利用規約を作ることはサービスを作ること

この寄稿はAZX総合法律事務所の弁護士、雨宮美季氏によるものだ。雨宮氏は共著で本日発売の『良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方』を上梓している。この本は昨年3月に開催された「利用規約ナイト」がきっかけとなり、エンジニアや経営者のために「この1冊を読めば、利用規約について検討すべきことがひと通りわかる」というガイドブックを作りたいと考えて書かれたものだ。

新しくサービスをローンチしようとするとき、「利用規約」を準備しなければならないということは、随分知られてきた。これは、facebookやInstagramなどで利用規約の改定を行おうとする際にユーザーから猛反発を受け、内容変更を余儀なくされるニュースが相次いだため、利用規約に対するユーザーの関心が高まり、これをサービス運営者側も無視できなくなったことも背景にある。実際、弁護士である私のところにも、利用規約のたたき台を準備したうえで、連絡をしてくるスタートアップは多い。

しかしながら、これらを「なぜ作らなければならないのか」「どうやって作ればよいのか」「いつのタイミングで依頼すればよいのか」については、まだまだ知られていない。

また、応対する弁護士の方でも、サービス内容を把握したうえで、法的構成を整理し、適法性を検討できる能力を要求される。「分かりにくい法律用語で一方的に会社に有利な内容を作る」という時代はとうに終わり、ユーザーフレンドリーな分かりやすい内容にしなければtwitter等で炎上の可能性もあり、何よりサービスのファンが根付かない。

こうなってくると何が正解かは教科書に書いてあるものではなくなり、利用規約に関する情報が驚くほど少ないことに気がつく。そこで、今回は、「利用規約の作り方」の最初の1歩として、利用規約を「なぜ作らなければならないのか」「どうやって作ればよいのか」「いつのタイミングで依頼すればよいのか」をお伝えしたい。


「利用規約」はなぜ必要なのか?

「利用規約」はなぜ必要なのか。これらはサービスの運営を円滑に行うために必要なのだ。クレーム対応の際の話し合いの土俵を作っておき、サービス運営者として最低限のディフェンスをするために重要な意味を持つ。また、利用規約とあわせて作られる「プライバシーポリシー」については個人情報保護法、「特定商取引法に基づく表示」は特定商取引法というそれぞれの法律に基づく要請を実現するという機能も持つ。例えば、「通信販売にはクーリングオフ制度はない」のだが、返品の取扱い(返品を禁止する旨の表示でもよい)について法律に従って明確に規定していないと返品を認めなければならないという規制はあるため、適切に表示しておかないと重大なビジネスリスクをもたらすことになる。さらに、「プライバシーポリシー」については、今や「個人情報」に限定されず、プライバシーに関わる情報にも配慮した対応が求められている。

どうやって作ればよいのか? 

利用規約などを作成する際、他社の類似サービスのものを比較検討するのは非常に勉強になる。たとえば、禁止事項を確認することで、どのようなクレームが起こりがちなのかが分かり、免責事項を確認することで、特に回避すべきリスクが分かる。また、「なぜこれが規定されているのだろう」と理由がわからない条項があったら、その理由を弁護士などに相談するといい。法律上の理由が隠されている場合も多いからだ。たとえば、CtoCのオークションサイトをやろうとしたときに、他社の「出品禁止ガイドライン」を参考にしようとすると、「動物」「お酒」「薬」などが規定されていることに気づくだろうが、これらは法律の規制に配慮してのものなのだ。日本に類似するサービスがない場合は、海外の先行するサービスの利用規約も十分参考になる(但し、法規制の違いや商習慣の違いには注意する必要がある)。

もっとも、他社の利用規約をそのままマネしただけでは道義的に批判をあびる可能性はもちろん、サービス自体の競争優位性も確保できない場合が多いだろう。そこで、自由な使用を前提に公開されているひな型をベースに、他社の類似サービスの禁止事項や免責事項などを参考にカスタマイズしていく形で作成するのも一案である。基本的な条項については、どこも大きな違いはなく、「カスタマイズ」が必要な部分にこそ、サービスの特徴が出るのである。

いつのタイミングで相談すればよいのか?

遅くとも(クローズドの)βサービスローンチ前には、「利用規約」の内容の相談に来てほしい。実際、サービス内容を聞いてみると、法的構成が整理されていなかったり、適法性のリスクが把握されていなかったりするケースが少なくないからだ。法的構成が違えば、売上計上の仕方、法的責任、未収の場合のリスク、適用される法的規制も異なる。また、ひとくちに「適法性のリスク」といっても、届出制など厳しくないものもあり、理屈の立て方で抵触しない構成も可能である場合もある。だからこそ、サービスページを最終的に作り込む前に相談に来てほしい。例えば、電気通信事業法に基づく届出や有料職業紹介はベンチャーにとってもハードルは高くはなく、該当可能性についても官公庁のガイドラインが出ており、分かりやすい 。

「もちはもち屋」であり、関連する法律を全て知っている必要などなく、構えずに相談に来ていただき、サービスのありのままの現状と、将来のビジョンを出来る限り教えて欲しいのだ。

私が過去に経験した例でも、早い段階で相談に来てもらえたために、料金のもらい方でリスクをヘッジすることができたり、競合との差別化を明確に打ち出せたりした例もある。また、利用規約を作っていくうちに、特にクレームが起こりやすいことがみえてきて、これを利用規約のみならず、ユーザー登録画面にも明確に書いておくことで高い信頼を得ることができた例も多い。利用規約の作成は、UIや画面遷移にも大きく影響するのだ。

「利用規約を作ることはサービスを作ることなんですね」

最近クライアントに言われてうれしかった言葉。これをみなさんにも実感してほしい。


低所得者向けクラウドファンディングのKiva、開始7年で借入人100万人、融資額4億ドルを突破

2005年以来、少額融資者と低所得借用人を引き合わせてきたNPO、Kiva.orgが、借入人100万人を達成したと発表した。クラウドファンディングで途上国を中心とする65ヵ国にわたって融資された総額は、4億ドルに上る。融資は主として個人による経済活動を支援するもので、他の資金調達手段が困難な起業家精神あるベンチャーの支持を通じて、貧困を軽減しようとしている。授業料支払い等教育目的の融資も支援している。

Kivaの融資人から成るコミュニティーも100万人に節目に近づいており、現在90万人が登録されている。この人たちによって毎週150万ドル以上のクラウドファンディングが行われている。Kivaプラットフォームの運用1年目には、年間融資額わずか50万ドルだったことを考えると、目覚ましい成長だ。

Kivaによると、同プラットフォームでの融資返済率は98.9%。融資金が返済されると、貸し手はこの資金を繰り返し何度でも再融資ができる。希望すれば引き出すことも可能。

「この7年間は驚きの旅だった」とKivaの共同ファウダー・CEOのMatt Flanneryが声明で語った。「いちかばちかやってみることの価値を、世界に証明してくれた100万人の借り手たちに感謝している。Kivaがあるのはみなさんのおかげだ」

