アイトラッキング調査で判明した8つの原則

アイトラッキング調査といえば、画面上のユーザー目線を追うことで、普段気付かないウェブデザインの問題やユーザビリティ上の課題を見つけ出そうという試み。サイトのコンバージョン率改善には確実に役に立つであろう手段ですが、準備の大変さや費用も重なり、中々実現できている企業は少ないと思います。今回、既に公開されている様々なアイトラッキング調査を調査し、そこから学べる要素を引き出した記事を紹介します。ある種、鉄板といえるルールに集約されていますが、筆者は有名デジタルマーケッターでありヒートマップツールで有名なCrazyEggの創業者ニール・パテルだけに、分析内容含め学べる点は多そう。 — SEO Japan

eye tracking

データに関しては、多ければ多いほど良い。データの解析、テストの実施、数値の考察、トレンドの分析 — 素晴らしい事業、そして、優れたウェブサイトを作り出す上で、データは土台となる。

消費者の行動に対する調査において、興味深い分野が一つある。それは、アイトラッキング(視標追跡)だ。アイトラッキングから得られる情報は、ウェブデザイン、コンテンツの作成、コンバージョンの最適化、そして、オンラインマーケティングをレベルアップさせる力を持つ。

そこで、アイトラッキングテストの収益に関わる結果をまとめ、それぞれの事業に当てはめて考えられるように、これから提供していく。

その前に、アイトラッキングとは何かを説明させてもらいたい。アイトラッキングとは、基本的に、ビジターが、ウェブページのどの場所を、どれぐらいの時間見ているのかを計測する技術である。アイトラッキングのデータは、上の画像のように、被験者が見ている画面上に覆うように、視覚的に表示される。

アイトラッキングでは、ビジターが、最初に見た場所、2番目に見た場所、3番目に見た場所…を把握することが可能だ。ユーザーが画面のどの部分に特に強い関心を示しているのか、そして、特定の領域をどれぐらいの時間見ていたのかが分かる。

あらゆる効果的なリサーチに境遇することだが、アイトラッキングの調査を行うには、それなりのコストがかかる。最も安価なアイトラッキングデバイスでも、5000ドルはくだらないだろう。手頃な価格とは程遠い。しかし、私は、公開されているアイトラッキングの調査を分析することで、オンラインビジネスに役に立つ8つの原則を見出すことに成功した。

原則 #1: 最も有益なコンテンツを上半分に掲載する

やはり、上半分のコンテンツは、多くの注目を集める。そのため、最も重要なコンテンツをこの場所に用意するべきである。

eye tracking fold

ただし、上半分が最も重要な場所であったとしても、残りの場所を無視していいわけではない。上半分に何もかも詰め込むと、ウェブサイトの使いやすさを台無しにしてしまう。まさに、本末転倒である。

8秒以内にビジターの注目を掴み取る必要があるため、魅力的な情報をウェブページの上半分に掲載しよう。ただし、その際は、コールトゥアクションを詰め込んで、散らかしてしまわないように注意してもらいたい。

魅力的なメッセージとコピーを作る努力をするべきだ。それが、さらにコンテンツを読み、製品を購入する意欲を促す。

NeilPatel.comの新しいデザインにA/Bテストを実施したところ、上半分に掲載したコールトゥアクションが、コンバージョン率を21%減少させていた点に気づいた。

原則 #2: コールトゥアクションをページの一番下に掲載する

確かに、ページの上部は、ビジターに最も見てもらえる。しかし、次に多くの注目を集めるのが、ページの一番下の部分である。ビジターは、画面をスクロールする。その際は、ページの一番下に向い、そこで、スクロールを終える。この場所にコールトゥアクションを表示するべきだ。

私は複数の場所にコールトゥアクションを用意している。皆さんにも、このアプローチを是非利用してもらいたい。

eye tracking crazy egg

Crazy Eggのヒートマップを見ると、Quick Sproutのメンバーシップページの下の方に掲載されたコールトゥアクションが、クリックの大半を獲得していることが分かる。事実、メンバーシップページの中間に配置したコールトゥアクションボタンよりも、39%も多い。

原則 #3: ビジターは大きな、太字のヘッドラインを読む

ヘッドラインが大きければ大きいほど、そして、目立てば目立つほど、読んでもらえる確率は高くなる。有名なF字パターンの調査を含む、様々な調査によって、ヘッドラインの大きさの重要性が証明されている。

eye tracking f pattern

このトピックを追求したThe Poynter Instituteによる重大な調査では、「圧倒的なヘッドラインは、ページを訪れた際に最初に見てもらえることが多い」と結論づけられていた。

ヘッドラインの重要性ヘッドラインの作り方に関しては、既に説明した。ただし、読みやすさに加えて、目立つデザインの要素をヘッドラインにもたらす必要がある — 大きく、そして、ボールド体で綴ると良いだろう。

私は時々ヘッドラインに視覚的な飾りを用いる:

eye tracking headline

しかし、ほとんどの場合、大きな活字書体を用いる:

quicksprout eye tracking headline

原則 #4: 情報を塊に分ける

「コンテンツを短い段落に分けて、見出しを用意し、箇条書きを使い、そして、番号付きリストを利用するべし」と言う鉄則を聞いたことがあるのではないだろうか。

この鉄則には、直感が関係している。単純に、ビジターは巨大なテキストの塊を消化することが出来ないのだ。

下のアイトラッキングのヒートマップは、ページ上の注視時間を表しており、情報を消化可能なサイズの塊で提供する必要性を指摘している。

明らかに、ビジターは塊を見る。このページは、必ずしも、レイアウトの良い見本とは言えないが、強力な視覚的要素を持つ見出し — 中央への配置、目立つ色、考え抜いた空間の構造 — をビジターが見る、と言う考えを実証している。

原則 #5: 多くの余白を設ける

余白(ネガティブスペース)は、ウェブデザインにおける重要な要素の一つである。アイトラッキングの調査が、この点を実証している:

eye tracking whitespace

上の例では、余白を持つ開放的なレイアウトが、スムーズに注視を導き、データを効率良く吸収させてていることが分かる。

余白は、スペースの無駄遣いに見えるため、何か配置したくなる気持ちは分かる。しかし、ページの残りの動きを促す効果があるため、実は貴重な存在である。人間の目は、ページの様々要素から、「休む」場所を求める。また、次に向かう場所を把握する必要もある。

そこで余白が役に立つ。

原則 #6: ページの左側は重要

このアイトラッキング調査は、ユーザーが、ページに滞在する間、ページの左側を見ることが多いと指摘している。

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多くの言語では、テキストが左から右に向かうパターンが採用されている。ウェブデザイン、そして、ウェブページを読む習慣において、この閲覧パターンは、深く根付いている。

ウェブページをデザインする際、または、コンテンツを配置するさは、重要なコンテンツを左側に置き、ページの左側を最大限に活用すると良い。

原則 #7: バナーを排除する

ウェブバナーは無視される。バナーへの注目の低下は、バナー広告が黄金時代を迎えた頃から現れ始めた。

バナー広告の効果は消え始めた。単なる広告でしかなかったためだ。その後、注目を集めるために、震えるバナーの利用が始まった。しかし、システムのエラーにしか見えない作品もあった。また、「100万人目の訪問を記念し、黄金のフェラーリを贈呈する」と宣伝する広告も現れた。

クリックする気になるだろうか

「バナーブラインドネス」と呼ばれるこの現象は、アイトラッキングの初期の研究で、特に話題に挙がることが多かった。ヤコブ・ニールセン博士は、1997年にバナーブラインドネスの存在を発見していた。

現在、バナーブラインドネスは、インターネットの知識、そして、ユーザビリティの常識として、受け入られている。とても重要度が高く、Wikipediaの記事が作られるほどだ。バナーが無視されると言う指摘が信じられないなら、以下のアイトラッキングの調査結果を見てもらいたい。

eye tracking banners

サイトを収益化する方法が他にないなら話は別だが、基本的には、バナーを利用するべきではない。

原則 #8: 人物写真は有効

LinkedInの調査を始めとするユーザビリティの調査では、人物の写真の効果が裏付けられている。たとえ写真であれ、他の誰かを見ると、– 通常は — 魅力、理解、あるいは、識別において前向きな心理の反応を促す。

人物の顔写真を持つページは、双方向的な情報のやり取りと閲覧を促し、直帰率を低下させる効果がある。

人物写真に関する調査で得られた4つの重要な見解を挙げていく:

  • デザインの要素として人物写真を利用する — ホームページで人物の画像を利用するべきだ。人は他の人を見る習性があり、その結果、ページに長くとどまるためだ。
  • Aboutページで写真を用いる — 容姿が分かると、信じてもらい、信頼してもらい、そして、取引を行ってもらえる確率は高くなる。
  • LinkedInのプロフィールで顔写真を用いる — すると、信頼感が生まれる。
  • Googleオーサーシップの確立に励む — SERPでは、オーサーシップの画像を持つエントリにクリックが集まる。

結論

ウェブサイト、コンバージョン、事業、そして、製品を、アイトラッキングの調査に注目するだけで、改善することが出来る。

ビジターがサイトのどこを見ているかは、非常に重要だ。なぜなら、ビジターが何を学ぶか、何をするのか、そして、何を買うのかに影響を与えるためだ。見た結果、クリックが生まれる。

アイトラッキングの調査から得たその他の見解をご存知なら、コメント欄で発表してもらえないだろうか?


この記事は、Quick Sproutに掲載された「8 Powerful Takeaways from Eye Tracking Studies」を翻訳した内容です。

長年の経験値と深い知識を元にした考察だけあり、どれも基本的といえば基本的ですが、読み応えがある記事でした。次のランディングページを作成する前に一度じっくり内容を読み、基本を徹底的に頭に叩き込んだ上で取り組んでみてはいかがでしょう? — SEO Japan [G+]

コンバージョンを減らすランディングページの7つの誤り

LPOも大分普及してきた日本のウェブマーケティング、本格的なLPOは行っていなくとも広告用に専用のランディングページを用意しているサイトは多いでしょう。とはいえ、せっかくの専用ページを設けているのに、効果が出ていないばかりか普通にホームページにしておいた方が良かったというケースさえありかねません。今回はランディングページのコンバージョンを減らしかねない基本的なポイントをインフォグラフィック形式でまとめた記事を。 — SEO Japan

ランディングページは、コンバージョン率の増加に貢献するはずだが、コンバージョン率にマイナスの影響を与えていることが多い。このケースは、どんな時に生じるのだろうか?誤ったコピーを掲載する、あるいは、ビジターの気を散らしてしまう際に発生する。

これは氷山の一角に過ぎない。そこで、ランディングページのコンバージョン率を最大限に高めてもらえるように、避けて欲しい過ちをリストアップし、収益を増やすために踏む必要のあるステップを記したインフォグラフィックを作成した。

下の画像をクリックすると、拡大表示される(インフォグラフィックの下に訳文を掲載):

7 Landing Page Flaws That Kill Your Conversions

コンバージョンを台無しにするランディングページの7つの誤り(そして、修正する方法)

そのランディングページは役目を果たしているか?

マーケッターの64%: ランディングページは、提案するメリットを試す上で最も効果的な方法だと認識している。– MarketingSherpaより

B2B企業の68%: ランディングページを使って、今後のコンバージョンに向けた売り上げのリードを集めている。– MarketingSherpaより

マーケッターの48%: 各マーケティングキャンペーンに新たにランディングページを作る。– MarketingSherpaより

1. 必要される情報が多過ぎる

あまりにも多くの情報の入力を求められると、ビジターはうんざりする。ビジターは、求められた情報を入力するよりも、サイトを去りたくなる。

解決策
・関連性があり、必要な情報のみを入力フォームでは取得する。
・フォームを目立つ場所に置き、楽に入力することが出来るように工夫する。

2. 具体的なコールトゥアクションが存在しない

ランディングページの48%は、複数の提案を掲載している — MarketingShelpaより

この状況は、顧客を混乱させてしまう。すると、コンバージョン率は下がる。複数の提案を行うランディングページは、単一の提案を掲載するランディングページと比べて、獲得するリードが266%少ない。

解決策
・ビジターを考慮して、分かりやすく表現する。提案は一つだけ用意する。
・コールトゥアクションを、見つけやすく、分かりやすく、実行しやすくする。

3. テキストが多過ぎる

ページ上のテキストが多過ぎると、混乱を招く。何が提案されているのか、消費者が理解することが出来ない可能性がある。ページの要点が明らかではない場合、ビジターはサイトを去ってしまう。ビジターの注目を掴む時間は、約5秒間のみ。

解決策
・箇条書きを活用する。
・太字を使って、テキストを強調し、注目を得る。
・製品/サービスの特に重要なポイントを強調する。

4. ヘッドラインが注目を掴んでいない、あるいは、ヘッドラインがない

ヘッドラインをテストしているマーケッターは、77%のみ。– MarketingSherpaより

ありきたりのヘッドラインや、退屈なヘッドラインを避ける必要がある。ビジターを迎え、ページの要点を伝えるヘッドラインを用意するべきである。

解決策
・ヘッドラインには、ページの内容を反映させる。
・具体的なヘッドラインを作る。
・メッセージを伝えられる程度の長さは必要だが、ビジターの視界に収めなければならない。

5. ランディングページの読み込みに時間がかかる

消費者の40%は、読み込みに3秒間以上かかるウェブサイトを見捨てる。ウェブサイトのパフォーマンスに不満を持つ買い物客の79%は、同じサイトからの購入を避ける。10万ドル/日を稼ぎ出しているEコマースサイトでは、ページの読み込みが1秒間遅れると、年間で250万ドルの収益を失う可能性がある。

解決策
・ガラクタを処理する。不要なテキストや画像は削除する。
・各種のデバイス(コンピュータ/モバイル)でページの読み込みをテストする。

6. 効果が高い取り組みを特定するテストを行わない

40以上のランディングページを持つ企業は、5ページ以下のページよりも、リードが12倍以上多い。– HubSpotより

マリアン大学では、大幅に異なるランディングページを比較テストした結果、コンバージョン率が264%増加した。1,000ページ以上のランディングページを持つDellでは、ランディングページをウェブページに対してテストすることで、コンバージョン率が最高で300%増加した。

解決策
・幾つかランディングページをテストし、結果を記録する。コンバージョン率を改善しないページには変更を加える必要がある。
・マーケティングのアイデア、ページのレイアウト、表現をテストして、変更がコンバージョン率の増加につながるかどうかを特定することが肝要だ。
・ランディングページの異なるバージョンを幾つか用意して、どのページのクリックスルーが一番多いのか確かめる。
・テストと調整を継続する。

7. サイトが信用できない

どこでもありそうな推薦メッセージが掲載されている。Blue Fountain Mediaは、Verisignのロゴをサイトに加えるだけで、売り上げを42%増加させた。消費者の68%は、スコアの良し悪しが掲載されている場合、レビューを信頼する。四捨五入した数字よりも、そのままの数字の方が、信頼度は高い。より正確であることを示唆するためだ。

解決策
・率直な推薦文を掲載する。
・信頼を示すバッジを掲載する。
・誰でも分かるような言葉で、規約を作成する。

このインフォグラフィックを拡大して見たいなら、ここをクリック

結論

ランディングページを作成したところで、必ずしも売り上げやリードが増えるとは限らない。事実、つまらないヘッドラインを作ったり、コールトゥアクションを誤った場所に掲載してしまうと、収益は減少する。

私は、ランディングページの最適化において、創造性に富むページが、特にコンバージョン率が高いことに気づいた。これは大きな発見だと言えるだろう。例えば、個人のサイトで、地名をコピーに利用したところ、コンバージョン率が30%増加していた。また、ランディングページの上部からロゴを外した結果、さらに18%増加したことも判明した。

他に、ランディングページのコンバージョンを高める方法をご存知だろうか?

サイトにこのインフォグラフィックをエンベッドする(下のコードをコピー & 貼り付け):


この記事は、Quick Sproutに掲載された「7 Landing Page Flaws That Kill Your Conversions (and How to Fix Them)」を翻訳した内容です。

各項目自体は基本的な内容ですが、一緒に紹介されていその際は、こちらのランディングページ作成サービスもご検討ください m(__)m — SEO Japan [G+]

キッチンの歴史と最新事情をまとめたインフォグラフィック

住まいに関するインフォグラフィックを配信しているLivinGraphics(リビングラフィックス)にて新作インフォグラフィックが公開されました。第6弾のテーマは“キッチンの歴史と今”。時代とともに形を変えていったキッチンのデザインや、現代のキッチンのレイアウトについて紹介しています。 — SEO Japan

キッチンの歴史と今
※画像をクリックするとアート・クラフト・サイエンス株式会社、リカサ株式会社が運営する「LivinGraphics(リビングラフィックス)」のサイトに飛び、全体をご覧いただけます。

このインフォグラフィックでは、キッチンの歴史や、現代の主要なキッチンレイアウトが1枚の絵にまとめられています。江戸時代のキッチンでは、井戸から汲んだ水や薪の利用が主流でしたが、昭和34年以降は工場で大量生産が可能となった「プレスステンレス式流し台」や「LPガス」が普及し始めました。現在では、L型やアイランド型などレイアウトも多岐にわたっています。

現代のキッチンレイアウトは「費用」「使いやすさ」「デザイン」の3つの視点から評価されているので、キッチン選びの参考にしてみては?

