ファーウェイが手書きメモも可能な電子書籍リーダー「MatePad Paper」を発表、約6万4000円

最初の電子書籍端末が発売されてから20年近く経つものの、このカテゴリーが活況を呈しているとは決して言えない。楽天Koboのような企業が最善の努力を続け、Barnes & Noble(バーンズ・アンド・ノーブル)のハードウェアなどが残ってはいるものの、この10年以上の間、Amazon(アマゾン)のKindle(キンドル)が市場を支配し続けている。

今週のMWC(モバイル・ワールド・コングレス)では、窮するハードウェアメーカーのHuawei(ファーウェイ)が「MatePad Paper(メイトパッド・ペーパー)」という新製品を発表し、この市場への参入を表明した。10.3インチのEインクディスプレイを採用し、同社の筆記具「M-Pencil(Mペンシル)」で手書きメモを取る機能を備えたこの製品は、最終的にreMarkable(リマークブル)の製品が最も比較対象となる可能性がある。

同社の最新機種「reMarkable 2」をレビューしたDevin Coldewey(デヴィン・コールドウェイ)氏は、この製品が「ニッチを貫いている」と書いた(これはKindleシリーズ以外の電子インク製品のテーマでもある)。Huaweiは「ちょっとだけ、なんにでもなれる」を目指したデバイスで押し通すことを望んでいる。その中核は、Huawei Books(ファーウェイ・ブックス)電子書籍ストアにある約200万のタイトルの他、PDFを含むさまざまなファイル形式を閲覧できる巨大なリーダーだ。

関連記事:あらゆる面で初代を上回りニッチを貫くE Inkタブレット「reMarkable 2」

このデバイスは、Huawei独自のHarmonyOS(ハーモニーOS)を搭載している(これはAndroidを使えなくなった後の同社が、MWCで発表するテーマの1つだ)。しかし、そのことが、MatePad Paperをより電子インクタブレットに似た物にしている。現時点では、Huaweiは依然としてサードパーティ製アプリの利用が制限されているため、そのようなアプリは見当たらない。しかし、メールやノート、イベントなどのウィジェットは用意されている。

10.3インチの大画面は、ウィンドウを2つに分割でき、一方のウィンドウで本を読みながら、もう一方のウィンドウにM-Pencilでメモを書く(遅延は26ミリ秒)ことができる。ソフトウェア面におけるもう1つの特長は、Huaweiのノートパソコン「MateBook(メイトブック)」との間でファイルをすばやく行き来させられることだ。翻訳機能も搭載されている。

音声記録用のマイクとオーディオブック用のスピーカーが内蔵されていることも、このタブレットの命題を後援する特長だ。セキュリティのための指紋認証リーダーを搭載し、3625mAhのバッテリーは90分の充電で6日間の読書が可能な急速充電に対応している。

だが、これらすべての機能が色褪せる欠点は、この製品が499ユーロ(約6万4000円)と、電子書籍リーダーよりもハイエンドタブレットに近い価格で販売されていることだ。現在進行中の地政学的な問題により、この製品がいつか米国で正式に発売されると想像することは難しい。それでも、この製品は今週のMWCで最も興味深い消費者向け発表の1つである……と言えば、製品そのものよりもこの展示会について語ることになるかもしれない。

画像クレジット:Huawei

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

BMW、ボタン1つで色が変わるクルマをCESで披露

数週間前に情報をリークした後、BMWはCESで米国時間1月5日、色が変わるクルマを正式に発表した。「BMW iX Flow」と名付けられたこの試作車は、基本的にはBMWがE Inkと協力して開発した電子ペーパーの一種に包まれている。

現在のところ、色の選択肢は黒と白(その間にいくつかの濃さのグレーがある)だけだが、これは時間の経過とともに変わる可能性がある。また、Kindleのスクリーンがコンテンツを変更した後はエネルギーを消費しないように、iX Flowの電子インク技術も、好みの色やデザインを設定した後はエネルギーを消費しない。

