自動運転車を開発のWaymoが模倣学習のLatent Logicを買収、シミュレーション技術を深化

自動運転車を開発中のWaymo(ウェイモ)が、オックスフォード大学のコンピューターサイエンス学部からスピンアウトした英国の企業、模倣学習によるシミュレーション技術を開発しているLaten Logic(ラテン・ロジック)を買収した。Waymoはこれまでも、シミュレーションの技術を強化する方法を探していた。

この買収を契機にWaymoは、英国のオックスフォードにヨーロッパで初めてのエンジニアリングハブを立ち上げる。ただしこれでWaymoのヨーロッパと英国への進出と投資が一段落するわけではなく、元Googleの自動運転プロジェクトで今やAlphabet傘下の企業である同社は、英国とヨーロッパでチームを成長させる機会を今後も求めていくことを表明している。

今年の前半にWaymoは、ルノーおよび日産との独占的パートナーシップにより、フランスと日本における自動運転による商用の乗用車と貨物車の、あるべき仕様について研究していくことになった。10月にWaymoは、パリにおける自動運転用交通ルートの整備についてルノーと共同研究していると発表した。

Waymoはその自動運転車開発事業の柱の1つとしてかねてからシミュレーションを挙げていたが、Latent Logicは模倣学習と呼ばれる機械学習の方法により、Waymoが行うシミュレーションをより現実に近いものにするだろう。

模倣学習の模倣は主に人間を模倣するという意味なので、Waymoの場合は車を運転している人や自転車に乗ってる人、そして歩行者の行動をモデル化する。重要なのは、人間を模倣するとその間違いや不完全な運転操作なども模倣して、よりリアルなシミュレーションになるので、Waymoの行動予測や事前対応のシステムの改善が期待されることだ。

Waymoは買収の財務的詳細を公表しないが、Latent Logicの二人の創業者であるShimon Whiteson(シモン・ホワイトソン)氏とJoão Messia(ジョアン・メシア)氏、CEOのKirsty Lloyd-Jukes(カースティ・ロイド・ジュークス)氏、そして主な技術者たちはWaymoに行くようだ。Latent Logicのチームは、オックスフォードに留まる。

Latent Logicの共同創業者でチーフサイエンティストのホワイトソン氏は「Waymoへの参加により、安全な自動運転車という私たちの夢が実現に向けて大きく飛躍する。模倣学習を使って路上の本物の人間をシミュレートすることにより、わずか2年で私たちは有意義な進歩を遂げた。私たちのこの知見とWaymoの人材、リソース、そして自動運転技術においてすでに達成した進歩を組み合わせて達成できることに、私たちは今からとても興奮を覚えている」と述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

デベロッパーが使う機械学習のモデルがグローバルなトレンドに合うようにするTensorFlow Lattice

GoogleのTensorFlowのチームが今日(米国時間10/11)、デベロッパーが使用する機械学習のモデルが、訓練データにノイズがあった場合でもグローバルなトレンドに合っているようにするためのツールTensorFlow Latticeをリリースした。Latticeはルックアップテーブルのようなもので、それにより、モデルを制約するマクロのルールを定義する過程を単純化する〔単なる表で表す〕。

ルックアップテーブル(lookup table, 参照表)は、データの入力(キー, 鍵)と出力(ヴァリュー, 値)を対照させたデータ表現だ。一つのキーに一つのヴァリューが対応している形がいちばん理解しやすいが、複雑な多次元のファンクションではキーが複数になることもある。TensorFlowのチームのアプローチは、訓練データを使ってルックアップテーブルのヴァリューを訓練し、一定の制約下で精度を最大化するものだ。

このやり方にはいくつかの利点がある。まずそれは上述のように、単調関係(monotonic relationship)を定義しやすい。もっとふつうの言葉で言えば、入力がある方向に動けば出力も同じ方向に動く、というデータ間の単調な関係をデベロッパーに保証する。

チームは、車と交通量の例を挙げている。車が増えれば交通量も増える、という単調関係。このような状況では、単調性がルックアップテーブルのパラメータの制約として表現される。これらの制約は、事前の知識を利用して出力(結果)を改良する。モデルが、ユニークだけれども前と似た問題に適用されるときには、とくにそれができる。

さらにまた、高価な計算に頼るよりも単純な参照表を使った方が効率的な場合があり、そのときは一つ一つの入力/出力ペアをいちいち計算するよりも推定(補完)で間に合う。それにラティステーブル(格子表)は、従来の方法に比べて、デベロッパーにとっての透明性が増す。

TensorFlowは、デベロッパーがラティステーブルを使ってさまざまな問題を解くときのために、4種類の推定ファンクションを提供している。さらに詳しい情報は、GitHub上にある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Apple、シミュレーション+教師なし学習の新方式でAI研究分野に参入

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Appleの機械学習研究が新たな先端技術をものにしようとしている。最近同社の研究者6名が結成した機械学習グループは、シミュレーション+教師なし学習の新しい方法を 論文で発表した。目的は合成訓練画像の品質改善だ。この研究は、成長の続くAI分野で明確なリーダーになろうとしている同社の意欲を表している。

GoogleFacebookMicrosoftをはじめとするIT既成勢力は、それぞれの機械学習部門を順調に拡張している。毎年発表される数百もの論文によって各社の学術的研究は詳しく公開されているが、Appleの態度は頑なだった ― 魔法は自分たちだけのもの。

しかし今月、AppleのAI研究責任者、Russ Slakhutdinovは近く同社が研究内容を公表することを発表し、変化が表れてきた。チーム初の試みはタイムリーかつ実用的なものだった。

近年、合成画像や合成映像は機械学習モデルのトレーニングによく使われるようになった。コストも時間もかかる現実世界の画像と異なり、合成された画像はコストも低く入手が容易でカスタマイズもできる。

この技法には様々な可能性があるが、わずかな不完全さが最終製品に重大な影響を及ぼすリスクもある。つまり、合成画像で実画像と同じ基準の質を得ることは難しい。

Appleは、 Generative Adversarial Networks (GAN) を使用して合成学習画像の質を改善することを提案している。GANは新しいものではないが、Appleはこの目的に合わせて修正を加えている。

上位レベルで、GANは競合するニューラルネットワーク間の敵対関係を利用して動作する。Appleの場合、シミュレーターが合成画像を生成し、それに精緻化処理を施す。改善された画像は、実画像と合成画像を区別する識別装置に送られる。

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ゲーム理論の観点から見ると、各ネットワークは2人プレーヤー・ミニマックスゲームを争っていることになる。この種のゲームの目的は、発生可能な最大損出を最小に抑えることだ。

AppleのSimGANというGANの派生システムは、局所的敵対損失と自己規制の両方の項を最小化しようとする。ふたつの項は合成画像と実画像の差異を最小化すると同時に、合成画像と改善画像の差を最小化してニュアンスを保持しようとする。これは、修正を加えすぎると教師なし学習の意味がなくなるという考えに基づいている。もし樹木が樹木のようには見えず、モデルの目的が自動運転車が木をよけるためだとすれば、意味がない。

研究チームは修正の微調整も行っている。例えば、モデルが改善画像の一部を見るだけでなく修正履歴まで考慮することによって、あらゆる時点で生成画像を偽物と識別できるようにする。Appleの研究の詳細は、”Learning from Simulated and Unsupervised Images through Adversarial Training. ” という題名の論文に書かれている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

この生きている「昆虫とコンピュータのハイブリッド」は、速度や歩幅を調節可能

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「自然界の既製ロボットプラットフォーム」。シンガポールのナンヤン工科大学の研究者らは最新の論文で、昆虫をそう説明する ― それは、人間が到達した「神の領域」を表わす理想的な省略表現だ。たとえそれに興味をひかれても、嫌悪感をもようしても。もちろんこれは、創造を支配する人間の力を誇示するだけではなく、昆虫学、神経科学から人工装具工学にいたる様々な分野にとって極めて重要な研究だ。

Journal of the Royal Society Interfaceで3月30日に発表されたその論文には、昆虫の神経系を制御するシステムについて記載されており、それはロボゴキブリの類のはるか上を行く、より学術的な取り組みだ。

「筆者らの知る限り、この論文は生きている昆虫の運動を制御して、歩き方、歩幅、歩く速さをユーザーが調節できる最初の実践報告である」と要約に書かれている。

これまでにも、ゴキブリやクモに運動を促したり、進行方向を操作する実験は行われていたが、高いレベルの制御方法を使用して、前方に歩く抑え難い衝動を誘発するものであり、足が自発的に動くように誘導する「博士の異常な愛常」スタイルではなかった。この最新研究は、ある程度限定された形ながら、後者の演示に成功した。

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The remote-controlled beetle takes a (carefully measured) step.

昆虫は、Mecynorhina torquataと呼ばれるハナムグリの一種で、その巨大な胴体はリード線の接続に有利だ(ショウジョウバエで試してみるといい)。チームはまず様々なタイプの動きに関わる筋肉と張力パターンを詳しく観察した。方法は、モーションキャプチャー技術および古き良き解剖による。次に、それらの筋肉に配線し、近くの(虫の上ではない)マイクロコンピュータで発生したパルス幅変調信号で刺激を与える。

この実験では前方の2肢のみに配線しているため、移動の種類は制限されているが、研究者らは、6脚類が実際に2足歩行する場合もあることを指摘している。

足の筋肉をプリセットされたリズムで刺激するプロセスは大きな成功を収め、実験結果は、昆虫の行動および解剖学分野の既知知識を発展させると共に、この技法が「昆虫・コンピュータのハイブリッドロボット」を創造する可能性を示した。

このようなキメラは、人工的に作られた同様のロボットと比べて、数々の利点を持ち、研究者らは楽しそうに列挙している ― 3Dプリントではなく昆虫の足を利用した研究や、動物自身からエネルギーの供給を受けるインプラントのハイブリッド化の研究のために予算申請書を書くペンの音が聞こえてきそうだ。

たしかに薄気味悪い。しかし、同時に非常に興味深く、もう少しの努力で十分実用になる。ゴキブリに指向性マイクロフォンと追跡ユニットを装着して災害地を走り回れるようにして、閉じ込められた人間の声に向かうよう強制する研究が既に行われている。トンボに100ドルのサイバーバックパックを付けて神経系を制御できるなら、1万ドルのドローンを配備する必要はない。

そのような可能性は十分な予算を持つDARPAのような機関にとって実に魅力的であり、彼らがこの種の方法を探究するための予算を申請していることはほぼ間違いない。

ちなみに、Feng Cao、Chao Zhang、Hao Yu Choo、Hirotaka Satoらによるこの論文は、技術的知識を持たない人にも非常にわかりやすく書かれている ― 是非読んでみて、驚きを味わってほしい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook