電子チケット発券のMOALA Ticketがロッキング・オン・ジャパンのCOUNTDOWN JAPAN 21/22イベントに採用

総合エンターテック企業のplaygroundは10月19日、電子チケット発券サービス「MOALA Ticket」(モアラチケット)が、ロッキング・オン・ジャパンが企画制作し2021年12月28~31日に開催するイベント「COUNTDOWN JAPAN 21/22」に採用されたことを発表した。同サービスにより、不正転売対策と新型コロナウイルス感染症拡大対策を同時に実現し、イベントの有観客開催に貢献するという。

MOALA Ticketは、playground独自の入場認証機能「MOALA QR」を搭載した電子チケットサービス。タブレット端末にQRコードと顔をかざすだけで本人確認・チケット認証・発熱検知を1人約1.5秒で同時に完了し、非接触・短時間・密回避での入場管理を実現できるという。またMOALA QRは、紙で持参したQRコードでも入場が可能で人数が増えても精度が落ちないため、電波が不安定な大規模興行やフェスイベントにも最適としている。

チケット販売業者・興行主はAPI接続するのみで導入できるほか、オフラインで電源不要、生体情報非保持という特徴も備えているという。

2017年設立のplaygroundは、スポーツ・エンターテインメント業界に特化した技術開発、コンサルティング、SI事業を行なう総合エンターテック企業。エンタメのデジタル化支援プラットフォーム「MOALA」の提供、コンサルティング・SIサービスの提供などを事業としている。

Robloxが年齢認証オプションを導入、音声チャット機能や開発者コミュニティのため

Roblox(ロブロックス)が、IDチェックと自撮りスキャンを組み合わせたユーザー年齢認証のオプションを導入する。このシステムは、ほとんどのRobloxのゲームをプレイする際には必要ないものの、Robloxが2021年秋以降に導入を予定している音声チャット機能への早期アクセスを希望する場合には必要となる。さらに将来的には、開発者が本人確認に依拠する新しい体験を作ることができるようになると、同社では述べている。

この認証システムは、Robloxのコアユーザーの多くが高齢化していることを認めたものだ。同社は2021年9月初め、新機能の「Spatial Voice(空間音声)」を発表した際に、ユーザーの50%が13歳以上になったと述べていた。最も爆発的に増えているのは、17歳から24歳の層だという。

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Robloxのゲーマーがゲーム中に実際の声で会話できるようになるSpatial Voice機能は、まずは13歳以上の5000人の開発者に提供される。彼らは専用に作られたRobloxコミュニティスペースで、音声チャットをテストすることができるようになる。より広いRobloxユーザー層への展開は、新しいモデレーションツールと安全機能を並行して実装する必要があるため、ゆっくりと進められるとのこと。年齢認証はそれらのツールの1つだ。

画像クレジット:Roblox

年齢確認は二段階で行われる。

Robloxのユーザーは、まずアプリを使って、IDカード、運転免許証、パスポート、その他の政府発行のIDをスキャンする。同社によると、このIDの原本データは保存しないという。その代わりに、匿名化された値が生成される。これによってRobloxは、ユーザーの実際の身元が明らかになるリスクを避けつつ、身元を確認することができる。同社はそのドキュメント上のデータを数千もの国際的なドキュメントタイプのライブラリと照合し、それが正当なものかどうかを判断する。ユーザーはIDをスキャンした後、画像ではなく生きている個人であることを確認するための自撮りを行う。システムを騙すための画像が自動的に送信されているわけではないことを証明するためだ。その自撮りした写真は、書類に記載されている人物と照合される。Robloxによれば、このプロセスは写真が撮影されてから数秒で完了するという。

ソーシャルプラットフォームにおいて、オプションのツールとしてID検証が提供されるのはごく一般的なことだ。例えば、Facebook(フェイスブック)では、支払いや寄付などのサービスを利用するユーザーの身元を確認するために、あるいはユーザーのプロフィールやFacebookページを検証するために、ユーザーにIDの検証を求めることがある。Twitterもアカウントを認証するために、IDの提示を求める場合がある。マッチングアプリのTinder(ティンダー)は最近、会員のために独自のID認証を導入している。

しかしRobloxの場合は、さらに一般的に使用されるものになるだろう。認証は将来的に、音声対応の新しいゲームや体験へのアクセスに結び付けられることになるからだ。同社は今後、音声チャットの年齢確認に他の方法を導入するかどうかについては、まだ明らかにしていない。

Robloxは、開発者やクリエイターが協力者を探す際に、信頼できる証としても、認証を利用できるようになると述べている。この場合、認証済みのステータスは、他のソーシャルメディアと同じような影響力を持つことになるかもしれない。この点に関して、Robloxは2021年の夏に、ユーザーがRoblox開発者コミュニティで仕事を探すことができるTalent Hub(タレント・ハブ)を起ち上げている。

年齢認証は、米国時間9月21日より順次導入されていき、今後数週間ですべてのユーザーが利用できるようになる予定だ。このオプトイン機能は、180カ国以上の13歳以上のすべてのユーザーに、デスクトップとモバイルの両方で、グローバルに提供される。

「年齢認証は、すべての人にとって信頼でき、楽しく、市民的なプラットフォームを構築するという当社の長期的なビジョンにおいて大きな節目となります」と、Robloxのシニア・プロダクト・マネージャーを務めるChris Aston Chen(クリス・アストン・チェン)氏は、発表の中で述べている。「このビジョンの一環として、我々は引き続き、ユーザーのプライバシーを常に尊重しながら、ユーザーの年齢を確認するシームレスな方法に取り組んでいきます。今後も、ユーザーがRobloxプラットフォーム上で、簡単かつ安全に身元証明を維持・保護できる新しい革新的な方法の導入を続けていき、新しく魅力的なソーシャル機能を解放して、すばらしい体験を一緒に作り上げ、楽しむことができるように取り組んでいきます」と、チェン氏は続けている。

