MicrosoftがHoloLensのデベロッパ向け体験コーナーをニューヨークのお店にセットアップ

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Microsoftは、デベロッパたちが、同社の拡張現実(augmented reality, AR)ヘッドセットHoloLensのポテンシャルに早めに目覚めてほしいので、このたびニューヨークのマンハッタン5番街にある同社の小売ストアに、HoloLens体験コーナーを作った。

HoloLensはOculus RiftやSamsung Gear VRのような仮想現実(virtual reality, VR)のプラットホームではない。そうではなくて、HoloLensは仮想的な画像を現実の環境の上に投射するから、どちらかというと拡張現実的な体験だ。

と聞くと誰もがゲームへの応用を考えると思うが、でも実は、いろんな業界業種でいろんなユースケースがありえる。その一部はエンタテイメントに使われ、他は仕事の効率を上げるために利用されるだろう。

でも新しいハードウェアが普及するための唯一の鍵は、デベロッパがそれに関心を抱いて、いろんなすばらしいアプリケーションを作ってくれることだ。MicrosoftはWindowsでも、やはりデベロッパを巻き込むために苦労をしたのだ。今回は、そのときの教訓を生かそうとしている。

HoloLensは2016年第一四半期にDeveloper Editionが3000ドルで発売されるので、そのためのポータルもすでに作ったが、実際に触ってみたい人は、ここで申し込むと、5番街のお店に招待される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

MashupAwards11で最優秀賞に輝いたのは、本物の弓を使ったARゲーム「参式電子弓」

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リクルートホールディングが主催する日本最大級のWebアプリ開発コンテスト「Mashup Awards」が11月に開催された。2006年に始まったこのコンテストは今年で11回目。8月20日から10月19日までに応募された431作品から12作品が11月17〜18日に開催された「TechCrunch Tokyo 2015」内のイベント「MashupBattle Final Stage」に登壇。サービスのプレゼンを繰り広げた。

MashupAwardsの審査基準は「アイデア」「完成度」「デザイン」の3つで、ビジネスモデルやマネタイズなどは評価の対象に入らない。「モノづくり自由型」というテーマで応募者が集まった決勝では、弓や天秤がでてきたり、ゲーム「ストリートファイター2」の対戦がはじまったり、ベッドをステージに置いて寝転がるとうなデモがはじまったりと、本当に自由な発想で作られた作品が発表された。

このレポートでは、決勝で発表された12作品の中から、上位3作品と、記者が個人的に面白いと感じた4作品の合計7作品を紹介する。

MashupBattle FinalStage(決勝)で発表された作品

最優秀賞「参式電子弓」:本物の弓を使ったスタンドアローンARゲームシステム

コンセプトは「身体的没入感」。といってもVRのようにヘッドマウントディスプレイを装着して体験するようなプロダクトではない。本物のアーチェリーの弓に、コンピュータ、バッテリ、プロジェクタ、センサが入った、全方位対応のARシステムだ。内蔵したプロジェクタで弓を向けた方向の壁に疑似的なスクリーンを作ることで、周囲の360度すべてをAR空間にすることができるのだという。

(1)モノ感(2)世界が周囲に広がっている(3)仮想の能力=現実の能力—という3点をコンセプトを持っているそうで、実際に弓の弦を引いて矢を放つ動作をすると、仮想世界上に矢が飛んでいく。弦を引いた強さによって、矢の飛んでいく強さが変わり、実際の弓を扱っているのと同じ感触でゲームをプレイができる。また、弓の傾き(構え方)によって炎の矢やラピッドショットなども打ち方も変えられる。

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第2位「CliMix (クライミックス)」:漫画の各シーンの雰囲気に合わせて最適な曲を流す電子書籍アプリ

電子書籍での購読時に、漫画にマッチしたBGMを自動で再生し、読書体験をより盛り上げ、漫画への没入感を高めるアプリ。

BGM再生の仕組みは、漫画の書籍情報APIを利用してジャンル検索し、GracenoteAPIからジャンルに応じた曲を取得。そして、Spotifyからインストゥルメンタル曲を取得し、漫画にあったBGMを流すというもの。

クライマックスシーンの判定は、コマ中のセリフや人間の大きさなど、複合的に判断しスコアリング。クライマックスが来るタイミングに楽曲のサビが流れるように1ページをめくる時間を逆算してタイミングを調整している。クライマックスに音楽がどのように融合されるのかはこちらの動画をご覧いただきたい。

第3位「なりきり2.0」:身振り手振りでものを操ったり、ゲームのキャラクターになりきったりできる作品

センサー、認識技術、WebAPIを組み合わせて、ゲームのキャラクターやヒーローに「なりきる」作品。例えば腕の動きを検出して電気をつけたり、TVのチャンネルを変えたり、手を振れば連動するゲームのキャラクターが稲妻を出したり——そんな世界を実現する。

腕時計型のウェアラブルデバイスを手足に装着し、モーションをリアルタイム検出。 機械学習を併用することで、多用な動作を認識可能にしている。デモでは家庭用ゲームのコントローラーをハックし、「ストリート・ファイター2」をなりきり 2.0で操作。仮想世界で手から稲妻を出す…ならぬ波動拳を出すというプレーを実現した。実際に対戦している様子は以下をご覧いただきたい。

インタラクティブ・デザイン部門賞「gの天秤」:人間の価値を図る言葉の重さを図る天秤

リアルタイムに取得される検索ヒット数1件を1グラムに置き換え、ことばの重みをフィジカルな天秤の傾きによって視覚化した作品。仕組みはProcessingで作成し、言葉をGoogleでリアルタイム検索、皿の上にのったスマホに言葉とヒット数を表示している。 天秤の動きはラックアンドピニオン構造という造りによって音がなく有機的なゆらめきを実現している。(動画参照)

コンセプトは、「人間の価値を測ることのできる天秤」で、 左右の皿にのったスマホには人を評価する言葉と数字を表示。言葉は「イケメン」「性格がいい」など様々で、数字は語をGoogleで検索した時のヒット数。この作品では現代の情報の重みを計り、異なる価値観を一意に序列する現代の神が「Google」であると定義づけ、その検索結果を判断基準においた。

おばかアプリ部門賞「寝返りブロックくずし」:寝返りでプレイするブロック崩し

ベッドにシリコンキーボードを2枚並べて敷き、押した(というか寝返りを打った側の)キーの位置に応じてブロック崩しのバーが移動、そのバーでボールを打ち返すという「寝ゲー」。ブロック崩しを楽しむだけではなく、睡眠時のライフログを安価かつ高精度で取得するという狙いから生まれた作品だ。

ゲーム部分はenchant.jsを利用してJavaScriptで、キーボードのキー取得は別PC(Raspberry Pi)で行っている。複数キーボードのキー押下の情報を取得するために、libusbを使ってRubyプログラムでキー押下情報を取得し、node.jsのサーバを経由してsocket.ioでブラウザに渡している。
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優秀賞「PINCH 」:はさむ、かわかす、天気よむ。自動で洗濯物をはさむことができる洗濯バサミ

洗濯バサミにフォトリフレクタとサーボモーターを取り付け、洗濯物を近づけると自動で開き、挟むと閉じる優れもの。また、カゴに超音波センサーを着け、かごを近づけると自動で洗濯物が離されるので、面倒な洗濯干しが楽になる。

さらに、天気情報ともMashupしており、天気に応じてハンガーの周りにあるカーテンを自動で開閉したり、ゲリラ豪雨があった時などには、スマホから取り込み指示を遠隔操作できる。

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Mashup部門賞「Openness-adjustable Headset:開放度を調整可能なヘッドセット」:モータ制御によりクローズ型とオープン型に変形可能なヘッドセット

クローズ型は没入できるが、外の音が聞こえない。オープン型は外の音が聞こえるが、音漏れがする——そんなヘッドフォン・ヘッドセットにまつわる課題を解決するのがこの作品だ。付属しているフタを、ボタンとスライドで開閉することで、クローズ型、オープン型2つのタイプのいいとこどりをしている。

開閉パターンは、タイマーを設定することで徐々にフタが閉まっていき、じわじわ没入するというパターン、音楽のサビが来た時に素早く閉まるパターン、自分の名前が呼ばれたらオープンになるパターンなどさまざま。また、聴きたくない番組をシャットアウトする放送局ブロック機能や、素早く動くと開く(自転車対策)などの遊び心あふれる機能も搭載。こちらの動画をみていただくとより分かりやすい。

決勝では合計12作品が発表されたが、そのうちの7作品を紹介した。残り5作品も、電気刺激で心の叫びを強制的に言語化するデバイスや、靴の中敷きデバイスをつかったIoT鬼ごっこなど、今回紹介した作品に劣らず面白いアイデアがつまっているので、是非Mashup Awards公式ブログを参照いただければと思う。

