Twitterがトランプ大統領のツイートに「要事実確認」の警告を表示

米国のニュース専門放送局であるMSNBCのホスト、Joe Scarborough(ジョー・スカーボロ)氏を殺人者だと非難するツイートをめぐる騒ぎを受けて、Twitter(ツイッター)は密かにトランプ大統領のファクトチェックを始めていた。

Twitterユーザーに「郵送投票に関する事実を確認して」と促す新たな警告マークを大統領の一連のツイートに表示されていた。ツイートの中で大統領は、郵送による投票は「不正だ」と根拠なく主張している。

TechCrunchへの声明でTwitterの広報担当は、大統領の2つのツイートは「選挙プロセスに関する情報をミスリードする可能性があり、郵送投票について追加の情報を提供するために警告マークが表示された」と述べた。

誤情報ポリシーに関する同社の最近のブログ投稿を指しながら「今回の措置は2020年5月初めに発表したアプローチに沿うものだ」と説明した。

警告をクリックすると、ユーザーはファクトチェックページに案内される。そこでは、「トランプは、郵送投票が選挙詐欺につながると根拠のない主張をしている」というヘッダーで大統領の偽の主張を暴いている。また、そのページでは要約としてミスリードするツイートの文言を箇条書きにし、CNNやHill、Washington Post、その他のメディアの記事へのリンクを貼っている。それでも警告そのものはツイートの主張を間違い、あるいはミースリードと呼ぶまでには至っておらず、その代わり中立的な表現を使っている。

郵送による投票は安全なプロセスだと専門家による一致した見方があるにもかかわらず、トランプ大統領はこの数週間、郵送投票を認める動きを罵倒してきた。郵送投票はすでに不在投票に広く使われているほど安全なものであり、5つの州が投票方法として選んでいる。

Twitterが2つのツイートに警告マークを表示したことに対し、トランプ大統領は米国時間5月26日夜に、Twitterを攻撃した。ツイートの中でトランプ大統領は「2020年大統領選挙への干渉だ」とTwitterを非難し、郵送投票は詐欺が横行すると根拠のない主張を繰り返し、はっきりしない報復でTwitterを脅している。

画像クレジット: Photo by MANDEL NGAN / AFP via Getty Images / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

トランプ大統領がゲーム実況向けTwitchで選挙集会をストリーミング

米国は来年秋の大統領選挙に向けて政治の季節に入りつつあるが、選挙集会のライブストリーミングプラットフォームとしてトランプ大統領はAmazonのTwtchを選んだ。

Twitchはもちろんゲームの世界では有名だが、政治を含めてそれ以外のコンテンツではこれまでさほど知られていなかった。

本人認証されたDonaldTrumpというTwitchアカウントは、まずReuters(ロイター)が発見した。 アカウントのトップにはダラスの選挙集会が予告されているが、アップロードされたビデオはまだミネアポリスの選挙集会1本だけだ。

アップされたビデオにはユーザーが製作した各種のビデオリプライが表示されている。称賛しているものもあればLOLとかKEK(LOLと同じ意味のネットスラング)というビデオもある。

Twitchを活用している大統領候補はトランプ氏だけではない。民主党の有力大統領候補であるバーニー・サンダース上院議員も数カ月前からこのプラットフォームを使っており、フォロワーは8万8795人とトランプ大統領の3万7754人を大きく上回っている(現在はサンダース氏は8万9309人、トランプ氏は7万5476人)。

トランプ大統領は8月6日にはお気入りの拡声器、TwitterでGoogleのスンダー・ピチャイCEOを名指しで取り上げて攻撃している。

@sundarpichai (Google)はホワイトハウスの執務室にで私に好意を持っている、政権はよくやっていると思う、Googleは中国の軍と無関係だ、2016年の選挙でロクでなしのヒラリーを応援して私の足を引っ張ろうとしたことはない等々と懸命に説明した。

Twitterはこの物議をかもすトップユーザーがAmazonグループのストリーミングプラットフォームといちゃついているからといって不満を感じることはあるまい。もっともジェフ・ボゾと罵られたベゾス氏がトランプがTwitchを使い始めたことを喜ぶかどうかは別だ。

Twitter自身のストリーミングツールであるPeriscopeもトランプ氏は使っているが、Twitchのほうがゲーマー向きであるだけに選挙集会をストリーミングするには向いていると考えたのだろう。Periscopeはどちらかというとリアルタイムで現場の状況をモバイルデバイスに中継するのが目的だ。Twitchは自宅でくつろいでデスクトップの大画面から見るユーザーが多いだろう。

ゲーマーの世界はトロルが多く生息することでも悪名高いが、それならトロル大王のトランプにはさらにぴったりだ。

最近、PeriscopeではTwitterは不適切なコメントに対して 以前より強い方法で規制を行っている。また会話の健全さを守るという目標を実現するためにフェイクやスパムに対する取り締まりも強化している。それやこれや考え合わせるとトランプ大統領がTwitchを使ってくれたのはTwitterにとって面倒ごとを避けられることを意味したのかもしれない。

TwitterのCEOであるジャック・ドーシー氏はそれでなくてもトランプ大統領が次にどんなツイートをするかいつもヒヤヒヤしてきたに違いない。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

ムラー特別検察官報告の公表で民主党ヒラリー候補の大統領選に新しい光

米国時間4月18日に公表されたムラー特別検察官の報告書は、ロシア政府が2016年の大統領選でヒラリー・クリントン候補の選対と民主党全国委員会のコンピューターをいかにハックしていたかに関する新しい情報を含んでいた。

ある時点でロシア機関は大量の機密情報をハッキングするために 米国内に設置されたサーバーから作戦を実行していたと報告は述べている。

今回公表された情報の多くはビクトル・ボリソビッチ・ネティクショ(Viktor Borisovich Netyksho)らに対する2018年7月の起訴状によって知られていた。 ネティクショはロシア軍情報機関GRUのサイバー作戦部署のユニット26165のメンバーで、ムラー特別検察官の起訴状はコロンビア地区連邦裁判所大陪審に付され「起訴相当」と認められている。

しかし今回司法省から発表された488ページに上る報告書には新しい情報も含まれており、GRUの米国に対するハッキングに新しい光を当てるものとなっている。

GRUのエージェントは、ヒラリー選対のコンピュータシステムに侵入するために、わずか5日間でスピアフィッシング(特定標的攻撃)メールを選対の職員、ボランティアに大量に送りつけていた。

GRUのハッカーはヒラリー選対の委員長、ジョン・ポデスタ氏のメールアカウントにも侵入しており、この内容は後に公開された。

GRUはハッキングで得られたパスワードなどの認証情報を利用して数日後には民主党議員選挙対策委員会のシステムに侵入することに成功した。GRUのハッカーはシステム管理者のログイン情報を得てサーバーに対する「無制限のアクセス」が可能になり、数週間で民主党ネットワーク内の29台のコンピューターに侵入することができた。

GRUのハッカーはファンシーベア(Fancy Bear)というニックネームで知られていたが、内部には特定の任務を担当するユニットが存在した。ムラー報告は特にユニット26165を米政府、政党のハッキングを行うグループとして認定している。報告ではこのユニットを「DCCC(民主党議員選対)、DNC(民主党全国委員会)およびヒラリー・クリントン選対と関係者を主たるターゲットとする組織」と述べている。

ハッカーは参加ユーザーのパスワードなどの情報を入手するためにMimikatzなど数種類のツールを用いていた。MimitatzははWindowsコンピューターのメモリをダンプしてパスワードなどの認証情報を入手するハッキングツールだ。X-Agentはユーザーのコンピューターのスクリーンショットとキー入力ログを得られる。X-Tunnelはハッキングしたネットワーク内の大量のデータを素早くGRUのサーバーにコピーできる。

ムラーはユニット26165はGRU自身のサーバーとターゲットのサーバーの間に「中間サーバー」を何段階か挟むことで直接の関連を隠そうとしたと認定している。ムラーによれば、こうした中間サーバーはアリゾナに設置されていたという。これは注目を避け、外国勢力介入の証拠を残さないためだったのだろう。

この作戦でヒラリー・クリントン選対のサーバーに保存されちた情報70GBのすべてと民主党全国委員会の300GBのデータの一部がロシアの手に渡った。

一方、ハッキングで入手した情報を公表、拡散すためにGRUは別の組織を作っていた。ユニット74455は不正に入手したデータを拡散するとあめに2つの架空の組織、人物を作り上げた。DCLeaksはハッキングされた資料をホストするウェブサイトで、Guccifer 2.0はジャーナリストに対応するハッカー代表の役割だった。

米政府の圧力を受けてソーシャルメディアはこの2組織のアカウントを停止した。その後、ハッキングされた数千のファイルの内容はWikiLeaks.を通じて公開されている。

ムラーの報告には2016年7月のトランプ(当時)候補の発言とハッキングの関係についても述べている。「ヒラリー・クリントン候補のサーバーから行方不明になっている3万通のメールが発見されることを望む」とトランプ候補が記者会見で述べた。クリントン候補は国務長官になった後も私的サーバーで公的メールをやり取りしていたが、調査時に大量のメールが紛失していることが問題となった。ムラーによれば、トランプ発言の「およそ5時間後」にGRUのハッカーはヒラリー・クリントン候補のオフィスをターゲットにし始めたという。

Unit 26165のターゲットにはヒラリー選対の幹部も含まれていた。ムラーは「これらのメールアカウントは一般に知られていなかった。GRUがどのようにしてこれらのアカウントの存在を知ったのかは不明」だと述べている。

ムラーによればトランプ選対は「ヒラリー・クリントン(が国務長官だった時代の)私的サーバーから消えたメール」を発見しようと努力していたと述べている。トランプはマイケル・フリン氏(安全保障担当補佐官に任命されたがロシア疑惑で辞任)との私的会話でこうしたメールの内容をロシアから得ることができないか尋ねている。この紛失メールを探した人物の1人が2017年5月に自殺したピーター・スミス氏だった。iスミスはロシアのハッカーと接触があったと非難されていたが、ムラー報告は事実ではないとしている。

こうしたトランプ選対の行動はキャンペーン全体を違法なものとするものだったとはいえない。ではすべて合法的だったか?そうではないかもしれない。

CNNの法律千専門家、Elie Hon氏によれば、 「現行法規の下では、ハッキングによって得られた情報を公表しても公表者自身がハッキング行為を共謀したのでないかぎり違法とはならない。特別検察官の報告はトランプ選対の関係者がハッキングで得られた情報を拡散したことがないとは言っていない」ということだ。

