怪我をしたら治し方を自分で見つけて実践するロボット

もしもあなたが、昆虫を真似た六脚ロボットで、その脚が一本折れたらどうするかな? ギブアップするか? 倒れて炎上するか? 涙の出ない目で泣くか? それとも、試行錯誤をしながら自分の怪我の手当をして、折れた脚を隠し、歩く努力をするか?

そう、そのとおり。

ロボット研究家のAntoine CullyとJeff CluneとJean-Baptiste Mouretの三人は、六脚ロボットを訓練して、“知能を伴う試行錯誤”により、いろんな歩き方をトライできるようにした。アルゴリズムの最初のバージョンでは、20分間よたよた歩いて、転んだりしているうちに、だんだん直線上をまっすぐ歩けるようになる、というものだった。最新のシステムでは、ロボットは約2分間で歩き方を覚える。

上のビデオでお分かりのように、ロボットはいろんな歩行スタイルを試みる。最初は、ちょっと跳んでみる。次に負傷した脚を上にあげてバランスを保とうとする。ロボットはつねに、部屋の中の自分の位置と自分の速度をセンスしている。まっすぐにはやく歩ける足取りを見つけたら、それを最後まで続ける。

このアルゴリズムでは、データが物を言う。研究者は六脚ロボットのシミュレータ(ソフトウェア)を使って、そいつにいろんな歩き方をさせ、13000種類の足取り〜歩行スタイルを収めたデータベースを用意した。またロボット自身は、自分のダメージを分類して(支柱の破損、脚の挫傷、など)、データベースをクェリする。それからいろんな歩行スタイルを試行して、最良の足取りを見つける。

これはいわゆる人工知能ではないが、データベースを使うおかげでロボットは現場で短時間で解を見つけることができる。そして自力で使命を続行できることが、重要なメリットだ。不死身のロボットが完全に人間を支配する未来においては、この能力こそがいちばん重要だ。

出典: Spectrum

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


新型バイオセンサーは、皮膚の下から体液を採取して喉の渇きを検出する

ご存じの通り、植物(および人間)は電解質を必要としている。しかし、これまで私たちは、体が少し不調を感じた時、自分の感性を信じてペットボトル飲料を買いにいかねばならなかった。しかし、この新しいセンサーは、微小な針を使って貴重な体液を少しばかり盗み取り、あなたが補給を必要としているかどうかを見極めてくれる。

Sandia National Laboratoriesの研究者、Ronen Polskyのチームが作ったそのシステムは、腕時計に収まるほど小さく、皮膚の表面に置かれる。そして間質液 ― 細胞の間にある液体 ― を採取する。血液ではない。針は体のいかなる神経も活性化させないため痛みはない。装置は患者の電解質レベルを一定に保つ必要のある医師、および、いつ補給すべきかを知りたいアスリートの両方を想定して作られた。

わずかな変更によって、同システムは体内のナトリウムおよびカルシウムのレベルを測定することもできる。将来は、センサーによるフィードバックに基づいて、利用者が必要に応じて適切なミネラルと電解質の投与を受けることも可能になるかもしれない。非侵襲性かつ無痛で、血液自体を採取しないため、現在のバイオセンシング手法よりはるかに効率的だ。

「私たちは装置をウエラブルで非侵襲的にすることによって、リアルタイムに測定値を読み取り、通常なら検査質検査に出すようデータを、医師が連続して測れるようにしたい」とPolskyは語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


もっとも人気の高いセルフィー(自己写真)を選ぶ科学的アルゴリズムが完成

セルフィーは今とてもホットだから、もしかしてブームはもう終わったのかもしれない(だいたい、ぼくが何かクールなものを知ったときには、それは終わっているのだ)。でもこれからは、ソーシャルメディアに載せる自分の写真を決めるために、腕を前方にいっぱいに伸ばしながら、大量の顔写真を見比べる必要はない。MITで博士号を取った院生Aditya Khoslaのおかげで、いちばん良い(と他人が思う)セルフィーを簡単に決められるから、腕の痛みともおさらばできる(元記事: CSAILより)。

KhoslaはFlickrの上の写真230万点を分析して、写真の“人気度”を予測するアルゴリズムを開発した。写真の実際のビューカウント(何回見られたか)を基に作られたそのアルゴリズムは、まだ誰にも見られていない写真の人気度を高い精度で予言する。ユーザの社会的影響力を求めるやり方は前にもあったが、彼のは違う。画像そのものの内容を分析するのだ。すなわちKhoslaのアルゴリズムは、写真の色、そこに一緒に写っている物、写真のタグなどを分析して、何人ぐらいの人がその画像をいいね!したり、実際に見たり、シェアするかを予測する。

