Kindle Unlimited史上最大の悪用ユーザーが追放された

Kindle UnlimitedのベストセラーやSF/ロマンス/アドベンチャー作品から何階層も離れたこのKindle Direct Publishingマーケットの最暗部には、詐欺師が毎日数百ドルを稼ぐために作られたまったくのゴミ作品が存在している。自らをChance Carterと呼ぶ一人のユーザーは、KDPシステム最大の悪用ユーザーであり、中身のまったくない本を繰り返しアップロードしては1冊あたり15ドル以上を懐に入れている。

Digital Readerによると、Carterは他の本をもとに長編書籍を作っている。数百ページにわたる最初にページに、最終ページに行けば無料プレゼントがもらえる旨書かれている。KDPは著者に対してダウンロードおよび読まれたページ数に応じて支払い、読むスピードは調べておらず、到達した最大ページ番号だけしか見ていない。このためChanceの「読者」たちは1回読むと直ちに約20ドルを彼だか彼女だかに送っていた。

このキセル本詐欺は、Kindle Unlimitedにアップロードする本の中に山ほどの余分なページを詰め込み、読者をだまして本の最終ページまでジャンプさせるしくみだ。

Kindleプラットフォームの欠陥、中でも読者が読んでいる場所はわかっても実際何ページ読んだかはわからないという点をついて、詐欺師はユーザーを最後のページにジャンプさせることで本を「読んだ」ことにさせて支払いを受けることができる。

実際この手のKDP詐欺は極めて異例だ。Amazonは詐欺師がKDP「プール」——KDP作家たちに配られるべき数百万ドルの口座——から現金を引き出すのを防ぐ取り組みを続けてきたが、本件はあまりにも長期に渡りかつ巧妙だったため、これらの本をストアから削除するのに時間がかかったのも驚きではない。ちなみに、この最終ページジャンプ詐欺は新しいKindleでは使えないが、アップデートしていないKindleでは今も通用するため、未だに詐欺師を儲けさせている。

Carterは、本を最後までめくればティファニーのジュエリーを無料プレゼントすると言っていた。もちろんこれはKDPの規約違反である。

Carterとその本は追放されたが、同じような詐欺師は今でもいる。これ自身は犯罪ではないが、Kindle電子書籍を汚染し、市場にゴミコンテンツをもたらすものだ。ほとんどの人はこの人を小ばかにしたトリックにかかることはないだろうが、ひっかかる人もいるので、読者にとっては危険であり詐欺師にとっては朗報だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazon、Kindle Oasisを防水に。7インチ画面とAudible再生も

Amazonが先週の大発表イベントで新しいKindleを出さなかったことに、がっかりした人は多い。だが心配はいらない。Amazonはハードウェアのルーツを忘れてはなかった。思えば7月のプライムデーは、アメリカでも世界でもKindleが一番売れた日だった。先日Kindleの発表がなかったのは「イベントをAlexaに特化するため」だった。

AmazonはKindle十周年(11月9日)よりひと月ほど早く、ハイエンド機Kindle Oasis の改訂を発表した。この新しいKindleは初めてIP8クラスの防水機能を備え、海岸や風呂で読書を楽しめる(Koboには数世代前からある機能)。Bluetoothを使ってAudibleを直接再生することもできる。

今回の改訂は最初のOasisが出てから一年半後になる。最高級Kindleリーダーである同機種は、比較的狭い範囲の消費者がターゲットになる。単一機能の高級機に相応の値段を払える人たちだ。新Oasisの価格は249ドルから。

同社で最高解像度(300 PPI)のスクリーンはサイズが7インチ。これはAmazonが何代か前に決めたかにみえたEリーダー標準サイズよりも1インチ大きい。巨大なKindle DXなどの大画面もあったが、Amazonや主要ライバルの本命は常に6インチだった。

もちろん大画面の魅力は明白だ。ページあたり30%多くのテキストが表示されるので、ページをめくる回数が減る。マンガのような画像中心の作品を読むのにも有利だ(私はEリーダーの漫画をまだおすすめしないが)。欠点も同じく明らか:場所を取ることだ。

それでもAmazonは、比較的薄いのでズボンのポケットにも入るように作ったと言っている。それはこの手の製品のベンチマークのようになっている ―― もちろん人によって違うが。

画面が広いということは、バッテリーを収納する場所が増えたことを意味する ―― しかしこの会社はまたも裏面にバッテリーが不格好に飛び出すデザインを選択した。バッテリーが一か所に集中しているということは、重量が均一に配分されていないという意味だが、ほとんどの重さを手のひらで支えるようにデザインされている。

画面の明るさはAmazon史上最高だ。LEDが前機種の10個から12個に増えたため、いっそう均質な照明を得られる。ガラスもAmazon最強で、自社製のゴリラガラス相当品だと会社は言っている。いずれも小さいけれども気の利いた最高級Eリーダーにふさわしい工夫がなされている。

