オンライン・ブックマークのClipixが日本のクレディセゾンと提携―買物で永久不滅ポイント付与

今日(米国時間4/22)、オンラインでビジュアル・ブックマークを作成、共有できるツール、Clipix が日本第3位のクレジットカード会社、クレディセゾンと提携し、永久不滅.comを通じてポイントを貯めるプログラムに協力したことを発表した。

2500万人といわれる永久不滅ポイントのユーザーが、Clipixを使って欲しい商品を保存し、購入すると所定のポイントが付与されることになる。

Clipixによれば、 永久不滅.com出店中のショップの場合、永久不滅.comを経由しなくてもClipixを通じて商品を購入するとポイントが付与されるということだ。またこの提携により、セゾン・カードのメンバーはセゾン・カードの情報を入力するだけで簡単にClipixのアカウントが作れるようになった。またClipixの説明が永久不滅.comでいちばん目立つ場所に表示されている

永久不滅.comに参加している500のオンライン店舗の商品をユーザーがブックマークすると、Clipixはそれを専用クリップボードに保存し、永久不滅ポイントの対象となるようマークする。

ClipixのCEO、Oded Berkowitzは私の取材に答えて「これまでClipixは日本市場で十分に普及していなかったが、セゾンのある幹部と出会ったことがきっかけで、この提携が実現した。準備には数ヶ月かけている。Clipixに理想的に適合するプロジェクトだと信じている」と語った。またBerkowitzによれば、「日本ではプライバシーが重んじられる。Clipixは基本的にプライベートなクリップボードであり、日本文化に適している」という。

2012年のローンチ当初からClipixが他のブックマーク・サービスに対してセールスポイントとしてきたのは、ユーザーがブックマークしたのが商品である場合、価格を引き続きモニタして値下げされた場合にユーザーに通知する機能だ。日本でもClipixの値下げ通知機能は使えるという。Berkowitzは「これはわれわれにとってもセゾンにとっても大いに役立つ機能だ」と述べた。

Clipixは今後日本で多様なユーザーを獲得できるだろうし、同社の広告ビジネスに大きなチャンスを与えるものだとBerkowitzは考えている。

クレディセゾン側にとっても値下げ通知を始めClipixの機能は永久不滅.comの大きなセールスポイントになるはずだ。一旦ブックマークした商品に値下げの通知が来れば、ユーザーがサイトを再び訪問し、その商品を購入する確率は高くなる。ショッピング・ポータルとしてはユーザーをつなぎとめるのに大きな効果が期待できるわけだ。

Berkowitzは取材中、Clipixが将来さらに多様な提携を実現させ、独自のエコシステムの構築を目指していることをにおわせた。ただしまだ具体的な計画を発表できる段階ではないという。ただし、数カ月後に、オプトインしたユーザーに対してストア側が直接連絡できる機能を実装する計画があることをは明かした。つまりユーザーがあるカメラをブックマークした場合、ストアが割引クーポンを送って実際の購入を勧誘したりできるようになるらしい。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


手数料無料の決済サービス「SPIKE」、いよいよオープンベータ版を公開

2013年にメタップスが発表した手数料無料の決済サービス「SPIKE」が本格始動する。4月14日より日本でオープンベータ版の利用が可能になる。

SPIKEはクレジットカード決済機能のついたリンクを作成することで、手軽に決済を実現できるサービス。同様のサービスには米国では「Stripe」、国内では「WebPay」やヤフーの「Yahoo!ウォレットFastPay」などがある。

無料と有料の2つのプランを用意する。個人事業主や小規模事業者向けの「フリープラン」は、初期費用、月額費用、決済手数料が無料。月間100万円までの決済が利用できる。今後は月間の決済上限額を引き上げていき、最終的に完全無料での提供を目指すという。

中規模事業者向けの「ビジネスプレミアム」は月額3000円。月間1000万円までの決済については手数料が無料となっており、月間1000万円を超える部分に関しては2.5%の決済手数料と30円のトランザクションフィーで利用できるという。また今後は、開発者向けにAPIの提供も予定する。

なお現在はオープンベータ版につき、「フリープラン」のみの提供になるほか、決済に対応するのは日本円とUSドルのみとのこと。今後は対応する通貨も拡大する。2016年に年間2兆円の決済額を目指す。

当初は「昨年夏以降に公開予定」としていた同サービスだが、特許やリスクマネジメントへの対応・仕組みの構築と、各国でのサービス提供のためのレギュレーションや法律上の調整などにかなり時間がかかったという。メタップス代表取締役の佐藤航陽氏によると、「世界中で使われるサービスの提供をしたいと考えていた」とのことで、米国、欧州、日本など主要先進国でリリースに向けた事前の準備に相当時間をかけていたそうだ。

フリーミアムモデルでスモールビジネスの無料化を実現

サービスの発表当初から言われていた「完全無料」のサービスは、現在発表されている限りはいわゆるフリーミアムモデルとなる。メタップスではSPIKEによって「カード決済を導入できなかったスモールビジネスを支援する」としているが、継続可能なビジネスとして、どうやって無料化を実現するのだろうか。

佐藤氏は「決済のトランザクションは、上位1割が全体の9割のボリュームを稼ぎ、その他9割が1割のボリュームを稼ぐ非対称性を持つケースが多い」と説明する。SPIKEでは、今後開始する予定のビジネスプレミアムでその“上位1割”からフィーを得るほか、そこから派生する付加価値の提供によって無料サービスを進めていくという。「そこから派生する付加価値」については詳細が明らかにされなかったが、国内ではベリトランスやカンムなどが決済データを利用したマーケティングサービスを展開しているが(詳細はこちらの記事を参考頂きたい)、そういったサービスも予定されているのかもしれない。

メタップスはアプリのリワード広告事業を手がけるスタートアップ。スタートアップとは言っても2007年創業で当初はコミュニティサービスを運営していた。その経緯についてはこちらの記事に詳しい。最近ではLINEのリワード広告「LINEフリーコイン」の販売パートナーとなっている。

実はこのサービス、メタップスのシンガポール法人からのリリースとなる。アジアでは、国によってはカード決済がまだ主流となっていないケースも少なくない。メタップスでは今後、カード決済以外のモバイル決済の展開も視野に入れているとのことで、サービスの拠点にシンガポールを選んだという。実はメタップスのアプリ広告事業も、もともとシンガポールからアジア全土に展開していったそうで、そのノウハウも生かしたいとしている。

アジアの決済領域というと、たとえばGMOベンチャーパートナーズなどもアジア特化のファンド「GMO Global Payment Fund」を設立して、モバイル決済サービスを展開するアジア企業に出資していたりする。余談にはなるが、先日その理由について現在シンガポールに拠点を置くGMO-VPの取締役 Founding Partnerの村松竜氏に尋ねたところ、「日本人であればカード決済が主流になっていなければ『どうカード決済を拡大させるか』と考える。だが現地で生活してみれば、モバイル決済でも、ATM決済でも、『利用されている決済サービスをどう拡大するか』と考えるようになる」と語っていたのが印象的だった。このあたりはまた別の機会に紹介したい。

現在の「お金」の矛盾を解消したい

話をメタップスに戻すが、僕は佐藤氏が1月に書いたブログエントリー「グローバル化とインターネットのその先にある世界:あらゆる境界線が見直される10年間」を読んで、これまで自分で取材してきた企業、サービスがどのように世界を変えていく可能性があるのか、ということを考える際のヒントをもらった気がしていた。

ブログ内で「テクノロジーが境界線を引き直す」「『営利と非営利』ではなく『価値』がとらえられる社会になる」といった持論を展開していた佐藤氏が、そもそもなぜ手数料無料の決済サービスを開始したのか。「会社の代表者としては、現在の経営資源を活用して大きく成長できそうな分野だと感じたから」とした上で、佐藤氏は次のように答えてくれた。

「創業者のエゴとして言えば、現在の『お金』が作り出した世界全体の矛盾を解消するのが人生の目的。私は、通貨や経済システムも競争にさらされたほうが切磋琢磨してより健全になると考えていた。独占が起こると進化が止まってしまうので、経済の根底の仕組みそのものをテクノロジーで民主化できる方法を探していて、SPIKEはその仮設が正しいかを実世界で実証するための試み。現実世界の経済と仮想世界の経済の接合点である「決済」は最初におさえておきたかった」(佐藤氏)。以前のブログでも、その詳細が語られている。

 


Googleの極秘プロジェクト、Helpouts、社内テスト中―ハングアウトをベースにしたサービスのeコマース・プラットフォーム

われわれが得た情報によると、Googleは強力なクラウド・プラットフォームの上にサービスのeコマース・プラットフォームを構築しようと試みているという。

このプロダクトは部内でHelpoutsと呼ばれており、個人や大小の企業がライブ・ビデオを通じてサービスの売買ができる仕組みだという。マーチャント(売り手)と消費者は定期的な番組で、あるいはその都度のオンデマンドのビデオで結びつけられる。マーチャントの評価や支払い管理が可能で、もちろん強力な検索と推薦の機能も用意されるという。

Googleのハングアウトのライブ・ビデオのインフラはさまざまな新しいリアルタイム・サービスバックエンドとして広く利用されている。新しいeコマース・サービスもこのインフラを利用するものだ。われわれが知り得たところでは、Googleは社内テストを6月下旬から開始している。一般公開までは少なくともあと1ヶ月以上あるらしい。

現在分かっている情報からするとHelpoutsは最近eBayがリリースしたSecretguruに似ている。これはコシェルジェ・スタイルのオンライン・プラットフォームで、マーチャントはビジネス・コンサルティングからメーキャップのアドバイスまでさまざまなサービスを直接消費者に提供できる。

eコマース分野でのAmazonの圧倒的な優位はフルフィルメント・センターのネットワークなど強力なロジスティクスに負っているところが大きい。これが低価格と迅速な配達を可能にしている。フルフィルメント分野でのインフラを持たないGoogleの場合、eコマース戦略はAmazonとはっきり差別化される必要があった。HelpoutsでGoogleはeBay、Zaarly、TaskRabbit、Live Ninjaなどが手がけている「協同的サービス消費」の分野に特化しようとしているようだ。

われわれの情報源によると、Helpoutsは上記の既存サービスと同様、コンピュータ利用、教育、飲料・食品、健康、修理、などの分野におけるサービスを扱うという。つまり、ヘルス・コンサルティング、料理教室、フィットネス・クラス、電化製品その他の修理、などだ。

Googleは社内テストに当たって、One Medical Group、Sears、Weight Watchers、Alliance Francesはじめ多数の企業の協力を得ている。一般公開の際にはこれら有名ブランドだけでなく、ヨガやフィットネスの有名講師などの個人も多数参加するようだ。

情報源によると、Helpoutsは従来のサービス提供タイプのオンライン・コマースに存在していた使いにくさを大幅に取り除くシステムになっているという。たとえばアルゼンチン在住のスペイン語講師が日本の受講生に直接レッスンを提供する、ワイオミングの主婦が家にいながらにしてニューヨークのヨガ・インストラクターのクラスに参加する、コンピュータの修理ショップが故障したラップトップの修理の相談に乗る、などといったシナリオだ。

Googleが何か新分野に乗り出すと、小規模な(たいていスタートアップの)ライバルは多かれ少なかれ苦しい立場に置かれる。LiveNinjaPowWow(これは元Google社員がファウンダー)、Live Moka、InstaEdu、Shmoopなどがそうだし、間接的にはAngie’sList、Udemy、Skillshare、TaskRabbit、CreativeLive、Curiousなどのプラットフォームにも影響が及ぶかもしれない。

情報源によると、GoogleはHelpoutsの開発を極秘で進めることに成功したという。24、5人のエンジニアのチームによってこの1年間ほど開発が行われてきたが、開発チーム以外でこのプロジェクトのことを知っていたのはほんのわずかのトップだけだったという。詳しいことはまだ霧の中だが、サーゲイ・ブリン直属の謎のGoogle X部隊が関与していたのかもしれない。

一般公開の方法や期日もまだ不明だが、GoogleではHelpoutsに関する全社的なミーティングが開かれたという。このプロダクトについてGoogleのトップに強力な推進者がいることは確かだ。

今の段階ではHelpoutsがYouTubeなみ(あるいは少なくともハングアウトなみ)のメインストリームのサービスに定着するのか、Google ReaderやWaveのようにやがて消えていく実験の一つに終わるのか予測するのは難しい。しかし取材の過程で聞いたGoogleの力の入れ方についての情報を総合すると、われわれはこのHepoutsが成功するのではないかという感触を得ている。

新たな情報が分かり次第アップデートする。

取材強力:Frederic Lardinois

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+