WebCLでWebデベロッパもGPUやCPUのマルチコアをブラウザ内で有効利用(==並列処理)できるようになる

Webブラウザは多くの場合、コンピュータやモバイルデバイスの能力をフルに利用できない。コードがハードウェアから抽象化されたサンドボックスで実行されることが多く、ブラウザが直接ハードウェアにアクセスすることはない。デスクトップ用のソフトウェアはたとえばCPUのすべてのコアを使い、また現代的なGPUに並列処理をさせて画像のフィルタリングなどを高速化できるが、ブラウザ内で動くJavaScriptのコードにはそれができない。でも、それがもうすぐ変わる。

WebGLやOpenGL、COLLADAなどの標準規格を作っている業界団体Khronos Groupが今日(米国時間3/19)、WebCL 1.0の規格の最終決定と一般公開リリースを発表した。WebCLはOpenCLのブラウザバージョンで、Webブラウザの中からGPUやマルチコアを利用する方法をWebデベロッパに与える。

WebCLのベースであるOpenCL(Open Computing Language)は、同様の能力をデスクトップで提供する。

WebCL作業部会の議長Neil Trevett(Khronosの理事長でNVIDIAのモバイルコンテンツ担当VP)によると、ブラウザのベンダがこの規格を採用すると、デベロッパはこれらの能力を利用してWebGLゲームのための物理演算エンジンや、リアルタイムのビデオ編集ツール、視野像全体(vision)の処理、高度なフィルタのある写真編集ツールなどを、ブラウザ上に実装できるようになる。

基本的に、複数のコードを並列に動かす必要のあるアプリケーションを、ブラウザ内で動かせるようになる。規格そのものはアプリケーションを特定しないが、あえて分かりやすく言えば、ゲームや画像処理がこれらの能力を利用するアプリケーションの筆頭だ。

そういうアプリケーションにとっての障害がブラウザに存在しなくなるので、これまで往々にしてブラウザのせいにされていたパフォーマンスのペナルティも、なくなる。

ChromeのNative Clientやプラグインのようなものを使わずに、ブラウザ内でWebアプリケーションをネイティブかつ高速に動かしたいと思うと、今のところFirefox上のJavaScriptスーパーセットasm.jsぐらいしか方法がない。しかし、ネイティブに近い速度を誇るasm.jsも並列処理はサポートしていないから、高速化にも限界がある。Trevettによると、asm.jsとWebCLの関係は排他的というよりむしろ相補的であり、WebCLのJavaScript結合(バインディング)も提供されるので、デベロッパはいつでも、asm.jsベースのアプリケーションからWebCLを呼び出すことができる。

下の(やや古い)Samsungのビデオを見ると、WebCLにできることがよく分かる:

WebCLはOpenCLとほとんど同じなので、お互いのあいだのコードのポートも容易だ。

ハードウェアを直接操作するコードが増えると、新しいセキュリティの問題も現れる。そこでWebCLのチームは、OpenCLにある機能の一部をあえて不採用にしている。Web上では、それらのセキュリティが保証できないからだ。このプロセスの一環としてチームは、オープンソースのカーネルバリデータ(カーネル検査ツール)を開発し、それが逆に、OpenCLチームのセキュリティ強化につながった、という。

WebCLはデベロッパに対して新しい可能性の世界を開き、これまでは実装困難だった種類のアプリケーションをWebに持ち込めるようになる。しかしそれと同時に、これまでWeb専門でやってきたデベロッパにとっては、未知の世界が開けることになる。Trevettによると、今WebGLのエコシステムが、グラフィクスエンジンの高度な専門家たちが作った比較的使いやすいフレームワーク主導型になっているように、今度は並列処理のエキスパートたちがWebCLのために同様のことをしてくれるだろう。どちらも、低レベルの複雑な細部から、デベロッパを解放してくれるのだ。

WebCLを完全にサポートしたブラウザがいつ登場するか、それはまだ未知数だが、2011年から始まったWebCL作業部会には業界の主だった企業のほとんど…Adobe、AMD、Nvidia、ARM、Intel、Opera Software、Mozilla、Google、Samsung、Qualcomm…が参加している。そしてNokiaはすでにFirefox用のWebCLエクステンションを提供しているから、実際に試してみたい人はそれを利用するとよいだろう。

画像クレジット: Nvidia

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Firefox 27が公開。ソーシャルAPIを改善、SPDY 3.1を新たにサポート