キッチンの歴史と今(LivinGraphics)
※本インフォグラフィックは弊社がデザインをお手伝いさせて頂きました。

スペースを有効活用するならL字型キッチンやI型キッチン、スペースに余裕があり調理中に家族とのコミュニケーションを重視するなら、アイランドキッチンや対面型キッチンがおすすめとのこと。好みや生活スタイルの変化に合わせてキッチンの形は変化しているのですね。– SEO Japan

時代の流れに左右されない有効なリンク構築の基礎

人口リンクはもう終わり、これからはコンテンツマーケティングの時代とはいわれるものの、Googleのアルゴリズム上、どうしても無視できないのがリンク構築。今だからこそ改めて考えたいリンク構築のあり方をじっくり考えてみた記事をサーチエンジンランドから。 — SEO Japan

Googleは1998年にサービスを開始して以来、順調に成長し、世界で最も人気の高い検索エンジンになった。shutterstock_178290377-chain-link-old-text 2013年、2兆1610回の検索が行われ、世界の検索市場の67%を占めるまでになった。

成長し、進化を遂げるにつれ、Google検索は、ユーザーの疑問に対する答えを見つけ、問題に対する解決策を発見し、リサーチを実施し、さらには、友達や信頼するアドバイザーからのフィードバック、推奨、そして、提案を得ることが可能な人類史上「最高の秘書」になると言う夢に向けて、順調に前進している。

消費者が、製品やサービスの調査に検索エンジンを利用する機会が増えているため、SEOに力を入れる企業には、大きなチャンスが転がり込んでいる。

役目を期待通りに果たすため、Googleは、ユーザーに提供する価値を基に、コンテンツを格付けしなければならない。Googleは、各種の要素を用いて、検索エンジンのランキングを決めているが、その中でも(今のところ)とりわけ重要なのが被リンクの質と量である。

Googleがリンク構築を嫌う理由

ウェブにおいて、リンクは、事実上、「票」に等しい。良質で、有益で、信頼されるコンテンツは、より多くのリンクを獲得する。満足したユーザー、そして、消費者によって与えられた本物のリンクは、質の高いコンテンツとして認めた証拠である。だからこそ、Googleをはじめとする検索エンジンは、リンクを高く評価しているのだ。

しかし、ウェブサイト、そして、オンラインビジネスの経営者が、積極的にウェブサイトに対する「票」を集めようとすると(リンク構築)、本当の自分よりも良く見せようとしていると受け止められてしまう。そのため、Googleは、特定の方法で、リンク構築を行う人達を嫌うのである。

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「適切」なリンク構築の方法、「誤った」方法、そして、「不正」な方法が存在する。 リンクは、収益面での利点を得る上で有益であり、競合者をランキングで上回る効果が見込めるものの、大量のリンクを獲得して、検索エンジンのランキングでトップに立つのは、難しい。適切なタイプのリンクを適切な方法で獲得することが、重要である。

リンク構築は筋肉を増やすようなもの

筋肉をつけたいと仮定する。ステロイドを使えば、身体を大きくして、筋肉の量をすぐに増やすことが出来る。あるいは、定期的な運動、ウェイトトレーニング、そして、しっかりと栄養を取ることで、適切に筋肉を増やす手もある。

1つ目の方法は、瞬発的な勢いをもたらし、その後、身体に危害をもたらす。2つ目のアプローチは、時間はかかるものの、長期的に良い体形を維持し、健康面でのメリットも得られる。

リンク構築は、筋肉をつける行為に似ている。正当なリンクを高い価値を持つサイトから、妥当な期間を経て獲得するのは、大変な取り組みだと思うかもしれない。しかし、このリンクが、検索ランキングに与える影響は、劇的であり、長期に渡って継続される。

近道を利用すれば、短期間に大量のリンクを獲得し、SERPで素早く上位に躍り出る効果はあるかもしれないが、急激にランクが落ちる、あるいは、インデックスから追放されてしまう憂き目に遭う可能性がある。

早い段階で、リンク構築界のベン・ジョンソンランス・アームストロングにはならないように心に決めるべきである。最初から、適切にリンク構築に取り組もう — さもなければ、不適切なリンク構築を行ったため、Googleからペナルティーを受けたJ.C. Pennyと同じ轍を踏むことになるだろう。

複雑化したリンク構築

もう一つ大事な要素がある。スポーツのドーピンング検査とは異なり、Googleは、定期的にルールを変更し、そして、新しいルールを加えている。 妥当、そして、ホワイトハット(適切)だと考えられていた手法が、現在はスパム扱いされている(例: ゲスト投稿)。)

過剰に利用され、スパマーに悪用される可能性があるリンク構築の手法に対しては、検索エンジンは、継続的に再評価し、ウェブサイトのランク付けにおいて、特に価値の高いリンクの種類を切り替えている。

要するに、たとえルールの範囲内であったとしても、過去の取り組みが原因で、ランキングを落とす可能性があるのだ。手動ペナルティーを科されなくても、サイトに集めたリンクが、大幅に価値を下げられ、ランキングを落とし — そして、その結果、収益を失ってしまうこともある。

ウェブサイトのSEOを改善したいなら、様々な選択肢と可能性がある中、安全な取り組みに励み、場所に関わらず、必要な時はいつでも、どんなデバイスを使っていても、確実に顧客に見つけて貰える環境を作り出す必要がある。

策略的な投票は不自然

これから、リンクを構築すると仮定する。上位のウェブサイトを分析して、より高いランクを獲得し、Googleの信頼を得るために何が必要なのかを特定する。しかし、自然なリンク構築をGoogleが望んでいることも忘れてはならない。

ここで、考えてもらいたいことがある。外部のコンテンツとページ — ブログの記事、インフォグラフィック、その他のウェブコンテンツ — にリンクを掲載し、自分のサイトに返るリンクを張るのは、自然だろうか?それとも不自然な行為に該当するだろうか?

次に、反対に、検索エンジンの構築、あるいは、何らかの投票プロセスの設定(選挙キャンペーン等)を自分で行う状況を想像してもらいたい。立場上、ユーザーに信頼のおける、品質の高い情報を裏付けるアルゴリズムを作るために、努力するのではないだろうか?また、重複する偽の票を投じたり、自分自身に票を投じたりして、このプロセスを操作しないように監視するのではないだろうか?

このような票がカウントされないように、全力を尽くすはずだ。あるいは、不可能(違法)にすることも検討するのではないだろうか?投票システムが安全であり、結果が信頼に値することを裏付ける方法を見つける取り組みが、何よりも重要であり、関心が高い。

これは、まさにGoogleが、実現に向けて — 四六時中 — 努力している取り組みである。

コンテンツマーケティングとゲスト投稿: 今後の効果

現在、数あるリンク構築の手法の中で、特に人気が高いのが、コンテンツマーケティグとゲスト投稿だ。まずは、一歩下がり、詳しく検証していこう。

このような手法は、自分自身に票を投じていることにはならないのだろうか?

Googleが進化の過程で、自己リンク構築のメリットを取り除く — 最悪の場合、「不正」行為として、罰を与えることは、常識なのではないだろうか?

リンクのためだけにゲスト投稿を行っているなら、その戦略を考え直した方が良い。役に立つため、問題を解決するため、ニーズを満たすため、もしくは、圧倒的な価値を提供するため、リンクを張りたくなるような質の高いコンテンツを作ると、長期的にさらに有益な効果を得られるだろう。

これは、「闇雲に周りと同じ行動を取り、他の誰かの提案を繰り返していると、SEOの寿命を短くしてしまう」と言う、よくあるケースの一つであり、場合によっては、収益とブランドのイメージを傷つけてしまう可能性がある。

独特なコンテンツを、そして、目立つコンテンツを作ろう。たとえ長時間を要するとしても、適切な取り組みを行うために、時間を割くべきである。このアプローチは、長期的に利益をもたらし、まさに、時代に左右されないSEOとリンク構築の模範と言えるだろう。

勢いを得る、または、「バイラル化」するコンテンツの作成にこだわるべきではない。それよりも、買い手候補を助けるにはどうすればいいのかを真剣に考えてもらいたい。これから投稿する予定のコンテンツから、どのようなメリットを得られるのか、真の価値をどうすれば提供することが出来るのか、良く考えておこう。

良質なコンテンツを作るためには、理想の顧客が何を考えているのか、理解しなければならない。「ユーザーの意図」を正確に特定する必要がある。

  • 問題と願望を特定する。
  • 顧客候補を助ける解決策を考案する。
  • 信頼の置ける、正直な専門家として認識してもらう。
  • 信頼を勝ち取り、製品やサービスを必要とする際、頼りになる人物、または、会社になる。

品質の高いコンテンツ作る取り組みを中心としたSEO戦略を採用すると、ブランドは成長し、自然にユーザーに見てもらえる機会は増えていく。新聞、雑誌、そして、信頼されるブログやウェブサイトになれる確率は高くなる。「トップ 10」リストや「推奨する情報源」のサイトとして取り上げてもらい、より大勢のターゲットのオーディエンスに接触することが可能になる。

「マーケティング」を行うことなく、この成果を得られることが、何よりも嬉しい。良質なコンテンツを作成する上で、次の取り組みが鍵を握る:

  • 解決策を提案する。
  • 有益なコンテンツを提供する。
  • 役に立つ。
  • 信頼を育む。

信頼してもらえなければ、名前を挙げてもらうことも、リンクを張ってもらうことも出来ない。信頼は何よりもまして重要である。リンクを得ることだけが目的なら、中止するべきだ。ウェブサイトのランキングを高めることだけが狙いなら、長期的にランクを維持することは出来ないため、良い戦略とは言い難い。

理想の顧客、そして、関係を構築したいオーディエンスに出会える可能性があるサイトで、記事を投稿するなら、つまり、ゲスト投稿で得られるリンクが、ブランドアウェアネスの改善、知名度の向上、信頼度アップ、リファラートラフィックの増加等のメリットのおまけなら、強力なリンクと考慮されなくなったとしても、ゲスト投稿を行う価値は大いにあると言えるだろう。

薦められないリンク目的のコンテンツ

コンテンツを提供するものの、交換条件としてリンクを要請する場合、自然なリンクに該当するだろうか?

フォーラムの署名からのリンクは、自然なリンクに該当するだろうか?

別の場所で投稿した記事の情報源としてリンクを掲載する場合は、どのように判断されるのだろうか?

プレスリリースはどうだろうか?

独断的な結論を出す必要はないが、このような取り組みが、被リンクの価値を評価しようと試みるGoogle等の検索エンジンが直面する問題を、さらに難しくしていると言う指摘には、納得してもらいたい。

Googleはこの厄介な問題の原因を根絶しなければならない。

この方向性の第一歩として、Google オーサーシップやGoogle+等の取り組みが、検索結果の質の改善に貢献している。自分自身のリンクの価値がなくなり、また、可愛い子猫の写真や笑っている赤ちゃん等の写真を含む無益なリンク(ソーシャルネットワークで勢いを得ることは出来る)が軽視される未来に、Googleが向かっていると仮定しよう。

この未来に残るのが、自然なリンクである。信頼した人が、「マーケティング部門」として送った「票」が、リンクを介して、トラフィックを、そして、リードをもたらす。リンクが「nofollow」かどうかは関係ない。なぜなら、コンテキストが適切だからだ。

そこで、リンクの獲得に走る前に、このポイントをよく考えてもらいたい。

SEOとリンク構築の負の側面shutterstock_160952141-blackhat

分かっていることを挙げていく:

  1. Googleは信頼されている — だからこそ、私達はGoogleを使って、購入する製品、そして、店を決定している。
  2. SERPで上位にランクインすると、適切なトラフィック、そして、売り上げが増える。
  3. 現時点では、会社、そして、ウェブサイトのオーナー側が、ランキングに影響を与えることが出来る(インチキをして、上位に君臨することも可能)。

Googleのガイドラインを違反しても、法律を破ることにはならない。犯罪とは見なされないためだ。イチかバチかのギャンブルと言い換えることも出来る。検索ランキングを操作することで、多額の収益を得られる可能性もある。これが、「ステロイド派」、そして、近道をして、より多くの利益を得る人達を引きつけている要因である。

しかし、Googleの立場になって、考えてもらいたい。製品やサービスを購入する前に、Googleを利用する人は多い。SERPでリストアップされていた結果が、ユーザーの行動に影響を与えるのだ。

Googleは、検索エンジンが、ユーザーの意思決定において、重要な役割を果たしていることを理解している。検索エンジンを調整する優秀なエンジニア達は、特定のキーワードや検索用語のランク付けに影響を与える卑劣な試みを行うことが出来る点を分かっている。Googleのエンジニアは、事業のオーナーが、検索エンジンのランキングを操作する仕組みを監視しており、遅かれ早かれ、スパム丸出しのリンク構築の手法を特定し、価値を引き下げるようになるはずだ。

リンク構築は「悪者」か?

答えは皆さん自身で出してほしい。個人的には、悪者ではないと思うものの、何を求めているかに、左右されるのではないだろうか?

現状では、自己票、そして、自己レビューをGoogleにカウントさせる方法は数多く存在する。このような手法は、ある程度、アルゴリズムを歪め、検索結果の質に悪い影響を与えてしまう。SEO by the Seaを運営するビル・スロースキ氏が、このようなネット版なりすまし対策の問題について、素晴らしい記事を綴っているので、目を通しておこう。

だからこそ、Googleは、常にアルゴリズムの改善に取り組み、問題を掻き消す方法の特定に力を入れているのだ。この変更から、事業、そして、ウェブサイトが、メリットを得るには、SEOとリンク構築のアプローチを今すぐに最適化する必要がある。経験豊かなSEOコンサルトに相談すると、最も効果が高い。

ストック写真はShutterstock.comの許可を得て利用している。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Link Building Fundamentals To Future-Proof Your Online Business」を翻訳した内容です。

中々に読み応えがある、&考えさせられる記事でした。SEO界隈では、コンテンツマーケティングならぬコンテンツSEOという言葉も流行っているようですが、ともすればリンクを集めるため「だけ」のコンテンツをいかに作るかということに注力がおかれたり、とりあえずロングテール狙いで品質問わず大量のコンテンツを作成するケースも見られるようです。後者の場合は、有料リンクスパムが大量コンテンツスパムに変わっただけの気がしなくもありませんが、前者はコンテンツの有益性や品質と、バイラル性のバランスの兼ね合いが求められる所ですね。

最もバイラル力のあるコンテンツの作成もそれなりに発想と実力が求められるものではありますが、ターゲットユーザーやサイトの特性、ビジネスの種類等との関連性なくしては本質的な効果はないのでしょうけど。とはいえ、たまに猫の動画を紹介して多少のリンクを得ることにそれ程の悪があるとは私には思えませんが。。。などと、SEO業者の飲み会のネタになりそうな話題でした。 — SEO Japan

SSLのランキング要素になったことに対するSEO業界の反応

長期出張と休暇が続き、記事更新をご無沙汰してしまい失礼しました。今日からまた真面目に更新していく予定ですのでおつきあいください。さて、最初の記事は私が休暇中に話題となっていた、GoogleがSSL対応のサイトの評価を上げることを正式に発表したという話題から。日本でも様々な意見があるようですが、米国でも多くの議論が巻き起こっているようです。SEO識者がTwitterで発言した様々な意見をサーチエンジンランドが記事にまとめてくれたのでご紹介。 — SEO Japan

https-browser2-ss-1920現在、SEO業界では、Googleの最新のランキングシグナル — 「SSL証明書の利用が、検索ランキングにプラスに働く件」が大きな注目を集めている(因みに、ウェブホスティング業界も騒然としている)。Googleは、今のところ「とても軽いシグナル」だと指摘しているものの、Googleは、全てのウェブサイトのオーナーに、HTTPSへの切り替えを求めているため、時間の経過と共に強くなる可能性はある。 軽いかどうかは別として、検索マーケッター達は、今朝、このニュースにTwitter上で反応していた。以下に、私が気に入ったツイートを幾つか紹介していく。

ライアン・ジョーンズ
@RyanJones
ちなみに、現時点では、SSLに切り換えるよりも、大きなSEOのインパクトをもたらす取り組みは腐るほどある。

 

ビル・スラウスキ
@bill_slawski
SSLに切り換えたところで、サイトの情報は何も変わらない。HTTPSはランキングシグナルとして適切なのだろうか?

 

メリッサ・ファッチ
@SEOAware
命令に従順に従う私達を見て、Googleのスタッツは爆笑しているのではないだろうか?また、無理難題を突き付けてくるはずだ。

 

ベン・ホール
@Ben_Hall
Googleはドメインレジストラを作り、SEOに対して高額なSSLの利用を促し、そして、SSLを売り始めるかもしれない…。

 

サイラス・シェパード
@CyrusShepard
いい加減なGoogleオーサーシップの写真ではなく、SSLに投資しておくべきだった。

 

ジェニファー・スレッグ
@jenstar
「弊社のSSL証明書を使ってGoogleの検索ランキングを上げましょう」と謳う安全証明書の広告が、間もなく登場すると思う。

 

ローレン・ベイカー@lorenbaker
SSL証明書の業界に携わっていないことを、今日ほど悔やんだ日はない。

 

クリス・ギルクリスト
@hitreach
6月-9月のSSL証明書の売り上げは、恐ろしい勢いで増える気がする。

 

ダン・シルバー
@Dan_Silber
今日から新しいSEOサービスを提供します!それはSSLの導入です。有名なウェブホスト会社でSSLの導入に5年間携わった経験があります。これで確実に上位にランクインすることが可能です!

 

ジョン・ヘンショー
@RavenJon
SSL万歳!

レイ・ホフマン
@sugarrae
@RavenJon GoogleがSSLを奨励するなら、サイトを「動かした」と考慮されることなく、サイトを切り換えられるようにしてもらいたい。

 

バリー・シュワルツ
@rustybrick
SSLのサイトのランキングをGoogleが贔屓することに、何かネガティブ/デメリットはあるのだろうか?

デレク・エドモンド
@DerekEdmond
@rustybrick 小さな会社の経費が増えるだけだ。また、Eコマースサイトを運営している人を除き、SSLが何を必要としているのか、ほとんどの人が理解していない。

 

インゴ・ボウサ
@supaswag
Google様へ たった今SSLを導入しましたが、まだ「cheap plumber in Shfeffield」で1位を獲得していません。一体、これはどういうことでしょうか?