「Kivaの基本的な考え方は、その人がお向いに住んでいようと海外にいようと、可能性を認識して支援することにある。自分自身や他人の中にある可能性を認識した時、それが貸し手としてであれ借り手としてであれ、そこには大きな力が生まれる」とKivaの共同ファウンダー・プレジデントのPremal Shahが声明で語った。

昨日(米国時間3/17)Guardianが報じたオックスフォード大学による最新の研究によると、2013年に「多次元」貧困状態で生活している人々は計16億人いるが、世界で最も貧困な人々の一部は、「有意に貧困度が低く」なりつつあり、ルワンダ、ネパール、バングラディシュ、ガーナ、タンザニア、カンボジア、ボリビア等の国々では貧困の減少が報告されている。同研究は貧困指数を算出するために10種類の指標を用いた。具体的には、栄養、幼児死亡、就学年数、就学率、炊事用燃料、水、衛生、電気器具、および床。

同研究によると、最貧困者10億人の住む100ヵ国のうち、大部分が南アジアであり、インドが半数近く(40%)、サハラ以南のアフリカが約1/3(33%)を占める。また、最貧困10億人の約1/10(9.5%)は収入が中流の上クラスの先進国に住む人々であることもわかった。

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(翻訳:Nob Takahashi)


中国Googleの元トップKaifu Leeが政府に削除されたツイートを数えてグラフ化

元Google ChinaトップKaifu Leeは、TencentとSinaで彼のWeiboポストが検閲され削除された回数を記録し、このほど、その8か月ぶんをグラフにして公開した。

毒舌の投資家でもある彼は最近、自分のツイートを消される回数が増えた。なにしろ当局が隠したいと思っている、上海の河口に13000頭の豚の死骸が流れ着いた件とか、中国全国人民代表大会における指導者任命の経緯などを、彼は議論しているからだ。中国政府は二つの大手マイクロブログサービスTencentとSinaに頻繁に介入して、検閲キーワードのあるポストをぞうきんで床の汚れを拭くようにせっせと拭き取っている。

このグラフには、こんなツイートが付いている:

私のWeiboの削除(リンクをクリック)。最低は私の“3日間の沈黙”、そして最高は、最近2週間のtwitter.com/kaifulee/statu…

— Kai-Fu Lee (@kaifulee) 2013年3月18日

Kaifu Leeは先月の3日間、SinaとTencentのWeiboポストを拒否された。国営検索エンジンJikeを批判したからだ。彼にはTwitterのフォロワーが約100万いるが、Sina Weiboの3000万やTencent Weiboのファン数2400万に比べると小さい。

(出典: techinasia.com)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google、ノート作成アプリケーションのGoogle Keepを公開…してあっという間に閉鎖

Googleがついにノート作成アプリケーションであるGoogle Keepを公開した。但し、すぐに閉鎖されてしまった。しかし公開されていたほんの僅かの間に、Android Policeがスクリーンショットなどのデータを収集して記事にしている。Googleのスポークスマンは「コメントすることはない」としている。

Android Policeの記事によれば、Google Keepにはまず、Googleノートブックに似た印象を受けたとのこと。Googleノートブックもウェブからの情報をクリッピングして整理するなどの用途に利用されていた。しかし2009年1月にサービス停止となっている。とってかわったのがEvernoteだった(あっという間にGoogleノートブックからの移行ツールをリリースして利用者を拡大した)。ちなみにGoogle Keepが話題にのぼってくるのは初めてのことではない。昨年7月にもGoogle+におけるGoogleのオフィシャルアカウントから、誤って「Save to Google Keep」という文言の見える画像のついた記事を投稿してしまったのだ。

もし、Google Keepが本当に公式デビューを果たすことになれば、Evernote、Pocket、およびOnenoteなどと競合することになるわけだ。尚、他にも登場間近であると言われているアプリケーション(もちろんGoogle Readerはない)にはGoogle Play NewsChrome版Google Nowの名前があがっている。

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(翻訳:Maeda, H)


OrchestraからMailboxへ。 奇跡の転換を可能にした7つの理由

編集部注:Semil ShahTechCrunchの非常勤ライター。Twitterアカウントは@semil

先週金曜日(米国時間3/15)のDropboxによるMailboxの買収は、2012年4月にFacebookがInstagramを買収して以来、テク業界にとって最大の驚きだった。実際それは注目に値する出来事だった。金額の大きさ以外のさまざまな理由によって、Mailbox買収の陰にはテクコミュニティーの心を把む興味深い物語がたくさんある。

その1。Mailboxが資金調達したのは、2011年秋の1度だけだ。2011年11月に調達が発表された時、同社は“Orchestra”という共有可能なto-doリストアプリの会社として知られていた。製品公開前の初回ラウンドでの500万ドルは高いと思われ、小さく始める「リーン・スタートアップ」の概念からは外れていた。正確なところはわからないが、当時500万ドルは同社の約20%に相当していたと思われる。

その2。Mailboxは驚くほど良く考えられた転換だった。Orchestraのチームは、自分たちの製品が突如としてメジャーなヒットになることはないと計算した。これは実に難しい選択だった。一つの製品から全く異なる製品へと転換する際、Orchestraのチームは素早く状況を見直しMailboxを一から作った。過去の学習結果を生かしつつ、会社の中核から再スタートを切った。

その3。MailboxはiOSから始められた。OrchestraにはiOS版とウェブ版があり、同社のデザインおよびクロスプラットフォームでの同期技術も極めて優れていたにもかかわらず、MailboxはiOSでのみ公開され、他のプラットフォームに展開することなく、爆発的な話題を呼び買収された。InstagramはAndroid版の開発までしばらく時間をかけ、買収される少し前に公開してインストールベースを大きく増やすきっかけとなった。Androidは順調に伸びている(iOSを超えたという見方もある)が、アプリケーションの価値を決めるのは未だにiOSだ。

その4。Mailboxは鮮やかなマーケティング手法を用いて、iOS App Storeの厄介な配布の壁を乗り越え、多くの話題を生みだした。Mailboxの悪名高き「予約システム」によって、利用者はApp Storeからアプリをダウンロードできるものの、番号を呼ばれるまで待たなくてはならない。このしかけは、製品公開を控えた多くのモバイル系スタートアップ(Tempoなど)の間で、話題作りの方法として噂の的になった。

その5。この買収に向けてDropboxの行動も同社の戦略に光を当てることになった。2011年秋に非常に高額な評価額で現金2.5億ドルを調達したDropboxは、単なるストレージサービス以上の何かを求めて手の込んだ行動に出ていた。懐疑的な人たちは、Dropboxの評価額の高さが原因で交渉のチャンスを逃がしているかもしれないことから、成功を疑問視している。ブロガーを2人お薦めしておく。一人は、TechCrunchのIngrid Lundenで、Dropboxの進む方向について優れた記事を書いている他、数ヶ月前には同社によるSnapJoyの買収を分析した。もう一人Spark CapitalのAndrew Parkersは、ファイルシステムの歴史とDropboxの方向性について先見性のある記事を書いている。

