負われて成層圏に上がり、動力飛行して衛星を放出、軌道に乗せることが目的。SpaceShip IIは弾道軌道の有人商用宇宙飛行が目的で、双胴タイプのジェト機に吊り下げられ、上空で分離する。下は事故前にVirgin Galacticが公開したビデオ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

VirginとTesla、宇宙のみならず地上でも「領土」を巡って戦線拡大を予定

「サー」の称号をもつリチャード・ブランソンは、ロケットから携帯電話まで、さまざまなプロダクトを扱う企業を所有している。ヴァージングループのファウンダーでもあるブランソンは、宇宙関連事業のみならず、車関連プロダクトでもElon Muskのライバルとして成長していくつもりであることを表明してている。

地上におけるプロダクトでもElon Muskをライバル視していくことを明らかにしたのはBloombergでのインタビューにおいてのことだ。傘下の企業が電気自動車レースに参入予定である件に触れ、宇宙ビジネスに引き続いて、自動車ビジネスにおいてTeslaと競っていくつもりであることを語っている。傍目では今後の対決が愉しみではある。

自動車業界での活躍を予定するVirgin Racing Engineeringは、Formula Eで闘うべく、EVマシンの製造を行なっている。Forumula Eとは、その名の通り、化石燃料を使用しない電気自動車で争われるレースだ。来年に参戦する10チームのうちのひとつを担う予定でいる様子。

Virginは大衆車からレースカーまで、さまざまな分野に参入する心づもりであるらしい。Virginにパーツを提供しようとするOEMメーカーも世界中に存在する。ヴァージングループだけでみても、さまざまな分野で400社以上を抱える規模となっている。そうした総合力を背景に、Virginは躊躇なく新しい分野に参入してくるのだろう。新規参入する分野でVirginが思いもよらぬ成功をおさめるといった可能性はゼロではなく、Virginによる電気自動車関連プロダクトの可能性にも、業界の内外から注目があつまっている。

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(翻訳:Maeda, H