画像クレジット:BMW

これは何よりも、ドライバーがクルマの外観をカスタマイズするための選択肢を増やすことを目的としている。E Inkを搭載したBMW iX Flowのプロジェクト責任者であるStella Clarke(ステラ・クラーク)氏は、次のように述べている。「これによりドライバーは、自分の個性のさまざまな側面や変化を楽しんでいることを外に向けて表現し、クルマに乗るたびにそれを再定義する自由を得られます。ファッションやソーシャルメディアチャンネルのステータスと同様に、クルマは日常生活におけるさまざまな気分や状況を表現するものになるのです」。

現時点では、BMWは車体の表面全体が変化する様子を見せているだけだが、電子インクのバンパーステッカーに相当するものや、今のご時世を考えると、クルマの側面にフルサイズの広告が表示されることも容易に想像できる。

画像クレジット:BMW

しかしBMWは、ここには別の動機もあると主張している。例えばドライバーは、暖かい日には熱を吸収する黒い面ではなく、明るい面を選ぶことができるかもしれない(寒い日にはその逆も可能だ)。「これにより、車両の電気システムが必要とするエネルギー量が減り、それに伴って車両の燃料や電気の消費量も減ります」と同社は5日の発表で主張している。「全電気自動車の場合、天候に合わせて色を変えることで、航続距離を伸ばすことができます。インテリアでは、ダッシュボードが熱くなりすぎないようにするなどの効果があり得ます」。

それはいいボーナスではあるが、多くの人が求めているのは、単にスーパーヴィランのように色の変わるクルマではないだろうか。だが、それはすぐには実現しない。今のところ、これはあくまで実験であり、いつ、あるいは市販車に搭載されるかどうかは未定だ。

画像クレジット:BMW

画像クレジット:BMW

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

電子ペーパータブレット「reMarkable」が新機能を利用できるようになるサブスクサービスを追加

電子ペーパータブレット「reMarkable」シリーズのメーカーが、最新機種により高度な機能を実現するためのサブスクリプションサービスを追加したことは、かなり意外な動きだった。既存ユーザーには生涯サービスが提供され、新規ユーザーには約1年間の無料サービスが提供されるため、ほとんどのユーザーにとってはほとんど何も変わりはないが、それでもこのスタートアップにとってはかなりの方向転換となる。

関連記事:あらゆる面で初代を上回りニッチを貫くE Inkタブレット「reMarkable 2」

reMarkable Connectサービスには2つのプランが用意されており、月額5ドル(約560円)の基本的なサービスでは、ドキュメントの無制限クラウドストレージにアップグレードされ、月額8ドル(約900円)のプランでは、GoogleドライブとDropboxへの統合、手書き変換、画面共有、メール送信、高速同期などの機能が追加される。サブスクリプションがない状態でも、デバイスは同期するが、50日間未開封で放置されたファイルは同期してくれない(つまり、基本的にアーカイブとしては使えない)。reMarkableを購入する人は、Connectのサブスクリプションを一緒に購入すると最大150ドル(約1万7000円)の割引が受けられるので、1年程度であれば十分元をとることができるだろう。

一方で、これは予想外であり、少し怪しい動きにも見える。つまり、数カ月前に単にreMarkableのツールの一部として発表された機能に課金するというわけだからだ。実際、それらの機能はここ数週間のうちに通常の無料機能として提供されてきた。

その一方で、収益の面では理解ができるし、この方法はこれを実施するための最良の方法であるともいえる。現在のユーザーには無料で提供され、他のユーザーには1年間無料で提供され、さらに、デバイスをごく普通に使用するのであれば、あまり問題にならない無料オプションもあるからだ。

この決定の理由について、同社にコメントを求めたので、返答があり次第、この記事を更新する予定だ。

2020年、reMarkable 2をレビューした際には、そのハードウェア、画面の反応、インターフェースのシンプルさに感銘を受けた。しかし、その時に指摘したように、このタブレットは、その長所にもかかわらず、まだ非常にニッチなデバイスだ。私はクリエイターと何度か話をしたことがあるが、彼らが「集中力を重視し、気が散らない未来の紙」というビジョンに献身的に取り組んでいることを確信している。それは理解できるのだが、デジタル経済は基本的に注意散漫と情報過多の上に成り立っているので、そのパイを切り開くのは困難に違いない。

