Disrupt SF(9/5-9/7)でバイオテク投資家の話を聞こう――ローラ・デミングらが登場する

9月5日から7日にかけてTechCrunch Disrupt SFがサンフランシスコで開催される。すでにカレンダーにチェックはお済みだろうか? 今年のDisrupt SFは過去の例にくらべてスペースも予想来場者数もセッションの数も2倍以上の規模だ。われわれはあらゆるエマージング・テクノロジーをカバーする予定だ。これにはスーパー・ホットなバイオテク分野も含まれる。

Startup Alleyにはバイオテク分野のスタートアップのためのセクションが設けられ(バイオテクのファウンダーも無料のTC Top Picks に選ばれる資格がある。また参加パッケージを購入すれば、3名分のファウンダー・パスが得られDisrupt SFのすべてのセッションに参加できる。申し込みはこちら)。

Disrupt SFではバイオテク分野のトップ投資家の講演が予定されており、重要なトレンドやこの分野のビジネスの見通しについて貴重な意見が聞ける。ベンチャー投資家がどのようなバイオテク・スタートアップへの投資を狙っているのか知るために絶好のチャンスだ。

Laura Deming:総額2600万ドルのLongevity Fundのファウンダー、パートナー。このベンチャー・キャピタルは老化防止のためのバイオテクに特化している。Demingは14歳でMIT(マサチューセッツ工科大学)に入学を許された。その後ピーター・ティールからの10万ドルのベンチャー資金、Thiel Fellowshipを受けてMITをドロップアウトし、ベンチャー・キャピタルをスタートした。 Demingは「近い将来、老化という現象はなくなる」と信じている。これまでのところ、DemingはUnity BiotechnologyPrecision BiosciencesMetacrineNavitorAlexo Therapeuticsなどに投資している。

Nina Kjellson:Canaan Partnersのジェネラル・パートナー。 Kjellsonは主として新分野の開拓を目指すバイオファーマとデジタルヘルス企業に投資している。またBlueprint Health、Springboard Life Sciencesのメンターを務め、Essential Access HealthとOliver Wyman Health Innovation Centerの理事でもある。 スタンフォード大学でヒト生物学を専攻して修士号を取得している。最近の投資先にはAnnum HealthDauntlessPACT Pharma Tizona TherapeuticsVineti.などが含まれる。

Arvind Gupta:総額1500万ドルのアーリーステージ・ベンチャーキャピタル、SOSVのジェネラル・パートナー。 これまでにサンフランシスコに本拠を置くバイオテク・インキュベーター、IndieBioを創立している。IndieBioは「10億人に影響を与えるか企業価値が10億ドルになる会社」の育成を目指している。Arvindはカリフォルニア大学バークレー校で遺伝子工学を専攻し修士号を得ている。投資先にはMemphis Meats、Synthex、Medel.AI、Catalogなどがある。

これ以外にもバイオテクとヘルス分野には多数のプログラムが用意される。23andMeのファウンダー、アン・ウォジスキーが講演することはすでに発表したとおりだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AIを利用して神経障害を治療するBrainQが$5.3Mを調達、世界最大の脳波データベースを持つ

イスラエルのBrainQは、脳卒中の後遺症や脊髄の損傷などで障害を抱える人びとを、個人化された電磁療法で治療している。同社はこのほど、これまでの350万ドルに加えて新たに530万ドルを調達したことを、発表した。その投資家たちは、Qure Ventures、クラウドファンディングのOurCrowd.com、Norma Investments、IT-Farm、そしてValtech CardioのファウンダーでCEOのAmir Grossなど数名のエンジェル投資家たちだ。

本誌TechCrunchが今年の初めにBrainQを取材したときには、彼らはイスラエルの脳卒中患者を対象とする2件の臨床試験を行っていた。当時の同社は最初の資金調達ラウンドを完了したばかりで、GoogleのLaunchpad Acceleratorとの協働も開始していた。

BrainQは、患者の脳波を利用して、その人に合った治療計画を作る。AIは、どんなに優れたアルゴリズムでも、データがなければ何の役にも立たない。BrainQによると同社には、運動能力に関する世界最大の、Brain Computer InterfaceベースのEEGデータベース(脳波図/脳電図データベース)があり、それを利用して患者の脳波を解釈し、治療計画を作りだす。

BrainQの脳波読み取りデバイス

“今われわれは、新しい時代の入口に立っている。これからはAIをベースとする精密医療が神経障害の治療に使われていく。ただしまだ現状では、十分なソリューションが存在しない”、とBrainQのCEO Yotam Drechslerが今日の発表声明で述べている。“BrainQでは、神経障害の治療のためにこのビジョンが現実化していく機会に、喜びを感じている。短期的には、われわれはすでに相当量の成果を達成し、われわれの技術をさらに前進させ利用を拡大して行ける機会を目前にしている。それによりBrainQは、BCI(brain-computer interface)ベースの精密医療における世界的リーダーになるだろう”。

イスラエルのスタートアップによくあるように、同社のチームにも国の諜報部門の優秀な出身者が含まれ、またAIや神経科学の学者や研究者たちが顔を揃えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

バイオ専門のアクセラレーターIndieBioが初めてのデモデー、14社が勢揃い

[筆者: Neesha A. Tambe]
【抄訳】
今日(米国時間4/17)の午後2時から、本誌TechCrunchはIndieBioのデモデーをお届けする。

IndieBioは、バイオテク企業にフォーカスする生後4か月のアクセラレーターだ。初期段階の企業にメンター(mentor, 指導者, 個人指導)がつき、バイオセーフティーlevel 1と2のラボを利用でき、業界のエキスパートからのアドバイスと25万ドルの資金が得られる。

2018年度の14社は、ノンオピオイド鎮痛投薬管理や、合成木材の生成、そしてAIを利用する抗生物質耐性の抑止など、さまざまだ。

彼らのデモを、ご覧いただこう:

Antibiotic Adjuvant: AIを利用して抗生物質耐性をモニタし減衰する意思決定支援ソフトウェア。

BeeFlow: 農作物の受粉用の利口で強い蜂を開発中。収穫量を最大90%上げ、蜂の人口減を抑える。

Dahlia Biosciences: 研究や診断用の多重化イン・シトゥー単細胞RNA分析ツールの次世代型を作る。

Jointech Labs: 高品質な脂肪移植、脂肪由来の幹細胞、および細胞治療を安全低価格で提供。

Lingrove: 自然界にある繊維や樹脂から、外観や性質は高級木材のようでカーボンネガティブな合成木材を作る。

MezoMax: 骨折治癒の高速化、骨粗鬆症の治療の改善、高齢者の骨の強化を、新しいグルコン酸カルシウム立体異性体により実現する。

Neurocarrus: 慢性の痛みに対する、効果が長時間なノンオピオイド鎮痛剤。オピオイドのような習慣性や副作用がない。

Nivien Therapeutics: 化学治療と免疫治療の両方を強化する初めての低分子医薬。15例のがんで効果を実証。

Nuro: 手術やICU、介護、リハビリなどのあとで無力化している患者にコミュニケーション能力を持たせる。

Onconetics Pharmaceuticals: 腫瘍の細胞に対する遺伝子治療。遺伝子スイッチがアポプトーシスを誘起してがん細胞を殺す。

sRNAlytics: 新しいバイオインフォマティクスにより小さなRNAバイオマーカーをエラーフリーで見つける。ハンチントン病で概念実証を行った。

Sun Genomics: 各個人に合わせたプロバイオティクスにより腸内細菌の健全な状態を取り戻す。そのために消化管の細密なプロファイルを作成する。

Terramino Foods: シーフードの中でも、菌類や藻類の健康効果を強調した食品を作る。

Vetherapy: 猫、犬、馬などの新しい幹細胞治療を開発。傷の早期治癒や、自己免疫の治療、炎症の治療などで効果を実証。

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批判を浴びていたMITが脳を保存するスタートアップNectomeとの関係を断つ

MITが、Nectomeとの関係を断つことになった。この、Y Combinatorが支援するスタートアップは、将来のデジタルアップロードの可能性のために顧客の脳を保存すると称してきた。

協同ファウンダーのRobert McIntyreはその処置を、“100%致死的である”と述べている。それは、末期の患者をマシンに接続して動脈に防腐液を注入する、などの過程を含んでいる。

同社は申込者から10000ドル(返金可)を集めたが、今同社のWebサイトには“最近の報道への応答”と題する注記があり、処置の実行は今後のさらなる研究の後になることが示唆されている:

人間の脳の臨床的保存には人類にとって大きな利点の可能性があるとわれわれは信じているが、しかしそれは、医学と神経科学の専門家からの入力をもとにオープンに研究開発された場合に限る。現時点で生体保存を急ぐことはきわめて無責任であり、今後の正しい方式の採用を妨げるものになる、とわれわれは信ずる。

MITのTechnology Reviewにも書かれているが、MITとの関係が同社に信ぴょう性を与えている、と批判されてきた。MIT Media LabのEdward Boyden教授はNectome社への国の補助金の形で、金を受け取っていた。McIntyreと彼の協同ファウンダーMichael McCannaは、ともにMITの卒業生だ。

今回Media Labは声明を発表し、“同社のビジネスプランの科学的前提と、同社が発表している一部の声明を”検討した結果、“両者の合意に基づき、MITとNectomeの協同関係を終結する”、と述べた。

Media Labによると政府の助成対象になっていた研究プロジェクトは、“Nectomeの化学的側面と、Boydenグループの発明になる拡張顕微鏡技術を組み合わせて、基礎的科学と研究目的のためにマウスの脳のより良質な視覚化を得る”ことだった。Boyden教授とNectome社の間に、金銭や契約などをめぐって個人的な関係はなかったようだ。

その声明は最後に、Nectomeの背後にある科学に言及している。Media Labは、脳の保存と未来におけるアップロードの可能性を全面的に否定するものではないが、科学的確証はまだない、と示唆している:

神経科学はまだ十分に進歩していないので、記憶と心に関連するさまざまな生体分子をすべて保存できるほど強力な脳の保存方法がありうるか否かを、知っていない。また、人間の意識を再生することが可能かどうかについても、知っていない。

McIntyreはMIT Technology Reviewでこう述べている: “MITが私たちに与えた助力に感謝し、彼らの選択を理解し、そして彼らに最良を願う”。

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Y Combinatorがバイオテク専門の育成コースを立ち上げ、最大$1Mを投資

Y Combinatorが今、YC Bioと名付けた新しい部門を実験している。それは、初期的段階の生命科学企業に資金を供給することが目的で、初期的段階というのは、まだ実験室レベル、という意味だ。YCの社長Sam Altmanが今日(米国時間1/11)の同社のブログに書いているが、いちばん最初にフォーカスする分野は、健康寿命と、加齢関連の疾病だ。

“人びとの健康長寿を助けることには大きな機会がある、と考えている。しかもそれは、今言われている医療危機に対する最良の対策のひとつだ”、とAltmanは書いている。

なお、健康寿命(healthspan)という最新の新語は、病気などにならずに、健康な状態で生きている期間のことだ。

YC AIの場合もそうだったが、YC Bioコースに参加する企業もYCのふつうのプログラムを受講する。しかし、12万ドルを投資してその企業の7%を保有する、という形ではなく、YCはバイオテク企業に50万〜100万ドルを投資して、その企業の10から20%を保有する。

上に‘実験室レベル’と書いたが、YCは実験室スペースの無償提供も行う。具体的にはまだ未定だが、そのために実験室/設備機器レンタル企業とパートナーする予定だ。YC Bioはさらに、バイオテク企業の“さまざまな特殊なニーズにも応じ”、その分野のエキスパートへのアクセスも提供する。

YCが初めてバイオテク企業を支援したのは、2014年のGingko Bioworksだ。当時同社はふつうのスタートアップとしてYCの‘生徒’になった。そのときAltmanは本誌のSarah Buhrの取材に対して、バイオテクの三つの最新トレンドを挙げた: “1)近くハイパーグロウス(超絶的巨大成長)になる、2)起業コストが下がりシリーズA級で間に合う、3)サイクルタイムがスタートアップにも十分耐えられるほどに短くなる”。

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人工蜘蛛の糸のBolt ThreadsがシリーズDで$123Mの巨額を調達、二次製品は他企業とのパートナーシップ次第か

蜘蛛の糸を、微生物を利用して人工的に作ろうとしているBolt Threadsが、シリーズDで1億2300万ドルという巨額を調達した。本誌が11月に報じたように、SECの提出書類によると同社は、Formation 8から1億600万ドルを調達した。

Boltの新たな発表では冒頭の額になり、同社の調達総額は2億1300万ドルになった。

【中略】(投資家詳細)

Bolt Threadsは、2009年のローンチ以降、テフロンより強く雲より柔らかい、そして自然界に豊富にある、という蜘蛛の糸を人工で作ることに向けて、大きく前進してきた。

過去に同じことに挑戦した企業や個人は多いが、誰も成功しなかった。しかしBolt Threadsは不可能から黄金を紡ぐことに成功し、2017年には初めての衣料製品、314ドルのネクタイを作った。

その後同社はPatagoniaやStella McCartneyなどとパートナーし、また職人のための道具などを扱っているBest Made Companyを買収した。

シリーズDの資金は、研究開発の継続と、その微生物から作った素材の商業化努力に充てられる。

協同ファウンダーでCEOのDan Widmaierはこう言う: “昨年のBolt Threadsは大きく前進できた。長年の研究開発の結果、弊社は世界で初めて、人工蜘蛛の糸の市場化に成功した。でもそれは、今後起きるであろう素材革命の上(うわ)っ面(つら)をかすったにすぎない。今回の資金で工程の改良を継続し、また他企業とのパートナーシップも拡大したい”。

