DRONE FUNDが3号ファンドの追加調達を実施し清水建設やキャナルベンチャーズらが参画、総額約50億円に

DRONE FUNDが3号ファンドの追加調達を実施し清水建設やキャナルベンチャーズらが参画、総額約50億円に

「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現を目指すベンチャーキャピタルのDRONE FUND(ドローンファンド)は3月9日、2020年5月に目標調達額を100億円とする「DRONE FUND 3号投資事業有限責任組合」(3号ファンド)を設立し、2020年9月にファーストクローズを実施したと発表した。

3号ファンドでは、清水建設、キャナルベンチャーズなどを新たにLP投資家として迎え、ファーストクローズとあわせて総額約50億円の調達を実施した。ドローンファンドはファイナルクローズに向けて、今後も資金調達を続ける。

DRONE FUNDによると、ドローンやエアモビリティをはじめとする空のテクノロジーは、国土・インフラの保全、産業活動の効率化と発展、日々の暮らしを支えうるソリューションとして注目を集めているという。デジタル政策やグリーン政策の重点化や、全国でのスマートシティに関する機運の高まりも大きな追い風としている。

DRONE FUNDは、これらを背景にドローン・エアモビリティのさらなる社会実装を促進するべく、3号ファンドを設立。次世代通信規格5Gをはじめとする通信インフラの徹底活用などを通じ、フィールド業務の自動化やリモート化などの産業活動のDXを可能とし、ドローン・エアモビリティの社会実装に寄与しうるテクノロジー、ソリューションへの投資を展開するとしている。

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2025年ごろ、ドローンによるラストワンマイル物流サービスのイメージ

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DRONE FUNDが目標調達額100億円とする3号ファンドからの新規投資活動を順次開始

DRONE FUNDが目標調達額100億円とする3号ファンドによる新規投資活動を順次開始

「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現を目指すベンチャーキャピタル「DRONE FUND」(ドローンファンド)は10月14日、目標調達額を100億円とする「DRONE FUND 3号投資事業有限責任組合」(3号ファンド)を2020年5月に設立し、2020年9月にファーストクローズを迎えたと発表した。SMBC日興証券、NTTドコモ、ソフトバンク、小橋工業、国際航業、リバネスなどが投資家として参加している。

また、ドローンファンドは2021年3月(予定)のファイナルクローズに向けて資金調達を続けるともに、今回の発表をもって3号ファンドからの新規投資活動を順次開始すると明らかにした。

DRONE FUNDが目標調達額100億円とする3号ファンドによる新規投資活動を順次開始

ドローンファンドは、「ドローン・エアモビリティ社会実装ファンド ~社会受容性の強化と5Gの徹底活用~」というコンセプトのもと、3号ファンドの活動を展開予定。具体的には、次世代通信規格の5Gをはじめ通信インフラの徹底活用などを通じて、フィールド業務の自動化やリモート化などの産業活動のDXを可能とし、ドローン・エアモビリティの社会実装に寄与するテクノロジーへの投資を実行する。

また既存ファンドも含めると、ドローンファンドには大手通信事業者3社が投資家として参画しており、スタートアップ支援に限らずドローン・エアモビリティ産業の発展にあたって理想的な座組みが形成できつつある。ドローンファンドは、今後3号ファンドに参画する投資家とも精力的な連携を行いながら、ドローン・エアモビリティ前提社会の実現にむけた投資を加速していくとしている。

ドローンファンドは、「ドローン・エアモビリティ前提社会」の実現を目指し、関連スタートアップへの投資を積極的に実施。15.9億円で組成した1号ファンド、52億円で組成した2号ファンドを通じて、国内外40社以上のポートフォリオを形成している。

1号ファンドの代表的な投資先としては、2018年12月、ドローン銘柄として初の東証マザーズ上場を果たした自律制御システム研究所が挙げられる。2号ファンドでは、SkyDriveなどのエアモビリティ領域、マレーシアのAerodyne Groupに代表される海外の有力スタートアップ、その他必要不可欠なコアテクノロジーを有するスタートアップなどに投資領域を拡大するなど、「空の産業革命/移動革命」を全方位的に牽引してきた。

また、昨年度は「2022年度におけるドローンのレベル4運用の解禁」、「2023年度におけるエアモビリティの事業化開始」という政策目標が閣議決定され、地方自治体の活動も活発化している点を指摘。これらの機運を追い風に、日本のドローン・エアモビリティ関連のスタートアップにはますます飛躍が期待されているとした。
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8つのプロペラで空⾶ぶクルマが年内に有⼈⾶⾏試験へ、SkyDriveが15億円調達

SkyDriveは9月30日、第三者割当増資および助成⾦で総額15億円調達したことを発表した。累計調達額は20億円。今回の第三者割当増資の引き受け先には、既存投資家であるDrone FundとZコーポレーションに加え、STRIVEと伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、環境エネルギー投資が加わった。同社は今回調達した資金を、2019年内の有⼈⾶⾏試験に向けた開発に投下していく。また、今回の第三者割当増資のリードインベスターを務めるSTRIVE代表パートナーの堤 達⽣⽒がSkyDriveの社外取締役に就任する。

SkyDriveは、航空機・ドローン・⾃動⾞エンジニアを中⼼して2016年に結成された有志団体CARTIVATORが前身。2018年12⽉に、電動で⾃動操縦と垂直離着陸が可能な無人の空⾶ぶクルマの屋外⾶⾏試験を開始。最近では愛知県・豊⽥市と「新産業創出へ向けた『空⾶ぶクルマ』開発に関する連携協定」を締結し、2019年6⽉に豊⽥市に⾶⾏試験場をオープンしている。同社は、2019年内の有⼈⾶⾏試験のあと、2020年夏のデモフライト、2023年の発売開始、2026年の量産開始を目指している。

同社によると、当初は有志団体として2020年夏のデモフライトを目標に機体を開発していたそうだが、効率よく移動できる日常的な交通手段やエンターテイメントとしての空飛ぶクルマの可能性を感じ、多くの利用者が利用できる未来を目指すために事業や技術開発の加速させるために株式会社化したとのこと。

無⼈試作機での屋内⾶⾏試験

この空飛ぶクルマは、4か所に搭載した8つのプロペラで空を飛び、地上走行には3つのタイヤを使う。サイズは通常の自動車よりひと回り大きく、大人2人が乗車して高度150~300m程度を飛行することを想定しているとのこと。すでに、機体フレームや飛行ユニット、飛行制御の最適化により、無人状態でさまざな形態での安定飛行が可能になっている。

有人飛行試験については、まずは大人1人が乗車することになるという。技術的にはすでに実現可能な段階になっており。現在は機体の安全をより担保するため、モーターやアンプ、フライトコントローラーなどの耐久試験、機体トラブル時の乗員保護の試験などを進めている。

2023年からの一般販売に向けて同社は、既存の航空機レベルの安全性の確保、バッテリーの長寿命化などによる航続距離延長(現時点では20分強)、多くの人が空飛ぶクルマを受け入れてくれる社会受容性の向上、離発着上や飛行経路などのインフラ構築などがカギになるとしている。正式な予定販売価格は発表していないとのことだが、まずは3000万円程度の価格設定になるという。ただし、将来的には量産効果によって自動車レベルに価格を下げることが可能とのこと。

空飛ぶクルマの価格が自動車並みの数百万円に収まり、周辺住民の理解が進んで離発着できる場所が増えれば、移動手段としてだけでなく物流にも大きな変革をもたらすの間違いない。道路行政を主体とした公共事業のあり方も変わるかもしれない。

筑波大発の水中ドローンスタートアップFullDepthがDrone Fundなどから3.4億円を調達

地球上の表面積の7割を占める海は、生命の起源や地震活動のメカニズムといった多くの謎の手がかりを秘め、水産物や鉱物、エネルギーなど資源の宝庫でもある。だが海中の実態については、ほとんどが明らかになっていない。

「陸上に比べて海の理解は遅れている。マイクロプラスチックによる汚染や地球温暖化などの問題にも関与する海のことを、もっと分かるようにしたい」そう語るのは、水中ドローンを自社開発し、サービスを提供するFullDepth(フルデプス)代表取締役の伊藤昌平氏だ。

筑波大学発のスタートアップである同社は5月27日、約3.4億円の資金調達を明らかにした。第三者割当増資は4月、Drone Fundをリードインベスターとし、Beyond Next Ventures三井住友海上キャピタルおよび筑波総研の運営する各ファンドを引受先となって実施済みだ。

FullDepth(旧社名:空間知能化研究所)は2014年6月の創業。2016年3月にエンジェルラウンドで資金調達を行い、深海探査機の開発に着手した。試作機による実証実験を進め、2017年6月にはシリーズAラウンドで1.9億円を調達。2018年6月には、自社開発の水中ドローン「DiveUnit 300」の製品化を実現し、同機の保守・運用、保険、取得データの蓄積・活用までをパッケージにしたサービスを提供開始した。

サービス開始から2019年4月末までに約50カ所、延べ約65日にわたり、ダムや防波堤といったインフラの点検や、水産設備の保守管理などで活用されているという。

DiveUnit 300は水深300メートルまで潜航可能な小型の水中ドローン(ROV)。バッテリーで駆動する本体は船上のPCとテザーケーブルで接続され、内蔵カメラによる映像をリアルタイムで確認することができる。

DiveUnit 300は人の手で水中に投入できる

同社が開発したクラウドサービスを使って、遠隔地でも映像や各種センサーによる取得データの確認が可能。機体の操作指示もリモートで行えば、現場へ足を運ぶ人数を減らすことができ、コスト削減にもつながる。

モニタリングの様子

また、今まで潜水士が潜るには危険で調査ができなかったような場所での調査も可能にした。潜水士が一度に潜れる時間の限界(水深20メートルで1人30分、1日2回までなど)もあるため、かさみがちだった点検工期も、いったんドローンが広域をチェックして、必要があれば人が詳細に調べる、といった切り分けもできるようになり、大きく削減できるようになった、と伊藤氏はいう。

前回の資金調達では製品化実現に向けて投資を行ったFullDepth。今回は「顧客の課題解決のため、製品の量産を図るとともに、組織を強化する」と伊藤氏は調達資金の使途について説明している。

また、海に囲まれた日本は「水中のインフラや養殖いけす、定置網などの水産設備については進んでいる」と伊藤氏。これらの調査・点検に関するノウハウを持って、海外展開も始めたいと述べている。

同社は、水深1000メートルまで使用できる実証実験機「Tripod Finder」も保有している。今後、深度を深める開発に取り組まないのか尋ねたところ、伊藤氏は「まずは1プロダクト(DiveUnit 300)の量産に集中して、これでできることを増やす。クラウドを使ってデータを蓄積することでできるサービスも検討している」と回答。

具体的には、Google ストリートビューやスマートフォンのGPSによる行動解析データと同様に、海中の深度や温度といったデータを、水中ドローンを潜航させて取得・蓄積することで、何らかのサービスにつなげたい、ということだった。

伊藤氏は「顧客の課題に合わせて深度を追求することもあり得るが、浅いところでも分からなくて困っているということはまだまだ多いので、それをまずは分かるようにする。顧客自身が『何が分からないのかが分からない』ということもある段階なので、一つ一つ身近なところから精査しながら、事業に取り組んでいく」と話していた。

超小型ドローンで屋内設備を点検、Liberawareが1.3億円をDrone Fundらから調達

産業用小型ドローンによる事業を展開するLiberaware(リベラウェア)は4月24日、Drone FundおよびFFGベンチャーファンドを引受先として、総額1億3000万円の第三者割当増資を実施したと発表した。

Liberawareが展開するのは、小型ドローンの開発・販売と、ドローンにまつわるさまざまなサービスだ。特に今年の4月からは、屋内の点検用ドローンをレンタルするサービスも開始している。

煙突やボイラー、天井裏、ダクト内や配管などの点検を大規模な工業施設で行う場合、狭い場所や粉塵・高音などの過酷な環境下で、足場を組んで作業する必要がある。Liberawareではリモートで作業を行うことができる、超小型の産業用ドローンを開発し、製造。クラウド型の点検ソリューションとパッケージにして提供している。

同社では今回の資金調達により、これら小型産業用ドローンを活用した点検ソリューションの開発・提供を加速させるとしている。

Liberawareは2016年8月の設立。今回の資金調達は、同社にとってプレシリーズAラウンドに当たり、Drone Fund、ORSO、Aerial Lab Industriesから実施した、前回2018年2月の資金調達に続くものとなる。

マレーシアのAerodyneグループがDrone Fundと提携、2号ファンドの最大出資先に

マレーシアを拠点とするAerodyne(エアロダイン)グループは3月11日、投資家の千葉功太郎氏が設立したDrone Fund(千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合)からの出資を受け入れ、資本提携を結んだことを発表した。これにより同社は、Drone Fundの2号ファンドとしては最大級の出資先となる。今回の提携にいって、2号ファンドの出資先企業のハードウェア、ソフトウェア、サービスなど、幅広い分野で連携していくとのこと。

写真右上が千葉功太郎氏、その左がKamarul A. Muhamed氏

Aerodyneグループは、ドローンを活用してさまざな点検やモニタリングのサービスを提供している企業。具体的には、広域にまたがって設置される電線網や通信鉄塔などのインフラ設備をはじめ、火力・風力発電施設やプランテーション、工事現場などで利用されている。ドローンが集めたデータは、解析してクラウドに集約される。点検対象設備は25万点超、年間を通して4万回以上の飛行実績がある。

現在23カ国で事業を展開しており、日本では2018年よりエアロダインジャパンを設立している。

2号ファンドの出資先としてはAerodyneグループのほか、急速充電とエネルギー密度を両立させたキャパシタ(蓄電池)を開発中のスペースリンク、大気計測装置の開発・製作・販売などを手がけるメトロウェザー、空飛ぶクルマ(エアーモビリティ)の開発・製造・販売を手がけるSkyDriveなどがある。また2号ファンドのLPには、プロサッカー選手の本田圭佑氏が率いるKSK ANGEL FUNDのほか、みずほ銀行、KDDI、セガサミーグループ、マブチモーター創業家一家などが名を連ねている。

Drone Fundがスペースリンクに出資、急速充電と大容量を両立した蓄電池の量産化が加速

Drone Fundは2月25日、キャパシタ(蓄電池)開発のスペースリンクへの出資を発表した。Drone Fund1号(千葉道場ドローン部1号投資事業有限責任組合)とDrone Fund 2 号(千葉道場ドローン部2号投資事業有限責任組合)からの出資となる。Drone Fundのほか、リアルテックファンド、加賀電子、デンソー専務取締役の加藤光治氏が第三者割当増資の引受先となり、スペースリンクの調達総額は1.3億円、累計で9.5億円に達した。

スペースリンクが開発した「グリーンキャパシタ」は、急速充電が得意なキャパシタの特性を生かしつつ、カーボンナノチューブとグラフェンを利用したことで従来の5〜10倍となる大容量化に成功。さらに、不燃性の電解液によってリチウムイオン電池の欠点である発火リスクをなくしたほか、形状の自由度も高いという利点もある。カーボンナノチューブは耐久性が非常に高いので、繰り返し使用による劣化も抑えられるという。

同社は今回の資金調達によって、このグリーンキャパシタの量産化を進め、2021年に量産販売を開始したいとしている。なおスペースリンクは、経済産業省の官民共同のスタートアップ集中支援プログラム「J-Startup」の特待生企業として選定されている企業だ。

Drone Fundは、「ドローンやエアモビリティの社会実装を進めるためには、バッテリーテクノロジーの進化が不可欠です。スペースリンクのグリーンキャパシタが実装されると、短時間での安全な充電が可能となり、ドローンやエアモビリティの運用に変革をもたらします」とプレスリリースで述べている。