iPad用3DスキャナーStructure Sensor Mark IIは6年前の機種を大幅改良

それまでバーコードスキャナーアプリRedLaserで知られていたOccipitalは、2013年に、iPadを3Dスキャナーに変えてしまうStructure Sensorをリリースした。

それから6年が経ち、同社は次のバージョンであるStructure Sensor Mark IIで戻ってきた。サイズは半分になったが、能力は相当強化された。

初代のStructure Sensorをリリースしたあと、Occipitalは人気のユースケースが2つあることに気づいた。ひとつは人間を3Dスキャンすること(補助具を作るために足をスキャンするなど)、もうひとつは部屋を3Dスキャンすることだった。Mark IIの仕様とデザインは、とくにこの2つを念頭に置いて改良されている。

人をスキャンするときの精度を上げるために、解像度が初代の640×480から1280×960にアップし、カメラ間の距離も延びたので、接近して撮れる細部がより詳細になった。

higher res

部屋のスキャンのためには、魚眼レンズが導入された。これによって視野が広がり、とくに小さい部屋で使いやすくなった。

射程は4メートルから10メートルに延び、ジャイロスコープと加速度計が内蔵された。シャッターは回転シャッターからグローバルシャッターに代わり、2基のIR奥行きカメラにより屋外でもスキャンできる(初代は室内のみ)。

この分野を注視している方はご存知と思うが、同社は昨年後半にStructure Coreと呼ばれるデバイスをリリースした。初代のStructureがiPadにくくりつけるタイプで、iOS専用だったが、Structure CoreはLinux、MacOS、Windows、Androidなどプロジェクトに合わせて何でも使えた。またそのスペックも、初代に比べて相当強化されていた。

Occipitalの共同創業者Jeff Powers氏によると、Structure Mark IIはそのStructure Coreの設計をかなり引き継いでいる。主な違いは、コネクターがUSB 2.0/LightningからUSB 3.0になったこと、iPadに接続するので電源が必要ないこと、そしてiOSで使いやすいようにファームウェアを大幅に改良したことだ。

Structure Sensor Mark IIの価格は399ドル(約4万3000円)で、8月末には発売される。初代のStructureを良い状態で持ってる人は、下取りによりMark IIが100ドル値引きされる。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

3Dボディスキャンができるポッドを証明書写真撮影器みたいに町中に置きたいWolfprintがクラウドファンディングで$500Kを調達

luna-20_wireless_wo_logo-906x6042x1

3Dのボディースキャンは、今やあまりエキサイティングではない。スキャンの用途といえば、Thingiverseにアップロードして、友だちなどがあなたを3Dプリントし、あなたの‘聖像’を作るぐらいだ(聖像と言ってもいろいろあるが!)。でもWolfprintは、空港やショッピングモールなどに小さなたまご型の小屋のようなもの、ポッド(pod, 上図)を置き、ビデオゲームやVRなどで使う自分の3Dアバターを簡単に作れるようにして、3Dボディースキャンを大衆化しようとしている。

3DPrintingIndustryによると、このエストニアの企業は、そのために50万ドルの資金を調達した。正直、多くはないが、ポッド(pod, たまご型小屋)がある場所を多少増やすことはできる。アーチストがよく来るカフェなんかも、いいね。

同社がこれまでスキャンしたのは5000体、公共の場所にポッドをもっと置きたい、と言っている。スキャナーの費用は8000ドルで、年間約5万ドルの売上がある。

Wolfprintはその資金を、株主型クラウドファンディングサイトSeedInvestで調達した*。小さな企業が初期段階で資金を得るには、この方法がデファクトの方法になるかもしれない。とくにVCが発達していないヨーロッパでは、零細スタートアップの成長のための手段として、人気が高い。〔*: 株主型クラウドファンディングサイト, equity crowdfunding platform, Kickstarterのような‘寄付型’ではなく、文字通りの‘投資’。出資者はその企業の株主になる。〕

今同社はNikeやParamountとパートナーしているので、お近くにNikeのお店Niketownがある方は、そこで自分をスキャンできるようになるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

100ミクロンの高精度3DスキャナEora 3D ScannerはKickstarterで199ドルと超安価

1d05e283773f26ef6c112f6f46e96015_original

うちの家族のような原始人は、3Dスキャンが人の魂を盗み取ると信じていて、立体画像の持ち込みすらうちでは許されない。でもEora 3Dスキャナなら、もしかして許されるかもしれない。相当複雑なマシンなのに外見がとてもシンプルで、しかもカメラをたった一つしか使わないからだ。

これを作ったオーストラリアのシドニーのRahul KoduriとAsfand Khanは、太陽光を一点に収束する研究をしている人たちだ。そこから生まれた3Dスキャナは今、Kickstarterで資金を募集している。

Koduriはこう説明する: “Eora 3D Scannerは、手ごろな値段の高精度な3Dスキャナがほしい、という自分たちのニーズから生まれた。太陽光発電の効率を上げるために、朝から夕方まで太陽の位置を追うパラボラアンテナみたいな装置を作ろうとしていた。その設計と仕様作成のためには高精度な3Dスキャナが必要だったが、100ミクロン以下の精度のものは、5000ドル以上もする”。

自作を決心した彼らはプロトタイプを作り、理想の仕様に到達した。

そのシステムは物の表面をグリーンのレーザーでスキャンする。レーザーはBluetoothでスマートフォンのカメラに接続し、物の点群(point cloud, ポイントクラウド)を驚異的な精度で作り出す。しかも、小型のスキャナにしては珍しく、フルカラーでスキャンする。

“Eora 3D Scannerにはグリーンのレーザーがあり、またカメラのCMOSセンサはグリーンのスペクトルへの感度がとくに高い(通常の2倍)ので、屋外などいろんな条件で3Dスキャンができる。人間という動物も緑の中で進化してきたから、グリーンのスペクトルに対する感度がとくに高い”、とKoduriは語る。

これで作った3Dモデルは、ゲームや3Dプリント、プロトタイピングなどに使える。彼らがデモとして見せてくれたAssassin’s Creedのキャラクターのスキャンは、わずか一回のスキャンでびっくりするほど詳細だ。スキャンに要する時間は、単純な物なら3分ぐらい、複雑な物ならもっと時間がかかる。自動ターンテーブルがあるので、物のすべての面を100ミクロン以下の精度で捕捉できる。

Cup Face
by eora 3D
on Sketchfab

Kickstarter上で初期の支援者には199ドルで提供される(目標額は50000ドル)。その目標額はとっくに突破しているから、これからは誰もが安価に、見事な3Dスキャンを楽しめる。その楽しさを知ろうとしない、うちの家族が気の毒だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

消費者製品としてデビューした3DスキャナのFuel3D、$6.4Mを獲得して企業利用も視野に

3Dスキャナって、何に使うのか? それは3Dプリンタにデータを提供するだけじゃない、と考えるオックスフォード大学のスピンアウトFuel3Dは、消費者向けの高精度で手持ち型(ハンドヘルド)の3Dスキャナで、昨年、Kickstarterに登場した。

そのFuel3Dが今日(米国時間11/4)は、Chimera Partners率いる拡張ラウンドにより、640万ドルを調達した。それを同社が“プレIPOラウンド”と自称しているのは、2015年の初頭に実際にIPOを予定しているからだ。資金は、3Dスキャナのアプリケーション開発の拡大に充てられる。

Fuel3Dは昨年Kickstarterで30万ドルを獲得し、その次に260万ドルの資金をVCたちから調達した。そのほかに医療用画像処理の分野で110万ドルの開発契約を某社と交わしている。

今回得られたキャッシュで同社は、新しい垂直市場…眼鏡のカスタム化とバイオメトリクス…をねらう。

それは同社によると、“眼鏡屋さんが眼鏡の‘試着’を仮想化できて、お客に合わせた眼鏡のカスタム化を容易にできるようにするもの”、だ。

バイオメトリクスに関しては具体的な話は得られなかったが、同社は今、“人間の顔専用の270度のスキャナ”を開発中だから、おそらく相手は顔認識の分野だと思われる。

それは複数のカメラを使って人間の顔の耳から耳までのデータを捕捉し、当面は小売企業における仮想試着(眼鏡など)に利用するためのプロダクトだが、バイオメトリクスにも十分応用できるはずだ。

Fuel3DのハンドヘルドスキャナはKickstarterの出資者たちにベータテストのために送られたが、来年は本格的な商用生産に入る計画だ。

CEOのStuart Meadは、声明文の中でこう言っている: “今回の資金によってFuel3Dは来年、スキャナの本格的な商用生産を開始でき、また新たな人材とインフラストラクチャにも投資ができる。合衆国への進出も、可能になるだろう”。

“消費者製品と並行して、いくつかの国際的企業から寄せられている関心にも対応し、3Dスキャナ技術の3Dプリンティングを超えたアプリケーションの開発にも、資金を投じていく”、ということだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


物体をスキャンしてコピーしたり、ファックス風に転送する3D複合機のZeus登場

未来は既にそこにあるが、まだそれが広まっていないだけなのだそうだ。「未来を実現した」と宣伝しているのはZeusというマシンだ。3Dプリンターの一種で、物体をスキャンしてコピーしたり、インターネット経由で他のプリンターに物体を「ファックス」することができる。3D版の「複合機」とでも呼ぶべきものだろう。

製作したのはAIO Roboticsで、価格は2499ドルだ。プリント可能なサイズは8インチ×6インチで高さが5.7インチだ。スキャンできるのは高さ5インチまでとなっている。操作は前面の7インチタッチスクリーンで行う。射出パーツは交換可能になっている。システム的には非常にシンプルなものと言って良いだろう。印刷精度は80ミクロンで、スキャンは125ミクロンとなっている。

現在、安い3Dプリンターは200ドル程度となっていて、また3Dスキャナーも同程度の価格となっている。しかしそれらを組み合わせて、イメージ通りの出力を得ることは難しい。またプリンター間でデータを共有するのにも手間がかかることが多い。Zeusはそうした中にソリューションを持ち込むもので、確かに需要のあるところだろう。もちろん関連技術が急速に進化発展している中、さまざまな競合機種が登場してくることになるのだろうとは思う。

Zeusは現在プレオーダーの受け付け中だ。出荷は夏頃を予定しているとのこと。物体を手軽に複製できるというのは、デザイナー、アーティストやメーカーにとって非常に魅力的なことだと思う。すごい時代になったものだと、つくづく感じてしまうのだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


FABtotumは工作マニアの夢―3Dプリンター、スキャナー、カッター、フライス盤などがひとつのボックスに

FABtotumは多様な工作機能がオールインワンになった3Dプリンターだ。カッター、フライス盤、彫刻機、さらに既存のオブジェクトをクローンするための3Dスキャナーなどプロトタイプを作るのに必要な工作機能がすべて含まれている。

ただし、今すぐに現物を手に入れることはできない。このプロジェクトを推進しているイタリーのスタートアップは現在、Indiegogoで5万ドルの資金を調達している最中だ。このチームはクラウド資金調達とは別に本格的な投資家も探している。創立は2011年でこれまでは個人的に調達した資金で運営されてきたという。Indiegogoの資金調達はゴール目前だ。

FABtotumの共同創業者、Marco Rizzutoはこう説明する。

これまでの3Dはデジタル・ファイルから実物を出力するという単一機能のマシンだった。これは柔軟性に欠けるし、プロフェッショナルな目的での利用ではたとえプロトタイピングにせよ、すべてがポリマー素材ですむわけではない。われわれは独自のテクノロジーによる4軸スキャナーでオブジェクトをスキャンするところからデジタル情報と実物をシームレスに融合させてすべての作業がこの一台で完結するようなシステムを目指した。

ユーザーは興味をもったオブジェクトをスキャンしてデータを友だちに送り、友だちはそのまま3D出力してもよいし、3Dデザイン・ソフトで修正、加工してもよい。ユーザーはFABtotumの切削系機能を利用して、スタイロフォームやPCB素材を成形することができる。つまりデザイナーやエンジニア、ホビーイストがプロトタイピングの際に通常行っているような作業がすべてFactotumでできる。

こうした多機能マシンは使い方が複雑になることが避けられないので、一般ユーザーが使いこなせるようになるのは先のことになるだろう。しかし安価にすばやくプロトタイプを作ろうとする熱心な日曜工作家やスモールビジネスからは熱烈に歓迎されそうだ。歓迎の度合いは、FABtotumのIndiegogoキャンペーンが締め切りまであと1月を残して60人の出資者から3万8000ドルを集めていることでも分かる。

Rizzutoによれば、FABtotumの直接のライバルはMicrofactoryのハイブリッド・マシンやAio Roboticsの3D-ファックス/プリンター、Zeus(Kickstarterで来月から資金調達を開始する予定)などだという。しかしFABtotumは価格やカスタマイズ性でライバルより優れているとRizzutoは言う。

FABtotumはレーザースキャン(高速用)、Zプローブによるスキャン(高精細度)の両方を備えている。3Dプリントの精度はZ軸で0.47マイクロメートル。最大出力寸法は210x240x240mmだ。

699ドルの出資で既存の3DプリンターをFABtotum式万能マシンに改造するキットが入手できる。999ドル出資すれば3Dプリンターを含めたフルキット(組立はユーザー)が得られる。早期出資者は849ドルで組み立て済みのFABtotumを入手できたが、この枠はすでに売り切れだ。組み立て済みのFABtotumは1099ドルになる。

〔日本版:FABtotumはfactotum(ファクトータム=雑用係、、何でも屋)の語呂合わせ〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Fuel3Dは1000ドル以下でテクスチャーも取り込める高速立体スキャナ―Kickstarterで予約募集中

3Dプリンタのメーカーやユーザーは、上の動画で紹介されているガジェットを使えば現実世界の対象を簡単に3Dデータ化することができる。形状だけでなく、表面の色やテクスチャーも同時に取り込める優れものだ。このFuel3Dは高精細度のハンドヘルド3Dスキャナーだ。現実世界の対象を3D写真に撮り、クリエーターの使用するソフトと連動して、フルカラーの正確な3Dモデルを作り上げる。

3Dプリンターが離陸しつつある現在、3Dスキャナの需要はかつてなく高まっている。特に一般ユーザーでも手が届く低価格製品は有望な市場だ。Fuel3Dのチームはこのハイレゾ3Dスキャナーを1000ドル以下で市場に出そうと努力している。そのため7万5000ドルを目標にKickstarterで資金集めをしているところだ。キャンペーン期間はあと31日残っているが、もうあと 1万ドル集めればよいところまで来ているという。

1000ドル以下という価格帯はわれわれが4月に紹介したPhoton 3Dスキャナーなどに比べると安くはない。こちらはIndiegogoプロジェクトで、予定価格は399ドルだった。 だがこのデバイスは比較的小さな対象をターンテーブルに載せてスキャンするタイプだった。Fuel3Dはもっと自由が効くデザインで、たとえば人間の顔をキャプチャーすることもできる。Fuel3Dを構えて写真を撮るだけでよいという手軽さだ(小さいマーカーを顔の横にセットする必要がある)。

利用しているカメラは高精細度で表面形状の3Dデータに加えて詳細なテクスチャー情報もキャプチャーされる。これによって3Dプリンタからの出力ばかりでなく、アニメーション、ゲーム、製品開発など3Dイメージが必要とされるさまざまな場面で利用することができる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+