しかしKhoslaが導いた結論は、意外と平凡だ。ビュー数を稼ぐためには、セクシーなショットがベスト。女性なら、ビキニ、ブラ、ミニスカートなどの着用写真が有効だ。セルフィー撮影者にとっては幸運にも、一人で写っている写真よりも、複数の人と一緒に写っている方がビュー数は多い。

Khoslaの究極の目標は、今ある写真の中から選ぶことではなくて、今ある写真を、人気度の高い写真に自動的に修正することだ。もしそんな方法が普及すれば、InstagramのLike(いいね!)の意味も相当変わってくる。虚飾的創作、それが次の時代を制するのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ワシントン大学の研究チームが世界初の人間での「脳波直接通信」に成功

ワシントン大学の研究者、Rajesh RaoとAndrea Stoccoは非侵襲的遠隔脳波インタフェースを開発し、RaoがStoccoの指を「思考」によって動かしてキーボードのキーを打たせることに成功した。

「これまでインターネットはコンピュータを結びつけるネットワークだったが、これからは人間の脳と脳とを直接結ぶつけることが可能になる。われわれは脳から知識を直接取得して他の脳に伝えようと努力している」 とStoccoはプレスリリースに書いている。

Raoは「脳から脳へ」のコミュニケーションを10年にわたって研究しており、ハツカネズミでは脳に装置を埋め込む手法ですでに成功している。今回の実験では、発信側被験者にモニタに映る画像を見せ、脳波測定器で脳の活動を捉えて、それをコンピューターで解析した上で、TMS(経頭蓋磁気刺激装置) を利用して受信側被験者の脳内に微弱な誘導電流を発生させた。受信側被験者はこの脳内電流に応じて発信側被検査者の動作を真似ることができたという。

現在のところ、研究チームは単純なビデオゲームの動作を送信することに成功している。発信側のユーザーがゲームをプレイするとセンサーが脳波を読み取り、手の動きを解析する。信号は受信側ユーザーの脳を刺激する。受信側ユーザーはその刺激に応じて発信側ユーザーの動作をなぞることができた。

ただしこれはSFによく出てくるようなマインド・コントロールではない。受信者は自由意思で指を動かすのであって、意思に反する強制は一切ない。またお互いに「思考内容」を読み取ることもできない。インターネットを通じて指を動かしたくなるある種のショックが脳内に伝えられると考えてよいだろう。

研究チームは今後さらに複雑な動きが送信できるようにし、また被験者の範囲も広げていく計画だという。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


布や衣服の超リアルな表現技術が完成(今のゲーム専用機のメモリ容量では無理)

布を表現しシミュレートするのは難しいけど、でもゲームや科学的な分析やCGIではそれが重要だ。そこで、カリフォルニア大学バークレイ校とカーネギーメロン大学の連中が6か月かけて、アニメのキャラクターに着せる布製のローブの、ありとあらゆる表現方法を研究しつくし、今われわれが見るものとしては最良の、布のシミュレーションを作り出した。彼らの研究報告は、今日(米国時間7/23)発表されるSIGGRAPHの論文に載っている。

“データ駆動型テクニックを批判する人たちは、あらゆるものをコンピューティングで求めることはできない、と言う”、カーネギーメロンのコンピュータ科学/ロボット工学の准教授Adrien Treuilleはそう語る。“10年前なら彼らは正しかったかもしれないが、今はそのころと全然違う”。

上のビデオで見られる布は頂点が29000あり、それらが60fpsで描画される。非常になめらかで、本物の布のようだが、それは一種のグラフデータ構造を使って毎フレームごとに、動きに伴って変化するすべての頂点のありえる位置を、計算しているからだ。そこまですることによって、たとえば人間が着ている服のリアルなシミュレーションができ、ゲームが今よりもクールになるだけでなく、天候などさまざまな条件下での素材の質感や動きを知ることもできる。つまり、画面上の仮想ロボットに本物の服を着せられるのだ。

もうすぐ、この技術を使ったゲームが見られるだろうか? 今のゲーム専用機では無理である。

データ駆動型テクニックの最大の問題は、ランタイムにおけるメモリの容量だ。服を着たキャラクター1体につきおよそ70MBを要するから、今のゲーム専用機では対応できない(たとえばXbox 360はRAMが512MBしかない)。しかし今のPCなら(そして次世代のゲーム機なら)数GBのメモリを搭載しているから、コスト的にも十分に見合うと思われる。しかしわれわれはまだ、二次元グラフの圧縮による布の表現方法を、完全に探求し尽してはいない。したがって今後は、圧縮アルゴリズムの改良と、二次元グラフの各部分をストリーミングするランタイム技術の向上(コア的な部分は再描画しない、など)が期待される。