 

HTTPSと、もう一度言ってみろ
アレイダ・ソリス
@aleyda
そろそろ、やめてもらえませんか?ヨロシク:) RT @dejanseo #https

了解した。そろそろお開きにしよう。いや、もう1点だけ紹介させて欲しい。

マイケル・グレイ
@graywolf
$ssl_start = “Aug 2014″) {$seo_flag = true};

 


この記事は、Search Engine Landに掲載された「SEO Industry Tweets Its Reactions To Google’s SSL Ranking Boost」を翻訳した内容です。

どちらかといえば、というか全体的に否定的な意見が多いですね。お金の勝負になりかねませんし、運用者の負荷を無駄に増やすだけの気もしますが。意図的なリンクSEOの費用負荷を増やすメリットはあるかもですが、総合的に考えるとどうなのでしょう。もちろん、ランキング決定要素の1つにしかすぎませんし、そこまで気にする必要がないといえばないかもしれませんが、SEO激戦区では仮にどこかのサイトが SSL全面採用で順位が高い場合、他の競合大手が仕方なくSSL採用を行わざるえない、というようなケースも発生してくるかもしれません。そう考えると検索エンジンの影響力って怖いですね。。。しかし誰かのツイートにもありますが、今後はSSLの販売トークで「SEOに効果的!」なんて言葉が踊るのでしょうか。 — SEO Japan

SEO業者はこうして会社をつぶした


前回のエントリーSEO業者はこうして倒産したが珍しくバズったので、性懲りもなくまたSEO業者をテーマとした小説を書いてみるのだ。
まあ、今回はバズらず懲りることになるのだろう。と予め予防線を張っておくのである。

今回は結構長くて読みにくいのでPDF版を準備した。
こちらからダウンロードできるのでお使いくださいませ


「私は全然ITのことは素人なので、御社を信じてお任せしますのでよろしくお願いします。」

私の年齢の倍はあるだろう榎戸社長は私に向かって深々と頭を下げた。

「私も経験不足なのでいろいろ教えてください。」

倉橋さんという若い女性がこれまでは店舗運営兼任であったがWebの選任になることになったそうだ。

「はい、ご期待に必ずお応えできるように致します。」
「SEOコンサルタントってすごいですね。SEOって全然わからないんです。色々教えてください」
「はい。」

実はほんの半年前まで投資用マンションの電話営業をしていたので、SEOのことなんかよくわからないのである。すいませんという感じだ。

3人コンサルタントと名乗る担当者がいるのだが主業務は営業である。

Aがテレアポをする。
アポが取れると、AとBが同行してお客様の会社に行く。
Aは営業部、BはSEOコンサルタントの名刺を出す。

Bがテレアポをした場合はこの逆に
Bは営業部、AはSEOコンサルタントの名刺を出す。

といったあんばいだ。
コンサルタントの役目の人がテレアポをしているとなると説得力がないので、わざとテレアポした担当者と別の担当者を連れていくという仕組みにしているわけだ。

実際はうちの会社にコンサルタントと言えるほどのスキルのあるコンサルタントはいない。

私は半年前まで投資用不動産の営業、
飯岡は1年前まで俳優を目指していて、
佐倉はこれまた1年ほど前までキャバクラの店員、

といったあんばいである。
半年ほど前まではSEO事業を立ち上げたコンサルタントの日向という奴がいたのだが、現在退職してユーザー側の会社でSEO担当者として働いているらしい。いわゆるインハウスSEO担当者というやつだ。

その彼が抜けた穴を埋めることはいまだにできていない。
SEOを教える人がそもそもいない。
我々3人で勉強会などもやったこともあったが、たった2回やっただけでその後は立ち消えになった。

ひたすらテレアポをし、受注が取れたらもともとリンクを調達していたSEO業者に丸投げして、代理店マージンだけで食っているのである。

日向が退職したときにSEO事業をやめるという話もあった。
社長はじめ全員が上野を慰留したのだが、彼が退職の意思を曲げないので全員で「無責任だ!」と言って吊し上げた結果、その翌日から会社に来なくなってしまったのだ。

彼がいなくなってできることはテレアポしかなかったから、S社のコピー機でも売るかそれともN社の光回線あるいはS社の携帯電話のセールスでもやるか?と議論をしてみたが、まあそこそこ収益も上がっていたのでSEOで行くことになったのである。

上野はそんないきさつで退職したため、まったく引継ぎをしていなかった。
我々3人ではリンクを張ることすらできないので、前から付き合いのあったSEO業者、株式会社エイトタウン社と代理店契約を結んで営業を継続することになった。

飯岡がテレアポをして取った案件がこの榎戸社長の会社、榎戸商会である。
飯岡が営業役、私がコンサルタント役で客先に出向いたのだ。

アポが取れるのもまれだし、契約に至ることはことさらまれなので、とてもうれしかった。
固定給は月額16万5千円と低く、業績給がないととてもじゃないがやってられない。
1契約取れると、アポイントを取った営業担当者は15%、クロージングしたコンサルタント役の担当者は7.5%のマージンがすべての支払いについてもらえるのである。これがなければとうの昔に辞めている。

ぶっちゃけ言うと、エイトタウン社と直接契約したほうがよっぽどマシである。
このSEO業者は2ちゃんねるではむちゃくちゃ叩かれているように施策はひどいものだ。
そして、うちの会社が入ることで、値段もすごく高くなる。

SEO業者への月額支払に72.5%マージンを載せた金額が見積額だ。
もともとの価格自体は安かろう悪かろうという金額なのだが、当社が間に入ることで高く悪くwになってしまうのである。
72.5%という数字は半端に見えるが、当社が50%マージンを取り、担当社員の2名で合わせて22.5%のマージンがあるので、これを足すとこんなきりの悪い数字になるわけだ。

今回エイトタウン社からの見積は、日額成功報酬20,000円だった。
そんなわけで34,500円が当社からの見積額だ。ぼったくりである。

さて、話は元に戻る。
榎戸商会は自然素材の靴下を製造販売している会社である。
もともと自社で運営するショップで販売しており、乾燥肌やアトピーで困っている人を中心に根強いファンがいた。
2年ほど前からECショップを始めて、現在は月商300万円まで成長し黒字化したそうだ。

そんな矢先、ショップの入っていたビルが耐震性に問題があるということで、取り壊さなれればならないことになったらしい。
新しい店舗をオープンするのは多大な投資が必要なのでこの際店舗は作らずに、ECショップを主力にすることにしたそうだ。
そんな矢先我々の会社がSEOのテレアポをしたというナイスなタイミング。いわゆるラッキーってやつである。

倉橋さんは店舗の運営の合間にECサイトを軌道に乗せただけあって、清楚な中にも意思の強さを感じさせる女性だった。
ブログの更新は店舗が閉店してから行い、ソーシャルの運用は日中のお客さんが一人もいない時間にせっせとやったそうだ。ショップのFacebookページは「いいね!」が4000以上もついている。
これは彼女のアイコンのおかげもあったかもしれないが・・・。
自分もこの会社を担当できることがとても嬉しかった。

何としても成果を出さねば。

「靴下」

という超ビッグキーワードで上位表示すれば売れるはずだ。

「靴下という超ビッグキーワードを狙います」

彼女は一瞬口ごもって、

「それでいいのでしょうか?」

やっぱり靴下を売るECの店舗であれば「靴下」というキーワードを狙うべきだろう。

「これでいいんです。素人じゃ、こんなビッグキーワードを上位表示させることなんかできませんが、我々だったらできます。だから正解なんです。期待してください。」
「そういうものなんでしょうか・・・。わかりました。」
「まずは一点お願いがあります。」
「なんでしょうか。」
「Googleのウェブマスターツールは使ってますか?」
「はい。」
「であれば、ウェブマスターツールは削除してください。」
「いいんですか?」
「はい、GoogleはSEOを嫌います。ウェブマスターツールを入れていると、SEOしていることがGoogleに知られてしまいますので、まずは施策に入る前に消す必要があるんです。」
「そういうものですか。」

実はエイトタウン社から指示されているからそう言っているだけで、それが正しいのかどうかなど正直わからない。

「期待してますよ」

榎戸社長は最後にそう言って打ち合わせは終わった。

FTPのログイン情報をもらって会社に帰り、エイトタウン社にこれをメールで送った。
これでもうやることは基本的にない。

あとは月次の報告のタイミングで順位報告を送るだけだ。
でもしかし・・・。

意外に榎戸商会を再訪するタイミングは早く訪れた。

3週間後のことである。
エイトタウン社が、

「Facebookのいいね!の販売を開始したんですよ。
榎戸商会さんに順位の報告がてら、営業に行ってみませんか?」

という提案をしてきたのだった。
私はこれに一も二もなく賛成し、倉橋さんにアポを取った。

まずは、順位の報告だ。

「我々の施策の開始前は靴下というキーワードでの検索順位は89位でしたが、現在47位まで順調に上がってきました。」

「そうですか、さすがプロは違いますね。」
榎戸社長は上機嫌だった。
倉橋さんの表情を窺ってみたが、残念ながら何の表情もなかった。

「今回は一つ提案があります。Facebookページの「いいね!」を集める対策です。現在「いいね!」ですが約4000です。これを簡単に10倍にすることができます。」
「そうなんですか。それはすごいですね。今まで苦労してやっと4000集まったのですがそれが簡単に10倍になるってことですね。さすが専門業者ですね。」
「まあ、プロですから。」

倉橋さんは言いにくそうな表情をしていたが、

「すいません、今の4000のいいね!ですが、いいねして下さった方は私の会社のファンの方で、多くの方が買ってくださっています。増やしていただくのはいいのですが実際に購入につながるのでしょうか?」

そんなこと分からんわ。
どうなんだろう?

「もちろんです。ファンが増えるわけなので購入数も増えますよ。」

あーあ、言っちゃった・・・。
わからないし仕方がない。
エイトタウン社の営業を連れてきた方がよかったなぁ。

「そうですか。」

何となく彼女は釈然としない表情をしていたが、この日は40000いいね!を200万円で販売するという話が榎戸社長とまとまった。
200万円の7.5%が、15万円がマージンとして入るので来月の給料はだいぶ太いはずなのだが、浮かない気分だった。

まあ、契約を取った時に浮かない気分なのはいつものことなのだが、今回は特にそうだった。

それから約3週間後のある日、電話が鳴った。倉橋さんからだった。

「すいません。靴下ってキーワードだけではなくて、そのほかのキーワードも検索に表示されなくなってしまったのですが。」

まずい・・・。

「調査を行いますので、またご連絡します。」

エイトタウン社に急いで連絡する。

「そうですか。おそらくは一時的な下落だと思います。」
「御社の施策のためということはありませんか?」
「当社のリンクは品質が高いのでその可能性はまずありません。もし、リンクペナルティだとすれば他のSEO業者のリンクが影響しているのではないですか?」

そんなことはない。榎戸商会がSEO業者に依頼をしたのは今回が初めてのはずだ。

「それはないはずですが・・・」
「確かめてみましたか?」
「確かめてはいませんけど・・・」
「確かめなければ何とも言えないんじゃないですか?」
「ではどうやって確かめるんですか?」

エイトタウン社の担当者は少しの間沈黙して、

「しばらくして順位が回復しなかったらよその業者がやっていたということになるってことですね。」
「????」
「あとは契約していなかった場合でも、ネガティブSEOっていって同業者が競合サイトの順位を下げるために、品質の悪いリンクを付ける場合があるんです。その可能性が高いですね。」
「同業者から妨害を受けている可能性があるってことですか?」
「うちのリンクが原因ってことはありえないですから、それしかないでしょう。」

他の案件でも下落した例はいくつもあった。
それは全てエイトタウン社の責任ではないのか?

「過去にもいくつか下落した例ありましたよね。それも御社の施策が原因ではないっていうことですか?」
「そうです!そんなことを言われるのは心外です。リンクは正しくつければ絶対にペナルティにはならないんですよ。」

毎回この手の説明を受けてもなんだか納得がいかない。

「ネガティブSEOだったとしたらどうするんですか?」
「当社のペナルティ回復サービスというサービスがあります。圏外に飛んでしまったキーワードが圏内に戻ってきたらその時点で課金発生です。」

通常ならばこの手の問い合わせは電話でのらりくらり何とかかわすのだが、この説明をしに榎戸商会に行った。
この日は社長は他の用事で不在だったので倉橋さんに聞いたままの説明をした。

彼女はあからさまに不快そうな表情をした。

「うちの会社で今までSEO業者を使ったことはありません。またネガティブSEOなんてうちみたいな小さい会社に対してそんなことをする同業者がいるとも思えませんが。」
「まあ、これはあくまでも可能性であって、自然に順位が戻ることが普通なのでいったん様子を見てみましょう。」
「順位戻るのが普通ですか?」
「はい。」

実際は順位が戻ったことはほとんどない。
今まで順位が圏外に飛んだケースは15件ほどあったが、回復したケースは4件しかない。
回復したケースでも元の順位までは戻っていない。

こう言いながら実に苦しいのである。

「検索経由での売上げがほとんどなくなってしまいました。日額7万円ぐらいはあったのですが1万円を切ってしまいました。すぐに戻ってくれないと本当にまずいです。」
「わかりました。」

そう言いながら重い鉛を飲み下したような陰鬱な気分になったのである。
帰社してからエイトタウン社に何とかして回復してほしい旨を話してみたもののの、彼らもなんだかしみじみしなくて暖簾に腕押しという感じであった。

彼らは個々の案件が課金できなかったとしても、トータルでは3割ぐらいの案件で課金できているから儲かっているはずである。
上がらなければ「ハイ、次!」って感じでいいのだろうが一人一人の顧客としてはそれが全てなのだからたまったもんじゃない。

そして悪い時には悪いことが重なるものである。

数日後、今度は榎戸社長から電話があった。

「あのFacebookのいいね!なんだが御社にお願いしたことが原因だと思うのですが、まずいことになっているので相談させてくれませんか?」
「どうしたんですか?」
「いいね!を金で買っただろという書き込みがFacebookにたくさん書き込まれてしまっているんです。」
「・・・」
「Facebookからつながっていたお客さんが買ってくれなくなってしまいました。」
「・・・」
「検索経由の売上も激減してしまってますね。」
「・・・」
「うちの会社ほとんど売上なくなってしまいました。どうすればいいのでしょう?」
「・・・何とか早急に考えてみます。」

エイトタウン社にペナルティ回復サービスを無料でやってくれと電話をしたのだが、それは無理だと言われてしまった。
当社でこの金額を負担できないか?という話をしたのだが、社長にはやはり却下されてしまった。

「榎戸商会って君の取引先だよね。自分で何とかしなよ。」

ペナルティ回復サービスの成功報酬は75万円であった。
こんな金額個人で払えるわけもない。
なんとかならないか・・・。

エイトタウン社を訪問した。
当社の担当者は特に決まっていないらしく、平井主任という営業担当が応対することになった。
平井主任は年齢は30歳ぐらいに見えるが、入社して間もないらしくあまり詳しいことはわからないらしい。
しかし、

「ペナルティ回復サービスは無料では提供はできません。」

しかしきっぱりと言い切った。

「ペナルティ回復する場合は、我々のリンクも含めていったんすべて外さないといけないです。そうしたら我々課金できなくなってしまうじゃないですか?我々はタダ働きですか?」
「でも榎戸商会さんに多大な迷惑が掛かっているんですよ。どうするんですか?」
「それは別に我々の責任ではありません。」
「本当に御社の責任はないのですか?」
「ないですね。我々の施策のせいでペナルティになったという証拠でもあるのですか?」
「せめて、Facebookのいいね!の返金だけでもできませんかね。」
「なぜ返金しなきゃいけないんですか?我々は契約通り40000いいね!を集めました。なのに文句を言われる筋合いはありませんよ。契約書をちゃんと読んで下さい。」

遠慮も何もあったものではない。
結局交渉にも何もならなかった。

榎戸商会からの電話がそれから何度かあったが居留守を使い、メールは全て無視した。
電話口では相当なやり取りが毎回あったようなのだが、のらりくらりとかわしているようだった。

1ヶ月程やり過ごしたある日、被った損害について賠償して欲しいという旨の内容証明郵便が届いた。

社長にこれを見せたところ、

「そんなもん、法的効力なんてないから放置でいいわ。それよりも営業して。」

内容証明郵便の内容は読んでいると胸が苦しくなる内容だった。
売上がほとんどなくなり、ソーシャルネットワークで築いてきた信用も失い、このままでは近いうちに廃業せねばならなくなることが切々と綴られていた。

内容証明も無視して、数日後榎戸社長と倉橋さんがアポなしで事務所にやってきた。

私は居留守を決め込もうと思ったのだが、社長から、

「お前のクライアントだろ。何とかしろ。」

と言われてしまい、逃げ道はなかった。

「どうしてくれるんですか?」

榎戸社長の口調は穏やかだったが、もう逃がさないという覚悟があった。

「すいません。」
「謝らなくてもいいです。どうしてくれるんですかときいているのです。」
「どうにもできません。」
「どうにもできないって御社がやっていることですよね。自分で何とかできないんですか?」
「実はうちは何もやってないんです。うちは代理店でSEOを売っているだけなんです。」
「じゃあ、販売元に何とかしてもらってください。」
「販売元には掛け合ってみました。でもどうにもなりませんでした。本当にすいません。」

「・・・私たちを騙したんですね。」

倉橋さんの言葉は私の心臓を鋭く貫いた。

「私たちが愚かだったのが悪かったのでしょうか。」
「いや、君はもともとSEO業者に依頼することに反対だった。私のミスだ。私が不勉強だったせいだ・・・。しかし、私は君たちを許さない。」
「どうするのでしょうか?」
「君たちにできることは我々の被った損害を賠償することだけだ。賠償しないなら訴訟に訴える。」

ミーティングから解放されて顛末を社長に報告した。

「訴訟になっても別に問題ない、契約書は完璧だから。うちには一切支払いの義務はない。まあ、あんなちっぽけな会社だから訴訟なんてできるわけがない。」

しかし・・・。

「私たちを騙したんですね。」

この言葉が頭の中をグルグルまわっている。
本当は騙したくなんかなかった。

私は会社を退職した。

その3か月後、榎本商会のECショップのページは消滅し、それからほどなくしてどっかのSEO業者のバックリンクのサイトに変わっていた。

『HTTPSをSEOで優遇』 SSL化を推奨するアルゴリズム導入をGoogleが公式発表

昨日、SEOやWeb周りの方々が少しざわめいておりました。話題となっているのがこちらです。

Google ウェブマスター向け公式ブログ: HTTPS をランキング シグナルに使用します

本件につきましてはきっと多くの方からお問い合わせを頂くことが増えるでしょう、ということが明確ですので、あらかじめ記事にまとめさせて頂く次第でございます。

Q: まず、これは一体何の話ですか?

概要としては、SSL化されたWebサイトをSEOの評価として優遇します(=HTTPSであることが、SEO上のプラスになります)、といったものです。

こうした方針を検討している、という旨をGoogleが初めて発表したのが2014年の初頭に行われたイベントにおいてでした。( 参考:Google、安全なSSL導入サイトの検索順位を優遇したい? 実現は難しそうだが・・・ SMX West 2014 )

関係者の間では、当時から変わらず導入の賛否は分かれているように見えます。どちらかというとサイト全体へのSSL対応についても慎重派がマジョリティな印象です

Q: 影響度はどれくらいあるのですか?

