コンテンツマーケティング全盛時代、マーケッターにもコピーライティング技術がかつて以上に求められるようになったわけですが、ともすれば文章のセンスや表現能力など右脳的要素が重要視されがちになるこの分野。今回はあえてコピーライティングを科学的観点から見つめ直し、ライティングレベル向上のヒントになることがないか考えて記事をコンテンツマーケティングの大御所コピーブロガーから。 — SEO Japan
製品、サービス、アイディアをオンラインで販売したいのなら、説得力のあるコピーライティングの実施が必要不可欠だ。
優れたライティングはまさに一つの技術ではあるのだが、コピーライターとして自分の作品を改善したいと思っている人達は、行動心理学と神経科学の研究から多くの助けを見つけることができる。
唯一の問題は、多くの場合良いライターは忙しく、興味深い金の塊を見つけるために事実に即した研究報告に苦労して取り組む時間がないことだ。
幸運にも、私があなたのために重労働を行ったので、今日あなたは7つの素晴らしい研究を目にすることになる…そして、それらの発見をより説得力のあるコピーを生み出すためにどのように適用するのかを知るのだ。
いい話ではないだろうか?
では、早速始めよう!
1. 何かを感じさせる
私と一緒に想像しよう…
あなたはアメリカンフットボールの試合を見ている。あなたが応援するチームのクオーターバックが骨までしびれるタックルを食らい、あばら骨が折れる。
おおお…
それを考えると自分自身の身がすくむように感じることができるのでは?
それがミラーニューロンの力であり、そうやって人間の脳に影響を与える。
このテーマに関する調査によると、この神経細胞は、あなたが何かが起きているのを“観察する”時に活性化し、その感情の一部(もしそれが十分に強力であれば)をあなたに伝達する。
それは、共感や“他の人の立場になって考えること”のような、必要な進化的特徴に生物学的に役立ちそうである。
ミラーニューロンに関する現在の調査の大部分は、文字通りの観察に焦点を合わせているが、優れたライターも、強い感情は言葉を通して伝えられることができることを知っている。
私の最初の例について考えてみるのだ…もしあなたがあばら骨を折った男のことを考えて身がすくんだのなら、あなたはすでにこの効果を経験している!
説得力のあるコピーを書く時には、自分の読者を夜寝かせないでおくことが何であるのかを理解しなければならない。
私が“これを想像するのだ…”と書くのは簡単だが、人々に注意を払わせるのは簡単ではない。
あなたは、読者にある感情を強いようとするのではなく、すでにそこにある感情に話しかけなければならない。
もしあなたが、コンテンツ最適化の面倒なことを引き受けるソフトウェアを販売しているのなら、Googleのあら探しをしたり操作したりすることに疲れている、そして書くことに戻りたいと思っている、不満を抱いた起業家候補生に語りかける必要がある。
もしあなたが、ビールを販売しているのなら、よく冷えたビールを飲みながら友人と良い時間を過ごした記憶を思い起こさせる必要がある。
望ましい感情を読者に移すためにミラーニューロンに関するこの情報を使うことは効果的であるが、それはあなたが、何が彼らを動かすのかを知っている場合にのみ機能するのだ。
2. 節約を“売りにすること”に注意する
あなたが知っておくべきことがある…もしあなたが自分の低価格について胸をたたくために高価な不動産を引き合いに出しているのなら、あなたは間違っている。
顧客に価格を直接比較してもらうことは悪い考えであるということを示した調査があるというだけでなく、スタンフォード大学の新しい調査が、“時間”を売りにすることはお金を売りにすることよりもずっと効果的である(大部分のビジネスにとっては)ことを明らかにした。
主任調査員のJennifer Aakerは、なぜMillerのような会社が以下のようなスローガンを使用するのかを説明しようとした…
It’s Miller Time! (ミラーの時間だ!)
安価なビールなのだから、代わりにその手頃な値段を宣伝すべきではないのか?
しかし、そうではないのだ…
人の製品体験は、それとの個人的つながりの気持ちを強める傾向があり、時間に言及することは、一般的により好ましい態度とより多くの購入を導く。
これが優れたコピーを書くことにどう関係するのか?
