福岡県が災害対応に向けAIリアルタイム危機管理情報のSpectee Proを採用

Spectee Pro(スペクティプロ)

Spectee(スペクティ)は6月22日、AIリアルタイム危機管理情報サービス「Spectee Pro」(スペクティプロ)が、福岡県の災害対応・危機管理対応に向け採用されたと発表した。

福岡県は、2017年の九州北部豪雨で大きな被害を受けるなど、近年激甚化する災害対応に従来以上の多角的な情報収集が必要と判断。同年より実施中の防災・行政情報通信ネットワーク再整備事業において、ビッグデータのひとつとしてSNS情報を基にした被害状況の把握が重要との考えから、Spectee Proを導入した。

プレスリリースにおいて福岡県防災危機管理局防災企画課は「地域によっては、災害発生時に消防や警察、報道などから情報を得られないため、住民からのSNS投稿による情報は災害発生時の初期対応に有用」という旨のコメントを行っている。

Spectee Proは、AI技術を活用し情報解析を行い、早期かつ正確に緊急情報を配信、被害状況を可視化する危機管理情報サービス。SNSへの投稿情報をもとに、自然災害・火災・事故など緊急性の高い情報、感染症情報など、100以上の事象を市区町村・空港・駅、商業施設・観光地周辺といった対象と組み合わせて、「どこで何が起きているか」をリアルタイムに確認できる。

また同サービスでは、AIを活用し、デマ・誤情報、情報の重要度などを的確に分析するとともに、24時間対応の専門チーム(情報分析官)による情報の精査も合わせて行う。現場で働く職員の方々が情報に惑わされないようサポート体制を敷いている。

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SNS画像から降雪量や路面状態を自動判別、Specteeが日本気象協会と共同開発へ

報道機関など向けの速報サービス「Spectee」を提供するスペクティは、日本気象協会と共同で、冬季の防災情報をリアルタイムに提供するサービスを開発する。同社はこの防災情報を、道路管理者や自治体などに提供していく予定だ。

TechCrunch Tokyo卒業生でもあるスペクティ(当時の社名はNewsdeck)は、これまでSNS上にアップロードされた事故や災害の画像、動画、テキストをAIが自動収集し、報道機関向けにいち早く配信するサービスを提供してきた。SNS上に映された画像が焚き火なのか、それとも火事なのかをも判別可能なほど精度の高い画像解析技術が同社の強みだ。

そのスペクティが日本気象協会と共同開発する本サービスでは、SNSや天気カメラからの映像をAIで解析し、「降っているのは雨なのか、それとも雪なのか」、「どれくらい雪が積もっていて、視界はどれくらい悪いのか」などを判別。それらの情報を道路管理者などにリアルタイムで提供する。これまで、降雪量や路面状態を判断するためには、人の目で確認するか、高額な計測機器が必要だった。SNSなどにアップロードされた画像からこれらの情報が入手できれば、大幅なコストダウンやリアルタイム性の向上が期待できる。

共同開発の背景について、Specteeは「冬季の防災情報に対する計測機器は高額であったり、技術的に開発途上であったりして、これまで人の目に頼る部分が多いのが実情。また自動運転の将来的な実運用が始まることを考えると、道路の雪氷管理の重要性が増し、路面状態の詳細な把握が欠かせなくなると考える」とプレスリリースの中でコメントしている。

今回の共同開発ではまず、画像・映像からの冬季の防災情報の取得に注力し、AIによる解析によって、雨雪判別、降雪量、積雪量、路面状態、地吹雪の発生判別、視程、歩道の滑りやすさを自動で判断する技術の確立を目指す。また、将来的にはその情報をリアルタイムで提供するだけでなく、各地のデータをリアルタイムで解析することで、他の地域における降雪量の予測などへの応用にも期待できるという。

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写真はゆいプラ公式ページより

SNSにアップされた事件・事故情報やその画像などを報道機関に提供するSNS速報サービスの「Spectee(スペクティ)」。

その運営元であるSpecteeはもう1つ、テレビ局など報道機関での利用を想定したサービスを開発している。人工知能がヒトに近い音声で文字を読み上げる、AIアナウンサーの「荒木ゆい」だ。

