Galaxy S9のディスプレイがカメラと並んで最高の評価、iPhone Xを上回る

今月の初め、SamsungのGalaxy S9のカメラはDxOMarkから、これまででもっとも高い得点を獲得した。そして今度はそのスクリーンが、DisplayMateとディスプレイマニアRay Soneiraからこれまでの全機種の中で最高と評価された。しかし勝者と敗者の差は、世代を重ねるたびに小さくなっている。

S9は、その競合機に勝った。正直に言うなら、その中にはiPhone Xも含まれる。色の精度や設定の自由度など、すべての評価項目でS9が上位だった。それらの測度の多くは、Soneiraのラボで新記録を達成した。色再現域、コントラスト比、画面反射、許容視野角、などなどの項目だ。いずれも、S9がトップだった。

iPhone Xが明るさで上回る場合もあるが、しかし色再現域の高度な設定ができる場合は明るさよりも実際の色の方が重要だ。白色点の調節など、そのほかの項目もS9の高評価に貢献している。また、その優れたカメラ画像も、このスクリーンの上なら見栄えが良いだろう。

S9のカメラや画面以外の評価は、本誌の今後のレビュー記事をお待ちいただきたい。前世代機から大きく変わったところはないと思うが、しかし少なくとも、同じことでも前より良くなっているだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

‘JOLED’は、空中浮遊する小さな球体で作られたディスプレイ

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液晶ディスプレイはもう古い! これからは、超音波で宙に浮かぶ数十個の小さな球体だ。サセックス大学とブリストル大学の研究者らが作ったのはまさしくそれで、想像する通りの奇妙な代物だ。もっともこの汗かきロボットほど奇妙ではない。

このディスプレイは “Janus objects” と呼ぶ小球体を、「音波浮遊」によって「物理的ボクセル(3次元ピクセル)」として使用する。これでおわかりいただけただろうか? 多分もう少し説明が必要だろう。

Janus objectsは、ポリスチレン製のビーズだ。上下に設置されたスピーカーから出る超音波によって空中に留まっている。それぞれのビーズが、自分専用の小さな超音波ポケットに収まっている。音を変調することによって、ポケットを移動し、ビーズの位置を変えることができる。

白いドットだけを表示するならこれで十分だ。しかし、研究者たちはさらに一工夫して、ドットの片側に色を塗り(こうして2つの顔を持つことからJanus[ヤヌス:土星の衛星の1つ]と呼ばれる)、二酸化チタンでコーティングすることによって帯電させた。こうすることによって、電場を調節して球体の向きを細かくあるいは一気に変えることができる。

こうしてできあがったのは、空中浮遊するビーズのグリッドだ ― 6 x 7なのでRetina解像度とはいかない。その場で回転して色を変えたり、モノクロ画像を表示することができる。実際これは、宙に浮かぶEペーパー以上と言えるかもしれない。

チームはこれをJOLEDと呼んでいるが、何の略かはわからない。Janus Objects Levitated and Electrostatically Driven? 悪くない予想だ。

ビーズの位置と回転は、入力に応じて変えることができ、トラックの周囲や障害物の間を動かすこともできる。十分な数があれば、空中に浮かぶタッチ式フィギュアが作れそうだ。モニターの上に浮かべて、少々粗いセカンドモニターにするのもいいかもしれない。

サセックス大学のSriram SubramanianとDeepak Sahooは、来週のACM User Interface Software and Technology Symposiumで成果を発表する予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Sharpの小型HDディスプレイでVRの解像度が倍(1000ppi)になる

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仮想現実は、がんばって装着してみれば、なかなかすごい。でも今あるヘッドセットは、その最良のものでも、それほどシャープ(高精細)ではない。このことに着目したSharpは、今あるものの倍の解像度を持つVR専用のディスプレイを作った。

それはまだプロトタイプで、日本のCEATECで展示されている〔7日まで〕。PC Watch誌がSharpのブースで写真を数枚撮ったが、小型スクリーンは矩形と円形の両方がある(上図)。

矩形は2160×1920、円形は直径1920だが、サイズはわずか2インチだ。だからppiは1000にもなる。今のスマホの5〜6インチの画面が、300-500ppiぐらいだ。Oculus RiftやHTC Viveで使われてるのも、やはりそれぐらい。ただしVR用でなければ、もっとすごい、2000ppiの製品もすでにある。

このSharpのディスプレイが発色もレスポンスタイムも良好だとすると…IGZOだからそのはずだが…、VR体験に革命をもたらす。それは、レティナディスプレイの前とあとのiPhoneの違いにも匹敵するだろう。

展示されてる中で、もうひとつ、ぼくの目を引いたのが、5.2インチのHDパネル“Free Form” だ(下図)。ご覧のようにコーナーが円くて、完全にベゼルがないスマートフォンのプロトタイプだ。エッジの丸いところも画面表示の一部だから、すごい。来年は、これでキメたいな。

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PC Watchのページが、Sharpのブースを詳しく紹介している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

E Ink、多色ePaperを開発。ただし電子書籍リーダー用はまだ

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多くのeリーダーで使用されているePaperのメーカーであるE Inkが、非常に多くのカラーを表示できる全く新しいタイプの反射型ディスプレイを発表した ― ただしこの技術は当面デジタルサイネージ専用だ。

カラー反射型ディスプレイは新しくないが、これまでの技術で満足の行くものはない。個人的に、カラー電書リーダーはいつも色あせて見える ― 鮮やかな雑誌や子供の本と比べると見劣りする。

E Ink’s E InkのAdvanced Color ePaperは3万2000色を表示可能であり、他の電気泳動ディスプレイと異なり、個々のピクセルに全部の色を作るのに必要な顔料が含まれている。これは大きな技術的挑戦だ。顔料は混合色を作るために〈効率よく〉混ざる必要があるが、〈実際〉には混じらない。 「複数の着色顔料の位置を制御するために、数多くの材料や波形を発明する必要があった」とE Inkのプレスリリースに書かれている。

その結果、解像度、コントラスト、および表示品質全体が向上した ― しかし現在E Inkにあるのは、20インチ2500 x 1600ピクセルのパネルだけだ。 SlashGeaの映像で見られるように、発色はやはり弱い。店内のサイネージとしてはすばらしいが、150ピクセル/インチの解像度は、近くで見る用途には耐えられない ― 電書リーダーのように。
とはいえ、初期の電書リーダーは解像度もコントラストも良いとは言えなかったが、以来大きく進歩してきた。これはACePテクノロジーの第一世代であり、初めての、真に有望な電気泳動カラーディスプレイだ。

サンフランシスコで開催されているDisplay Weekには、ACepをはじめとする様々なディスプレイソリューションが展示されている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ディスプレイのエキスパートRaymond SoneiraがiPad Proの画面を世界最高とべた褒め

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タブレットなど手持ち型のデバイスのディスプレイの品質や性能が気になる方は、DisplayMateのレビューを読んだことがおありだろう。そしてそこの社長Ray Soneiraが最近評価したのは、iPadの新型機iPad Pro 9.7″だ。

お忙しい方のために、その結論だけを: “これまでにテストしたモバイルの液晶ディスプレイの中ではずばぬけて圧倒的に高性能”。

タブレットをあまり使わない方でも、あるいはAppleという企業を好きでない方でも、iPadに使われているディスプレイのクォリティーを批判するのは難しい。それは、最初のXGAのころから良い。iPad Pro 9.7″もその例外ではないが、それだけではなくて、最高のそのまた最高なのだ。

色の精度は“本物と区別できない”し、色域は標準のsRGBと新しくてより広いDCI-P3(4Kテレビ用)をどちらも完全にサポート。iPadの上で、色の再現性が重要な研究者やプロの人たちでも仕事ができる。スケッチやお絵かき用にも、SurfaceやWacom的タブレットよりこちらを好む人がいるのも理解できる。だからアーチストにとっても嬉しいデバイスだろう。

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この図は、iPadがサポートしている二種類の色域規格を示す。通常、ディスプレイの実際の三角形は、理論的な色域とこれほど完全には合致しない。この図では規格とiPad Pro 9.7の実際が完全に一致しているから、図が見づらい。ディスプレイのクォリティーが最高、ということ。

画面の反射は、ぼくのいちばんの苦手で、iPadの鏡のようなスクリーンもぼくの目の敵だが、iPad Pro 9.7″では大幅に改善されている。明るい環境光は、画像に悪影響を与えないために、効果的に拡散しなくてはならない。この新しいiPadはそれを、今出回っているどんなタブレットやスマートフォンよりもずっと上手にやる。

最高明度は、そのほかのiPadよりも20%高い。環境光が多いところで便利だが、ディスプレイをほぼ常時、やや暗くして、電池寿命を稼げる副作用もある。ただし電力効率はiPad Air 2と変わらない。

白色点とカラーバランスを環境光に応じて調整できる機能に対して、Soneiraは、反対はしていないが、好みの効果に調整できる能力がユーザーに必要だ、と言っている。でも、ぼく自身は反対だ。トーンカーブや色の暖かさが途中で変わるようなディスプレイは、頭にくる。だからぼくは最初に、それをoffにする。

DisplayMateの本文記事を読めば、テストのセットアップや応答曲線について、詳しいことが分かる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

QD LED(量子ドットLED)実用化に近づく―大幅に薄く、色再現性が高く、安価になる

デバイスを薄くするのは難事業だ。最近、バッテリーの薄型化が進んでいるが、ディスプレイは依然としてデバイス中で非常に大きな空間を占めている。eインクなどのフラットディスプレイは読書端末を除いては液晶ディスプレイを代替できない。しかし、量子ドット・テクノロジーがこの状況を大きく変えるかもしれない。量子ドット・ディスプレイはナノ結晶を利用して所望の波長の光を高効率で得るテクノロジーだ。

量子ドット・ディスプレイは画期的に薄くなり、かつ標準的なインクジェット方式で「プリント」できる。ソニー、Samsungなどのメーカーは今年のCESでコンセプトの実証モデルとなる製品を発表している。ただしこれらは量子ドット・テクノロジーをバックライトの光源に用いており、ディスプレイそのものを量子ドット化していない。これまで液晶ディスプレイと同様に映像やテキストを表示できる量子ドット・ディスプレイは存在しなかった

しかしイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究グループは、量子ドットのナノ結晶を電磁的インクジェット方式でフィルムに印刷する方式を開発してきた。これはタンパク質などの複雑な物質を合成するために用いられるテクノロジーの応用だという。 研究概要によれば―

この論文では量子ドット(QD)をナノメートルレベルで精密に制御して多層印刷することにより、発光量子ドット(QD LED)が製造できることを実証する。

つまり、量子ドット素材となるナノ結晶を多層印刷することによってほとんどあらゆる素材の表面に発光LED層を形成できるわけだ。さらに発光層を重ね、RGBの各ピクセルの発光を調整することによって極めて薄く、色再現性の高いフルカラーのディスプレイが可能となる

このテクノロジーはあと数年で商用化されるところまで来ている。デバイスの小型化に大きなインパクトを与えるだろう。こちらにさらに詳しい記事がある。

via Spectrum

〔日本版〕電子を極めて微細な領域に閉じ込めると量子的性質が現れる。量子ドットに青色LED光を当てるとナノ結晶が微細なレーザーの役割を果たし、高効率で波長が変換され、所望の色の光が得られる。現在話題になっている量子ドット・ディスプレイは、記事中にもあるように、通常の液晶ディスプレイのバックライトに量子ドットを利用した白色光源を用いるタイプのもの。スペクトルが太陽光に近いため、色再現性が向上し、省エネにも貢献する。上の記事で紹介されているのは、量子ドットそのものを直接ディスプレイに用いるQD LEDテクノロジー。参考 

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+