シンプルだ…購入者にとって本当に大切なこと、彼らの時間、問題、目的に語りかけるのに役立つ。
私たちは、顧客が並外れたサービスにはもっと支払う意思があるということを知っている。しかし、顧客が成し遂げたいと望むことに自分が価値を置いていることを示すやり方で語りければ、彼らがあなたの示した価格を支払うつもりがあることを理解する必要もある。それは、最低金額で売ろうとするよりもずっと誠実な(そして効果的な)やり方だ。
もしくは、Mogliner教授ならこう言う:
結局のところ、時間がより乏しいリソースなのである―それは一度過ぎてしまえば、戻って来ない―だから私たちにとってより意義のあるものなのだ。
3. わずかなことを気にする
これはコピーライターとコンバージョンの専門家にとってものすごく重要な研究だ。
カーネギーメロン大学の素晴らしい調査は、特にコンバートするコピーを生み出すこととなると、悪魔は本当に細部に宿るということを示した。
この研究の中で、調査員たちは1つのフレーズの変更が長い目で見てコンバージョンにどのように影響を及ぼすかを検証した。
彼らは、顧客が登録することができる無料DVDトライアルプログラム(DVDを覚えている?)を設定し、2つの異なるフレーズを検証することによってこれを行った…。
- “a $5 fee(料金5ドル)”
- “a small $5 fee(料金わずか5ドル)”
…ちょっと待って、本当に?そう、ここからがいいところだ:
2つ目のフレーズが登録率を20%増やすことができたことが分かったのだ。
その科学的根拠は、実際とても興味深い:“small(わずか)”な料金を重視することが、お金を使うことに保守的な人つまり“けちな”客が取引をするのをずっと簡単にしたのだ。
しかしながら、優れたコピーライティングのこととなると、この教訓は“科学”というよりも優れたライティングの技術の中にある。
あなたは、自分の作品の出来を測定し、改善し、追跡する時間を取らなければならない。今日の優れたライターが自分の仕事を検証しないことに弁解の余地はない。わずかなことを気にして、それがどう機能するのか把握しているようにすることだ。
4. 自分の悪の側面を受け入れる
多くのコピーライターがおかす大きな過ちは、本物であるための努力をほんの少ししかしないことだ。
世界はハイレベルだ:多くの消費者は、ひたすら褒め言葉で覆われたコピーに心を奪われることはなく、常にあなたのコピーに上塗りをかけ斜めに見る。
答え?
彼らの目的に真っ向から取り組む力強いコピーを作るのだ。
あなたは、主張を裏付けるためにあえて賛成をしない“悪魔の代弁者”という言葉に馴染みがあるかもしれない。
かつてカトリック教会が誰かを聖人に美化する時に“列聖調査審問検事”と呼ばれる人間を使っていたことは、あなたは知らないかもしれない。彼らの仕事は、その人物の欠点を見つけて、それらに関する議論を公平にすることだった。
彼らはその慣行を止めた…もっともな理由で。なぜならあなたは、悪魔の代弁者のように振る舞うことが、実際にはもともとの主張の説得力を強化するのを目にすることになるからだ!
社会心理学者Charlan Nemethによる研究では、“悪魔の代弁者”スタイルの中で形作られた主張は、聞き手を反対意見よりも元々の主張を支持するように説得する可能性が高いことを示すことができた。
Nemeth(および何人かの他の調査員)は、これが起こるのは、悪魔の代弁者スタイルで関与する時には、話し手もしくは無意識的に聞き手のどちらかによって潜在的な欠陥と懸念が持ち上がる(そして後で対処される)からだと結論付けた。
説得力のある主張を聞いている時に、あなたはこう考える:
でもそれは____に対処するのだろうか?
…もし話し手がこんなことを言えば、あなたが説得される可能性はかなり高くなる:
多くの人は今____について心配しているかもしれません。
…なぜなら、あなたの懸念が決して取り上げられないのではなく、脚光を浴びているからだ。
コピーライターの皆さん、聞いているだろうか?
絶対確実なオファーを言葉で表現しようとするのではなく、顧客が持っているかもしれない共通した懸念について指摘し、心配する必要はないという事実と証拠で彼らを安心させるのだ。
5. 形容詞だけに頼らない
これに賛成しないライターもいるかもしれないが、大学生はあなたにこう言うだろう:入学願書はあなたが書くことができる説得力のあるコピーであり、もっともストレスフルなものの1つだ。
それは正真正銘の販売促進コピーなのだ―あなたは自分の未来の運命を決める人に自分を売り込んでいるのだ。
面白いことに、説得力のある入学願書の分析では、入学願書を読むハーバードMBAの入学選考ディレクターによって説明されているように、動詞が形容詞に勝ることが多い。
動詞は具体的でより無視しにくい。特に、みんなが同じ陳腐な形容詞を使って自分を説明するつまらない世界では。
こんな例はどうだろう…
私は、賢く、勤勉で、本当に洞察力に飛んだBrian(註:CopyBlogger創業者)という男を知っている。
それはすごい。
ではもし私が、彼は成功を収めた企業を創立し、人気ブログを作り、才能のあるチームを率いている、と言ったらどうだろう。
もっと印象的なのでは?