画像:Gattyimages

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Uber CEOのTravis Kalanickが経済諮問委員を辞任

kalanick14

Uber CEOのTravis Kalanickがトランプ大統領の経済諮問委員会から離脱した、とするRecodeNew York Timesの報道内容をTechCrunchが確認した。Kalanickは、SpaceX CEOのイーロン・マスクも参加している、昨年末に設立された諮問委員会で、アメリカ現地時間の2月3日にトランプとビジネスに関する議論を行う予定だった。トランプと直接仕事をするという彼の決断は多くの批判を浴び、Kalanickとトランプ政権の関係性は、少なくとも最近ソーシャルメディアで巻き起こっている#DeleteUberキャンペーンが発足した理由のひとつとなっている。さらにこのキャンペーンの結果、Uberは初めてライバルのLyftに、人気ナンバーワン配車アプリの座を奪われることになった。

諮問委員辞任のニュースは、Kalanickとトランプの関係性についての不満を公言する人もいた、UberユーザーとUberの従業員どちらにとっても良い知らせとなるだろう。New York Timesが入手した社内メールによれば、Kalanickは従業員に対して、諮問委員会への参加は「トランプ大統領や彼のアジェンダへの支持を表明するものではない」が、「残念ながら」そのように受け取られてしまったと伝えたとされている。また、ニューヨークシティで活動するUberドライバーの独立組織は、2月2日にKalanickの諮問委員辞任を求める嘆願書を提出後、彼が実際にアクションをとったことに「励まされた」とTechCrunch宛のメールで語った。

移民規制に関するトランプの大統領令に対する反応として、Kalanickは2月3日の委員会で、件の大統領令についての懸念事項をトランプ自身に伝えるつもりだと以下のようにFacebook上で語っていた。

各国政府がそれぞれの移民規制策をとっている一方で、アメリカは建国当時から世界中の人々を迎え入れて、アメリカを彼らの新しい母国にするという政策をとってきました。つまり今回の大統領令によって、多くの無実な人々に悪影響が及ぶ可能性があります。私は金曜日にワシントンへ行き、トランプ大統領の初となる経済諮問委員会で、この問題を議題のひとつとして取り上げます。

既に諮問委員を辞任したため、もうKalanickは移民問題を委員会で取り上げることはできないが、2月2日に送られた社内メールで彼は「移民規制の大統領令や、大統領令が持つ私たちのコミュニティへの影響について、トランプ大統領と話をしました」と述べ、さらに諮問委員を辞任する旨をトランプに伝えたと記した。

以下がTechCrunchの入手した、従業員宛のKalanickの言葉だ。

「従業員の皆様へ

私は本日、移民規制に関する大統領令や、この大統領令によって発生する私たちのコミュニティにとっての問題点について、トランプ大統領と話をしました。さらに彼には、私が経済諮問委員会へ参加できないという旨も伝えました。同委員会への参加は、トランプ大統領や彼のアジェンダへの支持を表明するものではありませんが、残念ながらまさにそのように受け取られてしまいました。本件に関して熟考を重ね、私たちの企業文化と照らし合わせた結果、特に関連性が高いと思われた項目は以下の通りです。

Inside Out ー Uber(もしくは私)がトランプ政権のアジェンダを支持しているという憶測によって、Uberの外にいる人のUberに関する認識と私たちの実態の間に、ギャップが生じてしまいました。

Just Change ー 私たちは、アクションを起こし続けることで、最終的に何かを成し遂げることができると信じなければいけません。移民規制に関してだけでも、私たちなりに貢献する方法はたくさんありますが、諮問委員であり続けることがその障壁になると判断しました。今回の大統領令によって、アメリカ中の人々が痛みを感じています。家族は引き裂かれ、移住希望者は海外に取り残され、アメリカはもはや移民を迎え入れる国ではなくなったのではないかという不安が強まっています。

移民や難民の受け入れは、アメリカ、そして正直に言うとUberの成功の鍵でもあります。私はThuanやEmilのように、より良い生活を手に入れようと、難民としてアメリカに移住した人々と直接一緒に仕事ができることを大変誇りに思っています。従業員の皆さんや皆さんの家族、さらには痛ましい経験をした何千人ものドライバーの皆様にとっては、つらい一週間であったとお察しします。

火曜日に皆さんから伺った質問やお話、さらにはドライバーの方々から伺ったお話をうけて、私は立ち直り『Be Yourself(自分らしくあれ)』という私たちが最も大切にする価値観のひとつを思い出しました。私たちが将来への希望を持って安心して自分らしくいられるように、私たちのコミュニティにいる移民の人権のために戦っていきましょう。

Travis」

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

未来のアメリカの雇用は、石炭ではなくハイテク産業が切り拓く

Rows of office workers working on computers with data streaming

【編集部注】著者のAbinash TripathyはHelpshiftのCEO兼共同創業者である。

ドナルド・トランプが選挙に勝ったとき、シリコンバレーの多くの者は当惑した。「いったいどうすれば、政治経験もなく落ち着きのないツイートを垂れ流す偏屈な億万長者が、米国大統領選挙に勝てるんだ?」彼らは自問した。

リベラル陣営は、この国に対する「私たち」(テクノロジー産業で働く上流のリベラル)のビジョンと「彼ら」(ブルーカラー労働者)のビジョンの大きな乖離にその理由を見出そうとしている。私たちが直面しているのは、集団的アイデンティティクライシスだ。この「ポスト真実」の世界で、ベイエリア政治とこれほどまでに対立する人物が、この国で最も重要な民主的に選ばれる座を勝ち取ったことに、完全に困惑しているのだ。

だが、それはシンプルなことなのだ。シリコンバレーがラストベルト(Rust Belt)から完全に切り離されていたことこそが、トランプの勝利した理由なのだ。策謀と、アウトソーシングと、そして工業化時代の決定的な終焉が彼を勝たせた。私たちのイノベーションこそが理由でトランプは勝ったのだ、「私たち」が「彼ら」に仕事を与えて来なかったからだ。

仕事はどこに消えた?

