クックパッドがCyta.jpを運営するコーチ・ユナイテッドを買収

クックパッドは語学や楽器の対面個人レッスンのマーケットプレイスのCyta.jpを運営するコーチ・ユナイテッドを100パーセント買収する基本合意を締結したと発表している。買収額は非公開だが10億円以上の規模になると予想される。

クックパッドは食だけでなく新規の生活のインフラとなるようなサービスを作るためのこの買収を決定したようだ。コーチ・ユナイテッドの代表取締役の有安伸宏氏によれば、資金調達について検討していたが、事業を伸ばす上では最良の選択として買収によるほうが会社を大きくできる可能性があるとして、今回の締結に踏み切ったという。コーチ・ユナイテッドの株式は有安氏が100パーセント所有している。

サービスECのノウハウを持っているコーチ・ユナイテッドはこれによって2000万人の主婦ユーザーに向けて、習い事の事業を提供できるとともに、今後はベビーシッターなどのサービスを提供していきたいとしている。


携帯電話の通信設備を屋内に設置するスタートアップ、JTOWERが10億円の資金調達を実施

JTOWERは携帯電話事業者などの通信キャリアに基地局を設置するためのアンテナやケーブルといったインフラ設備を提供するスタートアップである。具体的には商業施設やオフィスビル、マンションなどで、JTOWERが設置するインフラ設備を複数の携帯電話事業者に共有してもらう事業をスタートさせようとしている。米国では同種の事業はAmerican Towerなどがあり上場も果たしていて、大きな企業に成長している。このJTOWERが産業革新機構JA三井リースアイティーファームを引受先とした総額10億円を上限とする第三者割当増資を実施した。

JTOWERのビジネスは、通信企業のインフラコストを抑えようというものだ。携帯電話などでは電波が確実に端末に届くことが重要になるが、屋内では電波の遮蔽が起こり、電波が届きにくいところがある。このために各通信キャリアは商業施設やオフィスビルなどの屋内に自前でアンテナや基地局を設置する必要があるが、それにはそれなりのコストがかかっている。たとえば、大きなビルでは数億円程度の設置費用がかかるのだという。このコストは通信キャリアだけでなく、商業施設やビルを所有する不動産事業者も負担を強いられることもあった。そこでJTOWERがその設備を敷設し、通信キャリアはその設備を複数社で利用することで、そのコストを抑えようというわけである(下記、産業革新機構の資料参照)。

通信業界のような大型の設備投資が必要な業界に新たな事業にチャレンジするスタートアップが登場するのはとても興味深いことだ。このアイデアを実現したJTOWERの代表取締役の田中敦史氏は、イー・アクセスの創業メンバーでイー・モバイルのCFOなどを務めていた人物である。通信業界に深く関わってきたからこそ、こういったビジネスの可能性が存在していたことに気がついたのだろう。田中氏は「この事業はこれまでの通信業界の枠組みに変化をもたらす可能性があると考えているが、実績がない中で大型の増資を実現するのには相当の努力をした」と語っている。今後は各通信事業者との継続的な調整を重ね、不動産会社各社と協業していく予定だとしている。また設備投資もさることながら、人員拡充、特に通信技術者を採用していく予定だという。


TC Tokyoでデビューしたクラウド会計ソフトのfreeeが2.7億円の資金調達を実施

昨年のTechCrunch Tokyoでデビューを果たし、今年3月にローンチしたクラウド会計ソフトのfreeeは順調に成長しているようだ。現在もプロダクトの開発にフォーカスをしていて、いよいよ8月には有料版がリリースされる。現在は6500の事業所が登録しているということだが、有料版への移行も順調に進んでいるという。

このfreeeを開発するCFOが今回資金調達を発表した。第三者割当増資を実施して総額で2.7億円を調達したというものだ。引受先はInfinity VentursとDCMで、DCMはシードラウンドで投資をしている既存株主である。CFOはこの資金調達と同時タイミングに社名もサービス名と同じfreeeに変えている。

この資金調達によって、さらなるプロダクトの開発にフォーカスをしたいと代表取締役の佐々木大輔氏は語っている。たとえば、現在は銀行やクレジットカードなどのサービスをクローリングすることで、データを取得しているが、今後は現金の動きも取り込めるようにしたいという。具体的にはレジアプリやレシートの読み込みアプリなど、現金の動きを扱うアプリやサービスなどの連携を考えているのだという。ほかにもCRMツールとの連動などオープンな設計を目指している。

また、これまでは経理担当者のみが使うためのツールだったが、会計事務所や社員が使うようなコラボレーション機能なども導入していきたいという。たとえば、これによって経費精算などを社員が直接入力するような機能が実装されることになる。彼らがこだわっているのはビジネスアプリとしてのエクスペリエンスで、使い心地やデバイスそのもの広がりにも大きな投資をしていくという。

海外ではXeroのようなクラウドベースの会計ソフトが台頭しているが、今後はfreeeも海外での展開を目指して行きたいと佐々木氏は語っている。freeeは今回の資金調達以前にDCMから5,000万円を調達している。また、最近ではInfinity Ventures SummitのLaunchpadでの優勝を果たしている。


TechCrunch Japan編集長交代のお知らせ

2010年5月以来、TechCrunch Japanの編集長としてその職を務めてきたが、個人的な理由でこの職を退くことになったのでお知らせしたい。代わりに、新たな編集長を迎えることになった。

読者の方々には西村賢(@knsmr)という名前に聞き覚えがあるかもしれない。彼は直近の6年半ほどは@ITの編集記者としてニュース記事執筆や技術系連載の編集担当をしてきていて、副編集長を務めていた人物だ。@ITでは技術向けやいわゆる企業向けのエンタープライズ関連の話題についての動向を取材していたので、インターネットのビジネスを追いかけていた私とは趣が異なるかもしれない。本人曰くソフトウェア技術を追いかけていた記者なのだそうだから、よりテクノロジー向きな内容もTechCrunch Japanで取り上げられることになるだろう。

@IT以前もテクノロジー媒体の編集者として活躍してきたこの業界のベテランなので、TechCrunch Japanの新しい編集長として私以上にふさわしい人物であると考えている。今後は西村氏の手によって新しいTechCrunch Japanが作られていくことになるが、これまでとは違った新しい媒体の価値が形成されるに違いないと確信している。

なお、私ごとではあるが、これまでTechCrunch Japanでお世話になった方々にはこの場を借りてお礼を申し上げたい。テクノロジー業界でもっとも影響力のある媒体の日本のローカルの小さな部分を担ってきたが、個人的には非常に刺激的な仕事であり、楽しい時間だったが、やり尽くしていないこともあって実際には心残りも多い。

ただ、もう何年もテクノロジーメディアの仕事をしてきていてそろそろ新しいチャレンジをしたいと考え続けていた。このタイミングが適切だったかどうかはわからないが、今回、編集長の座を降りることとさせていただいた。

今後はベンチャーキャピタリスととして日本のインターネットの産業の中やスタートアップとの関わりで活躍の場を作っていきたいと考えているが、引き続きTechCrunch Japanでの執筆活動は続けていく予定である。

いままで支えてくだった方々には心からお礼を申し上げるとともにこれからもTechCrunch Japanの応援をお願いしたく思っている。本当にどうもありがとうございました。


山田進太郎氏が新たに立ち上げたのはフリマアプリのメルカリ

山田進太郎氏がウノウをZyngaに売却したのはもう3年近く前のことになる。この間、ご存知のとおり、Zyngaの失墜により日本からZynga Japanが撤退するなど、ゲームやソーシャル周辺のビジネスはめまぐるしく状況は変わっている。だから、彼が新しく始めるビジネスがC2Cのコマースサービスであってもまったく驚きはしなかった。むしろ、流行のビジネスに取り組むのは彼らしいとさえ思っている。

彼はZynga Japanを去ったのち、少しブランクを開けて今年に入って新たなスタートアップKouzohを立ち上げている。そして満を持してリリースしたサービスは、C2Cのコマース、いわゆるフリマ(フリーマーケット)のサービスを提供するスマートフォンアプリのメルカリだ。すでにこのアプリはGoogle Playからダウンロードできるようになっている。

フリマアプリといえば、FabricのFrilが先行しているし、フィーチャーフォン時代にはショッピーズがその市場を確立し、いまではサイバーエージェントの毎日フリマLISTORなどいくつかのサービスが参入している状況だ。Frilは少し前の数字になるが、2013年3月27日付の日経新聞朝刊の報道によれば3月下旬で1日3300の売買が成立し、1品あたり平均約3,000円で取引されているというから、1日でおおよそ1,000万円の取引があると想像できる(これがホントならFrilは1日100万円の収入があることになる)。現在はこれよりももっと成長しているだろうから、スタートアップにとっては魅力的な市場であることはわかる。

これらのサービスの多くは若い女性をターゲットにしたファッション中心のサービスのようにも思える。メルカリももちろんこの分野をなぞるが、山田氏によれば、この市場に参入を決めたのは先行するサービスの成功ぶりだけを見ていたわけではないようだ。

たとえば、ヤフーオークションはその取扱高はおおよそ年間6,800億円弱程度と、ここ数年は変化していない。成長が止まった状態だ。それは、入札による値決めや煩雑なやり取り、月額の会員費、C2Cならではのトラブルなど、スピードや手軽さを求めているスマートフォン世代には敷居が高く、敬遠されがちな状況だと山田氏は考えている。ケータイ世代の台頭を背景に成長したDeNAのモバオクも同じくスマートフォンの台頭によって利用が減少している。既存C2Cのサービスが停滞しているからこそ、この市場に参入の余地がある。だから、扱うアイテムはファッションだけでなくオールジャンルにしたいと言う。

それだけでなく行き過ぎた経済発展によって、リソースが逼迫する中で、個人間取引が伸びるだろうとも語っている。そもそも山田氏は楽天の内定時に学生インターンとして楽天フリマの立ち上げに関わっていた。そんな経験も今回のサービスに乗り出したきっかけになっているようだ。


メルカリでは売り手はスマートフォンで商品の写真を撮影して、値段を決めてその説明を加えて投稿するだけで出品が完了する。買い手もクレジットカードなどの手段で商品を買えるようになっている。ただ、そこにはエスクローのような仕組みが入っていて、買い手は実際はメルカリ側に商品代金を支払い、商品が売り手から買い手に届いた時点でお互いにユーザーを評価し終えた時点で始めて、メルカリから売り手に入金されるようになっている。

手数料は出品した商品価格の10パーセントを売買成立時に売り手が支払うことを考えているが、スタート時の1、2カ月の間は無料にしている。決済にかかる手数料(クレジットカード手数料やコンビニ決済手数料など)もメルカリ側が支払うとしているので、現在のところ売り手も買い手も、いまのところ余計な費用はかからない。

メルカリは現在はAndroidアプリしかないが、数週間以内にiPhoneアプリもリリースされるという。山田氏はこのビジネスを日本で立ち上げた後に、早い段階で米国で展開したいと考えている。渡米経験のある彼は北米で使われるようなサービスを作りたかったと常々考えていた。Zyngaではそれはなし得ることができなかったが、北米で類似のサービスが大成功を納めていないことを考えると、もしかしたらメルカリにはチャンスがあるのかもしれない。


習い事の先生が見つかるcyta.jpの利用者はスマホがPCを抜く、今後の開発はスマホ一極集中へ

習い事の先生を探すサイトcyta.jpを紹介したのはもう2年前のことになる。順調にcyta.jpは成長し続けていて、彼らはこの8月には実際にcyta.jpでレッスンを体験する受講生の数は2万人になると見込んでいる。この間にサイトに大きな変化があったという。それは体験レッスンを申し込むユーザーのデバイスが、PCを超えてスマートフォンになったということだ。しかもスマートフォン版が用意されていなかったのにも関わらずである。

ビジネスをスタートさせた際にはわずか全体の11パーセントでしかなかったスマートフォンの割合が、いまでは45パーセントまで成長している。逆に70パーセント程度あったPCは45パーセントまでになっている。もちろん、これは相対的な値なので、全体としては数字は伸びているのだが、インターネットのビジネスと向きあう身としてはスマートフォンが台頭しているとはいえ、この数字は大きく感じる。