同社はこれまでに10万台以上を出荷し、資金調達も行ってきたが、ハードウェア専門のスタートアップ企業はほとんどない。ハードウェアの販売が飽和状態に近づく中で、同社が収入を増やす方法を模索するのは、さほど不思議なことではないだろう。

いや、わからない。もしかしたら、より広い範囲での「集中した生産性」製品という戦略なのかもしれない。だとすると、私も絶対に使いたいと思うだろう。このデバイスとサービスに対する私の批判は「できることはできたが、十分ではなかった」というものだ。Chromeの拡張機能で記事の保存ができるようになったが、Pocketのユーザーとしては、それをつなげられればいいのにと思ってしまう。reMarkable上で体験した方が単純に良いと感じる他のコンテンツについても同様だ。ミニマリストの理念は評価するが、恣意的に制限されているようにも感じたのと、スクリーン共有やGoogle Drive/Dropboxの統合がある今、他のサービスを含めることに反対することはもはやできない。

メールやチャット、ソーシャル機能などは一切使用せず、私に集中させて欲しい。しかし、何かに集中したいのであって、reMarkableの欠点に当てはまるものだけに集中したいのではない。誰もが生活の中でもう少し集中できるはずだが、これは集中するための摩擦を減らすのにも役立つ。

それと、フロントライトもいいかもしれない。これは機能面でのリクエストになるが。ほら、私の視野は以前のものと同じではない。だから、聞いて欲しい。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

原文へ

(文:Devin Coldewey、Akihito Mizukoshi)

【レビュー】Booxタブレットは拡大する電子書籍リーダー市場で歓迎される選択肢

電子ペーパーデバイスに関して言えば、Kindleはもちろん人々が最初に思い浮かべるブランドだが、筆者はKoboやreMarkableのゴスペルも広めるよう全力を尽くしてきた。中国の電子書籍端末メーカーBooxは、この分野への比較的新しい参入者であり、そのデバイスは実験的だが、モノクロタブレットというニッチ市場では有用な選択肢だ。実際、筆者のお気に入りの小型デバイスが作られている。

関連記事:あらゆる面で初代を上回りニッチを貫くE Inkタブレット「reMarkable 2」

親会社のOnyxのブランドであるBooxは、ポケットサイズから中型サイズの電子書籍リーダー、A4サイズのタブレットまで、あまりにも幅が広すぎるという人もいるかもしれないが、さまざまなデバイスを提供している。そのブランディングは特に記憶に残るものではなく、わずかにアップデートされたバージョンがかなり定期的に出てくる。筆者が試してみたいと思っていたデバイスが、実際にはこの記事を執筆するまでの間に置き換わっていた。

統合された側面はOSで、Android 10の修正版であり、読み込みと生産性のための専用アプリがいくつか搭載されている。中国の消費者を念頭に置いて作られたこのサービスは、おそらくTechCrunch読者の方でも聞いたことのないものになるだろう。

Booxのいくつかのデバイスを試したが、最もシンプルなのは電子書籍リーダーPoke 3、より大きく複雑なNote 2、そしてスリムなNote Airと巨大なMax Lumiという具合だ。最近筆者は、eインクの最新カラースクリーンKaleido Plusを採用したNova 3 Colorに注目している。

実際には、電源を入れていないと、おそらくこれらのデバイスがすべて同じ会社のものであることはわからないだろう。ハードウェアスタイルはかなり異なるが、もちろん、グレーがかった色味でスクリーンを囲んでいる黒いタブレットには、表現の余地があまりない。

小さいながら大物

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

最もシンプルでなじみのある6インチの電子書籍リーダーから始めよう。このカテゴリーにはKindle PaperwhiteとKobo Clara HDがあり、前者はおそらくAmazonが作っている最高の製品だが、筆者は正直なところ、品質は劣るものの後者の方が好みだ。

