アイルランドのベッティング界ベテランが米国でラグビーに賭けNFT対応ファンタジースポーツ取引所を設立

アイルランドのベッティング界のベテラン、Paddy Power(パディー・パワー)氏が設立したファンタジースポーツ取引所が、グローバルな展開を目指し、NFT対応のライブトレーディングをラグビーファンに提供開始する。

American Sports Exchange(ASX Sports、アメリカン・スポーツ・エクスチェンジ)は、ニュージーランドのデジタルメディア企業であるRugbyPassと契約を結び、同社のデータを利用して、ASXが運営するラグビー試合の仮想株式市場にファンが参加できるようにした。

ASX Sportsは2021年5月に立ち上げられ、11月初めにApple(アップル)およびAndroidアプリストアで同社の取引所を公開した。この取引所では、ユーザーがeスポーツやファンタジースポーツ選手の仮想株式を売買することができ、選手のパフォーマンスやファンの需要に応じて、その価格がリアルタイムに反映される。Six Nations Rugby Championship(シックス・ネイションズ、6カ国対抗)に先駆けて、2022年初頭にASXの取引所でバーチャルラグビーゲームが開始される予定であると、パワー氏はTechCrunchのインタビューで述べている。

RugbyPassは、1千万人以上の視聴者にリーチするという。米国市場への進出を明確に掲げているASX Sportsにとって、欧州、オーストラリア、アジアで人気のあるラグビーは意外な選択のように思える。

しかし、ダブリンからマイアミに本社を移したばかりの同社は、スポーツ分析会社Gembaによると、880万人の熱心なラグビーファンがいるアメリカで、ラグビーの人気が高まっていることに賭けている。

「NFTは非常にエキサイティングなバズワードで、米国がその中心となっています。米国は次世代ファンタジー(スポーツ)の本拠地であり、それは事実上、当社がしようとしていることです。だからこそ、マイアミに拠点を置き、そのおかげで多くのチャンスを得ているのです」とパワー氏は語る。

ASX取引所のユーザーは、特定の選手の株式を購入・保有することができるが、NFTのオーナーとなるのは、スポーツチーム自身とそのスポンサーだ。ASXでのバーチャルチームのオーナーシップに関するパートナーシップ契約の細部については、各チームが個別に交渉することになるとパワー氏は述べている。

パワー氏は以前、彼の父親にあたるDavid Power(デビッド・パワー)氏の会社であるPaddy Power Betfair(パディ・パワー・ベットフェア)でマーケティングを担当していた。Paddy Power Betfairは2019年にFlutter Entertainment(フラッター・エンターテインメント)としてリブランドし、米国のスポーツベッティング最大手であるFanDuel(ファンデュエル)の株式の過半数を取得した。ASXは、米国の多くの州、特にニューヨークのような大きな市場がスポーツベッティングを合法化しようと動いていることから、NFLやNBAなどのリーグと提携するパートナーとして自社を位置付けたいと考えている。

ASXは、Disney(ディズニー)、Caesars(シーザーズ)、Fox Sports(Foxスポーツ)などの既存企業とのパートナーシップを獲得するために、急速に資金を調達しているが、その背景には、規制緩和がある。ASXは、5月のローンチに先立ち、クラウドファンディングで250万ユーロ(約3億2000万円)の資金を調達し、その資金で約30名の開発者チームを雇用した。

パワー氏によると、同社は2022年初めにシリーズAラウンドの調達を予定しており、現在、米国の一流スポーツフランチャイズやリーグとの交渉を進めているとのこと。

ASXは先週、初の公開ゲームを開催した。これは、イングランドのプレミアリーグのLiverpool(リヴァプール)対Arsenal(アーセナル)戦をバーチャルに再現したものだ。

「何千人ものプレイヤーが参加し、プレイ中に取引が行われるなど、非常に高いエンゲージメントを得ることができました。喜ばしいことです」とパワー氏は語った。

画像クレジット:under a CC BY-SA 2.0 license.

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Aya Nakazato)

レアル・マドリードやリヴァプールなどと提携するファンタジーサッカーNFTゲーム仏Sorareがソフトバンク主導で約743億円調達

フランスのスタートアップ企業であるSorareは、重要な資金調達ラウンドを実施したと発表した。SoftBank Vision Fund 2(SVF2)が6億8000万ドル(約743億円)のシリーズBラウンドを主導し、同社の評価額は43億ドル(約4700億円)に達した。

Sorareは、NFT(非代替トークン)をベースにしたファンタジーフットボール(サッカー)のプラットフォームを構築している。各デジタルカードは、イーサリアムのブロックチェーン上に固有のトークンとして登録されており、プレイヤーは他のプレイヤーとカードを売買することができ、取引はすべてイーサリアムブロックチェーンに記録される。

Sorareの特徴は、レアル・マドリード、リヴァプール、ユヴェントスなど、欧州で最も有名なクラブを含む180のサッカー組織と提携していることだ。これは同業他社にとって参入障壁となる。

今回の資金調達により、同社は新たなスポーツ分野への進出、米国でのオフィス開設、人材採用、マーケティングキャンペーンへの投資などを計画している。今後、他のプロスポーツ団体とのパートナーシップ発表も期待できる。

今回のラウンドには、SoftBank Vision Fundのチームに加え、Atomico、Bessemer Ventures、D1 Capital、Eurazeo、IVP、Liontreeも参加した。また、Benchmark、Accel、Headline、さまざまなビジネスエンジェルを含む、既存投資家からも再び出資を受けている。