このビデオでは、ローブの下の人体の動きがリアルなのがすばらしい。衣服の表現としては、われわれは新時代に突入したのではないだろうか。あと数か月もしたら、彼らは、お腹の垂れ下がった腕の太い肥満中年男〔筆者自身のこと?〕が着ているものも、リアルに表現できるようになるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


パソコンを多機能測定機/表示器に変える小型マイコンボードRed Pitaya

科学おたくを目指していてぼくは、オシロスコープとか波形発生器とか、いろんなセンサ類に魅了されていた。でも、足し算すら満足にできない(電卓を使っても)ぼくは、学校でもどこでも、誰にもそんな装置を使わせてもらえなかった。でもこれからは…誰の許可もいらなくなる。

スロベニアの人たちが作ったRed Pitayaは、一台のコンピュータをありとあらゆる種類の計測装置に変えてしまう。使うためにはある程度の知識が必要だが、この小さな基板一つが、オシロスコープにも、スペクトルアナライザにも、波形発生器にも、周波数応答解析装置(FRA)にもなる。Bazaarと名づけたオープンソースのアプリストアもあるので、このボードで使うためのプログラムも入手できる。

デュアルコアのARM Cortexチップを使用し、アナログ入力2、アナログ出力2、低速I/Oポートが4ある。EthernetとMicro SDのスロットもある。

かなりハッカー的な品物だし、こういう低レベルI/Oになじみのない人は楽しめないかもしれない。でも、ハッカー趣味のある人や、子ども向けの電子工学教材を探していた人は、299ドルでも安いと思うだろう。今彼らはKickstarterで50000ドルを募集しており、初日ですでに(日本時間7/23 am12:00)で22000ドルあまりが集まっている(残59日)。誰もがパソコンを使える今の時代に、なぜこれまで、こんな多機能化製品がなかったのか、不思議なぐらいだが、高嶺の花だったオッシロがこれからは好きなように使えるのは、とっても嬉しいね。

〔訳注: パソコンにUSB接続するオシロスコープ(単機能)なら、2~3万円である。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


最先端のバイオテク実験室シミュレーションをゲームエンジンUnity3Dで実装のLabster, 実験教室と教育ゲームの抜本改革を目指す

教育ゲームが生徒たちの積極的で自主的な関心を引き出す、とはよく言われていることだが、でも2011年に創業され今日(米国時間6/28)ステルス状態から脱したバイオテクノロジ教育のLabsterはさらにその先を行って、実験室全体を仮想化した。これで学校や生徒は、高価な器材を買ったり、危険な実験を実物で行わなくてもすむようになる。

Labsterは先週、同社が“電子学習のためのビデオゲーム(eLearning video game)”と呼ぶ実験室シミュレーションソフトウェアを立ち上げた。登録したユーザは最初の三か月、無料で利用できる。その後の料金は実験の内容によって異なり、必要なコンテンツをiPadのApp Storeで買ってダウンロードする。

Labsterはそのソフトウェアのライセンスを大学や学校、あるいは企業の教育用にライセンスしている。現在の顧客は、スタンフォード大学と、香港とコペンハーゲンの大学だ。ソフトウェアは昨年、1万名以上の学生を対象にテストされた。

それでは、Labsterとは何か? 協同ファウンダでCTOのMichael Bodekaerはこう述べる: “要するに科学のビデオゲーム。ゲームを通じて、DNAシークエンシングのやり方などを学び、将来はバイオ技術者や科学捜査官などになっていただく。理論ではなく、実物で学習する。たとえば、殺人事件における法医学的分析なども行う”。

なかなかよろしいようだが、でもそれはディスラプティブ(革新性がある)か? ある、とLabsterは言う。なぜなら、実際に高価な器材を買い専門の実験室を作って教育できるところは、限られているからだ。ソフトウェアは、そんな状況をディスラプトする。

“学生やバイオに関心のある人たちが何十万ドルもするNGSマシンや電子顕微鏡やHPLCにアクセスできることはまれだ。でもうちのソフトウェアを使えば、1日24時間/週に7日間、3Dで描かれた仮想実験室で、そういうすごい機械を使えるし、pHテストやDNAの操作、酵素のシミュレーションなどの数学的シミュレーションを実際に行える。有能な仮想アシスタントがいるので、このクールな新型玩具の使い方を教えてもらえる”、とBodekaerは言う。ソフトウェアはWeb用とiPad用があり、とくに3D要素はUnity3Dを使って実装されている。