この分野でBooxは、(数ある中で)取り立ててキャッチーな名前というほどではないPoke 3を持っているが、フォームファクターでそれを補っている。このような小さなリーダーにとってはかなりプラトン的に理想的だ。とても気に入ったので別のレビューにまとめているが、基本的なことをここで紹介しよう。

6インチ、300ppiのスクリーンはKindleやKoboと同等の品質で、Clara HDと同様にフロントライトの色温度調節が可能だ。デバイスの前面は完全に平らになっており、筆者の好みにぴったり合っている。ベゼルの幅も広すぎず狭すぎず、持ちやすい。ポケットに入れて持ち運べるシームレスなデザインで、粉粒や水こぼれにも強い(耐水性は主張していない)。上部に電源ボタン(ありがとう)、下部にUSB-Cポートが1つある。

ハードウェアに関しては、まったく批判はない。それはもっと薄くなるかもしれないが、その寸法は、人間工学に悪影響を与えることなしにこれより小さくすることはできなかったのだと思う。その厚さを1ミリ削ることも考えられるが、そうしてもほとんど気づかないだろう。

OSはAndroidの高度にカスタマイズされたバージョンで、付属するすべての長所と短所が備わっている。筆者はKoboのインターフェースのシンプルさの恩恵を常に享受してきたが、それを複雑にしようとしているかのようだ。BooxのOSはパワフルだが、入り組み過ぎていて、どのオプションを利用可能にし、ユーザーにとってわかりやすくするかを決めるのが難しい。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

リーダーアプリのNeoReaderは、膨大なファイルフォーマットをサポートしており、ビューの変更、ブックやPDFのハイライトやメモなどを行うための巨大なコントロールセットを備えている。これは、フォントの調整やその他の基本的なことしか必要としない小型のデバイスよりも、大型のデバイスに適している。

すでに自分のコンピューター上に置かれている電子書籍を読むだけなら、デバイスのストレージ上の「Books」フォルダにドラッグするだけで済む。このタブはデバイスの電源を入れると表示され、いつでも簡単にアクセスできる。米国では利用できないが、すべてのタブに対応したビルトインストアがあり、ディレクトリを検索するためのファイルマネージャータブと、アプリと設定のためのタブがある。

アプリは別のカスタム状況だ。これは中国のデバイスであり、最近では何と呼ばれているかはともかく、一般的なGoogle認証のあるアプリストアはない。その代わり、PocketやGoodReader、KoboやKindleアプリなど、最も利用されている多数のリーディングアプリを独自のストアで提供している。しかし、これらは本質的にサイドロードされている。例えば、Kindleアプリは数カ月古い。これは決して大問題というわけではないが、このデバイスをそのまま使うには、Booxとそのプロキシアプリストアにある程度の信頼を置く必要がある。

関連記事:【レビュー】大型化し手書きメモもできる電子書籍リーダー「Kobo Elipsa」

もちろん、設定でGoogle Playサービスを有効にすることもでき、そこに公式ストアが追加される。しかしほとんどの人にとって、これはすでに過度の作業だ。私たちは電子書籍リーダーの選択において、一般的にシンプルで極めて簡単に使える、という点で甘やかされていると同時に恵まれていない。Androidに詳しくない人は、このデバイスを使ってKoboやKindle、おそらく後者の中から読むものを選ぶだろう。

それでも思い切った行動を取ることを望む人々にとっては可能性が豊富にある。筆者としては、Poke 3のフォームファクターが非常に気に入っているので、どのOSを使っても構わない。それに、普通は時間の99%が本の中のことに費やされるだろうから、その部分がうまく機能すれば、残りは単にケーキの上にアイシングするようなものである。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

