Jake Paulはオンラインで育った。ディズニーチャンネルのスターである19歳の彼は、InstagramやVine、Snapchat、YouTubeといったソーシャルメディア上に100万人以上いるミレニアム世代のフォロワーベースを、テレビや広告契約を勝ち取る小さな帝国へと変化させ、次はビジネス界での躍進を狙っている。
巨大なフォロワーベース(とCameron Dallasのような彼の有名人の友だち)と100万ドルの調達資金をテコに、JakeはTeamDomを立ち上げ、新しいタイプの芸能事務所兼クリエイティブエージェンシーを作ろうとしている。
ロサンゼルスにあるTeamDomの本社(ウェスト・ハリウッドにあるJakeと彼の兄のLogan、そして仲間のインフルエンサーが住む家)は、JakeとLoganが幼い頃に映像を撮りはじめた故郷のオハイオ州クリーブランドからはかなり距離がある。
「僕が10歳の時に、お父さんが僕たちにカメラをくれて、そこから兄と一緒に僕たちの生活や面白いことを撮影しだしました」とJakeは話す。
高校ではアメリカンフットボールのラインバッカー兼ランニングバックとして活躍していたJakeは、カメラの前で兄とふざけ合っていた当時から、YouTube上で小さいながらもフォロワーベースを築きはじめ、2013年にVineがローンチされると彼の名は一気に広まった。
以前はTwitterが運営し、最近閉鎖してしまったショートビデオプラットフォームのVineからは、Paul以外にもたくさんの若いスターが生まれた。
「(Vine上で)人気が出だした……2014年当時、僕が16歳で間もなく17歳になろうとしていたときに……投稿した動画のひとつがバイラルヒットして……ちょっとした成功を味わいました。僕たちはファンが何を欲しているかを感じ取っていて、その後は気づく間もなくフォロワー数が1万、そして2万へと増えていきました。そしてフォロワー数が50万人に達した頃、あるアプリの会社が僕に電話してきて、200ドルでその会社のアプリを宣伝しないかと持ちかけてきたんです」とJakeは話す。
その後も仕事の依頼が入り続けると、JakeはInstagramやSnapchatといった他のプラットフォームへ彼のネットワークを拡大していく。「気づけばソーシャルメディア経由で大金を手にしていて、どこに行っても声をかけられるようになりました」とJakeは言う。
しかしソーシャルメディアのスターの座は、ハリウッドのそれとは違う。しばらくするとPaul兄弟は両方を追い求める準備ができたと感じ、Jakeはアメリカ海軍特殊部隊に入るという夢を一旦保留して、ハリウッドに向かった。
その後彼はハリウッドで演劇の授業を受けながら、オーディションに参加しだした。Fox Digitalのオーディションに受かり、YouTube Redの仕事もはじめたJakeだったが、もっと何かできるのではないかと感じていた。そして彼は、他のインフルーエンサーの影響力を拡大させるサポートをしつつ、彼らのマーケティング力を束ねる(そして彼らのファンにリーチしたいと考える企業から大金を受け取る)というアイディアを思いついた。
これがTeamDomのはじまりだった。
「まだVineが人気だった1年半前くらいに、Team 10というチームでの活動を開始しました。当時僕はDr. Dreが音楽業界でやったことは、ソーシャルメディアビジネスにも応用できると思っていたんです。だから実際に試してみようと……オンライン上でみつけた子供達がいて……彼らには3万人ほどのフォロワーがいたんですが、僕は彼らにロサンゼルスまで来てもらって、ソーシャルメディアのノウハウを教え込みました。その後たった2週間で彼らのフォロワー数が3万から40万へと増え、今では1600万人にまで達しました」と彼は話す。
JakeはTeamDomのことを”ソーシャルメディアインキュベーター”だと考えている。現在彼のポートフォリオには、何人もの若いタレントと映画が一本含まれている(これは映画『Airplane』にソーシャルメディアの要素を加えたリメイク作品で『Airplane Mode』という題名がついている)。ちなみに最近Jakeは、兄のLoganと映画の版権を探し回っている。
「この映画はソーシャルメディア版の『エクスペンダブルズ』のような感じです。ソーシャルメディアへの投稿をやめられない飛行機の乗客が、なかなか機内モードに切り替えられなくて……パイロットが殺されて……Loganが飛行機を着陸させることになるいう内容です」とJakeは説明する。