クリエイターの技術とアイデアの祭典

MashupAwardsはクリエイターのお祭り。冒頭にも書いたが、審査基準に「ビジネスモデル」や「マネタイズ」は関係ない。2015年のテーマは「モノづくり自由型」とし、クリエイターの作りたいものを作ってほしいという想いから、さらに自由度を許容している。

企業の中にいると、事業性やマーケット需要といった話になりがちで、画期的なアイデアはなかなか生まれないように思う。起業家を対象としたイベントも、事業性がないと高い評価は得られないケースが多いため、突き抜けた発想だけで勝負をするのは難しい。

だが、MashupAwardsは審査基準に「事業性」という点が入っていないため、発想に制限がなく「おもしろいアイデア」「未来を先取りするようなサービス」が生み出される可能性がとても高いイベントになっているように思う。

面白いアイデアを思いついたけれど、事業性がないな…といったアイデアがあれば、まずは作り、MashupAwardsに応募してみるといいと思う。自分では思いつかなかった何かを発見できるかもしれないし、仲間が見つかるかもしれない。また、アイデアが事業に繋がるきっけに出会うかもしれない。MashupAwardsをきっかけに人生が変わった人は多い(今回、審査員で参加した、はてな代表取締役社長の栗栖義臣氏もMA2の受賞者とのこと)。

作らされているのではなく、作りたいものを作っている作品の発表は、とにかく見ていて面白い。今年見ることができなかった人は、是非来年は会場に来て、生のプレゼンテーションを見ていただきたい。

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未来の拡張現実(AR)を今日見せてくれるMagic LeapがシリーズCで$827Mの巨額を調達

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Forbesの記事によると、ほとんどステルス(お忍び)状態なのに、回りが激しく騒いでいるスタートアップMagic Leapが、シリーズC*で8億2700万ドルを調達中だ。〔*: シリーズBでは5億4200万ドル。〕

Magic Leapのプロダクトは、MicrosoftのHoloLensとOculus Riftの交配種みたいで、10月のデモではこうなっている:

でも、世間をあっ!!と言わせたのは、こちらの、3月のデモだ:

これでMagic Leapの資金調達総額は約14億ドルになる。これまでの投資家は、Google, Qualcomm Ventures, KKR, Vulcan Capital, KPCB, Andreesen Horowtiz, Obvious Venturesなどなどだ。GoogleのCEO Sundar Pichaiは同社の取締役だ。誰もが毎日、現実というものの姿を、こんなものだと思っているかもしれないが、未来にはそれがまったく違った姿になる。しかも、あなたが求めたとおりの姿に。…そう思わせてくれる企業だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

直近12ヶ月におけるAR/VR市場への投資の内訳

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編集部記Tim Merelは、Crunch Networkのコントリビューターだ。Tim MerelはEyetouch RealityDigi-CapitalのファウンダーでCEOだ。

拡張現実と仮想現実は注目の分野で、投資家や企業は行動を起こし始めている。去年の初め、Facebookは数十億ドルでOculusを買収し、関心を集めた。しかし、この分野への投資が加速したのはここ12ヶ月のことだ。

拡張現実と仮想現実テクノロジーへの本格的な投資

2006年から2014年の終盤の間もAR/VRへの投資は少しづつ行われていた。そしてMagic LeapがGoogleらから5億4200万ドルを調達したことを皮切りに、この分野への投資は加速した。この12ヶ月で10億ドル近い資金がAR/VR市場に流れ込んだ。

前の四半期だけでも、2014年Q2の6倍の投資額となった。投資家や企業家のコミュニティーにおけるこの市場への関心はこれまで以上に高くなり、知識を蓄えながら市場の動向を注視している。

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Magic Leapへの投資額は、この12ヶ月内における投資額の半分以上を占める。彼らはさらに数十億ドルを調達する予定だとの報道もあるようだ。投資家や企業は、このフロリダの企業以外にも期待している。まだ本格的にローンチしていないAR/VR市場の目を見張るほど多様な企業に投資しているのだ。

AR/VR用の顔に付けるディスプレイ、動画、ソリューション/サービス、広告/マーケティング、ゲーム、アプリなどに多くの投資が行われた。エコシステムが形を成し始めるほど、投資側のコミュニティーはAR/VRの上昇を支えるために燃料を供給している。