6インチのスケールでは、それはあまりにも多すぎるように思える。ただしBooxの大型デバイスでは、柔軟性はより意味を持ち始める。Note 2(現在は3)、Note Air、Max Lumiのアイデアは、Androidタブレットのほぼすべての機能を、電子ペーパースクリーンの利点とともに提供することだ。そのため、レーシングゲームをするのは簡単ではないが、iPadよりもreMarkableを使っている人にとっては魅力的だろう。

関連記事:色温度を調整可能なE Inkディスプレイ搭載Androidタブ「BOOX Note 2」

多くの文書を読む場合、明るいタブレットスクリーンで読むのは、あるいはもっと言えば暗いスクリーンで読むのはいただけない。電子ペーパーのスクリーンの方が作業には適しているが、それに向けた最良のデバイスであるreMarkableは、会社の哲学全体がフォーカスを中心に回っていることから、達成できることが極めて意図的に制限されている。そのため、電子ペーパーのように読みやすいAndroid端末の機能を求める人がいるのは間違いない。いずれにせよ、Booxはそう考えている。

Note 2とMax Lumiは関連しているように見える。印象的な大きさの目立たない黒いタブレットであり、筆者の限られたハードウェアの探求の中では優れた品質だと思われた。Note Airは特筆すべきものではないと言わざるを得ず、実際にそれを見たとき、reMarkable 2のクローンだと思ってしまった。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

その第一印象は、筆者にとってあまり寛容なものではなかった。この2つはいくつかの重要なデザイン要素を共有しているが、実際にはかなり異なっており、Boox自身の他のデバイスを作る能力が疑わしい点を好意的に解釈するように導いてくれた。青とオレンジのモチーフは秀逸というほどではないが、他のデバイスとの違いを際立たせるのに効果的で、すべてのデバイス(特にAir)は薄くてよくデザインされている。

すべてのタブレットにはフロントライトが搭載されており、このような大きなスクリーンで実現できるかどうかについて懐疑的な見方をしていたが、それは不要なことだった。Poke 3と同様、ライトは明るさと色温度の両方を調節できる(少々微妙ではあるが)。

カラー電子ペーパーは依然として十分とはいえない

画像クレジット:Devin Coldewey

Nova 3 Colorは、eインクの最新カラー電子ペーパー技術を採用した7.8インチスクリーンを搭載している。筆者は常にこの技術の可能性に期待してきたが、カラー電子ペーパースクリーンのコントラストの悪さ、リフレッシュ速度の低さ、ゴーストなどの欠点に悩まされてきた。今回の最新版は、修正に向けてある程度の動きを見せているが(ソフトウェアのアップデートもそれを後押ししている)、残念ながら妥協点は多すぎる。

ハードウェアは他のBooxデバイスと似ており、しっかりしていて控えめだ。違いはすべてスクリーンにあり、デバイスがオフのときでもカラーで表示されている。カラー電子ペーパーは、画像を形成する微小な白黒のビーズと、変更可能なカラーフィルターの層を組み合わせることで機能する。これは他のものと同様にフロントライトが付いていて、色をポップにするのに大いに役立つ。

まだゴーストの問題は残っているが、例えばコミックを読んでいるときは、すべてのページをリフレッシュするように設定することで(ほんの数秒しかかからない)問題は解消される。ウェブページのような動的なコンテンツを使ってこれを行うのは容易なことではないが、もちろん電子リーダー上でウェブをナビゲートすることはすでに目新しいものだ。

カラー電子ペーパーは、コントラストとは言わないまでも彩度が不足している(画像クレジット:Devin Coldewey)

さらに気になるのは、カラーレイヤーがもたらすコントラストの低下と解像度の顕著な低下である。カラーコンテンツを表示すると、通常のLCDエイリアシングとは異なるが、依然として視認可能な明確なスクリーンドア効果が現れる。グレースケールのコンテンツでは、モアレなどの干渉パターンが中間調になることがある。

ブックは問題ないように見えるが、普通のモノクロeインクディスプレイほど鮮明ではないスクリーンドア効果が常に存在し、コントラストが低下している。それでもかなり読みやすいが、安価なデバイスの方がうまく機能するなら、これを正当化するのは難しい。

