2万ドルのBitcoin用ATM、RoboCoin、予約受付開始

Bitcoinを他の通貨と両替できるキオスクマシン、RoboCoinが、予約受付を開始し「2013年秋」に出荷される。あなたが近所のBitcoin銀行になろうと決める前に言っておくと、機械の価格は2万ドル(早割1万8500ドル)で、現在はBTCと米ドルのみ両替できる。

実質的にこのデバイスは、生体認証式タイムロックとプライバシー保護タッチスクリーン付のATMライクな機械の強化版だ。現金の入出金が可能(「国際通貨対応」)で、Wi-Fiおよび3Gを塔載している。

ブログ記事によると、開発チームはこれでBitcoinの購入、販売の方法を変える準備が整ったと言っている。

「RoboCoinはビジネスオーナーにとって有力な投資対象である。これを使えば、取引金額に応じた手数料が得られ、Bitcoinの忠誠度の高い顧客ベースを呼び込めるだけでなく、Bitcoin初心者のためにかつて類をみない使いやすさを提供する。さらに、Robocoinが市場に出回るとど、Bitcoinの流動性と利用が増し、このデジタル通貨の値値、認知度、および正当性を高める圧力になる」」と彼らは書いている。

Robocoinが最初に発表されたのは、サンノゼのBitcoinカンファレンスで、直接のライバルには、Lamassu Bitcoin VenturesのBitcoin ATMがある。Robocoinは、Mt. GoxあるいはBitstampというBitcoin両替サービスと直接接続して、その場での支払いを可能にしている。

リアルな、実際に使えるATMの存在は、Bitcoin市場に多大なエネルギーを注入するだろう。これらの機器は高価に違いないが(安価なATMは、3000ドル程度からある)、重要なのは箱ではなくバックエンドだ。例えば、ハッカーのカンファレンスに1台持ち込めば、大量に利用されてBitcoin全般の地位を向上できるだろう。BTCから他の通貨への両替が当たり前になれば、暗号通貨にとって戦いのチャンスは益々大きくなる。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Bitcoinへの弾圧は続く。米連邦裁判所が「通貨」と認定

Wikipediaは、Bitcoinをcryptocurrency[暗号通貨](暗号に依存する通貨)と呼んでいるが、これが正式となった。テキサス州の連邦裁判所は、Bitcoinは通貨であり、従って米ドルや金と同じように規制されるべきであると宣告した。この裁定は、Bitcoin取引をさらに規制しようとする試みであり、同通貨の当初の目的を脅かすものだ。

これは、Bitcoinに何らかの価値を認めているように見えるが、Bitcoinの夢想的コンセプトをさらに脅かす判断である。ちなみに、最近国土安全保障省はBitcoin交換サービスのMt. Goxに対し、資金移転規則に則っていないとして差し押え令状を発行した。

今日の決定はそれと同じ方針を行くものだ。BitcoinベースのヘッジファンドであるBTCSTは、「BTCST投資は証券ではない、なぜならBitcoinは金銭ではなく連邦法の規制対象ではないからだ」と主張していると、Amos Mazzant判事は書いている。続けて同判事はBTCSTの抗弁と正反対の内容を述べた。

第一に法廷はBTCST投資が金銭の投資であるか否かを決定する必要がある。Bitcoinを金銭として使用できることは明白である。それは商品やサービスの購入に使用可能であり、Shaversが述べたように、個人の生活費支払いに使用されている。Bitcoinの唯一の制限は、それを通過として受け入れる場所が制限されていることだ。しかし、それを一般の通貨、即ち米ドル、ユーロ、円、元などと交換することが可能である。したがって、Bitcoinは通貨あるいは金銭の一形態であり、BTCSTに投資しようとする投資家は、金銭の投資を行っている。

Bitcoinは、何人もそれを規制することはできないという発想の下に生まれた。中央銀行を置くことはなく、Bitcoinはアルゴリズム規則で定義された文字列にすぎない。誰もが新しいBitcoinを探し出すことが可能で、誰もがそれを本物のBitcoinかどうかを見分けることが可能だ。このすべてはオープンソースのBitcoinアプリケーションおよびいくつかの派生アプリによって扱われる。

Bitcoinネットワークは、ピアツーピア支払いネットワークであり、誰もそれを妨げることはできない。Bitcoinの持つ真の価値は、そのユーザーによってのみもたらさせる。Bitcoin所有者たちがそれを通貨として扱うから、それが通貨になる。それがBitcoinの美しさであり、同時に恐しさでもある。しかし、おそらくBitcoinの創造者、Satoshi Nakamotoは、米国政府がこれを通貨として扱い、規制することなど考えもしなかっただろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Coinbaseは、Bitcoinのビジネス利用をリードする


メモリアルデーの祝日には最新テクノロジーを試すしかないとばかりに、私はBitcoinをいくらか購入した。午後にはDotsをプレイし、もしかしたら3Dプリンターで耳を作っているかもしれない。