物理的ページめくりボタン ―― 正直なところ初代Oasisで一番うれしかったのがこれだった。これも小さなことだが、Barnes & NobleがNookの製造を中止していらい本当に待ち焦がれていたからだ。加速度計も内蔵しているので持ち方に応じて方向が自動的に切り替わる。左利きの読者に朗報だ。これは横位置でも読めるという意味でもあるがおそらくあまりアピールしないだろう。

内蔵BluetoothのおかげでAudibleの再生が可能になった。AmazonはKindleの旧機種にもアクセシビリティ対応として同機能を追加する予定だが、Oasisが先になった。テキストとオーディオのセットで本を買ったユーザーがこの機能を利用できる。

ソフトウェアにもちょっとした工夫が加わった。フォントサイズの段階が増え、どのフォントもボールドにできるようになった。テキストの行端揃えも可能になった。新OasisはAmazon独自ファイル形式のほかに、TXT、PDF、MOBI、およびPRC。これは、私のようにEPUBファイルを大量に使っている者にとってはがっかりだが、Amazonの囲い込みとストアの重要性を考えれは当然ではある。

もうひとつ、例によって拡張メモリーはないが内蔵メモリーが8 GBに倍増した。32 GBモデルもある。メモリーの拡大はAudibleファイル用のローカルストレージが必要なためだろう。充電ポートはまだmicroUSBだが、高速充電で2時間でフルになる。これ約6週間に相当する ―― 以前のOasisより2週間短いが、それでもかなりの読書時間だ。

新Oasisは今日から予約受付中で、ハロウィンに発送される。価格は249ドルからで、LTE対応の32 GBバージョンは100ドル高くなる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AmazonのKindle、薄く軽くなってRAMが2倍に

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父の日には少し遅いが、少なくとも夏休みには、リフレッシュされたAmazonの新しいKindleをフル活用する時間が十分あるだろう。この、スリムになって少し減量した入門レベルのEリーダーは、水着の季節にぴったりだ ― 重さは16%減って5.7オンス(162g)。

新機種の内蔵RAMは2倍に増えて512MBになり、新機能のExport Notesを使うとメールでノートを送ることができ、Bluetoothオーディオは、アダプターなしでコンテンツリーダーのVoiceViewを利用できる。ホーム画面のパーソナル化が可能になり、簡体字中国語が改訂された。

Kindle, Profile, Back

新しいKindleにはブラックとホワイトの2色があり、丸みを帯びた背面は手によくフィットする。価格は前機種と同じくWiFiのSpecial Offers(広告)付きが79ドル、通常版が99ドル。現在予約受付中で、数週間以内に出荷される予定。上位機種のフロントライト付きPaperWhiteにも、その名にふさわしくホワイトが加わった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Kindle Oasisは美しい。ただし紙の本と同じとはいかず、価格もかなり高いと思う

先週、Kindle Oasisが「紙の本を読むような感覚」を感じさせてくれるのかどうか、確かめる意味もあってずっと使ってみた。実際のところ、「紙の本のように」とはいかない感じだ。

個人的に、本が大好きで、そしてKindleも好きだ。Kindle Oasisがこの気持ちを「統合」させてくれるかとも期待したのだが、そういうわけにはいかなかったようだ。

もちろん、Oasisの開発にあたっては、紙の本の感覚を活かそうということが考慮されたのは間違いなかろう。左右非対称にしてグリップを用意したのも、本の背を意識したものと思われる。

しかしやはり紙の本を手に持って、ページを繰りながらちょっと端を折ってみたりしつつ、アンダーラインをひいたりメモを書き込んだりする感覚は、なかなか再現できるものではない様子。

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Kindle Oasisを横からみたところ。全体的に非常に薄く、それと同時に本の背を意識したグリップがある。

紙の本は、離れたページヘの移動もごく簡単に行える。あるいは上等な紙に印刷された文学作品などを味わっていると、気持ちもその作品の中にどんどん入り込んでいったりもする。一歩も動かないでいながら、時空を超えて精神を飛び回らせることができるのだ。

少なくともいまのところ、Kindleでそのような「感覚」を味わうことはできないと思う。もちろん進化していることは認める。

従来のものから大幅に変更されたデザインはなかなか美しく、おそらくはかなり魅力的な電子書籍リーダーであると言えるだろう。ただし、旧バージョンと同様にタッチに対するレスポンスには若干の遅れが感じられる。紙の本のようにパラパラとページをめくって行ったり、あるいは簡単にメモを書き加えたりということはできない(機能としてはできるが、紙の本に比べてインターフェース的に劣る)。そうしたことを多く繰り返す人にとっては、やや苛立ちを感じるデバイスとなるだろう。

また、Voyageと比べて「格好に見やすくなった」というわけでもない。4つのLEDライトが加えられたようではあるが、解像度も同じでさほどの違いは感じられないように思う。

価格に伴う魅力を感じるかどうかも微妙なところだ。価格は35,980円から(米ドルでは290ドルより)で、Kobo Aura H2Oの190ドルよりかなり高価だし、iPad Mini 2の270ドルよりも高い。たとえばiPad Mini 2には電子書籍リーダーにはない機能もいろいろと備わっていて、Kindle Oasisを高いと感じる人が多いのではないかと思う。

もちろんE-inkのディスプレイはiPadなどより目に優しく、物理ボタンを配したことでタッチ操作時に感じる遅れにも対処されてはいる。

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バッテリー内蔵カバーを外したところ。

個人的に、Oasisが最高に活躍するシーンは、旅行にいくときだと思う。

一般的にいっても電子書籍リーダーは、紙の本に比べて持ち運びに便利だ。そして軽く、薄く、それでいて非常に丈夫なOasisは旅先への携行にとても便利だ。ケースに用いられているポリマー樹脂フレームはかなりの強度をもつ。バッグのポケットにもいれておけるサイズながら、440万冊(2007年時点では9万冊だった)をいつでも読むことができるのだ。ちなみにデバイスは4GBの記憶容量を備えている。

バッテリー内蔵カバーを使えば、バッテリーは60日間ももち、長期間の旅行のお供としても最適なデバイスだと言えるのではなかろうか。

ただしOasisは、万人向けのデバイスというわけではなさそうだ。電子書籍を読む時間が長く、かつ最高の環境でそれを楽しみたいと考えている人向けのものだろう。言ってみればニッチ向けだ。しかしそうしたニッチが確かに存在するのは間違いなかろう。

私自身について言えば、「最新モデル」が好きだ。ただKindle Voyageが90ドルも安いことを考えれば、Voyageで満足する気持ちももっている。

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(翻訳:Maeda, H

古いKindleはソフトウェアをアップデートしないとインターネットに接続できなくなる

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2012年よりも前に製造されたKindleを持ってる人は、(米国時間)3月22日までにそのソフトウェアをアップデートしないと、インターネットに接続できなくなる、とAmazonが発表した。なんでもやることが遅い人や、そもそもメッセージを読まなかった人は、USBケーブルでKindleをコンピュータにつなぎ、アップデートをダウンロードして手作業でアップデートする、というとっても面倒な仕事をしなければならない。

最新のKindleを持ってる人は、アップデートしなくてもよいだろう。それらは、Amazonの発表によると、2013年以降にリリースされた、第6第7世代Kindle Paperwhite、第7世代Kindle、第7世代Kindle Voyageだ。

アップデートはほとんどの機種で自動的に行われる。電源を入れてWi-Fiに接続するだけだ(これも多くの場合自動勝手)。うまく行かなかった人は、Amazonのインストラクションを見よう。Kindleを放置しておいても、電源さえ入っていれば(+インターネット接続あり)、アップデートのダウンロードとインストールは自動的に行われる。

インターネット接続は、それがなければKindleで本を買う、Kindleストアで何かを買う、Kindleで何か楽しいことをする、などなどまったくできないから、ご注意を。アップデートの期限を過ぎた人も、上に書いたように頑張ればアップデートできるし、インターネット接続を回復できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Bezosが買ったThe Washington Post紙が今度はKindle上で無料に

Washington Postが、AmazonのタブレットKindle Fireの無料アプリで提供される。これは、AmazonのCEO Jeff Bezosが同紙を買収してから1年あまり後の発表となる。

Bloomberg Businessweekの記事によると、アプリを開発したのはPost内部のProject Rainbowと呼ばれるグループだ。プロジェクトのリーダーKerry Lauermanが今後、このアプリ向けの記事や写真を選んでいく。そのアプリは現在、大型のKindleの上で無料でダウンロードできる。WaPoのそのほかのデジタル提供物と同じく、いずれは有料制が導入されるものと思われる。これから買うKindle Fireには、このアプリがすでにインストールされている。

1年前にBezosが同紙を買ったことは、奇妙に思えた。紙に印刷されたニュースの不人気によりWaPoは、同紙を売る直前に利益が55%落ち込んでいた。だから、Bezosが何をするつもりなのか、よくわからなかった。しかしAmazonのCEOがキャッシュと100名あまりの新たな社員を注ぎ込んだため、この名門紙は息を吹き返した。Timesによると、今年の7月の同紙の読者は前年同期比で63%増加した。

The Washington Postの役員級編集者Marty Baronが、The New York Timesにこう語っている: “記者たちの不安感を一掃する必要がある。自分や仲間がクビにならないこと、安心して仕事に専念できること。楽観主義は、悲観主義と同様、社内に伝染する”。

同紙はすでにiOSとAndroidのアプリがあり、モバイルWebからの提供もある。いずれも、印刷版から選んだ良質なコンテンツを無料で提供し、有料バージョンもある。Web上の購読料は14ドル99セントからだ。

Kindleの新聞アプリはほかに、USA TodayやThe New York Timesがあり、どれもKindle Fire上で無料だ。

〔訳注: この記事からは今回のKindleアプリと、既存のiOS/Androidアプリの違いがよく分からない。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))