カラースクリーンのテキストは、モノクロスクリーンのテキストよりも鮮明さとコントラストが低い(画像クレジット:Devin Coldewey)

Booxがeインクの最新スクリーンを提供してくれたことには感謝しているし、電子書籍リーダーにもう少しタブレットのDNAを入れたい人には有益かもしれない(現時点では2つのカテゴリーはあまり区別されていない)。しかし、カラーはほとんどの場合、十分に加算されず、過度に減算されてしまう。

それですべてか、それとも薄く引き伸ばしすぎか

OSは筆者の知る限り、これらすべてで同じだが、これらのデバイスでは単に読むだけでなくインタラクティブ性に焦点が移っている。BooxはWacomのようなペンを作っていて、それを使って大きなタブレットの表面に文字を書くことができるが、reMarkableのような応答性や精度には遠く及ばない。

とはいえ、スケッチやライティングの最終的な仕上がりは満足のいくものだった。ただしOSが追いついてその文字にアンチエイリアスを施すまでには少し時間がかかるだろう。特にブラシについてはグラデーションに優れていると感じた。

Booxタブレットが他の同種のタブレット(つまりreMarkable、旧Sony Digital Paper Tabletおよびその他いくつかのニッチなデバイス)の上に持っているものの1つは、PDF処理に関するものだ。Booxデバイスでは、PDFを簡単にナビゲートしてマークアップすることができ、元のファイルは単に落書きやメモが追加されたような状態で保存される。reMarkableで書類をマークアップするのは簡単だが、やや使いにくいアプリのために共有やソートが少々面倒になっている。筆者は、元のファイル(常にどこかにコピーがある)を修正して、デバイスから直接メールするというシンプルなアプローチを好む。Booxデバイスはまさにそのようなシンプルさだ。

リーダーやノートブックの他にも、タブレットユーザーにとって便利なアプリがいくつか含まれている。期待通りの機能を備えたブラウザがある。Chromiumベースで、レンダリングは良好だが、ゴーストはひどい。そしてボイスレコーダー、ミュージックプレイヤー、カレンダーなど、もちろんGoogleアプリストアやビルトインストアからもダウンロードできるものも他にたくさんある。もし望むのであれば、こうしたとても包括的なデバイスを作ることもできる。

この種の電子ペーパータブレットの市場がどれだけ大きいのか、筆者にはよくわからない。しかし、これらのデバイスは何か興味深くてユニークなものを提供していると感じている、とはいえ、iPadが大型のBooxタブレットの半分の価格で手に入り、ほとんど同じことができる、という事実を回避するのは難しいだろうと思うが。

ただし、これらの電子ペーパーデバイスにはそれなりの魅力があり、長い文書を読んだり、校正したりするつもりなら、いくつかの理由からiPadよりもこれらのデバイスの方が優れている。Booxのラインナップにはこれまで以上に多くの選択肢が用意されており、それは間違いなく良いことである。

関連記事
E-inkを搭載したAndroidタブレット「BOOX Max3」の実力は?
マンガを独自技術でローカライズし短時間で世界中の読者に配信するシンガポールのINKR
画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】大型化し手書きメモもできる電子書籍リーダー「Kobo Elipsa」

Kobo ElipsaはAmazonのライバルである電子書籍リーダーの最新モデルで、大型の製品だ。iPadに匹敵する大きさの10.3インチ電子ペーパーディスプレイが採用され、reMarkableやBooxの直接の競合となる。Elipsaは読書がしやすく、メモをとったり絵を描いたりすることができるが、汎用性にはやや欠ける。

Koboはここ数年、高価格帯の市場に少しずつ進出してきた。筆者は低価格のClara HD(税込1万5180円、以下カッコ内は日本での販売価格)が今もおすすめだと考えているが、Forma(税込3万4980円)やLibra H2O(税込2万5080円)はKindleのラインナップのライバルと言える。400ドル(税込4万6990円)のElipsaはサイズ、機能、価格が大きくアップしていて、いずれも妥当だ。ただし気をつけなくてはならない点がいくつかある。

Elipsaはよくできているが派手さはない。FormaとLibraは筐体の1辺のベゼルだけ幅と厚みがあるが、Elipsaでは1辺だけ幅が広く厚みは変わらない。1辺だけが広いデザインは筆者はあまり気にならないし、競合製品の多くも非対称だ(ちなみに筆者のお気に入りはBooxの超小型デバイスでフロントライト付きのPoke 3だ)。

10.3インチディスプレイの解像度は1404×1872で、227dpiだ。300dpiのClaraやFormaよりは低く、注意深く見れば文字のギザギザがわかる。しかしそれがわかるほど近づいて見ることはないだろう。Elipsaはデバイスが大きいので目から離して見るし、おそらく文字サイズも大きくして読むと思われるからだ。筆者は申し分なく読みやすいと感じた。227dpiは最高ではないが、悪くない。

フロントライト内蔵で、画面左側で指先を上下にスライドして簡単に調整できる。しかしKoboの他のデバイスとは異なり、色温度を変えることはできない。筆者は色温度を変えられるデバイスにすっかり慣れて、以前に長年付き合ってきたデフォルトのクールグレイでは快適に感じられなくなってしまった。周囲が暖色系の照明のときは特にそうだ。重要なのは画面全体の明るさが一貫していることと暗く調整できることで、筆者の目はそれで大いに助かっている。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

Elipsaにはアクセサリがいくつか付属していて、それがない状態はちょっと考えづらい。実際「スリープカバー」とスタイラスペンなしでElipsaだけを購入することはできない。カバーとペンが揃って完全なパッケージとなる。かなり重くてかさばるが。Elipsaだけなら標準的なiPadより軽く小さく感じるが、カバーを装着し、驚くほど重いスタイラスペンを収納すると、重くて大きなものになる。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

カバーは、少し硬いかもしれないが良いデザインで、デバイスが壊れないように確実に保護されるだろう。カバーは本体下部に磁石で取り付け、ノートのページをめくるようにデバイスの背面にもっていくと反対側の端も磁石で固定される。カバーの途中の部分を2カ所折ると、折ったところも磁石で固定され、低くてしっかりとした使いやすいスタンドになる。カバーの外側は滑りにくいフェイクレザーで、内側は柔らかいマイクロファイバーになっている。

カバーを開けるとデバイスの電源がオンになり、閉じるとオフになるが、ここでちょっとした問題がある。電源ボタン、充電ポート、幅の広いベゼルがどうしても右側になってしまうのだ。Elipsaからカバーをはずせば、1辺が厚いタイプと同様に好きな向きで置くことができ、コンテンツはそれに応じて即座に回転する。しかしカバーを取り付けるとほぼ右利きモードに固定されてしまう。これが気になることかどうかはわからないが、念のためお伝えしておく。

左がForma、中央がElipsa、右がreMarkable 2(画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch)

上述の点以外は、読書の使い心地はKoboの他のデバイスとほぼ同じだ。最近利用したコンテンツが表示される比較的すっきりとしたインターフェイスでとまどうことはないが、広告は依然としてうんざりするほど多数表示される(「次に読むすばらしい本を見つけよう」のような)。無料や有料の電子書籍がよく表示されるが、そのようなものを大きな画面で読むのはまったく筆者の好みではない。筆者は、画面の大きい電子書籍リーダーは横向きに置いてページを見開き表示できるようにして欲しいと心から願っている。そのほうが本っぽいでしょう?