その6。Mailboxは、メールの「スワイプアウェイ」と「スヌーズ」というユーザー操作に関して賞賛を欲びているが、こうしたジェスチャーの多くは、カラフルなiOS用to-doリストアプリ、Clearに触発されている。これらのジェスチャーをMailboxの発明だとする人たちもいるが、このケースには「平凡なアーティストは模倣する、偉大なアーティストは奪う」という言葉が似合うだろう。そしてMailboxのチームは、偉大なジェスチャーを見つけ、新しいアプリが待望されていたモバイルメールという製品カテゴリーに持ち込んだことを評価されるべきだ。

最後に、その7。それはあまりにも速かった。Instagramが立ち上がり、爆発的に広がり、急速に成長し、そして5000万ドルのシリーズB調達ラウンド完了のわずか2日後に買収されたように、Mailboxの物語もまた年ではなく月単位で語られる。2012年8月、Orchestraのファウンダーは、なぜメールが未だに問題なのかを分析する論評を本誌に寄稿している。非常に長期のベータテストらしきものの最中、影響力のある技術系ユーザーたちがMailboxを使う機会を得て公開の場で絶賛した。当時は検索もなく同期やプッシュ通知も不安定だったが、それはすばらしいバージョン1製品だった。2013年2月、Mailboxは正式に公開されたが、殆どのユーザーは行列に並ばなければならなかった。それ自身が物語となった戦術だ。そして、ご存じのように、3月15日、MailboxはDropboxに買収され、その対価は多くの人々がかなり大きいと感じる現金と株式だった。

以上7つの理由によって、この物語は人々の心を捉えている。そこまですごい製品ではないとか、もはやスタートアップは独立性を捨て大きくなりたがっているとか、スタートアップは騒がれるためにあるなど、何とでも言うことはできるが、OrchestraとMailboxの成し遂げたことは快挙と言う他はない。転換の決断は実に難しい。チーム全員を納得させることも実に難しい。それまでの成果を捨てることはモラル低下をもたらす。これまで十分な資金と数百万人のユーザーを持つ小さなスタートアップが、同じような転換を試みるところを何度も見てきたが、いずれも失敗に終っている。実際のところ重要で意味のあるブランドや製品を新たに作り出すことは、ほぼ不可能だ。長期ベータテストと予約システムと共に製品を公開するまでのマーケティング計画を発明した人は、まさしく天才だ。そしてMailboxを別のプラットフォームでも使えるようになることを多くの人々が夢見る中、このチームはDropboxの気前の良い申し出を受ける決断を下した。それは株主全員を幸せにし、上に挙げた状況を踏まえれば、石炭をダイヤモンドに変えるものだ。これこそがOrchestraからMailbox、そしてDropboxへの物語が人々の注目を集める理由だ。大きくて頑強な会社を作り上場させることは、雑誌の表紙を飾る成功例の1つだが、他の多くの人々にとって、魅惑的な出口 ― 各自にとっての「未読ゼロの受信箱」― を1つ見つけることが夢の実現だ。

写真提供: Digital Game Museum / Flickr Creative Commons

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(翻訳:Nob Takahashi)


弁護士発見サービスを提供するLawdingo、Y Combinatorクラスに参加決定

オンラインでの弁護士検索サービス(しばしばその場で弁護士とコンタクトできる)を提供しているLawdingoY Combinatorのスタートアップクラスに参加することになったのだそうだ。

このLawdingoについては、昨年11月にも記事で取り上げている。サイトではまず専門分野や所在地によって弁護士を探すことができる。相談したい弁護士が見つかれば、アポイントを入れることができる。あるいは相手がオンラインならば「Talk Now」ボタンで会話を始めることもできる。サービスの目的は、良い弁護士を簡単かつ低コストで発見できるようにすることだ(コストの面で言えば、サイトに登録している弁護士には無料相談を受け付けている人もいる。またオフラインで探すよりも広い範囲から探すことができるわけで、確かにコスト面でのメリットはありそうだ)。

ファウンダー兼CEOのNikhil Nirmelは、YCに参加することになるとは想像もしていなかったとのこと。単なる謙遜に聞こえるかもしれない。しかしLawdingoは個人運営で、かつテック系のスタートアップというわけでもない。こうしたスタートアップがYCの出資対象の候補にあがるのは珍しいことかもしれない。逆に言えばYC側が確かな可能性を感じているということになるのかもしれない(東欧のチームと共同で運営しているが、アメリカ国内にてフルタイムでLawdingoに関わっているのはNirmelただひとりだ)。

サイトに登録されている弁護士の数は450名を超える。「どの法律事務所よりも急成長を遂げているわけですね」などと冗談を言っていた。

規模とともにビジネスモデルの方も成長しているようだ。当初、Lawdingoでは弁護士から登録料を徴収していた。しかし弁護士事務所により予算に違いがあるし、また対象とする潜在顧客によって、弁護士が手にする報酬も大きく異ることになる。そうした中で、固定の登録料というのはふさわしくないケースもあるだろうという考えにいたった。そこで現在はオークションモデルを導入している。特定顧客に対してどのような順序で表示されるのかをオークション方式で決定しようとするものだ。登録弁護士が増えれば、人気ケースにおいて上の方に表示されるために必要な入札額も高くなっていくことになる。

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(翻訳:Maeda, H)


JavaScriptは今, 豚から豹に変身中: 最先端の言語改良努力をMLOC.jsカンファレンスに見る

[筆者: Péter Halácsy]

編集者注記: Péter HalácsyはPreziの協同ファウンダでCTOだ。Twitterで彼をフォローするには、@halacsyで。

スタートアップはJavaScriptが好きだ。あなたが駆け出しの若造なら、ダイナミックであることが必要だ*。柔軟性も必要だ。とりあえず動くプロトタイプを素早く作れることも必要だし、コードをコンパイルせずにその場で書き換えられる能力も必要だ。JavaScriptはかつて、ブラウザ戦国時代のスタートアップだった。やがてJavaやFlashを圧倒してしまったが、それはスタートアップが市場をディスラプトして既製勢力を追ん出したのと同じ理由からだ。すなわち、アジリティ(敏速性)と柔軟性。〔*: ここでのdynamicとは、コードを書いたらそれが即動くという言語…インタープリタ言語やJIT言語…の使用の意。〕

今日、JavaScriptはもはやスタートアップではなく、またそれを使っているのはもはやスタートアップだけではない。あらゆるサイズの企業が、Webアプリケーションを作る腕前の上手下手を問わず、どこでも/誰もがJavaScriptでアプリを作っている。かつてはC/C++やJavaのような言語に殺到した需要が、今ではJavaScriptに集まり、そして需要のこのようなシフトは言語の限界を露呈している: パフォーマンスとメンテナンス性だ。

