クラウドワークスがDeNAショッピングと提携–出店者の「ご用聞き」をクラウドソーシングで実現

ランサーズがKDDIとの共同事業でリアルビジネスのクラウドソーシング「ランサーズプレイス」を開始したと発表していたのが昨日。今日4月8日には、クラウドワークスがディー・エヌ・エーが手がけるショッピングサイト「DeNAショッピング」との業務提携を発表した。

今回の提携により、DeNAショッピングへ出店する店舗事業者に対してクラウドソーシングによるロゴ作成や商品画像加工、バナーなどの販促用素材の制作をサポートするという。 具体的にはDeNAショッピングの管理画面上にクラウドワークスのバナーを掲載。クラウドソーシングの利用方法などを紹介するほか、先着50店舗に限定して、クラウドワークスの有料オプションを無料で提供する。詳細は未定だが、今後もユーザーのニーズに合わせて施策を用意するという。

クラウドソーシングは非IT企業の「御用聞き」となるか

今回のクラウドワークスの発表と、昨日のランサーズの発表、いずれの取材でも出てきたキーワードは「御用聞き」だ。 ITリテラシーの高い個人、企業など、いわゆるアーリーアダプター層にはアウトソーシングの手法として認知されてきたクラウドソーシング。今後の課題はより広い層への認知、利用拡大にある。

そういった観点からクラウドワークスは「ECはやっているが、専業ではなくモールに出店する程度」という潜在的なユーザー層に対してリーチすることを狙ったと言えるだろう。 ECモールに出店する中小企業であれば、「今までは自社で画像加工などをしてきたが、アルバイトを1人追加して雇えない。そのためこれ以上の規模の拡大はできない」というケースもある。クラウドワークスは、そんなときにこそクラウドソーシングを使ってみて欲しいと提案しているのだ。狙うユーザー層にこそ違いはあるが、昨日のランサーズも同様の考えがあるようだ。


DeNAの低学年向け教育事業「アプリゼミ」–タブレット向けにサービス開始

スマートフォンやタブレット向けの知育、教育サービスはネットサービスのトレンドの1つだ。知育アプリを手がけるスマートエデュケーションや教員と生徒向けのクローズドなSNSを提供するednity、先生間の情報共有向けSNSのSENSEI NOTEなど、スタートアップだけでもプラットフォームからコンテンツまで、ありとあらゆるサービスが提供されてる。

そんな中で、ディー・エヌ・エー(DeNA)が通信教育アプリ「アプリゼミ」を3月20日にスタートし、教育事業に参入した。サービス自体は2013年末に発表されていたもとなる。iOS、AndroidそれぞれのOSに対応しており、当初は「小学1年生講座」のみを提供、新1年生向けに算数と国語、さらに小学校低学年向けの英語の3教科を提供する。保護者向けには進捗確認やメールでのお知らせ機能、分単位の学習時間設定といった機能も提供する。

タブレット向けに日々の家庭学習を提供するサービスとしては、ジャストシステムの「スマイルゼミ」(2012年11月開始。専用端末を使用し、1年継続で端末代金無料。月額3600円)やベネッセの「チャレンジタッチ」(3月末提供開始。専用端末を使用し、半年継続で端末代金無料3250円)などが先行する。

これに対してアプリゼミは、端末に依存せず利用可能で月額は980円(アプリゼミサイトから購入した場合。アプリストアからの場合1000円)、さらに4、5、6月はサービスを無料化するなど、サービス利用までの障壁の低さで勝負する。「紙の教材だと、通常月額3000円程度になる。それに比べて印刷代や郵送費といったコストをかけないことで、980円を実現した」(DeNAエンターテインメント事業本部企画推進部アプリゼミ総合プロデューサーの床鍋佳枝氏)

アプリゼミでは、DeNAがゲームなどのサービスで培ったノウハウをもとに、難易度調整やリワード導入などをして、教育とエンターテインメントを組み合わせた「エデュメント」を実現するという。これによって勉強が好きになるだけでなく、自ら取り組み、身にけるというサイクルを作るという。教材は、NHKエデュケーショナルが監修する。

すでに東京都多摩市立愛和小学校など2つの小学校で実証実験を実施したところ、5日間の利用でテストの点数が上昇しており、また学習時間についても想定の半分で終了したことから、「エデュメントを実現することで学習が進んだ。今までの倍以上の分量を学べる」(床鍋氏)と語る。通常は1教科1日10分ずつ学習すれば、1カ月の学習が完了するという。