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M&Aより投資

FacebookによるOculusの買収も投資家や企業にとって大きなきっかけとなるものだったが、現時点では、M&Aより投資の影響の方が大きい。

この12ヶ月におけるAR/VR市場でのM&Aの規模は2億5000万ドルだった。 IntelによるReconの買収が合計の4分の3の額を占めている。この状況は次の一年で劇的に変わるかもしれない。大手企業が競争で一歩先に抜きん出るために注目のスタートアップを買収することが考えられる。

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さらなら成長

AR/VR市場がローンチし始めている現在、投資コミュニティーはIntel、Google、Facebook、MicrosoftといったAR/VRの台頭を確実と見ている企業と、もう少し待って様子を窺う企業に分かれている。

来年の市場の動向は平坦なものではないだろうが、富はアーリーステージの投資市場における勇者に味方する。市場が回り始め、他にもいくつか大型のエグジットが起きるようになれば、傍観者で留まることは難しくなるかもしれない。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Facebookは拡張現実にも取り組んでいるとZuckerbergが認めた

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「もちろん!」とFacebookのCEO、Mark Zuckerbergは興奮気味に「Facebookは拡張現実(AR)に取り組んでいるのでしょうか?」という質問に答えた。「実現するのはもう少し先のことですが」と彼は、サンフランシスコで開催されたVanity Fair New Establishment Summitで仮想現実の話をしていた時に言った。

Facebookが仮想現実(VR)に取り組む意図があるということは彼らがOculusを買収した時点で明らかだった。彼らはSamsungとパートナーシップを提携し、製品の出荷を始めているし、フラグシップモデルとなるヘッドセットのローンチの準備も進めている。FacebookのMichael Abrashは仮想現実について「成長がさらに加速するカーブの転換点を過ぎた」と言い、もう仮想現実は実現しているとした。しかし、拡張現実については、その性質から新たな課題に取り組まなければならないとAbrashは言う。そのため、実用化までには仮想現実よりもう少し時間がかかるとした。

「とても興味深いと思います。上手く機能するなら、きっと誰もが使うものになるでしょう」とAbrashは言う。「境がなくなるような印象です。コンタクトレンズ型か眼鏡型かもしれません。何かを装着してVRかARを選択できるでしょう。ただ、現時点ではやっとVRが成長が加速する局面に入った所です。ARはさらに難しいのです。全く異なる課題があります。光学をどのように活用し、画像を表示したり、目に写真が映るようにしたら良いのでしょうか。社会生活でも違和感がなく、一日着けていても差し支えがないようなものとはどのようなものでしょうか。VRはもう完成に近づいていると思いますし、将来的にARも実現するでしょう。しかし、そうなるまでには、まだ長い道のりがあると思います」。

拡張現実はFacebookに仮想現実とは全く異なるチャンスをもたらすだろう。FacebookのOculus Riftなど仮想現実の特徴は、その世界に没入するために設計され、ユーザーを現実世界と切り離し、体験する世界だけに集中できるようにするものだ。これは、体感的な時間を提供する。Zuckerbergは例として、家族全員が子どもが初めて歩く様子を見守ることができると説明した。

とても興味深いと思います。上手く機能するなら、きっと誰もが使うものになるでしょう

— Michael Abrash

「Facebookは自分が表現したいことをどのような形でも、どのようなオーディエンスにでも伝えられる方法を提供しています」とZuckerbergは言う。「今後シェアされるコンテンツの中で仮想現実の体感的なコンテンツの割合は増加すると思います。インターネットでのコミュニケーションの面白さの一つは、非同期性にあります。ですがもちろん、外科手術をリモートで行ったりと、その場にいるような同期性が重要となるユースケースも多々あることでしょう」。

一方、ARの場合、ユーザーとユーザーの周りの環境をいかにつなげるかが重要だ。Facebookが製作するARシステムの世界は予想がつくだろう。想像してみてほしい。例えば街を歩いている時にお店に付けられた「いいね!」の数を見たりすることができるだろう。ARとは、ユーザーが見ている世界を拡張し、周囲との環境とさらに関わることを可能とする。Facebookはその技術を活用し全く新しい体験を構築することができるだろう。

拡張現実に取り組んでいるのはFacebookだけではないが、Facebookはこの分野で中核的な存在になる可能性を秘めている。この分野にはGoogleから巨額の投資を受けた拡張現実スタートアップのMagic Leapの存在感が静かにだが確実に増している。そして、Google Glassが直面した典型的な問題も忘れてはならない。Google Glassは新しい技術として受け入れられず、社会の反発にあった。