1960年には、アメリカ人の4人に1人は製造業の仕事をしていたが、現在その数字は10人に1人以下だ。工業化時代は終わった。米国の石炭採掘は2008年に比べて25%減少していて、このことで4年間に5万人の職が失われた。鉱業全体では、2014年以来19万1000以上の職が失われている。

とはいえ、これは特に目新しい話ではない。20世紀の後半に、私たちは情報化時代を迎えた。経済が伝統的な産業への依存から、コンピューターとデジタル情報への依存へとシフトしたことで特徴付けられる時代だ。アウトソーシングに加えて、中産階級の労働者は現在新しい競合相手に直面している。自動化だ。ドナルド・トランプが彼の選挙運動に用いたこの社会現象の中で、アメリカの中産階級は減少し、ブルーカラー労働者は失業している。

しかしトランプは、アメリカ人の失業の現実を、非論理的なソリューションへと導いた。私たちは鉱業を取り戻さなければならない、時間を遡り、情報化時代の前へ戻って、「アメリカを再び偉大な国にするのだ(make America great again)」と。彼は「私たちの炭鉱労働者と製鉄労働者を仕事に戻すのだ」と述べた。それこそが「この国を再建するアメリカの手だ」と。

私たちは、グローバルな競争に先んじる場所に私たちを置いてくれる、新しい革新的な産業に焦点を合わせる必要がある。

目標自身はもちろん極めて妥当なものだが、その目標を達成するために彼が取ろうとしている手段には意味がない。トランプは鉱業や石炭産業の衰退をアウトソーシングや政府施策のせいだと言うが、実際にはそれは市場の変化によるものなのだ。天然ガスと再生可能エネルギー源がますます手頃な価格となり、多くの場合、石炭に対してさえ拮抗し得るものになっている。

実際、これらの産業は、石炭産業の衰退と並行して成長してきたのだ。ソーラー業界は年に20%の率で成長し、研究によれば、ほとんどの石炭労働者はソーラー業界内の同様の仕事に向けて、容易に再訓練できることが分かっている。私たちには、石炭産業を再構築する必要はない。私たちは、グローバルな競争に先んじる場所に私たちを置いてくれる、新しい革新的な産業に焦点を合わせる必要がある。

自動化が、アメリカ本土に雇用を呼び戻している。

シリコンバレーに居る私たちにとっては、明らかなことだが、テクノロジー産業は現在670万人の人びとを雇用していて、この25年以上に渡って事実上すべての新しい民間の雇用は、創業5年未満の企業によって生み出されている。

「実際、1988年から2011年の間に、創業5年以上の古い企業は、8年分を除けば破壊した雇用の数が創出した雇用の数を上回っている」とKauffman財団のJason WiensとChris Jacksonは書いている

新興市場の方が、(石炭産業のような)伝統的な市場よりも、多くの雇用機会を創出していることは注目に値する。更に、もし歴史が未来の何かを指し示すことがあるとすれば、自動化の推進は既存の産業の中に仕事を注入していく結果に繋がるだろう。

例えばThe AtlanticのJames Bessenは、最近パラリーガルの仕事の大部分が電子的検索ソフトウェアによって自動化されたことを取り上げている。だがその結果、弁護士やパラリーガルが解雇されたかといえば、このセクターの仕事は、全体的な労働力以上に成長しているのだ。実際に、1980年以来平均して、「平均以上にコンピューターを使う職業」は、平均または平均以下の使用しか行わない職業に比べて「より速く(年0.9%)成長している」のだ。

この理由は極めてシンプルだ。「低価格化によって十分な需要が掘り起こされるなら、雇用は自動化を伴って増えるだけで、減ることはない」。言い換えれば、自動化が生産性を上げ、それにより価格が下がり、その結果需要が増加するということだ。

需要が増えるにつれ、新しい従業員が必要とされるようになる。こうした従業員はアメリカ人である可能性が高い、なぜなら(a)企業にはそうできる余裕がある、(b) これからの労働者は、これまでは(アウトソーシング先の)カウンターパートの労働者によってなされていた単純な仕事よりも、さらに高度なスキルを身に付ける必要がある。

ハイテク業界は、アメリカからのアウトソーシングを削減することができるし、そうすべきだ。

カスタマーサービス産業界の起業家の1人として、アウトソーシングと自動化(仕事を失わせる2つの主な要因)の両者は身につまされる。この選挙で、私はアウトソーシングへの政略が、(アウトソーシングで悪名高い)カスタマーサービスのミクロ経済に反映されるところを見てきた。

何年もの間、経済論理が、顧客サービスの仕事をインドやフィリピンといった海外へと移管し続けていた。世界的なコンタクトセンターが使う費用は年間3000億から3500億ドルに及び、そのうちの20〜25%をサードパーティへのアウトソーシングが占めている。

コールセンターが顧客サービス産業を支配したことで、サービスの品質は低下した。なぜなら顧客は、言語に対するしっかりとした理解もなく、適切な訓練もなされていない海外の従業員とやりとりを強いられることになったからだ。私たちは今、転換期にある。チャットやメールなどを用いた効率的な通信モードを好む消費者たちの嗜好は、電話による労働集約型のコンタクトセンターへの、企業の依存度を低めている。これはまた同時に、カスタマーサービスコストを押し下げている。