ただし、今後の多様なパートナーシップや製品開発についての、具体的な説明はなかった。

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バイオ技術による人工蜘蛛の糸の開発に挑戦するBolt ThreadsがシリーズDで$106Mの巨額を調達

私たちの五感の蜘蛛の巣が、大物を捕らえたかな? SECの提出書類によると、微生物を利用して人工蜘蛛の糸を作っているバイオテク企業Bolt Threadsが、シリーズDの資金調達で1億600万ドルという巨額を調達しているようだ。

Bolt Threadsは、蜘蛛の糸を作るという野心的な取り組みを初めて本誌に語って以来、めざましい成長を遂げた。英語でspider silk(蜘蛛の絹)と呼ばれるその素材は、テフロンよりも強く雲よりも柔らかくて、しかも自然界に大量に存在する。

たしかに、蜘蛛の巣を大量生産してそれを人間が着る、なんて話はあまりふつうではないし、過去にも何度か挑戦する人はいたが、みな失敗している。しかしBolt Threadsは、その不可能から黄金を紡いで、今年初めには最初の本物の衣料製品、314ドルのネクタイを作ることに成功した。

同社はその後PatagoniaやStella McCartneyなどとパートナーし、Best Made Companyを買収、9000万ドルを調達してそのシリコンバレーにおけるビジネスを成長させた。

今度また新たにほぼ1億ドルを獲得したことにより、うまく行けば同社の蜘蛛パワーは倍加することだろう。その申請書類によると、同社はこれまで、前からの投資家Foundation CapitalとFormation 8から約5700万ドルを調達できている。

最終的に全額を調達できれば、Bolt Threadsの調達総額は1億9600万ドルになる。

今Formation 8とFoundation Capital、そしてBolt Threadsにコメントを求めているので、何か得られ次第この記事をアップデートしたい。

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バイオスタートアップが行う実験を代行して研究開発の迅速化/低コスト化を支えるTranscriptic

これからY Combinator(YC)で育っていく新進のバイオテックスタートアップたちは、ある先輩企業とその育ての親であるYCとのパートナーシップに助けられることになる。

その、3年前に創業した企業Transcripticは、自動化実験を代行するサービスで、今およそ60の企業や研究機関を顧客として抱えている。同社はこれまで約600万ドルの資金を調達して、ハードウェアとソフトウェアのスペシャリストや実際の実験担当員など、社員を18名にまで増やしてきた。

同社の実験室(ラボ)は、一つが貨物船用のコンテナぐらいの大きさで、同社はそれを“ワークセル(work cell)”と呼んでいる。TranscripticのファウンダMax Hodakによると、同社のセルの中で、今バイオテック界隈で必要とされている実験工程の90%ぐらいはこなせる。ユーザはWeb上のシンプルなインタフェイスから、自分のセルで行うワークフローを組み立てる。するとロボットアームやそのほかのプログラマブルツールが実際の実験行為を行う。

Y Combinatorとのご縁に由来するいろんなアドバンテージのほかに、同社はYCを卒業したそのほかのバイオスタートアップたちからのフィードバックにも助けられている。またこれら卒業生たちは、今回のパートナーシップの一環として、Transcriptのワークセルを利用するための料金として2万ドルのクレジットをYCから提供される。つまりYCは、Amazon Web ServiceなどがWebやアプリケーションベースのスタートアップに対してやっているインフラ/プラットホームサービスを、バイオスタートアップに対してやろうとしているのだ。新進スタートアップにとって、ラボと、そこでの実験工程への大きな投資を節約できることの効果は、きわめて大きい。

Transcripticのラボでできる実験は、合衆国厚生省(U.S.Department of Health and Human Services)の疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention, CDC)の規則で、その生物学的安全性(バイオセーフティ)レベル1とレベル2の実験しかできない。また、臨床試験以外の目的で製薬実験工程を自動化することも許されない。

しかしこれらの制約を除けば、同社のワークセルでほとんどあらゆる種類の実験が可能で、しかもそれをWebから管理〜コントロールできる。そのためのアプリケーションは今2本あるが、年内にもう一本新しいのが加わる。Hodakによると、UC Davis(カリフォルニア大学デイヴィス校)が2014年の国際遺伝子工学マシンコンテストに優勝したときの実験は、Transcripticのワークセルで行われた。

同社のワークセルで使われている実験用の器具機械は、そのおよそ半数ぐらいを内製しているので、競合製品/類似製品に比べて低コストだ。たとえば、ロボットアームや冷蔵保管庫は同社の内製である。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))