ZuckerbergとAbrashがFacebookのARの夢に関してわずかしか情報を開示しなかったが、FacebookがVRの先を見越しているという事実は重要だ。彼らの顔認識技術とARを組み合わせることで、多様なユースケースが想定できる。Facebookは人と、その人達が住む世界のことを他のどこの企業より知っていると言っても過言ではないだろう。最終的に、人は端末の画面を見ずとも、スクリーン越しに世界とそれにまつわる情報が上乗せされた景色を見る未来をFacebookが実現するかもしれない。

Zuckerbergは以前、「モバイル端末も、ポケットから取り出さなくてはならないのは少し変だと思います。将来的には、周りを見渡したい時に見渡せるようになるでしょう。何かを選択する場合も、それに見るだけで選択できるでしょう」と説明している。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Microsoftが3D物理演算の秀才企業HavokをIntelから買収–技術は他プラットホームにも提供か

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Microsoftが今日(米国時間10/2)、Havok SoftwareをIntelから買収した、と発表した。Havokはアイルランドのゲーム技術企業で、Intelはここを2007年の9月に買収した。

買収の価額などは公表されていない。

Microsoftは短いブログ記事の中で、Havokは3D physicsのプロバイダとしてトップクラスである、と言っている。つまり今のMicrosoftは、ゲームや拡張現実(AR)も研究開発の対象だ。すでに製品化されているXboxやHololensも、今後ますます高度な技術的資源を必要とする。

MicrosoftはHavokのとくに何がほしいのか? VentureBeatの記事は、Havokの新製品について、“Havok FXは、PlayStation 4やXbox OneやPCのためのグラフィカルイフェクト技術だ”、と述べている。

4つのうち2つ(Xbox OneとPC)がMicrosoftの手中にある。ゲーム機だけでなく、次のプラットホーム戦争も生き抜くためには、VRでもARでも何でも、技術リソースの充実が欠かせない。

Havokには、経験豊富な人材がいる。同社のWebサイトによると、すでに15年間、この技術分野を手がけている。同社の技術は600あまりのゲームで利用されているが、その中にはHalo、The Elder Scrolls、Assassin’s Creed、Call of Duty、Uncharted、Dead Rising、Skylandersなどの人気作品も多い。

もちろん、高度なイフェクトが欲しいのはゲーム企業だけではない。同社の特殊効果技術は、X-Men First Class、World War Z、Harry Potter、James Bond、The Matrixなどのメジャーな商業映画でも使われている。実はすごい企業なんだ、とは言える。

Microsoftのマルチプラットホーム対応の姿勢(Windows家に閉じこもらない)が今後とも続くのなら、Microsoft製品だけでなく競合プラットホームも引き続きサポートするだろう。Havokの場合、それがどんな形になるのか、それが楽しみだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AR/VRが1500億ドル(18兆円)産業へとブレークするための7つの条件

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編集部:この記事はコンサルティング企業、Digi-Capitalのマネージング・ディレクター、Time Merelの寄稿

拡張現実(Augmented Reality)と仮想現実(Virtual Reality)が離陸するのは来年に入ってからだろう。しかし現在すでに初期の市場の制覇を目指すプレイヤーの間で激しい競争が起きている。

こうした内部での競争は必然的なものだが、AR/VRにとって本当に重要なのはスマートフォンとタブレットという現在普及しているモバイルデバイスとの競争だ(パソコンはむしろVRの普及を助ける存在なのでライバルではない)。

現在世界では40億台のスマートフォンとタブレットが使われており、2020年には60億台になるものと見込まれている。この期間に期待されるAR/VRの販売台数は数億台だろう。

2020年のAR/VR市場の規模は1500億ドル(18兆円)と予測されている。これは大きな数字だが、モバイル・デバイス全体の数兆ドルという規模に比べれば微々たるものだ。つまりAR/VR企業のライバルはお互い同士ではなく、Apple、Samsung、Huawei、Lenovo、Xiaomiといった巨大メーカーだということに注意しておく必要がある。

現実はタフだ

AR/VRが2016年のアーリー・アダプター段階から2020年までにメインストリーム市場に移行するために必須な7つの条件がある。

条件の一部はすでに現実化している。一部は困難な課題だ。一部はここ1年から1年半で実現するだろう。そして生産へのくロードマップがまったく見えていない課題もある。われわれはAR/VR市場の初期のリーダー企業をリアリティー・マトリックスとして下の図のように整理してみた。これはあくまで2015年第2四半期時点でのスナップショットであり、半年程度で大きく変わっていく可能性がある。