スマートフォンや、アプリ、そしてコネクテッドデバイス(インターネットに接続された車やサーモスタットなど)の時代は、顧客とその利用履歴に関する大量のデータを生成するため、顧客との対話は今やとても効率的になっている。これにより、カスタマーサービスの仕事を、アメリカ本土に呼び戻す経済的余裕が生まれたのだ。テクノロジーがカスタマーサービスをとても効率的にしたことで、企業はそれほど沢山の人を雇用する必要がなくなったのだ。500人の外国人の代わりに、40人のアメリカ人を雇用することができる。

自動化とテクノロジーが、アウトソーシングへの依存を減らす。

カスタマーサービスの自動化が離陸し始めた2012年頃、カスタマーサービスの仕事は米国への回帰を始めた。ある記事が指摘したように、カスタマーサービスの仕事は「経済の、よりサービスの行き届かないニッチな場所へフィットする。カスタマーサービスの仕事は、スキル不要の仕事ではない。基本的な電話とコンピューター操作能力に加えて、良いコミュニケーションスキルが求められるものなのだ。とはいえ、そのためには大学の卒業資格は不要で、訓練は仕事を通して行うことが可能だ。2010年には、こうしたカスタマーサービスの仕事が210万以上あったが、労働統計局は、その数が今後10年間で15%は成長すると見込んでいる」。

言い換えれば、自動化とテクノロジーがアウトソーシングへの依存を減らすのだ。ハイテク業界は、プロセスを合理化し自動化することで、アウトソーシングを止めることができるほどコストをカットできる能力を持っている。これはカスタマーサービス産業だけの話ではなく、エネルギーでも、自動車産業でも、そして共有経済のような新しい産業の中にも見出すことができるものだ。

シリコンバレーはアメリカを再び偉大な国にすることができる

複数の研究で、消費者たちは、本当にアメリカで作られた製品を購入することが好きだということが示されている。ちょうど私が、カスタマーサービスを探す人びとは、インドの誰かと電話で話すよりも、アメリカ人従業員とインスタントメッセージをやり取りすることを好むということに気が付いたように。私たちの望みは皆同じだ:アメリカ人の雇用、アメリカ製のプロダクト、そしてアメリカ人のカスタマーサポート。

唯一の課題がコストだ。そしてそれこそ、シリコンバレーが、自動化を使って米国に雇用を呼び戻す義務を、国に対して負うべき理由だ。私たちには石炭は不要だ。私たちにはカスタマーサービスが、私たちにはソーラーエネルギーが、そして私たちには自動運転車が必要なのだ。

シリコンバレーがラストベルトと切り離されている必要はない。私たちは隔離された世界に生きている訳ではないのだ。私たち双方が、問題と可能なソリューションの一部だ。私たちが現在目にしている技術革新は、全国規模の経済的な機会だ。単に経済に良い影響があるというだけでなく、企業にとっても良い結果となるからだ。自動化がアメリカ人の雇用を取り戻すことができる。そのことで、より高品質の仕事と、アメリカの偉大な新時代が生み出されることだろう。そして、それはこれまで私たちを世に知らしめていたものの存在を証明することになる。その名は「イノベーション」だ。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Ford、GM、FCAのCEOがトランプと会談、環境規制や雇用創出について議論

US President Donald Trump speaks alongside General Motors CEO Mary Barra (L) and Fiat Chrysler CEO Sergio Marchionne (2nd R) during a meeting withautomobile industry leaders in the Roosevelt Room of the White House in Washington, DC, January 24, 2017. / AFP / SAUL LOEB        (Photo credit should read SAUL LOEB/AFP/Getty Images)

トランプ大統領は、現地時間24日(火)に米大手自動車メーカー3社の重役との会談を行い、アメリカ国内での工場の建設や生産量増加に向けた彼の思いを共有した。会談でのトランプのコメントは、選挙活動中や就任直後のTwitterやその他のメディアにおける彼の発言内容を反映したものだった。

規制カットを明言した彼は、”75%か恐らくそれ以上”の規制を廃止することができるだろうと話し、以前の発言の通り、新しい工場を設立する際の承認プロセスの短縮化を目指すと語った。また個人的な意見として、環境保護活動が全般的に「手に負えない状態」にあると述べた。以上はFCA CEOのSergio Marchionneが会場内にいるときのトランプのコメントで、FCAは排ガス試験を逃れる違法なソフトウェアを使用していた疑いで、現在環境保護庁(EPA)司法省による調査を受けている。

他にもGM CEOのMary BarraとFord CEOのMark Fieldsが会談に参加しており、いわゆるビッグ3のトップと大統領が一堂に会するのは、オバマ政権時代の2011年に行われた、2025年までにエネルギー効率を2倍にするという目標設定に関する会談以来だった。そしておわかりの通り、今回の会談の趣旨は前回のものとは大きく異なる。

US President Donald Trump greets Ford President and CEO Mark Fields (C) prior to a meeting with automobile industry leaders in the Roosevelt Room of the White House in Washington, DC, January 24, 2017. (Photo: SAUL LOEB/AFP/Getty Images)

Fordの社長兼CEO Mark Fields(写真中央)を迎えるドナルド・トランプ大統領。ホワイトハウス内ルーズベルトルームでの会談前。2017年1月24日ワシントンD.C.(写真: SAUL LOEB/AFP/Getty Images)