私がBitcoinを .1(13.17ドル)買ったのは、それがCoinbaseというスタートアップであり、この会社がTechCrunch編集者でBitcoinマニアのJohn Biggs言うところの「怪しくなさそうなところ」だったからだ。「これはおふくろにも薦められるものの一つ」とBiggsは強調する。実際、もし母親が銀行口座をFidelityやCharles Schwabのアカウントにリンクして投資信託を買う方法を知っていれば、Coinbaseを通じてBitcoinを買うのも同じようなものだ。口座情報を入力していくつかの取引を承認すれば、ママもSilk Road[アングラ売買サイトの一つ]に一歩近づく。

Bitcoinのウォレット、両替サービス、および支払いシステムとして、Coinbaseは最も「合法」でユーザーフレンドリーなBitcoinスタートアップの一つであり、Twitterの投資家、Fred WilsonらからBitcoinスタートアップで過去最大の500万ドルを調達していることによって、そのポジションを確固たるものにしている。Wilsonは投資すべき製品と計画を持つBitcoinスタートアップを見つけるまでに2年以上を費した。そしてCoinbaseのファウンダーらは実に由緒ある血統の持ち主だ。Brian ArmstrongFred Ehrsamは、それぞれAirbnbとGoldman Sachsに在籍した経験をもつ。

投資家の関心だけでなく、このスタートアップは一定の牽引力を見せつつある。1月に同社はBitcoin-米ドルの両替サービスをスタートし、100万ドル相当のBitcoinが入出金された。2月にはそれが250万ドルになり、4月は1500万ドルだった。数字はBitcoinの交換レート上昇に伴い必然的に増加する。Armstrongは、同社の手数料を全取引の1%に設定し、取引高、売上、ユーザーの新規登録は毎週15%の早さで伸びている。「CoinbaseはBitcoinで最も信頼のおける消費者ブランドになりつつある」と投資家のBobby Goodlatteは私に言った。

あらゆる抽象的通貨は ― 金であれ不換紙幣であれKloutであれ ― 、内在的価値を持つ資源であり通貨と交換することが可能だ。世の中の多くの物と同じく、通貨は裸の王様に似ている。サンフランシスコでスターバックス・ラテに3.5ドルの価値があると全員が信じている限り、それが続く。今このトリックは、人々にそれが 0.03BTCの価値でもあることも納得させようとしている。

いつそれが起きるかに関して、まだ審判は下されていない。人々はランダムな数字の列を信じなくなるのか? BitcoinはRippleがFacebookならFriendsterになるのか?時価総額20億ドルの通貨の交換から1%の手数料を取るビジネスがどこまで大きくなるのか?

そして忘れてならないのが、いつパロアルトのCoupa CafeでBitcoffeeが簡単に買えるようになるのかだ。今日Coupaに電話したところ、最初に出た人物は何も知らなかった。Coinbaseを使ってCoupaのウォレットに「送金」する必要があるらしい。CoinbaseのiOSアプリ経由ではそれができない。

Bitcoin Revolutionの著者、Max WrightはBitcoinが本流になると予想している。即ち、今後2~3年で殆どのニッチ市場において複数の会社がBitcoinによる支払いを受け入れるようになるという。なるほど。「Bitcoinの伝統的銀行や信用システムに対する優位性は否定できない。Bitcoinの取引コストはゼロであり、これは既存のクレジットカードやオンライン支払い方式が取引毎に2~5%の手数料をとっているのと比べると厖大な利点だ」

Andreessen Horowitzのパートナーで OpenCoinの投資家、Chris Dixonは、TechCrunch Disrupt NYでデジタル通貨を「レッドピル」と呼んだが、 Bitcoin普及の正確な時期に関しては慎重だ。「この手のことは驚くほど予測が難しい。Bitcoinは完全消滅するかもしれない。本流になるかどうかは、技術者や起業家がBitcoinを使いやすく、統合しやすく、信頼性を高く、信用を高くする等々のインフラを作れるかどうかにかかっている。これは、バックエンド技術および、対消費者の販売サービス両方を意味している。私の予想を言えば、それは起き始めている」

給料をBitcoinで払っているAmrstrongは、懐疑派に対してこう語る。「われわれが思うに、重要なのは手数料を下げること。低い手数料は消費者のポケットに入るお金が増えることを意味し、それはスモールビジネスのポケットにも多くのお金が入ることを意味している」

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(翻訳:Nob Takahashi)


液体窒素生成装置付きBitcoin採掘マシン、Frostbitのお値段は1万5000ドル

普通のパソコンを使って効率よくBitcoinを採堀することはほぼ不可能だ。そこで、その目的に特化されたパソコンとは似ても似つかぬ姿のBitcoin採掘マシンが登場した。Cryonic Bitcoin FrostBitマシンは、PCとは名ばかりで、液体窒素生成装置と特殊ASICチップを内蔵し、その値札にはウィンクルボス兄弟でさえ二の足を踏むだろう。

「液体窒素生成装置内蔵の消費者向け ‘PC’ はこれが初めてだ。われわれはヘリウム圧縮技術を用いて凝縮器を超冷却し、気体窒素を液化する。消費者製品でこれにわずかでも似ているものはない」とCryoniks, Inc.のCEO、Fahad Koumaihaは語った。「人体冷凍温度を維持することによって、カスタム設計したASICプロセッサーで超電導を実現できた。速度を大幅に上げただけでなく、消費電力も1台あたり2800W程度に下げた。現在市場にあるどの製品よりも著しく低い」

このPCはピーク時に2800W消費するが ― 平均的PCは悪い日で200W ― 1秒間に1000GH(ギガハッシュ)実行する。ちなみに、高速グラフィックカード付きの強力なPCが約100GH/Sで、私の経験では自分のPCで50 GH/S以上を記録したことがない。

このとんでもないマシンにいくら払うのか?正味1万5000ドル。残念ながらBitcoinでは払えない。

これが本当にペイするのかって? たぶん。ただしすぐではない。BTCファンの中には、1万ドルのBTCは遠からず出てくる信じる向きもあり、もしそうなればこのマシンの潜在能力はコストを上回る。この怪物の出荷は7月の予定なので、本気で採掘する人には一見の価値があるかもしれない。その他の人? 自前の低いGH/Sで満足すること。これはどこかの液体窒素冷却による人体冷凍の世界であり、われわれはそこを訪れているだけだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Bitcoinのラストマイル問題

Joey DeVillaは、(今も)大好きなブロガーの一人だ。この10年間ほぼ常に興味深い記事を書いており、最近はbitcoinの波に乗り、私の採鉱ガイドにも似た長文の採鉱ハウツー記事を載せた。彼はかなり気合いが入っているが、HPの古い一体型パソコンに採鉱作業をさせたのは明らかなリソースの無駄であり、時間とエネルギーとコンピューターの消耗だった。

あらゆる努力の結果、Joeyが得たのは3.4~4.4セントだった。彼はそこそこトラフィックのあるそのサイトで1日6000ページビューを稼ぎ広告収入が約40ドルあることも書いている。彼はあの記事を書くことで ― 労力はずっと多かっただろうが ― Bitcoinの採掘よりも稼いだことになる。

Bitcoinはインターネット長者の完璧な象徴だ。一見無料(ただしそうではない)で簡単に始められ(ただし維持が困難)、そして最終的には、どこかのひょうきん者がJoeyの記事にコメントしたように、「インターネットでは儲け方を人に教える方が実際に儲けるよりずっと儲かる」の典型例だ。

ではこの通貨はどうなっていくのか。両替商Bitfloorの最近の閉鎖や、ここ数週間における市場の荒れ模様は、Bitcoinの世界にやや影を落としている。度重なるDDOSや、フィッシングの企てによって利用は益々困難でさらに危険になり、平均的パソコン利用者はBitcoinが何かすら殆ど知ることがなく、ちょっとしたポケットマネーと強力なGPUを持つハッカーたちの指定席となっている。

そうなると果たして「現実世界」はBitcoinによる資金移動を気にかけるべきかが問題である。私は、気にかけるべきだと考えるが、理由は多くの人々の提案とは異なる。匿名性は平均的パソコン利用者にとってさほど重要ではないが、もう少しセキュリティーを強化することはできる。PayPalのような既存送金システムは山ほど問題を抱えているが、その大部分は熱心すぎる顧客保護代理人に端を発している。

世界はBitcoinの存在を必要としている。たとえ殆どの人間がそれを使わなくても。この通貨の目標は、旧来の資金移動方法との関係を断ち、人から人へと価値を移動する能力に関する真の自由を人々に与えることだ。田舎の村に住む貧しいおばあさんは、郵便局に行く手間や料金なしに孫から簡単に送金を受けられる。忙しい人々は水銀の如く流動的な口座に資金を預け、いつどこででも手数料いらずで取引きができる。亡命者は金を持ち運ふ代わりにbitcoinを持っていればよい。夢の可能性は、ある意味で、無限だ。

しかし、そこにはラストマイル問題が控えている。マーケティングの小道具としてこの通貨を受け取るいくつかの店以外に、Bitcoinで買い物できる場所はどこにあるのだろうか。Bitcoin ATMはどこ? 空港の両替カウンターはBitcoinを受け取るのか。これらの問題すべてが ― そしてこれらは世界市場において「価値のない」通貨が受け入れられるかどうかに関する本質的問題である ― Bitcoinの一般への普及を妨げている。

Bitcoinの価値は市場がどう言っているかだけで決まり、規制もなく空売りが不可能なため、Bitcoinで資金を保有する危険性は著しく大きい。Bitcoin市場は世界で「最も純粋な」市場ある一方、最も無秩序な市場の一つでもある。 伝統的な株式市場や通貨市場を再現するシステムは作られつつあるが、瞬間的で匿名の資金移動は、リスクテーカー以外の人々に信用を植えつけることができない。