前置きが長くなったが、この特殊な事情を鑑みて今日からcyta.jpはスマートフォン版を公開して、スマートフォン版の開発に一極集中させるのだと、cyta.jpを運営しているコーチ・ユナイテッド代表取締役の有安伸宏氏は語っている。

そもそもここまでに行き着いたのには、彼が考える「サービスEC」というコンセプトがある。いわゆるECはモノを買うために最適に進化してきた。しかし、cyta.jpのように習い事の先生を探すといったいわゆるリアルの対面「サービス」を予約から決済できて成功しているものはいまだ数少ない。これをサービスECと位置付けて、今後は特定の場所で空いた時間にすぐに習い事ができるようなものへと進化させていたきたいと有安氏は考えている。

サービスECはたしかに目新しいものではない。彼がこのコンセプトを思いついたのは、グルーポンであったし、食べログのレストラン予約のcenaなどからヒントを得ている。とはいえ、集客から予約、決済、サービスの品質管理、ユーザーの書き込みによるCGMというサイクルを実現できているサイトは少ない。メディアとしての価値は高く集客はできるが、予約や決済ができなかったり、あるいは予約や決済は用意されているがメディアとしての価値が低かったりというケースはよく見かける。cyta.jpは結果的にこれを一気通貫して開発してきた。だからこのサービスECのコンセプトを推し進めて行こうということだった。

最近では既存のECサイトもモバイル向けの開発に熱心だが、サービスECではサービスを受けられる場所や時間がより重要になる。このためにモバイル向きのサービスということになるのだろう。

いまだ手付かずの状態にあるO2Oの市場にはサービスECのようなものは参入の余地が大きく残されている。ただ、一方で使う側はこういったテクノロジーに不なれな場合もある。cyta.jpはユーザーに向き合うだけでなく、先生(彼らはプライベートコーチと呼んでいるが)たちへの指導や彼らをモチベートする仕組みも秀逸だ。ユーザー側には見えないバックエンドへの開発も惜しみなく行われていることがこのビジネスの成功の鍵なのかもしれない。


クレジットカード連携特典サービスを実現するカンム、クレディセゾンと提携

カンムは以前はMarketgeekという株価情報のサイトを運営していたが、ピボットして新たなサービスを提供し始める。CLO(card linked offer、カード連携特典)と呼ばれるサービスがそれだが、クレジットカードの利用履歴に基づいてユーザーに店舗と連動する特典を提供するというものだ。その第一弾はクレディセゾンとの提携によって今日から実現されるようになる。CLOはすでにCardlyticsCarteraなどによって米国でサービスが提供されている。TechCrunch JapanでもCardlyticsについては以前に寄稿によって紹介している。

今回スタートするCLOセゾンは、クレディセゾンのクレジットカード会員に対して、彼らの年齢や性別、クレジットカードの利用履歴などを解析することによって会員それぞれに適した店舗の特典情報を会員サイトで提供するものだ。会員向けサイトには、会員はたとえば毎月のクレジットカードの利用明細を確認するときなどにログインするが、その際に特典とクレジットカードを結びつけるように設定してもらう。スタート時には通販のQVCやディノス、TOHOシネマズ、パルコ、ローソンが特典を提供するが、こういった店舗(通販でもリアルな店舗でも)でクレジットカード会員がクレジットカードで支払いをすると、提供される特典が適用されるようになる。特典はたとえば、クレジットカードで貯まるポイントが通常の利用よりもたくさんもらえるといったものだという。


カンムのビジネスは、店舗に送客するごとに受け取る店舗側からの送客料で、これをクレジットカード会社と折半する。クレジットカード会社から見ると、会員のクレジットカード利用を促進しつつ、店舗からの送客料という新たな収益も受け取れる旨みのあるサービスとなっている。もちろん特典を発行する会社にとっても、クレジットカード会員の情報から得られる、年齢や性別、エリア、年収、来店利用暦などによって緻密なマーケティングができるとカンム代表取締役の八巻渉氏は語っている。O2Oの新たなツールとしても利用されることを彼らは期待している。

こういった話からCLOはインターネットのマーケティングツールのような仕組みのようにも思えるが、カンムではすべての情報はクレジットカード会社のシステム内に閉じられていて外部に持ち出せないようになっているという。またクレジットカードの会員の情報となるクレジットカード番号や個人を特定する名前などについても当然ながら取得していないという。

これまで、こういったシステムはこれまでクレジットカード会社がSIベンダーに多額の開発費を支払って実現するケースが一般的だったが、新たなビジネスモデルによってスタートアップ企業が参入し、導入側は低コストで開始できているのが興味深いと言えるだろう。

カンムは今回のサービスのアナウンスと同時にEast VenturesとANRIおよび個人の三者に対して第三者割り当て増資を実施し、およそ4,300万円の資金を調達したことを発表している。それ以前にはEast Venturesクロノスファンドから500万円の資金を集めている。


中国から初めてYCに採択されたStrikinglyはシンプルなモバイルサイト作成ツール

少し前の話なるがInfinity Ventures Summit(IVS)で、この春にY combinatorを卒業したウェブサイト制作ツールのStrikinglyのCEOのDavid Chen氏と話をする機会を得た。Strikinglyはローチン後6カ月経つサービスだが、すでに数万のユーザーがいて、日本でも多くのユーザーを獲得しているのだという。IVSが開催された日にはちょうど日本語版がベータ版としてリリースされている。

ウェブサイト制作ツールなんて何度も登場してきているから今さら何をという気もするかもしれない。実際、彼らはY combinatorに採択されるために挑戦はしては見るものの一度は落とされている。だが、彼らのウェブサイト制作に対する取り組みはこれまでのものとは一線を画している。Strikinglyはとにかく目指しているのはシンプルさ、だ。これはスマートフォンやスマートデバイスでのウェブサイトに焦点を当てているためだ。シンプルだからStrikinglyで作れるサイトのページ数はたった1ページだ。でも驚かないで欲しい。これで十分にウェブサイトの機能を果たしているのだ。

ユーザーになってみればすぐわかるのだが、シンプルではあるがテンプレートは十分用意されていて、画像や見出しや文章などは直感的に編集できるようになっている(下画面参照)。なにせ1ページを編集するだけだから構造は簡単で、複雑な操作は必要ない。Chen氏いわく10分から15分でひと通りのサイト作成ができるようにしているという。できたページはPCやマックのブラウザーでは当然のようにきれいに表示される。ただ、本領を発揮するのはスマートフォンやタブレットでのブラウザー表示だろう。タッチデバイスでの操作は1ページで構成されているサイトのほうが扱いやすいのがよくわかる。


Chen氏はデスクトップとモバイルウェブサイトは違うものだという。だから、スクロールさせるようなスライド形式のサイトとして、モバイルに特化したユーザーインターフェイスにしたのだそうだ。いまのところはモバイルにフォーカスしていて、PCのデザインは今後考えていくという。

Strikinglyは中国本土から応募して初めてY combinatorに採択されたチームなのだそうだ。現在は北京に拠点を置いてサービスを開発している。目下のところ人材獲得に勤しんでいるようだが、中国初のY combinatorチームだから採用には事欠かないだろういうことだった。

現在のところ、Strikinglyでサイトを作るにはPCのブラウザーでの操作が必要になる。スマートフォンからのページ作成はできないようで、対応は考えているとのことだったが、すぐには実装される気配はなかったが、フィーチャーフォン時代のときの日本のモバイルサイトの隆盛を振り返って考えてみると、モバイルサイトを多くのユーザーに作成させたいならスマートフォンだけでサイト作りを完結できるほうがいいのだろう。


Infinity Ventures Summit 2013 Springのローンチパッド、優勝はクラウド会計ソフトのfreee


Infinity Ventures Summit(IVS)が現在、札幌で開催されている。このイベントのローンチパッドは各社のサービスやプロダクトのデモによってその良さを競うもので、このイベントの恒例の人気コンテンツになっている。今回は登壇した12サービスとその入賞者にについて紹介しておこう。

1位:freee
freeeは昨年開催されたTechCrunch Tokyoでデビューしたクラウドベースの会計ソフトだ。個人や中小企業向けにサービスを提供していて、銀行口座などと連携して簿記の知識がなくても半自動的に仕分けなどの作業ができるようになっている。請求書などの作成もできて、最終的には税務申告に必要な書類も自動的に作成できるのが大きな特徴だ。リリースして2カ月が経過しているとのことだが、すでに3400の事業者が利用し、10万を超える取引が登録されているのだという。

2位:CocoPPa
昨年スパイアとモーションビートが合併してスタートしたユナイテッドがリリースするiPhone向けアプリ、CocoPPaは全世界で利用されていて、750万ダウンロードを達成している。そのダウンロード数の半分は米国のAppStoreで占められているのだという。このアプリは画面に表示されるiPhoneアプリのアイコンをカスタマイズするためのものだ。一般にはiPhoneアプリのアイコン画像をカスタマイズすることはできないと思われているのだが、このアプリはSafariを使ってアプリのショートカットをホーム画面に置くことでそれを実現している。

このアイデアも面白いのだが、アイコンデイザンをユーザーが作成していて、きせかえのマーケットプレイスになっているのも興味深い。カスタマイズしたiPhone画面をInstagramやPinterestでユーザーが自慢して口コミで広がっているのも、このアプリを興味深いものにしている。

3位:tixee
KDDIの∞Laboの3期生で最優秀賞に輝いたtixeeはチケットの発券や入場管理をできるようにしたアプリだ。

4位:MoneyForward
個人向けの資産管理をクラウドで実現しているサービスで、すでに数万人のユーザーがいるのだという。

5位:ココナラTRAPRO
5位は同位で2つのサービスが入賞している。

ココナラは個人の知識や得意なことをやりとりするマーケットプレイスだ。たとえば、姓名判断をしてもらうだとか、プレゼント用のワインを選んでもらうといった専門知識が非対面でやりとりされる。

TRAPROは個人が社会問題を表面化させてシェアをするサービスだ。ユーザーが世の中にある社会問題の現場を実際に見に行くツアーを企画し、その収益によって問題解決を導くようなプラットフォームを目指している。

上位入賞者はこれらの6サービスだったが、これ以外にも下記のようなサービスが出場している。

  • Revolver:ブランドや有名人向けの画像共有型コミュニティプラットフォーム
  • U-NOTE:イベントの内容をまとめてくれるサービス
  • チケットキャンプ:チケットの売買サービス
  • ライフタイマー:スケジュールと生活時間を入力して管理するアプリ
  • Speedy!:中高生向けのソーシャルなスマートフォン向け教育サービス(2013年6月リリース予定)
  • タップリンガル:スマートフォンを使った対面通訳サービス

Flipboardが初のメージャーアップデート―ユーザーが独自に雑誌を編集できる機能が追加

2010年の年末に登場して以来、ブログやオンラインのメディアをタブレット上で雑誌風に見せるFlipboardの人気は衰えを知らないようだ。昨年8月にマンスリーアクティブユーザーが2,000万だったのが、いまでは5,000万まで増えているのだという。そしていよいよこのプロダクトが初のメジャーアップデートとなるFlipboard 2.0をリリースした。

今回のアップデートの目玉はFlipboardで表示されている記事の1つ1つをユーザーが独自に集めて編集することで、ユーザー独自のマガジンとしてシェアできるところだろう。いわゆるいまどきの「キュレーション」機能が備わったわけだ。

たとえば、ガジェットが好きならばガジェットに関する話題ばかりを集めて1つのマガジンにすることもできるし、靴好きだったら靴に関する記事を集めてマガジンとしてシェアできる。特にFlipboardは画面のデザインにこだわっているので、マガジンの表紙なども写真や画像を配慮した見せ方になっている。

これまでFlipboardでできるインタラクションといえば、見ている記事をシェアするだけだったが、今回のバージョンから、キュレートした記事にはユーザーが独自にコメントを付けられるようになった。また、FlipboardはPCでの利用はできなかったが、ブラウザーのbookmarkletによってPCのブラウザーから自分のマガジンに記事を追加することができるようにもなった(ただし、作成されたマガジンの閲覧はできない)。

Flipboardは表示される情報を読むだけのものだったが、編集して独自の雑誌を編む楽しみが加わるることで、相対的にコンテンツの数は増えることになるのだろう。そうなれば、閲覧するユーザーの機会も増えるかもしれない。NaverまとめやTogetterなどのキュレーションメディアは編集を楽しむユーザーは限られているが、アクセスを集めているのは大量の情報が垂れ流されるよりも人間の手で編集されたコンテンツのほうが価値が高いことを証明している。このことからもFlipboardの中から人気のマガジンを作るユーザーが現れてくることは間違いないだろう。

なお、今回、このメジャーアップと同時に日本ではFlipboardの利用を促進するためのFlipboard naviが開設されている。


日本版SquareのCoineyの経営にサイバーエージェントの西條晋一氏が参画

Coineyは日本版Squareとして注目を集めるスタートアップである。昨年秋には試験的にサービスをスタートさせていて、一部店舗がCoineyのサービスを利用して決済をしているという。そして、この2月にはイーストベンチャーズ、サイバーエージェント・ベンチャーズ、エンジェル投資家となったアトランティスの木村新司氏から1億円の資金調達をしている。

このCoineyにサイバーエージェントの元専務取締役でまもなく同社を去る西條晋一氏が取締役として経営に参画する。

確かにこれまでもスタートアップ企業に、大手企業の経営者や経営に携わってきた人物が取締役として就任するケースはたくさんあったが、それは、非常勤の経営を監視するための取締役としてである。今回、西條氏は自身の起業がスタートする以前に、Coineyのビジネスを加速させる役割として加わっている。Coineyには若い世代が集まっているので、事業経験が豊富な西條氏は大手企業との提携などがメインの仕事となるようだ。

西條氏は大学卒業後、伊藤忠に入社し、その後2000年にサイバーエージェントに入社。ベンチャーキャピタル事業のシーエー・キャピタル(現サイバーエージェント・ベンチャーズ)やゲーム事業のジークレスト、FX事業のサイバーエージェントFXといった事業の立ち上げを行い、それぞれの企業の代表取締役として活躍している。サイバーエージェントの収益面で大きな功績を残している。同社の専務取締役就任後も、米国事業を立ち上げて責任者としてサンフランシスコでその時間の多くを過ごしていた。

専務取締役退任時には、サイバーエージェントのFX事業をおよそ200億円でヤフーに売却して大きなキャッシュをもたらしている。

Coineyの目下の課題は提携先の拡充だろう。現在は複数のクレジットカード会社と組んでビザとマスターのクレジットカードに対応しているが、今後は他のクレジットカードサービスや電子マネーなどにも対応していきたいと考えている。そしてサービスが正式にスタートした際には加盟店の拡充が成功の鍵となる。西條氏がCoineyの事業に集中して関われる時間は限られているだろうが、そこまでにある程度の結果が出てくるものと予想される。


家計簿・資産管理ツールのスタートアップ、マネーフォワードが1億円の資金調達、シードラウンドで

家計の管理については以前に紹介したZaimのような家計簿アプリがあるし、最近ではReceRecoのようなレシートの内容をOCRで読み込んでくれるようなものもある。とはいえ家計簿以上に家庭の資産までを管理したいという人もいるだろう。個人で使う資産管理の代表格といえば、米国ではTechCrunch40でデビューしたmintがある。mintはIntuitが2009年に1億7000万ドルで買収したことでも話題になった。

日本でもこういった家計管理のツールがないかといえば、たとえばOCN家計簿MoneyLookがある。これらは銀行や証券会社のオンライン口座から自動的に情報を取得して資産状況を把握できるようにしている。今回紹介するマネーフォワードはこれら同様に資産管理のサービスを提供するスタートアップだが、彼らは今日およそ1億円(1億264万5,000円)の資金調達を実施したことを発表している。

マネーフォワードは現状は銀行や証券会社、クレジットカード会社、携帯キャリア、年金、ポイント提供会社などの口座から情報を取得して、現在の資産状況や日々のお金のやりとりを自動的に分類して、レポートしてくれる機能を持っている。日毎や月毎の資産の現状把握をビジュアル化して表現することに長けている。サービスはウェブサイトだけでなく、iPhone向けのアプリも提供していて、ファイナンスカテゴリーでのダウンロード数では上位に付けている。

彼らは今回の資金調達によって、ユーザーに対して資産運用のためのレコメンデーションの仕組みなどを開発するという。お金のことは一般の人に取っては正直言えば考えなくてはならない問題だが、考えるのが面倒だと感じる人もいるだろう。なので、その人の収入やお金の使い方、持っている資産状況などから合わせて資産運用のアドバイスを自動的に行うようなものを考えているようだ。

マネーフォワードはマネックス証券に務めていた辻庸介氏によって設立されている。ほかにも金融にかかわってきた専門知識を持つメンバーが集まっているスタートアップだ。辻氏によれば、レシピならクックパッド、レストランなら食べログのようにお金ならマネーフォワードというインターネットサービスの存在になりたいと語っている。

今回の1億円のシードラウンドに出資したのは、早稲田情報技術研究所に加えて個人投資家数名、そして創業メンバーだそうだ。このラウンド以前に同社はマネックスのインキュベーション企業のマネックス・ビジネス・インキュベーションと創業メンバーから4,080万円を集めている。


ヤフーが映画館でのオンデマンド上映を実現するドリパスを買収

ドリパスはリクエストした映画に一定の人数がその映画を見たいと集まったら劇場で上映されるというオンデマンドの映画上映サービスで、2010年8月からスタートしている。現在のところ提携によって3,000作品の映画を全国の78館の映画館で上映できるのだという。

このドリパスをヤフーが買収した。買収額は明かされていないがドリパスを運営するブルーム代表取締役社長の五十嵐壮太郎氏によれば数億円程度だという。それも大きくはない額だというから、1、2億円程度なのかもしれない。