Fieldsは「トランプ大統領と彼が推し進めている経済政策には、とても勇気づけられています」と話し、TPPからの離脱を決めたトランプの判断を、彼が新政権とうまくやっていけると考える理由のひとつとして挙げた。

「トランプ大統領そして彼の政府と、税金や規制、貿易に関する政策に一丸となって取り組み、アメリカの製造業を復興させていくのを私たちは楽しみにしています」とFieldは会談後に記者の質問に対して答えた。

さらにGM CEOのMary Barraは「政府と自動車業界が一致団結することで、環境問題の改善や安全性の向上、そして雇用の創出や製造業の発展を実現する大きなチャンスが生まれるでしょう。Markの話していたような政策がそのサポートとなることを願っています」と付け加えた。

会談後にある記者が、製造業の雇用をアメリカに残せというトランプの語気の強いツイートにひるみましたかと、FCAのMarchionneに訪ねたところ、彼はなんとも滑稽な間をおいて”いいえ”とだけ返した。その後FCAは、Marchionneからの声明を以下のようにメールで配信した。

アメリカをビジネスのやりやすい国にしようとしている大統領の動きをとてもうれしく思っています。トランプ大統領やアメリカ連邦議会と一緒に、アメリカの製造業を強化していくのか楽しみです。

トランプは実質的にEPAを閉鎖し、政府による予算や政策のレビューを受けるまで全ての関連機関の活動を中止させたと報じられており、これは政権移行期だということを考えても異例の事態だ。さらに彼は、環境保護団体の反対を押し切って、キーストーンXLパイプラインとダコタ・アクセス・パイプラインの建設を推進する大統領令へ署名し、アメリカ国内の原油供給源を確保しようとしている。

速報: トランプが自動車メーカーCEOとの会談で一部規制廃止を約束。環境保護活動が手に負えない状態だと発言。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

トランプ新政権はホワイトハウスのメディア・ルームにSkype記者4人分を追加する

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ショーン・スパイサーの大統領報道官としての仕事始めの一つはトランプ新政権が今週中に4人分のいわゆるSkype記者をプレス・ブリーフィングに追加するという発表だった。

この追加は従来ホワイトハウス内でクローズドで行われてきたプレス・ブリーフィングを広く一般に公開しようという試みだ。スパイサー報道官によれば、ワシントンDCから50マイル(80km)以上離れた場所に勤務し、ホワイトハウスのブリーフィング・ルームへの物理的参加を許可されていない記者に順繰りにSkypeによる参加の機会が与えられるという。

スパイサーはプレスに対して報道官としての最初の仕事の一つとして大統領就任式をめぐる騒動についての声明を行った。 スパイサーは多少の皮肉も込めて「ご存知のとおり、われわれには非常に大きな注目が集まっている。関心を持つ人々の数は多い。そこでこのブリーフィング・ルームをさらに開放する試みを実施することを発表したい。今後、全国のジャーナリストにホワイトハウスのブリーフィング・ルームへの出席のチャンスが得られる」と述べた。

〔スパイサー報道官の発言は41分以後〕

当然予想される質問は、VoIPを通じて参加できるジャーナリストの範囲、審査や選択の方法だが、スパイサー報道官は質問をカットして詳細にわたることを避け、次のように述べた。

〔Skypeの利用によって〕アメリカ全土の多様なグループを代表するジャーナリストが出席できる。ワシントンに往復ないし常駐する便宜が得られないジャーナリストも参加できるようになり、この分野の開放が進むものと期待している。ワシントン周辺のジャーナリストのみに限られないオンライン・プラットフォームの利用できることはわれわれすべてにとって便益となるだろう。

ホワイトハウス・ブリーフィング・ルームといえば、ジャーナリストとしてエリート中のエリートが集まる場所として知られている。Skypeを経由する4人分の席はこのエリートの牙城に部外者が参加できる良い機会といえるだろう。しかし新政権はすでにメディアからの激しい激しい批判を集めており、これは今後も続きそうだ。Skypeシートの追加も含めてホワイトハウスがメディアとの関係をどのように扱っていくのか目が離せない。

画像:: Matt Wade/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

トランプ新大統領の活動をモニタリングするTrack Trumpがローンチ

trump2x

トランプ新大統領が以前発表した、就任から100日間のアクションリストの進捗具合をモニタリングするTrack Trumpというウェブサイトがローンチした。昨年の10月末に彼は、”ドナルド・トランプの有権者との契約書(Donald Trump’s Contract With The American Voter)”と題されたプランを発表し、クリーンな政府、アメリカ国内の雇用の保護、法治の復興を約束していた。Track Trumpの目的は、プランに記載されていたアクションリストの進捗具合をモニタリングし、新政権に公約を守らせることにある。

共同作成者の1人であるY Combinator社長のSam Altmanによれば、サイトはここ数週間の間に設計・作成された。

Altman以外にも、ヒラリー・クリントンの2016年大統領選キャンペーンに関わっていたAlec Baumや、博士課程で行政学を学んでいるPeter Federman、Mozilla Corpの元社員でReadMeファウンダーのディベロッパーGregory KobergerがTrack Trumpの作成に関わっていた。BaumとFedermanはフルタイムでサイトの作成にあたり、彼らの給与はY Combinatorからではなく、Altmanのポケットマネーから支払われた。

新プロジェクト:http://track-trump.com トランプ自身が明言した就任から100日間のゴールに関する毎日のアップデートと、全体の情報がまとまったダッシュボード