Pocket経由で同期したウェブの記事は見やすく、この形で読むのは楽しい。オンライン版で読むのに適した雑誌のページのようだ。シンプルで見やすく、よく統合されている。

Kobo初の手書きメモ機能

新機能は「ノート」だ。箇条書き、落書き、授業のメモなどのノートブックを作成し、スタイラスペンを使って書く。

書き心地は十分満足できる。筆者が使い慣れているreMarkable 2はタイムラグの短さと高い精度を誇り、表現力も豊かだ。KoboはreMarkable 2にはまだ届かず、機能は基本的なものでタイムラグが気になるが、精度は高い。

ペン先、線の幅、線の濃さがそれぞれ5種類ずつあり、どれも使いやすい。スタイラスペンは適度な重さがあるが、もっとグリップ感のある素材だと良いと思う。ペンにボタンが2つあり、現在のペンと、ハイライトまたは消しゴムをすばやく切り替えることができる。消しゴムはストロークを消すか、ブラシモードがある。通常のノートには方眼、点線、罫線、無地があり、ページ数は無制限だが、拡大や縮小はできない(絵を描く人には向いていないだろう)。

手書き文字認識などの機能を利用したい場合は「多機能ノート」を作成する。多機能ノートに引かれているガイドラインに従って書き、ダブルタップすると即座にテキストして認識される。多機能ノートの所定のエリアに図を描いたり数式を書いて計算したりすることもできる。

手書きのアップ(画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch)

手書き文字認識は高速でざっと書き留めるには十分だが、そのまま他の人に送れるほどではない。図形のツールも同様で、手書きの図形やラベルをフローチャートのような図に仕上げることができるが、ガタガタした図よりはましではあるもののラフな下書き程度のものだ。よく考えられたショートカットやジェスチャーで余白の追加や削除など頻繁に使う操作ができるようになっていて、Elipsaを使ううちにすぐに慣れることができるだろう。

「スマート」なノートブック上でのページの移動や上下の動きはきびきびとしていているが、iPadのデザインソフトやアート用ソフトの流れるような動きではない。しかしでしゃばった動作ではなく、パームブロッキングも効いていて、アクションは快適だ。書くときのタイムラグは確かに弱点だが、書いた結果が多少雑になっても気にしないのであれば慣れると思う。

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

電子書籍をマークアップすることもできる。ハイライトは便利だが、単にテキストを選択するよりもはるかに優れているというわけではない。またスタイラスペンの制限により、周囲の余白には書けない。

メモの書き出しには、DropboxのアカウントをリンクするかUSB接続を利用する。ここでもreMarkableのほうが優位だ。アプリに若干の制限はあるもののリアルタイムで同期されるので、reMarkableのシステム内にある限りはバージョンの違いを気にする必要がない。Koboのほうが方式が古い。

reMarkableとは異なりKoboは日々の読書が簡単にできるプラットフォームなので、読書がメインで落書きやメモをオプションとして考えている人にとっては良い選択だ。一方、スタイラスペンを重視するタブレットでもっと良いものをと考えているなら、他の製品を探した方がいい。文字や図を書くことについては、市場にある他の製品よりもreMarkableのほうが優れている。そしてBooxのタブレットなどと比べると、Elipsaのほうがシンプルで焦点が絞られているが、Androidのアプリやゲームを追加することはできない。

400ドル(税込4万6990円)という価格は、カバーとスタイラスペンがセットになった価格であるとはいえ結構な投資で、間違いなく汎用性が高いデバイスであるiPadとあまり変わらない。しかし筆者はiPadでは記事や書籍をあまり楽しめず、メモをとるときもシンプルな電子書籍リーダーの方が集中できる。電子書籍リーダーは違う目的を持つ違うデバイスであり、万人向けではない。

しかし複雑で高価なオプションもある「大型電子書籍リーダー」の沼に足を踏み入れるなら、現時点ではおそらくElipsaが最適だろう。

関連記事
KoboがAuraの後継モデルとなるNiaの予約を開始、地味なアップデート
KoboのLibra H2OはFormaのカタチを受け継ぐ安価なモデル
レノボが天板にE Inkディスプレイを搭載するPCをアップデート、専用のワイヤレス充電マットも発表

カテゴリー:ハードウェア
タグ:レビューKobo読書電子書籍電子書籍リーダー電子ペーパー楽天

画像クレジット:Devin Coldewey / TechCrunch

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:Kaori Koyama)