最新世代のJavaScriptエンジンはパフォーマンスがすごく向上しているが、でもまだ十分ではない。YouTubeやHuluのようなサイト、それにFacebookやEAのゲームプラットホームを見てみよう。高いパフォーマンスを要求されるマルチメディアのアプリケーションでは、いまだにFlashが使われている。Steve Jobsのご神託がFlashの命運を告げても、JavaScriptのパフォーマンスが劣るかぎりは、使い続けざるをえない。〔PreziはFlashベース。〕

あなたのコードベースが数十万行のオーダーに達し、しかもそれがすべて、JavaScriptのようなダイナミック言語で書かれていたら、開発のペースは牛歩する。コードベースのどこかを書きかえたとき、それが別のところにバグを導入していないか、それは実際にアプリケーションを動かしてみないと分からない。事前の試験には限界がある。ありとあらゆる、予期せぬ事態が起こりえる。バグが累積し、納期は延びる。

誰かがこれらの限界や制約を解決して、Webアプリケーションのこれからのイノベーションを導く必要がある。誰が、どうやって、それをやるのか?

JavaScriptは自分が作った鉄の三角形に囚われている。

PreziとLogMeInとUstreamが、JavaScriptをどうやってスケールするかをテーマとするカンファレンスMLOC.jsを開催した。GoogleやFacebookやMozillaやGrouponなどで毎日のように、問題解決に苦闘している連中が三日間、ブダペストの会場に集まり、JavaScriptの限界/制約対策について話し合った。彼らの努力で、JavaScriptは未来の言語として生き残るだけでなく、Webアプリケーションの書き方も今とは違ったものになるだろう。

今のぼくの見方はこうだ: JavaScriptは自分が作った鉄の三角形に囚われている。ぼくらはJavaScriptの柔軟性と自由に慣れてしまって、それを捨てたくない。しかし同時に、それは爆速であったほしい。JavaScriptは、コードが何百万行にもなると、その柔軟性ゆえにメンテナンスが困難になる。柔軟性とパフォーマンスとメンテナンス性、この三つは互いに入り組んでいる。一つを進歩させたら、他の二つのどちらか、あるいは両方が苦しむ。

たぶん特効薬は一つではなく、複数の組み合わせだろう。JavaScriptはダイナミック言語として、Webのための優れた糊だ。そのことは、変わるべきでない。

コード以前に、ビジネスロジックが正しくないとだめだ。またDartやTypeScriptなどの静的分析ツールは、アプリケーションのいちばん難しい部分が…今後のアップデートにもめげず…正しく動くために欠かせない。静的分析ツールは、もっと進化してもいい、とぼくは感じている。ただしその技術を幅広く、ブラウザがネイティブでサポートするのは、まだまだ先の話だろう。

ブラウザが新しい言語をネイティブでサポートすることは、必ずしも必要ではない。MozillaのAlon Zakaiが紹介したASM.jsはJavaScriptのサブセットで、現代的なブラウザの上で何も変更せずにものすごく高速に動く。スピードが重要なら、ASM.jsで書こう。Cで書いてコンパイラがASM.jsを作りだす方式でもよい。このテクニックは、パフォーマンス以外のほかの方面にも応用できそうだ。デベロッパたちはすでにそれをやっているし、彼らの努力はatl.jsにまとめて載っている。

さて、メンテナンス性の良いコードを書く最良の方法は、なるべく少なく書くことだ。bacon.jsのようなライブラリやElm言語は、複雑なデータ依存性を簡潔に表現し、デベロッパがデータの形をライブラリに合わせる努力をなくす。その結果、コードの量が少なくなり、メンテナンス性の良い高品質なアプリケーションになる。

JavaScriptは、消えてなくなりはしないが、今、変身中だ。デベロッパたちはこの言語の変種や、表現力の豊かなライブラリを作って、特定のユースケースをより扱いやすくしている。パフォーマンスへの要求も含めて。ツールと静的分析も、進歩している。これらのトレンドが全部合わさって、Webアプリケーションの書き方を変えつつある。MLOC.jsが終わったら、いよいよ本格的に始動する。

JavaScriptを毎日のように書いている大企業のみなさまもぜひ、この言語の柔軟性とパフォーマンスとスケーラビリティを大きく増すために、貢献していただきたいと思う。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


キャリアのアプリストアはださい, 日本のKDDIは別の手で年商$250Mを稼ぐ

Appleが5年前に同社のアプリストアを立ち上げたときは、その今日の成功を同社自身が予測していなかった。それは、その後巨大な収益源となるものからキャリアたちを‘中抜き’し、Appleに110億ドルあまりの粗利益をもたらした(CEOのTim Cookが先月言った“デベロッパに支払った額は80億ドル”から逆算)。

昔のフィーチャーフォンの世界では、デベロッパはキャリアにぺこぺこして自分のアプリをプレインストールしてもらった。しかし今では、彼らは直接、Appleの審査過程やGoogle Playへアプリを提出する。

VerizonのVcastのように、アプリストアを作ったキャリアも一部にはある。でもそれらは、成功しなかった。Google PlayとiOS App Storeがアプリをダウンロードするメインのチャネルなのに、そこでキャリアがどうやって仲間に加わることができるのか?

そこで日本の第二位のキャリアKDDIは昨年、また一つアプリストアが増えるという策をやめて、約500のアプリのコレクションに対する会員制サービスを立ち上げた。そのサービスはAU Smart Passと呼ばれ、同社のAndroid機にプレインストールされている。これまで、月平均500万のユーザが一人当たり399円(4ドル20セント)使っているから、一年換算ではデベロッパがもらう売上の総額は2億5000万ドルになる。

これは、きわめてユニークなやり方だ。KDDIはデベロッパとパートナーしてアプリをAU Smart Passに置くが、そのときに、オマケのようなものを求めることが多い。たとえば日本でユーザ数1億2000万以上という人気のメッセージングアプリLineは、特製のステッカーを提供している。そのほかのアプリも、多くは有料だ。

KDDIは会費収入をデベロッパの各月のアクティブユーザ数に応じて分配する。アプリにアプリ内購入があってもよいが、その場合デベロッパの取り分はGoogle PlayやApple App Storeのように70%ではなく、80から90%だ。

“アプリに関して新しいビジネスモデルが必要だった。フィーチャーフォンからスマートフォンへのシフトを管理したかった”、合衆国でKDDIの海外モバイル事業開発を統括しているKazuhito Shimizuはこう言う。彼は同社の総額6000万ドルのベンチャーファンドも担当して、ニューヨークのタクシーと輸送関連のスタートアップHailoなどに投資をしている。

“これはアプリのためのNetflixみたいなものです”、と彼は言う。しかし心配なのは、Google PlayとKDDIのストアという二つのアプリストアがあるために、消費者が混乱しないか、という点だ。