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画像クレジット:Roblox

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンとチケット販売会社が連携、非接触の手のひら認証システムAmazon Oneがイベント入場システムに採用

Amazon(アマゾン)の小売店向け生体認証スキャナーである手のひら認証システムのAmazon Oneが、Amazonの店舗以外にも広がっている。米国時間9月14日、Amazonはチケット販売会社のAXS(アクセス)が他社で初の顧客になったと発表した。AXSはAmazon Oneシステムをイベント参加者が非接触で入場する方法としてコロラド州デンバーにあるRed Rocks Amphitheatre(レッドロック野外劇場)に導入する。

Amazon OneシステムがAmazon傘下の小売店以外で利用されるのはこれが初めてだ。エンターテインメント会場の入場システムに使われるのも初となる。Amazonは、AXSは将来的にさらに別の会場にもこのシステムを導入する予定だとしたが、会場や時期についての詳細は明らかにしなかった。

レッドロックでは、来場者は入場する前に専用ステーションでAXSモバイルIDとAmazon Oneを紐づけて使う。あるいは今後のAXSのイベントでスキャナーを使用するために、入場してから別のステーションで登録することもできる。登録にかかる時間は1分ほどで、来場者は片方または両方の掌紋を登録できる。セットアップが完了すると、チケット所有者はAmazon Oneユーザー専用の入場列を利用できるようになる。

AXSのCEOであるBryan Perez(ブライアン・ペレス)氏は発表の中で「我々はAmazonと連携し、最先端のイノベーションでチケット販売の未来を作っていくことをうれしく思います。迅速さ、利便性、非接触のチケット販売ソリューションが求められる現在、Amazon Oneを我々のクライアントや業界に提供できることにも期待しています。AXSはこれからも新しいテクノロジーを導入し、イベント前、イベント中、イベント後のファンのエクスペリエンスを向上させるセキュアでスマートなチケット販売サービスを構築していきます」と述べた。

画像クレジット:Amazon

Amazonの手のひらスキャナーはコロナ禍の2020年9月、コンビニのAmazon Go(アマゾン・ゴー)で利用者が手のひらを使って支払いをするシステムとして初めて登場した。このシステムを使うには、利用者はまずクレジットカードを挿入し、次に手のひらをデバイスにかざして、掌紋と支払い方法を紐づける。セットアップが済むと、利用者は手のひらを生体認証スキャナーに1秒ほどかざすだけで入店できる。利用者がスキャナーに実際に触れるわけではないので、Amazonはこのシステムを安全な「非接触」の支払い方法として売り込んでいる(コロナ禍が続いていることを考えると、非接触なのはありがたい)。

技術面に関しては、Amazon Oneはコンピュータビジョンのテクノロジーを活用して掌紋を生成しているという。

最初の導入から数カ月間で、Amazonはこの生体認証システムをAmazon Goの他の店舗や、Amazon Go Grocery(アマゾン・ゴー・グローサリー)、Amazon Books(アマゾン・ブックス)、Amazon 4-star(アマゾン・4スター) の店舗にも拡大した。2021年4月にはWhole Foods(ホール・フーズ)の一部店舗にも導入。掌紋の登録を推進するために、対象店舗で掌紋を登録すると10ドル(約1100円)のクレジットをもらえるプロモーションも実施した

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掌紋がAmazonのアカウントとリンクされれば、Amazonは顧客のオフラインでの行動からデータを収集し、いずれ広告やキャンペーン、おすすめに活用できるようになる。データは、顧客が明示的に削除するか、または最後の利用から2年以上経つまでは、Amazonが保有する。

AXSとの契約では、AXSで登録する利用者はAXSに対して、Amazon One IDを作成する目的で自分のメールアドレスをAmazonと共有することに同意する。ただしAmazonは、AXSのイベントに参加するAmazon Oneユーザーのチケットや購入に関する情報は一切AXSから受け取らないとしている。

このシステムは非接触の支払い方法としては興味深いが、こうした分野におけるAmazonの過去の事例からするとプライバシーの懸念がある。同社は過去に生体認証の顔認識サービスを米国の法執行機関に販売したことがある。同社の顔認識テクノロジーは、データのプライバシーに関する訴訟の対象となった。また、Alexaの音声データはユーザーが自分のオーディオファイルを削除した後も保存されていることが明らかになった。

Amazonの対応としては、掌紋の画像は暗号化され、クラウドにあるAmazon One専用のセキュアな領域に送られて、そこで顧客の掌紋を生成するという。また取引がすべて処理された後で、顧客はデバイスまたはone.amazon.comのウェブサイトから登録を削除できるとも述べている。

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

問題があると見做される商品のみを扱う「リスクの高い顧客」に特化した本人認証プラットフォーム「A.ID」

リスクの高い顧客向けに特化したアイデンティティとコンプライアンスのプラットフォームを提供するA.IDは、RobinHood(ロビンフッド)、Square(スクエア)、Snap(スナップ)の元従業員を含むエンジェル投資家から50万ドル(約5500万円)の資金を調達したプレシード投資ラウンドを終了した。

このスタートアップ企業は、従来のフィンテック企業や銀行が対応できない市場、すなわち、問題があると見做される商品のみを扱っている「リスクの高い」顧客の増加に対応しているという。例えば、合法的な大麻産業は毎年67%、暗号資産は46%以上の成長を遂げている。その一方で、銀行口座を持たない人や持てない人の数は日々増加しているが、既存の金融機関はこれらの爆発的な市場に応えられていないように思われる。

A.IDは、金融とコンシューマーテック製品の両方で起業した経験を持ち、これが3度目の起業となるEkaterina Romanovskaya(エカテリーナ・ロマノフスカヤ)氏と、欧州でコンプライアンス・プロダクトを立ち上げた経験を持つ(Justinas Kaminskasジャスティナス・カミンスカス)氏によって設立されたB2B2Cプラットフォームだ。