冒頭のGoogleの公式記事をそのまま拝借しますが、

全体的に見ると、このシグナルは良質なコンテンツであるといった、その他のシグナルほどウェイトは大きくありません。HTTPS は、優れたユーザー エクスペリエンスを生み出す多くの要素のうちの 1 つです。

 
ということですのでそこまで大げさなものではなく、実際に公式にも検索の全体のうち1%未満にしか影響しません、と言っていますので、数字だけ見れば、決して日常的な変動に比べて「とても大きな変動」という規模ではありません。ですが、

これから長い期間をかけて強化していきます。

 
とあるように、これからどの程度この流れが加速していくかについては不明です。今すぐに導入せずとも、いずれどこかのタイミングで検討するかもしれない、ということは頭の片隅に置いておいて良いでしょう。

Q: この件について、何か懸念事項はありますか?

例えば、規模にもよりますが導入コストはもちろんですが、SEO的な課題では、URLが変更する問題(全て正しくHTTPSに評価を引き継げるか?とか正規化処理ミスは発生しないか?など)が一般的な問題でしょう。そのほかにも、関係者の皆さんの意見として色々あがっておりまして、

とか、同じくリファラー関連の話では

などの懸念も早速上がっていたり。direct増えるというのは確かに解析を専門としている人にとっては結構厄介な話でしょうね。また、

とか、同じような切り口で

とかっていう、無責任な提案も増えそうで(しかもそのとおりになってしまう事案が本当に多そうで)怖いなというのも思います。更に、

これはもう過去にもありましたし本当に色々想像に難くないのですが、「Googleも公認、SEOに絶大な効果」的な宣伝文句でSSL証明書が販売されるということが絶対にあるでしょうね。

結果としてセキュアなWebサイトが増えるというのは悪いことではないのかもしれませんが、きちんとした意味や背景を理解した上で導入するのと、間違った認識で導入するのではやはり意味は違うかなと思います。

Q: なぜGoogleがSSL化されたHTTPSを優遇するのですか?

基本的に、Googleは「ユーザーがより良質なコンテンツに到達できるように」を基本として検索アルゴリズムを改良しています。

しかし、HTTPSであるかどうかはコンテンツの内容そのものの改善ではなく、通信環境の問題です。少なくとも大部分のユーザーが普段から求めていることではないでしょう。

では、これをなぜGoogleがSSL化を大々的に推奨し、ランキングにまで反映させるのか?というのは実際僕もそんなに腑に落ちていないこともありました。が、

と言えば確かにそれなりに納得できますね。また、

サイト運営会社はグーグルの検索結果で上位に入りたいと考えている。このため、グーグルは検索アルゴリズムで開発者の慣行を促進したり阻止したりできる。例えば、読み込みの遅いサイトは検索結果で不利な扱いを受ける一方、質の高いサイトは上位に表示される。

( 引用元:グーグル、検索結果で暗号化サイトを優遇 「HTTPS」増加を期待 )

 
とあるように、インターネット全体をSSL化の動きに促進するのであれば、Googleが自らのランキングアルゴリズムへの反映というのはサイト管理者の大きなモチベーションになりうる、という理屈も理解できます。

Q: この動きに対して、どう対応するべきですか?

SSL化することで検索結果においてどれだけ優位になるのか?が不明確なこと(少なくとも今は微小)、その中でコストやリスクを負うことになるというのはあまり手放しで推奨しにくいものです。

個人的な見解としては、皆さんがこぞって「SEOの目的で」ワサワサと導入する必要はないんじゃないでしょうかとは思っています。

ですので僕からは現時点では積極提案することはありませんが、いやいや、でもせっかくだからこれを期にSSL化しようよ!という意向であればそれはGoogleも本意でしょうし早速導入されて良いと思います。ただしURL引き継ぎの処理などに漏れのないよう、慎重に進められることをお勧めします。

読み返してみたら引用だらけですみません。また追加情報などございましたら追記いたします。

※8/8追記

こちらにより具体的なQ&Aが紹介されています。
HTTPからHTTPSへの移行で出てきた質問に回答 | 海外SEO情報ブログ

HTTPS をランキング シグナルに使用します

セキュリティは Google の最優先事項です。Google は、デフォルトで強力な HTTPS 暗号化を導入するなど、業界でも最先端のセキュリティを Google サービスに導入することに力を注いでいます。これにより、たとえば Google 検索、Gmail、Google ドライブを使用しているユーザーは自動的に、Google に安全に接続することができます。

Google は、Google のサービスだけにとどまらず、より広い範囲でインターネットを安全に利用できるように取り組んでいます。そこで大きな割合を占めているのは、ユーザーが Google から安全なサイトにアクセスできるようにすることです。たとえば、Google ではウェブマスター向けにハッキングの対策や修正方法について詳しい情報を提供するサイトを作成しました。

Google ではさらにもう一歩踏み込んで、数か月前の Google I/O では、「HTTPS everywhere」をウェブで提唱しました。

また、ますます多くのウェブマスターが HTTPS(HTTP over TLS / Transport Layer Security)を彼らのサイトに導入するようになってきています。これはとても心強いことです。

こうした理由から、Google では過去数か月にわたり、Google のランキング アルゴリズムでのシグナルとして、暗号化された安全な接続をサイトで使用しているかを考慮に入れたテストを実施してきました。この実験ではよい結果が得られているため、ユーザーがもっと安全にサイトを閲覧できるよう、すべてのサイト所有者の皆様に HTTP から HTTPS への切り替えをおすすめしたいと考えています。


Google は、みなさんがより簡単に TLS を導入し、よくある失敗を避けられるように、今後数週間のうちに詳細なベスト プラクティスを公開する予定です。開始にあたって、以下の基本的なヒントもご確認ください。
  • 必要な証明書タイプを決定します: シングル、マルチ ドメイン、ワイルド カード
  • < 2048 bit の証明書を使用します
  • 同じ安全なドメイン上にあるリソースには相対 URL を使用します
  • 他のすべてのドメインにはプロトコル相対 URL を使用します
  • サイトのアドレスの変更方法について詳しくは、サイト移転に関するヘルプ記事をご覧ください
  • robots.txt を使用して HTTPS サイトへのクロールをブロックしないでください
  • 可能な限り検索エンジンがページをインデックス登録できるようにします。Noindex メタタグの使用は避けます。
サイトが既に HTTPS で配信されている場合は、Qualys Lab ツールを使用してウェブサイトのセキュリティ レベルと設定をテストできます。TLS とサイト パフォーマンスについて不安がある場合は、「Is TLS fast yet?」(英語)をご覧ください。また、ご質問やご不明な点がある場合は、ウェブマスター ヘルプ フォーラムでお尋ねください。

このランキングの変更は、グローバルでクエリの 1% 未満にしか影響しませんが、これから長い期間をかけて強化していきます。全体的に見ると、このシグナルは良質なコンテンツであるといった、その他のシグナルほどウェイトは大きくありません。HTTPS は、優れたユーザー エクスペリエンスを生み出す多くの要素のうちの 1 つです。

今後、より多くのウェブサイトで HTTPS が使用されることを期待しています。ウェブの安全性をさらに強化しましょう。

高知県が1位!都道府県別愛妻家ランキング(インフォグラフィック)

結婚相手は出身地で見極める!?今回は楽天ウェディングが公開したインフォグラフィックをご紹介します。あなたの出身地の愛妻家ランキングが何位か探してみては? — SEO Japan

都道府県別 愛妻家ランキング
※画像をクリックすると「楽天ウェディング」のサイトに飛び、全体をご覧いただけます。

インフォグラフィックを見ると、結婚したら一人の人を長く愛せる「愛妻家」が多い都道府県は、1位の高知県(71.4%)を筆頭に、大きな赤いハートは西日本に多い傾向があることがわかります。一方、東日本には小さな青いハートが多く、少し寂しい結果に。

愛妻家ランキング1位の高知県の男性からは、「結婚して幸せだと思うことが多い」という結婚に対するポジティブな声が聞こえてくる反面、「出世したくない」人も全国1位。だれが結婚に適しているかどうかは、結婚相手に何を望むかによっても変わってくるのかもしれません。

結婚したら一人の人を長く愛せる 都道府県別愛妻家ランキング(楽天ウェディング)
※本インフォグラフィックは弊社がデザインをお手伝いさせて頂きました。

秋田県(41位)、富山県(36位)は「愛妻家」が少ない県にランクインしていますが、厚生労働省が発表した「平成24年都道府県別の離婚率」によると、離婚率が低い都道府県の上位に入っているので、この結果と併せて見ても面白いかもしれません。– SEO Japan

台風とコロッケの怪しい関係をインフォグラフィックで解明!?

台風が近づくとTwitterや2ちゃんねるなど、ネット上で「コロッケ」が話題に上ること、ご存知でしたか?きっかけは2001年の2ちゃんねる台風実況スレッド「念のため、コロッケを16個買ってきました。」という書き込みからと言われています。台風とコロッケの怪しい関係とは!?グルメ情報サイト「ぐるなび」が公開したインフォグラフィックをご紹介します。 — SEO Japan

台風とコロッケの怪しい関係
台風とコロッケの怪しい関係※画像をクリックすると「ぐるなび」のサイトに飛び、全体をご覧いただけます。

インフォグラフィックでは、ネット発祥の「台風の日にはコロッケを食べる」文化(?)について解説しています。ぐるなび検索キーワード「コロッケ」の検索数をみてみると、実際に台風の接近に合わせて「コロッケ」の検索数が上昇しているように見えますが・・・。検索数の上下にはいろんな要因があるので一つの参考として見て頂ければ。

その他にも、沖縄の台風食「ヒラヤーチー」や、1日の摂取カロリーに到達するコロッケの数、台風接近時の体調不良の正体など、台風に関するお役立ち情報も紹介されています。

台風とコロッケの怪しい関係

台風とコロッケの怪しい関係?:インフォグラフィックでコロッケと台風の関係を調べてみた(ぐるなび)
※本インフォグラフィックは弊社がデザインをお手伝いさせて頂きました。

10年以上も前からネット上では「台風の日にはコロッケを食べる」文化が広がっていたんですね。これから9月まで台風シーズンと言われていますが、気象情報はもちろん、コロッケ情報についても気にしてみると話しのネタになるかもです。– SEO Japan

【リサーチ】2014年の夏休みに使う平均予算、1万円アップ(昨年比)

消費税8%に増税後、初の夏休み。消費税増税は、夏休みの過ごし方にどんな影響を与えているのでしょうか?弊社がリサーチをお手伝いさせて頂いた「2014年の夏休みの過ごし方」についてご紹介します。 — SEO Japan

あなたは、夏休みをどう過ごしますか?
2014年の夏休みに使う平均予算まずは、社会人300名を対象に「夏休みの過ごし方」についてリサーチ。理想の過ごし方の第1位は「海外旅行」ですが、現実ではトップ5にもランクインしていないという残念な結果に。現実には「帰省」が第1位になりましたが、理想の過ごし方になると第4位に下がっていることから、理想と現実ではかなりギャップがあるようです。

夏休みの過ごし方の「理想」と「現実」
夏休みの過ごし方の「理想」と「現実」夏休みの平均予算については、昨年よりも1万円アップの「4.9万円」との結果に!平均日数には大きな変化はないので、消費税アップを見通した上で、予算に余裕を持たせているようです。また、理想の予算の平均は「10.6万円」ということから、「現実の2倍の予算があればいいのに・・」という本音がうかがえます。

消費税の増税は、夏休みの計画を立てる時期や、使える予算などに少なからず影響しているようです。より詳細な調査結果は【Harmoney.jp】「2014年の夏休み、平均予算が1万円アップ!?消費税増税の影響はいかに」のページをご覧ください。

詳細な調査結果からは、消費税アップの対処法として、今年は近場で行楽地をえらぶ、予算を数万円多く見積もる、などの工夫がみられます。今年の夏休み、あなたは消費税アップの影響を感じていますか?– SEO Japan

ライターに「良いコンテンツ」を書いてもらうために必要なこと

昨日に引き続き、寺田です。改めて語るまでもありませんが、コンテンツマーケティングだとかオウンドメディアといった言葉がバズワード的に流行しているように、コンテンツにどのような戦略的役割を持たせるか?はみなさんにとっても大きな課題となっていることでしょう。

しかし一方で、コンテンツの制作量が増えるほど「書いてほしかった原稿とイメージが違うかも?」「なんか、このコンテンツ…微妙。」といった、制作するライター側と依頼するディレクター側の間でズレが生じる機会も増えていきます。

コンテンツ制作の現場で日々起こりうるそのようなズレをなるべく少なくし、より良い文章を書いてもらうためにはどうしたら良いのでしょうか? 雑誌制作を10年以上続けてきた経験から「良い文章をライターに書いてもらうための方法」をみなさんと一緒に考えてみたいと思います。

人によって「良い文章」の定義が違う

意外と見落としがちですが、文章ほど人の好みが出るものは無いかもしれません。

ある意味、料理の味付けに通じるところがあります。ラーメンとかわかりやすいですね。「あそこの店のコッテリ感がたまらない」「いやいや、こっちの店は麺と絡んで…」といったように、“味覚”は人によって左右されます。文章も近いものがあります。

それでも一般的には、下記のような文章が「良い文章」の最低限を満たしていると言えるのではないでしょうか。

  • 読みやすい
  • わかりやすい
  • 読み手に伝わる

作家の井上ひさしは、

「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、ゆかいなことをいっそうゆかいに」

と、座右の銘を語ったといいます。なんかイメージはできますね。

でも、ここで「日本語」について考え始めてしまうと、どれだけ時間があっても足りません。結論を言うと、100%発注者のイメージ通りという文章は発注者が自分で書かない限りは世の中に存在しません(想像以上という、うれしい場合はけっこうあります)。

例えば、上の文章を

「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く、面白いことを真面目に、真面目なことを愉快に、愉快なことをいっそう愉快に」

と漢字に変えてみたらどうでしょう?

パッと見て意味がわかりやすくなったと思いますが、なんだか堅い印象になってしまいましたね。同じことを書いていても文章は文体や語彙で雰囲気がけっこう変わってしまうものなのです。

つまり、文体や語彙など文章表現のレベルで「良い文章」は定義できないのです。

大事なことは文章表現よりも文章構成

話を少しビジネスの方に戻すと、Webコンテンツで重要視すべきことはターゲットユーザーに何を伝えられるか、彼らにどう行動してほしいのかという部分です。

コンテンツマーケティングで語られるように、多くのコンテンツはユーザーごとに異なる不安や需要を満足させるためのものであり、大切なことはその文章によってどれだけの「気づき」があったかという点です。

これは表現に左右される部分もありますが、それよりも何が書かれているか論理的に筋が通っているかという文章構成によって決まります。つまり、大切なことは文章のネタ(材料)です。

やってはいけない依頼方法の代表例:「とりあえず書いてみて」

ところで、これをやったら必ずライターに嫌われるという発注方法があります。

それは「とりあえず書いてみて。それに修正の指示を入れていくから」というもの。こう言われてしまうと、ライター側としても「どうせ修正されるんだから…」と100%のエネルギーを注ぎにくくなります。

そもそも「とりあえず書いて」と言われても、何を書いてほしいのかわからないですしね。必然的に納品されるコンテンツのクオリティも下がります。地雷担当者とライターの間で繰り広げられる会話というのは、だいたいこんな感じでしょう。

発注者 :とりあえずテーマは” ○○○”で書いてみて。それに修正の指示を入れていくから
ライター:はーい。わかりましたー。(どうせ修正されるんだから、サクッと書こうっと)
発注者 :コレじゃないんだよなぁ。修正。もっとユーザーを意識した原稿に…と。よし。
ライター:ユーザーって…何をどう書けって言うんだよ!? (たぶん、こういうことだろう)
発注者 :うーん。微妙だなぁ。このへんとか書き直してもらおうかー。
ライター:うわっ! 直した意味ないじゃん! もう言われた通りの仕事しかしない! 送信!!
発注者 :もらった原稿、ユーザーを意識した原稿になってないけど?
ライター:いや、指示通りユーザーを意識して書きましたよ!
発注者 :いやいや。ユーザーってさぁ

不毛ですね。デスマーチ一直線です。さすがにここまで極端なケースは少ないと思いますが、ここでの問題点はライターと担当者、どちらも①ターゲットユーザーと、②伝えたいこと(気づいてほしいこと)の認識共有ができていないという部分にあります。

書いてみてから気づきましたが、これはライティングだけではなく、Webデザインなども全く同じことが言える気がしますね。

重要なのは依頼の事後よりも事前

「後始末より前始末」という言葉があります。これはトラブルやクレームになった後始末よりも、そうならないための事前準備をしっかりと行うことで仕事の効率化をはかった方が、結果として成果もあがりますよねという考え方です。

Webライティングにおいては少なくとも、以下の4項目は事前に共有した上で、ライターに書き始めてもらうことが大切です。

  • ターゲットユーザー
  • 伝えたいこと(気づいてほしいこと)
  • 競合他社と差別化したい(特筆したい)点
  • 上記を満たしたうえでの文章の着地点

例えば、弊社では、コンテンツ制作の際、事前にクライアントからヒアリングした内容を元にライターへ制作指示を出します。

上記の4項目はもちろん、全体でだいたい20~30項目ほどになるでしょうか。それらをディレクターが理解した上でヒアリングシートと呼ぶ製作依頼書にまとめ、ライターと打ち合わせて制作業務に入ります。

弊社は社内にライターを抱えているので、クライアントが抱える課題やサイト全体のコンテンツ戦略など依頼の背景についても顔を合わせて話をしながら、互いのイメージをすり合わせることができます。(弊社のサービスページにそれらしき図があったのでそのまま持ってきました)。

社内でワチャワチャやってあれこれやりとりしてようやく記事が納品できます

一見、ライティング業務以外に比重を置き過ぎているように思えるかもしれませんが、実はこのすり合わせこそが、文章構成(材料)だけではなく文章表現(味付け)まで含めた仕上がりの質を向上させることに大きく影響します。

例えば、あなたがもしクラウドソーシングなど外部ライターに制作を依頼する場合でも、できるだけ「文章にした依頼」と「口頭での説明」を併用することをおすすめします。

特に初めて一緒に仕事をする場合は、人によって「良い文章」の考え方は大きく異なります。例えば電話1本、数分だけ言葉を交わすことでも互いに見落としていた部分に気づけ、「後始末」に必要な時間を数十分単位で少なくすることができるはずです。

ライターのスキルを最大化するには?

ライターは機械ではありません。どれほどベテランのライターであっても、感情を害されれば納品物の質が下がることはあっても上がることはあまり期待できませんね。

逆に気持ちよく仕事に取り組んでもらうことで、期待以上の働きをしてくれる可能性も高まります。では、ライターに気持よく仕事をしてもらうためにディレクターが今すぐできることとは何でしょう?

  1. 最初に1~2記事を書いてもらって、互いの理解が共有できているかを確認する
  2. ズレていると感じた場合、どこがどのように違うのか具体的に修正依頼する
  3. 細かい表現についてはライターに任せる
  4. 原稿が納品されたら早めにチェック、遅くとも翌日には返す
  5. 返した原稿の修正点について電話でもいいので簡単に話す

書き出してしまえば珍しいことではないですね。メールと一緒で、早めに返事をもらえると人間誰しもうれしいものです。(5)まで当然のようにできれば、たとえ修正が多くなってしまってもライターはよろこんで次の仕事の相談に応じてくれるはずです

ライターは「育てる」意識が重要

雑誌制作の現場においては、ライターは編集者と個人の結びつきが強い存在です。お互いに「育てた(育ててもらった)」という、ある種の職人的な関係性があるからでしょうか。

これは「良い文章」という主観的な成果物を制作するための、ある意味で効率的な仕組みなのかもしれません。Webコンテンツは紙媒体に比べて単価や制作時間が軽くなる傾向があるためか、ライターとディレクターの関係もその場限りになってしまいがちです。

しかし今後企業サイトのオウンドメディア化が普及すると、コンテンツの差別化をはかるためには、より専門性の高い、或いは他と違う視点で作られた、など”他にはない”コンテンツが必要となります。その時に頼りとすべきライターチームがいるかいないかは、サイト運営戦略のキーポイントになりそうです。

チルチルとミチルではありませんが、良い文章を書いてもらうためにはまず自分のまわりを見渡してみることが大事かもしれません。一朝一夕で実現できることではありませんが、ぜひこの機会にライターとの関係を考えてみてはいかがでしょうか。

ライターさん、随時募集してます

ライターの方、弊社で一緒に仕事をしませんか?ご興味ありましたら是非ご連絡下さい。経験やスキルに応じて、ライティング、校正、編集、取材、様々なお仕事があります(結構、あります)。Webライティング実績のある方は特に大歓迎です。

詳細:Webライター(メディアライター) | 採用情報 |ヴォラーレ株式会社

コンテンツは誰のため?何のため?コンテンツマーケティングを成果に導く5つの質問

コンテンツ制作チームの寺田です。前回、コンテンツマーケティングに関してWebと雑誌という業界の違いに着目した記事を書かせてもらいましたが、多くの方から反響をいただき「コンテンツマーケティング」に対する皆さんの関心の高さを改めて実感しています。

そこで今回は、コンテンツマーケティングの思考にもとづくコンテンツ拡充策で間違ってしまいがちな5つのポイントを取り上げつつ、価値あるWebコンテンツについてより深く考えていきましょう。

コンテンツマーケティングを成果に導くための5つの質問

1. そのコンテンツは誰のために書いている?
2. そのコンテンツは何のために書いている?
3. そのコンテンツはビジネス上の成果につながる?
4. どこでユーザーとコンテンツは接点を持つ?
5. 上記を踏まえて、運営できる体制は整っている?

1. そのコンテンツは誰のために書いている?

SNSでは毎日のように「ホントっ!?」という記事やニュースがシェアされています。いわゆるバズるというやつですが、サイト運営やメディア展開に不慣れな方が話題性を重視して同じようなことを企画しても必ずと言っていいほど成果につながりません。

個人的に大好きな「前田建設ファンタジー営業部」というコンテンツがあります。ご存知の方も多いと思いますが、これはゼネコン大手の前田建設さんが、架空の部署のストーリーとしてサイト上に立ち上げた「ファンタジー営業部」の苦闘が描かれています。

前田建設ファンタジー営業部
URL: http://www.maeda.co.jp/fantasy/

例えば、宇宙戦艦ヤマトの発進準備に必要な基地建造を前田建設が行うとしたらどのように実現するのか? といったような奇想天外なプロジェクトがとても具体的に紹介されています。

企画も文章も非常にクオリティが高い、良質なコンテンツとなっていますが「じゃあ、ウチの商品を同じように空想ネタで…」みたいなことを考えても、絶対にうまくいきません。

仮にキャッチ感のある写真やインパクトあるタイトルコピーで瞬間的に目を引くことはできたとしても、それはあくまで一時的なこと。多くは商品を購入する「お客さん」にならず、「一見さん」で終わってしまいます

まず大事なことは「誰のためにコンテンツがあるのか?」ということ。あなたのサイトが本当に仲良くなりたい(なるべき)ターゲットユーザーに、伝えたい内容が届くかどうかです。

2.そのコンテンツは何のために書いている?

上記と関連性の高い内容ですが、目的が明確でないコンテンツを量産してもターゲットユーザーには届きません。

届くか届かないかは単純にコンテンツひとつひとつのクオリティという問題もあるかもしれませんが、むしろ表面的な文章の品質よりも重要なのは「何のためのコンテンツなのか?」、つまり「何を伝えたいか(=ユーザーに気づいて欲しいか?)」という視点です。

前述した「ファンタジー営業部」の記事を読んでいただければ気づくと思いますが、プロジェクトが奇想天外な反面、実現するための手段は驚くほど現実的に受け取れます。「こんなことが出来るのか!」と、素人ながらに感心してしまいます。

私はダムを作るわけでもビルを建てるわけでもありませんので前田建設のターゲットユーザーではありませんが、意図は伝わっていますし、ド素人の私ですら、このコンテンツをきっかけに企業に興味を持ち、結果として好感を持っていとことは間違いありません。

3. そのコンテンツはビジネス上の成果につながる?

「これからはリンクじゃなくてコンテンツ」という文脈でホワイトハットSEOやコンテンツSEOが語られる際に、わりとありがちな話なのかもしれません。

ただ「コンテンツマーケティング」とか「コンテンツSEO」なるものを、「コンテンツをたくさん作ること」と勘違いしていると、期待するような効果はまったく得られないでしょう。必要なのは、ビジネス上の成果につながるかどうか? という視点です。

上で述べたように、ターゲットユーザーへサイトの魅力を伝えて「お客さん」になってもらうためにはいくつかのプロセスが必要です。「必要だから今すぐ買いたい!」というユーザーにしても「何でもいいから売ってくれ!」というわけではないですし。

当たり前ですが、商品の魅力を的確に伝えて「これなら悩みが解決できる!」とユーザーが納得してもらわないと購入にはつながりません。その商品が必要かどうか、自分の悩みを明確に理解していないユーザーにはなおさらですね。

参考:“ホワイトハットSEOが上手くいかない”という人へのアドバイス

4. どこでユーザーとコンテンツは接点を持つ?

先に述べた3つと比べると、これは若干テクニカルな領域です。コンテンツ戦略として、どのターゲットユーザーとどこで出会うか?は意識しておく必要があります。

それがFacebookなどSNSを流入経路に設定するコンテンツであれば、目を留めたくなるような写真は必須でしょう。シェアや拡散もされやすくなります。また検索や広告を流入チャネルに設定するのであれば、当然キーワードに応じたコンテンツマップも考えておくべきです。

大事なことは、これらのマップが何かしらの形で用意された上で、関係者の共通認識のもとでコンテンツ制作がスタートできるということです。

全体の事前設計を描いた上で、例えば最新事例を取り上げたコラム記事で外部リンク獲得やソーシャル拡散を狙い、独自ノウハウを盛り込んだQ&A記事は検索キーワードから、期間限定キャンペーンLPはリスティング広告で効果的なキーワードを、といった感じで各コンテンツの流入経路までを決めておく必要があります。

5. 上記を踏まえて、運営できる体制は整っている?

身も蓋もないのですが、上記の1~4を満たしてコンテンツマップを事前に描いていても狙い通りの成果があがるとは限りません。作ることと平行して、定めた目標に対する効果検証を行っていくような体制づくりも重要なポイントです。

この点で誤解を恐れずに言えば、大事なことは以下の2つだけです。

・コンテンツを書くのは誰か?
・コンテンツの解析と戦略を行うのは誰か?

手を動かす人と、頭を動かす人が必要ということです。小さなサイトやブログであれば担当者1人でも両方カバーできるでしょうが、ある程度の事業規模が必要な場合は、それぞれに専門の人間を置いた方が効率的です。内部リソースに限りがあるのであれば外部の協力者に一部業務を委託することも検討しても良いとは思いますが、ただし丸投げは禁物です。

まとめ

どれほどコンテンツの中身が素晴らしいものでも、それが検索流入に反映されたりやユーザー認知が高まるまではある程度の時間がどうしてもかかります。

「成功の秘訣は、成功するまで続けることだ」という名言もありますが、根気よく世の中に対して価値ある情報を発信していくことはエネルギーが必要です。

ただ、おそらく最後までこの文章にお付き合いいただいたあなたのサイトには、何かしら他にはない魅力を持った商品やサービスがあるはずです。その1点をまずは明確にして、競合他社には出来ないようなコンテンツを考えることから始めてみてはいかがでしょうか?

戦略のあるコンテンツは必ず資産としてサイトの中で効果を発揮し続け、中長期的に相当な投資対効果をもたらしてくれます。

サイトの成果に不満がある、またはコンテンツマーケティングにもとづくサイト運営を導入しようと考えている方は、ぜひ冒頭の5つの質問を投げかけてみてはいかがでしょうか。

なお、弊社でもコンテンツ戦略と関連したSEOコンサルティングコンテンツ作成支援サービスなどサイト運営のサポートを行っています。何かお困りの際にはぜひお気軽にご相談ください。

図解1分でわかるシリーズ「富士山一周どこまで行ける?」(インフォグラフィック)

「フジヤマNAVI」が連載している「図解1分でわかる富士山」シリーズ第六弾が公開されました。富士山一周した場合、223(フジサン)分でどこまでたどり着けるかを試算したインフォグラフィックをご紹介します。あなたなら何で富士山一周にチャレンジしますか?徒歩?自転車?それとも乗馬!? — SEO Japan

223分(フジサン)で富士山一周どこまで行ける?
解1分でわかるシリーズ「223分(フジサン)でどこまで行ける?」(インフォグラフィック)※画像をクリックすると「フジヤマNAVI」のサイトに飛び、全体をご覧いただけます。

徒歩、セグウェイ、乗馬、自転車、車、ヘリコプターで富士山を一周した場合、223分でそれぞれどこまでたどり着けるのでしょうか?また、それぞれの到着地点でどんな景色が広がっているのかも気になるところです。

徒歩で富士山を一周した場合、河口湖付近を出発し、223分で18km地点、山中湖付近までたどり着きます。自転車の場合、日本最大級のアウトレットモールがある「御殿場」、「富士サファリパーク」、遊園地「ぐりんぱ」、ミニサーキット「白糸スピードランド」、日本の滝百選にも選ばれた「白糸の滝」を通り過ぎ、日本最大級のフライトエリア「スカイ朝霧」までたどり着くことができます。車やヘリコプターなら、ゴール地点を通り過ぎて2周目に突入してしまうということですから、1日でまわれる観光スポットの範囲は案外広いのかもしれません。

実際には徒歩や馬などでは通ることができない道もありますので、あくまでもご参考までに。富士山周辺の観光スポットを気軽に巡る気分でお楽しみください。※ご通行の際は、実際の交通規制や現地の案内に従ってください。

図解 1分でわかる富士山 – インフォグラフィック | 富士山エリアの総合ガイド – フジヤマNAVI
※本インフォグラフィックは、弊社がデザインをお手伝いさせて頂きました。

富士山も山開きし、登山シーズンと言われる季節となりました。富士山周辺の観光スポットではツアーやイベントなど多数開催されています。次の休日、どこに行こうかな・・と迷っている方は、気になる場所をチェックしてみてはいかがでしょうか?– SEO Japan

SEOを知らないディレクターがビジネスをダメにする/Webディレクターズマニュアル中村健太氏インタビュー

唐突に始まった企画の対談モノですが反響次第では継続していくかもしれません。

ということで企画の第一弾として、Webディレクターズマニュアルの運営をはじめ、若手(?)Webディレクターとして幅広い活動をされていらっしゃる中村健太氏に、「WebディレクションとSEO」をテーマにお話頂きました。

自身の集客経験から、SEOの重要性を知る

土居:今日は「WebディレクションとSEO」というテーマでお話できればと思います。改めまして中村さん、本日はよろしくお願いします。

中村:はい、よろしくお願いします。

土居:さて、中村さんはWebディレクターの中でもかなりSEOにも精通しているイメージがあります。SEOは独学ですか?

中村:昔は個人でWebサイト作ってアフィリエイトをやっていた時期が何年間かありまして、その時にかなりSEOは勉強していました。今では通用しないような手法も結構やっていましたれどね(苦笑

やっぱりWebで集客しようとか考えていくと、何だかんだでSEOは絶対欠けてはいけないものなんですよね。ですから今でもサイトを作る時にはSEOどうしようっていうのは必ず考えていますし。

幸い、SEOに詳しい専門家の方も周りには多いですので、なるべく時代遅れにならないようにキャッチアップはするようにしています。

土居:なるほど、自分で実践していた時期があったんですね。納得です。

SEOはディレクターの必須スキル!でも知らない人が多すぎる

暗がりの中で肘を付き会話を進める中村市

中村:でも逆に言えば、SEOを知らないディレクター、SEOに興味すら持っていないディレクターが多すぎる、とも思っています。だってWebディレクターがSEOある程度知ってるとか普通のことだって思いますよ。

サイトを作る上で、検索からどうやって集客するのか?とか、どうやったらサイトが検索エンジンに評価されるのか、とか、全く知らないとか考えられないとかでサイト作っちゃったら、クライアントのビジネスをダメにしちゃうじゃないですか。

ディレクションって、突き詰めれば”Webビジネスをデザインすること”ですから。

だから、知ってて普通というか、ディレクターなら必須スキルだと思うんです。デザインとかHTMLとかCSSを知ってて当たり前なのと同じくらい。

土居:確かに、欲を言えば、皆さんもうちょっと最初から考えていただければなー、と思うことはありますね。あとは中途半端な知識で大胆なことをやってしまって取り返しつかなくなったりとか、、

ただ、個人的にはWebディレクターをやりながら、SEOの技術的な領域まで全てカバーするっていうのは至難の業だとは思うんですよね。というか誰にでも出来てしまうのであればもう僕いらないですし。

中村:それはそうですよね。ただ、「ここは詳しい人に相談しておいた方が良いな」とか、例えばそういうことが考えられるだけでも全然違うと思うんです。一番だめなのは、「SEOとか分からないしこれでいっか」みたいなのとか、そもそも最初から何も考えていないとか。

まずは、SEOが必要なのかどうなのか?どこに気をつけなければいけないのか?そういうことにちゃんと考えが及ぶこと。最初はそれが大事だと思います。

SEOとWeb制作と表裏一体

中村:逆に、土居さんから見てWebディレクターに対して何か文句言いたいことありますか?

