デジタル証券の第二取引市場を目指す投資プラットフォームRepublicが171億円超を追加調達

スタートアップの世界では、デジタル資産が米国証券取引委員会にとって、いつ有価証券と見なされるか否かについて、山ほど不満が募っている。

多くの人々が規制の暗雲を感じる分野で、創業5年のニューヨーク拠点の投資プラットフォームであるRepublic (リパブリック)が機会を伺っている。多くの企業が特定のデジタル資産と距離を置くべきかどうか悩んでいる中、Republic(CEOのKendrick Ngyueyn[ケンドリック・グエン]氏はGoodwin Procterでの証券訴訟が最初の仕事だった)は「compliant tokenization(規則に準拠したトークン化)」とグエン氏が呼ぶものの第1人者になることを創業時から目指してきた。

そして今同社は、すでに構築したデジタル「証券」の購入と再販のためのコンプライアンスを重視したマーケットプレイスを拡大する大きな野望をほのめかしている。

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グエン氏は先週TechCrunchとの電話で「米国内の主要な取引所でデジタル証券トークンを扱っているところはありません」と語った。つまり、製品やサービスに利用できるユーティリティトークンではなく、その価値が不動産のような外部の取引可能な資産に連動しているトークンのことだ。

扱わない理由の1つは、SECが、Ripple Labs(リップル・ラブズ)が開発した暗号資産であるXRPを、(通貨ではなく)Coinbaseなどの取引所が販売していない「証券」とみなしていることを極めて明確に示したからだ。

グエン氏は、Republicは「有能で良いカスタマーサービスを提供し、米国で証券とデジタル証券の第二の活発な市場を可能にする」取引所があれば「今すぐ提携する」意志があると語った。しかし、そんな取引所は存在しないため「あと1年ソリューションが見つからなければ、Republicはデジタル証券の二次的取引所に投資するか関連会社を通じて直接設立するつもりだ」と語った。

これはRepublicが運営している中で最も野心的なサービスであり、100万人以上のユーザーを集め、大規模な資金調達も行っている。

本日、米国時間10月20日、同社は1億5000万ドル(約171億円)のシリーズBラウンドをValor Equity Partnersのリードで完了したことを発表した。これは2021年3月に発表したGalaxy Interactive、Motley Fool Ventures、HOF Capital、Tribe Capital、およびCoinFundらが参加した3600万ドル(約41億円)のシリーズAラウンドに続くものだ(なお、これらの既存投資家は今回も参加し、Pillar VC、Brevan Howard、Golden Tree、およびAtreidesが新たに加わった)。

現在Republicの従業員は200名で、最新ラウンドの前に、新株発行で5000万ドル(約57億円)以上を、トークンの販売で2000万ドル(約23億円)以上を調達している。

会社はさまざまな調整に忙しく動いている。Republicはすでにいくつかの事業部門からなっており、10ドル(約1140円)から始められる人気の個人投資プラットフォームや、10億ドル(約1141億円)近い資産を管理し、認定投資家をふるいにかけてスタートアップに紹介する民間資本部門から、技術、財務、流通、およびトークン化サービスを提供するブロックチェーンコンサルタント部門まである。

さらにRepubliには、現在スタートアップや暗号資産プロジェクトに資金を配分するクローズドエンド型投資ファンドが2件ある他、Republic Realm(リパブリック・レルム)の名前で運用しているメタバース(仮想空間)とNFT(非代替性トークン)に特化したデジタル投資部門もある。

Republicがどうやってすべてをコントロールしているのかを聞かれたグエン氏は「異なるプラットフォームがあるとは考えていません」として、関心事や預金残高に関わらずあらゆる人にサービスを提供できる会社と考えていると語った。「もし億万長者がRepublicにやっきてきて、100ドル投資するのに時間を使うより10万ドルを配分したいというなら、我々はその機会を提供します。もしあなたが20歳で、20ドルをビデオゲームか不動産か女性起業家に投資したいなら、そのための機会もあります」。

目指しているのは「全人口」の要求に応えることだと彼は述べ、Republicなら培った技術力を駆使して成功できると強く思っている。そこにはある基本理念がある。それは「DeFiとNFTを含めほとんどのトークンは証券である」というRepublicの強い信念だ。その結果「私たちはRepublicのやっていることのすべて、触れるものすべてをなんらかの証券として扱い、米国証券法の既存の枠組みに適合させています」と彼は言った。

他の投資プラットフォームがSECに抵抗したいのならもちろんそれは彼らの権利です。Republicとしては「自分たちの仕事をするために新しいルールや規制を求めません。私たちのやり方は既存の法律、強固な法的根拠に基づいています」。

画像クレジット:Kendrick Nguyen / Republic

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Masterworksが物理的なアートを細分化した証券として販売(ただしNFTではない)

トップクラスの伝統的な資産市場の中で、投資家が所有を多様化しようとするにつれて、より多くのテクノロジー対応プラットフォームが出現し、各自が有力なオルタナティブ投資プラットフォームであることを主張している。著名な芸術家の絵画やその他の作品を細分化した証券として販売するスタートアップ企業のMasterworks(マスターワークス)がユニコーンの評価を得た。同社は人びとのポートフォリオにファインアートを加えさせる市場を掌握しようとしている。

米国時間10月5日、Masterworksは、10億ドル(約1116億円)を超えた評価額の下でシリーズAラウンドを行い、1億1000万ドル(約122億7000万円)の資金調達を行ったことを発表した。今回のラウンドは、ニューヨークを拠点とするベンチャーファンドLeft Lane Capitalが主導し、Galaxy InteractiveやTru Arrow Partnersなどが参加した。

ここ数年、オルタナティブ資産は大きなビジネスになっている。これは、公開市場が沸き立ち、投資家があまり伝統的ではない市場でより大きなリターンを求めようとしているためだ。オルタナティブ資産クラスは多岐にわたるが、未使用のNINTENDO64のカートリッジ、ポケモンカード、エアジョーダン、NFTといったものが並ぶ市場の中では、ファインアートは比較的伝統的なセグメントを占めていて、その利点や欠点をより予測しやすい。

「資産クラスとしてのアートは、(年頭にファンドの空売りで有名になった)GameStopやNFTのようなものではなく、最終的なリターンがかなり予測可能なのです」とCEOのScott Lynn(スコット・リン)しはTechCrunchに語っている。「たとえばこれらの絵画に投資しても、投資額の10倍のリターンを得ることは決してできませんが、投資額の90%を失うこともないでしょう」。

つまり、Masterworksは新進気鋭の画家を支援するプラットフォームではなく、作品の価値がマーケットで認められたアーティストに全面的に投資しているのだとリン氏はいう。彼は「私たちは、美術品市場の中で投資可能なセグメントは、一般的にいって、100万ドル(約1億1000万円)以上の絵画だけだと考えています。この場合投資可能という言葉の意味は、予測可能なリターンを生み出すものという意味ですけれど」と説明した。

Masterworksは、アンディ・ウォーホル、キース・ヘリング、ジャン・ミッシェル・バスキア、草間彌生などの著名な現代アーティストの絵画を多数購入・保管し、SECに登録された適格公募による証券として販売している。公募の終了後は投資家がその証券を二次市場で売買することができるようになる。証券保持者は、Masterworksが最終的に絵画を販売したときに支払いを受け取る。スタートアップは、それらの絵画を販売することで利益を得ているが、絵画が売れるたびに利益の20%を得るとともに、各作品に対して年1.5%の管理料を受け取っている。

スタートアップは、多額の投資資金を持った投資家を追いかけ続けている。リン氏によれば、平均的な投資家は、対象の絵画それぞれに5000ドル(約55万8000円)以上を投資し、生涯では約3万ドル(約334万8000円)を投資するという。

画像クレジット:Mike Steele / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Lucas Matney、翻訳:sako)