ロマノフスカヤ氏は次のように述べている。「私たちの最終目標は、信頼を築くことです。エンドユーザーは企業を信頼して個人の機密データを託し、企業はユーザーが違法な行為をしないことを信頼します。私たちはこのような信頼が不可欠であると固く信じており、あらゆる場所で強く待ち望まれていると考えています」。

A.IDによれば、同社のソリューションを利用するクライアントは、顧客の身元確認とオンボーディング、標準的および強化されたデューデリジェンスの実行、ウォッチリストに対する個人や企業のスクリーニング、支払いの監視、コンプライアンスケースの作成と解決、疑わしい活動の規制当局への報告などを行うことができるという。同社のクライアントは、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を介して統合することもできるし、ウェブアプリケーションとして利用したり、SDKを使用したりすることも可能だ。

現在までに、新興産業向けのデジタルバンクであるArival(アライヴァル)や、クリエイター向けのソーシャルネットワークであるClos(クロス)などがユーザー認証に採用している。

「私は2017年に米国に永住しました。しかし、VCから適切な注目を集めるのに苦労しました。私は女性の創業者であること、移民の創業者であること、技術的な専門知識を持たない創業者であることなど、ベンチャー投資家に不人気ないくつかのカテゴリーに同時に当てはまりました。私が自力で起業した会社は、新型コロナウイルスの影響を受けて倒産するまで有機的に成長しました。私は2020年のロックダウン時を利用してデータサイエンスを勉強し、コードを学び、データエンジニアになりました。そして2020年9月にA.IDを設立しました」と、ロマノフスカヤ氏はTechCrunchに語った。

ロマノフスカヤ氏は、Twitter(ツイッター)でクレムリンを批判する風刺的な政治アカウントを共同設立し、ピーク時には200万人のフォロワーを獲得したことで、ロシアではTwitter有名人となった。2016年には、女性向けにパニックボタンを内蔵したファッショナブルなスマートリング「Nimb(ニム)」で知られる企業を共同設立している。

A.IDの本社は米国カリフォルニア州ロサンゼルスにある。欧州支社はリトアニアにオフィスを構え、EUで事業を行っている。

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画像クレジット:A-id.co

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

デートアプリTinderが任意の本人確認機能を全世界で近々利用可能に

Tinder(ティンダー)は米国時間8月16日「今後数四半期」のうちに、ユーザーはアプリ上で本人確認できるようになると発表した。この機能は2019年に最初に日本で公開された。当地ではユーザーが18歳以上であることを立証しなければならない。法律で定められている日本のような場所以外では、本人確認は「任意項目としてスタートする」とTinderがブログ記事に書いている。

本人確認は、写真検証機能と同じく全ユーザーが無料で利用できる。Tinderの広報担当者によると、同社は性犯罪者登録簿などを利用できる地域ではそのデータとの相互参照にも本人確認を使用する。すでにTinderは、ユーザーがサブスクリプション登録する際のクレジットカード認証にこの本人確認を行っている。利用規約によると、Tinderはユーザーに対して「重罪、性犯罪、あるいは暴力をともなう犯罪で有罪判決を受けたり、不抗告を申し立てたことがなく、いかなる州、連邦あるいは地域の性犯罪者登録簿にも性犯罪者として登録する必要がない」ことを要求している。

現在の写真検証機能では、ユーザープロフィールにTwitter風の青いチェックマークがつけられるが、本人確認では目につく別のバッジを取得できる。こうしてユーザーは、交際相手候補が写真検証か本人確認あるいは両方を通じて身元を確認済みであるかどうかを知ることができる。

「真に公正な本人確認方法を作ることは難題ですが、不可欠な安全プロジェクトであり、当社はコミュニティや専門家が、私たちのアプローチの情報収集に協力してくださることを願っています」と同社は 書いた

Tinderは、安全機能への継続的投資を行ってきたが、本人確認の効果は限定的だ。確認が任意であり、未確認ユーザーとの出会いを心地よく感じるかどうかが個人の責任に任されているからなおさら。しかし、2021年3月、Tinderの親会社であるMatch Group(マッチ・グループ)は、非営利の身元調査団体、Garbo(ガーボ)数億円の資金を投資した。Garboの身元調査は、暴力や虐待の履歴のあるデートアプリユーザーを検出するのに役立つ可能性があるが、どのようにTinderに統合されるのか、利用するには料金がかかるのかなどはまだ不明だ。ちなみにGarboは「公正な身元調査」を行うために、薬物所持および軽微な交通事故を対象から除外しており、これらの罪が弱い立場の人々に対して不均衡に課せられている現状を挙げた。

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Tinderは同社の本人確認にGarboの技術を使用しないと語ったが、秋にはGarboを通じた身元調査に関してさらに情報を提供する予定だとTechCrunchに伝えた。Garboから得られた情報へのアクセスが有料になるかどうかについて、Tinderは言及しなかった。Match GroupはGarboへの投資に際して、(この情報を有償で提供する場合)価格はユーザーの利用状況、すなわち何人のユーザーが使いたいか、何回検索したいかによって決定するつもりだと語った。

Tinderが安全機能に力を入れていることは明るい話題だが、もし有償提供であれば効果は限定的だ。Match Groupは2019年12月にColumbia Journalism Investigation(CII)およびProPublicaの調査が、同社が性犯罪者の排除を有料サービスのMatchで行っているが、Tinder、OkCupid(オーケーキューピッド)、PlentyofFish(プレンティーオブフィッシュ)などの無料サービスでは行っていないことを指摘したことで厳しい批判を浴びた。当時同社広報は次のように語った「当社の無料サービスに登録性犯罪者がいることは間違いありません」。