Track Trumpの説明文には、生活に影響を与える政策の変化を、市民がリアルタイムで追って理解することが重要だと作成者は考えているという内容が記載されている。

「新たな政府が今後何をしだすか分からない状況で、多くの人が自分たちの時間やリソースをどのように使うべきか考えあぐねているのではないかと感じたのが、このプロジェクトをはじめたきっかけのひとつです」とAltmanは話し「私たちはただ、新政権の動きをモニタリングする方法をつくろうとしていただけなんです。ダッシュボードを毎日見ていれば、往々にしてトレンドに気づきますからね」と付け加えた。

トランプ政権に責任を果たさせること以外にも、Track Trumpには実際の政策変更と「美辞麗句で飾り付けられた政治劇」をはっきり別けるという目的がある。

既に知られている通り、トランプは現状から何を変えなければいけないかや、彼が何をしようとしているかということをTwitter上で勢い良く公言していたが、言うは易し行うは難しだ。

screen-shot-2017-01-20-at-1-41-21-pm

そこでTrack Trumpは、彼のツイートや発言内容がうやむやにされてしまわないよう、政策変更という点に注目することで、文書に残された彼の公約と実際のアクションを比較しようとしている。

そしてその進捗具合をダッシュボード上で確認することができるのだ。

「スタートアップの評価に限らず、私はダッシュボードを使った進捗管理がずっと好きでした」とAltmanは説明し、Track Trumpの作成中にはニュースフィードなど他のモデルも検討されていたと話した。

サイト上には、Track Trumpがモニタリングしようとしている8つの政策カテゴリーが、それぞれに対応するアイコンで表示されている。移民、貿易、エネルギーと気候変動、連邦政府、経済政策、教育、健康保険、安全保障がその8つのカテゴリーだ。

screen-shot-2017-01-20-at-3-04-08-pm

そしてセクションごとに、トランプの就任後100日間の約束で触れられていた個別のアクションアイテムが記載されている。ひとつひとつの内容は元の内容からほとんど編集されておらず、トランプ自身の言葉をほぼそのままコピーしているか、ものによっては同文書からまるまる引用されている。

さらに何か起きるごとに、それぞれの項目の横に設置されたトラッカーの色がグレー(アクション無し)から、イエロー(何かしらのアクションがとられた)、グリーン(政策が施行された)へと変化するようになっている。また、政策が施行されなかったり、その内容が公式に変更されると、トラッカーの色が赤くなる。

個別の項目をクリックすると、現状がポップアップウィンドウ内に表示されるようにもなっている。

screen-shot-2017-01-20-at-1-43-05-pm

今朝の就任演説の通り、全ての項目はグレーの状態でスタートした。

各項目に関するアップデートや政策に関するニュースのまとめは、これから毎日ブログポストとしてTrack-Trump.comに掲載される予定だ。

作成者たちの政治的思想は左派寄りではあるものの、レポートの形式や、特定の政策変更に関する各メディアの報道の仕方を考えると、バイアスが入る余地はほぼないと言える。むしろTrack Trumpは、単純に何かアクションがとられたり、政策が施行されたり、取り消されたりすればそれを記録するだけだ。つまりこのサイトは行政命令と可決された法律にしか注目していない。

「政治的な思想に関わらず、新政府の活動を偏見なくモニタリングしたいと考えている人たち全員が便利だと感じられるようなリソースを作るというのが私たちの目的でした」とサイトには記載されている。

既に多くの報道機関がTrack Trumpのダッシュボードをニュースで引用していいかと問合せているようで、サイトが今日ローンチされたことを考えると、これはすごいことだ。もしもこの人気が続けば、トランプの就任から100日を過ぎてもサイトを継続するかもしれないとAltmanは話している。

その頃には他のスピーチや文書の内容にも触れるかもしれないと彼は言う。

ツイートはどうだろうか?

「ツイート内容は無視しようと思っています。その話はやめておきましょう」とAltmanは笑いながら言った。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

トランプ政権にチーフデータオフィサーが必要な理由

white-house-data1

【編集部注】執筆者のBob MugliaはSnowflake ComputingのCEO。

ほぼ全ての世論調査の結果、民主党候補ヒラリー・クリントンの勝利が確実視されていたにも関わらず、次期大統領ドナルド・トランプがサプライズ勝利を収めたことから、この選挙結果はクリントンだけでなく、ビッグデータの敗北をも表しているという話を聞くことがある。共和党ストラテジストのMike MurphyはMSNBCで「今夜、データは死んだ」とさえ語っていた。

実際のところ、彼の発言は現実をかなり誇張したものだ。もちろん、今回の選挙を受けて、世論調査の価値にはかなりの不信感が生まれ、調査手法の再検討が叫ばれており、これはしかるべき結果だ(これについては後述する)。しかし、ビッグデータがアメリカ中の企業にディスラプションや変化をもたらす原動力であり続けるという事実は、選挙結果をもってもしても変わらない。

IDCは、1年間に生まれるデータ量が、2025年中に180ゼタバイト(=180兆ギガバイト)に達すると予測している。これは今日の数字の18倍にあたる。1ゼタバイトとは、書類がいっぱいに詰まった引き出しが4つ取り付けられたキャビネットを、一列8万台で地上から縦に積み上げて、月に届くくらいのデータ量だ。

さらにIDCは、ネットワークに接続されたデバイスの数が、現在の200億台から2025年までに800億台へと増加すると予想しており、「少しでも価値のあるものは全てインターネットに接続されるようになる」とまで語っている。市場や顧客の分析・予測、ワールドシリーズ制覇の推進力いうのはまだ序の口で、私たちはまだ世界中の全てのデータを利用しはじめた段階にしかない。