土居:文句ってわけじゃないですけど、とりあえず、「サイト作って、そのあとSEOしましょう」みたいのをWebディレクターさんが普通に言わないで、とは思いますね(汗)

中村:あー、分かります。Webの制作とSEOを完全に別物だと思ってる、っていうことですよね?でもそこでいう”SEO”って、「昔のSEO会社が作った商品の名前」みたいな感じですよね。

土居:なるほど、まさしくそういうことですよね。そして僕も最初そうでしたし、今でも多くの人たちの中でのSEOって「SEOという名前の商品」なんですよね。

中村:Webサイトを作るときには、必ず最初に「情報設計」っていうのをきちんと考えるんです。どういうコンテンツを用意してそれぞれどう配置するか、とかそれぞれの事柄をどう表現するか、とかも全部含めて。サイトを設計する上で、SEOにも大きく関わる部分ですよね。

土居:まさしく。例えばSEOではサイトを作る前に”キーワードマッピング”みたいな作業をするんですけど、簡単に言えばこういう検索する人がこういうところに辿りつけるように、みたいな全体像ですね。それが、設計段階でのSEOでの肝のひとつになります。

コンテンツ増やすとかリンク増やすだけがSEOではないんですよね。

SEOはまだまだ世間的にはイメージ良くないと思う

若手ディレクターのエース中村氏と、顔よし頭よし性格よしと三拍子そろったイケメンSEOスペシャリスト土居が向い合って対談している風景

中村:僕個人としても、SEO会社さんとかに対してそこまで良いイメージは持っていない、というかぶっちゃけ今でも世間的にはまだまだイメージ悪いって思いますよね(苦笑)。僕もこれまで色んなSEO会社と付き合ってきて、何度か痛い目にあったこともありましたし。

ただ、だからこそ情報はどんどん発信していくべきだと思いますよ。本当はこういう内容ってWebに関わる皆が考えるべきことだと思いますし。

土居:コメントしづらいって言えばしづらいんですけどやっぱイメージは良くないんですね。ただ、僕も同感です。

業界のイメージ良くしよう!とか言うつもりはないですけど、本当はとても難易度の高いチャレンジングな業界で、頑張れば頑張るだけ価値を発揮できる市場だと思っていて、まだまだプレイヤー不足は否めないと思っています。

ですので、皆さんにもっとポジティブに興味をもって頂きたいなとは思いますね。

終わりに

土居:インタビューにご協力頂きありがとうございました。

中村さんは、去年には一躍有名になったWeb系メディアFindjob!Startupの編集長をされたり、Webディレクターズマニュアルという自身のサイトの運営をされていながら、日本ディレクション協会(通称:ディレ協)の会長とか、更に今はBITAという制作会社で受託制作のディレクションをやっていたりメディア運営をしていたりと、かなり幅広く活動されていますよね。

中村:はい、ご丁寧な紹介ありがとうございます。そんな感じで色々と活動していますね。今はBITA以外では、特にディレクション協会での活動に特に力を入れています。

そして最近はそんな中、本も出しまして。

現場のプロが教えるWebディレクションの最新常識 知らないと困るWebデザインの新ルール2 一戸健宏, 大串 肇, 合志建彦, 高瀬康次, 田口真行, 中村健太, 中村健太(日本ディレクション協会/株式会社ビットエー)

現場のプロが教えるWebディレクションの最新常識 知らないと困るWebデザインの新ルール2
著者:一戸健宏/大串 肇/合志建彦/高瀬康次/田口真行/中村健太
監修:中村健太

ナカムラは監修・執筆し、共著としてディレ協の主力ディレクターである高瀬さん、田口さんをはじめとして本当に優秀なディレクターの方々が参加した書籍で、是非皆さんに読んで頂きたい本です。SEOの話題にも一部触れていますので、このサイトの読者の方も是非是非。

土居:執筆に関わった皆さん個人的にも存じていますが、とにかく豪華なメンバーですね、、みなさんポチっといきましょう。中村さんありがとうございました。

あとがき

中村さんはたまにお仕事で一緒になったりしますが、企画、デザイン、HTML、マーケティング、アクセス解析、プログラミング、メディア運営、、とにかく守備範囲がものすごく広いし、それでいてそれぞれの領域について理解もかなり深いし、すごいなあと思っています。

とりあえず、僕個人としましては写真うつりはもう少し気にしてみようと思いました。

こんな感じの企画も少しずつ出していければと思いますので、出て頂ける方いましたら、宣伝告知なんでもOKですので是非お声かけ下さい。この企画が第一弾で終わらないことを祈ります。

UIやユーザビリティという問題とSEOは「別物」として切り離して考える

SEOの文脈で「検索エンジンではなく、ユーザー視点でサイトを作りましょう」ということがよく言われます。SEOの観点から話をするにあたり、果たして本当にそれで良いのでしょうか。

Googleが特に重視したいこと

もし、「ユーザー重視」がユーザーの検索体験の向上、であったり、ユーザーが検索に求める価値ある情報をコンテンツとして提供する、という意味でユーザーの視点を重視するべきという話であれば、そうした観点での改善は概ねSEOの改善につながりますので正解です。

しかし、同じようにユーザー視点でのサイト改善施策として括られる「ユーザビリティやUIの改善」などの施策が直接SEOに貢献するかといえばそれは決してそうとは言い切れません。少なくとも現時点では、これらはひとまずSEOとは別の改善施策として考えておく必要があります。

Googleが重視するのはあくまでユーザーが発見できる情報の質であり、また到達したサイトの仕様によりユーザーの検索体験を著しく損ねないことです。

言いかえれば、素晴らしいUIではなく、検索者にとって価値ある情報を検索結果で提示したい、その結果として、ユーザーの検索体験をより良いものにしたい、ということです。

UIやユーザビリティの改善≠SEOの改善

例えば、ユーザーテストを繰り返し実施したりアクセス解析をもとに課題を抽出して、よりユーザーがサイト内で迷わず目的を達成しやすいように変更する、ということは多くのWebサイトの改善施策として有効です。

では、そこで挙げられた改善項目はSEOにとってプラスになる改善なのか?といえば、必ずしもそうではありません。UIとかユーザビリティを重視してサイトを改善すれば自ずとSEOがよくなるほど今のGoogleは都合良くなってくれてはいません

従って、逆にSEOを少し妥協してでも全体の転換率を高めるかどうか、などの判断を求められる場合も多いでしょう。

例えば下図のように、自然検索流入が20%減少しても全体のコンバージョンが10%向上して総合的なROIが改善するのであればそちらを選択すべきですね、とかそういう世界です。

検索トラフィックが減ったとしても、広告やソーシャルメディア経由の流入をはじめ全体の目標達成率が改善し、結果として目標達成数が改善することはあり得る。

※さすがにここまで都合良く数字が動くわけではないにせよ、言いたいことのイメージとして。

ユーザビリティの改善がSEOの改善に繋がるケースも多くある

もちろんユーザビリティやUIの最適化を行うことで、それがSEOの改善に直結することは少なくありません。例えば、

  • ユーザーに不適切な転送設定がある
  • 実質的なコンテンツを持たず広告への橋渡ししかしていない
  • 広告表示量がページの情報量に対して異常に多い
  • ファーストビューの表示が著しく遅い
  • そのページのメインとなる情報の起点がファーストビューに存在しない

などの問題は、ユーザーの検索体験を大きく損ねる要因になるでしょう。ユーザビリティ上の問題だけではなく、検索順位に直接的に悪影響を与える可能性が高いため、SEOの観点でも改善すべきポイントと言えます。

また、これとは別に、検索者や彼らの検索行動を考慮した情報設計のもとでナビゲーションを変更するなどの施策でしたら、それは多くの場合にSEOに直結する改善施策になります。

SEOを考慮する上では、検索エンジンの制約が前提にある

しかし、今の検索結果で露出を高めるための最適化を行うということは、今の検索エンジンの性能などといった制限を考慮する必要があります。今のGoogleは昔に比べ進化したとは言え、人間と同様の情報処理が行えるわけではありません。

ですので、SEOという制約の中でサイトを考えるときには、やはりクローラビリティやインデクサビリティ、アクセシビリティなどへの考慮がまだまだ必要です。

具体的には、例えば大半のユーザーにとってはサイト利用上で不要かもしれない文章を用意したり、同様に不要なリンクナビゲーションを用意することがSEO上の改善に繋がる場合もあるのです。

モバイルファーストで作られたサービスのSEOの課題

こうした課題は、特にモバイルファーストで発進したWebサービスにおいては顕著に現れます。スマートフォン向けサービスにおけるサービス設計やUI設計においてSEO要件が優先的に考慮されるケースはまずありません。

文字情報やナビゲーションも、スマホUIを重視するのであれば操作性やコンテンツの視認性を考慮して「不要な情報をできるだけ削る」というステップを踏むのが一般的でしょう。

その要件を基準にサイトを作れば、必然的に検索エンジンがインデックスできる情報量や、クロールできるURLについても制限されることになります。

最近ではよく「スマホ版のコンテンツをとりあえずそのままデスクトップ版に拡張しました」というサイトを見ることがありますが、上記のような理由でSEOには不利になります。

スマートフォン端末を優先した情報設計を行うサイトが増えても、Googleのインデックスは依然としてデスクトップを前提として形成されているという実情が、このギャップを更に広げている気がしなくもありません。そしてそれは検索者の都合を考慮すれば自然なスタンスだと思います。

これはインターネットにおける情報探索行動が年々スマートフォンに移行していく中で、モバイルファーストで作られたWebサービスの普及が進むにつれよりいっそう顕著な課題となるでしょう。

どこまでSEOを重視するか

サービスの内容によっては、上手にUIやユーザビリティとの妥協点を見つけ、デスクトップ版とスマホ版、アプリ版などでUIとSEO要件のバランスのとれた設計をすることが可能と思いますが、そうではないケースも多々あります。

では、そういうケースではSEOに取り組む必要がないのか?といえば決してそうではありません。

そのあたりの線引きは、「この情報は(ユーザー視点で見た時に)検索結果に載るべきか?載る必要はないか?」で考えるべきです。テキスト情報があるか、ないか、とかそういう事実だけで判断するべきではありません。

検索結果に載るべき情報(=他にない付加価値を持っている情報)なのであれば、コストの許容する限り&サービスを損ねない要件においてSEOを考慮するべきと思います。

「テキスト情報が少なすぎてこれでは何とも、、」などのことも勿論あるでしょうが、それでも保持しているデータと情報そのものの性質を元に、持っている情報をページの情報やリンクナビゲーションにどのように反映させるかを考えるだけでも、改善させることはできると思います。

まとめ

いろいろなSEO系の記事のコメント欄を見て、「SEOじゃなくてユーザー視点でサイトを作ることだけ考えれば良いのに」的なコメントもちょくちょく見かけますが、検索エンジンという特殊なプラットフォームの制限を無視することは今の段階ではオススメできません。

SEO要件を考慮せずあえて無視する、が功を奏することもあるでしょうが、ある程度の知識と判断材料なしにその判断をするのであれば、それは単に検索流入を放棄することになりかねませんので、注意してください。

お知らせ

しきりにSEOの話をしてきましたが、最近、サイト改善ソリューションとしてユーザビリティ改善に特化したサイト改善サービスの強化にも力を入れています(実はユーザーテストルームなんていう専用部屋とかアイトラッキングシステムなんてものもオフィスに存在していたりします)。

その流れで、そちら系のテーマでの話題での勉強会なども行いますので、SEOだけではなくこういうところでも皆さまの支援を出来ればと思います。SEOの会社としては珍しい方向性かもしれませんが、この人たち珍しいなと思って是非お越しください。

詳細:【初心者向け】サイトパフォーマンス向上の為のユーザビリティ改善セミナー
※残席少ししかないみたいなのでお早めにお願いします。

SEO業者はこうして倒産した


これはフィクションであり、登場人物や出来事はすべて架空のものであることをあらかじめお断りしておきますなのである。

住太陽氏がSEOの寓話という面白い記事を書いていたので、自分もSEOについてフィクションを書いてみたくなったのだ。

とは言え、私の話は住氏と違って役に立ちませんけどね。


「すいません、2週間後にはお支払いします。」

綾瀬は電話口で、見えぬ誰かに向かって頭を下げていた。
彼女は私が入社した頃からすでに経理担当の役員だった。
私が入社したころはいつも真新しいルイヴィトンのバッグを持って、かかとが10㎝はあろうかというハイヒールを履いて出勤していた。

しかし、最近は融資の依頼のために金融機関を回るのでかかとのないローファーで毎日出勤しているし、地味なノーブランドのビジネスバッグである。

「はい、大丈夫です。ご迷惑かけて申し訳ありません。・・・では失礼します。」

追い打ちをかけるようにまた電話が鳴る。

また電話口で彼女が謝っている。
今日は月初日なのだ。
うちの会社の支払いサイトは月末締めの翌月末支払である。
今回は心なしかそれ程でもないのだが、毎月この日の彼女は辛そうだ。

私は机に座って受話器を手に取って躊躇する。
テレアポは嫌なのだ。

そもそも自分は営業で入社したのではなかったし・・・。
テレアポなんかすることになるのならSEO会社に入社なんかしなければよかったと後悔することしきりである。

電話が鳴ったので取る。
テレアポするよりマシなのでちょっとだけほっとする。

「もしもし金町不動産です。お世話になってます。佐久間取締役いらっしゃいますか?」

見まわしてみるとさっきまでいたのにいなくなっていた。

「綾瀬はいま席を外しているのですが」
「そうですか、先月の家賃いつ払ってもらえるかわかります?」
「申し訳ございません、私ではわかりかねるのですが・・・。」
「じゃあ、伝えてもらえます?その事務所の大家さん、御社の事務所の家賃で食ってるのね。大家さんの奥さんは人工透析で大変なんですよ。
 御社からの家賃が入らないととっても困るんです。他の支払いを後にしても家賃は先に払って欲しいんですよね。」

「はあ、お伝えしておきます・・・」

確かに大家さんも大変だろうけど、自分も給料が欲しい。
今月も給料は遅配で、10日遅れで半分だけ支給されたが残りはいつ支給されることやらである。

綾瀬が戻ってきたので、電話のことを伝えた。

「そうよね。私も分かってるんだけどね。でもねえ。お金ないのよ。私だってね、役員報酬ろくにもらってないんだから。もう会社に300万も貸してるのよ。」

一応伝えましたって感じであるが、これじゃあ難しいかも知れんな。

テレアポに戻る。

「はい、当社のSEOは絶対順位が上がります。ホワイトハットという安全な手法を取っているので大丈夫です・・・」

今日もアポが取れない。
ガチャ切りである。

前であれば電話が終わってすぐにかけていたが最近はやる気が出ないので、意味もなくGRCを眺めて気を紛らわせている。
しかしまあ、どれもこれも上がってないわw

電話が鳴る。

「羽鳥商店ですけど、お宅に頼んでたキーワードなんだけどさ、まったく検索に出なくなっちゃったんだけどどうしたの?」

またこれか・・・。確認するまでもないがGRCを確認するとやはり圏外に飛んでいる。

「それですね。一時的な下落だと思いますので、あともうしばらくお待ちいただけますか?」

何とかとりあえず事なきを得た。

また別の電話。

「あのさ、待てって言われたから2ヶ月待ってみたんだけどさ、全然順位回復しないよ。どうして?」
「アルゴリズムが変わった影響なんです。当社としても対策をしてますので。」
「おたくさぁ、成功報酬より月額固定の方が得だからお勧めですよって言ったじゃん。でも全然上がらないよね。詐欺だと思うんだけど。」
「すいません、何とかしますので・・・」

私も本当は成功報酬のほうがクレームにならなくていいと思う。
自分だって好きで月額固定を勧めたわけではない。

「上がらないから固定報酬にするんだよ。」

と社長から押し付けられたからである。

ペンギンアップデートの前から上位表示の勝率はすでに下がりまくっていて、課金できるキーワードは2割を切っていた。そして、アップデートを境にして壊滅的に順位が下がり課金できるキーワードは1割を切るまで低下した。

4割ぐらいのキーワードは圏外に飛んだ。
本当であればうちの会社のSEOなんかやらない方がいいと言いたいのが本音である。
この業界の中でも評判が悪い某社や某社や某社のリンクの方がうちよりマシだ。

「何とかするってどうするの?」
「優良なリンクを徐々につけていますのでそのうち回復すると思います。」
「いつ回復するの?」
「あと1ヶ月ぐらいお待ちいただけますか。」
「あんた先月も同じこと言ったよね!」

回復なんかするわけないってわかってる。
何もしてないし。
回復してくれないかなって祈っているだけだ。

「いいよ。もう解約するから!」
「でもまだ御社の場合はまだ3ヶ月契約が残っておりますので・・・」
「なんだよ。まだ払えっていうのか。ふざけんなよ。お前じゃ話にならん。社長を出せ社長を。」
「社長はあいにく不在でございまして。申し訳ございません。」
「いつだったらいるんだよ。」
「さあ、わかりません。」
「わからないって何なんだよ!」

本当にわからないのである。
最近はほとんど会社に来ていない。ふらっと会社に現れて、いつの間にか消えているのである。

「申し訳ありませんが、わかりません。」
「何なんだお前の会社は」

電話は切れた。良かった。

とりあえずインスタントコーヒーを淹れて飲んで一息つく。
テレアポしたくないのでGRCを見ながら気分を紛らわす。

騙しであることは最初は抵抗感があったが慣れた。しかし、受注が取れたとしてもクレームになるだけだからモチベーションが上がるわけもない。

ではなんで辞めないのか?

事務所にいるのは綾瀬と私だけ。
最後の施策担当者も辞めてしまって施策ができるのは、もともと営業担当だった私しか残っていないからである。

いや、それは違うな。

一番社員が多かったころは20人以上いたのだが、大量離脱事件があったり、その後も櫛の歯が欠けるように少しづつ社員が減っていって社員で残っているのは私だけ。
営業部長といえば聞こえはいいが部下は誰もいないし、手取り給与23万で部長って切なくて笑える。むしろ、役付ではない時の方がずっともらっていた。徐々に給料は下がっていき、部長職を拝命した時には入社前より給与が下がったのである。

でも、いまだに私がこの会社にいる理由は・・・

また電話が鳴った。よく電話が鳴る日である。

珍しいことに社長だった。

「今持っているドメインやブログ売却することになったから、ログイン情報まとめて俺にメールしておいて。」

はい?って感じである。

「え?廃業するんですか?」
「違うよ。今の被リンク上がらないだろ。よそからマシなリンクを買うことにしたんだよ。そうすりゃあ、もうちっと課金できるんじゃないか?」
「そうかもしれませんね。」

どこにそんな金があるんだよ。
そもそもこんな腐ったリンク買うやついるのか?