2020年1月、Raja Krishnamoorthi(ラジャ・クリシュナムルティ)下院議員(民主党・イリノイ州選出)はデートアプリのユーザー安全ポリシーの調査を実施し、Match Group、The Meet Group(ザ・ミート・グループ)、Bumble(バンブル)、およびGrindr(グリンダー)の各社にレターを送った。同氏は「性犯罪者からの保護は有料顧客に限定された贅沢であるべきではありません」。2月、Ann Kuster(アン・クスター)下院議員(民主党・ニューハンプシャー州)とJan Schakowsky(ジャン・シャコウスキー)下院議員(民主党・イリノイ州)は他の9名の議員の署名とともにMatch Group宛にレターを送り、Match Groupがユーザーの報告を性犯罪者登録簿と相互参照していないことへの懸念を表明した。

同時期にMatch Groupは、ユーザーの安全への投資を強化する動きをいくつか実施した。例えば2020年1月にNoonlight(ヌーンライト)を買収し、米国のユーザーが誰といつどこで人と会ったかをシェアできるようにした。危険な状況に陥った場合、ユーザーはわからないように緊急サービスを始動できる。Noonlightはまずユーザーと接触し、必要なら911に通報する(Noonlightの基本バージョンは無料だがApple WatchやGoogle Home、Alexaなどとの接続には月額5ドル(約550円)または10ドル(約1100円)のプランへのアップグレードが必要)。この種の機能は警察の介入に対する懸念から議論を呼ぶことがあるが、安心感を求めるユーザーには役立つかもしれない。しかし、登録前に犯罪者をブロックすることで、そもそもそのような介入の必要性を減らすことができる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Tinderデートアプリ本人確認

画像クレジット:Tinder

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

VUの本人確認技術が普及すれば運転免許証や指紋の提示が不要になる

近い将来、人々は自分のアイデンティティを証明するために指紋や運転免許証を提示する必要がなくなるだろう。そう、VUの思い描くとおりに物事が進めば。

アルゼンチンを拠点に詐欺や個人情報保護の対策をてがける同社は、シリーズBラウンドで1200万ドル(約13億2600万円)の資金調達を行ったと、米国時間7月12日に発表した。投資したのはソフトウェア開発企業のGlobant(グロバント)をはじめ、Agrega Partners(アグレガ・パートナーズ)、NXTP Ventures(NXTPベンチャーズ)、Bridge One(ブリッジ・ワン)、IDB Lab(IDBラボ)、Telefónica(テレフォニカ)など。今回の資金調達により、同社が受けた投資総額は2000万ドル(約22億1000万円)になると、Sebastián Stranieri(セバスチャン・ストラニエリ)CEOはTechCrunchに語っている。

過去20年間、サイバーセキュリティ業界で働いてきたストラニエリ氏は、2007年に彼の祖母がアルゼンチン政府に提出する本人確認手続きの手伝いに何時間も費やし、それが実は2分で済むと判明したことをきっかけに、VUのアイデアを思いついた。

「その経験から、摩擦のないデジタル体験の実現に貢献する会社を作りたいと思うようになりました」と、ストラニエリ氏はTechCrunchに語った。

VUの技術は、位置情報、生体認証、ユーザーの行動分析を用いて人の「オンライン上のペルソナ」を作成し、ユーザーに本人確認を提供する。ユーザーのオンラインとオフラインのペルソナを接続して照らし合わせることで、継続的な認証プロセスを可能にし、アルゼンチンやエクアドルなどの政府機関などに、その人が自分でいうとおりの人物であるかどうか、確認する方法を提供している。

VUは、2025年までに330億ドル(約3兆6500万円)を超えるとAdroit Market Research(アドロイト・マーケット・リサーチ)が予想する世界のデジタルアイデンティティ市場で、不正防止や本人確認にテクノロジーを応用しているいくつかのスタートアップ企業の1つだ。同様の技術で最近投資を獲得した企業には、2021年4月に5000万ドル(約55億2000万円)を調達し、評価額が10億ドル(約1105億円)を超えたSift(シフト)や、シリーズDラウンドで1億ドル(約110億5000万円)の資金調達を発表し、評価額が13億ドル(約1436億円)に達したSocure(ソキュア)などがある。

過去3年間で150人以上の従業員を擁するまでに成長したVUは、中南米と欧州で事業を展開している。顧客の中にはSantander(サンタンデール)やPrisma(プリズマ)などの大手企業や、中南米地域の政府機関も含まれる。同社は米国でも初のオフィスをニューヨークに開設しており、今後1年間で人員が4倍以上に増えることを、ストラニエリ氏は期待している。

同社の収益は前年比85%の平均成長率を示しているが、ストラニエリ氏は2021年もこの傾向が続き、2022年には100%の成長率を達成すると予想している。VUはニューヨークの他にマドリッドにもオフィスを開設し、今後はさらにイタリア、フランス、イギリスにもオフィスを開設する予定だ。

そのため、ストラニエリ氏は今回調達した資金を使って、欧州全土と米国で開発者を雇用する予定だという。

GlobantのVUに対する出資は、パートナーシップとしての役割も担うことになる。GlobantはGoogle(グーグル)、Disney(ディズニー)、Apple(アップル)などの企業にソフトウェア開発を提供しているが、VUのデジタル・エクスペリエンスをパッケージ化し、企業が基本ソフトウェアを購入した後にカスタマイズできるようにすることを考えている。VUの技術は今のところ、銀行の本人確認や、小売店のシステムが購入者を認識して確認するワンクリックのeコマースチェックアウトに適している。

「Globantはデジタル・エクスペリエンスを変革しようとしているので、同社がバックアップしてくれるということは、お客様やパートナーに向けて、我々がうまくやっているというすばらしいメッセージになります」と、ストラニエリ氏はいう。「Globantをはじめ、我々のすべての投資家からの支援は、リスクを顧みず、我々に成長する機会を提供してくれます」。

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:VU資金調達位置情報生体認証個人認証アルゼンチン中南米

画像クレジット:Kaer iStock / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ID認証の独IDnowが同業の仏ARIADNEXTを買収、新型コロナ追い風に事業好調

ドイツ拠点のID認証スタートアップIDnow(アイディナウ)が、リモートID認証とデジタルID制作を専門とするフランスの同業ARIADNEXT(アリアドネクスト)を買収する。両社は買収額を非公開としたが、情報筋から得たところでは取引はおおよそ5900万ドル(約66億円)だったとTechCrunchは理解している。

AI駆動から人間によるサポート、オンラインから店頭での認証オプションに至るまで、合併会社は総合的なID認証プラットフォームを提供することができる、とIDnowは話す。同社は英国、フランス、ドイツ、スペイン、ポーランド、ルーマニア、その他のマーケットでサービスを提供していて、2021年の売上高は2019年の3倍超を見込んでいる。

IDnowはまた、パンデミックにより企業がデジタルプロセスに切り替えたことから同社のプロダクトの使用が前年比で200%以上増えた、とも話す。

IDnowのCEO、Andreas Bodczek(アンドリアス・ボドゼック)氏は声明で次のように述べた。「ARIADNEXTとの合体は欧州広域でID認証・アズ・ア・サービスのソリューションのリーダーになるというビジョンに向けた重要なステップです。直近のTrust Management AG買収に加え、ARIADNEXTとともにIDnowは1つのプラットフォームを通じて顧客にさらに幅広いプロダクトをシームレスなユーザーエクスペリエンスで提供できます」。

ARIADNEXTの社長Guillaume Despagne(ギヨーム・デスパーニョ)氏は「IDnowのチームに加わり、欧州広域の顧客に安全で将来性のあるソリューションを提供するという共有するビジョンに向けて協業するために経験とスキルを合体させることを楽しみにしています」と述べた。

IDnowは、ARIADNEXTがレンヌ、パリ、マドリッド、ブカレスト、ヤシ、ワルシャワに置く拠点と125人超の従業員を維持する。買収は当局の承認次第だ。

この買収はIDnowが欧州のもう1つの同業大手OnFidoに肩を並べることを意味する。TechCrunchの理解では、IDnowは2021年5000万ユーロ(約66億円)超の売上高を達成し、2023年までに売上高を1億ユーロ(約131億円)とする目標を上回ることが予想される。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:IDnow買収個人認証ドイツ

画像クレジット:IDNow founders

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

オールインワンのID認証プラットフォームの認証済みID数が3億を突破したJumioが約166億円調達

デジタルアイデンティティサービスは、オンライン上の本人確認を行う組織と、そのサービスにログインする個人との間をつなぐ重要な役割を担っており、この1年間で急速に普及してきた。この度、デジタルアイデンティティサービスを提供する1つの企業が大規模な資金調達を発表し、市場規模の大きさを強調した上、この分野での中心的なプレイヤーとなることを目指していることが明らかになった。

生体認証、機械学習、コンピュータビジョン、ビッグデータなどを利用したID文書やログインのチェック、不審な金融活動や個人情報の盗難の防止など、さまざまなデジタルアイデンティティツールや技術を提供するプラットフォームを構築してきたJumioは、1億5000万ドル(約166億1000万円)のラウンド資金調達を完了した。パロアルトに本社を置く同社は、今回の資金調達により、同社のプラットフォーム上にさらに多くのツールを構築し、2021年の大きな成功を受けて、顧客の拡大にさらに力を注いでいきたいとしている。

現在、Jumioの主な事業はB2Bで、HSBCのような企業顧客にデジタルID認証を管理するためのツールを提供している。今後は、AI機能を拡張してマネーロンダリング対策を強化したり、保有するデータやツール、顧客のネットワークを活用して、個人がオンラインでより優れたID管理ができるようにするB2C製品の構築を検討したりするなど、さまざまな分野に投資していく予定だ。

インタビューに答えたCEOのRobert Prigge(ロバート・プリッジ)氏は「インターネットの基盤は、匿名性ではなくアイデンティティであるということが大きなポイントだと思います」と述べ、デジタルトランスフォーメーションの流れがその変化に拍車をかけているという。「ここ2、3年で大きな変化がありました。人々は元々、匿名性によって身を隠したかったのですが、今ではアイデンティティが重要な鍵となっています。オンラインバンキングにしても、ソーシャルネットワークにしても、リモートで信頼を確立できなくてはなりません」。

もちろん、匿名性は消えたのではなく、形を変えて存在する。データ保護規制は、現在主流となっているツールを利用する際に、必要に応じて個人情報を保護することを目的としている。英国などの国では、デジタルIDを使用または管理するサービスが共通のフレームワークで運用されていることを確実にし、ユーザー自身が適切な監視を行うことを目的とした規制をさらに強化している。これは、Jumioのような企業にとっての課題であり、チャンスでもある。つまりプライバシー保護を念頭に置きながら、アイデンティティの推進をどのように誘導していくかが課題となってくるということだ。

今回の資金調達は、Great Hill Partners(グレート・ヒル・パートナーズ)という単一の投資元によるもので、同社はCentana(センタナ)とMillennium(ミレニアム)に加えてJumioの株主となる。評価額は公表されていないが、プリッジ氏は、Jumioの現在のポジションを示すと思われるいくつかの詳細について言及している。

同氏は、Jumioが2020年1億ドル(約110億7000万円)の収益を上げたこと、2016年に1600万ドル(約17億7100万円)という控えめな額の資金を調達した後、今回は約5年ぶりの資金調達であること、そして今回の資金調達は、デジタルアイデンティティ企業にとって過去最大の単一ラウンドとなりそうであることを明らかにしている。

しかし、市場環境や技術の進歩に伴い、この分野にはかなりの勢いがあり、他にもデジタルアイデンティティやマネーロンダリング対策(AML)を目的としたベンチャー企業が続々と立ち上がり、成長し、資金を調達している。2020年だけでも、ForgeRock(9600万ドル[約106億2700万円]のラウンド)、Onfido(1億ドル[約110億7200万円])、Payfone(1億ドル(約110億7200万円])、ComplyAdvantage(5000万ドル[約55億3500万円))、Ripjar(3680万ドル[約40億7300万円))Truework(3000万ドル[約33億2100万円))、Zeotap(1800万ドル[約19億9200万円))、Persona(1750万ドル[約19億3700万円))などがあり、結局Jumioの資金調達が突出していないという事態になっても不思議ではない。

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一方、2021年初めのEquifaxによるKountの買収や、OktaによるAuth0の65億ドル(約7198億8800万円)での買収は、信用格付け機関や企業向けログインサービスを提供する企業など、市場の他の分野からの競争が激化していることを示しており、また、統合の傾向も大きくなってきている。

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新型コロナの流行の影響で、これまで対面で利用していたサービスの多くがウェブやアプリで利用できるようになったが、一方でその環境を悪用したサイバー犯罪も増加しており、これら双方の理由からID認証ツールの需要が高まっている。

Jumioは、こうしたサービスを提供している企業の中でも、大規模かつ歴史のある企業として注目されている。プリッジ氏によると、Jumioは現在、銀行グループのHSBCやユナイテッド航空、通信事業者のSingtelなどの超大手企業を含む約1000社の顧客を持ち、200カ国で事業を展開しているという。

また、さまざまな種類のツールを提供するプラットフォームアプローチを開発したことも特徴的だ。これは、他の多くの企業が、新規参入ということもあってより特殊な技術に焦点を当てたり、かなり複雑な問題の狭い側面に対処しているのとは対照的だ。とはいえ、同社の初期の仕事は、今でも主力となっているようだ。ユーザー認証プロセスを開始するために「読み取る」ことができる文書の数は、現在約3500に上る。そのおかげで、Jumioのプラットフォーム上で行われた認証は3億件を超えている。

「ほとんどのベンダーは、ユーザーが誰であるかを確認しますが、それが本当にユーザー自身であるかどうかは確認しません。だからこそ、生体認証が重要なのです。私たちは、これを総合的な開始プロセスだと捉えています。私たちは、AMLとKYC(Know Your Customer)を提供する数少ない企業の1つです」とプリッジ氏はいう。同社のAMLツールは、2020年のBeam Solutionsの買収によって得たものだ。

とはいえ、今回の資金調達は、浮き沈みの激しかった同社にとって大きなステップアップとなる。

誤解のないように付け加えておくと、プリッジ氏は、自分が経営しているJumioは同社の前身とは何の関係もないと、はっきりと述べている。

Jumioは10年ほど前に誕生し、携帯電話のカメラを使ってクレジットカードやIDをスキャンして決済を可能にする技術を駆使し、モバイル決済の初期プレイヤーとしてAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)氏やEduardo Saverin(エドゥアルド・サベリン)氏などの投資家から4000万ドル(約44億3100万円)近くの資金を調達した。事業は決算結果の虚偽記載や、おそらくその他の関連事項でも苦境に陥り、最終的には2016年3月に破産申請した。サベリン氏は(他の買い手が出てくることを促すためだったが)の事業を買いたがった。そして最終的にセンタナが85万ドル(約9400万円)というバーゲン価格で買い取ったのだ。

その結果、一部の事業(主にブランド戦略、事業コンセプト、一部の従業員)は破産を免れたが、旧Jumioの破産手続きは、ほぼ5年経った今でも続いている。初代創業者が、この混乱を最終的に終結させるために必要な書類を破棄したとして告発されていることもその理由の1つとなっている。

ここで注目すべきは、Great Hill Partnersが投資を行っていることだ。Great Hill Partnersは、ハイテク企業への投資を増やしているPEファームであり、レイターステージのスタートアップのラウンドに参加するPEファームが増えているという大きなトレンドの一部でもある。同社の関心は、ライバルの多い分野でリーダーとして台頭してきた一方でデジタル・アイデンティティという大きな機会を狙っている会社を支援することにあり、その価値は2019年の60億ドル(約6640億3200万円)から2024年には128億ドル(約1兆4166億100万円)になると予測されている。

Great Hill PartnersのパートナーであるNick Cayer(ニック・カイヤー)氏は、メールによるインタビューで、以下のように語った。「Jumioは、専門知識の豊富な経営陣、しっかりした製品ロードマップ、グローバルな展開など、すばらしい基盤を持っており、オンラインでの取引ややり取りの量、それにともなう不正行為が記録的な量に達している中で、同社は大きな成長を遂げようとしています。特に私たちは、同社のAIを活用した本人確認ソリューションであるJumio GoとKYCオーケストレーションプラットフォームに大きな信頼を寄せています。Jumioは、オンラインでの本人確認サービスに対する驚異的な需要に対応すると同時に、当然ながら、この分野における新たな進化を遂げた競合他社を凌駕しなければなりません。私たちは、Jumioがこの分野でのリーダーシップを維持するための適切な経営陣、革新的な製品ロードマップ、支援する投資家グループを有していると確信しています」。

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タグ:Jumio資金調達個人認証個人情報

画像クレジット:DKosig / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

アイデンティティ管理のOktaが新しい無料開発者プランを公開

米国時間4月6日、認証とアイデンティティのプラットフォームとして人気のOktaが、同社のOktane21カンファレンスで無料の新しい開発者エディションを発表した。現在の無料プランに比べて制限が少なく、利用できる月間アクティブユーザー数は大幅に増えている。

現在の無料プランでは月間アクティブユーザー数は最大1000人だが、新しい「Okta Starter Developer Edition」では最大1万5000人まで対応できる。これに加えてOktaは充実したドキュメント、サンプルアプリ、新しいSDKも発表し、Go、Java、JavaScript、Python、Vue.js、React Native、Spring Bootなどの言語やフレームワークにも対応した。