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このマトリックスでは用語を以下の意味で使っている。

  • 仮想現実(Virtual):現実(外界)はユーザーに対して遮断される(ユーザーは仮想現実が表示するコンテンツだけを見る)。
  • 拡張現実(Augmented): 現実(外界)は遮断されない(ユーザーは現実と重ねてバーチャルな対象を見る)。
  • 没入的(Imersive):いくつかのテクノロジー(下で述べる)を総合し、ユーザーの脳に仮想現実があたかも現実の体験であるかのように思い込ませる状態。
  • 環境的(Ambient): 没入的となる条件のいくつかを欠き、ユーザーが現実(外界)との区別を意識できている状態(拡張現実の場合、環境的であることが重要になる場合がある)。

上の図では、これらの要素によって4つの領域を設け、現在の主要プレイヤーを分類してある。

没入的VRはバーチャルなクジラが水中を突進してくるとユーザーが思わず避けようとするような体験を提供することを目指す。システムとしては、 HTC ViveOculusなどがこれにあたる。このレベルの没入性をもたない拡張現実としてはSamsung Gearなどがある。

一方、拡張現実のデベロッパーは映画『アイアンマン』に登場したホログラフィック・ディスプレイのようシステムを目標としている。つまり半透明なバーチャル対象の向こうに外界が透けてみえるような体験だ(Meta)。 混合現実(Mixed Reality)の分野 では、明るい外界にいてもユーザーの目に現実そっくりに見える対象が描写されるテクノロジー(Microsoft HoloLensMagic Leap)と ARとVRを簡単に相互に切り替えられるテクノロジー( ODG)がある。

7つカギ

AR/VRの将来を形づくるカギとなる要素はどのようなものだろうか?  われわれは以下の7つの要因を決定的なものと考えている。

可搬性(Mobility): これはARの場合、特に重要となる。外界を遮断しないという特性上、ARはどんな場所でも利用できなければならない。実際、この移動の自由性がARの大きな優位性となる。そのためARでは可動性、携帯性がポイントになるが、これは同時に既存のモバイル・デバイスと直接に競争しなければならないことを意味する。親機にテザリングする必要がないこと、バッテリーが少なくとも1日の活動時間中はもつこと、音声とデータの通信が途切れずに行えることなどが必要だ。Wi-Fiが使えないとコミュニケーションができなくなってしまうのではスマートフォンには勝てないだろう。

一方、VRの場合は外界をブロックしてしまうので安全な場所(家、オフィス、飛行機)などでしか使えない。そこでVRの場合、可搬性はさほど重要ではないが、Samsung Gear VRのように手軽に持ち歩きができればメリットではある。

画質(Vision):AR/VRは基本的に視覚メディアだ。ユーザーはすでにスマートフォンでRetinaクラスのディスプレイ(個々のピクセルが肉眼で弁別不可能)に慣れてしまっている。そのため低い解像度ではユーザーの脳は不満を訴えるだろう。『アイアンマン』に登場したくらいの画質でなければメインストリームの消費者がVRデバイスに飛びつくことはないだろう。ここでは画像技術の詳細には立ち入らないが、画角(視野)、遠近感(3D)、解像度、明るさなどが重要な要素となる。

没入(Immersion):真の没入感が得られるとユーザーの気分は高揚し、さらに体験を続けたくなる。この感覚を与えられるかどうかが没入的VR、混合現実のどちらでも決定的だ。没入感を与える上でカギとなるのはユーザーの頭の位置のトラッキングだ。これは空間内の移動と回転とを同時にトラッキングできなければならない。トラッキングに対する画像表示の遅延やブレを最小限に押さえる必要がある。また音声の3D化も必要だ。

使い勝手(Usability): AR/VRが広く普及するためには、現在のモバイル・デバイスなみの使い勝手が実現される必要がある。ここではCPUパワー(ARの場合、ベッテリー駆動時間とトレードオフになる。VRの場合デバイスのコストに影響する)、快適さ(VRでは船酔い症状を起こさないこと、ARではなるべく軽いこと)、ユーザー入力(専用コントローラー、音声、視線、手や身体のジェスチャー、ユーザーの位置、その他環境情報)に特に考慮が払われねばならない。AR/VRは特有の処理を必要するので、Intel、Qualcomm、Nvidia、ARMなどのCPUメーカーにとっては大きなビジネス・チャンスだろう。

柔軟性(Flexibility):ARは汎用的コンピューティング・デバイスの一種と考えねばならない。つまり現在スマートフォンやタブレットに求められている機能の大部分を代替できる必要がある。AR/VRのための膨大なアプリケーション群が必要であり、デベロッパーの負担を軽減するためにクロス・プラットフォームの標準的OSとSDKが求められる。混合現実はARとVRを必要に応じて簡単に切り替えられるという点でさらに汎用性が高い。

装着性(Wearability): マス消費者にアピールする製品は見て美しく、利用感が自然でなければならない。特に顔に何かを装着するという行為はポケットからスマートフォンを取り出して操作するようよりも個人性が高い。消費者は自分がこっけいに見えることは望まないものだ。デザインと装着感はなによりも優先する。特にARは路上など公共の場所で利用することになるのでハードルが高い。さらにサイズ、重量、バッテリー駆動時間、CPUとGPU能力、すべての面で高いレベルが要求される。.

価格(Affordability):誰も語りたがらないが、厄介な問題は価格だ。没入的VRの普及シナリオはパソコンやゲーム機と似たものになるだろう。環境的VRは特に求めやすい価格であることが重要になる(GoogleがOnePlusを無料で配っているのもそのためだ)。Verizon、AT&T、T-MobileなどのキャリヤにARや混合現実のデバイスに販売補助金を出させるよう説得するというのも一つの方法だろう。キャリヤにとっても新たなプラットフォームでシェアを確保することは将来の売上につながる。

シリコンバレーから上海まで、世界中で最優秀の起業家と投資家がARとVRの離陸のために日夜努力している。高いハードルもいくつかあるが、それを乗り越えたものが次のAppleとなるかもしれない(もっともそれがApple自身である可能性もある)。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ウェアラブルデバイス「Telepathy Jumper」発表、だがそれは想像とちょっと違った

SXSW 2013にて「Telepathy One」が発表されてから1年半、2014年6月には創業者であり代表を務めていた井口尊仁氏の退任騒動も起こった(現在井口氏は同社のフェローという肩書で活動している)が、Telepathyがその製品の詳細を発表した。Telepathyの日本法人であるテレパシージャパンは12月18日、ウェアラブルデバイス「Telepathy Jumper」を発表した。同日よりデベロッパー向けの申し込みも受け付ける

Telepathy Jumperはこれまでのデモ機やモックアップにあったように、メガネ状(厳密には耳から後頭部、反対側の耳までをぐるっと回りこむデザインになっている)のウェアブルデバイスではない。カメラやディスプレイ、マイクを備える「ディスプレイユニット」と、バッテリーや操作ボタンを備えた「パワーユニット」をケーブルでつなげた形状で、ケーブル部を首にかけて使うのだという。医者が首からかけている聴診器をイメージすると分かりやすいかもしれない。

ちなみにモニタ部を目の前に固定する場合、専用のアタッチメントが必要となる。アタッチメントのデータはオープンソースとして公開。自身の頭部のサイズに合わせてデータを加工した上で、3Dプリンターで打ち出して利用する。

アタッチメントをつけてTelepathy Jumperを耳にかけたところ

ディスプレイユニットには、qHD(960×540)のディスプレイ、500万画素・オートフォーカスのカメラ、2つのノイズキャンセリング機能付きマイクなどを備える。パワーユニットには操作用のボタンのほか、1000mAhのバッテリー、8GBのメモリなどを備える。OSはAndroid 4.2で、ネットワークはBluetoothとWiFiを利用できる。実際にデモ機を使用させてもらったところ、ディスプレイは非常に明瞭。周辺の光が強い環境でもはっきり見ることができた。ただ、デモ機はモニターに映像を流しているだけだったので、聴診器型(便宜上こう呼んでおく)であるメリットがイマイチ分からなかった。2015年3月に法人向けに販売を開始し、来夏をめどに一般向けの販売を進める。なお価格は未定。

一般向けの販売に合わせて提供予定のアプリケーションも2つ紹介した。1つは、他のユーザーが見ている(カメラで撮影している)景色をあたかも目の前の景色のように閲覧できる「Eye Connect」、もう1つはユーザーが持っている特技などを、Telepathyを使って他のユーザーに教えたり共有したりできる「Talent Buzz」だ。Telepathy Jumperは「共創」をテーマにしているとのことで、そのテーマに沿ったアプリとなる。また仕様の詳細などは明らかにされなかったが、サードパーティーによるアプリケーション開発も検討する。