色々疑問ではあったがまとめて社長にメールした。

そんなこんなでろくすっぽテレアポもしないうちに昼休みの時間になった。

「友部さん、もう上がってもいいわよ。」
「え?まだ昼ですけど。」

「社長からは黙っていろって言われたんだけど言っとくね。
実はね、この会社今日で終わりなの。今まで本当にお疲れ様。

残りの給料も退職金も払えないから、事務所にあるもので欲しいものあったら好きに持って帰って。」

いつか来るとは思っていたが、それが今日とは。
ある日会社に出勤したら、会社の中のものがすっからかんになっているとか、借金取りが押し寄せているといったドラマチックな出来事を少し期待していたので、少し肩透かしを食らった感じだ。

欲しい物か・・・。ここにあるパソコンやサーバーってもう5年ぐらい前のものだし、ページプリンタもメンテナンスしてないからかすれて汚れた横筋が印刷される代物だ。

欲しい物か。
綾瀬がずっと世話をしていた机の上の小さなサボテンの鉢植えは可憐な花を咲かせていた。

「これもらっていいですか?」
「え、これが欲しいの?」
「はい。」
「べつにいいけど。」
「ありがとうございます。」

「友部さんはこれから大変だよね。どうもしてあげられなくてごめんなさいね。」
「綾瀬さんはどうするんですか?」
「再来月結婚するの。」
「マジですか?」
「マジです。」
「おめでとうございます。」
「ありがとう。」

私はもう来ることのない事務所を後にして、貯金もないしなぁ、手に職もないしなぁ、綾瀬さん結婚しちゃうんだぁとか色々な想いが去来しては、消えることなく頭の中をぐるぐると渦巻いた。

「全部終わった」

自分で自分に言い聞かせるようにそう呟いたのである。

当社のSEO事業の組織運営体制や今後の事業方針などについて

土居です。先日弊社代表の高橋のブログにおいて、弊社のSEO事業について言及する記事がありましたので、事業側としてもこのタイミングで、現時点の事業運営の中身について、或いは今後の事業方針についてなどを補足させていただきたいと思います。

※正式な組織上の事業名は「Webコンサルティング事業」であり、社内では略して「WebC」などと称されている事業部ですが、この記事では簡便のため「SEO事業」として説明していきます。

事業部の組織体制について

事業部としては30名ほどの組織で、そのうちお客様にコンサルティングに直接関わるメンバーは20名ほどです。

コンサルティングチーム

メインでお客様と関わる部隊としてコンサルティングチームが存在しており、それは3つのグループに分かれています。それぞれ総合職6~8名程度で構成されており、14年度入社新卒から社歴7年のベテラン、中途入社メンバーまで幅広いメンバーが所属しています。

それぞれのグループにはグループマネージャー、サブマネージャーが1名ずつ配置されています。大型のプロジェクトや難易度の高いSEOには必ずこのラインのメンバーが関わることになります。社内で開催しているセミナー講師なども担当しています。

また、3つのグループとは独立してチーム横断で提案支援や技術監修を行うベテランメンバーが数名おり、進捗状況や成果状況、難易度に応じてプロジェクトに参加します。

コンテンツ制作チーム

コンサルティングチームとは別に、コンテンツ企画・制作チーム(内製)があります。チーム管理者やディレクター、ライターなどで構成されております。お客様のサイトに掲載するコンテンツ制作のお手伝いや、コンテンツの企画、ディレクション、品質管理など全て内製で行っております。

技術開発チーム

またバックエンドの技術支援として弊社開発室の技術者によって構成されるSEOチームがあります。現在は事業の中心となる管理システムの構築・メンテナンスや、各種SEO業務支援ツールの開発を行っており、今は今後一般向けに公開予定のインハウスSEO支援ツールなどの開発に従事しております。

サポート、営業支援

アルバイトスタッフ含めた6名からなるサポートチームがあり、コンサルティングチームの業務推進やデータ管理などを行っています。他で1名、リード獲得のためのプロモーションを監修しています。

管理

それらを総合して私が監修を行っており、顧客獲得やアライアンス関連などの責任者が別におります。最近受注の調子が良くて活き活きしていると社内では評判です。

現場のSEOスキルについて

グループマネージャーやサブマネージャー、一部の一般メンバーは僕がずっとSEOのスキル教育を行ってきました。現時点のレベルとしては、サービスの性質としてよほどイレギュラーなものでなければ彼らの独自でほぼ間違いのない実装提案が出来ます。また、僕なんかよりも圧倒的に場数を踏んでいますので細かい知識まで含めれば僕が知らないようなことも結構知っていたりします。

最近、僕が関わることなく彼ら自身がリニューアルプロジェクトに関わらせて頂いたサイトをいくつか改めて見ていましたが、細かいところの実装まできちんと配慮されていて、僕が見て何ら文句のない仕上がりになっていてちょっと感動しました。

その他のメンバーは彼らのアシスタント業務をやりつつ、高難易度でないプロジェクトの担当などをグループマネージャー監修のもと手がけています。

その中には弊社への内定者としてインターンとして業務に関わっているメンバーが数名おり、学業の傍ら、既にWebやSEOのトレーニングを一定以上積んでいます。彼らが入社する頃には、少なくとも検索エンジンに関する話や基礎的なSEOの話は特に間違いなく出来るというレベルにはなっているはずです。

教育・育成について

ここ数年はここでとても苦労してきました。特にこの1年はお前らどんだけ研修とかグループワークやってんだとツッコミを入れたくなるくらいそこに注力しています。

リンクを使うのであればリンクを付加価値としてお金を頂けます。僕らはリンクを使わないことにしましたので、それ以外で特別な価値を出さなければなりませんが、それを事業として組織的に行っていくことは、とても大変なことだと実感しています。

育成方針

組織がある程度大きくなると、「顧客窓口は君たち」「SEOのリサーチや提案は君たち」「アクセス解析は君たち」などとどんどん分業が進みがちです。そちらの方が教育面でも実務運用面でも圧倒的に効率良くなるためです。

弊社は今のところ「とりあえずみんな全部出来るようになって」です。はっきり言って無茶苦茶です。効率は悪いし時間もかかります。自由度が高すぎて個人の管理もしづらいです。ルール化や標準化を進めにくく、かつ属人的です。

とは思っていましたが、腰据えてやってみると意外にみんな育つものだなあと実感。僕も含めて、まだまだ成長過程ではあるのですが、広く与えることでしか得られないものは多いのでしょうね。

弊社が本当に恵まれているなと思っているのは、数年かけて勉強して一人前と呼べるレベルになった人材の離脱が皆無だったことです。事業部を異動したり職種転向した人間も数名いますが、とにかく社内にいることが大きいです。これがなければ大きな転換はスキル的な問題でやり切れなかったと思います。

育成カリキュラム

関わる全ての知識を高レベルに理解することなどよほどの天才でなければ絶対無理だと思います。仮に知識が追いついたとして実体験なき知識では現場で戦えません。なぜなら知識とは基本的には理想形をベースに体系化されますが、全てが理想的に運用できるケースなどほとんど存在しないためです。

現在は3カ月タームで7つの分野での基本研修カリキュラムを組みワークショップや座学研修、実務研修、事例研究などを行っています。全員が一気に全分野の学習をするなど不可能ですから、得意分野や興味の強い分野から優先的に研修を進めています。

その他、開発室メンバーから技術研修を受けたりなどの機会も別途あります。

ただし本当に知識がノウハウとして身につくのはOJTでの実務経験をどこまで積み、成功体験を蓄積できたかに尽きます。お勉強だけ出来てもダメなわけです。

プロジェクト運用体制について

プロジェクト規模の大きさや難易度によって様々ですが、プロジェクト毎にアシスタント含め3~5名の担当者をアサインし、リサーチや提案、レポーティングなど分担して行うのが一般的です。

本当はもう少し小回り利くように少人数にも出来るのですが、どうしてもSEOの提案クオリティは担当者に依存しがちで、弊社においては能力も個人の能力に依存しがちですので、個人への依存度を下げる、という意味でこのようなスタイルを採用しています。

採用活動について

絶賛募集中です。中途採用についても随時受け付けております。新卒採用につきましては短期インターン、長期インターン含め随時募集しております。

もし一緒にやりたいという人いたらご連絡ください。→ヴォラーレ採用サイト

営業活動について

事業部全体の活動の中で、顧客獲得活動にかけている時間比率はどちらかと言えば少ない方だと思います。新規受注、という優先度は現状ではそこまで比重高くしておりませんが今後の組織の成長に伴い少しずつ拡大していく予定です。

基本的な顧客獲得活動

既存のお客様やお付き合いのある企業様からの追加注文やご紹介、サイトへのお問い合わせが比率としては大半です。次に挙げるセミナーを通じてのご依頼もありますが、そこまで割合としては大きくありません。

セミナー活動

セミナーにお越し頂いてその後に直接お客様として発注を頂けるケースはそんなに多くはありません。多くの企業様と情報発信を通じて接点をもっておきたい、自分たちのことを知っていただきたいというのが主目的です。

もちろんビジネス上の目的としては営業活動に一切反映させないわけにはいけませんので、「へー悪くないね」と思って頂いた暁にはどこかのタイミングで仕事を頂ける、或いは周囲の方が困っていたらご紹介頂けるととても嬉しいです。

セミナー終了後にゴリゴリ営業かけまくるんじゃないの、みたいな心配をされる方は多くいらっしゃいますが、それはもともと営業リソースを豊富に有している会社が出来ることで、それは弊社では出来ません。

電話営業

現在、弊社には「営業部」的な役割の部署がありませんので基本的には行っておりません。

過去に接触させて頂いた企業様への「最近いかがですか」的な電話アプローチをするほか、通常業務中に目に止まった「これSEOもっと頑張れるでしょ」と激しく思ったサイトの運営企業様にプッシュ型の営業をさせて頂くケースが稀にあります。

とは言えここ最近の平均事業部全体での総コール数が月間100件とかでしたので、実質ほとんどの企業様にはないと思われます。弊社からのプッシュ営業がありましたら是非心優しくアポを頂けますと幸いです。

やっていないのは電話営業が嫌いとかダメだとかそういう意味ではなく、その時間を教育側に投資したいというのが主な意図です。

今後の事業が目指す方向性について

ある程度、市況や組織状況の変化に柔軟な組織運営をしていこうと思いますが、基本的には大幅な売上シェア拡大!年々200%の急激成長!などというものを主目的に据えることはありません。組織的に無理の発生しない程度に、ただし堅実な売上成長を目指します。

企業としての売上比率は徐々にインターネットメディア事業や今後発足するであろう新たな事業に”相対的に”移っていくことになる予定です。

事業としては、売上というもの以上に、自分たちのソリューションを更に深堀りしつつ徐々に拡張し、より多くの企業様のWebの課題をもっと高いレベルで解決できる組織を目指しています。

単に技術的な視点でのSEOのアドバイザリーにとどまらず、大局でのSEO戦略設計、コンテンツマーケティング支援、アクセス解析に基づくサイト改善、ユーザーテストに基づくUI改善、広告運用支援などの周辺領域にも、ノウハウを蓄積しながら徐々に手を広げていきます。

まとめ

長くなりましたが、1年後や2年後には今よりも更に強いソリューションを提供できているイメージしか湧きませんので、今後共ご期待頂けますと幸いです。

robots.txt ファイルのテストが簡単になりました

クロールするべきか、しないべきか、それが robots.txt の問題です。

正しい robots.txt ファイルを作成して維持することは、ときに難しい場合もあります。ほとんどの場合はそうではありませんが(そもそも robots.txt ファイルを必要としないサイトも多くあります)、大きな robots.txt ファイル内で個々の URL をブロックしている(またはブロックしていた)指定を見つけることは、難しい作業となる場合もあるでしょう。そこで、robots.txt ファイルの編集を容易にするために、このたび、新しい robots.txt テスターを発表いたします。

新しいテスターは、ウェブマスター ツールの [クロール] セクションにあります:


ここでは、現在の robots.txt ファイルの確認、および URL のクロールがブロックされているかどうかのテストを行うことができます。複雑な指定をわかりやすくするため、最終的に決定に使われた箇所がハイライト表示されます。ファイルに変更を加えてテストを行うこともできます。変更を有効にするには、変更したファイルをサーバーにアップロードしてください。Google のデベロッパー サイトでは、robots.txt の指定とファイルの処理方法について詳しく説明しています (英語)。

また、古いバージョンの robots.txt を確認したり、サーバー側の問題によってクロールがブロックされている状況を確認したりすることもできます。たとえば、robots.txt ファイルが Googlebot に対して 500 サーバー エラーを返している場合、通常そのサイトのクロールは一時停止されます。

既存のサイトでエラーや警告が表示される可能性もあるため、robots.txt ファイルをよく確認することをおすすめします。また、robots.txt テスターをウェブマスター ツールの他の機能と組み合わせることも可能です。たとえば、新しい Fetch as Google を使用してウェブサイトの重要なページをレンダリングした際、ブロックされた URL が見つかったら、robots.txt テスターを使って、その URL をブロックしている指定を見つけて修正することができます。CSS、JavaScript、モバイル コンテンツをブロックする古い robots.txt ファイルが原因で問題が発生することはしばしばありますので、そのような問題は、修正すべき箇所がわかれば簡単に修正できます。

今回更新したツールを使うことで robots.txt のテストとメンテナンスが容易になれば幸いです。何かご不明な点がある場合や、robots.txt の指定の作成についてアドバイスが欲しい場合などは、ぜひウェブマスター ヘルプ フォーラムをご利用ください。

Social Media Marketing World 2014で学んだコンテンツマーケティングの極意

米国で毎年開催されているソーシャルメディアマーケティングの一大カンファレンス「Social Media Marketing World」。サーチ関連のイベントでも今日の最重要項目の一つとして取り上げられるコンテンツマーケティングですが、ソーシャルメディアマーケティングのイベントでも多く語られたようで。。参加した筆者がまとめてくれた最新のソーシャルメディア&コンテンツマーケティングの活用方法を。 — SEO Japan

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Social Media Marketing World 2014は、豊富な情報、とりわけ、コンテンツマーケッターが重宝する情報を惜しげもなく与えていた。 このイベントに登場したプレゼンター達は、Facebookのページに多額の資金を投じたものの、コンテンツの1%しかニュースフィードに自然に表示されていない点に気づいた会社に言及し、「借地で事業を営む」行為を回避するべきだと主張し、その一方で、良質なコンテンツに力を入れる必要性を力説していた。

このイベントが開催された2日間、ブライアン・ブーと私は、コンテンツマーケティングの分野、そして、コンテンツを作り、宣伝し、整備する企業に関連すると考えた分野のセッションで、取材を行った(残念ながら、全てのセッションを網羅しているわけでない)。それでは、以下に、実用性と有効性を考慮して抽出した、特に大事な部分を挙げていく。

2014年のソーシャルメディアマーケティグの概要: 最新の調査結果が明らかにする事実

Social Media Marketing World、および、Social Media Examinerの設立者、マイケル・ステルツナー氏が、先頭を切って登場し、前進する上で考慮してもらいたい興味深いスタッツと事実を明らかにした。

  • マーケッターの68%は、デジタルマーケティグ戦略で中心的な役割を担うのはブログだと答えた。コンテンツは土台であり、ソーシャルメディア、Eメール、そして、自然な検索は、推進力をもたらすチャンネルである。
  • マーケッターが、学ぶことを望むプラットフォームの中で一番人気が高かったのは、Google+であった。調査の回答者の65%が、優先順位の1位にGoogle+の名を挙げていた。
  • Facebookの広告は、有料メディアの中では、今でも最善の策と認識されているものの、Facebookのウォールへの投稿の重要度は低くなりつつある。現在、自然にタイムラインにコンテンツが表示されるファンは、1%前後のみである。
  • 2014年および2015年において注目するべきコンテンツのタイプとして、ポッドキャストが挙げられている。関心を持つリスナーに対して、十分な量のポッドキャストが提供されていないためだ。現時点で、ポッドキャストを提供している企業は6%のみである。しかし、33%は、ポッドキャストのコンテンツを作成する計画を持っている。ポッドキャストは、その他のメディアと比べ、極めて忠誠心の高いファンを生み出すことが証明されている。

上のトピックは、カンファレンス全体で取り上げられており、その多くは、その他のセッションで詳しい精査の対象になっていた。

大半の企業が無視するものの、実は無視するべきではないコンテンツマーケティグの取り組み

Content Marketing Instituteを設立したジョー・プリッジ氏が行ったプレゼンは、実用的な情報を数多く含み、特に気に入ったセッションのうちの1つに数えられる。

  • コンテンツマーケティングのミッションステートメントを作成し、会社全体で全てのステップを導くために活用する。このステートメントを、コンテンツを作成する関係者全員に送ろう。コンテンツを作る前に、「この作品はミッションに合うかどうか」を考えてもらうのだ。
  • Twitterの4:1:1の比率 — インフルエンサーのコンテンツを4回シェアし、自分のコンテンツを1回シェアし、製品を1回紹介する — これがTwitterの黄金律だ。
  • コンテンツの作成を中止してしまう、と言う単純な理由で、自社製のコンテンツマーケティングの取り組みの多くが失敗する。
  • ソーシャルメディアのチャンネルを利用する理由を一歩離れて考えてみよう。Facebookがトラフィックの増加に貢献していないなら、撤退し、別のチャンネルを改善する取り組みに力を入れるべきだ。
  • ターゲットのオーディエンスのタイプが複数存在するなら、何かを見誤っているはずだ。コンテンツを提供するオーディエンスのタイプは、1つに絞る必要がある。
  • 「絶対に他人の土地でコンテンツを構築するべきではない」。これはSocial Media Marketing World 2014全体のテーマとなっていた。有料メディアに手を出す前に、Eメールの購読者を増やして、自社のメディアを構築するべきである。
  • ブランドを構築するため、インフルエンサーのリストを作成しよう。オーディエンスが、自分のウェブサイトを訪問していない時、どのウェブサイトにアクセスしているのか特定し、このウェブサイトを運営する人達と関係を構築する取り組みに力を入れると良いだろう。
  • Eメール購読者の55% – 60%は、Eメールのオプトインを紹介するポップアップで登録している。見る側にとっては、迷惑な存在だが、サイトを運営する側にとっては、強力な武器である。プリッジ氏は、「読者としてはポップアップの購読ボタンが大嫌いだが、コンテンツマーケッターとしては、大好きだ」と打ち明けていた。
  • コンテンツを再利用するなら、異なるストーリーを伝えるか、もしくは、異なる視点で伝える努力をしよう。闇雲にプラットフォームで配信するのではなく、少数のプラットフォームを厳選するべきである。
  • B2Bに該当するなら、SlideShareを頻繁に利用すると良い。Content Marketing Instituteにとって、Eメール購読者の供給源の中で、(ポップアップに続いて)2番目に有効に作用しているのがSlideShareのコンテンツであった。
  • Googleで見つけてもらう取り組みは、一先ず忘れてしまおう。業界の情報を得る頼りになる存在になれば、Googleにリストアップしてもらえるからだ。

自社のプラットフォームを作るために、ポッドキャストに投資するべき6つの理由

The Podcast Answer Manの創設者、クリフ・レイベンスクラフト氏は、最近、人気を集めているポッドキャスター(パット・フリン氏やジョン・リー・デューマ氏等)を育てた実績があり、また、エキスパートに頼りにされる存在である。そのレイベンスクラフト氏は、ポッドキャストが多くの会社にとって大きなチャンスをもたらすと指摘していた。

  • ポッドキャストを行うなら、今がチャンスだ。競争は少なく、また、様々な分野において、これから成長する余地が大きく残されている。ポッドキャストから、大きな機会を得られるはずだ。英語のブログは4億5000万サイト以上存在し、毎月、400万時間に相当するYouTubeの動画がアップロードされる一方で、iTunesには、現在、22万5000点のポッドキャストしか存在していない。つまり、1,000サイトのブログに対して、ポッドキャストはたった1つのみである。そこで、飽和する前に、ポッドキャストの作成に着手し、影響力を高める取り組みを真剣に検討してもらいたい。
  • ブログの読者は、平均すると、3分間を読む行為に割く。一方、ポッドキャストのオーディエンスは、45分を割く。
  • 実際の人間の声を聞くため、ポッドキャストのオーディエンスは、より個人的なレベルでつながっているような気分になる。
  • ジム、通勤中、または、仕事中にポッドキャストを聞く人が増えつつあるため、モバイルポッドキャストは、今後も成長を続ける。
  • (YouTube動画の視聴とは異なり)スクリーンの前にいる必要がないため、マルチタスクを行うことが出来る。
  • ポッドキャストは、インタビューを行うことで、専門家や助言者とつながりを持つことが可能である。