本日(米国時間2/4)Mozillaは、Firefox 27を公開した。新バージョンのブラウザーは、FirefoxソーシャルAPIに主要な改訂があり、旧世代のWeb 2.0ソーシャルブックマークツール、Deliciousや、インドの音楽サービス、Saavnをサポートした。しかし、もっと重要なのは、ソーシャルAPIで1ユーザーが複数のサービスを同時に使えるようになることだ。

FirefoxのソーシャルAPIは、ソーシャルネットワーク、チャットサービス、ニュースサイト等が、ブラウザー内の固定位置にポップアップ通知を表示できるようにするために作られた。2012年に公開され、昨年Mozillaがデベロッパーに開放したが、各社が挙ってソーシャルAPIを統合をするという動きは感じられなかった。

しかしこのサービスの大きな問題は、同時に1つしか統合アプリを動かすことができず、複数使いたい場合は少々面倒な切り替えを強いられることだった。このたびその制限が外されたことから、今後いくつか新しい統合が見られるかもしれない。

他の大きな新機能としては、GoogleのSPDY 3.1プロトコルのサポートと、Transport Layer Security (TLS) バージョン 1.1および1.2がFirefoxのネットワーキングの選択肢に加わったことだ。これらは、良く知られているSSL暗号化プロトコルの事実上の後継にあたる。

Androidに関して、今回Firefoxチームはわずかな変更を加えただけだった。モバイル版もTLS 1.1および1.2をサポートし、 標準フォントが読みやすいものに変わった他、ユーザーインターフェースにいくつか小さな改善が施された。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


MicrosoftはみんなにInternet Explorerを見直してほしいのでデモ集積サイトRethink IEをローンチ

Internet Explorerは長年、自業自得の悪評に悩まされてきたが、Microsoft自身もそのことを十分自覚していた。しかしIE9以降は、かなり良いブラウザになり、最新バージョンはWebのオープンな規格に準拠し、きわめて高速なJavaScriptエンジンを実装、タッチのサポートなど新しい機能も加えた。しかしそれでもIEは、Microsoftにとってすら、いまだに”嫌うことが好まれる“ブラウザだ。

昨年あたり、とくにIE11のローンチ直後から、MicrosoftはRed BullAtariGlacierWorksなどいくつかの企業やデベロッパと提携して、IEが今や現代的なブラウザであることを見せつける、一連のデモを行ってきた。そして今日ローンチしたRethink IEは、それらのコンテンツを一堂に集めて、IEをめぐる話題がここから新たに盛り上がることを期待している。

MicrosoftでInternet Explorerのマーケティングを担当しているシニアディレクターRoger Capriottiによると、Rethink IEサイトの目的は、IEが今やWebの最前衛に位置していることを世の中に見ていただくために、IEがこれまでに作ってきたユーザ体験を強調的にデモすることだ。Rethink IEは、Microsoftがデベロッパと消費者両方のためにパートナーたちと一緒にやってきたことを一か所に集めている(Cut the Ropeだけはないが)。デベロッパはここを見て、作品制作の楽屋裏が分かるが、でも中心的なねらいは、Interenet Explorerの名誉回復というマーケティングの基調を、これからも継続していくことにある。

Capriottiによれば、昨年はIEにとってかなり良い年だった。11月には2012年以降最大のマーケットシェアを達成し、ChromeやFirefoxからIEに移行した、あるいは戻った、ユーザも少なくない。“今のIEの姿をぜひ見て、考えを変えてほしい”、とCapriottiは強調するが、Microsoftにとってそれはとくに、Surfaceなどタブレット上のIEのことを意味している。Capriottiから見ると、ChromeやSafariはデスクトップ向けに開発されてモバイルに移植されたから、モバイルというプラットホームのアドバンテージをフルに生かしていない。それとは対照的にMetroバージョンのIEはまったく新たに設計されたから、デスクトップの尻尾を引きずっていないぶん、競合製品よりも一歩進んでいる。“タブレットの上でChromeを見ると、デスクトップかと錯覚するからね”、と彼は言った。

彼によれば、今ではロード時間の短縮と高速レンダリングが標準だから、タッチなどの新しい技術を活用してブラウザ上の新しいユーザ体験を作り出す能力が、これからの勝敗の決め手になるだろう、という。もちろん、Webのオープンな規格に完全に準拠しつつ、だが。

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Chrome 33のベータはCustom Elementsを導入, 音声合成APIをサポート

昨日(きのう)最終安定版のChrome 32をリリースしたばかりのGoogleが、今日(米国時間1/16)はデスクトップとAndroid用のChrome 33の初のベータローンチした

このリリースには、デベロッパが関心を寄せそうなアップデートがいくつかあり、たとえばデベロッパが独自のHTML成分(要素)を定義できるCustom Elementsという機能がある。これはWeb Componentsの仕様の一部であり、Chromeのチームはかねてから強い関心を示していた。

Custom Elementsはデベロッパが勝手に定義できるHTML成分であり、その何が魅力かというと、複雑な機能でもタグ一個で表現できることだ。だからページのコードの外見はとてもすっきりする。Googleもこの点を強調しており、たとえば下の図に示すデモアプリケーションはCustom Elementsを多用している。なお、Mozillaも近くWeb Componentsをサポートするようだから、Custom Elementsを使えるようになるはずだ。

このベータのそのほかの新機能としては、Web Speech APIのサポートがある。これによりデベロッパは、自分が作るサイトに音声認識や音声合成機能を加えられる。音声認識の方はChromeに昨年加わったが、今日は音声合成機能が内蔵された。このAPIを使うためには、デベロッパがマシン上でサポートされている音声の中から指定して、音声合成エンジンがその音声で喋れるようにする(下図)。なおiOS 7のSafariも、部分的に音声合成をサポートしている。

そのほかの変化・変更は、以下のとおりだ(Googleの発表文の原文より):

Web上の支払い決済を容易にするrequestAutocomplete APIがMacでもサポートされた。

Page Visibility APIがプレフィクスなしになった。

WebFontのダウンロードが最適化され、フォントはBlinkがレイアウトを終える前に可利用になる。つまりWebFontを使う場合のレイテンシがゼロになる。

BlinkによるCSSのAnimationとTransitionの実装が、Web Animationsモデルにより駆動される。これはデベロッパやサイトには無影響のはずだが、何か影響が見られれば知らせてほしい。

最新バージョンのWeb Notification APIをサポート。レガシーのAPIは非推奨になるので、それらを使っているWebサイトはアップデートしていただきたい。

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Chrome 32ではマルウェアブロックを強化, Windows 8の上ではChrome OSを体験できる

Googleが今日(米国時間1/14, 日本時間1/15)、Chromeブラウザの最新安定バージョンをリリースした。そのバージョン32には、最近ベータチャネルにやってきた新しい機能の多くが含まれている。マルウェアブロックの改良が、その一例だ。またタブの表示は、そこで音を鳴らしている、Webカメラにアクセスしている、Chromecastにビデオを送っている、などのときにはそれらが分かるようになった。つまりタブに、スピーカーのアイコン、青い矩形、赤いドットなどが表示されるのだ。

たとえば突然音楽が鳴り出したりビデオの再生が始まったようなとき、あれっ?どのタブだっけ?ということが、これからはなくなる。このアイデアは2013年の初めからあるが、ベータに導入されたのがやっと11月だった。

マルウェアブロッカーも新しくなった。それは昨年10月の実験的先行ビルドにやってきた機能だ。これからは、Googleが怪しいと判断したダウンロードは、自動的にブロックされる(下図)。.

Windows 8を使っている人は、”Metro”モードを試すことができる。Microsoftが今それを何と呼んでいるのかよく分からないが、Googleは臆することなく今でもMetroと呼んでいる。そのMetroモードでは、ChromeのルックスがChrome OSになり、そのアプリケーションがWindows上で立ち上がる。前のバージョンでは、MetroモードはChromeの通常のインタフェイスを見せるだけだった。その、ChromeインタフェイスのMetro化は上出来とは言えなかったが、今度の新しいインタフェイスではMetroモードをうまく利用して、Chrome OSをWindowsに持ち込んでいる。

今回は新たに、”スーパバイズドユーザ(supervised users, 監視されるユーザ )”という機能が加わった。これはまだ公式にはベータだが、たとえば親が子どものWeb閲覧履歴をチェックできるのだ。そしてchrome.com/manageでサイトに制限をかけられる。

例によって、セキュリティフィックスも多い(21か所)し、安定性やパフォーマンスの面でのアップデートもある。

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Chrome 31ベータにデベロッパー向け新機能―ウェブ支払、モバイルアプリのフルスクリーン・モードなど

今日(米国時間10/3)、GoogleはChromeブラウザのデスクトップ、モバイルの最新ベータを公開した。ユーザーに直接見える部分には目立った変更はないが、デベロッパーにとっては重要な機能がいくつも追加されている。やがてChromeのユーザー体験が大きく拡張されることになるだろう。

たとえばAndroid版ではデベロッパーは簡単にフルスクリーン・モードでアプリを起動するショートカットが作れるようになった。このモードでは通常のChromeのUIはまったく表示されず、アプリが画面全体を利用することができる。