Sorareは、プラットフォーム上で新しいカードを発行することで収益を得ている。プレイヤーはそれらの新発行カードを購入し、自分のコレクションに加えることができる。また、プレイヤーはチームを管理し、実際のパフォーマンスに応じてポイントを獲得することもできる。

時間の経過とともに、カードの価値は上がったり下がったりする。そのため、プレイヤーは他のプレイヤーとカードを売買することが多く、オークションを追跡するためのサードパーティウェブサイトも存在する。このプラットフォームでは、1月以降、1億5000万ドル(約163億9000万円)相当のカードが取引されている。Sorareは今のところ、プレイヤー間の取引からは利益を得ていない。

取引量はかなり多いものの、ユーザー増加の可能性はまだまだある。現在、60万人の登録ユーザーがおり、毎月15万人のユーザーがカードを購入したり、(ファンタジー)チームを編成しているという。2020年の第2四半期から2021年の第2四半期にかけて、同社の売上は51倍に伸びている。

Sorareの共同創業者兼CEOのNicolas Julia(ニコラス・ジュリア)氏はこう述べている。
「当社は、ブロックチェーンとNFTがもたらす計り知れない可能性が、サッカークラブ、サッカー選手、そしてそのファンが互いにより深いつながりを体験するための新しい方法を解き放つと考えました。これまでの成功に感激していますが、これは始まりに過ぎません。次のスポーツエンタテインメントの巨人を生み出し、より多くのサッカーファンや組織にSorareを提供し、世界中の他のスポーツやスポーツファンに同じ実証済みのモデルを紹介する大きなチャンスだと考えています」。

関連記事:NFTトレカゲーム「NBA Top Shot」のDapper Labsはマイケル・ジョーダンやハリウッドに支援され評価額2879億円に

SorareのシリーズBは、特にフランスのスタートアップにとっては巨大な資金調達ラウンドだ。ファンタジースポーツゲームは、新しい人々にNFTの世界に触れてもらう最良の方法の1つだ。NBA Top ShotがNBAファンに絶大な人気を誇るのもそのためだろう。

そして、これらのプラットフォームは、暗号資産取引を始めるためのすばらしいオンランプになっている。今後、Sorareでプレイする人が増えてきて、規制が厳しくなるかどうかが注目される。

画像クレジット:Sorare

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

日本版「ファンタジースポーツ」の普及を目指すスポーツ観戦視聴体験向上サービス「なんでもドラフト」が1.7億円を調達

日本版「ファンタジースポーツ」の普及を目指すスポーツ観戦・視聴体験向上サービス「なんでもドラフト」が1.7億円を調達

スポーツ・エンターテインメントの観戦・視聴体験を目的としたモバイルアプリ「なんでもドラフト」を開発するなんでもドラフトは6月28日、第三者割当増資による1億7000万円の資金調達の実施を発表した。引受先には、島田亨氏(USEN-NEXT HOLDINGS取締役副社長COO)、河田剛氏(スタフォード大学フットボールコーチ)、高蝶恵介氏(米国弁護士)などの投資家が含まれる。累計資金調達額は2億円に達した。

なんでもドラフトは、「リアルイベント連動型ドラフト会議アプリ」と銘打たれている。特にアメリカで人気のファンタジースポーツの形式を採り入れたものだ。ファンタジースポーツとは、あるプロスポーツで、好きな選手を集めて自分だけのオールスターチームを作ると、各選手の実際の試合での活躍に連動してチームのスコアが決まり、それで他の人たちのオールスターチームと対戦するというゲーム。海外では賞金が出るサービスもあるため、日本では賭博法や景表法に抵触する恐れがあった。「なんでもドラフト」は、そこを回避した合法的な日本版ファンタジースポーツを普及させ、新しいエコシステムを創出して日本のスポーツ界を盛り上げようとしている。

「なんでもドラフト」サービスのイメージ

スポーツ以外でも、エンターテインメント、社会、文化といった幅広いジャンルでも、それぞれのイベントで活躍する人たちのオールスターチームを作って競うこともできる。さらに、プロアマ問わず、スポーツ競技団体やチームに、試合以外でもファンに楽しんでもらうサービスの提供、テレビや新聞などのメディアとの連携も視野に入れている。

共同創設者でCEOの森井啓允氏は、TBSテレビに入社しスポーツ中継などを担当した後、宣伝プロデューサーを経て、退職後にニューヨークでMBAを取得。ソフトバンクに入社し、孫正義氏のスピーチライターをなどを務め、シリコンバレーに赴任してベンチャー投資を担当するといった経歴を持つ。

もう1人の共同創設者でCOOの並木啓悟氏は、慶応義塾大学在学中に公認会計士試験に合格し、PwCコンサルティングの米国公認会計士としてアメリカで活躍後、シリコンバレーに移住。カリフォルニア大学バークレー校でMBAを取得し、スタートアップの上場や資金調達を手がけてきた経歴の持ち主。双方とも日米のスポーツ事情とビジネスに精通している。

現在、「なんでもドラフト」は2021年後半のアップデートを準備中。収益の一部はスポーツ競技団体やパフォーマーへの支援および寄付にあてるという。また同社は、「世の中の廃棄を熱狂に変える!」というスローガンを掲げ、地方創生SDGs官民連携プラットフォームに参画。スポンサー企業から廃棄となる商品の提供を受け付けている。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
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