彼自身も出演する予定だったが、映画がR指定(17歳未満の鑑賞には保護者の同伴が必要)されたため、Disney(Jakeの新しい番組Bizaardvarkを売り出し中)が彼の出演を許可しなかった。
どうやらJakeは彼を有名にしたプラットフォームの死を乗り越えようとしているようだ。さらに彼には、中国の投資会社Danhuaを中心にEdward Lando(Horizons Alpha)、Gary Vaynerchuk(Vayner Capital)、Abe Burns(Sound Ventures & A-Grade Investments)、Adam Zeplainなどから調達した100万ドルがある。
現在TeamDomには13人のインフルエンサーが所属しており、彼らの合計フォロワー数は毎月400万人増えているほか、1日の合計視聴回数は平均1500万回を記録している。
「TeamDomは将来有望な若いソーシャルメディアスターの拠点として、既に4000万人のフォロワーを獲得し、再生回数は70億回を記録しています」とJakeは声明の中で語っている。
このような数字が投資家の注目を集めるのは当然で、実際にDanhuaのマネージングディレクターであるDovey WanがTeamDomへの投資を行った。
「ブランドの70%が、ジェネレーションZ(1990年代半ば〜2000年台前半生まれで、幼いころからインターネットに触れてきた世代)へリーチするために、最近ソーシャルメディア広告への支出を増やしています。一般人に近いインフルエンサーを求めている企業はまだまだたくさん存在する一方で、マーケティングの世界にはTeamDom以外にこの新たなターゲットを主眼においたプライヤーはいません。さらにTeamDomは若いインフルエンサーを囲うだけでなく、彼らが有名になるためのサポートも行っています」とWanは声明の中で語った。「Papi Jiangと呼ばれる中国のインフルエンサーが、ある動画の広告スペースを300万ドルで販売したことからも、彼らが狙っている市場の規模の大きさがわかります。私たちはTeamDomのチームに参加し、彼らがソーシャルメディアインフルエンサーにとってのインキュベーターやネットワークを築くとともに、このビジネスを世界中に展開していくサポートができることを光栄に思っています」
さらにJakeは、同世代のインフルエンサーのために別のアイディアを隠し持っている。彼はCameron Dallasとともに、ソーシャルメディアスター使ったファンドを組成しようとしているのだ。
「僕たちは世界初のインフルエンサーファンドを立ち上げました。巷に溢れるインフルエンサーは資金を調達できたとしても……結局小切手の金額以上の仕事はしません。(しかし)僕たちはソーシャルメディア戦略のサポートや、Team 10のネットワークを使って、プロダクトを世の中に売り出すことができるんです」と彼は話す。
CameronとJakeは、TGZキャピタル(Team Gen Z:チームジェネレーションZ)と名付けられたファンドを一ヶ月前に立ち上げ、Jakeは第1号ファンドで1000万ドルを集めようとしていると話す。
「僕たちのネットワークは消費者を中心に構成されているので、ファンドでも消費者向けのプロダクトに投資したいと考えています。スタートアップもインフルエンサーの力を借りたいと考えているところが多いですしね」とJakeは語る。「投資後はTeamDomに所属するインフルエンサーのソーシャルメディアを利用して、プロダクトを宣伝していきます。この戦略でかなりの契約を結べると思います」
Vineについて彼らはどう思っているのだろうか?そもそも彼らの多くはVineのプラットフォームを利用して、最初の資金を手に入れたはずだ。
「Vineで活躍していた人全員が、閉鎖の1年前からこうなると気づいていました。ほとんどの人はFacebookに500万人、Instagramに300万人といった感じで、他のプラットフォームのフォロワー数の方が多かったですしね」と彼は言う。
Jake自身も最近はInstagramとYouTubeに力を入れており「他のソーシャルメディアはちょっとたるんでいるというか、クリエイターを大事にしていないんですよ」と話す。
TeamDom所属のインフルエンサー
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)