報道機関の記者が他の作業をしながらでもニュースを追えるよう、Specteeには事件・事故の概要を端的に伝える「見出し」を自動で生成し、それを音声で読み上げる機能が備わっていた。荒木ゆいは、その読み上げ技術を生かしたサービスだ。

荒木ゆいのベータ版は2017年11月にリリースされていたが、Specteeは3月1日、荒木ゆいの読み上げ音声を自動生成できる商用サービス「AI アナウンサー『荒木ゆい』ボイス・プラットフォーム(略称、ゆいプラ)」をリリースすると発表した。

ベータ版リリース後の反応についてSpectee代表取締役の村上建治郎氏は、「読み上げのクオリティは(他社サービス)よりも高いという評価を頂いた。おかげで、テレビやラジオでも取り上げて頂いたり、実際に30分番組の通しナレーションを荒木ゆいが行うという事例もあった」と話す。

荒木ゆいの読み上げクオリティがどれほどのものか知りたい読者は、以下の動画を観ると分かりやすいと思う。

この荒木ゆいの読み上げ機能をクラウドサービスとして公開したのが、ゆいプラだ。ユーザーが原稿を入力すると、荒木ゆいがそれを自動的に読み上げる。音声ファイルはダウンロードできるほか、音のピッチを変えたり、アクセントの位置を調整したりといったチューニングも可能だ。

ゆいプラの基本料金は月額9800円。これで20回分の音声ファイルをダウンロードすることができる。ダウンロード回数を使い切った場合には、2450円で5回分を追加購入できる。なお、SpecteeはアプリやWebサービスの開発者向けに音声読み上げ機能のAPIも併せて発表している。

Specteeは2014年2月の設立。SNS速報サービスのSpecteeは現在、130社以上のテレビ局や新聞社に導入されているという。最近では、野外イベントの警備などを目的として、警備会社や地方自治体がSpecteeを導入する例も増えているようだ。

村上氏はAIアナウンサー事業の今後の展開として、「荒木ゆい以外の声や、マルチ言語に対応した読み上げサービスの開発も進めている。スマートスピーカー向けのコンテンツ開発会社や、東京オリンピックで来日する外国人向けの多言語による音声案内などがターゲット」と語った。

その炎は「火事」か、「焚き火」か――SNS上の事故・災害情報をいち早く報道機関に提供するSpecteeが2.7億円調達

カメラを搭載したスマートフォンの世帯保有率が70%を超える今、報道機関ではない僕たち一般人が、事件、事故、災害の第一報を伝えることができる世の中になった。そんな中、報道機関もSNS上にアップされた画像や動画をニュース番組などに利用するケースが増えている。

そこで活躍するのが、Specteeが展開するSNS速報サービスの「Spectee(スペクティ)」だ。同社は9月25日、YJキャピタル共同通信イメージズみずほキャピタルアルコパートナーズクオラス、および元マイクロソフト社長の成毛眞氏などから総額2.7億円を調達したと発表した。

Specteeは、SNS上にアップロードされた事故や災害の画像、動画、テキストをAIが自動収集し、報道機関向けにいち早く配信するサービスだ。同社の画像解析技術は高く、画像に写る炎が「火事」なのか、それとも単なる「焚き火」なのかを見分けることもできる。周りにいる人々が炎からどれほど離れているか、そして、その人たちがどのような表情をしているのかなどを総合的に分析して判断するのだ。

同社は1つの事象ごとに複数の画像・動画をまとめ、それを報道機関向けに提供するダッシュボード上にリアルタイムでアップロードする。報道機関がそれをニュースにすると判断した場合、SNSユーザーに画像や動画の使用許諾を取るという流れだ。

Specteeはこれまでに、テレビ局と新聞社あわせて100社以上を顧客として獲得している。Spectee代表取締役の村上健治郎氏は、「独立系の地方テレビ局などをのぞけば、日本のテレビ局はほぼカバーできている」と語る。

画像解析の優位性

日本にはSpecteeと同様のサービスを提供する企業は他にもある。データセクションJX通信社などがその例だ。

それらの競合サービスとの違いについて、村上氏は「情報を提供するスピードは、正直どこも似たようなもの。しかし、Specteeの精度は他サービスよりも優れていると考える。他サービスはテキスト解析をベースにしたものが多いが、それでは事故や災害とは関係のない情報も流れてきてしまう」と話す。

それでは、ちょっと簡単な検証をしてみよう。Twitterの検索窓で「火事」と入力してみると以下のような結果になった。

検索結果のなかには本物の火事を映した画像もあるが、まったく関係のない画像も表示されていることが分かる。もちろん、他社サービスのテキスト解析が単なる文字検索と同等の精度だとは思わないけれど、テキスト解析では関係のない情報も流れてきてしまうという村上氏の主張には納得できる。

「たとえば、辛いラーメンを食べて『口のなかが火事』というようなツイートが表示される可能性もある。ユーザーが火事の現場を目撃して画像をツイートするとき、実際には『火事だ!』ではなく『やばい!』とだけコメントする人も多い」(村上氏)

品詞分解して見出しを自動生成

画像解析技術と並び、Specteeの肝となる技術がもう1つある。複数のテキストを品詞分解することでニュースの見出しを自動的に生成する技術だ。

Specteeのダッシュボードには、ユーザーがSNS上にアップロードした画像・動画に加えて、そのニュースを要約した“見出し”が表示される。複数のテキストを品詞分解し、その中から関連度の高い文字ピックアップして組み合わせることで、「北海道のコンビニで火事」などの見出しを自動的に付けているのだ。そして、Specteeはその見出しを音声で読み上げる機能も搭載している。

「ニュース記者もSpecteeのダッシュボードにずっと張り付いている訳にはいかない。音声で見出しを読み上げれば、記者は他の仕事をしながらでも情報をフォローできるので、この機能には定評がある。しかし、そもそも見出しを生成できなければ読み上げることもできない。だから、見出しを生成する技術はSpecteeにとってコア技術の1つでもあるのです」(村上氏)

チーム運営機能の追加と海外展開

今回の資金調達で2.7億円を手にしたSpecteeは、ダッシュボードへの機能追加と海外展開を目指す。

現在のダッシュボードは、SNS上の情報を収集して報道機関に配信するという機能のみが搭載されている。しかし、報道機関は1つのニュースに複数の担当者がつくことも多く、こなすべきタスクも多い。素材の使用許諾を取らなければならないし、取材もしなければならない。

そこで、Specteeはダッシュボート上の画像や動画にコメントを追加できる機能や、ステータスを管理(「使用許諾を取得中」など)する機能などを追加することで、チームでの運営がより簡単になる仕組みを取り入れる予定だ。

また、Specteeは海外展開にも意欲的だ。特定の業界だけをターゲットにする以上、限られたパイを取り尽くせばおのずと海外に出て行く必要がある。また、画像解析をベースとするSpecteeは、テキスト解析ベースのサービスと違って言語の壁がなく、海外展開もしやすい。

Specteeは海外展開の第1弾として、2017年6月にAP通信との業務提携を発表。これにより、SpecteeはAP通信が展開する映像配信サービス「AP Video Hub」を通じて、収集した映像を海外の報道機関に販売することが可能になった。

映像の販売は売り切り方式で、単価の相場は約300ドル。Specteeの取り分はその60%だという。AP Video Hubに日本企業が参加するのはこれが初めてのことだ。

2016年6〜8月における海外への動画販売数の割合

「昨年の終わりから今年はじめにかけて、海外の報道機関にダッシュボードを直接販売しようとしていた時期もあった。しかし、それには現地での営業やサポートに人員が必要で、今のSpecteeの体力では難しいことが分かった。それならば、当面は海外のプラットフォーマーに乗っかってしまうのが得策だと考えた」と村上氏は話す。