デベロッパー側の作業はごく簡単で、ウェブサイトのソースコードにメタタグを一つ追加するだけでよい(<meta name=”mobile-web-app-capable” content=”yes”>)。

Android版、Windows版、Chrome OS版ではユーザーに支払情報を簡単に求めることができるようになった。新しく提供された requestAutocomplete()機能を用いると、ブラウザ付属のインタフェースを通じて支払情報を得ることができる。ユーザーはブラウザに記録された既存の支払い情報を自動補完で入力することができる。モバイルでのクレジットカード情報の入力は特にエラーが起こりやすいので、これはデベロッパーにとってもオンラインストアにとってもありがたい機能だ。

またデスクトップ版ChromeとChrome OS向けのPNaCl(ポータブル・ネーティブコード・クライアント)URLハンドラー、アプリのディレクトリ・アクセスなどがある。PNaClはC/C++のソースコードをコンパイルしてChrome内で実行可能モジュールを作成する。URLハンドラーはChromeアプリを自動的に起動するURLを生成する。デベロッパーはたとえば文書をChromeベースのドキュメント・エディタでを開くように設定することができる。ディレクトリ・アクセスはその名のとおり、ユーザーが承認した場合、Chromeアプリがローカル・ドライブの特定のディレクトリにアクセスすることを許す。これはChromeアプリとネーティブ・アプリの間でファイルをやりとりするのを容易にする。

その他、WebMビデオにアルファ・チャンネルが追加され、新しい2Dキャンバスが提供されている。

新機能の詳細はこちら

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iPad向け新ブラウザ、Opera Coastが登場―すべてスワイプとタップで操作するタブレット最適化UI

半年前からOperaでは小チームでタブレット向けブラウザの開発を進めていた。 そしてついにOpera Coast for iPadが発表された。Chromeを無用のものにするかもしれない画期的な新ブラウザだ。

先週、Coastプロジェクトの責任者、Huib Kleinhoutは私の取材に対して「われわれがCoastを開発することに決めた動機は、現在のブラウザのUIがMosaicの時代から実質的に変わっていないことに我慢がならなくなったからだ。マルチタッチ・スクリーンがこれだけ普及したというのに、それがブラウザではほとんど生かされていない」と述べた。Coastはタブレットに最適化されたブラウザを世界で初めて作ろうとしたOperaの試みだという。

Kleinhoutは「タブレットのブラウザはそもそも生産性ツールとして使われるわけではない」と指摘する。Coastはこの基本的考えに基づいて、現在のブラウザに満載されている複雑でかつほとんどの場合に不必要な機能をすべて削除し、UI要素を大きくシンプルなものにしてタッチによる操作性の大幅な向上を図っている。

実際、Coastには画面下部のホームボタンと画面右下の最近訪問したサイトの履歴を表示するボタン以外に目に見える操作部分はない。ほとんどすべての操作はジェスチャーで行われる。たとえば 「進む」、「戻る」は左右のスワイプになる(もっともMicrosoftもGoogleもこのジェスチャーを採用している)。

Coastではブックマークに代わってよく訪問するサイトはiOSのホームスクリーン風の大きなアイコンで表示される。Coastはユーザーが最近訪問したサイトをすべて自動的に記録しており、ホームスクリーンの右下のボタンからリストとして呼び出せる。そこからブックマーク・アイコンを追加できる。ホームスクリーンには検索バーが用意されている。Operaのバックエンドがユーザーの入力をモニタして、インクリメンタルに3つの候補を表示する。

この極めて簡潔なデザインについてKleinhoutは「サイトに代わって勝手に共有ボタンを表示するのがブラウザの役目ではない」と語った(最近のMozillaのプロダクトへの遠回しな批判)。Kleinhoutは「ユーザーとどのように会話するかを決めるのは全面的にサイトの役割だ。われわれはユーザーのセキュリティの強化にも力を注いでいる。ユーザーがHTTPSや認証手続きについて知らなくても、ユーザーが危険なサイトにアクセスしようとした場合にはCoastが警告する」という。

Opera独自のサーバサイドのレンダリング・エンジンを利用していたOpera Miniや以前のiOSブラウザとは異なり、CoastはAppleの内蔵レンダリング・エンジンを利用する。

KleinhoutはAndroid版Coastについては開発しているかどうか明らかにしなかったが、iOS以外のプラットフォームへの拡張を計画していることは間違いないだろう。

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Chrome 29ベータはAndroidにWebRTCとWeb Audio APIを実装, デスクトップではOmniboxを改良

Googleが今日(米国時間7/16)、Chrome 29のデスクトップAndroid用バージョンのベータをリリースした。とくにAndroid版に重要な変化があり、オーディオ合成処理のためのWeb Audio APIと、リアルタイム通信のための最新API WebRTCをサポートしている。

デスクトップ版(Windows、Mac、Linux)のアップデートには、omniboxの改善提案が取り入れられ、ユーザが最近訪れたWebサイトが尊重されるようになった。このほかデスクトップバージョンでは、WebMによるビデオ再生でGoogle自身のVP9コーデックがサポートされた。


ただしWeb Audio APIが当面使えるのは、NEONオプティマイゼーションをサポートするARMデバイスのみである。これは、ARM Cortex-A8プロセッサで導入された新しい命令を実行する方法のことだ。Web Audio APIをサポートしている実機の上では、ここでそのデモを楽しめる。デスクトップのChromeでは、かなり前からサポートされている。またiOSと、今回のAndroid用ベータもサポートしている。

なおFirefoxは、先週のNightlyがこのAPIをサポートしている。

WebRTCは、このAPIを使うとビデオとオーディオによるリアルタイム通信がプラグイン不要でできる。それが、今回はAndroid用ベータでサポートされた。デスクトップのChromeは、このAPIを早くからサポートしたブラウザの一つだ。実装が今後さらに普及すれば、多くのデベロッパの関心がそれに向かい、Webブラウザのほとんど標準的な機能になるだろう。ChromeとFirefoxはすでにサポートしているが、MicrosoftはInternet Explorer 11までお預けのようだ。

WebRTCに関しては、Googleのビデオチャットのデモがここにある。

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クラウドから提供されるブラウザMaxthon, パワーユーザたちがご愛用

Maxthonは、ChromeやFirefoxやSafariほど名前を知られていないと思うが、しかしこのクラウドから提供されるブラウザはグローバルに人気があり、各月140か国から1億あまりのユニークビジターがある。同社のVP Karl Mattsonによると、Maxthonの成長を支えているのは主にWebデベロッパやゲーマーたちで、彼らはこのクラウドブラウザのメモリ管理機能や、Flash対応、GPUアクセラレーション、それにHTML5のサポートが気に入っている。

“われわれはHTML5の将来性を確信しており、ブラウザでできることは何でもやりたいと考えている。それが、ゲームのデベロッパをはじめHTML5に肩入れしようとしている人たちの仕事を、楽にすることにつながる”、とMattsonは言う。

北京の会社だが、オフィスはサンフランシスコとロサンゼルスと香港と上海にあり、創業は2006年、ファウンダは当時シンガポール国立大学の技術者だったJeff Chenだ。ChenはMyIEのコーディングをそのファウンダに代わって引き受け、それをユーザ数600万のコミュニティに育てた。Maxthonの最初のバージョンは、彼らからのフィードバックに基づいて作った。今のバージョンはベースがChromiumで、Chromeのエクステンションがそのまま使える。

Mattsonによると、Maxthonは三つのことをとくに重視している: パフォーマンス、ポータビリティ、そして独創性。

このブラウザはどんなプラットホームでも使えるので、MacとWindows、複数のモバイルオペレーティングシステムなど、いろんなプラットホームを使っているユーザにとって便利だ。複数のデバイスに亙るデータのシンクは、Maxthon Passportアカウントでできる。

また、Maxthonはローカライゼーションを熱心に行っているので、国際的なリーチが広い。たとえば同社はロシア最大の検索エンジンYandexと組んでMaxthonの完全なロシア語化を行った。またMac用の中国語バージョンには、中国最大の決済サービスAlipayがプレインストールされている。

ブラウザ本体の機能が豊富なのでプラグインなどのインストールを必要としないことが多いが、Maxthon自身のエクステンションでブラウザをカスタマイズするオプションはある。

Maxthonの強みはセキュリティとプライバシーにもある。NSAの覗き見行為がバレてからは、それがなお一層Maxthonの人気に貢献するだろう。Maxthonは、AES 256による暗号化を使っている。

“政府機関などからユーザの情報を求められても、それはどこにも見つからないだろう”、とMattsonは言う。“もっと端的に言えば、それをわれわれが政府などに提供することは、技術的に不可能だ。プライバシーに関わる情報は暗号化されて保護されているから、われわれがディスクを渡したとしても、その中身はゴミにしか見えない”。

MaxthonはWI Harper、Charles River VenturesなどのVCと、Skype の初期の投資者Morten Lundから資金を得ている。収益源は、有料サービスの売上だ。

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まだ生きてる代替ブラウザTorch, 立ち上げ1年でユーザ数1000万を突破

ブラウザの選択肢のずっと下の方は、Rockmeltのような落伍者の死屍累々だが、中にはMicrosoftやMozilla、Googleなどの影にひっそりと隠れて生き延びている者もいる。Maxthonもその一つの例だが、これまで話題にもならずに着実にユーザを増やし続けているのがTorchだ。同社によれば、立ち上げから1年後で、アクティブユーザ数はMacとWindows合わせて1000万を超えた、という。

TorchはChromiumをベースとするブラウザだが、このほど新バージョンをローンチし、ダウンロードアクセラレータが新たに加わり、Torch Music サービスの大型アップデートが行われた。これは主に、YouTubeとVevoから音楽を配信するサービスだ。ユーザの視聴履歴や位置やFacebookの友だちの好みに基づくリコメンデーション機能があり、データベースには約500万曲を集めている。

Torch Musicは元々別立てのサービスだったが、今ではブラウザの一機能へと落ち着き、ウィジェットをクリックして曲の検索、ポーズ、スキップなどができる。

Torchの新機能であるダウンロードアクセラレータは、初期の遅い接続の時代にはどのブラウザにもあったが、今ではおぼえている人すら少ない。しかし、今でもところによっては遅い、あるいは不安定な接続があるから、決して無意味ではない。

このほか、BitTorrentクライアントとメディアグラッバーがブラウザの機能としてあり、埋め込みビデオのファイルをダウンロードできる。便利な検索はドラッグ&ドロップで使用でき、また共有ツールは大きなボックスからFacebookやGoogle+やTwitter、Pinterestなどへリンクを共有できる。検索サイトも、GoogleやWikipediaなどから選べる。

Torch BrowserのMacバージョンは1か月前にローンチしたばかりだから、今のところユーザの大半はWindows上だ。TorchはChromeのブックマークを簡単にインポートするから、乗り換えも簡単だ。ChromiumベースだからChromeのエクステンションもそのまま使えるはずだが、ただしGoogleの最新リリースの一世代前をベースにしているようだ。

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Internet Explorer 10の消費電力はChromeやFirefoxより18%低い, とMicrosoftは主張

Microsoftが行った委託研究によると、合衆国のChromeとFirefoxユーザの全員がブラウザをWindows 8上のInternet Explorer 10に換えたら、合衆国の1万世帯ぶんの電力を節約できる。Microsoftによるとその理由は、同社はIEの高速化に力を入れてきたしまた、IEはネイティブのグラフィクスカードなど現代的なPCのハードウェアの能力を有効活用して、レンダリングのパフォーマンスを向上させているからだ。

しかし率直に言って、ブラウザについて考えるときその電力消費を気にする人はあまりいない。研究のテーマとしてもかなり異例だと言えるが、でもたしかに、Webの閲覧に費やされる時間は最近とみに多いから、研究が言うようにIEの電力消費がCやFよりも18%少ないなら、それはIEの無視できないメリットには違いない。

Microsoftによると、IEに切り換えると1億2000万キロワットアワー(kWh)の電力が節約され、また220万本の木を苗木から10年育てた期間に相当する二酸化炭素の除去量が達成される。

Microsoftは2011年にも同種の委託研究を行い、IE9はFirefoxやChrome、Safari、Operaなどよりも優れている、とした。今回の研究では、人気上位のWebサイトを対象にベンチマークが行われた。また、FlashやHTML5によるビデオも、多数再生された。

しかし研究とその結果はまともなものだとは思うが、省エネを動機としてChromeやFirefoxからIEに切り換えるユーザは、あまりいないだろう。でも、今MicrosoftはIEのイメージアップとシェア奪還に躍起になっているから、そのためのマーケティングキャンペーンのネタとしては、とりあえず理解できるけどね。


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OperaがGoogleのエンジン採用の初バージョンをリリース–便利な独自機能による差別化に専念

Operaが今日(米国時間5/28)同社初のChromiumをベースに使ったWindowsとMac用デスクトップブラウザOpera Nextの、プレビューバージョンをローンチした。同社がブラウザのエンジンを自社製からGoogle製に切り替えることを発表したのは今年の2月だった。Googleのエンジンなので、SPDYプロトコルなどもサポートされるが、それだけでなくOpera独自の新機能もいくつかある。

たとえば、ショートカットをフィルタしソートしてフォルダに収めておけるSpeed Dialのタブページが新しくなった。また、ChromeのようにURLと検索クェリが一つのバー(アドレスバー)に統一された。UIのデザインも一新され、モダンなルックスになった。

ユーザがカスタマイズできるニュース発見機能が加わり、“あなたは椅子の背もたれに体を預けたまま、あなたがとくに関心のある国別地域別などに分類された最新ニュースをブラウザ上の一箇所でまとめて見ることができる”、ということになった。それは、Google Newsにカテゴリーによるフィルタ機能をつけたものだ(アート、食べ物、テクノロジ、などなど)。ニュースを選ぶOperaのアルゴリズムは未知だが、使ってみるとまあまあニュースの集め方は妥当だし、Pinterestふうのレイアウトによりニュースを素早くスキャンできる。

“Stash(隠し金庫)”ビューという機能が新たにサポートされた。それは、URLバーのハートのアイコンを押して、今見てるページを素早くブックマークし、あとでその隠し金庫に入れておいた複数のページを1ページ内に小さなサイズで全部表示して比較検討できる、というものだ*。ショッピングとか旅行の下調べのときに便利、と同社は言っている。下の画像が、その例だ。〔*: 余計な訳注: マルチタブやマルチウィンドウは比較検討作業がとてもやりにくいので、このStash機能は全ブラウザがサポートしてほしい…消費目的だけでなく調査作業のときにはほとんど必須だ!。〕

つまり、Googleのレンダリングエンジンに切り換えたことによってブラウザが高速になり、また自社製エンジンという重荷がなくなって、他のブラウザと差別化できる独自機能により専念できるようになった、というプラスの効果が見える。

ただし、なくなった機能もある。Turboモードはあるが(”off-road mode”と改名)、Opera Notes、Link、タブのサムネイルなどなど、Operaファンにとっておなじみの機能がいくつかない。将来復帰するのかも、分からない。

Opera Mail

またこのバージョンから、Operaはメールクライアントを単独のアプリケーションとして切り離した。今ではそれはスタンドアロンのプロダクトとして入手できる。すごく軽いメールクライアントだから、最近のスタートアップたちのメールプロダクトに比べても優れていると思う。またメッセージにラベルを付けたり、添付ファイル(ドキュメント、画像、ビデオ、オーディオファイルなど)のあるメールだけをフィルタする機能もある。

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あなたのページにWebRTCのビデオチャットを埋め込める–Fresh Tilled Soilの一連の実験より

WebRTCを使ってデベロッパは、自分のWebアプリケーションにプラグインなしでリアルタイムの音声通話やビデオチャット、ファイル共有などの機能を導入できる。ChromeとFirefoxはすでにこれをサポートしているが、そのほかのブラウザもいずれ彼らに続くだろう。しかし現段階ではWebRTCは規格も実装も実験段階で、まだ多くのサイトがこぞって採用するまでには至っていない。また自分のサイトへの導入も、Conversat.ioのようなプロジェクトはあるものの、まだ容易ではない。

WebRTCを試してみたい、WebRTCを使ったビデオチャットウィジェットを自分のサイトに載せてみたい、と考えている人たちのために、ボストンのUI/UXデザイン会社Fresh Tilled Soilが、WebRTCによる埋め込み可能なビデオチャットウィジェットをローンチした。

本誌TechCrunchはベースが裸のWebサーバではなくWordPressなので、少なくともその現状の設定ではウィジェットを正しく埋め込めないが、ご自分のサイトで試してみたい方はここを訪ねてみられよ。

多くのこの種のプロジェクトと同様に、ユーザがすることといえば、チャネルの名前を決めて、それを友だちと共有し、そうすると数秒後にはチャットを開始できるはずだ。

ただし今現在は、デスクトップのChrome最新安定バージョンとAndroidのChrome Betaでしか使えない。もうすぐ、Firefoxもサポートされる。WebRTCはピアツーピア通信なので、ホストは最初のハンドシェイクを処理するだけだ。だからサーバの負荷はとても低い。

WebRTCのこの実験は、Fresh Tilled Soilがこれまでやってきた一連のテストの最新のものだ。これまでのものの中には、WebAudioAPIを使った音声処理や、音声入力のためのメディアキャプチャとストリームなどもある。また同社のこのクールで小さな実験では、Webカメラを使ってユーザと画面との距離を測り、フォントのサイズを調節する。

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Firefoxの先行テスト版がWebRTC, H.264, MP3をデフォルトでサポート

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Firefoxブラウザのテスト専用の先進的バージョンFirefox Nightlyで、WebRTCがデフォルトでサポートされた。WebRTCは、プラグインなしでブラウザ自身がリアルタイムのUDP通信を行う規格で、とくにオーディオやビデオによる対話やコンテンツ配布に適している。これまではFirefox Nightlyのオプションとしてサポートされていたが、これがデフォルトになったことにより、数か月後には安定版(正規リリース版)の工程に組み入れられることが期待される。

MozillaのPaul RougetとRober Nymanが今日の発表声明の中で、“これは大きな前進である。これにより特殊な設定や構成を必要とせずにWebRTCを直接、Webブラウザの中で動かせるようになる”、と書いている。

おそらく今年いっぱい、WebRTCがにぎやかな話題になるだろう。主なブラウザがこぞって、その実装を開始しているからだ。Chromeはすでにバージョン23から安定版でWebRTCをサポートしており、最近Mozilla とGoogleは、二つのブラウザのユーザ同士がWebRTCを使って対話できる、というデモを公開した。

なお今回のFirefox Nightlyでは、H.264とMP3形式がサポートされる。ただしデコードはオペレーティングシステムが行い、今はWindowsの7以上のみでサポートされる。MacとLinuxのサポートは、目下開発中だ。

Mozillaが今週初めに発表したように、このNightlyリリースはWindows 8のMetroインタフェイスをサポートしている。

WebGLのデモも…

ちょっと関係のない話題だが、Mozillaは今日(米国時間2/20)、WebGLの すばらしいデモ発表したACTISKUのAnthony Liotが書いたこのデモは、Webブラウザもついにここまで来たか!と思わせる最先端のグラフィクスであり、しかもデベロッパはプラグインに依存せずにクロスプラットホームな体験をユーザに容易に提供できる。ただし現状では、Internet ExplorerがまだWebGLをサポートしていない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

グループビデオチャットのTenHandsがChromeのWebRTCで実装–プラグイン不要に

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Webアプリケーションとモバイルアプリ向けにビデオコラボレーションサービスを提供しているTenHandsが、WebRTCのサポートを発表した。WebRTCはブラウザ内でプラグインを使わずにオーディオやビデオによる通話ができるためのJavaScriptライブラリで、TenHandsのAPIは、ユーザがChrome 24より上のブラウザを使っている場合には自動的にWebRTCによるオーディオビデオ通話を行う。

これまでの(そしてデフォルトの)TenHandsは、Chromeの場合のようにブラウザがWebRTCをサポートしていなければ、自分のWebRTCプラグインをインストールするので、デベロッパは相互運用性を心配する必要がない。しかしTenHandsは、いずれどのブラウザもWebRTCをネイティブでサポートする、と予測している。その標準規格化に関して、Microsoftだけは独自の考えのようだが、いずれにしても今すでにWebRTCの普及に期待しているベンダは多い。Skypeを抱えるMicrosoftも当然、このレースに加わるはずだから、向こう数か月の標準規格をめぐる議論からは目を離せない。

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TenHandsのCOO Jack Blaeserによれば、どのWebブラウザも標準規格として確定したWebRTCをサポートするようになれば、ビデオの民主化に向けての大きな前進になる。これからは個々のアプリケーションやベンダ(AT&T, Verizon, Skype, …)に閉じこめられることなく、どんなユーザでも、どんなアプリケーションでも、ブラウザの上で、HDビデオと音声によるコミュニケーションができるようになる。そのための特殊なハードウェアやソフトウェアは要らない。

Blaeserの見方では、それによって数々の新しいユースケースも生まれる。たとえばコールセンターは、Webでもモバイルでも、ビデオと音声でリアルタイムの対話ができるようになる。またWebRTCの標準化と普及により、遠距離学習や遠隔医療などがより簡単にできるようになり、イノベーションを加速する。“ブラウザが情報へのアクセスに革命をもたらしたように、WebRTCによってそのブラウザがさらに、ビデオと音声によるコミュニケーションのメインの手段になり、通信市場全体が大きく変貌する”。ということはつまり、これまでの携帯キャリアとか放送局〜放送会社など、大量の通信帯域を特定目的だけのために独占していた業態は、不要になると思われる。インターネットでも、Skypeに代表されるような私企業的規格に基づくアプリケーションは、おそらく御用済みになる。

TenHandsがさらに主張するのは、同社が“GoogleによるWebRTCの実装を利用する、初めての、Flashに依存しない、リアルタイムの商用ビデオソリューション”であることだ。ただし、TwilioPlivoTokBoxなどのビデオプラットホームもすでに、各種のWebRTCベースのサービスを提供している(多くはまだベータだが)。

TenHandsの創業は2011年で、それ以降今日まで、レーダーに映らない低空飛行を続けてきた。しかしこのところ、WebRTCがホットな話題になってきたので、同社のステルスモードもあと数か月で終わるだろう。Chrome向けの、ネイティブWebRTCによる実装のローンチを記念して同社は、2月9日にAPIのハッカソンを行う。優勝賞金は4000ドルだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))