DeNA創業メンバ−が手がける学習基盤Quipper、既存株主から5億8000万円を調達

ディー・エヌ・エー(DeNA)創業者の1人である渡辺雅之氏によるクラウドベースの学習プラットフォーム「Quipper」。同サービスを手がける英Quipperが、既存株主であるベネッセホールディングス、グロービス・キャピタル・パートナーズ、Atomico等を中心に340万ポンド(約5億8000万円)の第三者割当増資を実施したと発表した。同社は2012年にも約3億6000万円の資金を調達している。

Quipperは2010年12月の設立。2011年にユーザー誰もが学習コンテンツを作成したり回答したりできる学習UGCサービス「Quipper Quiz」を公開し、サービスをグローバルに展開してきた。これまで30万問以上がプラットフォーム上で制作され、アプリの総ダウンロード数は850万件以上となっている。

2013年には日本オフィスを開設。ベネッセホールディングスとオンライン学習に関する実証実験を開始した。また主力サービスである「Quipper School」 は世界で3000人の教師が登録。1万以上のクラスで利用されている。このサービスは生徒の学習や宿題の管理ができる。また、KDDIと中高生向けの学習サービス「GAKUMO」も展開している。

アジア展開も積極的で、フィリピンやインドネシア、ベトナム、タイなどで事業に注力。すでにアジアの複数の国でKPIに満足している状況だという。今後はラテンアメリカへの進出も検討中だ。

Quipper今回の増資をもとに、Quipperではプラットフォームの機能充実を図るとともにグローバル展開を加速するとしている。


DeNAが音楽サービスGroovyをリリース–楽曲購入にはチケット制を採用

dena groovy

今年初めにロゴ変更の発表と同時にアナウンスされていた、DeNAの新しい音楽サービスGroovyが本日リリースされた。DeNAはユナイテッドと業務提携し、彼らが提供していたDiscodeerを譲り受けている。Discodeerは再生している音楽の歌詞を表示したり、同じ曲を聴いているユーザーが分かるといった機能を持つアプリで2011年12月にリリース後、150万ダウンロードされた。

GroovyはDiscodeerをさらにバージョンアップした音楽プレーヤー・SNSのアプリだ。好きな音楽を聴いていると好みに合った曲がどんどん集まる仕組みだ。アーティストのファン(Facebookのファンと同じイメージ)になったり、他のユーザーをフォローする。すると、フィード上にフォローしたユーザーが聴いている音楽やアーティストの情報が流れてくる。

フィードに流れてきた音楽にはコメントやいいね!といった今時のSNS機能が付いており、コミュニケーションを取れる。好みの似たユーザーをフォローすることで自分好みの音楽を発見しやすくなるこの繋がりをDeNAは「ミュージック・インタレストグラフ」と呼んでおり、これが充実することで音楽の楽しみ方が大きく広がり、楽曲提供側にはヒット曲やスターを産み出す基盤になるのではないかとDeNAソーシャルプラットフォーム事業部島田智行氏は語る。

さて、音楽サービスでは楽曲の購入方法が気になるところだが、Groovyはユニークなチケットを採用している。アプリ内での音楽再生は、無料で45秒を試聴、99円でチケット(17枚セット)を購入しストリーミングで1回フル再生につき1枚を消費、1曲分購入で高品質ダウンロードといった3つの方法が用意されている。

フィードに流れてくる楽曲は再生ボタンをタップし、すぐに無料試聴を45秒できる。気になれば「プレイチケット」を99円で購入することで17回までフル再生可能となる。このプレイチケットはサービス登録時や友達招待の特典としても多少提供されるようだ。楽曲が気に入れば、その曲を購入しダウンロードすることで、いつでもフル再生できるようになる。

米国のSpotifyなどはプレムアムユーザーに対し、月額課金で聴き放題としているが、Groovyは聴いても聴かなくても料金を徴収されるより都度課金の方がユーザーの満足度が高いという調査結果もあるので、こちらを採用したという。

iTunesは楽曲単位での購入、Spotifyは月額課金、そしてGroovyはチケット制と差別化の一要因になるのかもしれない。

Groovyは本日からAndroid版のみ利用でき、iOS版は遅れてのリリースとなる。なお、すでに楽曲数は100万曲以上、39社のレコード会社・音源提供会社が参画している。