ウォルマート傘下の倉庫型大型店がネット販売の店頭受取を全国展開へ 

Walmart(ウォルマート)のオンライン食品販売事業は同社のeコマースの売上の成長に大きく貢献(Supermarket News記事)しており、新型コロナウイルスによるパンデミックの間は特に顕著だ。そして同社は今回、傘下のウェアハウス・クラブ(郊外型倉庫型大型店)のチェーン店であるSam’s Club(サムズ・クラブ)の店頭受取サービスを拡張する。米国時間6月10日、S同社は店頭受取サービスであるCurbside Pickupの全国展開を発表。全米597店舗で利用できるようになる。

それまで同社は、店頭受取サービスのパイロット事業を16店舗で展開し、ポジティブな結果を得た。パンデミックによりオンラインの購買者が増え、それ以降Sam’s Clubは全国展開を急いでいた。利用料金は、Plusより上のメンバーなら無料だ。

このサービスを利用するには、Sam’s Clubのメンバーとなり、専用のモバイルアプリから「Pick up in Club」(クラブで買う)とマークされた製品を見つけてオーダーする。そしてチェックアウトの段階で、受け取る時間を指定する。同日受取のオプションも近日中に提供される。店頭受取は親会社のウォルマートの場合と同じで、購入者が指定された場所のどこかに駐車すると、Sam’s Clubの従業員が品物を車に乗せてくれる。

一方、店の従業員はQuick Pickのようなピッカーアプリを使ってオーダーを処理する。

受け取れる時間は、月〜土曜日は午前7時〜午後9時を指定できる。日曜日は午前10時〜午後5時だ。Plusメンバーでなくても一定の時間利用できる。月〜土は午前10時〜午後8時、日曜は午前10時〜午後5時だ。

Sam’s ClubでCOOを務めるLance de la Rosa(ランス・デ・ラ・ロサ)氏は「無料の店頭受取はPlusメンバーの新たな特典だが、現在のような状況ではメンバーの全員が無接触で無料のショッピングサービスを求めている。そのために一時的にこのサービスを全メンバーが利用できるようにして、指定した時間に指定の方法で品物を受け取れるようにしている」と説明する。

もちろん同社の長期計画では、その無料メンバーシップをアップグレードしたうえで、ほかのオンライン食品販売からも顧客を奪う狙いだ。AmazonやInstacart、TargetのShiptのような強敵からも。

新型コロナウイルスのパンデミックの前ですら、オンラインの食料品販売ではウォルマートがAmazonを抜いてトップ(Winsight Grocery Business記事)の消費者お気に入りのネットショップだった。オンラインの食料品販売の無制限デリバリーサービスをWalmart+に改名する(Vox記事)という噂もある。今回Sam’s Clubに店頭受取が加わったことによって、ウォルマートの利用者が選べるショッピングの方法がさらに増えたことになる。

画像クレジット: Scott Olson

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Walmartが自動運転スタートアップNuroと自動配送実験をヒューストンで実施へ

Walmart(ウォルマート)は米国時間12月11日、新たな試験プログラムを発表した。食料品の自動宅配実験をヒューストンの店舗で来年から始めるという。ウォルマートは、無人で商品を顧客に配達する技術を持つロボティック企業であり自動運転車のメーカーのNuro(ニューロ)と提携している。このプログラムでは、Nuroの車両はウォルマートのネット通販で注文された食料品を、ヒューストンでのサービスを希望し選ばれた一部の顧客に届けることになっている。

この自動配送サービスでは、ニューロが特別に開発した荷物専用の配送車R2が使われる。トヨタ・プリウスをベースにした食料品専用の配送車と同じく、これにはドライバーも客も乗車できない。プログラムの目的は、食料品自動配送の実効性とこうしたサービスがウォルマートの顧客サービスをどれだけ改善できるかを確かめることにある。

Nuroはこれまで、自動運転スタックの開発と、地域の家庭に商品やサービスを届ける特注の無人車両にそのスタックを組み合わせることに力を入れてきた。その車両には2つの荷物室があり、食料品のバッグを最大で6つ積むことができる。ソフトバンク、Greylock Partners(グレイロック・パートナーズ)、Gaorong Capital(ガオロン・キャピタル)などのパートナーから10億ドル(約1080億円)を超える投資を受けている。3月には、ソフトバンクビジョンファンドから94000万ドル(約1020億円)の融資を受けたことを発表している。

同社は自動配送の研究で知られているが、自動運転トラックのスタートアップのIke(アイク)に自動運転技術のライセンス供与も行っている。Ikeは現在、Nuroのスタックのコピーを所有している。その企業価値は、最新のラウンドを元にすると数十億ドルに達する。Nuroも、Ikeの少数株を取得している。

Nuroにとっては、ウォルマートとの提携が初めてではない。2018年にはKroger(クロガー)と提携して(Krogerの食品と医薬品販売部門Fry’sも含まれる)自動運転版のプリウスと、カスタム生産のロボットR1の試験を進めている。R1は安全のためのドライバーを乗せずに自動運転ができる車両として、アリゾナ州フェニックス郊外の街スコッツデールで配送サービスを行っていた。2019年3月には、NuroはKrogerとの共同サービスをテキサス州ヒューストンに移し、自動運転版プリウスで運用を開始した。2020年、Nuroは第2世代のロボットR2を使い、Kroger、ドミノ、ウォルマートとの共同試験に臨む。

またウォルマートにとっても、Nuroが最初の自動運転パートナーというわけでもない。ウォルマートは今年の初めに、スタートアップのUdelv(ユーデルブ)と組んで食料品の自動配送実験をアリゾナ州実施した。さらに今年の夏には、アーカンソー州ベントンビルにあるウォルマート本社近くの大型倉庫から食料品を配達する実験を自動運転車のスタートアップであるGatik AI(ガーティックAI)と進めた。さらに、2018年には自動運転の企業のWaymo(ウェイモ)と、ウォルマートの食料品配送トラックを使ったパイロット事業を立ち上げている。食料品の自動配送実験は、フォードや宅配業者のPostmates(ポストメイツ)とも協業している。

「無類の規模を誇る私たちは、何百万もの家庭に食料品を宅配でき、この業界の未来へ向けたロードマップを描くことができます」と、ウォルマートのデジタル事業上級副社長Tom Ward(トム・ワード)氏は述べている。「その過程で私たちは、私たちの店舗からお客様のご自宅の玄関まで、自動運転技術を応用して食料品をお届けするための方法を、いくつも試してきました。この技術は、私たちの食料品集配サービスと、お客様の日常を少しだけ楽にするという私たちの理念の、ごく自然な延長線上にあるものと信じています」と同氏。

ウォルマートの食料品ネット通販事業は成長著しいが、外部の配送サービスとの提携に依存しているのが現状だ。今のところウォルマートは、Point Pickup(ポイント・ピックアップ)、Skipcart(スキップカート)、AxleHire(アクスルハイヤー)、Roadie(ローディー)、Postmates、DoorDash(ドアダッシュ)といった全米の配送業者と提携して配達業務を円滑に回している。Delv(デルブ)、Uber(ウーバー)、Lyft(リフト)との提携も試したが、今は解消している。2019年末には、ネットショップのウォルマート・グロサリーは、3100件近い集配場と1600件の店舗で食料品の配送サービスを行う予定だ。

ウォルマートの食料品ネット通販事業への投資は、売り上げの急増と、Amazon(アマゾン)やTarget(ターゲット)のShipt(シプト)、Instacart(インスタカート)などと価格的にも競合できる選択肢を顧客に提供するという利便性をもたらした。第3四半期には、ウォルマートの食料品事業はネット販売の売り上げを、35%増という期待を上回る41%増にまで拡大させた。これにより、収益増の記録更新が続き、米国で21四半期連続の売上増となった。

今四半期は、ウォルマートは1279億9000万ドル(約13兆9000億円)という収益により株価は1ドル16セント上昇した。しかし、ウォルマートの電子商取引事業は、新しい技術や企業買収のために資金が減り続けており、社内の緊張が高まっている。ウォルマートによると、ニューロとのパイロット事業は2020年に開始されるという。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

米ウォルマートが店頭から電子たばこを一掃へ

ウォルマートは、米国の店舗から電子たばこを一掃する計画だ。

「連邦政府、州政府、地方自治体の電子たばこに対する規制がより複雑になり、今後の展開が見通しにくいことから、ウォルマートとサムズクラブの米国の全店舗でニコチンを含む電子たばこ製品の販売を中止する予定」と広報担当者がメールで明らかにした。「在庫がなくなり次第、販売を終了する」

最初に報じたのはCNBCで、社内文書の内容として報道した。

ウォルマートの動きは連邦規制当局が業界に大きな圧力をかけていることを受けたものだ。当局は全米の電子たばこ関連と疑われる症状への対応に追われている。だが犯人はたばこではなく、THC(大麻の有効成分)が目的の合法性が疑われる製品のようだ。

規制当局や民間の健康関連団体は、10代の電子たばこ使用率が劇的に増加している現状を警戒し、フレーバー電子たばこの禁止に動いている。喫煙がまん延する一部の国では、電子たばこを完全に禁止する初期的な措置を講じている。

関連記事:インドが電子たばこを禁止、若者の健康への懸念を理由に

CNBCによると、ウォルマートは社内文書で「連邦政府、州政府、地方自治体の電子たばこに対する規制がより複雑になり、今後の展開が見通しにくいことから、ウォルマートとサムズクラブの米国の全店舗でニコチンを含む電子たばこ製品の販売を中止する予定」と通達したという。

今月初め、前ニューヨーク市長で富豪のMike Bloomberg(マイケル・ブルームバーグ)氏の関連慈善団体が、子どもの電子たばこ喫煙を防止するため1億6000万ドル(約172億円)を拠出することを明らかにした。ホワイトハウスも翌日、フレーバー電子たばこのカートリッジ販売を禁止する措置を取ると発表した。

関連記事:トランプ政権が電子たばこの規制強化、フレーバーの禁止も

報道では、保健当局が電子たばこに絡む肺疾患の原因究明を急いでいる。米国で少なくとも530人が電子たばこが原因と疑われる肺疾患にかかっている。米国疾病管理予防センターは9月19日の声明で、これまで7人が関連する疾患で死亡したが、症状の原因とみられる物質や製品は特定されていないと発表した。

この肺疾患はこれまで全米38州で確認された。

ウォルマートは10代のたばこ製品へのアクセスを制限する措置をすでに取っている。今年初めにはたばこ製品の購入年齢を21歳に引き上げた。ティーンエイジャーの間で「大流行」していると規制当局がみる状況への対応だ。少なくとも25%の学生が、自身は電子たばこを喫煙していると答えている。

電子たばこ大手のJuulにとっては悪いニュースだ。同社は2018年12月にたばこ大手のAltria Groupから128億ドル(約1兆3770億円)を調達した。

Juulは市場シェア70%を占める電子たばこブランドとして当局による精査の焦点となっている。FDA(米食品医薬品局)は今月初め、同社のマーケティングの方法に問題があるとして警告を与えた。

Juulは政府が課す規制をすべて順守すると述べた。フレーバー製品に関する連邦規制案に対し同社は「フレーバー製品全体の規制を強化することに全面的に同意する。発効次第、FDAポリシーを完全に順守する」と表明した。

ウォルマートは、この記事執筆時点でTechCrunchからのコメント要請に応じていない。

画像クレジット:EVA HAMBACH / AFP / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

商品棚をスキャンする在庫管理ロボ開発のSimbeが28億円を調達

サンフランシスコを拠点とするロボティクスのスタートアップであるSimbe RoboticsがシリーズAで2600万ドル(約28億円)を調達したと発表した。このラウンドはVenrockが主導し、Future Shape、Valo Ventures、Activant Capitalが参加した。Simbeは小売店の在庫管理の自動化を目指す企業のひとつだ。

Simbeは、今回の資金を人員の増強、新たな市場の開拓、既存のロボットの配備拡大に充てたいとしている。NestのTony Fadell(トニー・ファデル)氏、VenrockのDavid Pakman(ディヴィッド・パックマン)氏、Pathbreaker VentureのRyan Gembala(ライアン・ゲンバラ)氏がSimbeの役員になることも発表された。

Simbeの共同創業者でCEOのBrad Bogolea(ブラッド・ボゴレア)氏は、発表の中で次のように述べた。「以前からの投資家も新たな投資家も、資金だけにとどまらない支援をしてくれている。我々のビジネスのあらゆる面について貴重な知見を提供する支持者であり信頼できるアドバイザーだ。エクイティファイナンスのパートナーとソフトバンクロボティクスのチームは、データを通じて小売業を活性化するというSimbeのビジョンと深く協調している。我々は成長の重要な段階を迎えており、世界規模で小売業を変革し続けている我々にとって彼らの支援は価値のあるものだ」。

Simbeは商品棚をスキャンするロボットのTallyを2015年に公開した。ハードウェアベンチャーファンドのLemnosは、早い時期に同社に投資した。2019年4月、ウォルマートがSimbeのライバルでピッツバーグに拠点を置くBossa Nova Roboticsのロボットを試験導入すると発表した。その数日後に、米国スーパーマーケットチェーンのGiant Eagleが、一部のストアでTallyの試験導入を開始する計画を発表した。

ほかにSimbeのロボットを使っている小売業者には、スーパーマーケットチェーンのSchnuck Markets、スポーツ用品チェーンのDecathlon Sporting Goods、フランスの小売大手のGroupe Casinoなどがある。シリーズAに加え、ソフトバンクロボティクスとは製造規模を拡大するためにインベントリーファイナンス(在庫融資)契約も交わしている。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

米ウォルマート、スーパーの棚管理ロボットを50店舗以上に導入。「店員を置き換えるのでなく作業を軽減」

eng-logo-2015米スーパー大手のウォルマートが、全米50以上の店舗に陳列棚管理ロボットを導入し、試験運用を開始しました。このロボットは店内を練り歩き、在庫数量、価格、商品の配置まちがいをチェックしてまわります。

Bossa Nova Roboticsが開発したこの棚管理ロボット。本体は約60cmほどの高さですが、そこから煙突のように上へとそびえるスキャナー部分が、棚の各段の状況を読み取ります。

3Dイメージングによる周囲認識機能を備え、積まれたダンボールや臨時に置かれたワゴンといった障害物を自動的に避けることが可能。さらに障害物で通路が通れない場合はいったん引き返して別の通路を選択する機能も搭載します。

このロボットを導入することで、人間の店員が棚の在庫管理をして回る手間がなくなり、その分業務の効率化がはかれます。ただ、ウォルマートはこのロボットが人間の業務を助けるものであり、店員を置き換えるのが目的ではないとしました。実際、補充作業は大小だけでなく硬さなどが多種多様な商品を、1つ1つつカンで棚へ配置する作業となりますが、これは現在のロボットの能力では難しいもの。まだまだ人の手が必要です。

しかし、それでも陳列棚の在庫管理という面倒な業務をロボットが引き受けることで、店員の仕事量を減らし、さらに経費も節減できるのは間違いありません。Bossa Nova Roboticsのライバル企業Simbe Roboticsが示したデータによれば、米国の主要な小売業者では棚管理業務だけで年間数億ドルがかかっているとのこと。つまり棚管理ロボットは少しばかり高価だったとしても、導入すればすぐにもとは取れるということです。

試験は始まったばかりですが、とりあえずの導入段階では満足の行く成果があがっている模様。ウォルマートはこうした業務の自動化に熱心な企業はよく知られたところ。今回の棚管理ロボット以外にも、商品配送のためにドローンをテストしたり、オンラインで注文した商品を受け取りに来た客に、商品をコンベア式に自動で取り出してくる機構を備えたピックアップタワーと呼ばれるシステムを複数の店舗に展開するなど、自身の省力化や業務効率化だけでなく買い物の際の利便性を向上させることで、顧客の呼び込みを強化しています。

ちなみに、棚管理ロボットというジャンルは最近出てきたものではなく、少なくとも2012年にはマイクロソフトの3D空間認識センサー Kinectを利用した棚管理ロボットがすでに開発されていました。

Engadget 日本版からの転載。