買収以前からすでにヤフーとはGyaoやヤフー映画と提携して、トラフィックを流してもらう関係だった。それは、エンターテインメント領域でのO2Oというビジネスにヤフーが興味を持っていたからだという。買収後はブルームはヤフー本体に吸収され、ドリパスはGyaoとヤフー映画と共同で引き続き現在のO2Oの事業を継続していくという。ドリパスでは映画だけではなく、Jリーグの試合や演劇など映画館や劇場を使ったエンタメ領域の面を広げようとしている。

ブルームはこれまでリヴァンプとオープンネットワークラボから数百万円の出資を受けているという。ドリパスはオープンネットワークラボの4期生だった。なお、オープンネットワークラボにとっては、これが初めての支援先のイグジットとなる。

広告テクノロジーのFreakOutがYJキャピタルからシリーズBラウンドで5億円調達

FreakOutは広告枠を表示タイミングでリアルタイムに価格を入札して買い付ける、いわゆるRTB(リアルタイム入札)のDSP(Demand Side Platform)という広告のプラットフォームを提供しているスタートアップである。

2010年に創業したこのスタートアップについては過去にもTechCrunch Japanでも取り上げている。このFreakOutが本日、ヤフーのベンチャーキャピタル子会社のYJキャピタルからシリーズBとなる5億円の資金調達をしたことを発表している。資金調達後の企業価値は103億円となったという。

昨年の2月にはあるベンチャーキャピタルから3.5億円の資金を調達しているが、この12カ月で 日米あわせて50名以上の人材を使用し、買付インプレッション規模は500パーセント以上成長し、いまでは月間700億以上のRTBリクエストをさばいているのだそうだ。また、90 社の広告代理店にRTB テクノロジーのOEM提供を行い、おそよ3,000 アカウントの広告主が利用しているという。

彼らはすでに北米での展開をしているが、今回の資金の使途は北米での人員増強など北米市場向けに充てていくのだという。広告テクノロジーの世界でも北米市場での展開を強化していくのは興味深い取り組みと言えるだろう。

Huffington Post日本版の編集長はネットニュース出身者

先日、日本でのローンチを発表したHuffington Post。朝日新聞と組んで日本での事業を開始するというが、その体制についてはこれまで明らかにされていなかった。春のローンチを控えてどうなるのかと心配していたが(なにせHuffington Postのために準備されたオフィスはTechCrunch JapanのあるAOLの隣の部屋だ)、漸くその姿が見えてきた。

海外ではフランスのLe MondeやスペインのEl País、イタリアのGruppo Espressoなどの新聞社と組んだり有名編集長が就任したりして立ち上げられてきたが、日本は少しその様相が違うようにも思える。その編集長に就任したのは、ライブドアのポータル事業や直近ではGREEニュースやMagalryなどのゲームではないグリーの事業に携わっていた人物である。

その人、松浦茂樹氏のバックグラウンドはいわゆる旧来型のメディアの編集に携わってきた編集者というわけではない。彼はシステムエンジニアを経てライブドアに入社し、いくつかの事業に関わった後にライブドのポータルの全体の統轄をしている。このとき、初めてニュースの運営に触れたという。編集者ではないが、BLOGOSTechWaveの立ち上げも携わっているから、インターネットでのニュースサイトを運営するという意味ではその経験はある。その松浦氏に話を訊く機会があったので(なにせ隣人だから)、いくつかコメントしておこう。

松浦氏が考えるのはHuffington Postは「言論空間」としてのオンラインメディアだという。よく知られるように、米国ではHuffington Postは3万人のブロガーを抱えていて、記者や通信社のニュース以外にブロガーからの投稿も受け付けている。中には500人もの有名人ブロガーもいる。これ以外にも月間何十万にも及ぶコメントが各記事に付けられていたり、ソーシャルメディアとの連携によって拡散されることで、いまではナンバーワンのニュースサイトとして成長している。米国と同じプラットフォームを利用することで、読むためだけのニュースサイトではなく、言論のための空間を作り上げていきたいのだという。

先日来日したHuffington PostのCEOのJimmy Maymanは新サイトは「3年間で日本のオンラインニュース大手の5位までに食い込みたい。大手の一角に入るため、月間800万~1000万人の獲得を狙いたい」と日経新聞の取材に答えている。Yahoo!ニュースを頂点とする日本のニュースサイトのランクがある中で、この高い目標に対して、どう実現していくのかは見ものだ。

これに対して、松浦氏が考えるアプローチで興味深かったのはコメントの編集だった。

米国ではおおよそ30万件ものコメントを読者が投稿するが、そのうち10万件は機械的にあるいは人的にカットされて、表に見えるのは20万件程度だそうだ。意図的に表示するしないをコメントに対して操作しているわけだ。

彼は食べログのようなユーザー参加型のサイトを例に出しながら、投稿に対して1つ1つそのコメントをどう扱うかをサイト運営の編集チームの業務としたいと考えている。食べログではレストランに誹謗中傷を加えるコメントに対して、ユーザーに修正するように返していると言われている。それによって独特の空間を作っている。さすがに投稿されたコメントに対して意見を変えるようなお願いをユーザーにすることはないだろうが、いいコメントを前面に出したり、積極的に編集スタッフもコメントによる議論に加わったりと、いわゆるCGMのサイト的な運営には注力していきたいということだった。

ライター陣を集めてコンテンツの質だけを追求するというよりも、ユーザーがコメントなどを投稿し会える空間を演出していくのも編集の役割と感じているようだった。それは従来のニュースメディアの運営とは異なっていて、よりユーザー向けのサービスに近いものではある。

ところで、Huffington Postはインターネット業界の一部では米国での成功からその名前を知る人はいなくもないが、日本ではまったく無名のサイトではある。米国では有名ブロガーや創始者のAriana Huffingtonのような有名人が関わっているからこそ、一般への認知が早かったのかもしれないが、日本はどうするのか。

その隠し玉は日本でも用意しているという。松浦氏曰く、彼がHuffington Postに入社する際の面接で答えたときの象徴的な編集長にしたかった人物は小泉純一郎元首相だという。人気の高かった首相がHuffington Postの運営に携わったら大手マスコミも含めて話題にならないことはないと考えていたようだ。