私にはBitcoinの価値がなくなる日を想像できる。その日は早く来るかもしれない。あるいは、否定論者たちの言うことは誤りで、Bitcoinは世界中で通用するようになるかもしれない。いくつかの意味で私は後者が正しいことを望んでいるが、私の中の悲観論者は前者だろうと言う。ともあれ、この新千年紀通貨がスタートを切るところを見るのは大いなる楽しみである。

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(翻訳:Nob Takahashi)


5人の本物の経済学者たちはBitcoinの未来をどう考えているか

編集者注記: Semil Shahは本誌TechCrunchの寄稿者だ。彼をTwitterでフォローするには、@semilへ。

今はBitcoinにバブルがあるだけでなく、Bitcoinに関する記事にもバブルがある。ぼくのこの記事も、その屋上屋を重ねるようなものだが、今週事故があったにもかかわらず、性懲りもなく書いているのには、ちょっとしたねらいがあるからだ。数週間前にはBitcoinに関するぼく自身の考えを書いたけど、ずっと気になっていたのは、この通貨の将来について書くことはぼくの適任ではない、ということだ。そう思った理由の一つはたぶん、この現象がわれわれ全員をあまりにも魅惑しているからだ。だから、自分の得意でない分野に手を出したり、Twitterの上のみんなのように“にわか大学教授”を気取るよりも、餅については餅屋を探すべきだ、と判断した。そして、今実際に経済学者である人たちを、ぼくの在学時の教授やクラスメート、友だちに紹介してもらった人などの中から選び、Bitcoinの未来について手短に意見を述べてもらった。ただし、本格的な評論ではなく、カジュアルで楽しい文を、とお願いした。おもしろいことに、ぼくの在学時の教授たちは、Bitcoinのことを知らない人が多くて、この執筆機会をパスすることを選んだ。あとで彼らに、Bitcoinについて“講義”してあげようと思う。運良く、何人かの経済学者に協力してもらえたので、その人たちの考えを以下に再掲しよう:

Chris Robert, 現職はハーバード大の公共政策と経済開発の教授:

知性のある人たちが、人民の人民による政府が管理している通貨システムよりも、匿名のコンピュータハッカーたちが作って管理している通貨システムの方を信頼しているのなら、真剣な考慮と対応を要するだろう。幸いにもまだ、そこまでは至っていない。今日、Bitcoinは、経済の長期的な混迷とグローバルな金融システムへの不信の増大から生じたメディア投機であるにすぎない。ただし、このメディア投機はかなり長期の金融投機として持続するかもしれない。そしてその間に、ある程度金融の知識を持った技術マニアたちが、新しいバブルに乗ずることをねらって、ますます多く投機に参加するだろう。

企業の有価証券や、先物契約、あるいはデリバティブでさえ、Bitcoinほど放恣な価値感を有してはいない。そのバブルは、需要が供給よりも高速に増えるかぎり、いくらでも肥大していく。そしてネットワークがクラッシュしないかぎり、新しい暗号化手法がバブルを抑制することもなく、基盤にある匿名性の欠如に人びとが思い悩むこともなく、プライベートキーを失っていくらかの財を失った人が大声で嘆くこともなく、“発掘”の改良(やハック)が供給を突然刺激することもない。どんなバブルでも、バブルから利益を得ようとすることにはリスクが伴う。しかしわれわれのグローバル経済は、それにあえて挑戦する人びとに事欠かない。だから、金融投機の新しい、ひょっとしたらエキサイティングな手段として、Bitcoinは当分存続するのだろう。

Robert McMillan, 元合衆国通商委員会のエコノミストでスタンフォードの経済学教授。今はHNC Advisors AGのポートフォリオ管理部長兼計量調査部長:

今のBitcoinは死んでる。彼の冥福を祈ろう。保存しやすくて、盗まれにくくて、偽造も困難な交換媒体には、本物の価値がある。しかもそれは、子安貝や象牙のように絶滅の危惧がなく、金(きん)のように環境によって劣化するものであってはならない。残念ながら、流動性の罠に関するPaul Krugmanの著作を読んだ人なら知ってるはずだが、Bitcoinは供給が有限であり、しかもそのことが知られているので、通貨としての有用性には本質的に限界がある。さらにまた、Bitcoinにはプラチナなどのように使用価値がない。このことも、致命的だ。にもかかわらずその欠陥は、実装にあり、アイデアそのものにあるのではない。いずれ“通貨3.0”の時代がやってきたときには、通貨としての欠陥を完全に修復したBitcoinが、メジャーな通貨の一つとしてForex先物の流動化市場に乗るかもしれない。あるいは、新たに発見された素数を交換の単位とする新通貨が登場するかもしれない。それらの“発掘”は高費用で、供給が有限だが、暗号技術にような使用価値はあるだろう。貨幣の一大変化が、きみのそばにもやってくるかもしれないぞ。

Matthew Bishop, 現職はThe Economist誌の合衆国編集長。今日まで、22年在職:

貨幣の未来について最近“In Gold We Trust?”という本を書いたが、そこでも言ってるように、金(きん)の再流行とBitcoinは、同じコイン(!)の裏表だ。どちらも、量的緩和の時代における、政府が支える公認貨幣の健全性に対する信頼の下落、に対する反応だ。しかし私の考えでは、Bitcoinなどシリコンバレーで開発されたデジタル通貨の、アルゴリズムで貨幣供給をコントロールするやり方は、なかなか健全な価値保存媒体になりえないだろう。これらの通貨が抱える最大のリスクは、政府が腰を上げて、公認通貨に代わる代替通貨を破壊するかもしれないことだ。そもそも、主権国家がアルゴリズムに基づく通貨を発行したら、どういうことになるのか? それは、公認通貨を無用にしてしまうのだろうか?