Oktaの最高製品責任者であるDiya Jolly(ディヤ・ジョリー)氏は筆者に対し「我々の全体的な哲学は『単に認証と承認のサービスを提供すること』ではありません。『アプリの開発者さん、アプリの一部として認証と承認を迅速に実装し運用するために必要な基盤を我々はどのように提供すればいいですか』と考えていくことです」と述べた。同氏は、Oktaはそれを実現するための独自のポジションにあると考えている。承認とアクセスを管理するツールだけでなく、マイクロサービスを保護しアプリケーションが特権リソースにアクセスできるようにするシステムも提供しているからだ。

画像クレジット:Okta

まだ完了はしていないものの、OktaがAuth0を買収し、Auth0の開発者ファーストのアプローチで開発者の戦略を大幅に拡張する意向であることも注目される。

関連記事:クラウドアイデンティティ管理のOktaが同業のスタートアップAuth0を約7000億円で買収

無料アカウントの拡張に関してジョリー氏は、開発者がプロトタイピングの段階でもっと多くの機能を利用したいと考えていることがわかったと話す。このため、新しい開発者エディションでは多要素認証、機器間トークン、B2Bの統合などに対応する他、ツールチェーンへの統合も拡張される。企業向けツールではよくあるように、無料エディションには通常の企業向けサポートは付属せず、有料プランよりもレート制限が低く設定されている。

とはいえジョリー氏は、中小企業はこの新しい無料プランでアプリケーションを作り本番環境にすることができるだろうと認めた。

「1万5000(の月間アクティブユーザー)は多いですが、我々の顧客ベースからすると実際の中小企業のアプリケーションには適正な数であり、これを目指していました。開発者の動きとしては、まず試してもらってそれからアップグレードして欲しいと思います。私は、このことが鍵であると考えています。無料であれこれ触って試すことができないのにそれを使って構築してみようと思う開発者はいません」とジョリー氏はいう。

画像クレジット:Okta

ジョリー氏は、アプリケーション開発のライフサイクル全体を通じて開発者をどうサポートしていくかについてOktaは長い時間をかけて検討したと語る。例えばOktaのウェブベースのコンソールをバイパスしたい開発者向けにCLIツールをさらに使いやすくしたり、TerraformやKong、Herokuなどのツールとも統合した。ジョリー氏は「現在、(開発者は)アイデンティティとOktaをエクスペリエンスの中にまとめる必要があり、あるいは他のアイデンティティを使う場合もありますが、我々はこうしたものをすべてあらかじめまとめて提供しています」と述べた。

新しいOkta Starter Developer Editionの他、ドキュメント、サンプルアプリケーション、統合機能は、developer.okta.comから利用できる。

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タグ:Okta個人認証

画像クレジット:Kimberly White/Getty Images for TechCrunch / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

「ゼロトラストモデル」のおかげでスタートアップ企業もパスワードレスに

「時が経てば、人々がパスワードに頼らなくなることは間違いありません【略】パスワードは、本当に安全性を確保したい場合の課題を満たしていません」と、Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏は言った。

今から17年前のことだ。パスワードはいくらか魅力を失ったものの、これまで何度も死滅の危機を乗り越えてきた。

高額な費用と厄介な実行という認識から、一部の中小企業はパスワードの廃止に踏み切れないでいる。しかし、パスワードに代わるものは、手頃な価格で簡単に導入でき、より安全であることが、Extra Crunchが収集した業界の洞察で明らかになった。ゼロトラストのシステムに移行することが、それを促進させる要因となる。

まずは基本的ことから説明しよう。ゼロトラストは「どこにいるか」ではなく「誰であるか」に焦点を当てたものだ。ゼロトラストモデルでは、企業はネットワークにアクセスしようとする試みを決して信用せず、ネットワーク内部からのログインであっても、毎回検証することが求められる。パスワードレス技術は、ゼロトラストモデルの重要な要素である。

パスワードに代わるものには、以下のような方法がある。

  • 生体認証:スマートフォンの指紋リーダーや建物の物理的な認証ポイントとして広く利用されている
  • ソーシャルメディア認証:Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)のIDを利用して、第三者のサービスで本人を認証する方法
  • 多要素認証:信頼できるデバイスを使用したトークン認証など、デバイスやサービスを使用してより多くの認証レイヤーを追加したもの
  • グリッド認証カード:組み合わせたPINを使用してアクセスを提供する
  • プッシュ通知:通常、ユーザーのスマートフォンや暗号化されたデバイスに送信される
  • デジタル証明書:マシンやデバイスにローカルに保存されている暗号ファイル

フィンランド発のフードデリバリーサービス「Wolt(ウォルト)」は、パスワードレス化の一例だ。

「ユーザーは、メールアドレスまたは電話番号を入力して登録します。アプリへのログインは、ユーザーの受信箱にある一時的なリンクをクリックすることで行われます。ユーザーの携帯電話内のアプリは認証Cookie(クッキー)を設置し、これによってユーザーはさらなる認証を受けることなく、そのデバイスから続行することができます」と、F-Secure(エフセキュア)のCISO(最高情報セキュリティ責任者)であるErka Koivunen(エルカ・コンヴネン)氏は述べている。

この場合、サービス提供者は認証を完全にコントロールすることができ、有効期限の設定、サービスの取り消し、不正行為の検出が可能になる。サービス提供者は、ユーザーがパスワードを管理するという約束を当てにする必要がない。

パスワードレス技術は、本質的にコストが高くなるわけではないが、調整が必要な場合もあると、マネージドサービスプロバイダのDatto(ダット)でCISOを務めるRyan Weeks(ライアン・ウィークス)氏は説明する。

「多要素認証には、簡単にアクセスできて投資を必要としないオープンソースの代替手段がたくさんあるので、金銭的な出資という意味では、必ずしもコストが高いわけではありません」と、ウィークス氏はいう。しかし、パスワードレス技術が、従業員の生産性に摩擦を与えるのではないかと懸念する企業もある。