この夢は諦めていないようで、サービスをスタートさせるときには「ある大物」がサイトの象徴的な存在になるという。その人物は最後まで明かしてくれなかったが、Huffington Postが目指すのは、現在オンラインで活躍している人たちよりも、オフラインの世界で影響力を持つ人たちを巻き込むことだそうだ。なので、ブログなども我々に対して「おっ」と思わせる人たちがやってくるのだろう。それには朝日新聞のパワーも利用しているという。

さて、気になるHuffington Postのローンチ日だが、現在、5月7日をターゲットとしているという。もう何年もニュースサイトに新しい波はなかったが、彼らが米国で成し得たことを日本で実現できるかはこれからである。

(TechCrunch JapanはAOLの日本の子会社によって運営されている。一方でHuffington Postの日本語版はAOLと朝日新聞との合弁会社によって運営されるため運営会社は異なる)

12社の最新プロダクトのデモが見られる金融イノベーションビジネスカンファレンスは3月18日に開催

金融イノベーションビジネスカンファレンスFIBC2013については以前にも書いたが、その開催が3月18日と近付いている。このイベントにはゲストスピーカーとして楽天銀行の代表取締役副社長執行役員の野原彰人氏やサンブリッジのグループCEO、アレン・マイナー氏が登壇することが決まっているが、気になるのはプロダクトのデモンストレーションや説明をする登壇企業たちだろう。今回は未発表の新サービスを含む以下の企業が登壇する。

  • NTTコミュニケーションズ(OCN家計簿
  • カンム(未発表)
  • クラウドキャスト(bizNote
  • グーグル
  • コイニー(Coiney
  • Zaim(Zaim
  • CFO(freee
  • スタンドファーム(misoca
  • ブレインパッド(ReceReco
  • ホットリンク(未発表)
  • マイクレジット(Mycredit.jp
  • ロイヤルゲート(未発表)

これらはスマートフォンでの決済サービスや会計帳簿や家計簿のクラウドサービス、ビッグデータを活用した金融情報サービスなどだ。登壇企業への応募はすでに閉め切っているが、来場者は現在も募集している。応募はイベントサイトから申し込める。

FIBC2013開催概要
イベント名:金融イノベーションビジネスカンファレンスFIBC2013
開催日時:2013年3月18日(月)13:00~19:00(受付開始12:30)
会場:東京コンファレンスセンター・品川
主催:株式会社電通国際情報サービス
協力:TechCrunch Japan
参加費:4,000円(事前登録制)

韓国のスタートアップイベントbeLAUNCHの日本サテライトイベント、2月27日に開催

日本にもテック業界のスタートアップのイベントはいくつかあるが、日本以外のアジアでもスタートアップのイベントはいくつかある。その規模は日本よりも大きく、たとえば、シンガポールで開催されるEchelonStartup Asiaなどが有名だが、韓国で開催されるbeLAUNCHも大きなイベントだ。昨年は1300名を超える参加者が集まり、20組のスタートアップがピッチコンテストに参加している(賞を獲得したのは教育サービスのKnowReなど)。

今年もbeLAUNCHは5月1日と2日にソウルで開催されるのだが、この日本版のサテライトイベントが来週2月27日に開催される。ここでは、韓国の著名ベンチャーキャピタリストでK Cube VenturesのFounder、JImmy Rim氏などが講演を行うが、メインは5月に開催される本大会に向けて日本代表のスタートアップを決めるピッチコンテストだ。ピッチコンテスト参加企業によってbeLAUNCHへの参加券と韓国行きのチケット代をかけてピッチによるバトルが繰り広げられる。僕も審査員として招かれていて、このイベントに参加する予定だ。

来週開催と差し迫っているが、このピッチコンテストに参加したいスタートアップを現在も募集しているようなので、興味があるファウンダーはこのイベントの事務局に連絡してほしい(連絡先はyouth.venture.summit@gmail.com)。事務局側で審査の上、出場が可能かどうか決まるという。なお、ピッチは英語で行うことが条件だ。

このほかオーディエンスもまだ募集している。参考のためにイベントの概要を書いておこう。

beLAUNCHスタートアップバトル in Tokyo
開催日時:2013年2月27日(水) 19:00~
開催場所:STARTUP Base Camp (東京都港区赤坂八丁目5番26号)
参加費:一般1,000円(学生無料)

LINEの2012年Q4の売上はおよそ41億円

主要な決算発表が終わっていて、すでに過去の話となってしまったが、昨週に韓国で発表されたLINEを運営するNHN Japanの親会社であるNHN Corprationの決算発表では、LINEの2012年10月から12月の売上が日本円でおよそ41億円だったとNHNのCFOのIn joon Hwang氏が語ったことを複数のメディアが報じている。曰くLINE自体は前期比200パーセントの成長でゲームとスタンプの売上が大半を占めているということだ。この売上の多くは日本からのもので、日本でのLINEの収益化が好調なことを示している。LINEは今年1月に入って1億ユーザーを突破している。

ただ、以前にNHN Japan代表取締役社長の森川亮氏が昨年のIVSで語った際には、マネタイズについては「現在は実験的にいろいろと開始していて、ドライブをかければもっと収益があがると思う」といった趣旨の発言をしているので、この売上は収益化を急いだ数字ではないのだろう。そう考えると、現ユーザー数のポテンシャルから考えてもまだまだ成長の余地はある。

韓国のKakaoはLINEに先んじてプラットフォーム化していたが、昨年7月にゲーム事業を開始してから昨年8月から10月の3カ月で585億ウォン(同約50億円)を売り上げたことを考えるとなおさらだろう。

なお、NHN Japanでも事業の分社化(ゲーム事業をHangame株式会社に、NHN JapanはLINE株式会社に)が進められているのはすでに発表されているが、韓国のNHN本社ではモバイル専門の子会社Camp MobileとLINE Plusの2社を立ち上げることを同時期に発表している(LINE Plusの株式の60パーセントの持分はNHN Japan)。LINEの急成長によって日本と韓国とでの同社の事業再編が行われているということなのだろう。