NTT DocomoやKDDI、SoftBankなど日本のキャリアは、合衆国や西欧で、力関係がキャリアからAppleやGoogleへ移行していった過程から学べる立場にいる。

日本では、スマートフォンの普及率はまだ50%未満だ。でも日本にはものすごく洗練されたフィーチャーフォンの歴史や、ゲームとアプリのプラットホームがあり、後者のユーザ一人当たりの売上は今なお西欧市場を恥じ入らせる。

しかしそのような日本でも、アプリの流通は劇的に変わりつつあり、GREE やDeNAのような大手のモバイルゲームプラットホーム企業もスマートフォンの普及に対応しようと努めている。Lineの勃興が示すように、新しい勢力も育ちつつある。AU Smart Passは、そのような市場に進出しようとする大型デベロッパにとって、恰好の足がかりだろう。

このストアが使えるのは日本のみ、そしてAndroid携帯のみだが、KDDIはアジア市場への拡大を検討している。同社はまた、消費者が写真やファイルや音楽などを保存するためのクラウドストレージなど、そのほかのサービスも今すでに作り始めている。

“AU Smart Passは、日本進出を考えているデベロッパにとって、最初のマーケティングチャネルになりうるだろう”、と彼は言った。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Dropbox、Mailboxの買収価格は1億ドル前後か

TechCrunch Disrupt出身のDropboxは、実に抜け目のない早期段階買収によって、話題沸騰のメール管理アプリ、Mailboxを手の内にした。われわれはこれを “DropMail” と呼んでいる。

本誌では、Mailboxが資金調達に動いていて、Andreessen Horowitzらの関心を引いていたことを伝えられていたので、今日同社が名前も調和のとれたDropboxに売却したニュースを聞いても、大きな驚きではなかった。時として、成長の糧を得る最も簡単な方法は買収されることである。メールのように金のかかる問題に取り組んでいる時はなおさらだ。しかも待ち行列に6桁の人数が並ぶアプリなら。

さらに本誌は、この買収が安いものでないことも聞いている。すでに話題の中心にいるスタートアップのために、Dropboxは5000万ドルの「はるか上」を行く金額を必要としていると複数の筋が言っている。さらにわれわれが把んだ情報によると、現金と株式を合わせて1億ドルという価格とも言われている。

実はYahooも、IDEOの古参、Gentry Underwoodが立ち上げたこのメールプラットフォームに興味を示したことがあった。Yahoo Mailブランドの衰退やMailboxがモバイルで苦戦を強いられていたことを考えれば意味のある選択肢だった。しかしDropboxの魅力的なビジョンの方が、生まれて間もないこのスタートアップにとって一層理にかなっていた。Mailboxの目覚ましい数字は、Droboxの共同ファウンダー、Drwe Houston、Arash Ferdowsiの2人に、メール界への一撃を加える勇気を与えた。

いずれせよ、Dropboxで添付ファイルを扱える日は近そうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


GoogleがWebアプリケーションサーバTalariaを買収してCloud Platformを強化

“JITベースのランタイムによる動的なWebアプリケーションサーバ”を売りものとするTalariaが、Googleに買収されたと発表した。TalariaのチームはGoogleのCloud Platformのチームに加わる。同社はオフィスがパロアルトにあるが、これまではほとんど無名の会社だった。同社をAustin Robisonらが創業したのは2011年で、Googleが買収したときもまだ非公開ベータだったようだ。

Googleの広報も買収を確認した: “Talariaのチームが開発した最先端の技術によりWebサイトの構築と稼働がより効率的になり、とりわけ弊社のGoogle Cloud Platformsのチームにとって同社は、貴重な技術および人材である”。

Talariaは同社のサーバについて長期的には大きなヴィジョンを持っているようだが、現状ではPHPだけをサポートし、その上でデベロッパはWordPressやDrupalのようなアプリケーションを動かせる。同社のサーバを使うと、アプリケーションのコードはそのままで、“より少ない台数でより多くのユーザを扱える”、という。また、“自分の好きな生産性の高い言語を使えるが、スケーラビリティとパフォーマンスはコンパイル言語並になる”、とも。

これは言うまでもなくGoogleのCloud Platformにとっても大歓迎だ。Talariaの発表声明には、“彼らが自分たちのサイトを今後よりベターにしていくのを手伝う”、という意味のことが書かれている。

以下がTalariaの発表声明の全文だ:

Talariaで私たちは、現代的なWebサイトとWebアプリケーションを構築し動かす方法の改良を目指しました。過去2年間、私たちはWeb上でもっとも人気の高いサイトの一部で使われることによって、その技術を実証しました。今回、GoogleのCloud Platformチームに加わることにより、Webサイトの構築と稼働において、さらに多くのデベロッパを支援していけるものと確信します。

私たちをここまで育てていただいたみなさまに感謝します。私たちを支えた投資家とアドバイザーのみなさまは、好悪両時にわたってご支援いただきました。ベータのお客様は私たちをプッシュし、タイヤを蹴り上げ、またご自分の会社に温かく迎えてくださいました。そして最後に、私たちの友人と家族は、私たちが多忙である間、彼らが当然受け取るべき十分な注意と時間を得ることがありませんでした。

これからGoogleのCloud Platformと協働できることを、たいへん嬉しく思います。

Talariaのチームより

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


オンライン英会話サービスのBest TeacherがGMO、SMBCから総額5,110万円の資金調達を実施

Best Teacher ロゴ

本日Best Teacherが5,110万円の資金調達を実施したことを発表した。第三者割当増資によるこの資金調達の引受先はGMO VenturesPartners、SMBCベンチャーキャピタルだ。Best Teacherはすでに昨年1月にサイバーエージェント・ベンチャーズから資金を調達している。なお、今回調達した資金は提供サービスの拡充、マーケティング、法人営業の強化に充てるという。

Best Teacherに関しては本誌でもサービスリリース時に取り上げたが、簡単に説明するとあるテーマに沿って講師と生徒がチャットで会話をする。その会話をテキストとし、実際にSkypeで会話を行うというサービスだ。

同社代表取締役社長の宮地俊充氏はサービスリリース時には従来のオンライン英会話ではありきたりなテキストを用いているので、頭に残りにくく、実際に使える場面が少ない。だから、Best Teacherでは自分でテキストを作り、リアリティのある会話を練習することで学習効果がさらに得られるのではないかという話をしてくれた。

宮地氏はサービス開始の昨年5月から10カ月が経過し、少しずつ結果が出てきており、この学習方法には効果があると言えそうだという。英会話サービスは6カ月程継続するのが平均的だそうなので、まだ結論とまでは言えないが自分が一番必要としている会話を練習しているので使える場面が多いことはユーザーからの評価が高いそうだ。

さて、オンライン英会話最大手のレアジョブが2007年にサービスを開始して15万人の会員(入会人数なので有料会員数ではない)を獲得していることを考えると、サービス開始から10カ月で数千人の会員を獲得したというのは順調と言えるだろう。