ビッグデータは、新たな市場・収入源の発見、ヘルスケアや科学研究分野でのイノベーション、さらには国家単位でのセイバーセキュリティ強化にも大いに役立つ。そのため、アメリカ政府上層部にもビッグデータを推奨するリーダーのような存在がいてもおかしくない。だからこそ、次期大統領のトランプは、アメリカ初のチーフデータオフィサーを設置すべきなのだ。

トランプの根っこはビジネスマンであり、ビッグデータはビジネス面でも目を見張るほどの可能性を持っている。

Twitterの利用を除いては、あまりテクノロジーに関連したイメージを持たれていないトランプも、データ周りの重要な構想を支持することで、雇用を生み出そうとしている前進的な大統領だというイメージを作りあげることができる。

トランプの根っこはビジネスマンであり、ビッグデータはビジネス面でも目を見張るほどの可能性を持っている。

IDCによれば、ビッグデータとビジネスアナリティクスの市場規模は、昨年の1220億ドルから、2019年には50%増の1870億ドルまで膨らむと予想されている。さらにForresterは、ビッグデータ関連のテクノロジー市場が、IT全般の市場に比べて3倍の速さで成長すると考えている

またトランプは、チーフデータオフィサーを任命することで、新政権がテクノロジーを需要な経済成長エンジンとしてサポートしようとしているという意思を国民に伝えることができる。Amazonに対する反トラスト運動や、Appleに対する国内生産の強要といった内容が含まれる彼の公約によって傷つけられたシリコンバレーとの関係性も修復に向かうかもしれない。

次期大統領のトランプが、現大統領のオバマほどシリコンバレーと仲良くなる可能性は極めて低いが、チーフデータオフィサーの指名によって、トランプは現在ほとんどいないであろう、シリコンバレーのファンを増やすことができるかもしれない。トランプ自身は、シリコンバレーでの自分の評判を気にしていないかもしれないが、彼とシリコンバレーが協力する道が見えれば、それはアメリカにとって大きな財産となる。

オバマ大統領は、初めて大統領に就任してからわずか3ヶ月の2009年4月に技術局(Office of the Chief Technology Officer)を設立し、同局は国内の消費者へどのようにデジタルサービスが提供されているかの管理や、テクノロジー関連の研究開発に対する連邦政府投資のコーディネート、STEM分野の発展促進といった機能を担ってきた。そして、Aneesh ChopraTodd ParkMegan Smithの3人がこの組織を率いている。

トランプは同局を保持しつつ、データに特化して業界を監視し、合衆国最高技術責任者とタッグを組むような新しい役職を作るべきなのだ。以下の人々を含め、官民どちらにもチーフデータオフィサーにふさわしい候補者はたくさん存在する。

  • Tyrone Grandison: 前商務省データ担当副局長で、以前に労働省と国勢調査のデータに関して協業していた。
  • Scott Hallworth: Capital Oneでチーフデータオフィサーを務め、過去25年間にわたり、企業のデータ戦略の最前線にいた。
  • Claudia Imhoff: Boulder Business Intelligence Brain Trustのファウンダーで、データインテリジェンス業界における思想的なリーダーとして知られている。
  • Guy Peri: Procter & Gambleのヴァイスプレジデントで、同社のデータ戦略のトップを務めている。

また、チーフデータオフィサーの役職をつくることで、トランプはビッグデータの戦略的な価値や、ビッグデータを使って何ができるかを理解しているということをアピールできると同時に、新しいプロダクトやビジネスモデルの創出を促進することができる。さらには、誤った世論調査の結果生まれた、ビッグデータは過大評価されているという間違った考えを正すことにもつながるかもしれない。

そもそも世論調査のデータ量は、ビッグデータと呼ぶには少なすぎる。典型的な世論調査には、エクセルで分析できてしまうほどのデータポイントしかない。世論調査とビッグデータには、1200世帯を対象にした1960年代の視聴率調査と、ユーザーの日々の視聴動向に関する何百万ものデータポイントを対象にしたNetflixの調査くらいの差がある。

アメリカ大統領選や7月に行われたBrexitに関するイギリス国民投票の結果から分かる通り、回答者の答えと行動は必ずしも一致しないため、信頼できるデータが世論調査から得られるかどうかというのは疑わしい。それとは逆に、顧客がショッピングサイトのどのリンクをクリックしたかに関する調査のように、ほとんどのビジネスデータは実際の行動に基づいている。また、世論調査会社がそれまでの調査をもとに最新のデータに改変を加えることで、調査結果にはさらなるバイアスが生まれてしまう。つまり世論調査の問題点は、データ自体に間違いが含まれているということなのだ。

関係者は今回の結果を冷静に受け止め、現状の世論調査のアプローチには穴があり、改善が必要だと認めている。その解決策として、Facebookのようなソーシャルプラットフォームを利用した現代的な手法をとれば、何千万人もの人々からデータを集めることができ、調査結果の正確さを担保できるかもしれない。ビッグデータは世論調査の失敗を招いたのではなく、むしろ2020年頃には、ビッグデータが解決策となり、世論調査がクラウド化するかもしれない。

ビッグデータは、ビジネスに革新的な変化をもたらす力を持っている。もしもトランプがテクノロジーについてひとつだけ理解する必要があるとすれば、それはビッグデータの力なのだ。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter