米海洋大気庁が成層圏中の微粒子の調査にWorld Viewの高高度気球を利用

高高度の気球を上げるサービスを提供しているアリゾナ拠点のWorld Viewが、米国海洋大気庁(National Oceanic and Atmospheric Administration、NOAA)とのパートナーシップで、地球の成層圏に関する研究データの収集を手伝うことになった。成層圏は地球の大気圏の第二の層で、地域にもよるが、地表からおよそ7〜19kmの範囲の高度にある。

NOAAは小型の計器を上空に送って、成層圏の大気中微粒子、いわゆるエアロゾルを測定する。それを調べることによって、成層圏の大気層とそこに含まれるオゾンの両方、およびそれらに人間が与える影響が紫外線放射の伝送に及ぼしている影響、そして、そこに起きている化学反応が地上の人間に与えるリスクなどを、より良く理解できるようになる。

World Viewの気球「Stratollites」は、これらの計器を1万7000m以上の上空で、数週間の調査期間中保持する。従来のNOAAの調査は、気象気球や航空機に乗せたセンサーを使うことが多く、今回のような長期的なデータ収集には向いていない。人工衛星もよく使われるが、成層圏に置いた計器から高精度のデータを得るには適していない。

NOAAがデータ収集にWorld Viewの気球を使うとどうなるのか。同庁によると、これまでの気象気球は1年の飛行でおよそ11日ぶんのデータを集められるが、World Viewの気球は1回の飛行で40日ぶんのデータが得られる。

World ViewとNOAAの最初の飛行は来年に実施され、集めたデータは6カ月後に研究用に一般公開される。それが同庁の標準的なスケジュールだ。

画像クレジット: WorldView

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

World Viewの高高度バルーンから撮影したこのすばらしい画像を見よ

近宇宙企業の草分け、World Viewは、同社の”Stratollite”と呼ばれるバルーンに市販のイメージセンサーを組み合わせて地上20~22 kmの上空から撮影できることを示す画像を披露した。

同社はこの超高空バルーンをリアルタイム画像撮影など様々な商業利用に活用すべく、1 m以内の解像度で地上の写真を提供できる光学イメージセンサーを載せたバルーンを放った。これは低地球軌道から撮影するには難しい解像度であるため、軌道衛星に代わる遠隔撮影の手段を求める顧客に答えられることをWorld Viewは期待している。

World ViewのStratolliteは、近いうちに10~15 cmの解像度を提供することが可能になり、さらに「リアルタイム連続ダウンリンク」によって、商用、官用いずれの応用にも適した画像の転送にも対応する。

  1. world-view-stratollite_fleet-management.png

  2. world-view-stratollite_crop-monitoring.png

  3. world-view-stratollite_asset-monitoring-2.png

  4. world-view-stratollite_asset-monitoring.png

World Viewはこの高高度バルーンの潜在的使い道についていくつか構想をもっており、僻地への高帯域幅インターネットの提供もその一つだ。このバルーンには長時間一定の領域に停留していられるという独自の能力がある。これまでの成層圏用バルーンには飛行経路については現地の気流しだいという面があった。World Viewは、いずれこの宇宙の入り口まで人間を飛ばすことも願っている。

成層圏バルーン旅行を待つあいだ、この写真は見る価値がある。一般のドローン写真とは一線を画している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

World Viewの成層圏気球がツーソン本社からの浮上操作に成功、商用化に一歩前進

成層圏気球をさまざまな目的のために提供するWorld Viewが、同社の発表によると、アリゾナ州ツーソンの本社から、その最初の浮上に成功した。その新しい本社は公式には2月にオープンしたが、その後今日まで各種の準備作業に追われ、本日(米国時間10/1)やっと初浮上に至りついた。

World Viewは高高度の気球船を使うことにより、商用宇宙ビジネスに新しい分野を開拓しようとしている。その気球は地球の大気圏の上端で運用され、科学研究や観測などの目的に、低地球軌道人工衛星よりずっと安い費用で利用できる。その成層圏高度は、長期的な観測サイトにも適しており、気象観測や国防用途にも向いているとされる。

ツーソンにおける初浮上は、土曜日(米国時間9/30)に行われ、その前の気球充填テストは8月半ばに行われた。ツーソンの本社には浮上のための施設設備だけでなくオフィスもあり、巨大な気球を手作業で組み立てるための世界最長のテーブルもある。将来的には客室のある気球も構想しており、それが実現したら成層圏観光旅行や科学者たちの搬送も可能になる。

World ViewのCEO Jane Poynterによると、ツーソンからの最初の浮上は同社の(ブランド名)Stratollite気球の一連の開発および立証過程における、重要な里程標のひとつにすぎないが、今日の成功を踏まえて今後は徐々に、長期の滞留や永続的ステーションの実現に向けて努力していかなければならない、という。

ツーソン本社ではなく試験サイトからの浮上では、すでに気球の27時間の連続飛行に成功している。複数の気球の、数時間でなく数か月の一斉滞留が可能になれば、商用の運用もできる、と同社は考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

World Viewの新型気球、成層圏で27時間滞空に成功――地表観測、有人飛行などに活用へ

World Viewは成層圏を飛行するStratollite気球を開発しているスタートアップだ。同社は先週末の実験で成層圏上層に気球を27時間滞空させるという新記録を樹立した。成層圏で1昼夜以上にわたって気球を制御下においての飛行に成功したのはこれが最初だ。

これはWorld Viewにとって大きな一歩だ。同社はStratollites気球を一週間以上、最終的には数ヶ月にわたって成層圏に滞空させたい考えだ(TechCrunchでは今年2月、アリゾナのWorld View本社を取材した)。同社は気球に高精細度のカメラなどのセンサーを搭載し、地表の状況を詳細にモニターするなどのミッションを考えている。成層圏気球は特定の軌道に制約されず、また衛星打ち上げにはともなう莫大な費用負担がない。

ただしStratollitesと呼ばれる成層圏気球が機能するためには大きな環境変化に耐える必要がある。特に成層圏上層では昼夜の温度差などの変化はきわめて厳しいものがある。先週の実験の成功でWorld Viewの気球は成層圏の環境変化に耐える可能性があることを示すことができた。また成層圏気球として始めて高度制御にも成功した。

World Viewのビジネスモデルにとって今回の成功は大きな意義がある。同社では最終的に気球による成層圏の有人飛行を計画している。これは気球に吊り下げられたVoyagerカプセルにより宇宙との縁となる大気圏最上層を飛行するというものだ。下のビデオでWorld View取材時のもようをご覧いただきたい。

〔日本版〕World Viewでは高度をコントロールすることで互いに異なる方向に吹くジェット気流を利用して一定の場所の上空に留まるテクノロジーを開発している。また成層圏有人飛行が実現した場合、1人7万5000ドルで観光飛行も計画しているという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+