実際、あなたが彼に対して非難すべき唯一のことは、彼がかつて弁護士だったことだけだ。
動詞はあなたの前に姿を見せる。そして、あなたのライバルは類語辞典の中で見つけた形容詞を使って自分たちのコピーを膨らませるため、あなたは自分が実際にすることを説明することによって人々の賛同を得ることができるのだ。
6. “パワー”ワードを含める
賢いコピーライターは、他の言葉よりも幅をきかせる説得力のある言葉が存在することを知っている。
あなたは、そのトップ5が以下のようになることをCopybloggerの以前の記事(日本語)から思い出すだろう:
- “あなた”(実際は、Eメールを送る時のように、相手の名前)
- 無料
- なぜなら
- すぐに
- 新しい
詳しく説明すると…
“あなた” – 脳の活動を検証した最近の調査によると、印刷物の中もしくはスクリーン上に自分の名前を見ることのように、いくつかのことが私たちを生き生きとさせる。名前は本質的に自己認識と結びついており、自分の名前が登場すると、私たちはより関与するようになり、そのメッセージをもっと信用するようになる。
無料 – Dan Arielyは、著書のPredictably Irrationalの中で、チョコトリュフとハーシーズのキスチョコを使った研究がかなり驚くべきものだったことを明らかにした:キスチョコが無料と宣伝された時に、トリュフよりもそっちを選んだ人が38%増えたのだ…キスチョコがたったの1ペニーだった時にはほとんどの人がトリュフを選んだのに!
なぜなら – Robert Cialdiiの古典的研究では、“なぜなら”という言葉を使った場合には、要求(この場合は列に割り込むこと)を進んで聞き入れる傾向が強いことが分かった。たとえその要求が理不尽なものだったとしても(例えば、“コピーを取らなければならないので、コピー機を先に使ってもいいですか?”)。
すぐに – 私たちは物事を大至急欲しがる。あるMRIの研究によると、素早い報酬を呼び起こすような言葉が中脳を照らし出す。人々にあなたが彼らの問題を素早く解決することを知らせれば、人々が購入する傾向は高くなる。
新しい – 目新しさは、脳の報酬中枢を活性化して自分の買い物に満足させ続けることにとても重要な役割を果たす。認識された“新しさ”は製品にとって重要であるが、実際にはブランドにダメージを与えることがあるということを調査が示している(人々は長く存在してきたブランドを信頼する)。
7. 説得のための輸送手段を利用する
なぜ良いストーリーは私たちを完全に夢中にさせるのか?
ストーリーのように真夜中まであなたを寝かせない(積極的に!)文章形態は他にない。
社会心理学者Melanie GreenとTimothy Brockの調査によると、ストーリーにこんなにも説得力があるのにはとても簡単な理由がある:
輸送手段が説得力をもたらす。
人々はセールス・ピッチをブロックすることができる…しかし、誰もがストーリーを聞くことを好む。
彼らの調査は、ストーリーは“気付かれないように”差し込んで、私たちを別の場所へと連れて行く傾向があり、この場所では、私たちは厳しい“現実世界”では一蹴するかもしれない物事を受け入れるかもしれないことを示した。
これは魅力的な話を伝えることに熟達している人にとっては素晴らしいニュースだが、それ以外の私達はどうやってより説得力のあるストーリーを書くことができるのだろうか?
この2人によるさらなる調査によると、以下のような戦術がうまく機能する:
- きめ細かいイメージ: イメージはストーリーを生き生きと説明する。トールキンが不毛の地や滅びの山の迫りくる存在やナズグルの身の毛もよだつ叫び声を詳しく説明しなかったら、モルドール(指輪物語の国)がどれだけ恐ろしいかを理解するのは難しい。
- サスペンス: あなたはどのようにして人々にストーリーを終わりにしてもらうだろうか?最初に最後を知りたい気持ちにさせるのだ。注意を引く物事を終わらせないことは難しいため、後ではなく先にワクワクすることで導くのだ。
- 比喩と皮肉:動物農場のような小説がいまだに人気があるのは、彼らが比喩を通して隠された話を伝えるからだ(スターリンの台頭を描いているように)。多くの良いストーリーは、これらの要素を含んでいるために、読者は“なるほど”という瞬間を経験することとなり、著者のメッセージを掴むことを可能にするのだ。
- モデル提示: もしあなたが誰かの行動を変えさせたい(または望ましい行動を取って欲しい)のなら、ストーリーを介してその行動を“モデル提示する”ことができる。調査によると、私たちが変身物語を聞く時、私たちは自分が主人公であるように想像し、それがその行動を理解しやすいものにする。
この記事は、CopyBloggerに掲載された「7 Scientifically-Backed Copywriting Tips」を翻訳した内容です。
どこまで科学的かはともかく、アプローチとして面白い記事でしたし、内容も普段目にしない種類のものも多くそれなりに参考になりました。特に2番目の「価格を売りにすることに注意」は、単純な価格訴求の危険性を再認識。もちろん価格が商品購入の重要要素であることは疑いないと思いますが、それが何らかのメッセージと連動していることが重要なのかな、、、と感じました。形容詞より動詞、という言葉も響きましたし、実はもうすぐ新規ECサービスを始めようと思っている私ですが、ここに書かれたメッセージを心に留めてライティングに励みたいと思います。 — SEO Japan [
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