コンヴネン氏はまた、ゼロトラストモデルはスタートアップ企業が手を出せるものではないという説を否定する。

「ゼロトラストは、ユーザーに秘密にしておくべきものを提示して認証を強いることの無意味さを認識し、その代わりに、コンテクストアウェアを考慮した方法でユーザーのアイデンティティを確立することが望まれます」と、同氏はいう。

ゼロトラストは、ユーザーを認証するだけでない。ユーザーとそのデバイスも含む。

「ゼロトラストの観点には、信頼発生の継続的な認証または再検証という考え方があります。それゆえに、ゼロトラストモデルにおけるパスワードレスは、ユーザーにとってより簡単で、より安全になる可能性があります。『あなたが何を持っているか』と『あなたが何者であるか』という要素を組み合わせることで、より攻撃が難しくなるからです」と、Dattoのウィークス氏は述べている。

Microsoft(マイクロソフト)やGoogle(グーグル)などの大企業は、すでにゼロトラスト技術を提供している。しかし、投資家は、成長中の企業向けにゼロトラストを提供する中小企業にも注目している。

遠隔地にいる従業員が会社のネットワークにアクセスできるようにするためのゼロトラストを提供するAxis Security(アクシス・セキュリティ)は、2020年3200万ドル(約35億2000万円)を調達した。Beyond Identity(ビヨンド・アイデンティティ)は、2020年12月に7500万ドル(約82億5000万円)の資金を調達。また、イスラエルのID検証スタートアップであるIdentiq(アイデンティク)は、2021年3月にシリーズAラウンドで4700万ドル(約51億7000万円)を調達している。

関連記事:在宅勤務中のセキュリティ確保を支援するAxis Securityが約34億円を調達

カテゴリー:セキュリティ
タグ:パスワード個人認証ゼロトラストモデル

画像クレジット:Mary Ne / Getty Images

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(文:Chandu Gopalakrishnan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

コロナ禍でのオンラインシフト加速を受けてID認証のSocureが109億円調達

新型コロナウイルスパンデミックは、これまで誰も想像できなかった方法でデジタルの浸透を加速させてきた。そして人々がオンラインやモバイルデバイス経由でサービスを利用するにつれ、事業者はユーザーやセキュリティの確認に一層取り組まなければならなかった。そうした需要に応えようとしている企業がある。IDを認証するのにAIと機械学習を使っているSocure(ソキュア)は米国時間3月16日、13億ドル(約1417億9800万円)の評価額で1億ドル(約109億800万円)をシリーズDラウンドで調達したと発表した。

One World Identityによると、2019年に150億ドル(約1兆6360億円)弱だった米国のデジタルIDマーケットは2023年までに300億ドル(約3兆2720億円)超へと成長する見通しだが、我々の暮らしがいかにオンラインにシフトしたかを考えると、これは驚きではない。そしてこの成長はID認証企業が提供するサービスに対する急増する需要につながっている。

Socureはこれまで金融サービス業界を専門としてきた。しかし同社は調達した資金をオンラインゲーミング、ヘルスケア、通信、eコマース、オンデマンドサービスなどを含む「消費者向けのあらゆる業界」へと拡大するのに使う計画だ。

同社の予測分析プラットフォームは、ユーザーがさざままなアカウトに申し込むとき、実際に名乗っている人物なのかどうかを確認するのに、人工知能と機械学習のテクニックをオンライン / オフラインデータインテリジェンス(電子メールから、電話、住所、IP、デバイス、ベロシティとより広範なインターネット)に適用する。

同社は現在、銀行トップ5行のうち3行、カード会社トップ10社のうち6社「トップの」信用調査会社、Varo MoneyやPublic、Chime、Stashといったフィンテック75社超を含む350社超を顧客に抱える。

最新のラウンドはAccelがリードし、既存投資家のCommerce Ventures、Scale Venture Partners、Flint Capital、Citi Ventures、Wells Fargo Strategic Capital、Synchrony、Sorenson、Two Sigma Venturesなどが参加した。

今回の資金調達は、Sorenson Venturesがリードするラウンドで3500万ドル(約38億1825億円)を調達してから6カ月も経っていない。Socureの2012年の初回からの累計調達額は1億9600万ドル(約213億8200万円)となった。

Socureの創業者でCEOのJohnny Ayers(ジョニー・アイヤーズ)氏は、B2C企業がKYC(顧客確認)自動承認率97%を達成するのを同社のID管理プロダクトがサポートできると話す。これは、例えば金融機関がSocureのたった1つのAPIを通じてより簡単に詐欺を見つけ出せることを意味する。同社はまた、少ない情報(さほどクレジット履歴がないもの)や若い消費者を簡単に認証することで、金融サービスを十分に受けられていない人口を減らすのに役立つとも主張する。

同社は今後も特許を開発しつつ、提供するプロダクトを強化するのにも調達資金を使う計画だ。

資金調達ラウンドの一環として、AccelのパートナーであるAmit Jhawar(アミット・ジャウォル)氏がSocureの取締役会に加わる。

ブログ投稿でジャウォル氏は「機械学習モデルがすでに見たあらゆるIDから学んだため、新しいオンラインユーザーを扱うためにデザインされた特別目的のためのソリューション」とSocureを形容した。

Braintreeの元COO、そしてVenmoの元ゼネラルマネジャーとして、ジャウォル氏はID認証の重要性、特に金融サービス分野での重要性について多少は知っている。

「Socureのソリューションはゲームチェンジャーになることをすぐに悟りました。というのも、決済のためのアカウントの作成からログインまで、顧客のライフサイクルのあらゆる局面で使われるからです」と。同氏はブログで述べている。

Socureはまた、将来のIPOもほのめかした。

声明でアイヤーズ氏は次のように述べた。「イノベートする機会、そして問題解決に向け世界で最もすばらしい企業との提携に信じられないほど感謝しています。特にIPOに向けて歩みを進めるこの時、前途に広がる機会に力をもらっています」。

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タグ:Socure資金調達個人認証

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi