ラッパーのスヌープ・ドッグの大麻産業向け投資会社がProperを支援し睡眠産業に参入

米国人のうたた寝は、一部の医療専門家が流行性睡眠と指摘した問題に直面するまで、まったく重要視されず、対策もされてこなかった。だが、ラッパーでもあるSnoop Dogg(スヌープ・ドッグ)のカナビス(大麻)に特化したベンチャー投資企業であるCasa Verde Capital(カーサ・ベルデ・キャピタル)は、そこをなんとかしたいと考えた。

同社は、睡眠指導とサプリを組み合わせた「総合的な」睡眠健康ソリューションの提供を謳うProper(プロパー)に950万ドル(約10億円)を出資した。

Properの計算によれば、米国では成人の3分の1が十分な睡眠が取れていないという。同社の最高経営責任者であるNancy Ramamurthi(ナンシー・ラマムルティ)氏は、新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行によって事態は悪化する一方だと話す。

「ProperはCDC(米疾病管理予防センター)が公衆衛生上の危機と特定した問題、つまり睡眠不足に本当の意味で総合的な、個人に合わせたソリューションを提供することで、解決の一助になりたいと考えています」と、Properの創設者でCEOのラマムルティ氏は述べている。「Properは、これまで消費者の手には届かなかった、天然かつ安全で、エビデンスに基づく睡眠サプリの中でも最高のものを、専門家による行動コーチングと組み合わせています。現在は遠隔医療が普及したおかげで、睡眠指導もオンラインでお届けできるようになりました」。

Properの睡眠指導サービスは、臨床心理学者と行動睡眠医学専門医の助言のもとに有資格の健康コーチが提供すると、同社の声明には書かれている。

ラマムルティ氏は、臨床評価が同社の事業の中核だと話す。実際、同社は現在、独自処方の有効性を立証しようと、臨床試験を行っている。だがこれは、必ずしも目指さなくてもよい付加的なステップなのだと彼女はいう。なぜなら、あらゆるサプリの材料は睡眠障害の治療に有効であると臨床研究ですでに証明されているからだ。「しかも、何千年も前から使われてきたものなのです」とラマムルティ氏は話す。

Properは、消費者向け医療ベンチャースタジオのRedesign Health(リデザイン・ヘルス)で起業支援を受けて生まれた企業だ。スムープ・ドッグのCasa Verdeが主導した今回の投資を受けて、セールスとマーケティングを強化し、研究開発もさらに続ける予定でいる。

睡眠補助はカナビスに特化した投資企業には異質の市場のように思えるが、Casa VerdeのパートナーであるKaran Wadhera(カラン・ワドヒラ)氏は、それが同社の高度に戦略的な投資なのだという。

カナビスも「材料になっています。この使用事例は、人々がカナビスに対する否定的な思いを超えるものです」とワダヒラ氏。Properは「現代の睡眠不足の流行に対処することを本来の目的にしています。カンナビジオール(CBD)もカナビスも、従来の製品では不可能だった形で睡眠問題の解決に幅広く、大きな役割を果たします」。

つまり、Properへの投資は、カナビス産業の成熟を狙ったものだといえる。投資家たちはカナビスに含まれるさまざまな化学成分に着目し、健康への幅広い利用法を引き出そうとしている。「私たちは、この事業への考え方を改めつつあります。カナビス然としたカナビス製品である必要はないのです」とワダヒラ氏は話す。

画像クレジット:Proper

今後は、同社のサプリ製品にカナビノイドの応用も試してゆくとラマムルティ氏はいう。「製品開発を続ける中で、私たちが注目するものの1つとしてCBDがあります」とラマムルティ氏。「CBDは、ストレスと不安の低減効果が大変に高い成分の1つです。そして、人々を眠れなくする第一の原因が、ストレスと不安なのです」。

Properの研究は、Mayo Clinic(メイヨー・クリニック)総合健康科ディレクターAdam Perlman(アダム・パールマン)博士、ノースカロライナ州退役軍人医療センター臨床心理士であり有資格睡眠医療専門医でもある Allison Siebern(アリソン・シーバーン)博士などからなる科学諮問委員会の支援を受けている。

米国人の睡眠への理解が低く、軽視されがちなのには理由がある。Properのデータによれば、かかりつけ医のおよそ90パーセントが、睡眠が肉体に与える影響への自信の理解を「乏しい、または中くらい」と評価しており、さらに有資格の睡眠専門家は、米国人4万3000人に対して1人しかいないという。

Properのサービスに登録すると、5種類あるサプリのうちひとつを39ドル99セント(約4300円)で購入できる。サブスクリプションなら10パーセントの割り引きが受けられる。新規登録者は、Properの睡眠コーチとの30分間の無料相談が受けられると同社は話している。

Properの5つの睡眠アプリの中の「Core Sleep(深い眠り)」はGAVA、バレリアンの根の抽出物、ラフマの葉の抽出物、アシュワガンダの根と葉の抽出物で構成されている。「Sleep + Restore(睡眠と回復)」にはメラトニン、「Sleep + Calm(睡眠と沈静)」にはCore Sleepにも含まれているL-テアニン、「Sleep + Clarity(睡眠とすっきり感)」にはブドウ抽出物を濃縮したもの、そして最後の「Sleep + Immunity(睡眠と免疫)」には亜鉛、ビタミンC、B6、Dが添加されている。

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(翻訳:金井哲夫)

米オーディオ機器メーカーのGradoが大麻繊維のヘッドフォンを発表、価格は約4.5万円

米国ブルックリンに本社を置くオーディオ機器メーカーのGrado(グラド)は、個性豊かな新型ヘッドフォンを発表した。価格といい、大麻繊維のHemp(ヘンプ)を注入した木製ボディーといい、大麻の葉の記章といい、ごく一部の顧客層を狙っているのは明らかだ。

同社は豊かなオープンエアーのサウンドで知られ、現在までに非常に評判のいいラインアップをそろえてきたが、この数年間はさまざまなタイプの木材や複合材料にオーディオコンポーネントを収めた限定製品の開発に力を入れてきた。このHemp Headphone(ヘンプ・ヘッドフォン)の幻覚を見そうなサイケデリックなボディーは「カエデの木材と「高圧縮したヘンプ」の複合材料で作られている」と同社は話している。

Hemp Headphoneは見た目も革新的だが、それぞれの製品の素材の違いにより、サウンドの輪郭に微妙な差が生じることの重要性をGradoは強く訴えている。おそらくそれが、この限定版シリーズを試す楽しみなるだろう。ただ、技術的にはさほど目新しいものはない。

昨年、同社は、GW100でワイヤレス技術の冒険に出た。オンイヤー型ヘッドフォンにBluetooth(ブルートゥース)を組み入れるという、実に奇妙な試みだ。Gradoは、GW100やインイヤー型ヘッドフォンでは一般向けの製品を追求しているが、同社の仕事で最も感銘を受けるのは、Bluetoothよりも家でXLR(キャノン)コネクターやフォノ出力の音を楽しむのが好きな強いこだわりを持つファンの要望に応えているところだ。

Gradoのヘッドフォンは、非常に頑固に快適性を無視し、現代のオーバーイヤー型とオンイヤー型ヘッドフォンの大きなトレンドに沿ったデザイン、つまりノイズキャンセリングを強く否定している。オープンエアー型のヘッドフォンは外の音が大きく聞こえてしまうし、ヘッドフォンの音を外に大きく漏れてしまう。そんなわけで、オフィスでの使用にはあまり向かず、家で聞くというじつにニッチな用途に限定されることになる。だが自宅待機が要請されている間は、家で音楽を聞くというのもニッチではあるが、比較的受け入れやすいニッチになってきた。

GradoのHemp Headphoneは、本日から予約を受け付けている。価格は420ドル(約4万5000円)だ。

関連記事:Gradoは初めてのワイヤレスヘッドフォンを公開(未訳)

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(翻訳:金井哲夫)

世界最大の大麻企業Medicine ManがSchwazzeにリブランド、積極的買収も発表

急成長する米国コロラド州の大麻(カナビス)企業の最大手、Medicine Man Technologies(MMT、メディスンマン・テクノロジーズ)がSchwazze(シュヴァッツェ)という新ブランドを発表した。SchwazzeはMMTおよび同社のさまざまなブランドを包括する親会社になる。公開企業である同社は、今後ティッカーシンボル「SHWZ」として店頭取引される。

Schwazzeは栽培技術に由来する名前で、同社の新CEOはTechCrunchに、社名変更は会社の重点目標を反映していると語った。「これは植物の育成、成長における重要なプロセスであり、葉を注意深く取り除くことによって幹の成長と広がりを促し、花に多くの養分を送ることができる」。

「これは極めて重要だ。こうすることで大麻の成長を促進し健康状態を保つことができる」とSchwazzeのCEOを務めるJustin Dye(ジャスティン・ダイ)氏がSchwazzeメソッドについて語った。

同社はMedicine Man Technologiesブランドを専門的サービス部門として今後も継続する。

2019年末、同社は数多くの買収計画を発表し、Dダイ氏を新しいCEOとして採用した。今週同氏は、同社がMesa Organics(メサ・オーガニクス)とPurplebee’s(パープルビーズ)を買収したことを発表した。いずれもコロラド州の大麻会社で、コロラド・カレッジの教授であるJames Parco, Ph.D.(ジェームズ・パーコ博士)が設立した。Parco氏はSchwazzeの経営チームに加わる。この買収によって、Schwazze傘下に調剤薬局と高度な抽出業者が新たに加わる。

「両社は素晴らしい会社だ。急成長中で、収益性が高く、経営陣もすばらしい。2社を率いる偉大なリーダーが我々の経営チームに加わる」とDye氏が語った。

Schwazzeは新型コロナウイルス(COVID-19)危機が同社の成長を妨げることを許すつもりはない。同社はコロラド州での成長を糧に、マリファナ薬局、栽培者、製造者をさらに増やしていく意向だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

どんな植物原料からでもビールを醸造できる技術を開発、Province Brandsが1.7億円を調達

ビール業界には気象に関連した危機が潜んでいるが、Province Brands(プロビンス・ブランズ)という会社は、それを解決すると主張するテクノロジーを掲げ、先ごろ160万ドル(1億7000万円)を調達した。

カナダ拠点の同社は、ビールをあらゆる植物原料から作る方法を開発し、全地球気候変動により拡大する大麦そのほかの穀物の不足のソリューションになると自らを称している。

同社にとってこれはピボットだ。設立当時は自社の技術を大麻からビールを醸造する方法として大麻会社に売り込んでいた。しかし、大麻市場が底割れし始めたのを機に、Province Brandsは醸造業界全体へと訴求対象を広げた。

「大麻産業は長年過大評価されてきた」とProvince Brandsの共同創業者であるDooma Wendschuh(ドーマ・ヴェンドシュー)氏は話す。「2019年中頃からそれが崩壊しはじめた。大麻巨大な資本を要する産業であり、必要な設備を整えるためには途方も無い金額の投資が必要だ」

市場が大麻産業に関心を示さなくなると、Provinceは投資家のところに出向いて、220万カナダドル(約1.7億円)を転換社債で調達した。

「投資家には避けうる損はさせたくなかった」とヴェンドシュー氏は説明する。

Province Brandsの直近のラウンドは2019年のシリーズBで、500万カナダドル(約4億円)を7000万カナダドルの入金前評価額で調達したと同社は表明している。

「このラウンドを完了したことで、Province Brandsの技術、知的財産権、市場機会の魅力が一気に注目されるようになった」と同氏は言った。

既存の機関投資家とエンジェルから得た資金は、同社のテクノロジーをもっと広く売り込むために使われる。大麦などの主要原料の値上げに打撃を受けているビール会社は、Province Brandsの技術を使って自社ブランドの大麻ビールを市場に出すことができるようになる。

同社のCambridge Bay Canadian Hemp Lager(ケンブリッジベイ・カナディアン大麻ビール)は、大麻から作られた初めてのビールであると、Province Brandsの声明に書かれている。原料は大麻とホップ、水、酵母だけで、THC(テトラヒドロカンナビノール)やCBD(セルロース結合ドメイン)を含んでいないため、アルコールが売られている場所であればどこででも合法的に売ることができる、と同社は言っている。

「我々が大麻からビールを醸造する技術を開発したことによって、あらゆる非デンプン性植物原料からビールを醸造できるようになる」と同氏。「これは、天井知らずの大麦価格に悩むビール会社に変革を起こさせる可能性をもっている」と続ける。

また、「大麦は大規模なビール製造には高価過ぎる場合がある」とも指摘する。

「調達した資金は、当社が12万3000平方フィート(1万1400平方m)の醸造設備建設のフェーズ1を完了し、カナダ保健省から新規の認可を受けるために使用する」とProvince Brandsの共同創業者であるJennifer Thomas(ジェニファー・トーマス)氏は語る。同社はカナダ保健省から2019年に研究開発ライセンスを受けている。

既にProvince Brandsは、いくつかの大手酒造会社と共同で、保有原料から代替ビールを作ろうとしている。ある匿名のテキーラメーカーとは、(テキーラの原料である)竜舌蘭(リュウゼツラン)から作るビールを共同開発している。

資本市場が困難なこの時期に、2カ月以内に資金調達を完了したことは注目に値する。

画像クレジット:Cavan Images / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

大麻情報ウェブサイトHerbが410万ドルを調達

米TechCrunchでは多くの大麻関連の営業を受けるが、 Herbほど著名な投資家から支援を受けている企業はほとんどいない。

Herbは今日(米国時間8/29)、シードファンドで410万ドルを調達したことを発表した。Lerer Hippeau Venturesがラウンドをリードし、Slow Ventures、Buddy Mediaの共同創業者Michael Lazerow、Bullpen Capital、Shiva Rajarama、Liquid 2 Ventures(NFLの殿堂入り選手Joe Montanaが率いる企業)、ShopifyのCEO Tobi Lutke、ShopifyのCOO Harley Finkelstein、そしてAdam Zeplainが参加した。

「大麻業界に関する調査を行ったところ、わたしとLiquid 2 Venturesのチームはどちらも、関連性の高い有益な大麻コンテンツを提供する企業で最もプロフェッショナルに経営しているのは、HERBであると判断した」。Montanaはファンドの表明にてそう語った。

Herbの記事や動画では最新の大麻関連ニュースを取り上げており、ハウツーや教育的コンテンツも豊富に揃えている。Herbの始まりは「The Stoner’s Cookbook」と呼ばれるウェブサイト。2015年、Matt Grayに買収されて商標を変更した。Tubular Labsによると、それ以降Herbは毎月2億回の動画再生回数を記録するまでに成長し、ユニーク視聴者数は530万人に達している。

現在、Herbはデジタルメディア事業のように見えるかもしれないが、Grayは「我々は単なるウェブサイトではない。我々は常にテクノロジープラットフォームを構築しようと試みてきた」と述べる。

Grayは最終的にHerbを、近所の店から大麻を購入し、自宅に数分で配達するといったような「大麻に関するすべてのこと」を行えるウェブサイトにしたいと考えているのだ。

GrayはHerbをUberやAirbnbと比較して話した。なぜなら両社とも消費者とサービス提供者間の仲介役を担っており、ビジネスを展開するうえで法廷での大きな争いを幾度か乗り越えなくてはならなかったからだ。Herbは地域の法律を尊重するとGrayは語る。しかし彼は同時に「これらの法律は変わっている — そろそろ動き出してもいい頃だ。法が変わった時、Herbはその場にいたいんだ」と述べた。

誤解を避けるために言うと、Herbが市場でビジネスを行うのはまだまだ先の話だ。とはいえ、地元の大麻薬局の詳しいプロフィールを作成するなど、目標に近づくための新しい機能をウェブサイトに追加しているとGrayは語った。

「現在は大麻に関する非常に悪いイメージが存在している。Herbの味方としては、昨日の社会的な偏見は明日の社会的な標準になると考える。我々はこの産業にとって最良の顔を提示し、大麻が一般に受け入れられるよう努めている」。

 

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(翻訳:Keitaro Imoto / Twitter / Facebook