Brett Gordon, 現職はコロンビア大学経営学科大学院(スクールオブビジネス)の教授:

Bitcoinの未来について議論するには、二つの視点がある。ひとつは短期的な視点: もしもこれがバブルなら、はじけるのはいつか? 投機的バブルの終わりを予言することは、難しいことで悪名高い。運良く正しく時期を当てた者は、大儲けできるが、その他大勢のわれわれには縁のない話だ。Bitcoinの価格変動表は、1995年から2000年初めごろまでのNasdaqを思い出させる。両者は大きく違ってはいるけど、でもあのときのNasdaqははじける直前のバブルの典型だった。BitcoinのGoogle Trendsのチャートも、同じ形をしている。デジタル通貨をめぐるメディアの狂乱が収まったら、投資家の関心も冷えるのではないか。

第二は、長期的な視点: 5〜10年後に、Bitcoinの市場はどうなっているか? これは、バブルのピークを予言するよりも難しい。Bitcoinは、分散暗号化通貨というものの、概念実証になりうるのか? その答が、Bitcoinの長期的な命運を左右するだろう。二つの利点は、Bitcoinは本質的にデフレ指向であることと、トランザクションが匿名であることだ。最近は金融危機が頻発し、またオンラインのプライバシーに関する懸念も増している。この二つは、Bitcoinに有利に作用するだろう。というか、未来の暗号化通貨全般に対して。

Peter Rodriguez, 現職はヴァージニア大学ダーデンスクールオブビジネスの教授:

一見したところ、Bitcoinには特別なものはなにもない。基本的には、何でも擬似通貨として使える。また公認通貨に対する不安も昔からあり、中央銀行に依存しすぎることのリスクを避けようとする動きも、新しいものではない。というより、金本位制以後の世界における公認通貨(とくに紙幣)の支配はほとんど驚異だ。しかし、公認通貨を支える信任が揺らぐと、人びとはほかの、管理の容易な価値保存手段に頼ろうとする。ベルリンの壁の崩壊後に、ロシアやそのほかの旧ソ連邦構成国では、タバコとウォッカとコニャックの三つが、通貨に代わって横行した。タバコは1ドル札、ウォッカは10ドル札、コニャックは100ドル札、それぐらいの価値感で流通した。

ある意味でBitcoinは、仮想タバコの一箱にすぎない。しかし別の意味では、革命的だ。タバコには本質的な価値と用途がある…木綿や、あるいは金(きん)にさえも、使用価値がある。それらに対し、Bitcoinはそれだけで価値がある。紙幣や野球カードのような用途〜使用価値は、Bitcoinにない。だから、存在価値を確立して投資家たちの信頼を長くつなぎ止めることができれば、Bitcoinを、その一時的に流行している価値保存形態から本物の通貨に変える機関も育つだろう。そしてそうなれば、Bitcoinは信頼できる交換媒体および金額表現になり、世界に公式の場を得るだろう。あくまでも、最終的には‘本物の’通貨で取引される物品の価値を一時的に表現するにすぎなくても、Bitcoinはまったく新しいものになる: それは、本当の、ステートレスな仮想通貨で、それらを取り巻く一連のルールに対する信任以外の何ものにも根ざしていない〔国家による公認とかはない〕。全部が内部崩壊することもありえるが、まずそれはないだろう。しかし通貨はつねに試練に遭っているのであり、いわゆる本物の通貨でさえ、存立の危機を何度も経験している。したがって、Bitcoinがぐらつくか、墜落するか、われわれ全員を恐怖のジェットコースターに乗せてしまうか、などの問いはどうでもよい。問うべき唯一の問題は、それが通貨が必ず経験する試練を生き延びるかどうかだ。それが生き延びるなら、どんなに低い価値しか持たなくても、価値の保存媒体と、金融と、仮想経済の独立性に関するわれわれの概念を変えるだろう。

写真クレジット: Glen Cooper / Creative Commons Flickr

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Bitcoin発掘には、電力だけで毎日15万ドル費されている

最近、ゴールドラッシュが起きている、少なくともBitcoinラッシュが。最近のBitcoin価値の変動によって、益々多くの人々がこの通貨に関心を寄せている。Bitcoinは単に現在の市場価格で買うこともできるが、Bitcoinを堀り当てる幸運を求める人々もいる。そして、19世紀のゴールドラッシュ時代に西部を旅した探鉱者たちと同じように、殆どのBitcoin発掘者たちは手に入るBitcoin以上の費用をBitcoin探しに費やす結果になる。

ここに説明されているように、Bitcoinの「発掘」には、「Bitcoinの〈ハッシュ〉アルゴリズムがデータに適用された時の特定パターンを生成する」データのブロックを解読することによって行われる。多くのBitcoinが発掘されるほど、次のブロックを見つけるのは難しくなる。特別に設計された最新の専用掘削装置を使わない場合、探鉱者はハイエンドのグラフィックカードを装備したコンピューターを使用する(GPUはCPUよりも発掘アプリに適している)。そして、こうしたコンピューターを動作させるためには多くの電力が必要だ。

Bitcoin関連データを追跡しているBlockchain.infoの推定によると、探鉱者たちは毎日1,005.59メガワット時の電力をBitcoinブロックの発掘に費している。つまりこの通貨の発掘に必要な電力が毎日15万ドルかかっていることになる。[データを提供してくれたBloombergに感謝]

ずいぶんと使っているように聞こえるが、探鉱者たちは平均すれば黒字だ。Blockchainによると、彼らは1日当たり47万ドル、Bitcoin関連の収益がある。事実この仮想通貨に対する最近の関心と人気のおかげで、Bitcoin発掘者たちの運用利益率は史上最高に迫る勢いだ。

この数字を見て、稀薄な空気から簡単に価値を取り出す話だと思うかもしれないが、Bitcoin発掘は見た目ほど儲かるものではない。普通のパソコンを使って発掘している普通のユーザーは、余ったCPUサイクルでBitcoinを掘って金儲けを始められるなどと考えない方がいい。通常それはカスタマイズされた暗号化プロセッサーを塔載してBitcoin発掘だけを行う特殊な採掘コンピューターだけに許された仕事だ。

Biggsが本誌記事で指摘しているように「マシンを設定してアルゴリズムを無限に走らせておくことは可能だが、エネルギーコストと機器の償却はいずれBitcoinの価値より高くつくことになる」。これは私の同僚Matt Burnsが確認しており、社内掲示板にこう書いている「数日間発掘を続けた結果、私のパソコンを全力で動かすのに要したエネルギーは、発掘できたBitcoinの価値よりはるかに大きかった」。

リソースをプールして発掘するにしても、それはテクノロジーに強いユーザーにとっても相当複雑な手順になる。上述のBiggsの記事に、彼が自宅のPCをBitcoin発掘プールに接続した方法が書いてある。

もう一つの方法は、Bitcoin発掘だけのために設計された専用ハードウェアを買うことだ。他のあらゆる投資と同じように、結果は保証されていないし、時と共の移り変わるBitcoin市場次第になる可能性は高い。しかし今のところ、歴史上殆どのゴールドラッシュがそうであったように、真の富を得るのは探鉱者たちに道具を供給する人たちだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)
2013/04/13/the-cost-of-a-bitcoin/

最近、ゴールドラッシュが起きている、少なくともBitcoinラッシュが。最近のBitcoin価値の変動によって、益々多くの人々がこの通貨に関心を寄せている。Bitcoinは単に現在の市場価格で買うこともできるが、Bitcoinを堀り当てる幸運を求める人々もいる。そして、19世紀のゴールドラッシュ時代に西部を旅した探鉱者たちと同じように、殆どのBitcoin発掘者たちは手に入るBitcoin以上の費用をBitcoin探しに費やす結果になる。

ここに説明されているように、Bitcoinの「発掘」には、「Bitcoinの〈ハッシュ〉アルゴリズムがデータに適用された時の特定パターンを生成する」データのブロックを解読することによって行われる。多くのBitcoinが発掘されるほど、次のブロックを見つけるのは難しくなる。特別に設計された最新の専用掘削装置を使わない場合、探鉱者はハイエンドのグラフィックカードを装備したコンピューターを使用する(GPUはCPUよりも発掘アプリに適している)。そして、こうしたコンピューターを動作させるためには多くの電力が必要だ。

Bitcoin関連データを追跡しているBlockchain.infoの推定によると、探鉱者たちは毎日1,005.59メガワット時の電力をBitcoinブロックの発掘に費している。つまりこの通貨の発掘に必要な電力が毎日15万ドルかかっていることになる。[データを提供してくれたBloombergに感謝]

ずいぶんと使っているように聞こえるが、探鉱者たちは平均すれば黒字だ。Blockchainによると、彼らは1日当たり47万ドル、Bitcoin関連の収益がある。事実この仮想通貨に対する最近の関心と人気のおかげで、Bitcoin発掘者たちの運用利益率は史上最高に迫る勢いだ。

この数字を見て、稀薄な空気から簡単に価値を取り出す話だと思うかもしれないが、Bitcoin発掘は見た目ほど儲かるものではない。普通のパソコンを使って発掘している普通のユーザーは、余ったCPUサイクルでBitcoinを掘って金儲けを始められるなどと考えない方がいい。通常それはカスタマイズされた暗号化プロセッサーを塔載してBitcoin発掘だけを行う特殊な採掘コンピューターだけに許された仕事だ。

Biggsが本誌記事で指摘しているように「マシンを設定してアルゴリズムを無限に走らせておくことは可能だが、エネルギーコストと機器の償却はいずれBitcoinの価値より高くつくことになる」。これは私の同僚Matt Burnsが確認しており、社内掲示板にこう書いている「数日間発掘を続けた結果、私のパソコンを全力で動かすのに要したエネルギーは、発掘できたBitcoinの価値よりはるかに大きかった」。

リソースをプールして発掘するにしても、それはテクノロジーに強いユーザーにとっても相当複雑な手順になる。上述のBiggsの記事に、彼が自宅のPCをBitcoin発掘プールに接続した方法が書いてある。

もう一つの方法は、Bitcoin発掘だけのために設計された専用ハードウェアを買うことだ。他のあらゆる投資と同じように、結果は保証されていないし、時と共の移り変わるBitcoin市場次第になる可能性は高い。しかし今のところ、歴史上殆どのゴールドラッシュがそうであったように、真の富を得るのは探鉱者たちに道具を供給する人たちだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


改良版Bitcoinを名乗るOpenCoinがAndreessen Horowitzらから資金を獲得

このところ、毎日のようにBitcoin関連の投資話がある。どうやらVCたちは、分散型デジタル通貨を取り巻くエコシステムへの投資に躍起になっているようだ。今日はOpenCoinが、Andreessen Horowitz、FF Angel、Lightspeed Venture Parnters、Vast Ventures、そしてBitcoin Opporunity Fundからエンジェル資金を調達したと発表した(額非公開)。最後のBitcoin Opporunity Fundは、SecondMarketのファウンダBarry Silbertが作ったBitcoin関連専門のVCだ。そしてOpenCoinは、オープンソースの支払決済プロトコルRippleのデベロッパでもある。

OpenCoinは、新たに得られた資金をRippleのオープンソースコードの拡張に充てる。Rippleは、一種の仮想通貨/支払システムで、誰もがどんな通貨でも、またどれだけの額でも、低コストで取引できる市場を作ろうとしている。CEOのChris Larsenは金融業界のベテランで、P2P方式の巨大貸し金サイトProsperのファウンダでもある。OpenCoin自体は、新しいグローバル通貨を作ることをミッション(企業の使命)としている。

OpenCoinは“Bitcoinのコピー”だ、と言う人もいる。分散型でオープンソースの支払ネットワークであり、そして”Ripple”と呼ばれる独自の仮想通貨(Bitcoin的)を使う。でもOpenCoin自身は、Bitcoinの同類と見られるのは迷惑、と言っている。

Bitcoinは今人気急伸中で、仮想通貨としては初めての10億ドル市場になりつつあるが、にもかかわらず、あるいは、それゆえに、不安要素が増し、セキュリティの問題も抱えるようになった。Bitcoinのトランザクションはまた、確認に時間がかかりすぎると言われている。

OpenCoinはこれらの問題を、統一台帳を作ることによって解決しようとする。その台帳には、すべての口座とトランザクションと残高が記録され、それをシステムが自動的にpingすることによってトランザクションの正当性を確認し、1分以内で正しい決済が完了する、と同社は言う。手数料は無料、複数の国にまたがる取引も費用やチャージバックを最小にする。また、Bitcoinのようなセキュリティ問題も、生じない。

同社の主張では、Rippleはどんな通貨にも対応できる。ドルでも円でもユーロでも、それにBitcoinでも。そこでRippleは、初めての分散通貨交換システムとなる。今流通しているRippleはそれほど多くないが、同社は5月に大量の通貨(500億Ripple)を市場に投入し、長期的には総流通量を1千億まで持っていきたい、と同社は言っている。

この話の前にOpenCoinはSimpleHoneyを買収し、その人材を確保した。SimpleHoneyは、ウィッシュリスト(欲しい物・今後買いたい物リスト)をベースとするショッピングアプリケーションで、Bitcoinのような仮想通貨の利用を本格的に大衆化することをねらっている。この買収のタイミングは、OpenCoin自身が仮想通貨交換システムの拡張に乗り出した時期と一致する。この機能拡張によってユーザは、Rippleを媒介として複数の通貨による支払いの送受、口座残高の監視、両替、などができるようになる。

今は多くの人が、Bitcoinの将来を危ぶみ、一時的な流行ないしバブルと見ているが、似たもの視されがちなOpenCoinとRippleには、上で述べたようなプラスの側面もある。またRippleを開発したJed McCalebらのハッカーはBitcoinの初期の開発における中心的人物であり、仮想通貨の世界では高い評価を得ている。最大のBitcoin交換サイトの一つであるMt.Goxを作ったのが、McCalebだ。

OpenCoinは、Bitcoinがもっと進化した形だ、と自負している。セキュリティを重視した複数通貨による交換システムにより、グローバルな分散仮想通貨を世の中のメジャーに押し上げ大衆化していく動きの、先頭に立ちうるかもしれない。