2014年2月に創業のSpecteeは、これまでにフジテレビなどから推定1億円前後の資金調達を実施している。

そうそう、同社は昨年のTechCrunch Tokyoで開催されたスタートアップバトルの参加企業でもある。もちろん今年のTechCrunch Tokyoでもスタートアップバトルを開催するので、創業3年未満のスタートアップ諸君はぜひ参加してもらいたい

Specteeのチームメンバー。前列左から2番目が代表取締役の村上健治郎氏。

Twitterなどの動画をAIで収集・配信するSpecteeがAP通信社と提携、世界へ動画配信を開始

事件や事故、災害など、SNSに投稿された動画や画像を、報道機関がニュースなどで取り上げることが増えている。その影には、TwitterやFacebookなどの動画・画像をAIを使って自動収集し、権利処理も行った上で、報道機関向けにいち早く配信するサービスがある。日本ではデータセクションJX通信社、そしてSpecteeがこうしたサービスを提供している。

そのSpecteeが6月7日、世界規模のニュース配信ネットワーク、AP通信社と動画配信に関して事業提携したと発表した。APが展開する映像配信サービス「AP Video Hub」を通じて、世界のテレビ局や新聞社などの報道機関に、Specteeが収集した映像を提供していくという。APへの映像提供では、国内唯一のコンテンツ・プロバイダーとしての契約になる。

Specteeは、SNSなどに投稿される情報をリアルタイムに収集し、配信するサービス「Spectee」(旧サービス名・Newsdeck)を、現在約100社の報道機関向けに提供。今回のAPとの提携により、権利処理を行った動画を、国内の提携先報道機関だけでなく、世界の報道機関向けに提供可能となる。

Specteeではこれまでにも、日・英・スペイン語など複数言語で、世界中の投稿者との交渉や権利処理、事実確認を行ってきたノウハウがあるとのことで、配信動画は国内のものだけでなく、海外の動画も対象。「世界の報道機関に、安全に迅速にUGC(User Generated Contents・一般ユーザーによるコンテンツ)動画を届けていく」とリリースでコメントしている。

また今後、Spectee独自のネットワークで収集し、自社制作した動画もあわせて配信を予定しているそうだ。

AIがSNSから“現場の映像”を収集、「Newsdeck」にフジテレビが出資

  • spectee人工知能(AI)で事件や事故、災害の画像・動画をネット上から自動収集し、投稿者の許諾を得て報道機関に提供するサービス「Newsdeck」に、テレビ局からの注目が集まっている。

今年3月にアルファ版をリリースしたばかりだが、すでにNHKに加えてフジテレビやテレビ朝日などの民放キー局が導入。地方のテレビ局やウェブメディアも合わせて15社が報道で利用している。

運営会社のSpecteeは7月26日、フジテレビ系列のVC「フジ・スタートアップ・ベンチャーズ」をリードインベスターとする資金調達を実施したことを発表。金額は非公表だが、関係者によれば1億円前後とみられる。

Newsdeckのダッシュボード画面

Newsdeckのダッシュボード画面。報道機関は「事件」「事故」「自然災害などの項目から画像や映像を検索し、ニュースで利用できる

AIで「火事」と「焚き火」を識別

Newsdeckは、TwitterをはじめとするSNSから事件や事故、災害に関する画像・動画をリアルタイムに収集し、AIが「火災」や「人身事故」「爆発」といった項目に分類する。

例えば、火災の画像を収集するにあたっては、あらかじめ「燃えている画像」「煙が出ている画像」「消防車の画像」などを学習させ、収集した画像が「火事」らしいかどうかを判定。火事と焚き火の画像もAIで識別できると、Specteeの村上建治郎社長は説明する。

「火を囲んで談笑しているか、火から離れて見ているのか、といった複数の要素と、過去の学習成果をかけあわることで、AIが一瞬で判断する。」

SNSの投稿を使う報道機関は通常、投稿者から個別に許可を得るが、Newsdeckも同じ。アルファ版公開当初はボットで定型文を送って許諾を求めていたが、「返信率が上がらなかった」ため、現在は人力でメッセージを送っている。

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新宿・ゴールデン街の火災で注目

Newsdeckが報道機関から熱視線を送られるきっかけとなったのは、4月12日に発生した東京・新宿ゴールデン街の火災だった。

ゴールデン街の火災では、現場に居合わせた一般人がTwitterに動画を投稿。その動画を番組で使用するために、多くのテレビ局が投稿者へ利用許諾を求めた。

その模様をまとめたTogetterによれば、最も早く利用許諾を求めたのはSpectee。Twitterに火災動画が投稿されてから、わずか3分後の出来事だった。

Specteeに続いたのはテレビ朝日で、動画投稿から10分後、TBSは20分後、フジテレビは2時間26分後と、AIと人力による収集能力の差が如実に表れた形だ。

スタッフをネットに貼り付けて動画や画像を探し、その都度、投稿者に許可を得るのは手間とコストがかかるーーそう考える報道機関がNewsdeckに依頼するケースが増えているようだ。

デマ投稿にどう対応する?

Twitterに事故や災害の第一報が投稿されるのは珍しくなくなったが、中には「デマ」が出回ることもある。

4月の熊本地震では「ショッピングモールが火災」といったデマ写真がTwitterで拡散。この情報に惑わされたフジテレビが震災特番の中で報道し、番組中に訂正したこともあった。

こうしたデマ投稿に対応するために、Newsdeckは過去に同じ画像や動画が投稿されていないかをフィルタリングする。「ネタ画像」の使い回しかどうかをチェックするためだ。

熊本地震では「ライオンが動物園から脱走した」というデマ写真もTwitterで拡散したが、これはヨハネスブルグの画像を使い回したものだった。

「自動収集した画像や映像は最終的にスタッフが目視する。それでもデマかどうか判断できないものは消防や警察の情報にも当たっている。」(村上氏)

報道機関に変わって画像の収集から権利処理までを肩代わりする

報道機関に変わって画像の収集から権利処理、情報の裏取りまでを肩代わりする

フジテレビと動画・画像キュレーションで提携

VCを通じて出資したフジテレビは、7月に「ネット取材部」を新設。同部署のコア機能として、Newsdeckの利用を見込んでいる。フジテレビ報道局での導入も進める。

子会社のフジテレビラボとも提携。視聴者投稿型サービス「FNNビデオポスト」とNewsdeckを統合して、動画・画像のキュレーション事業を年内に開始する。

「アジアでは勝てる」

今回の出資を受けてSpecteeは、台湾や香港、韓国、シンガポールの報道機関にもNewsdeckを売り込む。アジア進出にあたっては、フジテレビとともに出資したCBCのネットワークを活用し、その後は欧州と米国にも進出する。

国内に競合はないというが、海外に目を向けると、2015年7月にソフトバンクなどが1億ドルを出資したことでも話題になった米BanjoYouTubeと共同で報道映像を配信する米Storyfulなどがある。これら海外勢への優位点について、村上氏は次のように語る。

「権利処理や現場状況の聞き込みなど、投稿者との丁寧なやり取りが強み。この点は海外プレイヤーが抜けている部分。日本でもテレビ局をはじめ既存の顧客からは、AIの技術以上に、その点を評価いただいている。」

アジアの報道機関には「米大手テレビで採用されている」というよりも、「NHKで採用されている」という方が説得力があると村上氏は言い、アジアでは勝てると踏んでいる。「小資本でもレバレッジが効き、小さくても勝てるエリアを探してそこから欧州、米国を攻めていきたい。」

“現場の映像”の通信社

今後は、SNSの投稿を提供するだけでなく、ドローンで自ら映像を撮影したり、タクシーのドライブレコーダー(事件の現場近くに止まっていたタクシーで撮影した映像が役に立つことがあるらしい)などの映像も収集する考え。

収益源は報道機関が支払う月額料金。将来的にイメージしているのは、国内外の報道機関にニュースを配信する「通信社」の画像・動画版だ。

「日本では共同通信社がテレビ局と年間億単位で契約している。Specteeは国内外の報道機関と契約し、2018年までに売上高10億円を目指す。」