この成長の要因の1つはモバイルだと宮地氏はいう。Best Teacherは講師とチャットをする際には、もちろんモバイル経由で行える。モバイルでビジネスマン、大学生がスキマ時間にチャットを行え、「いつでも、どこでも」学習できることが大事だという。

英会話学習は昔からあるが、オフラインでの対面から始まり、インターネットを通じて自宅でも学習できるようになった。そして次のシフトはモバイルで学習できることだそうだ。モバイルでも学習できることで場所と時間に捕われないサービスを目指すという。

今後の展開としては、マーケティングやサービス全体の改善はもちろんだが、モバイルでのサービス価値の向上と法人向けのサービスに力を入れるという。

モバイルではデスクトップの機能をそのままモバイルに最適化するのではなく、デスクトップとモバイルを合わせることで全体の価値が向上するような機能を考えているそうだ。

法人向けのサービスとしては、これまでのサービスで個々のユーザーにマッチしたテキストが効果的だということを活かし、会社や業種ごとに必要な英会話を提供していきたいとのこと。

まだ日本のオンライン教育サービス(EdTech)はアメリカに比べると数が圧倒的に少なく、成功事例もあまり無いが、ここ数年で徐々に増えてきた。国内インキュベーションも教育サービスに力を入れてきており、KDDI∞Laboがmana.bo、MOVIDAがShareWisなどを採択している。


Facebook、グラフ検索向けにハッシュタグ導入か。プライバシー対索が必要

Facebookには今でも人やFacebookページや場所のタグがあるが、近くユーザーが記事にハッシュタグを付けられるようにして、グラフ検索のインデックスや検索をしやすくするかもしれない。ある情報筋はTechCrunchに、Facebookがプロジェクトを進めていると伝え、すぐ後にThe Wall Street Journalも同じようなニュースを報じた。

しかし、この機能が実現するのはまだ遠い先のことかもしれない。Facebookは、グラフ検索の検索対象として、記事を追加する必要が出てくる可能性が高い。現在Facebookの内部検索エンジンが返すのは、人、場所、Facebookページ、アプリ、メディア、および興味だけだ。ただしFacebookは、いずれ記事の検索も実施すると言っているので、ハッシュタグはその機能を益々便利にするかもしれない。

ハッシュタグがないと、人気の話題に関する記事を探すためには、そこで使われている用語を正確に推測する必要がある。ハッシュタグの導入によって、自分の記事をグラフ検索が見つけやすくしたい人は、記事にハッシュタグを付ければ、別のユーザーが検索する際に関連するタグを見つけやすくなる。ニュースフィードで記事内のハッシュタグがクリックされた時に、Twitterと同じように、そのハッシュタグを含むグラフ検索結果を表示できる。

ハッシュタグは、ブランドやイベントがFacebookどの話題を誘導するのにも役立つ。ブランドのイベントやマーケティングキャンペーンを紹介する人にハッシュタグを入れるよう頼むことができる。Facebookはニュースフィードに、複数の友達が参照しているタグを表示する。広告主は、自社のビジネスに関係のあるハッシュタグが検索結果に表れるために喜んで料金を支払うだろう。Twitterでもよく行われていることだ。Mark Zuckerbergは、スポンサー付検索結果がグラフ検索収益化の自然な形であると認めている。

ハッシュタグと共に、グラフ検索に記事が入る時には、トレンドトピックの一覧も来るかもしれない。

しかし、Facebookのハッシュタグには大きな課題がある。殆どのユーザーが全体公開のTwitterとは異なり、Facebookではほぼ全員が何らかのプライバシー設定をしている。このためハッシュタグをクリックした時には、そのタグを含むもののうち、公開あるいはクリックした人が見ることのできる記事だけが表示されなくてはならない。プライベートな記事は内容だけ表示して作成者を見せないという方法もあるが、反発は必至だろう。

ハッシュタグとトレンドトピックの運用方法を考えることは、世界最大のソーシャルネットワークにとって、一つの社会学的挑戦である。うまくやれば、Facebookの時代精神を浮かび上がらせることができる。やり方を間違えれば、人々は記事にあのシャープ印を付けることを警戒するようになるだろう。しかしグラフ検索が記事を対象にするまで、ハッシュタグがFacebookで威力を発揮することはできない。

[画像提供:LeaveYourHashtagOnTwitter, People who make memes]

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(翻訳:Nob Takahashi)


Google翻訳でユーザが頻用する翻訳パターンを登録再利用できるようになった

Google Translate(Google翻訳)で、個人的なフレーズブック(語句覚え書き帳)を作れるようになった。そこにフレーズやセンテンスをメモしておくと、今後の翻訳時にそれが優先的に使われるようになる。Google Translateのチームは今日の発表声明で、“翻訳結果を記憶させておくことにより、ユーザがよく使うフレーズを保存しておき、後日、必要に応じて呼び出すことができる”、と言っている。

Googleによると、それらのフレーズが何度も再利用されることによって、その翻訳がGoogle Translateの“永続的な知識”になる(あなたが昔ラテン語のクラスで反復練習による丸暗記を強いられたように)。

フレーズブック機能はデフォルトでonになっている。画面右隅にある小さな本のようなアイコンをクリックすると、それにアクセスできる。フレーズを保存するときは、翻訳の下にある星印のアイコンを押す。

フレーズブックの内容は、左に原文、右に翻訳結果、という単純な構成だ。Google Translateのほかの機能と同じく、対象言語別にフィルタできる。また、各フレーズを音声で聞くことも可能だ。

〔下の図では「Thank you.」と「ありがとう。」のペアをこれから保存する。図の右は、保存後のフレーズブックの内容。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


「Grouponの経営陣は貪欲の塊」―より大きな問題は日替わり割引クーポンというビジネスモデル

最近Grouponの経営に関する批判的な記事が多い。しかし根本的な問題はむしろGrouponのビジネスモデルそのものにあるのではないだろうか?

Vergeは昨日(米国時間3/13)、Grouponの問題点を分析する長文の記事を掲載した。Grouponは引き続き低調だった四半期決算報告の後、ファウンダー、CEOのAndrew Masonを追放した。現在また過去の取締役、社員、投資家など多数の関係者にインタビューした後、VergeはGrouponの問題は経営陣にあると結論している。「Grouponは貪欲の塊」というのが記事の大見出しだ。

他のGrouponに近い情報源からの話でもこの見方は当たっているようだ。われわれ自身も、特に外国から数々のホラーストーリーを聞いている。しかし私はVergeの記事はさらに重要なポイントを見逃していると思う。なすべきだった質問はこうだ。そもそもGrouponというサービスは持続的成功を収める可能性のあるビジネスなのか?

Grouponの主たるビジネスは株式上場の前も後もいわゆるデイリー(日替わり)クーポンだ。これは飲食店などのサービス業のために期間を限定した割引によって新規顧客を獲得するためのキャンペーンを行うサービスとしてスタートした。後にこの日替わり割引クーポンは一般商品にも拡大された。このサービス業態はGrouponの上場までたしかに大流行していた。投資家は興奮し、銀行は日替わりクーポン市場がどれほど成長するか強気のシミュレーションを公表した。

しかし同時に、別の事態も起きていた。劣悪なサービス体験のために消費者、一部業種のユーザーはこの仕組に懐疑的になり始めた。日替わり割引クーポンというサービスは持続可能なeコマースのジャンルではなく、一時の流行りモノにすぎないのではないかという懸念が広がった。“日替わりクーポン疲れ”という言葉さえ生まれた。

一方でGrouponの突然の大成功に刺激されてLivingSocialを始めとする強力なライバルが現れたこともGrouponにとっては不利に働いた。しかし逆にGrouponが健全に成長できなかったし、これからもその点に疑念が残るという事実は、今後ライバルたちも同様の問題に直面する可能性を示唆するものだ。これはGrouponの経営陣が貪欲に支配されているのかどうかというよりずっと本質的な問題だ。

もちろんGrouponは以前として業界のシェアでトップだ。日替わりクーポン市場は前四半期で300%も成長している。Vergeの予測するところではGrouponの今年の売上(利益は別問題だが)は60億ドルに上るという。しかし経営陣の失敗などはこれほど大きな市場全体の成長性にさして大きな影響を与えるとは思われない。問題はAndrew Masonが去った後もビジネスモデルがそのままなら問題点もそのまま残るという点だ。

なるほどGrouponは日替わりクーポン以外の分野にも進出しようとしている。これは2012年5月にAndrew Masonが発表した「ローカル・ビジネスのOSになる」というコンセプトに基づいた計画だ。これにはオンラインやモバイルでの支払い、POS、Amazonなどに対向する通常のオンラインストアなどなどが含まれている。

おそらくこうした新サービスはアメリカ以外の地域での展開が主になるのだろう(現在でもGrouponの売上の可搬は外国市場から)。もしGrouponがこうした市場でモバイル・コマースで優位に立つことができるなら、そしてSquareやPayPalといった強力なライバルを抑えることができるなら、その報酬は巨大なものとなるかもしれない。

いずれせよ、経営陣が貪欲かどうかはさほど大きい問題ではないだろう。

〔日本版:Grouponのビジネスモデルへの批判はこちらの記事に詳しい。クーポンビジネスが崩壊する理由Part2

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google、iPad向けYouTubeビデオ録画専用アプリをリリース―コンサートでiPadかざす連中が増える?

コンサートに行くと、周囲の目もはばからずスマートフォンを掲げてステージを撮影している観客がいる。これからはiPadでそうする連中が増えるかもしれない。(* というのはYouTubeが新しくiPad向け録画アプリを発表したからだ(iPhone版は3ヶ月前に発表されている)。

このYouTube Captureはビデオを撮影してYouTubeにアップロードするプロセスを大幅に簡易化するために必要なツールをすべて単一のアプリにまとめている。ユーザーは撮影を終えたらキャプション、タグその他のメタデータを追加し、即座に自分のYouTubeチャンネルにアップロードすることができる。世界に公開してもいいし、自分だけが見られるようにしてもよい。

このアプリでは色の調整、ブレの軽減、トリミング、BGM追加などの簡単な編集が可能だ。ビデオのアップロードはバックグラウンドで実行されるから、編集が終わったらアップロード完了を待たずにアプリをすぐに終了できる。

iPad版がローンチされたことはYouTube、ひいては親会社のGoogleが、たとえAndroidのライバルではあってもiOSプラッットフォームを重視していることの現れだ。これまでにもGoogleはYouTube専用ビデオプレイヤー、Googleマップ、Gmailその他をiPhoneとiPadにネーティブ・アプリとして提供してきた。

YouTubeへのアップロード機能はAndroidの場合はOSに用意されているので必ずしも専用アプリを作る必要はない。しかしYouTubeの広報担当者は「iOS版に続いてAndroid版のYouTube Captureも準備中だ」と述べた。

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* 言うまでもないが、著作権その他のややこしい問題を生じさせるこのような行為を私にせよYouTubeにせよ、決して勧めているわけではない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


(パソコン+ゲーム専用機)÷2=Xi3社のPiston, 予約受付を開始

Xi3が最近、ゲーム用パーソナルコンピュータPistonの予約受付を開始した。先週のSXSWの会場で、同社のCMO David Politisをつかまえて話を聞く機会があった。彼は、PistonはPCの良いところ+ゲーム専用機の良いところだ、と語った:

ゲーム専用機は小型でしかもゲーム環境が充実している。でもそれらはクローズドでアップデートできない。一方コンピュータは、いろんなソフトウェアがあるし、ベーシックなコンピューティングのほかに、Webサーフィンなどもできる。でも図体が大きいし電気も食う。それに、醜い。

Politisに言わせるとPistonは両者の中間だ。サイズとエレガンスではゲーム専用機、モジュール的でアップデート可能な点はPCだ。Xi3社は今、デベロッパたちにPiston専用のゲームを作らせているらしい。

Politisは発売日を明言しなかったが、今年のクリスマス商戦には、ということだった。予定価格は999ドル99セント、予約価格は899ドル99セントだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


地図・施設情報を集約するFoursquare、実現を目指すのは「忍びの地図」?!

Dennis Crowley | CrunchBase Profile未だにFoursquareを「チェックインしてバッジを獲得し、メイヤーを争うためのツールだと考えている人も多いかもしれない。あるいは友だちがどこにいるのかを探すツールだと思っている人もいるかもしれない。確かにそういう使い方もある。しかし地図情報に加えて人びとの訪問頻度等の膨大な情報を集積した今、Foursquareが提供しているのは、そうした範囲に留まらないものとなっている。

SXSWのステージで、Anil DashとFoursquareのCEOであるDennis Crowleyが対談を行なっていた。Foursquareがどのような進化を遂げてきたのかという内容だ。友だちのいる場所を発見するなどといった内容から、いまでは「世界を発見」するツールになってきているのだという話をしていた。

Crowley曰く、現在では公表されているよりもはるかに多くの企業がFoursquareの地図データを利用しており、APIを活用した開発を行なっているとのこと。Foursquareの場所データベースには5000万以上の情報が蓄積されており、しかも頻繁に更新されている。新しい施設がオープンすれば即座にFoursquare上にも反映され、逆に施設がクローズしてしまった場合にも速やかに当該情報が行き渡るようになっている。

Foursquareにおけるチェックインについて、CrowleyはGoogleのウェブクローラーに例えた話をしていた。「利用者のひとたちが興味を持つ場所、ないし興味をなくしてしまった場所についての情報が、絶え間なくFoursquareに集約されるのです」。

それでもデータの活性化という面で魅力的なのだが、最近では活性化の手段が、利用者からの情報以外にも広がっていることを強調している。つまりAPIを公開していることで、他のアプリケーションからも位置情報データが多数寄せられるようになっているのだ。たとえば位置情報付きでInstagramに投稿した場合、その情報はFoursquareにも寄せられることになるわけだ。

この面でいえば、FoursquareとAPI利用者の間には、ある種の共生関係が成立していると言えるかもしれない。Foursquareが最高の地図データを提供し、それを利用者に公開する。そして利用者からの見返りとしてAPIを利用するアプリケーションのユーザーが興味を持っている場所についてのデータがFoursquareに集まることになる。

こうした流れは、地図そのものを変えることに繋がる。Crowley曰く、地図はその登場のときからほとんど姿を変えずに利用され続けてきている。しかし膨大なデータを集約することで、利用者が興味を持ち、そして利用者にとってより重要な意味を持つ地図を示すことができるようになるとしている。

Foursquareが提供する「パーソナライズ」した地図とは、たとえばハリー・ポッターに出てくる「忍びの地図」のようなものだとCrowleyは言う。ハリー近くで、まさにハリーに関連する情報を提示してくれるわけだ。「データは十分に集まってきています。みなさんにとっての『忍びの地図』を実現することもできると考えています」とCrowleyは述べている。

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(翻訳:Maeda, H)

Microsoft、学生の囲い込みを狙って、Office 365とSkyDrive 20GBを最大6ヵ月間無料トライアル可能に

Office 365の出荷を開始したMicrosoftが、今度は学生たちにもっと試してもらおうとしている。同社は既に学生向けOffice 365 Universityを4年間で80ドルと大幅に割引しているが、新たに学生がOffice 365を3ヵ月間、特典についてFacebookでシェアすればさらに3ヵ月間無料で使ってみられるキャンペーンを発表した。学生さちはSkyDriveのストレージ20GBも追加で使用できる。

Microsoftの広報担当者によると、このキャンペーンを行う理由は、「顧客らがSkyDriveを使ってドキュメントにアクセスし、どこでもどのデバイスからでも協働作業ができることを大いに満足している。中でも、学生はこの種のツールが役立つグループの一つだというフィードバックを直接聞いている」からだという。

この特典は、米国内で.eduのメールアドレスを持つ人全員が対象で、マーケティング・キャンペーンには“Parks and Recreation”のスター、Aubrey Plazaを登用している。.

Microsoftのこの分野最大のライバルはもちろんGoogleで、同社はDriveアプリを無料で公開している。しかし、Microsoft Officeの方が機能豊富で未だに多くの大学で標準になっているのは間違いない。それでも学界におけるMicrosoftの存在感は、多くの大学がOffice 365 for Education(旧 Live@Edu)を採用しているにも関わらず、縮小気味だ。

学生向け特典の殆どがそうであるように、この特典の狙いが学生たちをMicrosoft Officeエコシステムに囲い込むことにあるのは明白だ。しかし、文書ファイルはすべて標準フォーマットなので、いつでもファイルを持って出ていけるのはもちろんだ。トライアル期間終了後、Officeアプリは読み込み専用モードになるので、閲覧と印刷しかできなくなるが、もちろんファイルは自分の物で自由にSkyDriveからダウンロードできる(SkyDriveの基本Office Webアプリも引き続き利用できる)。

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(翻訳:Nob Takahashi)

どのISPが高速か?–ストリーミングビデオのNetflixが8か国のデータを各月公表

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過去数か月、Netflixは定期的に、ストリーミングビデオを最速で届けてくれるISPのリストを公開していた。そして今日同社は、このデータ専用のサイトNetflix ISP Speed Index立ち上げた。このサイトでISPのスピードデータを見られる国はNetflixが展開している国、すなわち合衆国、メキシコ、アイルランド、イギリス、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、そしてフィンランドだ。驚くに当たらないが、Netflixのストリーミングに対する平均ビットレートのトップはGoogle Fiberの3.35Mbps、そして次位はスウェーデンのOwniteの2.99Mbpsだ。

Netflixによると、これらのデータの源泉は3300万あまりのNetflix会員で、彼らの月間視聴量は合計で10億時間を超える。下図のように、今回発表されている数字は昨年11月から今年2月までの4か月で、顕著なのはトップのGoogle Fiberの成長だ。データは今後も各月に更新される。

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Netflixの注記によると、平均速度はISPたちのピーク速度よりも低い傾向がある。Netflixが行うビデオのエンコードや、視聴者の使用機器/ネットワークの条件などにより、結果的に速度が低下する。しかしそれらの条件がISPによって異なることはないから、比較は依然として有意である。そして、データに示された速度は、だいたい各ISPの全ユーザが経験している平均速度と考えてよい、ということだ。

これらのデータを見ると、ISPによってサービスの質に大きな差があるようだが、しかしNetflix自身は、ISPたちと協力して帯域の拡大とユーザのストリーミング体験の改善に努力している。たとえばISPは、同社のCDN Open Connectを直接利用してトランジット費用を下げることができる。Netflixはまた、ISPにストレージハードウェアを提供し、ISPのデータセンターにおけるローカルキャッシュの増強を支援している(もちろんNetflixの人気コンテンツをキャッシュしていただくのだ)。これらのストレージを導入したISPでは実際に、1080p HDや3Dのコンテンツをより高速に提供できている。上の図の上位に位置するISPも、その一部は、そういう意味でのNetflixパートナーISPだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Yコンビネータ出身でファウンダーに日本人が参加するAnyPerkが140万ドルの資金を調達―社員の福利を手軽にアウトソーシング

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AnyPerkはウェブで配られるクーポンや割引などのperk(余録)を社員の福利のために企業に対して提供するスタートアップだが、先ほどDigital Garage、Ben Lewis(TapjoyとKarmaのファウンダー)、Michael Liou、CyberAgentVenture、川田尚吾(DeNAの共同ファウンダー)から140万ドルの資金を調達したことを発表した。

AnyPerkは企業が社員にちょっとした福利を提供するのに便利なサービスだ。社員1人あたり毎月5ドルを支払うだけでAMCとRegalの映画チケット、Dish Networkのケーブルテレビ、Dellのコンピュータ、1800 Flowersの花などの割引が受けられる。またCostcoの無料クーポンももらえる。

Pinterest、Klout、GetAround、BirchBox、Seamless、Pandoraなどといったインターネット企業がすでにAnyPerkを利用している。

AnyPerkは最近サイトをリニューアルしたが、もともとY Combinatorの昨年の夏学期の出身だ。共同ファウンダーの福山太郎、高橋篤博はすでにスタートアップを成功させた経験者だ。高橋はスマートフォンの広告ネットワーク、Nobotを創立し、同社はKDDIに1900万ドルで買収された。

〔日本版〕TechCrunch Japan西田編集長によるAnyPerkについての記事、前編後編

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+