また、分子過程の可視化などは、実物でやるよりも3Dアニメによるソフトウェアシミュレーションの方が多数回できるそうだ。しかも実物では、結果は分かるが過程は機械の中にあるので分からない、ということも多い。というわけでソフトウェアによるソリューションは、安上がりというだけでなく、学習内容も濃いのだ。また、ソフトウェア自身が小テストや質疑応答なども行うので、これまた実物実験より学習効果が高いだろう。

それにまた、従来の実験教科では生徒が一定の手順に従うことを強制され、学ぶ者の好奇心が抑圧される。しかしLabsterのソフトウェアベースの教科では、生徒が自分のアクションを選び、いくらでも失敗が許される。失敗から学んだことは、忘れない。というわけで、すぐれたシミュレーションソフトで学んだ方が、実物を使う実験教室よりも良い、と同社は主張する。

競合他社としては、Bodekaerによると、LateNiteLabsとMcGrawHill LearnSmart Labsがメインだ。しかしLabsterが独特なのは、教育の“フロー”を従来の実物教室とは変えていることと、ハイテク器材を仮想化してアクセスを広げていることだ。

“うちの競合他社は、従来の科学教育のフローをそのまま仮想化しているだけだ。それはすでに、多くの学生生徒によって、きわめて非効率であることが実証されているやり方だ。うちでは、学習研究者たちや教授たちと協力して、学習のフローを改革し、科学教育を再発明した。生徒の心を引き込み、楽しくて現実的なシナリオ、対話的な3Dアニメーションなどにより、ナノレベルで起きていることでも説明できる。また、現代的な授業方法により、学習効果の向上と学習内容の保持に努めている”、とBodkaerは主張する。

“しかもうちでは、70万ドルもする次世代型DNAシークエンシングマシンなど最新かつ高度な研究器材を、うちの高度なシミュレーションエンジンを利用してソフトウェア的に実装し提供している。それに対して他社は、従来の学校教育で使われていたような、古くて単純な器材を(シミュレートして)使っている”。

また、プラットホームの違いも大きい。Bodekaerによると、他社はもっぱらFlashだが、LabsterはiPadにより学習をモバイル化した。“競合他社はどこも、死に行く技術であるFlashを使っているから、iPadなどの市場に入ってこれない。うちでは最先端の3DゲームエンジンUnity3Dを使っている。それはクロスプラットホームだからiPadにもAndroidにもMacにもPCにもiPodにすらネイティブにコンパイルでき、Webブラウザにも対応する”。

Labsterのもう一人の協同ファウンダでCEOのMads Bondeは、バイオテクノロジの教育経験がある。同社の現在の資金はは、100万ドルの研究補助金と非株式サポートだが、Bodekaerによると、今数社の投資家たちとシリーズAの可能性について検討している、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


正規の科学もWeb化したい: Mozillaがそのための運動組織ScienceLabを立ち上げ

Mozillaが今日立ち上げたプロジェクトは、これまでこの団体が得意としてきた標準規格周辺のプロジェクトとはやや趣が違う。そのScienceLabと呼ばれるプロジェクトは、オープンサイエンス運動のリーダーKaitlin ThaneySoftware CarpentryのファウンダGreg Wilsonが長となり、“世界中の科学者がオープンなWebを利用して科学の未来を作りだしていく”ことを支援する。プロジェクトは、Alfred P. Sloan Foundation(スローン財団)がスポンサーしている。

“Webを作ったのは科学者たちだが、そのオープンなWebはまだ、科学の実践を、メディアや教育やビジネスなどそのほかの領域を変えたほどには変えていない”、MozillaのMark Surmanはこう主張する。

現在の学術評価のシステムは、悪名高い”publish or perish”(発表するか消え去るか)という言葉にも見られるように、知識は研究論文によってのみ広まる、という観念の上に立脚している。しかも論文はなるべく、学者村において“ステータスの高い学術誌”に載った方がよい。この状況に対してMozillaが当然考えるのは、“これだと科学者たちは永遠にWebとそのオープンでコラボレーション的な特質を学習や共有の場として利用しない”、ということだ。

彼らがプロジェクトの目的として記しているのは、“今あまり実績や評価が良いとは言えないデジタル的ネットワーキング的な科学研究の領域を大きく押し広げ、Webが科学に対してなし得ることをさらに遠い未来的視野まで探究する”ことだ。