なお、あまり報じられることが少ないのでNHN corporationの決算も合わせて書いておくと、2012年の売上は約2,050億円で営業利益は約602億円。Q4の売上は約560億円で営業利益は約171億円。日本でのセールスは詳細な数字は記されてないが、売上はQ4で104億円でそのうち31パーセントがウェブサービスとなっている。売上は前四半期と比較して30.9パーセントの伸びを示している。ウェブサービス部分の成長度合いが高いのはゲームなどの複数のアプリがリリースされたLINEの事業が牽引しているからだと見られる。参考までに決算発表資料のデータを載せておこう。

Gengoにライバル出現! クラウドソーシング翻訳のConyacがビジネス向けサービスに参入

スタートアップのエニドアが運営するConyacといえば低価格が魅力の翻訳のクラウドソーシングである。これまでConyacは個人向けサービスとしていたが、今日からビジネス向けのサービス、Conyac for Businessを提供すると発表した。ライバルのGengoと同じ市場に参入しようというわけだ。

ビジネス向けのサービスで大きな変更点は、翻訳をオーダーできる文字量がいままでは720文字(日本語などは240文字)の字数制限があったものを5万文字の文章などに対応することだろう。これまでも月額100ドル支払えば利用できたプレミアム機能であれば7200文字まで対応できたが、ビジネス向けではこれを大きく超えるものだ。さらに、1つのアカウントを複数のチームメンバーで利用できるようにしたり、現在はテキストファイルのみだが、今後はパワーポイントやエクセルなどのビジネスファイルをアップロードすることで、翻訳が依頼できるような機能も搭載する。

個人向けにこだわってきたConyacだが、ここに来てビジネス向けを展開するのは、代表取締役の山田尚貴氏によれば、去年から法人での利用が増えてきたことだという。それともう1つは個人の利用だとビジネスの成長がなかなか描けなかったというのも理由のようだ。

ビジネス向けのサービスを展開する上で、翻訳の質だけでなく、翻訳依頼される機密保持も重要になってくる。この点も考慮していて、翻訳者に対して秘密保持契約を結んでもらい、身分証明書を提出してもらうことで効力を発揮するようにするという。こういった機密保持契約を結んだ翻訳者のみに依頼する場合には、料金も高めに設定するのだという。

なお、基本的な料金は月額6万円で6万ポイントが提供されるPlusプランのほか、Basic、Premiumなど1ポイントあたりの購入金額が異なるプランが用意されている。翻訳にかかるポイントは日本語・中国語・韓国語は1文字4ポイント、それ以外の対応言語は1文字1ポイントだという。

現在、Conyacの会員数は翻訳者と利用者を合わせて1万7,000人で、最近では日本語以外でも欧米企業からの利用もあり、タイ語やインドネシア語の翻訳などの依頼が伸びてきているのだという。そして初の海外拠点として今月からサンフランシスコに営業担当も置くという。とはいえ、その利用の多くは日本からだ。なので、まずは日本でのビジネスを伸長させて、その資金から海外を強化していくことを考えている。

エニドアはこれまでサムライインキュベート、ngi group(現ユナイテッド)、スカイライトコンサルティングから総額で4000万円程度の資金を調達していたが、サムライインキュベートの持分の大半をANRIが譲渡を受け、エニドアの経営に佐俣アンリ氏が関わっていくことを付け加えておこう。

イベント管理サービスのPeaTiXがチケット販売手数料を大幅値下げ

この数年、イベント運営をインターネットでサポートするサービスが数多く出てきている。特にイベントのチケットの販売までできるようになったのはイベントを運営する身としてはとてもありがたく思う。PeaTiXはそのうちの1つで、一昨年からそのサービスをスタートさせている。

イベント参加者にチケットを事前に購入してもらえるのは、運営側としてとても効率のいいことなのだが、チケット販売手数料がかかってくるのが運営側として頭の痛いところだろう。そこでPeaTixはその手数料を現在のチケット代金の6パーセントから大幅に引き下げて、2.9パーセントにする(ただし、チケットが決済される際のトランザクション料金70円はそのまま変わらない)。適用されるのは2月9日の午前2時9分以降のイベントとなる。

PeaTiX CEOの原田卓氏によれば、ソーシャルグッドなイベントの運営者は、儲けを生むためにイベントを開催しているわけではないことも多い。なのでPeaTiXは以前から社会貢献のイベントはチケット販売手数料は3パーセントとほかのイベントとは違う価格を設定していたのだという。そもそも個人が主催するような小さなイベントは儲けそのものよりも、集客の便利さやイベント運営の手間を省くためという意味合いも多いので、手数料を払うというのが足かせとなってサービスが利用されなくなるケースというのが多かったのだそうだ。なので、とにかくサービスを利用してもらうための敷居を下げるために、手数料をどこよりも最安値にしたかったのだという。

PeaTiXはプロの興行で使われるチケットサービスとしても利用できなくはないが、彼らの狙っている市場はどちらかといえば個人や小規模なイベントを活性化させるようなロングテールのビジネスを考えている。勉強会もそうだが、結婚式の二次会だとか同窓会だとか大人数の飲み会など、日常にあるイベントに利用してもらおうということだ。

チケット手数料を下げた分、PeaTiXで管理されるイベントの数を増やしたいというのが狙いだが、彼らは手数料だけでその収益をあげようとしているわけではない。イベントをサポートする周辺のサービスもビジネス化しようとしている。たとえば、O2Oによるイベントの協賛企業を集めるといったことも視野に入っている。イベントに参加した人にそのイベントが開催されている周辺の店舗の割引クーポンを提供することで、クーポンから売り上がった売上の一部を企業から協賛費用としてもらう。それをイベント主催者とPeaTiXとで折半するといったことも考えている。これが実現すれば、イベント主催者は手数料以上の売上をあげられるかもしれない。

こうなってくるとEventRegistWazooeverevoなどの競合もより高度なサービス化を実現するか、手数料を引き下げざるを得ないのかもしれない。

PeaTiXはすでに500 Startupsから出資を受けるなど北米への道のりを進めているが、この春にはニューヨークに進出し、シンガポールにも拠点を置くという。北米ではEventbriteのように昨年に6億ドルものチケット売上を実現する企業も登場しているが、PeaTiXはアジアを中心に市場を広げようとしている。