認知度と売り上げを意識して、数名のライターが寄稿するブログを作る方法

Copybloggerを運営するブライアン・クラーク氏とSocial Media Examinerを設立したマイケル・ステルツナー氏が、Q&Aセッションを行い、数名のライターが在籍するブログを成功に導く方法を議論した。

  • 競争の激しい分野であっても、恐れずにブログを構築するべきである。Social Media Examinerを開設する前、無数のソーシャルメディア関連のブログが存在したが、マイケル・ステルツナー氏は、より質の高いブログを作れば良い点を理解していた。ブライアン・クラーク氏は、「当該のテーマを誰も取り上げていないなら、それは誰もそのテーマを気にしていない証拠だ」と述べ、ステルツナー氏の考えに同意した。
  • 所有するチャンネル — とりわけEメールアドレスのリスト — を通じてオーディエンスの構築に集中する必要がある。ステルツナー氏、そして、クラーク氏は、共に、熱烈なオーディエンスを増やす取り組みを優先するべきだと指摘していた。「オーディエンスを増やせば、事業を構築することが可能だ。まずはオーディエンスを増やすことに専念しよう。それすれば、やがて、その他の取り組みの成果もついてくる」と力説している。
  • Facebookで実証されているように、自然のリーチは最終的に落ち込むため、ソーシャルメディアのチャンネルに多くの時間と資金を投じるべきではない。その代わりに、自社のプロパティの構築と、インフルエンサーとの関係構築に資金を投じよう。片手間にブログを作っているのではなく、雑誌、または、メディア帝国を作ろうとしている、と自分に言い聞かせてもらいたい。
  • 個人事業を始めるつもりなら、自分の名前以外でのブランディングを検討すると良い。ブライアン・クラーク氏は、「理由があって、www.brianclark.comではなく、www.copyblogger.comと名づけた」と述べ、この点を強調していた。自分自身と会社は、別箇のブランドとして扱うべきである。
  • 聴衆の一人が、「どれぐらいの頻度でコンテンツを配信すればいいのか」を問うと、クラーク氏は、「優れたコンテンツを提供することが可能なペースで配信するべきだ」と答えていた。2日に1回であれ、1ヶ月に2回であれ、処理可能なペースでコンテンツを配信する必要がある。
  • 関係構築に着手する際は、いきなり有名な人物に狙いを定めるべきではない。信頼されていない状態では、対応してもらえないためだ。代わりに、やや有名、少しだけ有名な人物に狙いを絞り、徐々にレベルを上げていくと良いだろう。

自分のメディア帝国を作る

Owner Magazineのクリス・ブローガンCEOが、コンテンツマーケティング戦略を語ってくれた。ブローガン氏は、常にユニークなプレゼンを行うことで有名だが、今回もその姿勢は健在であった:

  • 良質なメディアを作るためには、自分自身がこの取り組みに夢中になる必要がある。ポッドキャストが好きではないなら、やめるべきだ。ブログが嫌いなら、やめてしまおう。とても単純な論理だが、「効果がある」と言われ、やらなければならないと感じる人は多い。
  • 確信が持てない時は、C.A.S.E.(Copy And Steal Everything: 真似して、全て盗め)スタディーを実施しよう。まずは、業界のリーダーを探し出し、当該の人物の取り組みを完全にコピーする。その後、差別化できる点を探し、価値を加えよう。
  • 見解を持つべきだ。見解に対する立場を明確に示し、こだわろう。全員に気に入ってもらう必要はない。
  • 複数のメディア、ウェブサイト、YouTube、Soundcloud…自分のビジネスにおいて有効なアイテムを活用してもらいたい。ただし、当該のメディアに対する取り組みを自分自信が好きであることが条件だ。
  • 簡潔にまとめよう — 注意が持続する時間は平均で20分程度だ。そのため、無理して、1時間のポッドキャストや2000ワードを超えるブログの記事を作る必要はない。

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ソーシャルメディアの「ソーシャル」を失ってしまったのか?

ジェイ・ベーア氏テッド・ロビン氏ジェフ・レールス氏、そして、ニコル・ケリー氏による、楽しく、機知に富んだ議論が行われた。ブランドが、ROIを求めるあまり、「ソーシャル」の意味を見失ってしまったかどうかが、メインの議題であった。

  • ブログの記事の最後で、読者に問い掛けるのはやめよう。懇願しているように見えるだけでなく、コメントが投稿されない場合、悲壮感が漂う。例: セス・ゴーディン氏のブログ。「これはゴーディン氏の家であり、誰もコメントを投稿するする権利はない」。
  • 成功を判断する唯一の基準は、コンバージョンである。ブログのコメント数、ツイートの本数、広告料シェアは、意味がない。
  • 消費者が、フィード内で、自分の会社のフィードを見たいかどうか考えてもらいたい。たとえ当該のブランドのことが大好きであっても、フィードで見たいとは思っていない可能性もある。
  • ブランドを管理するスタッフは厳選するべきだ。全従業員が、顧客に関与する必要はない。
  • ニコル氏は、「従業員がブランドを代表する」と力説していた。そのため、ソーシャルメディアで、従業員に力を与え、背中を押してあげよう。
  • ソーシャルメディアでのクライアントとの交流を従業員に禁止するべきではない。従業員の行動をコントロールすることは不可能であり、また、「ソーシャルメディアのポリシー」を策定したところで、「愚か者」を更生させることは出来ないため、教育する必要がある。

ソーシャルメディアのROIの計測方法を明かすブランド

このセッションでは、ニコル・ケリー氏が、ソーシャルメディアのROIに関する議論をリードし、大規模なブランドでこの取り組みを指揮している3名のエキスパートが意見を交わした: ニック・ロビンソン氏(SAP)、スコット・ガルブランセン氏(DSI)、ルイス・ベルトルッチ氏(Humana)

  • 顧客サービスや顧客維持等で節約した金額を含む、ソーシャル節約ROIを優先しよう。コストの削減は、新たな収入と同じぐらい重要だ。
  • コミュニティの動向を追う。コミュニティは、各マーケットのニーズを理解する上で鍵を握る。
  • 会社のニーズと計測する基準を合わせよう。
  • CFO(最高財務責任者)、CMO(最高マーケティング責任者)、もしくは、CEO(最高経営責任者)のように考え、コミュニケーションを行う。請負業者の視点で考えていると、全体像を見失ってしまうだろう。
  • ソーシャルを改善する際には、反復的なアプローチや考え方が必要になる。すると、ROIに左右されることなく、徐々に改善していくことが可能になる。
  • 顧客を獲得するために投じるコストを決めるべきだ。これはソーシャルメディアの取り組みを進める上で絶対に欠かせない。
  • 経営陣と話をするときは、重役が分かる言葉を用いる必要がある。例えば、リーチをコスト・パー・インプレッション等の基準と意訳しよう。
  • 代わりの宣伝用のプラットフォームを探すべきだ。ニコール・ケリー氏は、Humana社が、Facebookでファン全員に接触するには、12万7,000ドルが必要になると計算した。SAP社は、ROIを計測した後、資金をLinkedinに移したようだ。
  • コミュニティが存在する全ての場所を考慮しよう。1つの場所に焦点を絞ると、限定してしまうことになるためだ。
  • ケリー氏は、会場には大勢のオーディエンスが詰めかけ、様々な会話が交わされているものの、セクシーなコミュニティ、フォーラム、そして、内部のソーシャルメディア戦略を誰も取り上げていないことに気づいた。このタイプのチャンネルは、(皆さん自身が個人で運営しているなら話は別だが)一部の会社に独占されているわけではない。

読んでもらい、シェアしてもらえるブログの記事の7つの条件

出版業界で30年以上のキャリアを持つマイケル・ハイアット氏が、優れたブログを作る基本に関するプレゼンを行った。このプレゼンは、ビギナーを対象としていたため、ここでは、要点を幾つか紹介していく:

  • オーディエンスを調査する。この調査は、ユーザー層とユーザーの心理に関する情報を入力してもらう形式で行われる。この情報のおかげで、オーディエンスのことを深く理解することが可能になる。ハイアット氏は、同氏自身が行った読者の調査をケーススタディとして紹介していた。
  • 真摯な姿勢でことばを紡ぐ必要がある。専門家ではないなら、専門家面をするべきではない。ビギナーなら、まだまだ学ぶことが出来る点を正直に明かそう。持っていないスキルを持っていると吹聴してはいけない。なぜなら、これは、読者が最も嫌う行為だからだ。また、嘘をついていることは、簡単に見破られてしまうだろう。
  • その記事を書いている理由に個人的なストーリーを持たせよう。恐れずに、私的なつながりを反映させてもらいたい。
  • ヘッドラインを完成させることに多大なエネルギーを注ぎ込む必要がある。コンテンツは、永延と続くRSSリーダーのリストに掲載され、世界中の最高のブログと競争しなければならない点を忘れないでもらいたい。

有効なソーシャルコンテンツマーケティング戦略を構築する方法

マーケティングブログ、Convince and Convertを作ったジェイ・ベーア氏が、TapInfluenceのラスティン・バンクスCEOと共に、ソーシャルメディア戦略の策定方法に関するプレゼンを実施した。このセッションでは、幾つかの事実と名言が飛び出し、大きな注目を集めた:

  • 消費者は1日に携帯電話を110回チェックする。携帯電話は、単なるデバイスではなく、個人の一部となった。
  • 製品を売ろうと試みるよりも、役に立つ存在になる方が、遥かに重要である。有益な記事は、宣伝目的の記事よりも、30%もシェアされる確率が高い。ジェイ・ベーア氏は、「とても有益であるため、オーディエンスが喜んでお金を払うマーケティング」を「YOUtility」(ユーティリティ)と呼んでいた。
  • オーディエンスが許容するコンテンツではなく、大切にするコンテンツを作ることに常に力を入れてもらいたい。

上級者向けのブログ: 分析、最適化、接触

Orbit Mediaの共同設立者、アンディー・クレストディナ氏が、分析データから得られる、より深い実用的な見解、そして、コンバージョン率を改善する方法について語っていた:

  • 簡単に達成可能な目標を掲げよう。上位にランク付けされるポテンシャルが高い記事を見つけ、質を改善する、または、別のフレーズを狙う。あるいは、関連するトピックのコンテンツを増やし、リンクを張る手もある。
  • ゴールから逆さまにルートを辿り、どんなブログの記事がコンバージョンに導くのか考えてみよう。
  • オーディエンスのモチベーションを改善し、抵抗を軽減するために出来ることは全て行い、コンバージョン率を高めるべきだ。
  • 推薦は、良い仕事をしている証拠である。このメッセージをシェアすると良い。ただし、ウェブサイト全体に拡散する必要がある。

ブロガーから本を出版する作家になる: 信頼されるエキスパートになるには

5冊の本を出版した作家であり、ブロガーでもあるジョエル・コム氏は、本の出版に関するアドバイスと情報を提供していた:

  • Eブックのダウンロードは、急速に増加しているものの、書籍の売り上げの75%は印刷版であり、残りの25%はデジタル版である。75%の印刷版の書籍のうち、23%はAmazon、22%はBarnes and Noble、そして、55%は個人経営の書店で売られている。
  • 従来の方法で出版された本は、平均で1,000冊売れる。一方、自己出版の本は、たった10冊しか買ってもらえない。
  • 現在、本を売るには、オンラインパブリッシングにおいて、高い評価を得る必要がある。
  • 作家達は、卸売価格で大量の本を購入し、ベストセラーのリスト入りを果たすことで、システムを操作している。詳細を知りたい方は、resultsource.comを参考にしよう。
  • 「起業パブリッシング」の利用が増えつつある。この手法は、従来の出版と自己出版の長所と短所を併せ持つ。

オンラインコミュニティを構築する方法: 良い方法、悪い方法、最悪な方法を厳しく判定

マーカス・シェリダン氏ジニ・ディートリッヒ氏が、オンラインコミュニティの要素に関する見解を発表するため、ステージに上がった:

  • コミュニティは、常に目立つわけではない。シェリダン氏曰く、500 – 1000万のページビューを獲得しているものの、そのうちの1つのブログが得るコメント、ツイート、そして、シェアは、合計で400点程度のようだ。閑散としていると思うかもしれないが、シェリダン氏は、コミュニティは「四六時中」存在すると主張していた。
  • 読者のレベルに合わせて、より良いつながりを持とう。自分の方が重要、または、賢いと言う考えを記事に反映させるべきではない。
  • 最初の製品が失敗した時のことを考えて、別の製品のアイデアを支えるコミュニティを構築する必要がある。
  • 記事の成功の判断を、ソーシャルメディアの計測基準だけに頼るべきではない。値が低くても、傑作の価値を下げるわけではない。
  • コミュニティ構築の手本: 眼鏡/サングラスを販売するWarby Parkerは、ネット上で同社を話題にしたユーザーに「お礼」の意味を込めた動画を送っている。
  • コミュニティ構築の手本: ジニ・ディートリッヒ氏は、マーク・シェーファー氏のブログに今でもブログを投稿している。なぜなら、ディートリッヒ氏のコメントに対して、シェーファー氏は、直筆の手紙を送ったことがあるためだ。

最高のポッドキャストを作る: 効果のある取り組み、ない取り組み

Smart Passive Incomeを運営するパット・フリン氏は、強力なポッドキャストを作る方法を詳しく分析していた。このプレゼンは、同氏が投稿した記事「ブログの始め方」に基づいている。

  • ポッドキャストを今すぐに始めよう。同氏は、会場で、2008年に録音したポッドキャストを流した。この作品を録音してから、1年以上、ポッドキャストの作成をフリン氏は中断したようだ。初回のポッドキャストには、非難するフィードバックは1つも寄せられなかった。不満を持っていたのはフリン氏だけであった。 再開するまでに、随分と時間が経過してしまったことを同氏は後悔している。
  • 順序としては 1) 適切な機器を手に入れ 2) iTunesのイメージ用の良質な作品を用意し 3) iTunesストアのポッドキャストを改善する。
  • iTunesのイメージに関して — まずは、競合者のイメージをチェックすると良い。競合者が、全員、青い背景のイメージを利用しているなら、明るいオレンジ色の背景を採用しよう。競合者のロゴとの差別化に役立つなら何でも活用しよう。その後、1400 x 1400のロゴを作り、各種のデバイスでテストする。
  • iTunesのSEOに関して — タイトル、ホストの名前、ディスクリプション、メタタグ、そして、ポッドキャストの名前を最適化する。
  • 聞きたくなるような作品、そして、その他の作品とは異なる独自の価値を提案しよう。続いて、5-10点の作品を録音し、公開する48時間前に、Eメールの購読者に通知する。最後に、インフルエンサーを見つけて、24時間前にツイートしてもらおう。

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時が経っても失われることのない、優れたコンテンツマーケティングとソーシャルメディアマーケティングの質とは

The Sales Lion、そして、数百万ドルの収益を上げる企業を設立したマーカス・シェリダン氏が、エネルギッシュな閉会キーノートを行った。

  • シェリダン氏は、プールメーカーを4つのワード「They ask, we answer」(お客様が質問し、私達が答える)をモットーに経営している。同氏は、オーディエンスが持つ疑問を特定し、この疑問に答える頼りになる存在を目指すべきだと主張していた。
  • 「お見積もりをご希望の方は、ご連絡下さい」と呼び掛けるのではなく、価格の情報を用意しておくべきだ。これはビジター側にとって、迷惑であり、ストレスがたまる。かつて、ビジターが、プールの価格に関する疑問を抱えていたものの、答えが提供されていなかった時代があった。そこで、シェリダン氏は、価格に関する記事を投稿した。すると、大量のトラフィックがもたらされたようだ。
  • 顧客は疑問を抱えている。この疑問への回答を怠ると、やがて、競合者に代わりに答えられてしまう。
  • マーケティグ部門と営業部門、または、エージェンシーとクライアントを隔てるべきではない。橋を渡して、協力することが可能な環境を整えよう。

Social Media Marketin World: 今回も有益な情報が満載

空母で行われた初日のネットワークイベントから、金曜日の閉幕キーノートまで、Social Media Marketing World 2014で得た経験は、その他のカンファレンスでは得られない素晴らしいものであった。提供された情報はファーストクラスであり、参加者、そして、プレゼンターは、気さくで、率直で、オープンであった。

このイベントで、次の重要な教訓を得ることが出来た:

  • Eメールアドレスのリスト/自社のメディアの拡大を最優先する。
  • コンテンツマーケティングのミッションステートメントを作成する。
  • 健全なシェア率(先程紹介したジョー・プリッジ氏が提案する4:1:1等)を用いて、影響力と接触範囲を拡大する。
  • Facebookの効果は下がりつつあるため、Google+を代わりに活用する取り組みを検討する。
  • とりわけ、飽和していない分野に属しているなら、ポッドキャストの利用を吟味する。
  • オーディエンスと双方向の会話を持ち、オーディエンスが抱える問題点と望みを明らかにする。「オーディエンスが質問する。ウェブサイトが答える」を実行に移してもらいたい。

来年もSocial Media Marketing Worldに参加したくなった。因みに、今回のカンファレンスは、サンディエゴで行われた。


この記事は、Siege Mediaに掲載された「Content Marketing Recap from Social Media Marketing World 2014 #SMMW14」を翻訳した内容です。

GOOGLEに見つけられること、つまりSEOを忘れてしまおうというのは、サーチ関連イベントでは勇気ある発言かもですが?、諸々参考になるリアルなデータやティップスが満載の内容でした。ポッドキャストは日本では結局ブームにならないままでしたが、米国ではそれなりの利用企業とユーザーを得ているようですね。SEO Japanでも記事を紹介しているコピーブロガーのブライアン・クラークやクリス・ブローガンも登壇し、経験に基づいたアドバイスを送っていました。Facebookの効果が下がるのは日本ではもう少し先の気もしますが(Google+もイマイチ盛り上がっていないですし)、TwitterはもちろんYouTubeしかりSlideShareしかり、複数チャンネルを活用したマーケティングにも今後ますます注目したいですね。 — SEO Japan