プロジェクトが最初に取り組むのは、学生や学者たちへのデジタルリテラシの啓蒙だ(まだインターネットもWebも知らない研究者がざらにいる)。また、研究者たちに基礎的なコンピューティングスキルを身につけてもらう。そして何よりも重要なのは、これまでオープンなWebを作ってきた方式ややり方を、科学の未来を作るためにも応用できるという認識を、対話の活性化を通じて広めていくことだ。

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充電時間が従来の1/1000, 蓄電量が30倍の超高性能電池をイリノイ大が開発

イリノイ大学アーバナシャンペーン校の研究者たちが、通常の電池の1/1000の時間で充電でき、携帯電話はもとより、電気自動車用にも使える、という強力な微小電池を作った。研究者集団のリーダーWilliam Kingは、“クレジットカードのように薄い”デバイス用に使える電池を研究していた。

この電池の設計では、正極と負極の表面面積が従来よりも相当大きくなり、放電と充電のレートが上がる。正極(プラス側)の改良は前から行われているが、負極(マイナス側)も改良したのは今回が初めてである。

この電池は寿命も従来電池の30倍、同サイズなら出力電力も大きい。これまでの電池は、ハイパワー(高出力)であるかハイエナジー(高蓄電量)であるかのどちらかだが、この電池は両方の性質を備える。たとえばコンデンサは蓄電が高速で放電も速い。リチウムイオン電池は蓄電量は大きいが、一挙の高出力はできない。出力も蓄電量もともに大きいこの電池では、これら二つの良いところを両方持っている。

“箱型の製品、という制約がなくなる”、とプロジェクトに携わる院生のJames Pikulが言う。“まったく新しい技術であり、既存技術の漸進的改良ではない。エネルギー源に関するパラダイムを一新する。まったく新しい電池利用製品の誕生が期待される”。

論文をちゃんと読みたい人はここへ。ただし、かなり難解だし、ダウンロード料金も高い。

出典: Extremetech

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


MicrosoftのWorldWide TelescopeはNASAのデータによる全宇宙の地図

Microsoft Researchの人たちが壮大な宇宙の地図を作っている。そのために利用しているのは、NASAのHubble Space Telescopeをはじめ、世界中の天文台(の望遠鏡)から集めたデータや写真だ。彼らはそれを、The WorldWide Telescopeと呼んでいる。

銀河系宇宙にはおよそ3000億の星があり、宇宙にはそれとほぼ同じ数の銀河がある(欲しければ一つでも二つでもあげるよ)。WorldWide Telescopeでは、科学者とデベロッパが宇宙の詳細な3D画像を一つ一つ組み上げ、ユーザは人間に今分かっているどんな惑星や恒星や銀河のそばでも飛んでいける。一枚の画像で全宇宙を見ることもでき、それを見れば自分たちが無に等しい存在だと悟れる。

しかしWorldWide Telescopeは天文学ファンや物理学マニアのための探検ツールでは終わらない。プログラムディレクターのDan Fayは、NASAがこれを研究ツールとして利用し、また小学校から大学まですべての学校の児童生徒学生たちの教材にもなることを望んでいる。操作はタッチスクリーンやデスクトップで行うが、とてもシンプルな操作インタフェイスだ。2つのボタンにさわってから、ピンチしてズームすると、宇宙旅行が始まる。モバイルへの実装も、予定されている。

APIも提供されるので、デベロッパは独自のツアーやレッスンを作れる。銀河系宇宙の星雲観光旅行をやってみたが、なにしろ綺麗だ。レッスンは、太陽系宇宙のすべての惑星のそばを飛行する簡単なものから、宇宙最深部の写真を分析する高難度なものもある。また、ふつうの可視光線のほかに、赤外線やX線などいろんな波長の光で宇宙を見ることもできる。

デモを見たあとぼくは、2018年立ち上げ予定のJames Webb Space Telescopeのスケールモデルで宇宙ツアーをやってみた。Hubbleの100倍という高性能な望遠鏡で、大きさも7倍だ。反射鏡の直径は21フィート、数多くの計器類もついている。

NASAは生成期の星のまわりにある宇宙塵雲を赤外線装置を使って透視できたら、星の誕生の様子が分かるだけでなく、望遠鏡の視界もこれまでよりずっと遠方になり、今まで分からなかったことも分かるようになる、と期待している。太陽系の外部に、水蒸気を検出することもできるから、水があるところには生命が見つかる可能性もある。

今日は、圧倒されてしまった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))