「以前から開発していた」という聴診器型デバイス

これまでのデモ機でメガネをイメージしていたこともあって、その形状には驚いたのだけれど、テレパシージャパン代表取締役の鈴木健一氏によると、「ユーザーテストで分かったのは、常にディスプレイが目の前に必要ではないこと」なのだそう。このような気付きから、これまでもメガネ型のデバイスと並行して聴診器型のデバイスも研究・開発していたそうだ。

実はTelepathy Jumperのバッテリーの容量は現在主流となっているスマートフォンの半分程度。そう考えると素人目にもメガネに仕込むにはちょっと大きいように感じる。実際以前にも複数の関係者から「メガネサイズでバッテリーの容量を確保するのは難しいのではないか」という話を聞いていた(が、今回の形は想像していなかったのでびっくりした)。なので、バッテリーの容量確保のためにメガネの形状を諦めたのではないかとも鈴木氏に聞いたが、あくまでメガネという形状での不便を解決するために現状の形になったという説明だった。たしかに普段使うメガネの上に、さらにメガネ型デバイスはつけていられない。

テレパシージャパン代表取締役の鈴木健一氏

すでに日立ソリューションズなど複数社での試験利用も始まっている。両手が自由に使えるウェアラブルデバイスは、工事や建築から製造、病院など、さまざまなビジネス現場でニーズがあるのではないかという話は各所で聞く。「聴診器型」である必要性はさておき、Telepathy Jumperのニーズもそこにあるはずだ。

また、鈴木氏は同日の会見でのプレゼンの中で「利用シーン」として東京ディズニーランドの写真を使用しており、質疑では同施設との関係について記者から質問が飛んだのだけれども、「数社とどのようにビジネスが構築できるか話をしている。ディズニーランドはまた後日ということでお願いしたい。(対応は)広報に任せます」(鈴木氏)とだけ回答していた。

ともかく、かつて代表だった井口氏が語った「2014年に届けたい」というスケジュールにはギリギリ間に合わなかったが、少なくとも2014年中にその姿が明らかにされた。この発表について井口氏がどう思っているかも鈴木氏に聞いたが、「海外にいて、ここ(会見)に来る前には話をしていないので心境は分からない」とのことだった(ただし、Telepathyのミーティングなどには参加しており、西海岸の情報などを共有してくれているそうだ)。


ジャンプするカメラ付全地形2輪ドローン、Jumping Sumoが8月に米国で発売開始

フランスのBluetoothの草分けでAR Droneのメーカー、Parrotが、1月のCESで大発表した新製品の最新情報を公開した。ParrotはCESで新しいドローン2機種を披露した。「ミニドローン」と呼ばれる新製品群は、現在販売中のAR Droneよりずっと小さく、一つは飛行型、もう一つは全地形型で最高80cmジャンプする。このほどその価格と米国での発売時期が発表された。

2輪のJumping Sumoは高速ですばしこく動き、車輪を畳んで狭いところを通ったり、ジャンプの軽技を披露したりする。広角レンズカメラを内蔵し、スマートフォンの専用アプリで制御できる。カラーは3色用意され、バッテリーは20分間持続する。8月に155.99ドルで、Apple、Best Buy、Sprint、およびVerizonの各ストアで売り出される。

Rolling Spiderは、超コンパクト(手で持てそう)なクワッドコプター・ドローンで、オプションの2輪アタッチメントを付ければ、地表はもちろん壁や天井まで高速で這い回る。バック転が可能で、内蔵のバーティカルカメラを使って地面との相対位置を制御する。カメラはスナップ撮影にも使えるが、従来のParrot AR Droneにある前面ビデオカメラは装備していない。ただし、オートパイロットモードを持ち、3色から選べる他、「口」のステッカーが付いてくるので、ドローンを擬人化したい人は喜ぶだろう。

バッテリー寿命はわずか8分(飛ぶのは転がるより大変)で、同じ操縦アプリを使う。Sumoと同じく、Apple、Best Buy、SprintおよびVerizonで8月から販売され、標準価格は99.99ドルだ(一般的入門用飛行ドローンとしても安い)。

9月には、Windows 8.1およびWindows Phone 8.1のドローン操縦アプリを提供すると、Parrotは約束している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook