Magic Leapがスイスを拠点とするDacudaの3D部門を買収 ― ヨーロッパ進出は同社初

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AR分野のスタートアップであるMagic Leapは、これまでに14億ドルを調達しているものの、いまだにプロダクトをリリースしていない。そんな同社は、コンピュータービジョンとディープラーニング事業の拡大とヨーロッパへの進出を狙い、同社2度目となる買収を行ったことが確認された。

Magic Leapは、チューリッヒを拠点とするコンピュータービジョン分野のスタートアップ、Dacudaの3D部門を買収したことが明らかとなった。Dacudaがこれまでに注力してきたのは、コンシューマー向けのカメラで利用する2Dおよび3Dイメージングのアルゴリズムだ(カメラだけではなく、カメラが搭載されたデバイスであればどんな物にも適用可能)。「ビデオを撮るのと同じくらい簡単に3Dコンテンツをつくる」ということだ。

DacudaはWebサイト上の短いプレスリリースで今回の買収を発表している。それによれば、Dacudaの3Dチームは全員Magic Leapに移籍し、創業者のAlexander Ilic氏はMagic Leap Switzerlandを率いることになるという。

「Dacudaは無事、当社の3D部門をMR分野のリーディング企業であるMagic Leapに売却しました。Dacudaの3Dチームは全員Magic Leapに移籍し、同社初となるヨーロッパでのプレゼンスを築いていきます。Magic Leapがチューリッヒにオフィスを持つことで、コンピュータービジョンとディープラーニング分野におけるリーダーシップをさらに強化することができます。そして、これからMagic Leap Switzerlandを指揮するのは当社の創業者、Alexander Ilicです。Peter WeigandとMichael Bornの指揮のもと、DacudaはSunrise、Crealogix、Unisys、SITAなどの顧客とともに、プロダクティビティ分野のソリューションに再度フォーカスしていきます」。

以上をご覧になると分かるように、この2社が具体的にどのように協働していくかという点は言及されていない。だが、この買収が最初に噂された先週(Dacudaのブログに3D部門の売却を示唆するポストが投稿され、LinkedInのプロフィールを「Magic Leap所属」と変更する従業員がいた)、Tom’s Hardwareは、この買収によりDacudaが開発した技術によってMagic Leapが1部屋分のスケールをもった6自由度(6DoF)トラッキングを手掛けるようになると予測した(3D環境におけるイメージキャプチャーセンサーを向上する)。

Magic Leapがヨーロッパに進出するのはこれが初めてのことだ。だが、それよりも重要なのは、同社が拠点とするスイスはコンピュータービジョン分野の研究開発において非常に評価が高い国だということである。

スイスにはAR/VR技術に取り組むスタートアップや学術機関が多く存在する。特に、コンピュータービジョンやディープラーニングの分野ではそれが顕著だ。そのため、Magic Leapがスイスでのプレゼンスを持つことで、同国のAR/VRシーンにダイレクトに入り込むことができる。

(このエコシステムに着目する大企業も多い。2015年にAppleによって買収されたモーションキャプチャーのfaceshiftも、チューリッヒ出身のスタートアップだ)。

今回の買収により、Magic Leapは良いタイミングで、人材強化とスイスのエコシステムへのコネクション作りを達成したと言える。ご存知の読者もいるかもしれないが、つい先日、Magic Leapのプロダクト情報役員の離脱、そして同社のテクノロジーとハードウェアがあまり良い状態ではないとするレポートリークするという事件があった。それにより、少なくとも短いタームでみた場合、Magic Leapは本当に45億ドルのバリュエーションに見合う価値を生み出せるのかという疑問が残ることとなった。

今回、買収金額などの詳細は明らかになっていない。Dacudaの創業は2009年で、CrunchBaseによれば、同社はこれまでに金額非公開の資金調達ラウンドを実施。それに加えて、Kickstarterを利用したクラウドファンディングによって54万2000ドルを調達している。この資金は、同社が2014年に発表した「PocketScan」と呼ばれる手持ちスキャナーの開発費用に充てられている(このプロダクトは過去にTechCrunchでもカバーしている)。

また、この買収について明らかになっていないことがもう1つある。それは、Dacudaの3D部門がこれまでに獲得したパートナーシップの行く末だ。

例えば、同社は昨年10月、スイスを拠点にAR/VRを手掛けるMindMazeとのパートナーシップを締結している。「MMI」と呼ばれる新しいプラットフォームを構築するためだ。MindMazeの説明によれば、このプラットフォームは「モバイルベースの没入型アプリケーションとソーシャルVR向けに開発された、世界初のマルチセンサリング・プラットフォーム」だという。また、同社は今後「位置トラッキングとマルチレイヤー・インタラクションの分野でGoogleのdayDream Viewがカバーしきれていない部分にアプローチするため、全世界のユーザーにテクノロジーを提供していく」としている。TechCrunchは現在、今回の件についてMagic Leapに問い合わせしている最中だ。彼らから何らかのコメントが得られれば、記事をアップデートしていく。

Magic Leapが他社を買収するのは今回で2度目となる。1度目は、同社が2016年に買収したイスラエルのサイバーセキュリティ企業、Northbitだった。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

360度閲覧可能な3D写真を写す、3DAroundが間もなく登場

Eコマースサイトや、あるいは映画マトリックスなどでみた、ぐるぐると回転させて見ることのできる写真をスマートフォンで簡単に撮れたら楽しそうだと感じる人は多いだろう。そうした人に朗報だ。1ヶ月ほどの後、Dacudaより3DAroundカメラというアプリケーションが登場するらしいのだ。使い方は簡単で、スマートフォンないしタブレットで、撮影対象の周りを移動しながら撮影するだけで良い。アプリケーションにて、撮影した写真をまとめて3Dイメージを生成し、そして念願のぐるぐる回しができるようになる。

ちなみにDacudaについては、Kickstarterにて展開したPocketScanキャンペーンを覚えている人も多いかもしれない(TC日本語版の記事はこちら)。持ち運び可能で、かつ高機能であるスキャナを提供したいとするプロジェクトだった。今やDacudaは25人の従業員と5年の経験を誇る企業に成長している。そして360度展開可能な写真を撮影することで、どのアングルから写すべきかという悩みを消し去るプロダクトをリリースしようとしているのだ。これが普及すれば、(退屈な?)フード写真が魅力的になることもあるかもしれない。

「AppleがカメラAPIをオープンにしたことも、私たちにとっては追い風なのです」とDacudaのファウンダー兼CTOであるDr. Alexander Ilicは言っている。「私たちのプロダクトを実現するには、露出時間、フォーカスなどについて、ローレベルなところにアクセスする必要があります。まさにiOS 8にて可能となった機能をフルに使っているのです」とのことだ。


 

プロダクトを思いついたのは、フードブロガーの振る舞いを見ているときなのだそうだ。何枚を写真を撮って、そのうちのどれが良いかを悩んでいる姿に疑問を感じたらしい。そのときに「すべての角度から撮影してみれば良いのに」と考えたのだそうだ。アイデアを実現しようとすれば、3Dセンサーを搭載したカメラが必要であろうと考えた。しかし新しいiPhoneのスペックをみるにつけ、ソフトウェアでなんとかなるのではないかと考えたのだそうだ。そして実現してみたのが3DAroundであるというわけだ。

3DAroundはそもそもMIT卒業生たちを巻き込んで、ETH Zurichからのスピンオフとして始めたプロジェクトだった。Wellington Partners、Swiss銀行系Schwyzer KantonalbankおよびオーストリアのアントレプレナーであるHans-Peter Metzlerなどが出資している。

3DAroundは連写することにより360度ビューで利用できる画像を取捨選択するしくみとなっている。生成された写真はアプリケーション内から確認することもできるし、ChromeなどのWebGL対応のブラウザで見てみることもできる。出力した写真はFacebookやTwitter、あるいはPinterestなどでシェアすることもできる。

アプリケーションは、iPhone 5以上対応として来月リリース予定になっている。HTC EVOは3D写真用の2連カメラを搭載していたりもするが、3DAroundはハードウェア的な拡張をせずとも3Dを楽しめるようになっている。正式リリースとなった暁には、改めてレビューしたいと考えている。

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(翻訳:Maeda, H