詳しくは、Rippleのサイトで。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Javaアプレットによる犯行がBitcoinの口座から大金を盗む–Mt.Goxをフィッシング

自由は絶え間ない警戒によってのみ確保される、という。Bitcoin Forumsのbitbullyと名乗るユーザが、あるチャットサービスを訪れたら自分のBitcoinを34失った、と述べている。そのサービスは、多くの人が利用しているBitcoin交換サイトMt.Goxに接続している。そのサイトは、ユーザがサービスを訪れるとすぐに、Javaアプレットを使って彼/彼女のコンピュータに送金命令を送るらしい。そしてそのトランザクションは取り消しできないし、フィッシングの犯人は匿名なので、被害者は泣き寝入りとなる。

この被害者は、自分の口座の半分を一瞬にして失った。Mt.Goxには、二要素認証がある。それは不正なログインを防ぐ良い方法だ。このユーザはそれをonにしてなかった。この詐欺事件を取りあげているRedditのスレッドもある。

そのフィッシングサイトは、今ダウンしているらしい。

フィッシングのメッセージは、こんなやつだ: “Mtgoxが4〜5時間以内に入金を要求している。Mtgox上のライブチャットでは全員がLTCで支払わなければならない。送金先はhxxp://bit.ly/xxxだ”。このbit.lyリンクが、フィッシングサイトだ。

被害者は自分がやった調査をこう説明している:

ぼくも技術者なので、調べてみた。このサイトが合衆国国内でホストされていることが分かった。ぼくはmtgoxにペンシルヴェニアからアクセスしていたのに、その引き出し指示はロサンゼルスのIPから送られていた。そしてそのサイトはTeleport Proで取ってきたbitcoincharts.comで、mtgoxのロゴもあった。それは、5日前にもまだNamecheapに登録されていた! ドメインネームが、そのIPへ解決(リゾルブ)されるのだ。

Bitcoinのフィッシングは前からあるが、人気が増すにつれて、より大きな問題になるだろう。TwitterのノベルティアカウントBitcoin.txtが言ってるように、この市場は一種のバブルのようで、初心者がとても多い。想像上のデジタル通貨は、本当に未来の経済の一部になるのか? それとも、bit.lyのリンクをクリックする者に破滅をもたらすのか?

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ビットコインは近代国家を崩壊させるか

Bloombergの論説者でプリンストン大学の学生、Evan Soltasが、Bitcoinについて「近代自由主義国家の脅威」と書いている。この一文には二通りの読み方がある。彼の論説記事の一つの解釈は、われわれが皆危険な状態にあり、課税や追跡が不可能なbitcoinが闇市場を栄えさせ財務調整を弱体化させた結果、社会は崩壊するというもの。もう一つSoltasの偏向を踏まえると、彼はタイトルにある「近代」よりも「自由」の部分に強く焦点を当てているのではないかと私は想像している。つまり、近代国家は、富裕層に不公平な課税ができなくなり、そのため国民の福祉に浪費する余裕がなくなり、特定種の人々のための財政の涅槃になるというもの。いずれにせよ、現在の経済レーダーの見方としてはおそまつと言わざるを得ない。

金銭を匿名で移動する手段は遠い昔からあった。中東に伝わるハワラのようなネットワークを使うことによって、何世紀も前から比較的スムーズに富の移動が行われてきた。富を貴金属や宝石、宝飾品に圧縮する方法もある。国境間で悪事が栄えることを許した一種の金銭ZIPファイルだ。

いずれの方法も、資金洗浄や戦争支援、戦争犠牲者の援助などに使われており、Soltasは「近代自由国家への脅威」を生み出していると指摘する。FBIも、「bitcoinの作成、運用、配布の方法は、不法な資金移動の疑いが著しく高いい」と言っている。同じことは、20万ドルの腕時計をつけて国境を越えそこで転売する者についても言える。

Bitcoinには、仮想通貨を現実世界で使える何らかの形に変換する方法が必要だ。bitcoinでポルシェを買うこともできるが、今度かき氷を買いに行く店が対応しているほど普及するとは私には思えない。

その一方でBitcoinは経済活動における新しい役割を担っている。現実的に、ウォレットサービスや自分のパソコン何百万ドルものbitcoinを預けるのはリスクが高すぎる。移動はスムーズにできるかもしれないが、引き出すのは大変だ。あちこちの政府機関がプログラムによってbitcoinのの入出金や変換を追跡できるようになるとは思わないが、ある日あなたが100ドル持っていて、翌日には2万ドルになっていたら、勇敢な監査員なら危険信号を出すことができるだろう。

近代銀行システム崩壊に関するこの議論は、3Dプリンターによる銃製造と似ている。興味深い話であることは別として、昔流のやり方の方がまだずっと簡単で安上がりだ。もしBitcoinが真にスムーズになり比較的安定してきた時には、多少なりとも心配する原因になることが想像できる。実際これは、何世紀にもわたって行われていることをするためのクールな方法の一つであり、注目すべき対象であることは間違いない。

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(翻訳:Nob Takahashi)